タイトル:【観察?】 奈落
ファイル:奈落.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3872 レス数:1
初投稿日時:2009/01/28-17:40:45修正日時:2009/01/28-17:40:45
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奈落


ある田舎の道の駅、ここの公衆便所は売店などの棟と別棟でつくられている。
そんな公衆便所にある一匹の実装石が重たいおなかをゆすりつつ走りこんできた。
両目の色を見ると出産間近の個体である様子である。


「デ〜 ここならニンゲンさんも同族もいなさそうデス」

便所棟へ来るまでとはうってかわって慎重に、棟内に人間や同族食いの輩がいないことを確かめる実装石。
時刻は夕方である。山間部に程近いこの道の駅は売店が閉まると人気がほとんどなくなる。
ひととおり問題がなさそうであることを確認すると、実装石は便所に入りこんだ。

「ここはちょっと傾斜があるデスが、でも奥の水たまりが浅くて生まれた仔がおぼれにくそうデス よい水場デス〜」

便器の確認が終わると実装石は服を脱ぎ便器に収まった。

「デッデロゲ〜 デッデロゲ〜 健康で素直でよい子は生まれてくるデス〜 悪い子は生まれなくてよいデス〜」

出産の歌を歌う実装石。やがて・・・・


チャポン テッテレ〜

最初の仔が産み落とされると、母実装は丹念に粘膜を舐め取った。

「テ〜 はじめましてテチ、ママ これからよろしくお願いしますテチ」

出産の歌の効果かどうかは不明だが、賢そうな受け答えをする仔実装。一般的な仔実装より小さめである。

「はじめまして愛しい我が子 ママこそよろしくデス〜」

母実装も答えを返す。
この受け答えや便器に入る前に脱いだ服をきちんとたたんでいるところを見ると、母実装もそれなりに賢いようだ。
脱いだ服の襟首をよく見ると、擦れて読み辛くはなっているものの「リョク」とマジックで書かれている。
飼実装用に品種改良されているのであろうか、母実装の体型は野生種より幾分小さく、そのために生まれた仔も小さいようだ。

「ここに置いて行かれたときはどうなるかと思ったデスが、なんとか無事に出産できそうデス〜」

感慨深げにつぶやく母実装。台詞のとおり、元飼の彼女は数日前に妊娠を機にこの道の駅に捨てられたのであった。

「ママ? どうしたテチ??」
「なんでもないデス さあさ、他の姉妹が生まれるまでオマエはここで体を洗っておくデス」
「はいテチ」

長女を便器奥の浅い水場へおろすと、母実装は次の仔の出産に入った。


テッテレー

「ママ オネチャ 今日からよろしくお願いしますテチ」
「よろしくテチ イモウトチャ」
「よろしくデス、次女ちゃん 長女ちゃんといっしょに待っていてほしいデス」
「わかったテチ」

次女も長女程度に小さいので、水溜に2匹入ってもある程度余裕があるようだ。
長女と一緒にテチテチテチテチと残った粘膜を洗い落している。
その様子に安心した母実装。最後の1匹を生み出そうと力をいれた。


テッテレー

前述したように長女・次女は生粋の野生種より小ぶりであったが、最後に生まれ出た三女はさらに小さかった。
もう少し小さければ親指実装に区分されるであろうサイズである。
こういった体格に恵まれない個体は野生では迫害の対象となったり非常食扱いされたりするが、
元飼実装である母とその腹中で育った長女・次女にはかわいい妹にしか映らなかった。

「ママ 上のオネチャ 下のオネチャ よろしくお願いしますレチ」
「よろしくデス 三女ちゃん」「よろしくテチ 下のイモウトチャ」「よろしくテチ イモウトチャ」

互いに挨拶をする親子。生まれた子供3匹すべてがそれなりに賢いという非常にレアなケースといえよう。



「さ、お水でキレイキレイしたらおうちに行くデス」

そう言って三女を洗おうとした母実装に長女と次女が言った。

「下のイモウトチャは小さいからワタチが持ってお水に入れるテチ その間に上のイモウトチャがキレイキレイにするテチ」
「わかったテチ おまかせテチ!」

長女・次女の申し出に感動する母実装

「オネエチャたち、ありがとうレチ〜」

三女も素直にお礼を言っている。

「オマエたちはなんて良い子なのデス ママは涙がちょちょぎれるデス」
「ママ 台詞回しが古いテチ」
「このままじゃ寒いテチ 早くキレイキレイにしてオウチに行きたいテチ」
「すまんデス〜 じゃあお願いするデス オマエたちがよい子でママはこの先の生活に一条の光が射した気がするデス」
「微妙に難しい言葉レチ、ママは賢いレチ〜 賢いママの子でやさしいオネエチャたちの妹で、ワタチもうれしいレチ〜」


そんな会話をしながら母実装が三女を長女に手渡し、・・・そして手を離したとたんであった。

「デ?!」「テチャアァァァ?!」「テチィィィ!!」「レチャアァァア!」

仔実装3匹が感じたのは一瞬の浮遊感、そして落下。
3匹のいた水場の底が抜け、3匹ともども暗い穴底へ放り込まれたのだった。


下水が通っていない地区などで見られる簡易水洗。
これは便器内にある程度水がたまっており、便なり水なりで荷重がかかると底蓋が開いて、たまっていた水もろとも下の便槽へ汚物を流すという仕組みになっている。
2匹までの荷重には耐えた底蓋であったが、3匹目で奈落への窯底を開いたのであった。


「テ〜!暗いテチ〜! くさいテチ〜!!」
「お。おぼれるテチィ!! ママ〜!助けてテチ〜!!!」
「レェェエェ、オネエチャたち、ママ、助けてレチィィィ!!がぼごぼうげえfのあ」
「オ、オマエたち、今助けるデス!」

閉まりかける底蓋の奥からか細く聞こえる愛仔の声。あわてて母実装は底蓋を押し下げて腕をつっこんだ。

「デデェ、オマエたち何所デスゥ!ママの腕が見えたら掴まるデス!!」

しかし便槽までの距離は到底実装石の短い腕では届かない。

「テ〜 ママの腕なんて見えないテチ 真っ暗テチ〜!」
「はやく助けるテチ〜!このうすのろ極太汚染クッション!!」
「・・・・・レチィ(パキン)」

突然のことに右往左往する長女、糞蟲性格を露呈する次女。そして汚物に埋まりパキンする三女。
そして母実装は・・・・

「そうデス!縄のようなものを使えば届くかもデス!オマエたち、ちょっと待っているデス!すぐにママが縄を持ってきて・・・・
デデェッ!う、腕が抜けないデス!!」

底蓋を押し下げて無理に腕をつっこんだため、蓋が返しとなって母実装の腕をがっちりと噛んでいたのだった。

「デ〜スデスデス!デデェエ〜!!」「テチ〜、テチィ!テチッ!!」「テェ〜 テ、テチィ!!」「・・・・・」

すっかり暗くなった田舎の道の駅。通る車もまばらであり、止まって休憩する人はさらに稀である。
人の気配のない便所で実装石の声が無駄に響いていた。




「さて、掃除するか・・・って、うわ、くさ!!」
翌朝、清掃職員が便所棟へ入ると何とも言えない匂いが充満していた。
強制換気を行いつつ清掃職員が例の個室を開くと・・・そこには自身の緑色の汚物を取れかけた腕で大事そうに掻き抱く、一匹の裸の実装石の姿があった。

「デッデロゲ〜 長女ちゃんも次女ちゃんも三女ちゃんもみんないい子デス〜 おとなしくっていい子デス〜 デプププププ・・・」














あ〜 何か無駄に長くなってしまいました。
読み辛いかもしれません。。。
仔実装が小さい小さいと文中で繰り返していますが、あまり大きいと管内で詰まりそうだからだったりします。


蟲生門作者

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1 Re: Name:匿名石 2025/03/11-05:10:13 No:00009558[申告]
そういえばそんな仕組みの便器を見たことがある。自分の記憶が確かなら、特急列車の中だったような。
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