タイトル:【虐…?】 遠い日の郷実装
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作者:中将 総投稿数:51 総ダウンロード数:19927 レス数:4
初投稿日時:2007/09/10-18:16:13修正日時:2023/06/28-13:46:58
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テレビで田んぼにはまった実装石のことをやっていた。
水不足で水が飲めない実装石が田んぼに近づき、そのままはまって出られなくなるという事件だ。
ゆるい土に腰まで浸かれば、もう這い上がることは出来ない。
泥に為す術なく呑まれていく親実装の周りを、仔実装が泣きながら取り囲んでいる、という図だった。
きっと視聴者の多くは助けてやれよと思うに違いない。

でも、僕はそうは思わなかった。

田舎では、それが実装という生き物の生態であり、自然。

子供の頃に身についた実装との距離感は、大人になっても結局そのままだった。


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僕の小学校の頃の家は田舎にあった。
田舎といっても新興住宅地と田園、雑木林がくっついたような半端な田舎だった。
都会のように遊ぶための施設もないので、自然と山や川が遊び場になる。
チャンバラ、かくれんぼ、探検ごっこ…
そんな遊びをしていると、必ずその中に実装石が紛れ込む流れになる。

今思えば、それが郷実装と呼ばれるものだったのかもしれない。


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弟とどんぐりを拾いに行った時、初めて実装石に出会った。
小学校に上がる前のことだ。


住宅地から森へ続く境目に、大きな椎の木があったのだ。
子供の間で通じる名前は「どんぐりの木」
どんぐりには不思議な魅力があり、何に使うでもなく、
綺麗で粒の揃ったものは拾い上げたくなるものだ。
そして、秋になるとそこでどんぐりを拾うのが近所の子供達の常であった。


夕方というにはまだ早い時間だった。かなり前から実装石はそこにいたらしい。
どんぐりを手当たり次第に集めては、小山を作っている。
一度集めてから巣にわけて運ぶつもりなのか、かなりの量を集めていた。
ちらりとこちらを見るが、すぐに作業に戻る。
こっちが子供だから距離さえ置けば大丈夫と判断したのだろう。

実装石とは言え野良の動物だ。
弟が噛みつかれでもしたら大変なので、僕も実装から微妙に距離を置くように弟を誘導する。
地面を這い回る2人と1匹。

「にいちゃん、あんましイイどんぐりないな」

弟がヒビの入ったどんぐりを放り投げながらぼやく。

「そうだな、みんな踏まれちゃってるな」

僕も6個ばかりよさげなどんぐりを見つけた程度だった。

「あっちにあるかも」

弟は僕が止める間もなく、木の向こう側…つまり実装石のいる方向へ歩いていった。
瞬間、緑の生き物が弾かれたように反応した。

「デギャァァァァァァァッス!!」

近づいてきた弟に向かって、実装石が大声を上げて威嚇した。
今思うと、冬越しのために採集した餌をとられると向こうも必死だったのだろう。
その必死の気迫か、それとも突然の大声にか、幼い弟はびっくりしてしまったのか。

「わぁ、わぁぁぁぁぁぁ」

泣きながら逃げ出してしまった。
家まではそれほど遠くない。弟が帰るのには心配がないが…
子供とはいえ僕も兄としての意地があった。目の前で弟を泣かされたのだ。
パンツに手を入れ、逃げた弟をさらに追い払うかのように糞を投げる生き物はとっちめてやらなくてはいけない。
足元の砂利をもって実装石に投げつけた。

「お前、よくも、よくも!」
「デジャ!? デエエエエエ!」

小石の雨に頭を抱える実装石。手加減してやるつもりはない。

「この、食らえ、食らえ、食らえ!」
「デェェッス デェェェェェェッス!!?」

礫の雨がビシャッビシャッと実装の全身を叩いた。
比較的小奇麗だった前掛けが砂と泥に汚れまくる。
体に、手足に、そして顔面に小石が吸い込まれる。
短い手では大きな目玉をかばいきれない。
目玉にヒットするたびに

「デベゥッ デベウッ」

と叫びながら地面を転がりまわった。もちろん追い討ちをかける。
こいつは弟を泣かせたのだ。全力で小石を投げつけた。
小さな痣だらけになりながらウロウロしていた実装石だったが、とうとう血が流れ始めるに至って

「デェェェェン デェェェェン」

と、泣きながら森のほうへ走って行った。
子供の喧嘩だ。泣かせれば勝ちだから追いかける必要はない。
僕は実装石が集めていたどんぐりの小山をそのままビニール袋に入れた。
弟へのお土産と、にっくき実装石への勝利の証とするつもりだった。
興奮冷めやらなかった僕は、袋に入らなかったどんぐりを更に靴で踏み割った。


日が暮れないうちに家路についた。




次の日、自転車で椎の木の下を通ったとき、その木の下に
痣だらけの実装石が「デェ…」と力なく蹲っているのを見つけた。
小脇に「テェェン テェェン」と泣く小さな仔実装を連れていたような気もするが、あまり気にも留めなかった。

僕は砕けたどんぐりの殻をタイヤですり潰しながらその場を後にしたのだった。


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小学校に入ると、同年代の少年達と遊ぶようになった。
おもな遊び場は田んぼの横の用水路だ。
用水路といっても水門があるいわば小さな川のようなもので、運がいいと鯉の影すら見えるものだった。

田んぼに続く坂道を自転車で下りると、大体1回か2回、親子連れの実装石に出会う。
里山と水場の間にある唯一の舗装道路。ここを通らないと水場にいけない実装石達にとって、
この舗装道路はきっと悪魔の狩場に見えたに違いない。

実装石達にとっては運悪く、そして僕たちにとっては運良く家族連れが見つかった場合、
僕達は仔実装を一匹ずつつまみ上げて自転車の籠の中に放り込むのだ。

「デェェェッス? デェェェェ!?」

親が悲鳴を上げるが気にしない。遊ぶ時間は短いのだ。ペダルを踏み込む。

「テチャ テチャァァァァァ」

見る見る遠ざかる親実装を、血涙を流しながら呼ぶ籠の中の仔実装。
この仔実装がその日の遊びのパートナーになるのである。


「それじゃあ、用意はいいかー?」

小さく切られた発泡スチロールの小片。
割り箸や小枝、ストローやヤクルトの容器でデコレーションされた小船。
その上に乗せられた仔実装が不安げにあたりを見渡す。

「スタート!」

掛け声と共に、仔実装の乗った発泡スチロールボートは川を流れ始める。
今回のエントリーは4艘。
僕の選んだチビ実装の乗ったホワイトドラゴン号はくるくる回りながら流されてゆく。
ちなみに一番でぶっちょな実装が乗ったスーパーサンダー号は、オーナーの手を離れた瞬間傾き、

「テベェェェ」

仔実装は流れに放り出された。どんどん沈んでゆく。
ひっくり返ったボートは失格なので、これで残るは3艘。
でぶ仔を助けに行くと残りの3艘が余波でひっくり返るかもしれないので後回しだ。
それにレースの方が気になるので、「ビャボ ビャボ」と溺れる仔実装は既にこの時点で眼中にない。
4人は結構な勢いで流れていくボートを追って自転車に乗る。

30mほど先に進んだところで白いボートを発見。

「チェェェェェ チェェェェェ」

遭遇からずっと甲高い声で鳴いていた仔実装のボート、グレイトキャノン号が水生植物の茂みに引っかかっていた。

「なんだよー ちゃんとよけろよー 馬鹿実装!」

舵どころかバラストの工夫もないボートに毒づき、茂みに向かって石を投げる友人。
直接手でボートに触れなければ、障害物に引っかかってもレース復帰は可能なルールなのだ。
草を揺らし、波を起こし、ボートが本流に戻りつつある。
するどい石の狙撃が仔実装の周囲をかすめる。

「チャァァァ チャァァァァァ!」

仔実装は必死になって石を避けようとするが、狭いボートの上でそれは叶わない。

「チベ」

たまたま顔面に食らった石に鼻血を吹きながら水面に沈んでいった。

「あー、避けろよ馬鹿実装!」

友人が自分のノーコンを棚に上げ嘆く。皆でへたくそーと笑い囃す。

さて、足止めを食らったが、レースの方はどうなっただろうか。
ゴールの水門まで行くと、深い水位の流れ止めの上で2つのスチロール片がゆらゆらと揺れていた。

「テェェェン テェェェン」

ホワイトドラゴン号の上でチビ実装が泣いている。
もう一方のブレイクソード号の上には、仔実装がいなかった。
ブレイクソード号は棒やら楊枝やらでトゲトゲになってるボートだ。
所々に緑と赤のシミが飛び散っている足場の少ないボートに
「(ああ、きっと途中の濁流でひどいことになったのだな)」と僕達は漠然と事態を想像した。



ゴールの水門こそ僕達のメインの遊び場だ。茂みには具合のいいビンや虫取り網が隠してある。
優勝したチビ実装をバケツに入れ、僕達は夕方までそこで遊ぶのだ。
水辺の虫取りや石探し、水切りに必殺技ごっこ(ただ水に飛沫を起こすだけの遊び)。
今思えばなんて単純な、と思える行為を僕達は本気で愉しんでいた。



日が暮れれば帰る時間だ。
遊び疲れて帰る坂道の途中、力尽きた親実装が倒れていた。
起こしてやるとすごい勢いで吼えかかってくる。

「デビャァァァッス! デビャアア…デ?」
「ほら…   …あれ?」

優勝した仔実装を返してやろうとバケツから取り出すと
そいつの体にはさっき捕まえた無数のタイコウチが取り付き体液を吸い尽くしていた。
完全に事切れた仔実装を親実装に渡すと、親実装はゆさゆさと死体を揺さぶり続ける。

「デデッス デデッス …デェ デェェェ…」
「あー、じゃ、またな」

僕たちが急いでその場を自転車で駆け抜けた後ろで

「デェェェェェェェェーーーーーーーーー!!」

親実装の長い悲鳴が聞こえた。


*****************************


高学年になると危険な遊びが増えてきた。
代表的なのはもちろんチャンバラだ。
コンピューターゲームが普及してきた時代、ヒーローや勇者はいつも剣を振るっていた。
僕たちも適当な技を叫びつつ、棒を振り回して駆けずり回った。

チャンバラに必要なのはもちろん棒である。
台風の後などはちょうどいい枝も見つかるのだが、普段はなかなかそうはいかない。

それで、隣の家の畑の周りに刺さっている棒を失敬したことがある。
夏休みのことだった。


よく郷実装に関して勘違いされることがあるが、農家はそれほど連中に手を焼かない。
確かに素の農作物は実装石の餌食になりやすいが、簡単な対策をすれば実装石は防げるのだ。

その代表的なものが『実装返し』である。

畑の周りの土を掘り、膝ほどの溝を作る。
その溝の上に張り出す形状で、60cmほどの棒を隙間が空かないように柵のように張り出すのだ。
畑に近づいた実装は溝の中に入ってゆく。
溝の底からは覆いかぶさるように無数の槍が見えるわけだ。
それを越えて畑に侵入する実装石はいない。
柵の間にビニールや紐でも張り巡らせてあればなお完璧だ。


僕は、そんな実装返しの柵の棒を歯欠けにしてしまったのだ。


食い荒らされたトマトの前で、僕は滅茶苦茶に怒られた。
早期発見ゆえに被害は少なかったが

「一度野菜の味を覚えた実装はもう一度やってくる」

と隣のおじさんは断言した。

結局、責任を取るために、僕が畑に侵入を試みる実装を捕獲することになった。


侵入を許した次の日の朝、ラジオ体操を終わらせたその足で
おじさんの畑の周りの見張りに行った。

……いた!

朝露に濡れる茂みの隅から、緑の頭巾が大小4つばかり見える。
こっそり後ろから近づいたが、さて、どうやって捕えたものかと悩む。
しかし、子供の拙い忍び歩きでは、流石に周囲に警戒していた親実装は気がついたらしい。

「デス! デスデス!」

親の号令の元。別方向に逃げてゆく仔実装。全部捕まえるのは無理だ。
…ええい! 一番どん臭かった仔実装を掴み上げる。

「テチャァァァァ!」

他の連中は逃がしてしまった…
肩を落としながらおじさんへ報告に行った。



「上出来だ」

おじさんは捕まえた仔実装を見つめ、上機嫌だった。
籠の中に閉じ込められた仔実装は、隅に蹲ってテチテチ泣いていた。

「よし、これから家族を丸ごとおびき出すから、お前も来い」
「え。おじさん、なにするの?」
「ついてこればわかる。汚れてもいい服に着替えてきな」







畑の外におじさんと一緒に穴を掘った。
広さは直径1m半ほど、深さは腰よりちょっと浅いほどの大きな穴だ。
穴の底に枯れ枝や古雑誌を放り込み火をつける。
火種が安定したら更に朽木や泥まみれの朽ち草を放り込み火を大きくする。

その段になって、おじさんが仔実装を僕に渡してきた。

「服を剥きな」
「…わかった」
「テチャァ… テチィ!」

薄汚れて垢脂まみれの実装の服は掴みにくかったが、頭巾を外すとバナナのようにずるっと剥けた。
おじさんがその服を摘み上げて火にくべる。

「テチィィィィ!!!」

手の中で暴れまくる仔実装。血涙を流して何か喚いているが判る由もない。
そう、当時は実装リンガルなんてなかった。
実装と会話をする必要なんか誰も真剣に考えなかったし、そんな必要もなかったのだ。
おじさんは淡々と続けた。

「髪をむしりな」
「うん」
「テギィィィ! テジャァァァ!」

頭を振り回し髪を抜かれまいとする仔実装。面倒なので体から手を離し頭を掴み上げた。
首吊りのような体制でグネグネ震えていた肌色の固まりも、前髪を抜くと大人しくなり、
右後ろ髪を千切ると「テェ」としか喋らなくなり、完全に禿裸になると「テェテェ」と小さくすすり泣くだけになった。

「これを刺しな」
「え」

おじさんが長くて細い鉄の棒を差し出してきたとき、流石に躊躇した。

「でもおじさん、そんなことしたらこいつが死んじゃうよ」
「殺すんだよ お前が殺すんだ」

流石に僕も衝撃を受けた。
なんで、と問いかける視線におじさんが答える。

「こいつらはもう野菜の味を覚えちまった。
 逃がしたら絶対にまた畑に潜り込む。そうしたらひどい損害が出る。
 だから殺すんだ。野菜の味を覚えちまったから殺すんだ。
 お前が棒を抜かなければこいつは死ななかった。
 だから、お前は自分のしたことの責任を理解したうえで、こいつを殺すんだ」

ゆっくりと、諭すようにおじさんは言った。
その時になって、僕はやっと自分がとんでもないことをしてしまったことを理解し始めたのだ。
ゆっくりと鉄の棒を仔実装のお腹のあたりに付ける。
脱力していた仔実装も、本能で致命的な危機を感じたのか、あわててこっちを見上げてきた。
涙に濡れた仔実装の瞳と、やっぱり涙に濡れた僕の瞳が向かい合う。

「ごめんな」

言葉はわからずとも、仔実装はきっと自分の身を守ろうとしたのだろう。
最後の結論がこれだったのか、仔実装は慌てて右手を頬にあて、小首をかしげた。
今ならわかる、それは間違いなく媚びのポーズだった。

「テッチゲベ」

何か仔実装が言おうとするのを制するように、僕は鉄棒を捻じ込んだ
涙が止まらなかった。






結局仔実装は死んでなかった。棒に刺さったまま、瀕死ではあるが生きていた。
おじさんは仔実装が刺さった棒を焚き火の上にかざすように固定した。

「テェェェェビャァァァァ!! テビャァァァァ!!」

火に炙られ、煙に巻かれ、傷口をねじり上げられて仔実装は絶叫を上げた。
むき出しの肌が赤く染まり、茶色に焦げ、あっという間に引き攣れてボロボロになる。
炭化した組織がささくれ立って木の皮のように剥けてゆく。

「デェェェェスゥゥゥゥ!!」
「テチャァァァァ!」
「テチィィィィィ!」

そんな様子を見て、雑木林の一角から、実装の家族が飛び出してきた。
さっき取り逃がした家族実装の残りだった。
なにか言おうとする僕をおじさんが制する。
二人して茂みに隠れるようにして、実装達に視線を合わせた。

焚き火の上にかざされた仔実装。
悲鳴を上げるそれを見て、流石に我慢できなくなったのだろうか。
親が、姉が、妹が、家族を取り戻そうと焚き火に駆け寄っていった。
視線は地面より上の家族に釘付けのままだから当然足元は見えていない。
そして穴の底の炎は実装の視点じゃ見えない。

「デシャァァァァァ!?」
「テチャゥァ!?」
「チィィィィィ!!」

駆け寄った速度のまま、成体1匹と仔実装2匹は窪んだ地面に転げ落ちた。
穴の底は地獄の業火だ。

「ボェェェェァァァァ!」
「ビヒャァァァァ」
「ゲフ」

可燃性の実装の肉体は、生きたまま焚き火の中に消えていった。

「馬鹿な実装はいい、自分勝手な奴もいい。一番厄介なのは賢くて家族思いの実装だ。
 なんでかわかるか?」

おじさんがとつとつと語り始めた。

「馬鹿は畑に入ってこない。自分勝手な奴は一人満腹になれば満足する。
 だが、家族思いの奴は、自分が食べる分だけじゃなく、家族の分まで持っていく。
 で、次は家族を連れてやってくる。そいつらは親になったらまた自分の家族にそれを教える。
 そうなったらもう畑は終わりだ。だからこいつらの家族は皆殺しにしなくちゃいけねえ」

おじさんは灼熱の坩堝に背を向けると、家に戻っていった。
僕は暫く焚き火から目を離せなかったが、一人になると急にその場にいるのが怖くなり、
あわてておじさんの後を追った。
ショッキングすぎる光景の連続で、そのまま家に帰りたくなかったのだ。
朝ごはんをおじさんの家でご馳走になり、普段見ないテレビ番組をおばさんと眺め、
暫くしてから、おじさんと焚き火のところまで戻った。


火はその頃には全て消えていたが、穴の底には10体ばかりの黒焦げの死骸があった。

「肉の焼ける匂いで釣られた他の糞蟲も落ちるんだよ」

おじさんがぽつりとそう言った。
二人で、棒の先の消し炭と一緒に、実装たちの死骸に土をかぶせていった。



この時のことは、親にも、弟にも、友達にも話さなかった。
大人になって一人暮らしをしている今も、誰かに話そうとしたことはない。



*****************************


郷実装、と呼ばれる実装石がいる。

町で暮らすにはしたたかさが足りず、同属と争うには強さが足りず、
山に入るには体力が足りず、人間と離れるには覚悟が足りない。

そんな愚鈍で善良で貧弱で間抜けな実装石。


僕の幼年期の思い出の多くは、そいつらの悲鳴と共に思い出される。
あの里山には、まだ郷実装が暮らしているのだろうか。
それとももう里山ごとなくなってしまったのだろうか。

どこからか聞こえてくる実装石の鳴き声を聞きながら、ぼんやりとそんなことを考えた。



完

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1 Re: Name:匿名石 2014/10/02-02:03:47 No:00001416[申告]
夏の終わりを感じる、いい作品だった
2 Re: Name:匿名石 2019/09/22-02:47:28 No:00006105[申告]
こうして少年はひとつ大人へと進んでいくんだな
3 Re: Name:匿名石 2019/09/22-14:21:03 No:00006106[申告]
糞袋どもが懸命に生きようとしても無惨に死んでゆく
人間と変わらないかそれ以上に家族を想っても脅威とみなされ狙われる
最高の娯楽だ
4 Re: Name:匿名石 2023/07/16-17:32:30 No:00007537[申告]
素晴らしい。
虐待以外要らないというストイックな虐待派なら自給自足しながら実装石を虐待出来る楽園にも見える。
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