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あああああああああああああ、うっせええええええ
死ねや、糞蟲ィィィィィ

うるさいのはこれから春の猫の交尾も夏のセミも同じだし
人間様でもDQNやおばさんの群れはうるさいもんだが
俺にはその中でも飛び抜けて実装石を許せない理由がある
公園で、コンビニの駐車場で、路地裏で
いつでもどこでもデスデース鳴くあの糞蟲は絶対に許さないよ…

そう思い立ったが吉日、俺は返り血防止のためにそろそろ捨てるつもりだった
ボロいレインコートを着込んで近所の公園へ向かった


さて、到着した俺をまずは遠巻きに注視する罪深き不細工生物たちだったが
襲いかかってこないとみると愛誤派とでも勘違いしたか
デスデスと薄汚く背中をもぞっとなぜられるような耳障りな声をあげながら近寄ってきた
これ以上あの声を聞かされていると不快感で気が狂ってきそうなのでイヤホンで耳の穴を塞いでリンガル・オン
最近のリンガルは便利なもので文字による表示以外にボカロよろしく人間の声っぽい変換をしてくれる機種もある
いつ聞いても桑山冬子ボイスはいいものだ
実装された運用ならぬ本物の翠星石もいるとしたらこんな声だろうか
この声なら語尾にデスがつこうとデースと伸びようとむかつかないんだがなあ
それはそれとして糞蟲の屑要求はむかつくが

さて、このままさくっと駆除するのが最短でこの世から不快糞蟲を消し去るルートなんだが
ただ死ぬ以外に精神的苦痛もなく逝かれてはこれまでの俺の聴覚への被害と釣り合わない
少しばかり上げてから地獄に突き落とすことで深く絶望してから逝ってもらうとするか

「ところで、実装石？」
「「「「「「「「「「「「「なんデス？」」」」」」」」」」」」
「君たちにいい提案がある」
「寿司デス？」「ステーキデス？」「コンペイトウデス？」
「提案なんてまどろっこしい言い方してる暇があったら早く全世界の姫で女王で女帝で女神たる私に相応しい宮殿に連れてくデース」

ちょっと話せば思い思いに勝手なことを言い出す糞蟲たち
おまけにあの不細工面と今は変換しててそう聞こえないけど生ゴミ声で言ってるんだから最悪である
どうせこちらの“提案”に乗せて処理するから持ち上げタイムのついでに聞いてやってるけど
飯、服、家、サービス、奴隷以外のつきあう側も楽しめるような面白要求は出てこないし即打ち切り
俺は今回の本題を切り出した

「君たちに禁止したいことがある」
「「「「デッ？」」」
「禁止デス？」
「何言ってやがるデス」
「こいつ嘘つきデスゥ！禁止っていうのはド下等で愚劣な奴隷ニンゲンにほどこすべきことデース！高貴な私に向けるべき概念ではなーいデース」
うぬぅ、やっぱり反発して中にはパンツに手を突っ込んで糞投げ準備してるやつまでいるので素早く続きを話す
「禁止と言っても良いことではなく悪いことだ…、デスを禁止する」

？

「…デスを禁止するデス？」
「そうデス、そうDEATH、デスの禁止」
どうにか糞投げを回避し、こちらの話に糞実装たちを誘導する

「念のために確認するけど、デスとは何かご存知で？」

「デスはデスに決まってるデス、聞くまでもないデス、無知ニンゲン」
あ、こいつわかってねえのをこっちに責任転嫁してるがトラップに支障はないからよし

「何言ってるデス、なんかひどいことデス？昔、ギャクタイハが何かしてきたときにデスデス言ってたの聞いたことあるデス」
へえ、よくそこから生き残れたね
「ひどいことなら禁止されたほうが得デス？」
「嫌なことなら禁止されてやっても別にかまわんデス」
うまいこと話が転がりだしたし、そろそろ頃合か

「お前らもまだまだデース、元飼いの私は知ってるデス！デスはニンゲンの言葉で死ぬってことデス」
おお、さっきから何か言うことが無意味に尊大なやつがいると思ったら元飼いだったか
「つまり、こいつは高貴な私に死ぬのを禁止して永遠の忠誠を尽くしに来たデス」
この元飼いのふざけた言葉でデス禁止に賛成の流れだった公園は満場一致で大賛成の空気となり
それどころか早くもデスを禁止されたあとのことを妄想して不細工面がさらににやけた群れを形成しだした
よく「不細工でもいつも笑顔なら〜」とか「笑顔での魅力増加は元が不細工な方が〜」とか言うけど
それも程度問題、にやにや笑われると余計むかつく面っているもんだなあ、ゴウリキとか実装石とか
おっとまだ我慢だ

「では、みなさん、デス禁止に賛成ということでよろしいですね？」
「「「「「「「「「「「「賛成デース」」」」」」」」」」」」

この瞬間、この公園の運命のルーレットはまわってしまった
もう少しでもあれこれ深く考えていれば
ずっと俺を注視していれば
「死」を回避できる個体もあったろうに

ぐにゃっ
「デギャッ！？」
ばきっ
「デ？」「デゴッ！！」
ずがっ
「デエエエエエエエエエエエエエエエエ！！！」

俺に蹴られ、踏まれ、そこらに落ちてた棒で叩かれ、12体ほどもいた公園の実装石は3分もたたずに全滅した

種明かしをしないのも面白くないので最後に残ったやつとはちょっと話してみた
「どういうことデス！？やっぱり、嘘つきデス？」
「俺はデスを禁止しただけだよ」
「嘘デズウウウウウ！お前は私たちに死ぬのを禁止したのに私たちを皆殺しにしたデザァァァァ１１！！」
「だから、デスを禁止したんだよ？ただ、デスを禁止しただけだ」
「デ？」
「確かに人間のある国の言葉ではデスというのは死という意味だけど、俺はその国の言葉だなんて言ってないし」
「デギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア！！！！」

こうして、近所の公園からデスデースうるさい糞蟲は駆除され、俺の耳は平和を取り戻した
まったく、あんな顔も不細工なら言動も不細工、何より声が醜く耳障りな生物が
俺の金剛やかわいい凸守みたいに語尾にデスデースつけて喋るなどあってはならない
さて、帰ったら今日こそレベルを上げきって金剛とけっこんかっこかりするぞー