タイトル:【虐】 ガラス越し実装
ファイル:ガラス越し実装.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:7562 レス数:1
初投稿日時:2008/08/12-02:03:59修正日時:2008/08/12-02:03:59
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ここは某駅前の広場
ロータリーに囲まれる形で噴水やベンチが設置されたこの場所は
平日休日を問わず多数の人間が訪れる

今日はそのど真ん中に位置する目立つ場所に、ガラス張りの大きな箱が置いてあった

立方体の箱の中には、数匹の実装石達がいる
皆清潔な身なりをしており毛ヅヤも良く利発そうな綺麗な目をしている

どうしてこんな状況が出来上がっているかというと
時間はさかのぼり箱が設置される数分前

この実装達は駅のそばのビルの中で一人の男から説明を受けていた
命ぜられなくともきちんと並んで立って静かに耳を傾けており、うるさく鳴き声を立てたり
媚を売ったり餌をねだったりするような者はいない

飼いやショップの高級実装等混じっているが
ここに集められたのはすべて飼い用としてみっちり躾を叩き込まれなおかつ
歌や踊りやお手伝いなどプラスアルファのスキルを身につけている優秀な個体ばかりなのである

「…というわけで、君達は厳しい躾を乗り越えた立派な実装ちゃんたちです
 君達のような実装ちゃんをもっと世間の人達に見てもらって実装ちゃんの良さを知ってもらおうと
 いうのが今回の企画です
 これから人がたくさんいる場所で君達に頑張って覚えた特技を見せてもらいます」

みんな真面目に聞いているが、うち何匹かは不安そうな顔をしている
警戒心の強い個体なのだろう、たくさんの人間がいるところに実装が行く事の危険さを知っているのだ
それを見越したかのように男がにっこり笑ってガラスの箱を指差す

「実装ちゃんを虐めようとする悪い人がいても大丈夫なようにこの箱に入ってもらいます
 この箱は丈夫だからちょっと叩いたり石を投げたくらいじゃ壊れません
 安心してみんなの可愛さ、お利口さをアピールして下さいね」
「「「はいデス!」」」テチ!」」」
可愛い、お利口と普通の実装石なら月まで舞い上がりそうな言葉にも増長することなく
ペコリと頭を下げて元気良く返事をする優良実装たち

「なお、一番人気のあった子にはこのトロフィーをあげます」
そう言って男は実装石の背丈ほどあるトロフィーを掲げた。実装カラーである緑色のトロフィーの頂には
キラキラ光る銀色の金平糖のオブジェがあしらわれている
「飼いの子は飼い主さんも喜ぶこと間違いなし、ショップの子もこのトロフィーを持っていれば
 皆が自分の家の子として飼いたがると思いますよ」
「綺麗デスー、あれを貰えたらご主人様きっと喜ぶデスー」「すごいテチ!ワタチ頑張るテチ!」

ワタシに相応しいデスゥ、デププなどとぬかす者はいない、キャッキャウフフとあくまでも騒がしくない程度に
上品に盛り上がる実装達。その優良ぶりに男も目を細める

「では、みんな頑張ってくださいね」

そして話は今に戻る
ガラス箱の中、外を行き交う大勢の人間に圧倒されながらも度胸のある個体がパフォーマンスを始める

「ニンゲンさんたち、こんにちわデス、今からお歌を歌うデス、聞いて欲しいデス」
礼儀正しくお辞儀すると、声高らかに歌い始める

「あんなこといいデス♪こんなこといいデス♪あんな夢こんな夢いっぱいあるデスゥ〜♪」

歌のチョイスはともかく、実装としては驚くべきことに比較的綺麗な声で音も外さずに歌えている

「アンアンアン♪とっても大好き、ド【規制】〜♪デスゥ♪」

汗をうっすら浮かべてフルコーラス熱唱し、お辞儀をする実装。しかし顔を上げてみると
道行く人たちは誰一人として歌った実装のことを見ていなかった

「デデェ?!」自信のある歌を拍手一つどころか一瞥さえされなかったことにショックを受ける歌実装
流石にガックリうなだれる歌実装をデププと嘲笑う者はいないが、全員に不安と緊張が走る

「あんなに上手なお歌でも駄目テチ?」
「し、しっかりするデス、見えない壁があるから歌が聞こえてないだけかもしれないデス」
「でもお外のザワザワもニンゲンさんたちの声ももちゃんと聞こえるテチィ…」「デェ…」

仔実装の一匹が言うように外の音は聞こえている、自分達の声も届いているはずだ

皆に漂う不安なムードを振り払うかのように、仔実装が一匹前に出る

「だったらワタチは踊りを踊るテチ!ニンゲンさんたち、見てくださいテチ!」

そう言って踊り出す、先ほどの歌と同じく実装の中ではかなりのレベルだ
普通なら痒いところに手が届かなくてジタバタしてるようにしか見えない実装のダンスだが
ステップを軽やかにこなし、クルクルと鮮やかにスピンして足も高く上がっている
何より顔に「ワタチ可愛いテチ」的な卑しさが無く、心から楽しそうな笑顔で踊っているのが秀逸だ
最後にクルクル回りながらジャンプして、鮮やかに着地したあと
「テッテレー♪」と万歳のポーズで綺麗なフィニッシュを決めた。「テッチューン」の媚びポーズで
決めないところが並実装とはかけ離れたレベルを感じさせる

しかし、道行く人たちはやはり無反応、向かいのベンチに座っているおじさんなどは
明後日の方向を向いて欠伸をかましている

「テェ…」万歳のまま固まる仔実装、固まったままの笑顔からポロポロと涙がこぼれる

「デェェ!ここのニンゲンさんたちはなんて厳しいのデスゥ」
「く、くじけちゃ駄目デス!次はワタシデス!ニンゲンさんのお役に立てるところを見せるデス!」

一匹の生態が前に出てお辞儀をし、大声でアピールする

「ニンゲンさんたち、ワタシは服をたたんでお洗濯のお手伝いができるデス!見てくださいデス!」

そう言うと自分の服を脱ぎ始め、脱いだ服を床において平らにならし
両袖を内側に折り込み、胴体を二つ折りにする。綺麗に四角くたたまれた実装服をついと前に出し
正座で頭を下げる

「この通りデス!ニンゲンさんの服もたためるデス!長い袖も、短い袖も、ズボンでもスカートでも
 なんでもたたんでみせるデス!ニンゲンさんのお役に立ちますデス!」

洗濯物をたたむ作業を任せることの出来る実装石。トイレ以外で糞しない、夜鳴きしない、媚びない
ねだらない等飼いとして最低限の躾を覚えるだけで限界もしくは根本的に無理という
個体が半分以上な実装石にとって人の手伝いが出来るというのはそれだけで優秀である

しかしスルー食らう

「デッ…」裸で正座姿のまま、呆然とする服たたみ実装

その後も様々な芸を披露する優良実装達

個人プレーが駄目なら連携で、と仔実装が三匹並んでぴったり動きを合わせて踊り
その両脇で成体二匹が歌を歌ったり(しかもパート分け)

組み体操のような全身を使った複合パフォーマンス

マスゲームもどき、果ては全員がかりで演劇までも行ったが

無情にも反応はゼロ。

せかせかと通り過ぎるサラリーマン等はもちろん箱のすぐ側で楽しそうに談笑する女子高生グループ、
箱にもたれかかってタバコを吸うガラの悪い若者、時たま視線を向けるものもいるがその視線は
ちょうど人間の目線、実装達のいない頭上の空間を見ているのみである

誰も褒めてくれない、それどころか嘲笑や罵倒すらない、完全な無関心
その空気の中で、実装達は徐々に壊れていった


数時間後。

箱の中は既に阿鼻叫喚と化していた

もはや清潔な優良実装の面影を残す者は一匹もおらず
全員の目は血走り、顔はしわくちゃに歪み、服は涎、鼻水、涙、脂汗、血液などあらゆる体液で汚れ
決してしてはならないはずのパンコンをしてしまっている者までいた

あれだけ光っていた知性の輝きは狂気に曇り、座り込んでデーデーと虚ろに呻く者

「テヂャァァ!テヂィィ!」と枯れた咽から血痰とともに意味の無い鳴き声を吐き出す者

「デッグ!デッギィ!」とひたすらガラスの壁に向かって頭をぶつけ続けるもの

「テテテッチーテテーテテ」とやけに陽気に同じ場所をグルグル駆け巡っている者

皆精神が壊れていた

時折箱のすぐ側まで来る人間がいると餌撒きに来た人間にたかる野良のように
「デズゥー!」「テッチィィ!テチャァ!」と必死にその元へ押し寄せ、ガラスにべったり顔をつけたり
やわな手でペシペシと血が出るのも構わず壁を叩いたりと救いを求める餓鬼の様相を見せる

そしてその度に突きつけられる無関心という反応にまた心を壊されていく、その繰り返しである


「ぷっ…ぶはははは!」「うひゃ、とうとう糞投げまで始めたよあいつ、うはは」

場所は変わって駅の傍のビルの中にモニターを見て笑い転げる男が二人

一人は実装達に企画を説明していた男だった、笑い過ぎで出てきた涙をぬぐいながらもう一人の男に
話しかける

「しっかし、金かかってんな、今度の企画。あれ全部ウン十万クラスの高級実装だろ?」
「まあオフ会をきっかけに色々上手く噛み合ってね、サイト3周年としてはいい企画になったよ」

そう答えた男は企画の立案者、実装の虐待、観察、実験などあらゆる映像を配信している
実装動画サイトの運営者である

数ヶ月前行われたサイトのオフ会で集まったメンバーと
あれこれ話しているうちにまとまり、企画として実現したのが今回の経緯であり

その内容は実装石達を完全に無関心に扱ってみたらどうなるかというもの

ガラスの箱、あれは全面マジックミラーになっており、中にいる実装から外の様子は見えるが
外にいる人達には鏡張りの立方体オブジェにしか見えない

防音処置もなされており、中で何をしようと外には聞こえないが外に仕掛けられた集音マイクから
拾った音が中に流れる仕組みになっており、完全なコミュニケーションの一方通行というこの状況は
箱内部に複数仕掛けられたカメラで目の前のモニターに映し出されるのである

「撮影機材は俺のだけどね、箱を用意してくれたのは大学で実装研究の教授やってる人。
 本能レベルの構ってちゃんな実装に効くのは苦痛よりも無視って内容で論文書いててさ、
 こんなに大掛かりにやることは無いからいい資料になるって楽しみにしてたよ」

「実装ちゃんどもを用意してくれたのは?」
「実装ショップの店長やってる人とブリーダーの人。俺ら全員からもいくらか費用出したけど
 ほとんどこの人たちが用意してくれたようなもんだよ。じゃなきゃこの企画成立しなかったね」

「おー、豪気だねえ、あれ全部か?」
「二匹ほど他からの飛び入りだな、セレブ気取りのおばはんに飼われてたけど事業の経営が傾いてきて
 真っ先に手放されたのと、正真正銘セレブに飼われてたけど成体になって可愛くなくなったから
 新しい仔と入れ替えでお払い箱な奴。本人たちはそれ知らないけどな」
「うはっ、幸せの飼い生活も大変だねえ、実装ちゃんだけじゃなくて飼い主の方が糞蟲でも
 うまくいかねーってんだからな」

そう言って再び体をのけぞらせて笑う男、テンションが上がってばたつかせた足が床に転がっていた
トロフィーに当たり、トロフィーはあっさりバラバラになった

「あ、いっけね、壊しちゃったよ」
「いいだろ、どうせもらえる奴はいないんだし」
「だわな。大体こんなちゃちいのよく欲しがるよ。トイレットペーパーの芯緑に塗って適当に組んだだけの
 ゴミなのにな、上の金平糖とか銀紙丸めただけだっつーの、俺作トロフィー実装ちゃんたちに
 大うけだったぜ」

二人でまた吹き出す、モニターには箱に寄りかかって楽しそうにいちゃつくカップルと
その二人に届かぬ絶叫を浴びせ続ける壊れた実装達の群れ

「あはははは!ついに全員パンコンですよ!どうしちゃったんですかねこの優良実装ちゃん達は!」
「うひゃー、すごいなこれ、同じ時間痛めつけてもここまでは壊れんかもしれんぞ
 ビフォーアフターのビフォー映像のほうもたっぷり尺とって編集したいねこりゃ」

まだまだ続く実装崩壊劇場。
最初から全パキまで行く予定だ。マジックミラー箱はこのまま実装の棺桶となるまで終わらない

「デギィイィィ!」「テヂュウゥヂィィィ!」

断末魔を聞いてくれるのもモニター越しの二人だけである

実装にリアクションを返してくれるものは、もう誰もいない。死ぬまで。



 【完】




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双葉のスレの方で出てたネタを無理やり膨らましてみました
ネタレス書き込んでくれた方、ありがとうございます
普段はスレの方で短いのをたまに書く程度ですが今回少し長くなってしまったので
失礼してこちらに投稿させていただきます



過去作

白:UMA実装、超高級飼い実装  

塩:柿とり実装、養殖服蛆実装、ギャンブル実装、ショール、立体視実装
  中央分離帯実装、親指上げ落とし四連

なんでも:老実装


節操のない投下ですみません



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1 Re: Name:匿名石 2019/03/08-19:25:52 No:00005789[申告]
賢い実装石が壊れていく姿はたまらんですな
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