タイトル:猟師の手は震えて 8/8
ファイル:猟師の手は震えて8.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2282 レス数:4
初投稿日時:2008/03/15-22:58:34修正日時:2008/03/15-22:58:34
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男がこの街にやってきたのは十数年前。

それまで故郷の田舎で保父になるべく勉強をし、資格を取得した。
実家の家業を継ぐ選択肢もあったが、男はどうしても保父になりたかった。
なぜなら男は子供が大好きだったからだ。
働くなら、大勢の子供達の面倒を見る職に就きたかった。
だが故郷では働き口が無かったため、慣れない街に出てきた。
この街ならどこかで雇って貰えるだろうと一縷の望みを抱いて。

しかし、その望みはあっさりと打ち砕かれる。

方々当たったが、雇ってくれる所は一つたりとも無い。
資格を取得したばかりで経験も何も無い男を雇う人は居なかった。
結局、目ぼしい所は全て断られた。
大人しく故郷に帰り、家業を継ごうかと考える。

しかしそんな時、半ば諦めていた男に声をかける者がいた。

〈 高台にあるマンションの最上層に保育施設を作ったんです。
  そこはマンションの住人の子供専用なのですが人手が足りません。
  宜しければそこで働きませんか? 〉

男に断る理由は無かった。
念願の職に就けるのなら、多少環境が異なる程度は気にならない。
二つ返事で申し出を受けると、男は高台にとある建物に案内された。

その一室で大勢の男達が待ち構えていた部屋で面接をおこなわれた。
保父という職種を軽んじているつもりは無かった。
しかし、その面接は2時間以上にも及び、経歴、嗜好、能力とあらゆる事を質問され、
単なる保父の面接にしては入念すぎだと感じた。

更に面接を終え、最後にマンション内の事情に関しては守秘義務が有るとして誓約書を書かされた。

" この建物内で見聞きしたことは決して口外してはならない "

男は、その意味を理解できなかったが同意した。
そして提示された月額の給与を見て驚く。
同年代の保父に比べれば倍以上の金額。
おそらく、このマンションは地域の富裕層が多く暮らしている建物ではないかと推測した。

案内されたのはエレベータが最上層を指し示す10階。
その10階には、フロア殆どを占める程の広大な保育施設が存在した。
屋内だというのにブランコや滑り台といった様々な遊戯施設。
木目の鮮やかな机や色とりどりの積み木。
壁には四季の豊かな色彩の絵が貼られ、外からは日の光が照らしている。
およそ、保育施設としては文句の無い場所。
しかし男は首をかしげる。

〈 なぜ子供がいない? 〉

これだけの規模のマンションなら、それなりの世帯も暮らしている筈だ。
なのに、この保育施設に預けられている子供は居ない。
いや、全く居ないわけでは無かった。

〈 この子の面倒をお願いします、ここの住人の子です。 〉

紹介されたのは女の子が1人。

〈 …他の子は居ないのですか? 〉

面倒を見る子が1人だけだったのが不満だったわけではない。
ただ単純に、これだけのマンションの世帯数で、子供が1人なのが不思議だった。

〈 はい、今はここに預ける親も居ないので……後は宜しくお願いします。 〉

職員の背後から現れたのは、見た目は普通の女の子。
なるほど、年齢的には小学校に上がる前くらいか。
大きな丸い瞳と長い黒髪が印象的な可愛らしい子だった。

さて、初めての挨拶は大切だな……と思った男よりも早く女の子は口を開いた。

〈 …おとうさん? 〉
〈 え…。 〉
〈 おとうさんじゃないの…? 〉

職員から受けた説明では、父親と母親は別居中であるという。
幼い頃に父親とは既に離れており、その子は顔も覚えてない。
しかし、何時か自分に会いに来てくれると信じている。

母親は体調が芳しくなくこの建物内で療養しており、この子に構ってやれない状態だと聞かされる。

〈 他にあの子の遊び相手もいませんし…。 〉
〈 承知しました、全力で働かせて頂きます! 〉


ごく普通の女の子だった。
とても素直で明るく、元気な少女。
しかし友達も無く、母親も臥せっている状態。
そんな少女の境遇に同情してか、男は親身になって面倒を見た。
保父としての責務は当然として、時にはそれ以上の世話さえもした。

しかし男は、ある時疑問に思い始める。

この女の子は今まで外に出たことが無いと言う。
最初は何かの冗談かと思ったが、それが嘘でないと分かるまで時間はかからなかった。

〈 どうしてあの子は外に出たことが無いのです? 〉

係の者からは親のたっての希望だと教えられた。
あの子はアレルギーを多く持っており、外出するのは危険だと。
男は納得せざるを得なかった。
だが、その事で少女をますます不憫だと思い、室内でも楽しめるよう工夫を凝らした。

そんなある時、仕事に行こうとする男を職員の1人が引き止めた。

〈 仕事に熱心なのは良い……しかし君は、あの子に情を入れ過ぎだ。 〉

その言葉の意味が男には理解できなかった。

〈 なぜです?あの子は可哀想な子だ……せめて私達が元気付けてあげないと。 〉
〈 …そうだな。 〉

少女を思いやる男の熱心さに心を打たれたのか、職員はあっさりと引き下がる。
しかし去り際に職員の残した一言が何時までも耳に残っていた。

〈 君は、この仕事には向いてないかもしれない…。 〉

その言葉の意味は分からなかった。
けれども前以上に少女のことを気遣おうと思った。

初任給が支払われた日。
前々から思っていた通り、何かをプレゼントしてあげることにした。
街に出て考えた末に買ってきたのは麦藁帽子。

〈 ありがと! 〉

余程嬉しかったのか、少女は何時までも帽子をかぶったまま離さなかった。
いつか身体が良くなり、外で遊べる日のためだ。
少女もまた、窓の外から見下ろされる世界を走り回るのを夢見ていた。

しかしある日、職員から少女は引き取られることになったと知らされる。

〈 母親は療養のため、この建物から動くことはできません。
  これからの生活も有りますし、親戚の方が引き取りに来られます。 〉

確かに今の状態は孤独としか言いようが無い。
あの子はもっと同年代の子達と友達になるべきであろう。
ここは子供が少なく友達もできないが、引き取り先ではきっとたくさんの友達を作るだろう。

〈 じゃ、元気でね。 〉
〈 うん、また来るね…。 〉

その日は門の前で彼女を見送った。
しかし見送られた少女は施設を見上げ、母親のいるであろう9階を見た。
やはり母親と離れ離れになるのは辛いのだろう。
いつもの笑顔は無く、知らない人の所に行くのが不安なのは直ぐに分かった。

〈 ほらほら、そんなに暗い顔をしてちゃ駄目じゃないか。 〉
〈 うん……。 〉
〈 お母さんとはまた会いに来たら良いし、これからは友達をたくさん作らないとね。 〉
〈 う、うん…。 〉
〈 元気を出して……笑ってないと、お母さんが心配するぞ? 〉
〈 うん……うんっ! 〉
〈 はは……そうさ、それで良いんだ。 〉

そうすると女の子の迎えの車が来た。

〈 ええ…!? 〉

見るからに高級車だ。
自分の給料じゃ、あのバンパー一つも買えないだろう。
しかも運転手付きで、出迎えたのは執事らしき初老の人物。
そして別の職員が、その人物と何かの話を始めた。

( へぇ……あの子って、あんなに金持ちの親戚がいたんだ。 )

この出迎えが来るまで正直な所、あの子を本当に養えるのか不安だった。
しかし、あれだけの親戚なら経済的に問題は無いだろう。
あとは心優しい人たちである事を願うばかりだ。

〈 ばいばい! 〉

別れ際、女の子は車の中から手を振っていた。

期待と不安が入り混じりつつ


眩しいくらいの笑顔で




10階の保育施設からは唯一の子供が居なくなった。

これでは仕事にならないし自分もお役御免かと思いった。
だが意外なことに、上から引き続き就いていて欲しいと頼まれた。
他に行く所も無いし、断る理由も無かった。

広々とした施設に保父の自分が1人。
退屈な日々が続くかに見えた。
だがある日、いつ子供達が来ても問題無いように、掃除して整理することにした。

フロア内は広く、自分1人で掃除するのは大変なように思えた。
しかし時間は十分にある。
溜まった埃を払い、様々な遊戯道具の片付けと整理を始めた。

〈 あ……あれ? 〉

部屋の片隅に置かれた麦藁帽子。

〈 はは、困ったな……。 〉

安物だし大したものでも無く、あの子に忘れ去られても仕方ない。
しかし処分して捨てるのもしのびない。

この帽子をどうするか……と考えていて、ふと母親の事を思い出した。
確か母親はこの下、9階フロアで療養している筈だ。
マンションの保安上、業務以外のフロアには立ち入り禁止と言われていたが、少しくらいは良いだろう。

普段は1階から最上階までエレベーターで直行だが、その日だけは階段を使うことにした。

  " 関係者以外立ち入り禁止 "

しかし階段へ続く扉へ大きく貼られた文字に躊躇する。
加えて施設職員からも他の居住区域へ足を運ばぬよう釘を刺されていたのを思い出す。

〈 まぁ、自分も一応関係者だし……。 〉

戸惑いは数秒間。
普段は職員が目を光らせており、近づくだけで注意されるような扉。
しかし今までの勤務態度が評価されたせいか、今は自分を監視する職員は居ない。
何か別の仕事が入ったらしく、席を外しているようだ。

そして俺は麦藁帽子を手に持つと扉の方へ。
扉を開け、すぐ目に付いた階段を下に降りていった。



〈 ん……ここは…? 〉

9階フロアは一言で表現すれば無機質な空間だった。
端から端まで延々と続く真っ白な壁と廊下、そして各室の扉。
壁には一切の装飾が無く赤い消化施設以外は全て白一色。
窓ガラスは多く、日光が差し込んでいるものの、やはり物寂しさは隠せない。
嫌でも消毒臭い病院を思い出してしまう。

〈 あ……あれ? 〉

更におかしいのは各部屋の扉だった。
表札も何も無い、ただ番号札がかけてあるだけの扉。
そして耳を澄ましてみる。

〈 ——……。 〉

何も音がしない。
何世帯もの家族が住んでいるのならば、何かしらの生活音が有る筈だ。
テレビ、洗濯機、人の歩く音……何も聞こえない。
聞こえるのは耳鳴りだけ。
立ち止まると、フロア内の空気自体が動いてないのが分かる。
全く人気が感じられない空間だった。


  ……ギィ………


〈 ん…? 〉


  ……ギィ………


何かが聞こえる。
微かに耳に届く音。

その僅かに届く音を頼りに、再び歩を進める。
着いたのはフロアで最も端の部屋。

〈 あ……。 〉

見ると扉が僅かに開いていた。

〈 し、失礼します……どなたかいらっしゃいませんか…? 〉

俺は小声で挨拶をしながら、扉をゆっくりと開けて部屋の中へ……。



何も無い部屋だった。

家具も用具も一切無い部屋。

有るのは壁と大きな窓。

外の眺めは青い空。


そして……



 ……ギィ………ギィ……



部屋の中央にはロッキングチェアに佇む少女の後姿。

 ……ギィ……

椅子の脚の湾曲部分が揺れるたびに軋む音が僅かに響く。

最初に印象深かったのは長い髪と真っ白な服。


白い服……あれは患者衣?


真っ先に思いついたのは、あの女の子の母親。

療養中であるのなら目の前の女性に間違い無いと思うが……若すぎる。

後ろ姿からしか分からないが、年にして15歳くらいか?

まさか、中学生が……などと考えが浮かぶ。


〈 ……お、お邪魔します。 〉


 ……ギィ……


〈 勝手に入って、すみません…。 〉


 ……ギィ……


〈 少し、伺いたいことがあるのですが……。 〉


 ……ギィ……


少女は聞こえてないのか、此方の声に反応してくれない。
ただ見た時からずっと、椅子に揺られているだけ。

〈 ん〜……仕方ないな。 〉

苛立ち、腕時計を一瞥してみる。
早くしないと10階に職員が戻ってくるため、少々焦ってきた。
返事も聞かずに突然顔を覗き込むのは失礼かもしれないが、許して欲しい。

背後から歩み寄ると、その横を抜けて回り込み…


〈 あの〜、すみません………伺いたいことが…………… 〉










『 ……その9階で見かけた子、どんな顔をしてたと思う? 』


ブローカーの男は写真を手に持ちながら二回目の質問を俺に。

しかし俺は何も答えない。
いや、答えることができない。

『 頬がやせこけていてね……腕なんか骨と皮だけだった。
  それで目の回りは涙の跡があり、瞳自体は真っ赤に腫らしてたよ。

  そして口をパクパク動かしてたんだが……耳を澄ますと聞こえるんだ。 』

『 …な、何がだよ。 』


『 擦れた声でさ……" 私の子 … 私の子を助けて ……酷いことをしないで…… "……とね。 』


俺達の周りを一陣の風が吹き抜ける。
吹き抜けた風は容赦無く俺達の体温を奪っていった気がした。


『 その子はね……自分の娘が酷い目に遭う様子を、映像で無理矢理見せられていたのさ。 』

『 無理矢理…? 』

『 あぁ、引き取られていった自分の娘が、虐待派にどんな目に遭わされているかを、ね…。 』

『 ぎゃ、虐待派にって……どんな目だよ、それって…? 』

『 は…ははは… 』

『 な、何だよ? 』

『 はは……君は何を言ってるんだい…。 』

『 何がおかしいんだよ…!? 』


『 虐待派に連れ去られた実装石がどうなるかなんて、君が一番良く分かってるだろ。 』


『 あ、あんた!頭がおかしいんじゃないか!? 』

勢い余って俺は思わず立ち上がった。

『 あの建物にいるのはモドキだけだろ!
  それが人間とヤらせて仔を産ませて人間に近づける!?
  何、狂ったことを言ってんだ!?
  そもそも、なんでそんなことしなくちゃいけないんだ!! 』

『 それも君が一番良く分かってるはずだろ。 』

見下ろし、激しく叩きつける俺の怒声が緩やかに流される。

『 最初はみんな普通の……普通の実装石の虐待派だったらしい。 』

ブローカーの男は淡々と話を続けた。



実装石の虐待派は数多く存在する。

しかし彼らの大半は、あくまで実装石以外に虐待行為しない事を公言している。
建前としては他の生物を決して虐待しない。
その実装石だけを虐待する動機や理由付けは、虐待派によって様々だ。。

" 実装石は言動が下品だから "
" 実装石は衛生上汚いから "
" 実装石は人の恩を感じないから "
" 実装石は社会の迷惑だから "
" 実装石は道徳が無いから "

しかしブローカーの男は言う。

そんなのは建前に過ぎない。
いかにも正当な理由を担ぎ出し、虐待そのものを正当化しようと四苦八苦する。

なんて偽善的な言い訳だろう。

人のため、社会のために実装石を駆逐する?


 笑わせるな


愚かな主張だ。
社会のためと言うのなら缶拾いでもすればいい。
ボランティアしたいのなら汚れ仕事は幾らでもある。


せめて、もっと正直になれば良いのに。

虐待派が実装石を虐待する理由は唯一つ。


" 楽しいから "


これ以外に相応しい理由が存在するだろうか?

" 実装石を苦しめるのが楽しいから "

" 実装石を追い詰めるのが楽しいから "

" 実装石に悲惨な死を与えるのが楽しいから "

 ・
 ・
 ・

そう、楽しいのだ。

虐待派にとって実装石を虐待、虐殺するのはとても楽しい事なのだ。

しかし、とブローカーの男は言葉をつぐんだ。

彼らは、なぜ実装石を虐待するのが楽しいか分かっているのだろうか?
なぜ自分達が実装石を虐待している時、これ以上無い程の愉悦に満たされるのか。

私の祖父は、そのことに気付いていた

そして、どんなに楽しい娯楽であろうと時が経てば翳りも現れる。
更にエスカレートした虐待を実装石に加える。
一旦エスカレートすれば虐待は止まらない。

更に、更に過激な虐待を。

しかし、それでも足りない。
虐待しても虐待しても、何かが足りない。
水は十分飲んでる筈なのに喉の渇きは増すばかりだ。
最初の頃、虐待を始めた頃の新鮮な感動が無い。

そして、ある存在に気付く。

実装石に近いが実装石では無い存在。
そう、モドキと呼ばれる人間と実装石の混血だ。
それまでは実装石以外の虐待など考えたことすら無かった。

モドキ達はまがりなりにも人間の血を受け継いでいる。
ならば虐待するわけにはいかない。
実際に実装石を虐待しても決してモドキには手を出さない。
そんな虐待派が殆どだ。
やはり精神的な防波堤が誰の中にも有る。


これが一線だとブローカーの男は言った。


更に実装石の虐待を続けるか
飽きたから実装石の虐待を止めるか

もしくは一線を越えた虐待をするか、だ。

一線を越えた者達は例外無く歓喜に包まれるという。
あの頃の新鮮な虐待の感動がまた得られた。
モドキの虐待の心地よさを思い知った。

しかもこれは人間では無い。
そう、実装石と人間の混血では無い。
人間の血が多少混じった実装石だ。

自分が今、虐待しているのは紛れも無い実装石なのだ。

だが、この行為は決して他人には洩らしてはいけない。
やはり人間の血が流れているからだ。
只でさえ実装石の虐待派というだけで、理解の無い一般人からは侮蔑されるであろう。
更にそこへ人間と実装石の混血の虐待となればどうであろう。

社会的には完全にアウトだ。

実装石の虐待ならと黙認していた人々も、流石にそれはと思うであろう。
だから密かに、人目につかない場所でモドキの虐待がおこなわれる。

しかし、と再び男は口をつぐんだ。

自分には分からないが、それすらも建前に過ぎないで無かろうか?
本音は至極単純。

他の虐待派にモドキを取られるのが勿体無いから

こんな楽しい虐待をさせてくれるモドキを他人に渡してたまるか。
しかもモドキは実装石に比べて絶対的に数が少ない。
更に消耗品だ。
数はどれだけ有っても足りない。
そんな実装石の虐待よりも更に秘密裏におこなわれるモドキ虐待の会員制クラブ。
公園内でたまに見られるモドキ達はすべからく捕獲されて送られる。

そして、ある時に誰かが気付いたらしい。

なぜモドキ虐待が、そこまで楽しいのか?
今となっては誰かは分からないが、その本質に気付いた者がいた。

だから、とその男は考えに基づいて実行した。

" モドキに人間の仔を産ませろ "

誰もその男の意図に気付かない。
しかし男は、実装石を性癖としている者達などを集め、モドキに性行為を促した。
そして産まれたのが第二世代のモドキ達。
それを上客の会員に提供し、その感想を受け取った。

" やはり、そうだったか "

確かな手応えを感じた男は、組織的な増産に着手した。
更に、その確信を基にして第二世代のモドキに更に人間の仔を産ませる。
更に第三世代へ。
更に第四世代へ。

世代が進むほど、その養育コストは跳ね上がる。
しかし男は必ずペイできる事も確信していた。

その結果、男は賭けに勝った。

男が予想していた以上に、世代が進んだモドキ達の需要は高かった。
そんなモドキ達を欲する者達が、なぜ欲しているのか当人達は理解していないであろう。
しかし、その男は正確に見抜いていた。


人間の本質を





『 人間の……本質? 』

突拍子も無い言葉に、思わず口から言葉が零れた。

『 なんだよ、ソレ。それが実装石やモドキの虐待と何の関係が有るんだよ。 』
『 本質かどうかは知らないさ。 』
『 はぁ? 』

『 ただね……人間にとって最大の娯楽は同じ人間を虐待し、死に至らしめる事だと予想したんだよ。
  それこそが人間の本質。
  …つまり、人間は人間を殺したがってるということさ。
  そして、その男はそれに気付き、商売として定着させたというわけだ。 』

『 な……何言ってんだ、アンタ…? 』

『 だから事実さ。
  商売とは需要と供給が有って、初めて成立する。
  同じ人間を虐待して殺したい願望の持ち主こそが、実装石虐待ビジネスの格好のお客様というわけさ。 』

『 聞いてられねえな…。 』

『 しかし君もモドキを虐待して楽しくなかったか?

  実装石よりも人間に近い存在のモドキを虐待して、殺して、楽しんでたのではないか…? 』




そして、その男は更にビジネスを進めた。

モドキ虐待ビジネスは波に乗り、要望は高まるばかりだった。
しかし人間の欲に限りは無いと言ったものだろうか。
第一世代と第二世代では、更に第二世代と第三世代では虐待の" 味 "が違うという。
例えるなら熟成させたワインの如く。
世代が進むによって言葉では表しきれない美味であると。

そこで男は、更に新しい試みを始めた。

モドキは人間に近い存在だ。
だが、明らかに実装石の面影を残している。
ならば、その面影を完全に消してはどうだろうか?

更なる繁殖を行い、世代が進む。
手足といった四肢は伸び、手の先や足の先には五本の指が現れ始めた。
背丈は伸び、目鼻が整い、極めて人間に近くなってくる。

それが第8世代周辺

この時点でも十分に人間に近い。
少し離れた場所から見れば、少なくとも実装石に見えることは無いであろう。
正面から見ても、その外見に違和感は殆ど感じられない。
人間といっても十分通じるであろう。
しかし目の肥えた客は僅かな欠点も見逃さなかった。

黒い髪の中に、亜麻色が混じっている

ほんの数条の亜麻色の髪だが、顧客は不満を訴えた。
これでは実装石では無いかと主張する。
実装石の面影を完全に無くした実装石では無いと言い張る。
一目見ただけでは普通の人間との差異など分からないのであるが。
ならば、もう一つか二つ世代を進めれば良い。


そうすれば完璧な黒髪の実装石が誕生する筈だ


だが、そこまで世代が進んだ個体は、全て例外無く限界に来ていた。
無理な交配と出産はモドキ達の身体に多大な負担を強いる。
生命の法則を強引に捻じ曲げた行為の代償が、モドキ達に全て降りかかってきた。
世代が進むにつれて身体能力が低下し、短命となる。


あと少し


あと少しで黒髪の実装石が実現するというのに


けれども、どうしてもあと少しという所でモドキ達の血統は途絶えてしまった。
何百、何千という血統の試みの結果からは何も得られなかった。
やはりそんな考えは単なる夢物語だったのだろうか。
黒髪の実装石など、決して有り得ないのだろうか。

そして十数年

文字通り血の滲むような試みは実を結ばず。
そろそろ引き際かと考えていた頃に奇跡は起こった。





『 ……さて、ここで君に聞こうか。
  結局、完璧な黒髪の実装石を作るために、必要なのは何だったと思う? 』
『 え…。 』
『 何千という血統のモドキ達では実現できなかったが、その血統では成功した。
  その血統のモドキ達と他の血統のモドキ達の違いは、何があったかということさ。 』

『 偶然じゃないのか。 』

『 あぁ、最初は皆、そう思ったらしい。
  精神的にも肉体的にも他と変わらぬモドキだった。
  しかし、現実として完璧な個体を誕生させることができた。
  最初は分からなかったのだがね……一つだけ大きな特徴が有ったのさ。
  だから君は分かった筈だ。

  なぜなら君は短い間だったとはいえ、飼い主だった人物だからね。 』

『 俺が……か?
  何のことだ、一体? 』

『 まだ分からないのかい? 』

『 何が……あ、あれ…?
  もしかして………まさか、1号モドキのことか? 』

『 そう、あのモドキこそ、黒髪の実装石を産み出す可能性の高い個体だ。 』

『 アイツは、そんな大層な奴じゃねえよ。
  普通のモドキだ。 』


『 いや、現に君は分かったと言っていたじゃないか。

  あのモドキは、愛情を受けて育った個体だとね。 』


『 は……はぁ!? 』


『 後になって判明したんだがね…。

  両親の愛情を受けて育ったモドキの血統からは、黒い髪の実装石が産まれる可能性が非常に高いんだ。 』




モドキの成長は実装石の影響を受け、人間に比べて著しく早い。
だが、それでも第9世代誕生までには約10年の月日が必要とされる。
心身共に限界を迎えつつある第9世代のモドキ。
ここまで辿り着ける血統の確立は100に1か2だという。
そして力尽きるか、発狂するか、自殺するか。

しかし、ある血統の個体だけは違っていた。


〈 私の子……早く元気になって産まれてきてね…。 〉

9階フロアの何も無い部屋。
ただ、部屋の中央にはロッキングチェアに揺れるお腹の大きな少女。
声はかすれていた。
両の瞳は窪み、頬がこけて痩せ細り、その身体には骨と皮だけしか無い。
けれども少女は精一杯自らの大きくなったお腹に向かって話しかけていた。
実装石独特の口調は既に無い。

〈 早く産まれてきてね。
  そして産まれて大きくなったら、きっと……。 〉

少女の表情に力一杯の微笑みが浮かんだ。


〈 きっと、私達のお父さんが迎えに来てくれるから…。 〉





『 ……それが、どうかしたってのかよ? 』
『 分からないのかい? 』
『 何がだ。 』

『 その血統のモドキ達はね、自分達が祝福されて産まれたのを精神的な支えにしてるんだよ。 』

『 どういうことだよ。 』
『 考えてもみてくれ、モドキが産み出される理由は何だ? 』
『 理由なんて無えよ、ただ実装石とヤる趣味の奴がいるだけだ。 』
『 あぁ、その通り。
  世代が進むとモドキ達も知能が高くなってね、その事を自覚し始めるのさ。 』

話疲れたのか、男は大きく呼吸を間に挟んだ。

『 結局の所、自分達の母親は人間の男に無理矢理犯され、その結果産まれてしまった。 』
『 あ…あぁ。 』
『 そして一生出られることの無い牢獄のような生活…。
  自殺するには十分な理由じゃないか? 』





夢も希望も無い生活。
有るのは男達との性行為と出産のみ。
そんな中、自分達の最初の世代のモドキから語り継がれた、自分達の父親。
自分達は実装石でも人間でもない存在。
けれども、人間の父親と実装石の母親が愛し合って生を受けた。

そう、いつかきっと、自分達の父親が迎えに来てくれる

だから自分はそれまで生きていられなくても、せめて自分の仔には。
仔が無理なら、更にこの仔には…と、願いを抱いて仔を宿して産む。
気が狂いそうな環境の中で、唯一の心の拠り所。

それだけを信じて、モドキは仔を産み続ける





『 世の中には、実装石と真剣に愛し合ってモドキを産ませる男もいる。 』

何も言えない俺に、更に話を続けた。

『 しかし、その先に有るのは破局だけさ。
  例えば実装石に産ませたモドキなんて、誰に見せられるというんだい?
  親兄弟や友人に、なんて説明するんだい…。 』

『 …じゃ、どうするんだよ。 』

『 大抵の場合、男が泣きながら処分するのさ。 』

一際冷たい風が吹き付けた。

『 処分するくらいならと私達が引き取りたいところだがね…。
  そんな連中に限って、絶対に他人へ預けたりしないのさ。

  せめて最後は自分の手で…

  …というわけで、愛情を受けて育ったモドキの入手は非常に困難だ。
  自分の娘と思ってる連中も多いし、なかなか手放してくれないんだよ。
  しかも、モドキというのは愛情に敏感でね……芝居ではイマイチ騙しきれない。 』


『 ……じゃあ、何で産ませるんだよ? 』

俺は核心をついた。

『 アンタの言った通り、愛情を受けて育ったモドキを手に入れるのは簡単じゃない!
  しかも、とてつもないカネがかかってるはずだ!
  それで何が悲しくて、そこまでのことをして人間にしか見えないモドキを産み出すんだ!? 』

嘘だ、嘘に決まってる。
こんな馬鹿な話があるわけない。

『 は……はは、君こそ今更何を言っているんだい? 』
『 何がだよ! 』


『 殺すために産ませるのに決まってるじゃないか。 』


10年以上の月日をかけて産み出された第10世代は人間の女の子と見分けが付かない。

髪は透き通るように黒く、亜麻色の混じりは全く無い。
手足は長く、細長い指が生え揃っている。
そして整った顔立ちは実装石の面影を全く残していない。

そして、この少女は……第10世代モドキはとてつもない額で取引される。

『 それこそ、あの建物の維持管理費や私達に高額の給料を余裕で払えるくらいね。 』

ブローカーの男は更に付け加えた。
そもそも単なるモドキの売春や出産済みモドキの販売だけでは建物維持すら困難だと。
寧ろ、そちらはオマケに過ぎない。

本当の目的は第10世代モドキ、通称 " 黒髪の実装石 "である、と。

そんな第10世代モドキを手に入れるため、カネに糸目をつけない者達が多いと。
自分の虐待欲を存分に満足させてくれるならカネは幾らでも支払う、と。


『 それで……結局、その子達は殺されるのか? 』
『 その子達とは? 』
『 アンタの言う、第10世代に決まってるじゃないか! 』
『 ……その事に関しては私も正確には知らない。
  実際に虐待死させられた第10世代の姿を見たわけじゃないからね。
  しかし、それに関しては君の方がよく分かっているだろ?

  虐待派に連れて行かれた実装石がどうなるか、君なら分かってるんじゃないのか? 』

『 何が実装石だ!
  どこからどう見ても人間じゃないか! 』

『 …だが、人間ではない。 』

男は冷静に言い放つ。

『 社会的に、あの第10世代のモドキの身分は、あくまで実装石だ。 』
『 っ…。 』

情けないことに俺は、何も言い返せない。

『 たとえ、どんなに人間に近くても……あの子達は実装石なんだよ。
  そしてその実装石を守る法律はどこにも無いんだ…。 』

『 …いや、やっぱりアンタの言ってる事はおかしいよ。 』

『 ……何がだい? 』

『 なぜ、そこまでして人間に近い実装石を、モドキを産み出す必要があるってことだよ。
  もし、本当に人間を虐待したいのなら…殺したいのなら、そうすれば良いじゃないか! 』

我ながら、滅茶苦茶なことを言ってるのは分かっている。
しかし言わずにはいられなかった。

『 そりゃ、この日本じゃそんなことできるわけがないさ。
  しかし外国なら話は別だろ?
  そこまでじゃなくても、それなりに金を払えば、人殺しだってさせてくれるんじゃないか?
  そんな面倒なことをせず、時間もかからずにできるだろ!? 』

馬鹿馬鹿しい。
なぜ、十年以上も待たなくてはいけないんだ。
手っ取り早い方法なら幾らでもあるだろうに、何を言ってるんだ。

『 君こそ何を、おかしな事を言ってるんだい。 』
『 …あ? 』

『 そんなことをしたら人殺しじゃないか。 』

『 あ……。 』

『 君は分かってないね。
  そこまで極めて人間に近い実装石を虐待して殺して……モドキを死なせたとしても、
  それは単なる実装石の虐待でしかないんだよ。 』

もう…言葉が出なかった。

『 彼らはね……" いい人 " でいたいのさ。 』

男は自嘲気味に続けた。

『 映像だけを見たら、人間の女の子を殺す……世間でいうスナッフビデオにしか見えない。
  しかしね、それでも彼らは自分達は人殺しでは無い、これは単なる実装石の虐待だと言い張るのさ。
  
  そこまでの事をしても…彼らは最後の一線だけは越えたくない。
  つまりは良い人、善人でいたい。
  しかし、人間を虐待して殺す快感も味わいたい。


  だから、あんな歪んだモドキ達が産み出される、というわけなんだ…。』


風が吹き、雲が流れる。
依然として、この公園に俺達二人以外に人影は無い。
お互いに話し疲れたせいもあり、雲を眺めるだけの沈黙の時間が続いた。


『 …そういえば君は、あの建物の中で騒いでいたね。 』

再び話を切り出したのはブローカーの方だった。

『 あぁ、それがどうかしたか? 』
『 その中で君は、施設職員のことを愛護派の偽善者呼ばわりしてたそうだね? 』
『 あ……あぁ。 』

『 どっちが偽善者だい? 』

『 は…? 』


『 君の言う愛護派と虐待派、どちらが偽善者だと聞いてるんだ。 』


僅かながらだが、男の声に怒りが染み込んでいるのが分かる。

『 自分達の欲望を満足させるため、小綺麗な建前を取り繕う……それが虐待派じゃないのか? 』

『 …そんなこと無えよ。 』

『 何が違うんだね?
  まぁ、私から言わせれば、愛護派も虐待派も似たり寄ったりのものさ。
  自分達の都合で愛護したり、虐待したり……要するに自分達の欲望を満足させたいだけじゃないか。

  しかし虐待派が偽善者でない?……冗談は止めて欲しいね。

  社会のためだとか、環境のためだとか、尤な理由をつけてやっている事は何だい?


  単なるストレス発散の弱い者虐めじゃないか! 』


ブローカーの男は溜まった鬱憤を晴らすかのように立ち上がり、俺を睨み付け、そして言い放った。


『 偽善者はどっちだ!? 』













『 嘘だ……嘘に決まってる…。 』

バス停を出てから俺は高台の方へ向かって歩いていた。
見る人が見たら、自殺にでも行きそうな顔をしてるかもしれない。

 〜〜♪ 〜〜♪

ポケットの中で携帯電話の呼び出し音が鳴り続ける。
おそらくダチ二人からの連絡だろう。
だが、俺は取るつもりが無かった。


〈 そういえば…前に私の祖父の話をしたのを覚えているかね? 〉


ブローカーの男と別れてから1時間後。
俺は例の建物の方へ向かって歩いていた。


〈 猟師だった祖父はね……猿だけは撃ちたくないと言っていた。 〉


別れる間際に聞かされた言葉が何度も頭の中で反復される。


〈 祖父だけじゃない、大抵の猟師は皆、猿だけは撃ちたく無いんだよ。 〉


『 嘘だ、騙されてたまるか……。 』


〈 なぜなら猿を撃った時の感触が、人間の子供撃った時と似ているからさ。 〉


坂道を登りながらあの男の言葉を思い出す。


〈 当然、子供を撃った経験なんか無いと思うがね、そう錯覚させるに十分らしいのさ 〉


あの建物が俺の視界に入ってきた。


〈 だから、人間の子を撃っているようだから撃ちたくないのだが……祖父は気付いたのかもしれない 〉


俺はその隣の建物へ…暗い階段を再び登る。


〈 いや、もしかしたら猟師達は怖かったんじゃないだろうか…? 〉


長い…長く暗い階段が続く。


〈 本当は猿を撃つのを……人間の子を撃つのを心地良く感じたからじゃないだろうか? 〉


屋上、光が見える。



〈 猟師達は猿を撃つ経験から、人間を撃つ……人間を殺す心地良さに感付いていたのかもしれない… 〉



 ガタン

扉を開け、屋上に出れば青空が広がっていた


暗く淀んだ空間とは違った、心地良い風が吹き抜ける


そして俺は隣の建物の最上階を見た


 …いた


例の総ガラス張りのフロアに、あの子の姿が見えた


 …!


女の子も俺の姿に気付き、手を振って呼びかける


俺はそれに答えて手を振り返す


女の子は振り返されて嬉しいのか満面の笑みを浮かべる


『 はは……あの野郎、何言ってやがるんだ…。 』


俺は悪い夢を見ていたのだと自分に言い聞かせた。


『 あの子がモドキだなんて……実装石の筈が無いじゃないか…。 』


馬鹿馬鹿しい


何を俺は真に受けているんだ


後でダチに話したら笑われるのは間違い無い


『 ははは…… 』


俺は笑っていた


少女に笑い返し、悪い夢を忘れるために笑っていた







『 ……ん? 』


すると女の子はガラスに指でなぞりながら、何かを書き始めた


前に別れる時も同じことをしていた


今度は時間もある


今日は最後まで見ていてやろう


俺は女の子が俺に何を伝えようとしているのか、暫く眺めていた


〈 …" と "……" ん " 〉


まだ分からない


〈 " お "…" と "……" ん " 〉


まだ分から……いや、もしかして


『 " お "…………" と "…" う "…" さ "………" ん "… 』


思いついた言葉が声に出た



  お  と  う  さ  ん



間違いなかった


その言葉通りに女の子が指をなぞって書いているのが分かった


『 は……は…。 』


手が止まってしまった


笑い返すのも止まってしまった


そして思考すらも止まってしまった


〈 …? 〉


そんな俺を見て 女の子は首を傾げた


なぜ手を振るのを止めたのか不思議に思っているのだろう


『 ぐ……っ… 』


振っていた手を握り締める


顔が引きつり、これ以上は笑い返せない


『 っ……! 』


けれども俺は湧き上がる衝動を抑えて


涙が出そうになるのを抑えて


再び笑いながら手を振ってやった


〈 ……! 〉


そんな俺の反応に女の子も嬉しかったらしい


俺の振る手に返して手を振り始めた


元気一杯に大きく手を振り続けた


眩しいくらいの笑顔で




これからは毎日この場所に来ることにしよう


そしてあの子の相手をしてやろう


何時までになるか分からないけれども それまでは笑わせてやろう


夢も希望も未来も 何も無いあの子のために


『 どうだ、見たかよ…! 』


誰にとでもなく 俺は呟いていた


『 虐待派の俺にだってな……俺にだって人の情くらいは持っているぞ…! 』


だが それ以上は言葉が続かない


涙が溢れて声が出ない


『 俺だって……俺にだって……! 』


手が震え 声が続かない


けれども振り続ける手を止めるわけにはいかない


そんな哀れで惨めな俺に


少女は健気に手を振ってくれて




いつまでも眩しい笑顔を見せてくれた















                                    < 猟師の手は震えて 了 >





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1 Re: Name:匿名石 2014/10/13-12:22:27 No:00001472[申告]
人間の身勝手さをよく体現していると思う
2 Re: Name:匿名石 2019/02/09-22:47:55 No:00005735[申告]
あんなすぐ糞を漏らすイキモノと真剣に愛し合える男がいることが驚異

絶望的な未来しかない少女の末路を想像すると楽しい
そう思うのも少女がやはり実装石だからなんだろうな
人間じゃないから殺される運命にあっても可哀そうじゃないのだろうな
3 Re: Name:匿名石 2020/01/25-22:12:55 No:00006175[申告]
いつか来る日のことを想像させる余韻を残す良スク
実装石モノとしては逸脱しかけているからかDL数も少ないが
SSとしてはかなり面白かった
4 Re: Name:匿名石 2020/01/27-16:59:05 No:00006177[申告]
実装石虐待の動機というか裏にある本質のようなものを、
わかりやすく丁寧に描いてる良スク。
一通りスクを読み漁った後に読むと実にすっきりと胸に落ちる。
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