モツ実装 ある日、山実装が絶滅した。そして間もなく郷実装が絶滅。 腐肉の山と化していたコロニーを調査した保健所の見解では、彼女達は全て絶望による偽石崩壊が原因で死んだ、との事だった。 保健所の職員達は分かっていた。実装石は元々人間に可愛がられることを至上の目的としている。 身の安全を守るためとはいえ、彼女たちが人間から離れて生活することにどだい無理があったのだと。 どんなに家族が増えようと、どんなに安全な生活を手に入れようと、人間にかまってもらえないために、知らず知らずのうちに 偽石が多大なストレスを受けていたのだった。 不思議生物として一世を風靡した実装石。だが、もはや人気は完全に過去のものとなっていた。 人々は実装石自体に飽き、興味をうしなっていたのだ。少数の粘着質な愛護派以外、実装石にかまう者はいなくなっていた。 虐待派にしても、虐待をやりつくし、今更実装石ごとき虫けらに時間を割く必要が無いと感じるようになっていた。 実装石側も、人間に気に入られようと、徹底した糞虫間引きと教育を行ったが、効果は無かった。 公園には、石生に絶望した賢い実装石達(多少の糞虫はいたが)が、ひっそりと暮らしていた。 デエエエエスゥーーー!!!(パキン!)散歩する人間の親子に、実装親子はひたすら媚を売り続けた。しかし全く相手にされず、癇癪を起こし糞を投げつけようとした瞬間、 仔実装を踏み潰された。実装はのろまだ。糞の投擲を始めるまでに10秒近くの時間を要する。 そして体を踏まれればあっけなく潰れて死ぬ。まあ、もし糞を投げることが出来ても、30センチメートル程度の射程しかないのだが。 チュヴォオオオ!!(グッチャ!!!)仕事をサボってベンチで寝ているサラリーマンに媚びていた仔実装姉妹が、蹴り殺された。 だが虐待とは違っていた。サラリーマンはロクに仔実装を見ることもせず、砂を払う程度の感覚で、好奇心に溢れる仔達を地面のシミに変えた。 ここ数年、実装石はひたすら人間に無視され続けていた。春になって数が増えても、役所による数分間の実装バルサン散布により、あっけなく壊滅した。 このままでは都市部の実装石の総偽石崩壊も近い状態であった。 おれはとしあき。数少ない虐待派コミュニティーの一員だ。このままじゃ実装は全滅しちまう。ということで、もう一度、みんなに実装石に注目してもらって、 実装石どもに希望を与えてやらなければならない・・・。 公園のダンボールハウスで身を寄せ合って眠る実装親子。やつれているな。人間にかまってもらえないと、こうもストレスを感じるのが実装石なのだ。 仔が五匹か。入手困難となったリンガルを起動し、まずは一匹をつまんで取り出す。 ・・テチィ〜? なんテチママァ・・・!!!に、ニンゲンサンテチ!何か御用テチ!? 無言で腹を、握る。チュヴォオオオオオ・・!!!!盛大にパンコンしながら血涙を流し、 口からきれいなピンク色のモツを吐き出した。おっと耳から脳みそも垂れてきたか。これでいい。 死ぬ直前で、箱に戻してやる。 ゲボオオオオ!!テジャアアウオオオ・・・!全ての仔実装をモツ吐き実装・・・モツ実装にする。虐待派仲間も同様の事を公園中で行っているはずだ。 親実装が血のにおいで目を覚ます。デスゥ・・?デ!!デジャアア!!!ワタシの可愛い仔達がああ!!!なんて事するデスウウ!! モツ実装となり何のリアクションも 取る事ができずに苦しむだけの我が仔達に駆け寄る親実装。 虐待派なんてまだいたんデス!?ニンゲンサンはワタシタチに興味が無くなったと思ってたデス! 血涙を流しながら も、久々に人間にかまってもらってニヤケている。やはりこいつらにとっては、虐待されることも立派なコミュニケーションなのだ。俺は優しく親実装に話しかける。 今からお前もモツ実装にする。死ぬほど苦しいだろう。雑菌が入るし、モツが日に焼けて再生もしなくなる。でも、実装石に無関心な人間も、お前らに注目してくれるぞ。 デ!?モツ!?そんなことしたら死んじゃうデス! 説得を続ける俺。このままじゃ、実装石が全滅しちまうのは偽石の能力で分かってるはずだぞ。モツを引きずって歩けば 誰だって驚く。お前らに注目するぞ。 ・・・で、デも・・・ ドム!!親実装の腹を押す俺。こいつらは脆いから、強く殴ったりしたら簡単に完全死しちまうからな。隠れ愛護スクなら 知らんが・・・ デヴォオオオオオオオ!!!!!!ウオエエエエエエエエゲエエエエエ!!!!オップエウエウエウ・・・・・ ビチャビチャビチャ!!!! モツ実装親子の出来上がりだ。 翌日、公園には異様な光景が広がっていた。口から大量をモツを吐き出した50匹ほどの実装石たちが、オエフビチャフと苦悶の表情を浮かべ亡霊のように歩き回っていたのだ。 手にはこれまた紫色に変色したモツを口からぶら下げた仔実装をかかえて。 どの実装石も、目は空ろで、傍目には知性が残っているようには見えなかった。 いつものように人間の親子が散歩をしに公園に足を踏み入れた。その瞬間 キャアアアアアアアアアアアア!!!!ウエーーーン!!! 絶叫。 仕事をサボりに来たサラリーマンも うお・・・!!! 硬直。 この瞬間、人々は実装石達を凝視していた。気持ち悪すぎる光景。無視など出来ない。 そして実装石達も、薄れ行く意識の中で、その視線を感じていた。 に・・・ニンゲンサンがワタシタチを見てるデウオエエ・・・!ブチャブリョリョ(苦痛で継続的にパンコン) テ・・・テチュ・・無視されないテヴォウオェ!ビチョビッチャ(モツが更に出た) 多くの実装石達が死んだ。だがこの満足げな表情を見てほしい。 彼女達は心から幸せだったのだ。 最近は虐待が減ってきましたね。実装石ちゃんに対しては、虐待で愛を表現するものと思っています。 それではみなさん良いお年を。
1 Re: Name:匿名石 2024/03/16-00:59:48 No:00008909[申告] |
この「山実装は所詮野生動物の真似事してる人形モドキだから全滅するしかない」って冒頭のショッキングさがなんとも印象に残る
実装石の行く末系のスクはどれも独特の寂寥感があって好きデス |