野良の親子の実装石が居た。 親実装は5匹の仔実装を連れて暮らしている。 生まれたばかりの仔実装たちは、わんぱくで繁みの中を所狭しと走り回る。 そんな仔実装たちの世話をこなしながら、親実装は懸命に暮らして来た。 デッスゥーーー! 親実装が声を上げる。 仔実装たちに食事の時間を告げる声だった。 テチュ? テチィーー!! チュゥ〜!! テチュゥ〜!! 遊びに興じていた仔実装たちが、繁みを掻き分け、ダンボールハウスに集まってくる。 食欲旺盛な仔実装たちは、頬を赤らめながら、鼻をピスピスして興奮気味だ。 デス!! デスデスッ!! 親実装は仔実装たちの数を数えて、我が仔たちが揃っていることを確認する。 そして、親実装はその場で下着を降ろし、ブバァっと糞をひり始めた。 テチュゥゥゥーー!! チュアッ!! ンムッ!! ンムッ!! チュフ〜ン♪ チュフ〜ン♪ 仔実装たちは、目を輝かせて、まっしぐらだ。 頭から頭巾ごと、親実装の緑の糞の中に顔を埋めて、口一杯啜り始める。 両手で掴み、交互に口に入れて、ハムハムッと湯気のたつ糞を咀嚼する。 デスッ!! デスデスッ!! 糞をひり終えた親実装も、下着を降ろすのも忘れて、仔実装たちを掻き分けて 両手でその糞を掴み競う。 ハムッ!! ムグッ!! デスッ!! デスァ!! 親実装も負けじと、糞を食み始める。 そのうち、仔実装同士で糞の奪い合いで喧嘩も生じる。 食欲旺盛な仔実装たちにとって、この食事は生き残りをかけた戦場であると言えた。 テェェェェーーン!! テェェェーーン!! 糞の奪い合いの兄弟喧嘩に負けた末の仔実装は、緑色の唾液を飛ばしながらなき始める。 そんな仔実装を無視し続けながら、親実装も仔実装たちも食事に必死だ。 テェックッ!! テェックッ!! デヂヂーッ!! デヂヂーッ!! デ? 癇癪を起こした仔実装に気付いた親実装。 お腹を空かせた末の仔実装に近づき、デスゥ?と首を傾げる。 デヂヂーッ!! デヂヂーッ!! 懸命にまだ物足りないことをアピールする仔に、親実装も合点がいったようだ。 親実装は、ない指を口の奥へと入れて、ボゲェッ!! エロッ!! エロエロロロッ!!と 先程、胃の中に収めた食糞を、嘔吐し始める。 テェックッ!! テェックッ!! テェ!? テチュゥゥゥ〜〜〜ン♪ ほやほやの胃液交じりの食糞に、顔を埋める末の仔実装。 そんな仔実装を見つめながら、親実装も再び食事に移った。 食事の後は、お昼寝。 体中糞塗れになった親子は、夏の茹だるダンボールハウスの中に潜り込み、ウトウトと睡眠を始める。 蝿が集る箇所を、ない爪でボリボリと掻きながら、眠る親子実装たち。 テスー… テスー… デスー… デスー… 元気な仔実装たちとの幸せな生活。 親実装はとても満足であった。しかし、その生活も長くは続かなかった。 市役所の駆除がこの公園に入り、この親子は公園を追われることになる。 親実装は、仔実装たちを連れて、公園を離れ、この街を彷徨う羽目となった。 テチィ〜? テチュ〜!! テチュ〜!! テチーー!! テチーー!! 親実装にとっては、長く住みなれた公園を追われること不安を感じていたが、 公園から出たことのない仔実装たちにとっては、見る物触る物が始めてのスリルある冒険であった。 そんな興奮気味の仔実装たちの手をひき、親実装は当てのない旅を彷徨い続けた。 公園を出て3日目のことだった。 デス〜? 黄色の実装服を着たユリアちゃんは、家の庭でスポンジボールで遊んでいた。 そんなユリアちゃんの前に、薄汚れた実装服を着た野良親子が立っている。 デス〜? ユリアちゃんは首を傾げて、その親子の姿を見ていた。 頭の先から爪先まで薄汚れた実装服。口元には小蝿が集り、垂れた緑色の涎が 黄色く固まっている。 開いたままの兎口からは、シューシューという音が漏れては聞こえてくる。 その姿をそのまま小さくさせたような仔実装が、その親実装のまわりに5匹。 近所のお友達デス〜? まったく世間に免疫のないユリアちゃんは、トテトテと親実装に近づき、 手に持っていたスポンジボールを親実装に手渡す。 遊ぶデス? スポンジボールを渡された親実装は、キョトンとしている。 そうデス。まだあるデス。少し待つデス。 そう言って、ユリアちゃんは庭の縁側に登り、部屋の中へと上がる。 デ? 入って来ては駄目デス。 勝手に上がり込む親実装たち。 怒られるデス。ご主人様に怒られるデス。 この無礼なお友達を征そうと、ユリアちゃんは必死になる。 駄目デス! それに触っては駄目デス! そっちの部屋にいっちゃ駄目デス! 仔実装たちは、初めて見る「家」という物に興奮し、緑の点を畳や絨毯に垂らしながら 走り回る。 デデッ!! 怒られるデス!! 怒られるデス!! 垂れる緑の染みを、必死に実装服のスカートや腕の裾で拭き取るユリアちゃん。 親実装は、ユリアちゃんの実装フードなどを勝手に頬張り、もうやり放題だ。 デェック!! デェック!! やめるデス!! やめてデス!! もう声が涙混じりのユリアちゃん。そんなユリアちゃんを他所に親実装は仔実装たちに声をかける。 デスーーーッ!! テェ!? テチュ? チュフ〜ン!! テチューーーー!! 腹もこなれたのか、リビングで親実装は下着を脱ぎ出し始める。 デデッ!? ここはお風呂じゃないデス。何しているデス? 5匹の仔実装たちは、興奮しながら親実装の元に駆け戻ってくる。 そして、四股を踏むように気張り始めた親実装に向かい、ユリアちゃんは卒倒しかけそうになる。 デギャッ!! ここはトイレじゃないデス!! トイレは向こうデス!! テチュゥゥゥーー!! チュアッ!! ンムッ!! ンムッ!! チュフ〜ン♪ チュフ〜ン♪ な、何やってるデス!! それはウンコデスッ!! ご飯じゃないデスッ!! ハムッ!! ムグッ!! デスッ!! デスァ!! 何やってるデス!? おかしいデス!! 変デス!! 間違っているデス!! テチュゥゥゥーー!! チュアッ!! ンムッ!! ンムッ!! テェェェェーーン!! テェェェーーン!! リビングに広がる下痢状の糞。それを目の前にしてユリアちゃんもパンコンする。 既に両目には涙が溢れ、下唇を噛みながら、デェック!! デェック!!となき始める。 デェェェーーン!! デェェェーーン!! 怒られるデスゥ!! ご主人様に怒られるデスゥ!! 絨毯汚したデスゥ!! ウンコ一杯デスゥ!! おまえら何しに来たデスゥ!! ユリアの部屋から出ていけデスゥ!! 肩で息をしながら、なきじゃくり、リビングに寝転びながら四肢をバタつかせる。 まるで癇癪を起こした幼稚園児のように、その姿は鬼気迫るものがあった。 流石にその姿に翻弄されたのだろうか。 親仔実装の手は止まり、視線はユリアちゃんに向けられていた。 デェック!! デェック!! 帰るデスゥ!! 出て行けデスゥ!! もう嫌デスゥ!! テェ… テー… ……ェ デ…… 野良親子実装石は、鬼気迫るユリアちゃんをじぃと見つめていた。 暴れる四肢の特に足。そのパンコン部分が左右に揺れるたびに、目でそれを追っていた。 結局、その日の夕方、その家の飼い主が家に戻った時点で、野良親仔実装は保健所に通報された。 その場で取り押さえられ、麻袋に入れられ、その日の夜のうちに焼却処分となった。 一方、残ったユリアちゃんは、あまりにもショックで気が触れてしまい、飼い実装ながら 食糞行為を繰り返すようになったらしい。 飼い主は止む得ず、ユリアちゃんに実装病院に連れて行き、安楽死を選択した。 (終わり)