四日目 朝、目覚ましの音と共に起きた。 いつもより1時間早くセットしたため、まだ眠い。 俺は水槽を見ると、ミドリはゲロまみれになって寝ていた。 しかも、昨日より凄まじい事になっている。 どうやら寝ながら糞をしたようで、思いっきりパンコンしている。 蓋をしっかりしていたのでニオイはそれほど漏れていないが、清々しい朝に見るものじゃない。 俺は水槽をそっと風呂場に持っていくと、意を決して蓋を開けた。 「うっ、くせ〜!なんかすっぱいニオイもする。」 俺の言葉で起きたのか、ミドリがモゾモゾと動き出した。 ん?なんか様子が変だぞ? 何か考え込んでいるような?後悔しているような?orzな姿勢をしている。 何をしているんだ? 「おはよう、ミドリ。」 「テチャア!」 俺の言葉でミドリはビクンと痙攣して、さらに苦しそうに頭を押さえている。 なるほど、二日酔いか。 「頭が痛いテチ。なんかズキズキするテチ〜。」 「お前それは二日酔いだ。」 「テチャア!大きな声を出さないで欲しいテチ!頭が痛くなるテチ!テチャア!」 ミドリは再び頭を抱えて蹲る。 自分の声で頭を痛めるとは本当に馬鹿な奴だ。 それよりも、ミドリ〜。何か忘れてないか? 俺はミドリの頭を割り箸で一発叩く。 ベキッ! 「テジャっ!」 「・・・」 どうやら頭痛が酷くて、何かを言うのも行動するのも気力が沸かないようだ。 これ以上殴ってもつまらなさそうなので、俺はミドリと水槽の掃除を始めた。 まずミドリを箸でつまみあげて風呂桶に入れる。 そして、水槽の中のゲロと小便と大便を洗い流した後、スポンジで綺麗にする。 次に蹲っているミドリに服を脱ぐように言う。 ミドリはまだ頭が痛いのか、ノロノロとした動作でなんとか服を脱ぐと 再び頭を押さえて寝転がった。 とりあえず服は水で洗い流し、洗剤をいれば桶に入れてしばらく放っておく。 次に寝転んでいるミドリの汚れはシャワーで洗うのだが 水はお湯ではなく、設定で出来る限界の冷たい水で洗い流す。 「テチャアアアアアア!!」 いきなり冷たい水を浴びたので、ミドリは大声を上げて跳ね起きた。 そして、冷たい水から逃れようと必死で逃げ回るが、 風呂桶の中にいるため、どこに逃げようとも冷たい水から逃れられない。 さらに風呂桶は栓をしているので、どんどん水が溜まっていく。 すでにミドリの胸付近まで水が溜まっている。 どうやらパニックになっているようだ。 壁にぶつかっては方向転換し、また壁にぶつかる。 それを何度も繰り返している。 水がミドリの口に届くギリギリのところで水を止めた。 水が止まったのにミドリは未だに、風呂桶の側面にぶつかりながら走り回っている。 俺がミドリを掴み上げて風呂の床においてやると、俺の顔を見てようやく落ち着いたようだ。 そして、いきなり泣き出した。 「テエエ〜ン、ご主人様が虐めたテチ。テエエエ〜ン。」 「おい、何勘違いしているんだ?」 「テエエ〜ン、テエエ〜ン。ご主人様は意地悪テチ。」 「俺はお前に罰を与えただけだぞ。」 「テエエ〜ン、テエエ〜ン、テエエ…テチ?」 「もしかして覚えていないのか?」 「何のことテチ?ワタチは何も悪いことして無いテチ! 冤罪テチ!今すぐ謝罪と金平糖を寄こテビャッ!」 俺はミドリの頭に拳骨を喰らわせた。 ミドリは喋っている途中で拳骨を食らわせたためか舌を噛み切ってしまったようだ。 「テヒャ!テビャボヒャ!テヒャヒャブヘヒョ!」 「ごめん。何言ってるのかわかんない。」 ミドリは口から血を滴らせながら必死に何かを訴えている。 が、舌が無いためうまく言葉に出来ないようで、リンガルも「解読不能」と表示されている。 それにしても、ものすごい量の血が流れている。 人間なら死んじゃうかもしれないけど、・・・実装石なら大丈夫だよな? 「たぶん『なんで罰を受けなきゃならないんだ?』って 言ってるんだと思うけど、あってる?」 ミドリは首を縦に振った。 「理由を説明ぞ。いいか?お前は昨日『俺のビールを飲みたい』と言ったのを覚えているよな?」 「ヘヒヘヒ。」 「いや、だからわかんないって。首を縦か横に振って答えろ。」 ブンブンと首を横に振る。 どうやら記憶が無いようだ。 これでは説明しても意味が無いな。 さて、どう説明しよう? ゲロはすでに洗ってしまったしな。 とりあえず説明だけするか。 「言ったんだよ。お前がどうしても欲しいって言うから飲ませたら、お前は一気に酔っ払って せっかく洗ったばかりの水槽にゲロをして、しかも小便までしたんだ。」 「ヘヒャ!?」 「しかもだ。朝になったらウンチまでしていたしな。 これで罰を与えなかったらいつ罰を与えるって言うんだ?」 「ヘヒャヒャ!ベピャヒャ!」 「だから何度も言わせるなよ。何を言っているのかわかんないって。 とりあえずお前のその傷が治ったら言い訳の一つでも聞いてやるよ。」 俺はそういってミドリに体を洗うように言った。 体を拭いたミドリを水槽に入れて、水槽を居間に戻した。 そして、ミドリに実装活性剤を注射する。 ミドリはどうやら注射をされるのが怖いらしく、やたらと抵抗したが所詮は実装石の力。 すぐに押さえつけて、ブスリッと腕に一発注射してやった。 注射した瞬間、ミドリはものすごい悲鳴を上げたので少し驚いた。 注射が終わった後は、ただひたすら泣いていた。 俺が 「これはお前の体を治す為の注射なんだから仕方ないだろ? そうしないといくら実装石とはいえ、最悪1日近くかかってしまうぞ? そうなると飯も食えなくなるんだぞ?」 と言うと、ピタッと泣き止んだ。 どうやら痛みより御飯が食えなくなる方が嫌なようだ。 全く持って実装石らしい思考回路をしている。 そんなミドリを虐めても面白いのだが、 今は出来る限りの愛情と栄養を与えないといけない大事な時期だ。 とりあえず今は嗜虐心を抑えて、朝飯の用意をすることにした。 今日は朝から疲れたが、味噌汁、卵焼き、御飯、 そしてメインの焼き鮭を作りテーブルに並べる。 俺が朝御飯を作っている間にミドリの舌はリンガルが翻訳できるくらいまで回復していた。 恐るべし実装活性剤。 ミドリは先程のやり取りの事はすでに忘れているらしく、 今は目の前の御飯(俺の朝飯)を凝視して涎を垂らしている。 『言い訳を聞いてやるって行ったんだが完全に食欲のせいで忘れてるな。 う〜ん、こいつってやっぱり馬鹿なんだろうか?』 そんなミドリの期待の眼差しを軽く受け流し、 いつも通りの実装フードをミドリの水槽に置く。 ミドリはかなり落胆したあと、「いただきます」をして実装フードを食べだした。 何かブツブツと言いながら食べていたので、リンガルで拾ってみると 「ワタチもご主人様と一緒のが食べたいテチ。もっと美味しいものが食べたいテチ。」 等と呪いの言葉を吐くように言っていた。 しかたないので、俺は 「そんなに俺と一緒のものが食べたいのか?」 と聞くと、 「テチャ!?な、何のことテチ?そんなこと言って無いテチ。」 と、誤魔化してきた。 リンガルで拾っているから、誤魔化しても無駄なのに。 俺は「やれやれ」と思いながら 「ほら、焼き鮭を少しだけ食べさせてやるよ。」 と言って、焼き鮭を一切れだけミドリの皿に入れてやった。 ミドリは俺の行動が信じられなかったらしく、俺と焼き鮭を何度も見ながら 「テェ?テェ?…」 と疑問の顔をしながら視線を往復させていた。 俺が笑顔で、 「食いたいんだろ?食べてもいいぞ。」 と言うと、顔をパァッと明るくして焼き鮭を頬張り始めた。 どうやら泣きながら食べているようだ。 「テチ。美味しいテチ。ご主人様はやっぱり優しいテチ♪」 どうやら、ミドリの中で俺の信頼は確実に高まっているようだ。 俺は会社に行く時間になり、ミドリに夜まで俺がいないことを告げた。 餌は実装フードを昼用と夜用の2つを用意し、3時のおやつに金平糖を2つ用意した。 「いいか。これは昼用。あれは夜用。 そして、これはあの時計の短い方の針がこの形になったら金平糖を食べても構わない。」 俺は紙に時計の3時の絵を描き、ミドリに見せる。 ミドリはうなずいていたが正直理解しているとは思えなかった。 目がすでに金平糖にロックオンしていたからだ。 俺はため息をつきながら 「もし、約束を破ったら罰を与える。 もし、嘘をついて誤魔化そうとしてもすぐに分かる。 そのときは、さらに罰を与える。いいな。」 少しきつく行ったつもりだったのだが、 それでもミドリはソワソワしながら金平糖を見つめていて話を聞いていない。 『何でこいつは、こんなに食い意地が張っているんだ?』 とりあえず警告はしたので、俺はカメラをセットし ミドリを水槽から出す。 一応玩具になるであろうミニカーや、ゴムボールを置いて家を出た。 夜8時なり、ようやく家に着いた。 ドアと開けたとたん、ミドリの泣き声が聞こえてきた。 何事かと思い急いで居間に行ったが、ミドリの姿が無い。 台所か?と思い台所に行ったが逆に声が遠ざかった。 もう一度居間に行き、よく耳を澄ませるとテレビの裏から聞こえる。 何でそんな所から?と思いテレビを移動させると、 コードに雁字搦めになっているミドリを見つけた。 しかも所々、引き裂かれている。 しかも後頭部や四肢の先が、何かに齧られたような後がある。 コードを解きながら、ミドリに尋ねてみた。 「なんでお前はそんなことになっているんだ?」 「テェェーン。テェェーン。」 「泣いてたら分からないって。」 「テチャアアアア!テチャアアア!」 「だから、どうしたんだ?説明してくれないと何も分からないぞ。」 「く」 「く?」 「く、黒い悪魔がワタチを襲ってきたテチ!」 「黒い悪魔?」 「ご主人様、早くやっつけてテチ!齧られるのはもう嫌テチ!」 「齧られる?」 『全く持って意味がわからない。黒い悪魔っていったい?』 なんて思って首をかしげていると、(元々おかしかった)ミドリの様子がさらにおかしくなった。 全身がガクガクと振るえ、顔は滝のように汗をかき 目は見開かれて、恐怖に引きつった顔をしている。 口はパクパクと何かを言おうとしている。 その視線は一点を見つめて動こうともしない。 俺はその視線の先を追った。 その先にいたのは 「あ、ゴキブr」 「テチャアアアアアアアアアア!!」 ミドリはものすごい声で悲鳴を発した。 ミドリを見ると完全にパニック状態に陥っている。 「テチャアア!テチャア!テチャアアアアア!!」 今すぐ全速力で逃げ出したいのであろう。 手をバタバタとさせながら必死でその場から逃げようとしている。 さながら陸の上でクロールの練習をしているみたいになっている。 しかし、腰が抜けてしまっているし、 手もブンブンと振り回しているだけで全く前に行かない。 俺はミドリをそのままにして、殺虫剤でゴキブリを即座に始末した。 ゴキブリを始末したのに、ミドリは未だにパニック状態でクロールの真似事をしている。 「もう殺したから安心しろ。」 「チャアアアアアア!!テチャアアアア!!」 「もう大丈夫だって。」 「シャアアアア!!」 なぜか俺に威嚇してきた。 どうやら完全に我を失っているようだ。 俺は、仕方ないので今日の帰りに実装ショップで買ってきたアイテムを試すことにした。 俺は息を吸って、手に持ったアイテムに吹き込んだ。 ピ-------- 何も聞こえない。 どうやら犬笛なんかと同じく超音波が出ているのだろう。 そのためか耳が痛くなった。 すると、ミドリがおとなしくなった。 と言うよりも動かなくなった。 どうやら仮死状態になっているようだ。 俺が使ったのは、最近発売された『実装笛』というものである。 通称『蟲笛』と呼ばれているらしい。 使い方は今のように息を吹き込んで使うのである。 「それにしても前評判どうりよく効くな。」 なんて感心しながらミドリを掴み、水槽のベッドの上に置いた。 居間に戻って、もう一度この実装笛の取り扱い説明書を読んだ。 『本商品は実装石に襲われたお子様や、ご年配の方々の迎撃用に開発されました。 それ以外の目的では使わないでください。』 「いや、無理だろ。」 『本商品の音を聞いた実装石は激しい頭痛に見舞われます。』 「どのくらい痛いんだろ?」 明日にでも公園の野良で試し見たくなった。 取説の最後の方に 『また、長時間音を聞かせていると、あまりの激痛から実装石が仮死状態になります。 飼い実装等、人に飼われている実装石の近くで本商品のを使うのはご遠慮ください。 超音波ため他の音に妨害されやすく、指向性が高いため 保障有効範囲は笛を吹くときの前方の半径20m程とさせていただきます。』 と書いてあった。 範囲が狭すぎるのが気になるが、それでも十分に撃退用としては役に立つ。 下手にコロリなので対抗しようと思っても、大量の実装石相手にはいずれそこを尽きるが これなら息が続く限り、撃退できる。 値段が出たばかりだからか1万円と高いが、それでも十分に価値はあるだろう。 そんなことはさて置き、俺は先ほどのゴキブリのことを考え始めていた。 なぜなら、異様に大きかったのである。 体調は4cm〜5cm程といったところか。 今まで見てきた中では最大の大きさを誇っている。 ゴキブリホイホイやバルサンを買って何とか駆除しなければ。 「実装石の駆除には実装音叉なんてトンデモ兵器があるんだから、 ゴキブリにも何かあればいいのに。」 等と愚痴りながら晩飯を作り始めた。 晩御飯がもうすぐできると言うところでミドリが目を覚ました。 「テチャアー!」 ものすごい勢いで跳ね起きた。 全身汗だくで肩で息をしている。 目は見開かれたままで、手が微妙に震えている。 ミドリはキョロキョロと辺りを見回して、俺を見つけると 泣きながら俺に突進してきて、水槽の壁に思いっきりぶつかって再び気絶した。 何がしたかったんだろう? 晩御飯を食べた後、ミドリを軽く揺すりながら起こしてやる。 「おい、ミドリ。起きろ。晩御飯だぞ。食わないのか?」 反応が無い。 「もうしばらく放置しておくか。」と思ったとき、 いきなりミドリの目がカッ見開いて上半身を勢いよく起こした。 そして俺の顔を見ると、先程と同じ様に俺に突っ込んできた。 また気絶されても困るので、とりあえずミドリを抱き上げて床の上に置く。 ミドリは俺の脚にしがみつき思いっきり泣いた。 「どうしたんだ?何か怖い夢でも見ていたのか?」 「テェェ〜ン、テェェ〜ン。」 「お前、俺が留守の間に何をしていたんだ?」 「お昼ごはんを食べた後、ワタチはご主人様に貰った車で遊んでいたテチ。 そしたら、あの黒い悪魔がいきなり現れたテチ。」 「黒い悪魔ってゴキブリのことか?」 「黒い悪魔は黒い悪魔テチ。ワタチに向かって飛んできたテチ。 きっとアレは噂に聞く実装燈テチ。」 「確かに実装燈って黒いけど、全然似てないよな?」 「ワタチは必死で逃げたテチ。あの箱の裏に逃げ込んだテチ。 そしたら、あの悪魔はすぐにワタチを見つけて追いかけてきたテチ。 ワタチはもっと奥に逃げようとしたテチ。けど、紐が体に巻き付いて動けなくなったテチ。」 「それで?」 「そのあと、動けなくなったワタチをあの悪魔は、悪魔は、…テチャアアアア!」 あ、トラウマにスイッチが入った。 「テチャアアアア!!シャアアアアア!」 「落ち着け。ここにそいつはいない。と言うか俺が殺した。」 「テチャアアア!テチャア…テ?今なんていったテチ?」 「だから俺が殺したって。」 「テ…テ…テッテレ〜♪」 「え?」 「ご主人様はすごいテチ!やっぱりご主人様は最強テチ。」 「とりあえず、その後お前はゴキブリに齧られたんだな?」 「そうテチ。アイツはワタチをジワジワと齧りだしたテチ! ムカつく奴テチ!今度会ったらしめてやるテチ!」 あれ?なんか急に態度がでかくなったぞ? 「ご主人様、ご主人様。」 「ん?」 「ご主人様のことをこれからママと呼んでもいいテチ?」 「なんで?」 「ご主人様はいつでもワタチのことを守ってくれるテチ。 美味しい御飯もくれるテチ。とても優しくしてくれるテチ。 ママと一緒テチ。」 「べつにお前の気が済むならいいけど。」 「ありがとうテチ、ママ♪」 「そんなことより、御飯食べないのか?」 「食べるテチ。お腹ペコペコテチ。」 俺はミドリを水槽に戻し、ミドリに餌を与えた。 ミドリはなぜかいつも以上に喜んで実装フードを頬張っていた。 ミドリも晩御飯を食べ終え、ミドリを風呂に入れようと脱衣所に連れて行くと 顔を赤くしながら 「ママ、あまり見ないで欲しいテチ。恥ずかしいテチ。(ポッ)」 と言ってきた。 その瞬間、何かものすごくドス黒い感情が俺の中に生まれたのを感じた。 その感情を抑えつつ、ミドリに体や頭を洗うように言った。 ミドリの風呂が終わった後、俺が風呂に入ろうとしたとき 「ママ、ワタチも一緒に入りたいテチ。」 と言ってきた。 『お前はさっき入ったばかりだろ』と思いながら、 許可すると、すごく嬉しそうに不思議な踊りを踊り始めた。 俺のMPでも奪うつもりか? 俺が裸になるとミドリは俺を見て、 「ママは立派テチ!」 何て言ってきやがった。 とりあえず実装石に褒められても嬉しくともなんともない。 ミドリは俺と同じ浴槽の中に入りたいと言ってきたが 実装石が入ったら溺れるのは目に見えている。 そこで桶にお湯を居れそこに入るように言うと嬉しそうに入った。 『そう言えば以前、こいつ桶の中で脱糞しやがったよな』 なんて思い出しながらチラッとミドリの方を見ると ミドリと目が合った。 「…ママのエッチテチ(ポッ)」 そう言って自分の胸と股間辺りを手で隠した。 その瞬間理解した。先程のドス黒い感情は「殺意」だって事が。 俺が思いっきりミドリを睨んでいると、 それに気づいたミドリが 「ママは野獣のような目つきをしているテチ。 ワタチ、ママに喰われちゃうテチ♪(ポッ)」 ミドリの火に油を注ぐような発言にもなんとか耐えて俺は風呂を出た。 部屋に戻ったおれはカメラのチェックを開始した。 予想通りミドリは俺が出かけた瞬間、金平糖を食べていた。 正直罰を与えるベキなんだが、今日は疲れたのでやめることにした。 どうせ、何で罰を与えられるのか分かっていないだろうし。 ベットで寝転びながら本を読んでいると、ミドリが俺と一緒に寝たいと言ってきた。 断固拒否したが、ミドリはなかなか引き下がらない。 仕方ないので適当な理由に「寝相が悪く、寝ている間にミドリを潰しかねない」と言ったら とても残念そうにしながら渋々引き下がった。 ミドリは「ママおやすみテチ」と言ってトボトボと水槽の方に向かっていったので ミドリを水槽に入れてやり、おやすみと言って蓋を閉めた。 俺もちょうどキリのいいところで読書を中断したので寝ることにした。 続く