タイトル:【虐】 某小説のインスパイヤもの。
ファイル:糞蟲蟲 後編.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:4177 レス数:2
初投稿日時:2006/08/07-22:50:08修正日時:2006/08/07-22:50:08
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「糞蟲蟲 後編」

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川の水辺に一匹の実装石がいた。
あの妊婦実装だ。
彼女は蟲に感染していた。
子供のためを思ってやった同属食いが、彼女の運命を決めてしまった。
彼女の体は段階三に至っており、既に大きく変形していた。
手足はしぼみ、もはや移動は不可能だった。

だが、彼女には希望があった。
彼女の腹の中で息づく命である。
胎動を繰り返していた為、自分の子供たちは生きているという確信があったのだ。

彼女の家はこの近辺にあった。
無防備な妊娠期間中に敵に襲われないため、あらかじめ離れた場所に家を構えていたのだ。
そのため、蟲たちの命令によりフェロモンを発しても、それをキャッチする実装石はいなかった。
自分の体に異変を感じた彼女は、何とか体が動くうちに水辺へと向かった。
浅い水辺に、足と腰を浸からせた状態で彼女は動けなくなった。
仰向けになりながら、ゆっくりと死を迎える。

適度の深さと流れの水辺。
仔が生まれ、彼女が粘膜を舐めとってやれなくとも、川の水が仔たちの粘膜を洗い流してくれるはずだった。
この深さなら、子供たちでも溺れる事は無いだろう。
「デッデロゲー♪」と子守唄を歌ってやりたかったが、昨日から声さえも出なくなっていた。
声帯を蟲に食われたのだ。
喉の奥で、何かがモゾモゾと動く感触だけがあった。
情けなくなり、妊婦実装は涙を流した。

『デ!? デデデ!』

そのとき、陣痛が始まった。
腹が激しく動き、総排泄口から何かが飛び出そうとしている。
妊婦実装は最後の力を振り絞り、必死に子供たちを産もうとしていた。
「テッテレー♪」という元気な産声を聞けたなら、いつ死んでも悔いは無かった。


ボチャッ ボチャボチャ・・・


何かが水に落ちる音がした。
ぼんやりとした意識のまま、妊婦実装は恐る恐る自分の股間を見た。
そこには三匹の仔実装と、一匹の蛆実装がいた。
粘膜は水で流され、溺れる心配もなさそうだ。
妊婦実装は母実装となれたのだ。

『さあ、元気な産声を聞かせるデス・・・!』

子供たちは元気よく両手を挙げ、「テッテレー♪」という産声を上げるかのように思われた。
だが、母実装の期待に反し、仔実装たちは押し黙ったままだった。
元気よく両手を挙げようとするものの、すぐに降ろしてしまい、また両手を挙げようとしては降ろすの繰り返しだった。
まるで体操をしているかのようだった。

『な、何をやっているデス!?』

妊婦実装がわずかな恐怖を感じたとき、仔実装の一匹が母実装の顔を見た。
正面から向き合うことで、母実装は初めて仔実装の異変に気付いた。
仔実装の顔には無数の隆起があり、それらはウネウネと蠢いていた。
仔実装たちは、母の胎内で既に蟲に感染していたのだ。

生まれ来る仔実装のために、母から供給されていた豊富な栄養素。
それらは、仔実装の体にもぐりこんだ蟲たちに横取りされていた。
仔実装たちは体操をしていたのではない。
体内で無数に蠢く蟲たちに自由を奪われ、元気よく両手を挙げ、産声を上げる自由さえなかったのだ。

カクカクと奇妙な動きをする仔実装たち。
やがて全員の顔が見えたが、母のわずかな希望をあざ笑うかのように、全員の顔の中で蟲たちが蠢いていた。
仔実装の虚ろな表情からは知性が窺えない。
蟲に栄養を奪われていた為、脳がまともに成熟していないのだ。
そして、仔実装たちが動きを止めた次の瞬間、

「テッTeヂェボオォオウウウァアアアア!!!!」

「テッ・・・てベーッ!♪? テッデベェエエエ!」

仔実装たちが短い生涯で唯一発した言葉。
それは産声と断末魔を兼ねていた。
仔実装たちの口から、鼻から、耳から、総排泄口から、仔実装の体液と共に蟲があふれ出てきたのである。

呆然とそれを見つめる母実装。
やがて、仔実装たちの目や皮膚をも突き破り、そこからも蟲が飛び出てきた。
蟲で構成された涙が、仔実装たちの絶望を表しているようだった。
仔実装たちは立ったまま絶命し、もはや蟲を垂れ流すだけのオブジェとなっていた。
そして、それは蛆実装も同様だった。
仔実装たちが母の胎内から出てしまったため、蟲たちは急激な環境の変化に驚き、
仔実装たちの体内を突き破って飛び出してしまったのだ。

蟲たちを溢れさせながら、一瞬で全滅した希望=仔実装たち。
苦労して産んだ子供たちは、化け物たちの住処になっていたのだ。
その上、母実装は自らの体内に潜む化け物の正体と、自分の末路を悟ったのだ。
その衝撃は、本来ならば偽石の崩壊を招いてもおかしくなかった。

「デププ・・・これは何デス? こんなのワタシの仔じゃないデス。蛆実装から蛆が出てくるなんて、きっついギャグデス。」

ピシピシとひび割れ始める偽石。
だが、脳内に侵入した蟲がその危機をキャッチした。
快楽中枢を刺激し、母実装に凄まじい快楽を送る。
母実装は、仔の死体の前で何度も絶頂に達した。
蟲に汚染された愛液が、仔の死体にふりかかる。

「デピッ! デピッ♪ 子供たちが死んでるのに・・デピッ!・・なんで気持ちいいデスゥ?」

ストレスは快楽に打ち消され、偽石は崩壊を免れた。
母実装は死ぬ自由さえ奪われ、体内を蟲に食い尽くされるまで生き続けるのだ。
目の前で腐敗していく子供たちの死体を見ながら。

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元・飼い実装のララにも、蟲の症状が現れていた。
ダンボールハウスの中、萎んだ手足を放り出して寝たきりになっていた。

だが、ララの病状の進行は比較的抑えられていた。
三匹の仔実装が、力をあわせてララを看病していたからである。
餌を運び、糞の処理もし、敵を追い払い、医療行為さえも行なっていた。
仔実装が自分たちの食事を減らしてまでララに食事を与えていたのは、この上なく皮肉な光景だった。

「お前たち・・・すまないデスゥ・・・。」

「何を言ってるテチ! ママを守らずに何が仔テチ!」

「そうテチ。飼い実装になるときはみんな一緒テチ。」

「そろそろ治療を始めるテチ。」

「デス・・・。よろしく頼むデス。」

どこからか拾ってきたのか、仔実装たちはカッターナイフと爪楊枝を持っていた。
力をあわせてカッターナイフを操り、ララのわき腹の皮膚を切除する。

「デ・・・デ・・・・!」

あふれ出る血。
切り裂かれる皮と肉。
ララは歯を食いしばってそれに耐えた。

「チュア!」

「デゥ!」

仔実装がカッターナイフを振りぬくと、切断された皮膚が剥がれ落ち、赤い肉片が露出した。
わき腹の肉の中には蟲が蠢いていた。
仔実装たちは爪楊枝を手に取り、一匹ずつ蟲を取っていく。

仔実装たちは蟲の存在に気付いていたのだ。
もちろん、糞便の中に蟲が混じっているのも知っている。
コンビニ袋を裂いて独自の防護服を作り、蟲に触れないようにして母の看病を続けていたのだ。
仔実装にしては、奇跡的な知能の高さであろう。

だが、所詮は仔実装の所業。
駆除できるのは、表層に寄生した蟲でしかない。
内部まで蝕まれていると気付いても、仔実装にはどうしようもないのだ。


「オネエチャン、蟲が増えてるテチ・・・ここは三日前にも治療したはずテチ。」

「それがどうしたテチ? ワタチたちはママを守るだけテチ。」

「ニンゲンさんなら・・・きっとママを助けられるテチ・・・。」

「ママは同属の肉を食べた罰があたったのデス・・・。お前たち、ママから離れて別な家を作るデス・・・。」

「何を・・・!」

長女が母の弱気に抗議しようとしたとき、一家を大きな影が覆った。
上を見れば、白い防護服を着た人間たちが覗き込んでいた。

「お医者さん・・・デス?」

ララは思わず口にした。
白い服を着た人間。
それは、飼い実装時代に主人から教わった、医者という人間の服装に似ていた。

「オイシャさんテチ!?」

「あの、病気を治してくれるニンゲンさんテチ!?」

「ママを助けに来てくれたテチ!」

医者の存在は仔実装たちも知っていた。
ララから人間についても教わっていたからだ。

人間たちは、ララと子供たちを厚紙で出来た箱の中に入れて密閉すると、トラックの背後に載せた。
箱の中には他にも野良実装が入っていた。
程度の差はあれ、彼女たちもララと同じ病に冒されているようだった。
仔実装たちは、彼女たちに触れないように気をつけることにした。
トラックには似たような箱がいっぱいあり、その中には公園中の野良実装が入っているはずだった。
公園の全ての野良実装を回収すると、トラックはある施設に向けて走り始めた。

「ママ・・・もうすぐ助かるテチ・・・。」

「最後まで諦めないで良かったデス・・・。」

「ニンゲンさん、ついでに飼ってくれると嬉しいテチ。」

真っ暗な箱の中で幸せな未来を語り合う親子。
肉体と精神の疲労が、勝手に幸せな未来を描かせていた。

やがて、トラックは目的地に到着した。
野良実装たちの入った箱を降ろし、次々とある空間の中へ放り込んでいく。
ララたちの箱も乱暴に投げ入れられた。
床に落ちた衝撃で、箱の中も激しく揺れた。

「テチッ!」

「もっと丁寧に扱うテチ! こっちには病人がいるテチ!」

必死に抗議する仔実装たち。
だが、その抗議は人間に届いていなかった。
箱の外では、次々と野良実装入りの箱が投げ込まれているようだった。

箱を投げ入れる音が止むと、ギィイイという嫌な音がした。
まるで、思い鉄の扉が閉まるような。
音が止んでしばらく経つと、ララたちは周りの温度が上がり始めている事に気付いた。

「・・・何か熱くないデス?」

「に、ニンゲンさんの治療に違いないテチ。」

「でも、何で健康なワタチたちまで治療するテチ?」


ボッ

そのとき、ララたちの箱の一角から炎が上がった。
燃え上がった炎は一匹の仔実装の髪に引火し、チリチリと燃え始めた。


「テチ?」

「テ?」

「テェ?」

「デ?」

一瞬、親子は何が起こったのか理解できなかった。
やがて、箱の至る所から火の手が上がり始めた。
箱の外からも、野良実装たちの大きな悲鳴が聞こえてくる。
どうやら、箱の外は大きな炎に包まれているらしい。
ララたちは、生きたまま焼却炉の中に投げ込まれたのだ。

「ヂィチャアアア!! アチュ!アチュ! ママァ! ママァアアア!!!」

「やめるデス! この仔たちは健康なんデスゥ!! 火傷の跡が残ったらニンゲンサンに飼われないデスゥ!」

ララの願いもむなしく、炎は勢いを増すばかりだった。
炎は他の仔実装にも引火し、寝たきりのララの体も燃え始めた。
ララの熱心な教育も、仔実装たちの必死な看病も、全てが無駄だったのだ。

「チュアアアァアアアアア!!!」

「マァマ! マァマァアアアア!!!」

絶叫しながら悶える仔実装たち。
体が小さい分、仔実装たちの方が死ぬのも早いであろう。
やがて仔実装たちの声は途絶え、炎が死体の脂肪分に引火した。
焼け落ちていく死体は、まるで黒い人形が踊っているかのように見えた。
蟲に感染していない仔実装たちが先に死ぬとは、誰もが想像だにしていなかった。

『何もかも失ったデス・・・。もう、さっさと楽になってしまうデス・・・。』

全ての希望を失ったララは、ゆっくりと目を閉じた。
あふれ出た涙も、一瞬で蒸発してしまう。
どうせ死ぬのだ。
それならば、せめて早く死にたいというのが最後の願いだった。





・・・


・・・・


・・・・・


・・・・・・


・・・・・・・





『デ!? 何でワタシは死なないデス!?』



目を閉じて数分の時間が経ったとき、ララは自分がなかなか「死なない」、
いや、「死ねない」という事実に気付いた。
脳に侵入した蟲が偽石をフル稼働させ、再生能力を驚異的にアップさせていたのだ。
体は炎に焼かれながらも、それと同等のスピードで再生していた。
もちろん、それは宿主を思いやっての事ではない。
住居兼食料を失っては、蟲たちも死んでしまうからだ。
蟲たちは熱せられた外皮から少しでも離れようとし、宿主の体の奥へと肉を食い破りながら進んでいった。

ララは体の外部は炎で熱せられながら、内部を蟲に食われ続けるという二重の苦しみを味わっているのだ。
楽に死ぬ事さえも許されずに。

「デ・・・・デベ・・・・」

ララの器官と肺に熱い空気が入ってきた。
呼吸さえままならならず、空気の代わりに炎と黒い炭が入ってくる。
炭は、かつて仔の体を形成していたものだ。
仔の遺体が焼け落ち、炭と化すほどの時間が経っても、ララはまだ生きていた。
偽石が力を失い、ララが蟲ごと完全焼殺されるまで、まだ十分ほどの余裕があった。

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蟲の存在は隠し続けられる事になった。
パニックの防止という従来の理由に加え、蟲は人為的なテロだったいう事実を晒したくなかったからだ。
幸い、博士が母爆弾をばら撒いた地域はほぼ特定され、人々に気付かれぬままの限定的な駆除も可能であった。

念には念を入れることにした。
体内の蟲を殺害する薬入りのコンペイトウだ。
それは大量生産され、あらゆる形で各地にばら撒かれた。
仮に蟲に感染していたとしても、感染初期の段階なら、実装石の体内の蟲を完全に殺せるであろう。

蟲に感染した実装石は、徐々に見られなくなっていった。
母爆弾をばら撒かれた公園の野良実装は完全に根絶され、
付近の野良実装を捕らえてみても、彼女たちの体は健康そのものだった。
人々は蟲の存在に気付くことなく、蟲はこの世から完全に駆除されると思われた。


「うーん。」

双葉博士を取り調べた捜査官は唸っていた。

「どうした?」

事情を知る上司が問う。

「あの人、あんまり悔しそうじゃなかったですよね。逮捕されたときも、取調べ中も。」

「そう言われればそうだな。実装石の根絶には程遠く、志半ばで捕まっちゃったのにな。」


現実として、博士が母爆弾をばら撒いた地域の集中駆除は進み、蟲に感染した実装石は徐々に確認されなくなっている。
数千匹の実装石が殺されたであろうが、博士が望んだのはその程度の結果なのであろうか。


「大体、母爆弾の実装石を各地にばら撒いても、おじさん一人じゃ限度ってものがありますよね。」

「所詮は机の上だけの頭脳なんだよ。あるいは既に狂っていたか。」

「それもそうですね。」

二人はハハハと笑い始めた。
双葉博士の真の切り札に気付くことなく。
博士の頭脳は机の上以外でも冴え渡り、まして狂ってなどいなかったのである。

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博士の友人のマスコミ関係者に、ある日突然博士から小包が届いた。
もちろん、彼は蟲の存在など知らなかった。
逮捕されたはずの博士から、蟲の資料が入った小包を受け取った知人は驚いた。
発送日を見ると、それは博士が逮捕される直前の日付だった。
わざわざ数ヵ月後に届くように頼んでいるようだった。

逮捕が近いと感じていた博士は、予め知り合いのマスコミ関係者に蟲の情報をリークしておいたのだ。
自分が捕まった後も、誰かが蟲の恐怖を広めるように。
逮捕される前にマスコミに情報を流してしまっては、もちろんそこで博士は止められてしまう。
逮捕される前に、博士はできるだけ母爆弾をばら撒き、被害を拡大させたかったのだ。

マスコミは蟲を大々的に報道しはじめた。
蟲に感染した実装石の内部の写真を映したり、
本当に人間に感染しないのかという主張を垂れ流したりし、人々の恐怖を煽った。


人々は大きな衝撃を受けた。
国も蟲の情報を隠しきれなくなり、博士の供述をもとに、全国に蟲と蟲による被害が大きく報道された。
人々の恐怖の増大に比例するように、博士が蟲をばら撒いた公園付近では、今まで以上の大規模な駆除が行なわれた。


蟲が人々や他の動物に転移した様子は確認されず、実装石以外の生物には直接の被害は及ばなかった。
だが、人々の間には恐怖という感情が流行っていた。
BSEやO157といった話題に敏感に反応する日本人である。
人型の生物=実装石の体内で繁殖する蟲には、すさまじい拒否反応を示した。


全国各地で飼い実装の廃棄が相次いだ。
実装石を処分する保健所はフル稼働し、予約さえ入る異常事態だった。
保健所がいっぱいの場合には、自らの手で処分する世帯もあった。


「デェエ!! トモエちゃん、何でワタシをゴミ袋に入れるデス!? 早く出してデスゥ!」

「うるさい! このバイキン糞蟲! パパ、早くこいつを片付けてよ!」

「わかってるよ巴。おい、細胞の一欠けらも残さずに死ぬんだぞ? 飼い主としての最後の命令だ。」


つい先日まで飼い実装だったこの実装石は、持っていた服や生活用具ごとゴミ袋に入れられた。
そのまま焼却炉に入れられ、生きたまま焼殺されるのだ。
もちろん、この実装石は健康そのものである。
優しかった人間に殺されていく飼い実装たち。
その恐怖と絶望はいかほどのものであったであろう。


各地の自治体も大忙しだった。
「実装石を皆殺しにしろ!」という市民からの苦情が殺到していたのだ。
だが、役所の人間だけでそんなことができるはずもない。
苛立った一市民たちは自分なりの防護服を身につけ、町中の実装石を皆殺しにしていった。


数メートル四方の実装石を探知する実装センサーは飛ぶように売れた。
実装石を一匹残らず殺す為だ。
センサーにより発見された実装石たちは、鈍器、刃物、コロリなどで次々と殺されていった。
ゴミ捨て場やコンビニのゴミ箱の周りには、絶えず武装した監視員がつき、近寄る実装石を虐殺していった。
また、公園の水道は針金できつく封印され、公衆トイレも使えなくなった。
貴重な餌場、水場、出産場を失った実装石たちは、次々と数を減らしていった。
実装石たちの死体は炎に焼かれた。


実装石関連のグッズを製造している会社、あるいは実装ショップなどは深刻な被害を被った。
各社で売り上げが5割から8割ほどダウンし、倒産する会社も続出した。
倒産した実装ショップは、売れなくなった実装石たちを泣く泣く処分した。
彼女たちは、飼い実装としての過酷な教育の意味も無く死んでいった。
感染の恐怖に怯えた人々が外出を控えた為、消費もダウンし、社会不安と相俟って、経済にも影響が出始めた。
実装石により経済面にまで被害を被った人間たちは、怒りに任せてさらに実装石を狩るようになった。


人々は実装石の駆除を止めなかった。
一度植えつけられた恐怖は、簡単には消し去れなかったのだ。



これが博士の本当の狙いだった。
元より、博士は蟲そのものによる実装石根絶など狙っていなかった。
蟲による直接の被害は少数でいい。
実装石がショッキングな死に方をし、その恐怖が人々に知れわたることが大事だった。
パニックに陥った人々は、やがて全国で実装石を殺し始める。
その効果は、定期駆除や大量虐殺などを遥かに圧倒する。

本当の生物兵器は、蟲に対する人々の恐怖だったのだ。
全国各地で実装石が殺され続け、日本国内の実装石は最盛期の二割ほどしか存在しなくなった。
そのニュースは世界中に知れ渡り、海外でも実装石の処分が相次いだ。
それは、歴史上類を見ない数の被害者を生んだ虐殺だった。


                                終
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物語の穴や、分かりにくい部分が多いかもしれません。
もしそうならすいません。


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1 Re: Name:匿名石 2019/05/13-05:39:18 No:00005962[申告]
長文だが寄生蟲の描写がとにかくグロテスクで目が離せなくなってしまった
モデルになった寄生虫でもいるのかと調べたがキモ過ぎて断念した
2 Re: Name:匿名石 2019/05/13-19:30:54 No:00005963[申告]
>モデルになった寄生虫でもいるのかと
おそらくは「天使の囀り」というホラー小説ではないかと思われ
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