このスクは[実装石虐待補完庫(塩保)]の[過去スクまとめ]に保管されていたものです。ある実装石親子の一生 ③ 06/04/04(Tue) from uploader 実装スタジアムのレース実装搬入口 私の前に並べた3つのケージの中には今日の主役である3匹の実装石が入っている。 あと1時間後のレースで運命が決まる。生きるも、過酷に死ぬのもこいつらの努力しだい。 お決まりのレース直前の気持ちをインタビューしてみるか。 「賢い私にかかればこんなレース楽勝デスゥ♪ 私のためのご馳走をたくさん用意して待っているがいいデスゥ♪。」 「ママに選ばれた賢い私が勝利するのは黄金律で定められたことなのデス。 私に働いた無礼を一生かかって償わせてやるから覚悟するがいいデスゥ♪」 ふ〜〜ん・・大きく出たものだねぇ・・。 こいつらの運命は既に決まっている。 私が提案したゲームで生き残るために必要なものはズールー族のごとき無限の体力とチーターの速度だ。 この恥豚どもは最後の最後までそれを理解できなかったようだ。 親蟲と同じようにこの恥豚どもも「賢いふりをしている実装石」というものだったということだ。 マッシブにも聞いてみる。 「やれることはやり尽くしたデス。あとはただ全力で戦うだけデス・・・。」 うーむ・・・、お前さん本当に実装石かい? マッシブの発言を聞いてデププと笑う恥豚ども。 笑っていられるのは今のうちだけだぞ・・・。 係の人にケージを渡して、私は主催者のいるVIP席に向かう。 この実装ギャンブルの殿堂である「実装スタジアム」の主催者は、 私の親友である虹乃宮という男。 今回、私は友人のよしみでこのゲームの片棒を担いでもらっているのだ。 「よう兄弟、アレの仕上がりは完璧か?」 「誰に物を言っている?見たら腰を抜かすこと間違いなしだ。」 持ってきたケージを置き、中から親蟲と裏切り子蟲を引きずり出す。 先ほど注射した栄養剤のおかげで骨格標本寸前の身体が肋骨の浮き出たぐらいになっている。 あいかわらず出鱈目なナマモノだ・・・・。 禿裸のみっともないナマモノがデスゥデスゥと情けない声を出してケージに逃げ込もうとする。 あんなに出たがった外なのに何を遠慮する。とりあえず潰れない程度に踏みつけて、 「これからお前達の運命を決めるレースが始まる。 始めに話した通りお前の運命は3匹の子蟲達の手に握られている。 そこまでは憶えているな?」 「は、はいデス・・。」 「私はお前の子達の勇姿をお前に見せてやろうと思う。 賢いと自己申告したお前の選択が正しかったか、ここで見届けるがいい。」 「・・・・・」 窓に手をつけ競技場を見つめる親蟲。 一方、裏切り子蟲はケージの影に隠れてガタガタ震えている。 腹に溜まった糞は抜いてあるので普通の中仔実装のなりをしている、ただし禿裸だが。 「お姉ちゃん達の応援はしなくていいのかい?」 とつまみ上げて聞いてみると、 「ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス! ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス! ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!」 と壊れたCDプレーヤーの様に繰り返すだけだった。 そんなハートフルなやり取りを見ていた虹乃宮が 「お前の責めは悪魔も逃げ出すくらい過激だからな〜。 その子蟲、ぶっ壊れたんじゃないのか。」 「抜かせ、コイツはそこの親蟲がいたぶり潰したのだよ。 まったく愛情深く賢い親御さんだよ。」 そう言って、つまんでいた子蟲を親蟲の背中に投げつけて彼の隣に座る。 「で、アノールは元気か?」 「ん〜、あの子なら家で寝ているよ。 こういう過激な見世物は嫌いでね。この前、レースを見せたら気絶たんだ・・。 それにそこの不気味なナマモノを見た日にはひきつけを起こすだろうからな。 しかし、あんなに大人しい実装紅の完全体がいるとは思わなかったぜ。」 「それが売れる秘訣と言うものだ。判るかねワトソン君。」 そうそう言い忘れていたが、私の本職は実装紅ブリーダー。 読んで字のごとく、実装紅を完全体になるまで飼育教育して売る商売をしている。 外国の貴族や富豪と呼ばれる人種は 完全体と呼ばれる人間の少女そっくりの外見にまで成長した実装紅を飼う事をステータスにしている。 上流階級と呼ばれる人間の考え付くことは理解しがたいことが多いが、これが中々いい金になる。 しかし、黙っていればお姫様で通るくらい可愛らしい実装紅完全体の欠点は、恐ろしく気位が高いこと。 成体から完全体になるまで育てることが至難であることはもちろん、 天上天下唯我独尊を体現した存在を教育することは筆舌しがたいぐらい難しい。 だが私には曽祖父から伝授された技法を用いてその気位が高さの不要な部分を打ち消し、 人間になつく様にすることができるので商売としてやっていけるのだ。 そうした個体をそれぞれの文化圏の趣向にあわせた教育を施して販売している。 市場相場で一体2000万はくだらない代物が年間10体以上も売れるものだ。 ただ、日本ではあまり売れ行きがよくない・・・。 ちなみに虹乃宮に譲った個体は市場に出せば2500万くらいになる物。 でもこの娘は商品に出来なかった。 躾や稽古事を完全にマスターしているのだが、すさまじいまでの人見知りをする。 貴族や富豪に飼われる実装紅は社交界やらパーティーやらに連れ出されてお披露目をするのが仕事になる。 何事にも動じないふてぶしさが必須になる。 このように欠点があっても有能な個体は稽古事の教師や繁殖用に廻したりするのだが、 たまたま家に遊びに来た虹乃宮の奴がえらく惚れ込こんで、譲ってくれと拝み倒されて売る次第になった。 ただし1800万まで値切られたが・・・。超金持ちの癖に変な所でしっかりしてやがる。 虹乃宮と他愛も無い雑談を交わしていると、件のレースの開始を告げるアナウンスが流れる。 すると虹乃宮が立ち上がり、親蟲の所に歩いて行き声をかける。 「始まるみたいだな。」 「デスゥ・・・。」 声をかけられただけでだけで粗相をしそうになる親蟲。 たえず歯をカチカチ鳴らし、バイブ並みに震えている。 「そうそうお前さん助かったら何がしたいんだ?」 虹乃宮は悪い笑顔を浮かべながらガラスに張り付く親蟲に問いかける。 酷い奴だ・・・なんて楽しみ方をする。 アノールが見たらショック死しそうな笑顔を浮かべて親蟲の不安を嬲っている。 背面の様子が分かりようのない親蟲は震える声で答える。 「子供達と人間のいない所で静かに暮らしたいデス・・・。それ以外は何も望まないデスゥ・・。」 「あははははっっ、そりゃ無理だな!」 「なんでデスゥ、私の賢くカワイイ仔達が勝つはずデス。 そうすれば私と子供が解放されるのは決定されたことデス。 あのニンゲン様が約束したことデス。なんでそんな酷いことを言うんデス。」 「それはな・・・おっとレースが始まるぞ。 百聞は一見にしかずと言うことだ。しっかり見るといい。」 ファンファーレが鳴らされ、開け放たれたゲートから一斉に飛び出すレース実装達。 スタートの時点でマッシブが1番手を取り、爆走する。 おおおお・・・・何だあのスピードは、人間の小走りする位の速度が出ているぞあれ。 親蟲の顔に希望が宿る。 「でも親蟲、アレはお前が要らないと言ったガキだぜ♪」 「デスゥッ!!」 虹乃宮は楽しげに解説する、まったく・・・。 私は最後列の辺りをフラフラ走っているであろう恥豚どものすがたを探す。 ・・・・・・・・・・・? 居ないな・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 もしかして・・・。 まさかと思い、出走ゲートを見ると・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 私は虹乃宮の服を無言で引っ張る。 「なんだよ、1番いいとこなのに・・・・・ん〜〜〜。」 双眼鏡で私の指差す方向を見て、固まる虹乃宮。 そう、そこにはあの恥豚どもがいた。 ふくらんだ腹が邪魔でゲートから出ることが出来ないらしい。 「「うはははははははははははははッっーーーーーーー!!!!!!!!」」 気が触れたように笑い、床を転げ回る私と虹乃宮。 まさか、まさか・・・・最高だ!!恥豚ども!!! もう・・・・・・駄目だ・・こっちが先に死ぬかも・・・ 腸捻転になりそうな位よじれて笑い狂う私達と対照的に選んだ仔たちの醜態を見て、 紙のように白くなり固まっている親蟲。 そんな恥豚2匹のファンタスティックなコントを尻目に マッシブは他のレース実装に30mの差をつけてゴールしていた。 「デスゥゥゥゥ!!!」 絶叫する親蟲。 自分の運命が過酷な死以外ないということをようやく理解したのだろう。 いままで我慢してきた感情を吐き出し人目を気にせず狂ったように泣き叫んだ。 運命の過酷さを、選んでやった恥豚どもの不甲斐なさを、そして自分の愚かさを呪い、咽び啼く。 マッシブがゴールしたのと同時に恥豚どもは係の人に蹴り出されてようやくコースに出る。 遅れを取り戻そうと懸命に走る、だが仔実装の走る程度のスピードしか出せない恥豚どもはまったく進まない。 15分後、あまりの醜態に客が痺れを切らして殺せの大合唱が始まる。 今まで体験したことのない凄まじい悪意の渦にビビッた恥豚どもはコースのど真ん中で丸まりこんでしまい、 終いには係の人に摘み出されていった。 なんとか笑死を免れた私は深呼吸を一つしたあと、立ったまま痙攣している親蟲の肩に優しく手を載せる。 恐る恐る振り向いた親蟲は、虹乃宮曰く悪魔が裸足で逃げ出すという私の笑顔をまともに見て固まる。 「恥豚のことはともかく、要らない仔が一位になっておめでとう。 せいぜいその賢しい頭で考えたエスプリの効いた命乞いを楽しみにしているよ♪」 「デェスゥゥゥゥゥーーーー!!!」 そう告げて絶叫する親蟲と丸まって震える裏切り子蟲をケージの中に突っ込み、 まだ痙攣が完全に治まらない虹乃宮と共に遅めの昼食を取りに部屋を後にする。 その日の夜、恥豚どもを親蟲の水槽に放り込み、マッシブと話をする。 見事1位になったマッシブの今後の身の振り方を聞くためだ。 「おめでとうマッシブ、見事一番になったお前には一番初めに話したように3つの権利が与えられる。 今からその答えを聞きたい。」 そう告げるとマッシブは少しうつむいて考えた後、 「ニンゲン様、自由になる権利とお願いを聞いてくれる権利を捨てる代わりに、 ワタシを又レースに出させてくださいデスゥ。」 何も教えていないのに物の頼み方を何処で憶えたのか・・・。 もしかしてコイツみたいな奴を本当に賢い実装石というのかもな。 「いいだろう、その望みを叶えてやろう。 それとな、お前のことを購入したいという既得な奴がいてな、お前が良いと言うならそいつに売ろうと思う。 まあ私は虐待以外で実装石を飼おうとは思わないし、 ここにいればいつかお前にも無残な死が訪れることになるだろう。 だが極めつけの異端者であるお前を虐待死させるのはさすがの私でも気が引ける。 この申し出にいい答えを出してくれるとこちらとしてもありがたい。・・・どうするかな?」 マッシブは二つ返事で快諾し、レース実装として生きる道を選んだ。 あとは最後に残った親蟲の生死について訊ねると 「この残った唯一の財産である前髪を捨ててもいいからワタシ自身の手で殺させては欲しいデスゥ!」 と鬼気迫る顔で嘆願してくる。 まあコイツはこのためだけに生きてきたのだからそれぐらいの我侭は無償で聞いてやろう。 そのころ・・・。 親蟲は憤怒していた。 恥豚二匹を打ち据えて、罵声を浴びせている。 「ママ、ごめんなさいデスゥ!!もうぶたないでデスゥ!!」 「痛いデスゥ!!やめて、やめてほしいデスゥ!!」 「デガアァァァァーーーー!!!この糞どもがふざけるなデスゥ。 賢く美しいワタシが選んでやったというのになんて様でデス。 もうこれでお終いデスゥ!!あの残忍なニンゲンにあの子達以上の責め苦を嫌というほど味あわされて 死ぬことになっちまったんデスゥ!!!!そんな姿になるまで楽しんだお前達はともかく、なんでワタシが、 なんで賢く美しく世界に稀な存在であるワタシが死ななければならないんデスゥゥ!!!!!!」 色々な体液を撒き散らしながら気の触れたように怒り狂う親蟲。 これが親蟲の本当の姿なのだろう、 度重なる苦痛と絶望で虚構の仮面が剥がれて現れた野良実装と同じ代物。 賢さも演技、子供への愛情も演技、生きていることすら演技なのだろう実装石という生き物は・・。 嵐のようにまくし立てている親蟲に恥豚の1匹が恐る恐る提案をする。 こいつは私に非常に無礼な発言をした方の恥豚だな。 「こうなったらワタシの色気であのクソニンゲンを誑し込んでやるデス。 必要ならば無償で抱かせてやってメロメロにしてやるデス。 この美しい身体で誘ってやれば、物欲しげなニンゲンなんていちころデスゥ♪」 自分の発言の素晴らしさにうっとりしている恥豚に親蟲は張り手を顔面にご馳走する。 「デゥゥウゥウゥーーー!!」 みすぼらしいツラを陥没させて絶叫する恥豚。 「このくそがぁぁぁーーーー!!!。 脳味噌にまで脂肪が付きやがったんデスかぁぁーーーーー!!!! あのニンゲンはワタシたちのことなんて生ごみ以下としか思っていないんデス!! 地獄に落ちたほうがマシという目に遭いたいんデスか!! もしもお前がそんな真似をしたら・・・ワタシにまでとばっちりが・・・。」 ひとしきり怒鳴りまわした後、ブツブツ言いながら座り込む親蟲。 血涙を流して丸くなって震える恥豚ども。 水槽に恥豚どもが入れられたときから完全に無視されている裏切り子蟲は水槽の隅で頭を抱えて震えるのみ。 三者三様に惨たらしい結末を待つ糞虫親子。 糞虫親子が黙り込んでから1時間後。 蓋を開け糞どもをトングで掴み出し、床に投げ捨た後足で一箇所にかき集める。 「許してくださいお願いデスゥ!!後生デスゥ!!お願いしますデス!! い、命だけは・・・命だけは・・・。」 土下座で許しを請う親蟲。 丸まって震えるばかりの子蟲ども。 なんで実装石というものは判を押したように同じ行動しか取れないのだろうか・・・。 私も物心ついてから1000組以上の実装石親子を嬲り潰してきたが、ほんの5組以外はどれも同じ答え。 血涙を垂れ流して「命だけは助けて。」と懇願する・・・・・まあ、これも演技なのだが。 痛いのは仕方ないが耐えればニンゲンが飽きて開放してくれるなどと初めのうちは余裕をかましているが 10回も仮死を迎えれば言動と思考が一致してくる。絶対に助からない・・・・と足りない頭でも理解する。 私はそのときの下らない演技の入り込む余地のない混じり気無しの絶望の顔が見たくて、実装石を潰している。 まあ話がそれたが、震える糞虫親子の傍にマッシブを降ろし、親蟲に声をかける。 「おい!親蟲。 私が初めに言った事を覚えているか?1番になった子蟲に3つの権利を与えるといったことを。 それでマッシブはお前達に話があるそうだ。」 「デゥ!!!」 驚く親蟲。 だってこの仔は・・ワタシが切り捨てた仔は・・ワタシのことを憎んでいるはず・・・。 ・・・でも、もしかしたらワタシだけでも助けてくれるのかもしれない・・。 なんたってワタシはあの仔のママなのだから・・。 親蟲の瞳に希望の光が宿る。 ・・・・・・本当に愚かな奴だ。自分のしたことすっかり忘れているのか。 まあいい感動の再会といこうか。 能面のように無表情のマッシブに親蟲が匍匐全身で近づき、土下座で懇願する。 「愚かなママを許してほしいデスゥ〜〜。 純情なワタシにはあの糞どもの本性が見抜けなくて騙されたんデスゥ〜〜。 本当はお前のこ・・・・ヂャバ!!!!!!!」 最後まで喋る事を許させず、顔面を蹴りぬかれ、鼻に当たる部分と前歯を上顎ごと失う。 「ヒャべべべべべべ!!!!ヒュバァァァァ!!!ヒュブウゥ!!!!」 きっと「ママになんてことをするんデス〜」などとほざいているのだろうが、 鼻と上顎を失った今、それを伝える術はない。 潰された顔を押え、上目使いでマッシブを見ようとするも踵落しを喰らい地面とキスをする。 さらにこめかみを蹴り抜かれて3mほど吹っ飛ぶ。 身体が筋肉ダルマになるほど鍛え抜かれたマッシブの一撃は 人間の子供に殴られるのと同じぐらいの威力があるようだ。 3mほどむこうで頭を3倍ほどに膨らませている親蟲は仮死してしまったようだ。 だが、これで終わりではない。 怯えきって丸まっている姉妹を無視して、親蟲の元に向かう。 仮死から蘇生してゼーゼーと荒い息を上げる親蟲の頭の皮を掴み、片手で持ち上げてぶら下げる。 意識の戻ってきた親蟲の視界に映るものは・・・マッシブの貌に刻まれた憤怒の表情。 「ワタシを、要らないといったその口で!何を!何をぉ!ぬかしやがるんデスゥ!!!」 マッシブはその拳にいままで溜めに溜めた怒り、憎しみ、そして悲しみを込め、 一撃、一撃を味わうように親の体に打ち込んでゆく。 短い口笛のような呻きとステーキ肉を地面に叩きつけたときのような音だけが部屋の中に木霊する。 10分後・・肩で荒い息をするマッシブの足元には赤緑色の餅と化した親蟲の躯・・・否、まだ生きている。 弱々しく呻く肉塊にマッシブは唾を吐きかけ、踏みにじろうとする。 「まあ待て、マッシブ。」 「デスゥ!!」 私の呼びかけにビクッとして振り返るマッシブ。 「その一撃でこの糞は死ぬ。お前はそれで本当にいいのか? お前を不要と罵った糞をこの程度で楽にしてやってお前は満足するのか? よく考えるんだ。 お前は本当にそれで満足するのか?」 私の問いかけに苦い顔をして親蟲の成れの果てと私を見比べでいる。 そうだろう・・・・お前は少しも満足していない。 お前の本当の願いを虐待師の私が叶えてやろう。 ちり取りで餅化した親蟲を拾い上げる。そして 「マッシブ、お前に素敵なプレゼントをやろう。少し親蟲を借りるぞ。 その間に姉妹の処理を任せよう。」 と声をかけて隣の部屋に向かう。 餅化した親蟲を小型の水槽の中に放り込み、業務用の冷蔵庫の中を漁る。 中から翡翠色の液体の入ったビンを取り出し、スポイトで1CCほど翡翠色の液体を抜き取る。 そしてそれを餅化した親蟲にふりかける。 10秒もしないうちにものすごい勢いで泡立ち始め、親蟲を覆い隠す。 「デbjёs=&んhふc%べbk㊥£sーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」 と元気な叫び声が上がり、メキメキ、ビシビシと景気のいい音が水槽内に響き渡る。 3分後、親蟲は髪と歯が全て失われているが捕まえてきた当時の丸々とした実装石の体型に戻っている。 コイツにふりかけたのは実装活性剤という劇薬。 これは実装石の偽石から抽出した生体エネルギーを液化させた代物。 人間にはなにも効果は無いが、実装シリーズに使えば成長や再生を飛躍的に早めることが出来る上に、 副作用が他の促進剤や栄養剤と違ってまるで無い。 100倍に薄めた実装活性剤を入れた紅茶を飲ますだけで再生能力の低い実装紅ですら 半日で腕1本を丸ごと再生させることもできる優れもの。 ちなみに100CC作るのにエサを生まれたときから一切与えず栄養剤の点滴のみで丸々と肥やした 生後8日目の仔実装100匹を原料として必要とする。 原料の管理と生成過程の中での人間の手による複雑な作業があるため工場での大量生産には向かず、 一部の虐待師達がその製法を伝承し製作したものが通販で出回っているだけの珍しい物なのだ。 私も曽祖父からこれの製法を学び、実装紅飼育の助けに使っている。 今までこいつ等があんな無茶な環境でストレス死しなかったのは実装活性剤のお陰。 元々生命力だけは全生物中最高を誇る実装石はこれに偽石を漬けるとほぼ不死化するのだ。 復元した親蟲を吊るし、マッシブの元に戻り渡そうとするも親蟲はさっきの有様が嘘のように暴れまわる。 逃げ回ると面倒だな・・・。私は親蟲の右膝を360°回転させてからマッシブの前に降ろしてやる。 膝関節を破壊された激痛でその場でグルグル回る事しかできない親蟲にマッシブが悠然と歩みよる。 「ゆ、ゆ、許してデスゥゥゥーーー!!」 命乞いをする親蟲の顔をさっきよりも加減してぶん殴るマッシブ。 それでもやわな親蟲の下あごは一撃で砕けてぶら下がる・・・、があっという間に巻き戻した様に再生する。 再生した後でも傷の痛みに悶える親蟲を唖然とした表情で見つめるマッシブ。 これが実装活性剤のおまけの効能。 原液を体にかけてやると20分ほどの間、再生力が100倍に強化されるのだ。 ただ、新陳代謝も100倍になるので寿命が物凄く縮む。 「なぁ?素敵なプレゼントだろ。」 「デスゥ♪」 実装石らしからぬ笑顔で私に答えるマッシブ。 壮絶な笑みを浮かべて殴りかかるマッシブを尻目に糞姉妹たちの様子を窺う。 恥豚二匹は体中を3倍に膨らまして悶絶していが時間が短かったため仮死まで追い込めなかったようだ。 だが問題は裏切り子蟲は・・・まったくの無傷なのだ。 これはどういうことか・・・・? 血みどろのスキンシップが一段落ついたマッシブに聞いてみる。 すると、 「コイツのお陰で今のワタシがあるんデス。 コイツがニンゲン様に会わなければ、ワタシはこのクズに喰われて文字どうり糞になっていたデス。 だから殺すのはなんとなく忍びなくて・・・デスゥ。」 う〜む・・・、コイツは恩義を感じることもできるのか。 さて・・どうしたものか・・・・・・。 あれから半年後。 私は実装スタジアムの支配人室にいた。 アノールを膝の上に乗せてソファーの向かいに座る虹乃宮にジュラルミンケースを渡す。 「いつもすまないな。こいつがあると随分と便利がいいものでなぁ。」 ジュラルミンケースから取り出した実装活性剤のアンプルをしげしげと眺める虹乃宮。 「なに、こちらは商売だからな。注文を受ければ可能な限り生産するさ。 それと虹乃宮、余りの成体実装石がいたら100匹ほど回してくれるか。今回の生産で出産石をかなり酷使 したからそろそろ入れ替えをしないといけない。それにしても5リットルも何に使うのか?」 「まあそのうち教えるさ。それはそうとお前から購入したマッシブ、すごいな・・。 あんなの実装石じゃねえぞ。本当は実蒼石を改造したんじゃないのか?」 失礼なことを言う奴だ。虐待の映像記録を一番初めから見せてやったのにまったく・・・。 「そういえば、今日はアノールの機嫌がいいのか?あんなに嫌がっていたここに来るなんてな。」 「家に置いてくると俺が帰るまでずっと泣いているんでよ・・・。 だから、なんとかなだめすかして過激な物を見せないようにして連れ歩くようにしているんだ。 あんな顔で泣かれたら俺まで悲しくなってくる。」 アノールを抱きしめ頬擦りをする虹乃宮。まったく馬鹿飼い主ぶり全開だな・・・。 実装石をミリ単位で切り刻んで馬鹿笑いをしている奴と同一人物とはおもえんな。 たしかにしおらしい実装紅は病的なまでに可愛らしいが・・・アノールのはそれを遥かに通り越している。 実装紅とは思えないはかなさが虹乃宮の心を捉えて離さないのだろう。 突然抱きしめられたアノールは状況をうまく理解していないようだが、 虹乃宮にかまってもらえるのが嬉しいらしく華のような笑顔でほほえむ。 ・・・・・みっともないなぁ虹乃宮・・・・・ツラがだいぶ歪んでいるぞ・・・。 白昼堂々ラブ時空に旅立ってしまった虹乃宮達を10分程しげしげと観察したあと、今日の本題を切り出す。 虹乃宮に注文された品物を渡すついでにアレの様子を見る為、郵送で送らずにワザワザ自分で届けにきたのだ。 「アレの調子はどうだ?ちゃんと機能しているかな。」 「今の所はバグも無くちゃんと働いているという報告をうけているが・・・。 なんなら今から見に行くかい?」 「そうだな・・・面倒臭くなる前に行くとしよう。」 「アノール、俺はこれから先生と仕事の話が有るんででちょっと空けるよ。 この部屋でいい子にして待っていてくれよ。」 アノールの寂しそうな視線に後ろ髪を引かれている虹乃宮を連れて地下の実装飼育エリアに向かう。 実装スタジアムの地下5階に在る実装飼育エリアに入り、マッシブの居る部屋を目指す。 ここは実装スタジアム地上階にある実装ギャンブル用の仔実装を生産している場所。 常時10万の出産石から生産される仔実装を分類別に仕分けし、飼育出荷している。 一日3万匹ほど生産される仔実装も生まれたその日のうちに98%ほどが消費され明日を迎えることは無い。 残された2%もさらに過酷な運命が待ち受ける。 実装コロシアム用に厳しく調教され、満一歳を迎えることなく戦い死んでゆくか、 出産石候補として出産機能を強化された後、仔が産めなくなるまで出産を強要されて擦り切れて死ぬか、 の二択しかないのである。 ガラス張りの廊下を歩くうちに、首かせを咬まされ、空気椅子の体勢で拘束されている出産石たちが 苦しみながら糞をひり出す様に仔実装を産み落としている様子が目に留まる。 「テッチュゥ♪」 「テチュウー!テフーーン♪」 「テッフゥーン!テッチュウ♪」 「レフゥーン♪」 「テフー♪」 「テッチューーーゥ!♪」 「テフー!♪」 喜びに満ちた鳴き声を上げてボトボトと生れ落ちる仔実装達。 お前達は苦しみと絶望を味わうためだけに生まれてきたというのに・・・能天気な奴らだ。 その能天気な奴らを分類石たちがいそいそと仕分けをしている。 ここで実装ギャンブル用に選ばれた連中は幸せだ。すぐに死んで楽になれるからだ。 それ以外の実装コロシアム用、出産石用に選ばれた連中は・・・。 この世に生れ落ちたことを呪いながら長い時間をかけて死んでゆくだけだ。 そんなことも知らずに分類石に抱き上げられて喜ぶ子蟲たちを見ていると楽しくなってくる。 出産石のエリアを抜けてマッシブの個室にたどり着く。 中に入るとテーブルの前に座ったマッシブと専属の飼育員が私達に敬礼する。 「これから食事だったのか。」 「はいオーナー、今日は特別メニューの日です。」 白いエプロンを掛けた専属の飼育員はきびきびと答える。 この特別メニューというのは・・・。 隣の部屋から白い服を着た成体の禿実装石がワゴンを押して入ってくる。 「今日は俺達も見学させてもらおう。始めてくれ。」 虹乃宮の合図と共に白服の禿実装石がワゴン内から仔実装を3匹ほど取り出す。 禿実装石の手にある仔実装は生後一週目ののわりには体が大きく丸々と太っている。 禿裸に剥かれ額にA01、A02、A03と番号が振られている仔実装達を飼育員に手渡すと 白服の禿実装石は奥の部屋に戻り、中から別のワゴンを押してくる。 そのワゴンをマッシブとキッチンの丁度中ほどに置き、その配置が三角形になるようにする。 そしてワゴンの側面の蓋を上げると・・・ 中には四つん這いに拘束され、頭が正面を見据えるように固定された親蟲と恥豚2匹が入っていた。 「デウゥウゥウーーー!!子供を返せデスゥ!!!!」 親蟲が騒いでいる、どうやら今日の食材は親蟲の仔らしい。 「チャンピオン、今日のメニューは如何様にしますか?」 「今日は和食コースでお願いしますデス。」 丁寧に飼育員に頼むマッシブ。 あいかわらず礼儀正しいな。 飼育員はキッチンに向かうと、仔実装の調理を始める。 全ての仔実装の偽石をあっという間に抜き去り、実装活性剤を10倍に薄めた物に漬ける。 偽石を失い、そわそわしている仔実装達をシンクに移してぬるま湯で洗う。 「「「「チューーーン♪」」」」 と喜ぶ仔実装達。 そしてA01の仔実装を摘むとまな板の上に置く。 まな板の上でキョトンとしている仔実装に飼育員はスポイトで実装活性剤入りの砂糖水を啜らせる。 「テチュウゥゥゥーーーー♪♪♪」 生まれて始めての甘味に叫び声を上げて喜ぶ仔実装、天上の美味を味わったような顔をして踊る子実装を まな板の上に寝かせ、刺身包丁で総排泄口のスリットから上に向かって一文字に切り内臓を取り出す。 そして手足を切り離し、身体を開き4枚に卸し、頭を脊椎が付いたまま取り外す。 解体された肉を薄くスライスし、絵皿にふぐ刺しのように盛り付け、先に取り除いた肝臓を飾りつける。 最後に悶絶する頭に偽石を戻し刺身の中央に配置してマッシブの元に出される。 「おまたせしました、仔実装の活け作りです。」 天国から地獄に転げ落ちたような顔の子蟲と透けるほど薄く切られた切り身のコントラストが素晴らしい一品。 パクパク口を開閉している頭に微笑みながら、仔実装の刺身に舌鼓を打つマッシブ。 「うまいデスゥ!!やはり生後一週間の仔実装肉は最高デス。」 「デギャァァァァーーーー!!!!子供を食うなデスゥゥゥゥ!!!その仔はお前の妹なんデスよ!!!」 「仔産みは黙ってワタシのための肉を産むがいいデス。なんのために生かしていると思っているんデス?」 さも旨そうに妹の成れの果てを喰うマッシブと血涙を流して抗議する親蟲。 その隣でよだれを垂らして物欲しげにマッシブを見つめる恥豚二匹。 「旨そうデスゥ・・・ワタシも喰って見たいデスゥ・・・」 ついつい余計な一言がほどばしる。 その暴言に親蟲は即座に反応し 「この畜生がぁぁぁ!!!!死ねデスゥ糞蟲!!!!」 「デスゥゥゥゥ!!!!ごめんなさいデスゥ!!」 親蟲の羅刹のような貌にパンコンしそうなぐらいビビる恥豚。 それを尻目にマッシブは刺身を完食し親蟲達に声をかけ、残った頭を口にほうばる。 「デスゥゥゥウウゥゥーーーーー!!!!」 絶叫する親蟲を満足げに見下ろし次の料理を注文するマッシブ。 A02の仔実装は前の奴よりも悲惨な運命が待ち受けている。 今度も実装活性剤入りの砂糖水を先に啜らせ、まな板の上に寝かせる。 そして神速の包丁捌きで肺と心臓を付けたまま頭を取り除く。 「チェ?チュウ・・・?・・・・・チュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」 後からやってきた激痛に悶える仔実装。 それに連動するかのように頭の無い体がパタパタと手足を動かす。 それをすり鉢のなかに入れ、すりこぎで荒めに磨り潰していく。 「チャア!!チュアァァ!!チュウゥゥウ!!チィィイイ!!」 神経が繋がっている訳でもないのに苦悶の表情を浮かべ、すりこぎの回るペースに合わせて呻き声を上げる。 ある程度潰れた処に蓮根、豚バラのひき肉、各種調味料を入れ一つになるまで混ぜ和せる。 できあがったタネをくり貫いた大き目の蕪に詰め込み、蓋として肺と心臓の繋がったままの仔実装の頭を タネの中に突っ込んで蒸し器の中に入れ10分間蒸し上げる。 「チュウウウウウウウゥゥゥゥウウゥゥウウウウウウウーーーーーーーー!!!!!!!!」 蒸し器の中から上がる絶叫。その声が絶えることなく延々と響く。 「もうに殺してあげてデスゥゥーーーー!!!。その仔は何にも悪いことをしていないのに何で こんな酷い目に会わなければならないんデスゥ!!」 「馬鹿だなぁ、親蟲。 実装石は生きているだけで重罪なんだぞ。知らなかったのかい? お前の罪はお前自身が苦しんだだけでは清算されるものではないんだ。 だからお前のガキどもにも分割して罪を清算してもらっているんだよ。」 虹乃宮は三日月のような笑みを浮かべて親蟲の愚問に律儀に答えてやる。 口をあんぐりと開けて虹乃宮を見つめる親蟲。 その間抜け面に狂ったように嘲笑を浴びせる虹乃宮。 その間も仔実装の魂千切る悲鳴は続く。 10分後、蒸し器から取り出された仔実装のお頭つきの蕪を深めの皿に盛り、耳の穴に偽石を入れる。 そして葛粉でとろみをつけた餡を仔実装の頭に満遍なくかけて、マッシブの元に運ばれる。 「どうぞ、仔実装ひき肉詰めのかぶら蒸しです。」 今が旬の蕪の甘みと、蒸されている間にひき肉と同化して神経網が張りなおさた 仔実装の悲鳴がいいアクセントになる一品。 高温で蒸された仔実装の頭は赤く焼け爛れ、蕪と一体化した姿はまるで出来損ないの達磨。 「テェェェ・・・・・・・。」 と意味のない呻き声を上げて悶絶している。 マッシブは先割れスプーンで切り込みを入れ、一口分を取り口に運ぶ。 「荒め引かれたひき肉と蕪の甘みが絶妙にマッチして美味しいデス。 アクセントに入れられた蓮根の食感も素晴らしいデス。」 悶絶する熱々の仔実装料理を美味そうにほうばるマッシブに親蟲は無意味な抗議を続けている。 「お前は畜生デスゥゥゥーー!!妹喰らいの畜生め、地獄に落ちるがいいデスゥゥゥゥーー!!! 家族であるワタシ達をこんな目に遭わせて何が楽しいデスゥゥゥーーーー!!」 罵詈雑言を無視し黙々と仔実装料理を平らげ、飼育員にメインディッシュを注文すると マッシブは椅子から立ち上がり親蟲の拘束されているワゴンに向かう。 まくし立てる親蟲の目の前に立つとそのブサイクなツラに渾身の張り手をぶち込む。 「お前は何を勘違いしているんデス。ワタシはお前の家族なんかじゃない。お前の飼い主様デス。 お前はワタシのことを捨てたくせに何をいまさら母親ズラをしているんデス。 ワタシがいままで喰ってきたお前の仔たちも野良の生活だったら自分で殺して喰っちまうくせに 何をご立派なことを抜かしやがるんデス。」 「ワ、ワタシはママデスゥ。家族の安全を第一に考えるのは当たり前です! 馬鹿がいるだけで今のワタシ達のような酷い目に遭うことになるんデス。 馬鹿な要らない仔を間引く時にワタシの腹の足しにして何が悪いんです。 元々ワタシが産んだんデス。私の所有物デス。自分の物を好きにして何が悪いんデギャッ!!!!」 最後まで言い切ることが出来ずに悶絶する親蟲。 蹴り飛ばされ下顎を丸ごと失い、馬鹿みたいに舌を垂らしてビクビク痙攣している 学ばない奴だ。自分の立場をまだ理解できていないようだな。 痙攣する親蟲の顔に痰を吐きかけ、マッシブは話を続ける。 「どんなに賢く取り繕うとしてもお前は公園に居るクズどもと同じデス。ワタシは卑しい生ゴミであるお前が 自分は賢く他の実装石とは出来が違うと思い込んでいることが許せないデス。 そんなクズであるお前がお前の下らない基準でワタシを計り、不要と言った事はもっと許せないデス。 だからワタシはそちらのニンゲン様とオーナー様に実装ダービーで勝ち続けることを誓い、お前たちクズを ワタシが望む限り生き地獄を味あわせてやることにしたんデス。それがワタシの生きる理由デス。」 そう言い放つとマッシブは席に戻った。 そんな楽しいやり取りの間に料理の下ごしらえは終わり、焼きに入るようだ。 臓物を抜かれ開きにされたA03の仔実装は×の字に竹串が打たれ、炭火の上で背中を炙られる。 肺や声帯が無いため鳴き声を上げることが叶わず、 唯一動かせる頭をブンブン振り回し助けてと飼育員に懇願している。 だが飼育員はそんな仔実装を無視し特製の塩ダレを刷毛で全身に塗りつけてゆく。 塩ダレが塗られるたびに両目の目玉を飛び出しそうなぐらい見開いてやめて、もう許してと懇願する仔実装。 私の記憶が確かならばこの料理は時間がかかったような気がする・・・。 20分後、背中はカリカリ、開いた腹側はしっとりした仔実装の焼き物が出来上がる。 素焼きの厚手の皿に盛られ、飾り包丁を入れた半切りのカボスを添えてマッシブの机に出される。 「主菜の仔実装の姿焼きです。」 体は全身で喜びを表しているかのような万歳のポーズなのに 頭のほうは両目を3分の2ほど飛び出させた苦悶の表情を晒して喘いでいる。 この飼育員・・・出来る・・・。 脂ののった仔実装肉は身離れが良く、フォークで軽く削いでやるだけで簡単に身が離れる。 塩味の程よく効いた仔実装肉に大満足の様子のマッシブ。 親蟲は唯一の反抗手段である口を潰された為、何もできぬまま最後の仔が喰われる様を見せ付けられる。 肉を食べつくし、骨と皮、苦悶の表情の頭を残すだけになると飼育員は皿を一旦引き上げる。 仔実装の耳の穴に偽石を戻し、引き上げた皿に煮きりの酒に特製のだしを加えたものを注ぐ。 虫の息の仔実装はビクッと痙攣すると目玉を飛び出せて絶命する。そしてそれをまたマッシブの前に差し出す。 マッシブは舌なめずりをすると皿を持ち上げ、スープを飲み干す。 「そう、これデス。この仔実装のうまみスープがいいんデス。五臓六腑に染み渡るデスゥ。」 皿の中身を平らげると、マッシブはフゥッと息をつく。 食事が終わり、マッシブは親蟲達のワゴンに近寄りある物をちらつかせる。 自爆スイッチのような代物をみると親蟲達の顔が強張る。 「奴隷石、楽しいお仕事の時間デスゥ。」 マッシブが白服の禿実装石に声をかけると、着ている服を脱ぎ、綺麗にたたんで気をつけの体勢になる。 その股間には萎びたウインナーの様なマラがぶら下がっている。 マッシブがスイッチを押すと、禿マラ実装がブルブルと痙攣し始め地面に座り込んでしまう。 すると股間のマラがムクムクと巨大化を始め、あっという間に黒光りする身長よりも巨大なマラが怒張する。 「デェェェスウウゥウウゥウウウウウゥゥーーーー!!!!!!」 と野太い雄叫びを上げると親蟲達のワゴンの背面に素早く走り寄り、 蓋を取っ払うと並んだ汚い尻の内の恥豚2号の尻に怒張を捻り込む。 「デスゥゥゥゥーーーーーーーーンン♪♪♪♪♪」 「デガァァァァアアァーーーーー!!!!」 嬌声を上げる禿マラ実装と悲鳴ぶち込まれて悶絶する恥豚2号 「ママーーー!!助けてデスゥウウ!!!!」 「デェェーーーー!!!」 「止めるデスゥゥゥゥーーーー!!!近親相姦は良くないことデスゥゥゥーーー!!!」 「お姉ちゃんの穴はグンバツデスゥ♪♪たっぷりぶちまけてまた孕ませてやるデスゥ♪♪♪」 悶えて泣き叫ぶ親子蟲どもとその醜態に猛り狂う禿マラ実装 さっきから姉とか近親相姦という単語が飛び交っているが・・・。 そう、禿マラ実装は裏切り子蟲の成れの果て。 マッシブに命を助けられたコイツは模範的な糞蟲だったのでそのままでは何の役にも立たない。 そこで私はある処置を施した。 最近、人間の記憶をハードディスクに保管するという試みが行われており、 人間よりも簡易な構造をしている実装石を実験台に使って、一応の理論が完成した。 私はその理論を使って裏切り子蟲を育児石もどきに仕立ててみた。 出来の悪い頭から裏切り子蟲を構成する情報を全て抜き出し、 それを調整して試験用に作られた分類石から抽出した知能プログラムと混ぜ合わせて脳チップに転送する。 そしてその脳チップを裏切り子蟲の脳みそと取り替えて処理は完了。 さらに裏切り子蟲の下半身を同じ大きさの仔マラの下半身と挿げ替えて、マッシブ専用の奴隷石の完成だ。 裏切り子蟲の記憶と性格が混ざったため性能は格段に落ちたが、親蟲達が生んだ仔蟲たちに番号を振り、 一週間栄養剤注射を打って遊んでやるだけの仕事なのでたいした問題はない。 スイッチ一つで育児石モードとマラ実装モードに切り替わるように調整する方が大変だった。 単純な実装石の精神を崩壊させずに2つの正反対の精神を宿すということは意外と難物なのだ。 そうしているうちに禿マラ実装は2つ目の尻に移り、フンフンと荒い鼻息を鳴らし激しく腰を振る。 一週間禁欲させられた禿マラ実装の性欲は留まる事を知らず、三擦り半で濃厚な精液を家族の胎にぶちまける。 10回ほど射精して恥豚1号の穴に飽きた禿マラ実装は親蟲の尻に黒光りするマラをあてがい、 「今日も楽しませてもらうデスゥ、ママ。」 「い、いい子だから止めるデスゥ・・・。」 「ママがワタチを虐めていた時もワタチがどんなに謝っても許してくれなかったデスゥ。 だからワタチも止めないデスゥ♪」 一気にブチ込み激しいピストンを始める。 親蟲と禿マラ実装の狂態が続く中、 先ほど3分間に10回も射精されてグッタリしていた恥豚1号は突然ブルブル震え始めると 「デゥウウゥウウゥウウゥウウウーーーー!!!生まれるデスゥゥゥゥーーーー!!」 ぶりゅ! 「テッチュゥ♪」 ぶりゅ! 「レフゥーン♪」 ぶりゅ! 「テフー♪」 ぶりゅ! 「テッチューーーン!♪」 計4匹の仔実装を産み落とす。 どいつもこいつも丸々としており、この世に生まれた喜びを全身で表現している。 それを見たマッシブはスイッチを再度押し、親蟲との性交中にもかかわらずマラを萎まされて 無表情になった禿マラ実装に生まれ落ちた子蟲たちの粘液を舐め取るように命じる。 機械的に命じられるまま子蟲たちの粘液を必要最低限舐め取ると、 それらを一抱えにして食材用のワゴンの中に無造作に入れ隣の部屋に運び去る。 「ワタシの赤ちゃんを返してデスゥゥゥーーー!!!」 子蟲をひり出した恥豚1号は血涙を流してワゴンの運び去られるのを見つめていた。 マッシブ親子の痴態を横目に飼育員から渡された禿マラ実装のデータを眺めて私は満足する。 今の所2つの精神が反発しあうことなく共存し、仕事内容も最低限ではあるが全てこなしているようだ。 今回の実験は成功の様だ。 「なんでデスゥ・・・どうしてワタシ達はこんな目に遭わなければならないんデス・・・。 どうして幸せになれないんデスゥ・・・・。ワタシはただ・・・・・・・。」 精も根も尽き果て、朦朧としている親蟲達を乗せたワゴンを服を着た奴隷石が隣部屋に運んでゆく。 親蟲達はこうやって一週間に一度の特別メニューの度に眼前で自分が産んだ仔を食われ、 裏切り者に孕まされる屈辱的な実装生を半年間すごしている。 点滴で栄養を与えられているため食事の喜びも無く、 仔を産み落としてもその手に抱くことも無く、 7日間奴隷石にぞんざいに飼育される仔の様子を見せられた挙句に、 その仔をマッシブの指示で極限の苦痛を与えられて生きながら喰われる様を余すこと無く見せ付けられる。 生きる喜びを全て奪われ、苦しむためだけに生かされる糞蟲親子。 親蟲達が運ばれていく様を見届けた後マッシブは私たちに一礼し自分の部屋に戻ってゆく。 まあなんとも痛々しい背中だ・・・。 一番不幸なのはコイツかもしれないな・・・・まあ私の知ったことではないが。 こいつらの不幸が終わるのはマッシブの恨みが晴れるか、家族の命が尽きる時のみ。 まあ当分の間この狂宴は終わることは無いと言うことだけが今わかる確かなこと。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注釈. 及び後記. 06/06/03(土)23:00:00 作者コメント: 駄文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。 *1:アップローダーにあがっていた作品を追加しました。 *2:仮題をつけている場合もあります。その際は作者からの題名ご報告よろしくお願いします。 *3:改行や誤字脱字の修正を加えた作品もあります。勝手ながらご了承下さい。 *4:作品の記載もれやご報告などがありましたら保管庫の掲示板によろしくお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戻る ある実装石親子の一生 ③ 06/04/04(Tue) from uploader 実装スタジアムのレース実装搬入口 私の前に並べた3つのケージの中には今日の主役である3匹の実装石が入っている。 あと1時間後のレースで運命が決まる。生きるも、過酷に死ぬのもこいつらの努力しだい。 お決まりのレース直前の気持ちをインタビューしてみるか。 「賢い私にかかればこんなレース楽勝デスゥ♪ 私のためのご馳走をたくさん用意して待っているがいいデスゥ♪。」 「ママに選ばれた賢い私が勝利するのは黄金律で定められたことなのデス。 私に働いた無礼を一生かかって償わせてやるから覚悟するがいいデスゥ♪」 ふ〜〜ん・・大きく出たものだねぇ・・。 こいつらの運命は既に決まっている。 私が提案したゲームで生き残るために必要なものはズールー族のごとき無限の体力とチーターの速度だ。 この恥豚どもは最後の最後までそれを理解できなかったようだ。 親蟲と同じようにこの恥豚どもも「賢いふりをしている実装石」というものだったということだ。 マッシブにも聞いてみる。 「やれることはやり尽くしたデス。あとはただ全力で戦うだけデス・・・。」 うーむ・・・、お前さん本当に実装石かい? マッシブの発言を聞いてデププと笑う恥豚ども。 笑っていられるのは今のうちだけだぞ・・・。 係の人にケージを渡して、私は主催者のいるVIP席に向かう。 この実装ギャンブルの殿堂である「実装スタジアム」の主催者は、 私の親友である虹乃宮という男。 今回、私は友人のよしみでこのゲームの片棒を担いでもらっているのだ。 「よう兄弟、アレの仕上がりは完璧か?」 「誰に物を言っている?見たら腰を抜かすこと間違いなしだ。」 持ってきたケージを置き、中から親蟲と裏切り子蟲を引きずり出す。 先ほど注射した栄養剤のおかげで骨格標本寸前の身体が肋骨の浮き出たぐらいになっている。 あいかわらず出鱈目なナマモノだ・・・・。 禿裸のみっともないナマモノがデスゥデスゥと情けない声を出してケージに逃げ込もうとする。 あんなに出たがった外なのに何を遠慮する。とりあえず潰れない程度に踏みつけて、 「これからお前達の運命を決めるレースが始まる。 始めに話した通りお前の運命は3匹の子蟲達の手に握られている。 そこまでは憶えているな?」 「は、はいデス・・。」 「私はお前の子達の勇姿をお前に見せてやろうと思う。 賢いと自己申告したお前の選択が正しかったか、ここで見届けるがいい。」 「・・・・・」 窓に手をつけ競技場を見つめる親蟲。 一方、裏切り子蟲はケージの影に隠れてガタガタ震えている。 腹に溜まった糞は抜いてあるので普通の中仔実装のなりをしている、ただし禿裸だが。 「お姉ちゃん達の応援はしなくていいのかい?」 とつまみ上げて聞いてみると、 「ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス! ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス! ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!ゆるちてくだちゃいテス!」 と壊れたCDプレーヤーの様に繰り返すだけだった。 そんなハートフルなやり取りを見ていた虹乃宮が 「お前の責めは悪魔も逃げ出すくらい過激だからな〜。 その子蟲、ぶっ壊れたんじゃないのか。」 「抜かせ、コイツはそこの親蟲がいたぶり潰したのだよ。 まったく愛情深く賢い親御さんだよ。」 そう言って、つまんでいた子蟲を親蟲の背中に投げつけて彼の隣に座る。 「で、アノールは元気か?」 「ん〜、あの子なら家で寝ているよ。 こういう過激な見世物は嫌いでね。この前、レースを見せたら気絶たんだ・・。 それにそこの不気味なナマモノを見た日にはひきつけを起こすだろうからな。 しかし、あんなに大人しい実装紅の完全体がいるとは思わなかったぜ。」 「それが売れる秘訣と言うものだ。判るかねワトソン君。」 そうそう言い忘れていたが、私の本職は実装紅ブリーダー。 読んで字のごとく、実装紅を完全体になるまで飼育教育して売る商売をしている。 外国の貴族や富豪と呼ばれる人種は 完全体と呼ばれる人間の少女そっくりの外見にまで成長した実装紅を飼う事をステータスにしている。 上流階級と呼ばれる人間の考え付くことは理解しがたいことが多いが、これが中々いい金になる。 しかし、黙っていればお姫様で通るくらい可愛らしい実装紅完全体の欠点は、恐ろしく気位が高いこと。 成体から完全体になるまで育てることが至難であることはもちろん、 天上天下唯我独尊を体現した存在を教育することは筆舌しがたいぐらい難しい。 だが私には曽祖父から伝授された技法を用いてその気位が高さの不要な部分を打ち消し、 人間になつく様にすることができるので商売としてやっていけるのだ。 そうした個体をそれぞれの文化圏の趣向にあわせた教育を施して販売している。 市場相場で一体2000万はくだらない代物が年間10体以上も売れるものだ。 ただ、日本ではあまり売れ行きがよくない・・・。 ちなみに虹乃宮に譲った個体は市場に出せば2500万くらいになる物。 でもこの娘は商品に出来なかった。 躾や稽古事を完全にマスターしているのだが、すさまじいまでの人見知りをする。 貴族や富豪に飼われる実装紅は社交界やらパーティーやらに連れ出されてお披露目をするのが仕事になる。 何事にも動じないふてぶしさが必須になる。 このように欠点があっても有能な個体は稽古事の教師や繁殖用に廻したりするのだが、 たまたま家に遊びに来た虹乃宮の奴がえらく惚れ込こんで、譲ってくれと拝み倒されて売る次第になった。 ただし1800万まで値切られたが・・・。超金持ちの癖に変な所でしっかりしてやがる。 虹乃宮と他愛も無い雑談を交わしていると、件のレースの開始を告げるアナウンスが流れる。 すると虹乃宮が立ち上がり、親蟲の所に歩いて行き声をかける。 「始まるみたいだな。」 「デスゥ・・・。」 声をかけられただけでだけで粗相をしそうになる親蟲。 たえず歯をカチカチ鳴らし、バイブ並みに震えている。 「そうそうお前さん助かったら何がしたいんだ?」 虹乃宮は悪い笑顔を浮かべながらガラスに張り付く親蟲に問いかける。 酷い奴だ・・・なんて楽しみ方をする。 アノールが見たらショック死しそうな笑顔を浮かべて親蟲の不安を嬲っている。 背面の様子が分かりようのない親蟲は震える声で答える。 「子供達と人間のいない所で静かに暮らしたいデス・・・。それ以外は何も望まないデスゥ・・。」 「あははははっっ、そりゃ無理だな!」 「なんでデスゥ、私の賢くカワイイ仔達が勝つはずデス。 そうすれば私と子供が解放されるのは決定されたことデス。 あのニンゲン様が約束したことデス。なんでそんな酷いことを言うんデス。」 「それはな・・・おっとレースが始まるぞ。 百聞は一見にしかずと言うことだ。しっかり見るといい。」 ファンファーレが鳴らされ、開け放たれたゲートから一斉に飛び出すレース実装達。 スタートの時点でマッシブが1番手を取り、爆走する。 おおおお・・・・何だあのスピードは、人間の小走りする位の速度が出ているぞあれ。 親蟲の顔に希望が宿る。 「でも親蟲、アレはお前が要らないと言ったガキだぜ♪」 「デスゥッ!!」 虹乃宮は楽しげに解説する、まったく・・・。 私は最後列の辺りをフラフラ走っているであろう恥豚どものすがたを探す。 ・・・・・・・・・・・? 居ないな・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 もしかして・・・。 まさかと思い、出走ゲートを見ると・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 私は虹乃宮の服を無言で引っ張る。 「なんだよ、1番いいとこなのに・・・・・ん〜〜〜。」 双眼鏡で私の指差す方向を見て、固まる虹乃宮。 そう、そこにはあの恥豚どもがいた。 ふくらんだ腹が邪魔でゲートから出ることが出来ないらしい。 「「うはははははははははははははッっーーーーーーー!!!!!!!!」」 気が触れたように笑い、床を転げ回る私と虹乃宮。 まさか、まさか・・・・最高だ!!恥豚ども!!! もう・・・・・・駄目だ・・こっちが先に死ぬかも・・・ 腸捻転になりそうな位よじれて笑い狂う私達と対照的に選んだ仔たちの醜態を見て、 紙のように白くなり固まっている親蟲。 そんな恥豚2匹のファンタスティックなコントを尻目に マッシブは他のレース実装に30mの差をつけてゴールしていた。 「デスゥゥゥゥ!!!」 絶叫する親蟲。 自分の運命が過酷な死以外ないということをようやく理解したのだろう。 いままで我慢してきた感情を吐き出し人目を気にせず狂ったように泣き叫んだ。 運命の過酷さを、選んでやった恥豚どもの不甲斐なさを、そして自分の愚かさを呪い、咽び啼く。 マッシブがゴールしたのと同時に恥豚どもは係の人に蹴り出されてようやくコースに出る。 遅れを取り戻そうと懸命に走る、だが仔実装の走る程度のスピードしか出せない恥豚どもはまったく進まない。 15分後、あまりの醜態に客が痺れを切らして殺せの大合唱が始まる。 今まで体験したことのない凄まじい悪意の渦にビビッた恥豚どもはコースのど真ん中で丸まりこんでしまい、 終いには係の人に摘み出されていった。 なんとか笑死を免れた私は深呼吸を一つしたあと、立ったまま痙攣している親蟲の肩に優しく手を載せる。 恐る恐る振り向いた親蟲は、虹乃宮曰く悪魔が裸足で逃げ出すという私の笑顔をまともに見て固まる。 「恥豚のことはともかく、要らない仔が一位になっておめでとう。 せいぜいその賢しい頭で考えたエスプリの効いた命乞いを楽しみにしているよ♪」 「デェスゥゥゥゥゥーーーー!!!」 そう告げて絶叫する親蟲と丸まって震える裏切り子蟲をケージの中に突っ込み、 まだ痙攣が完全に治まらない虹乃宮と共に遅めの昼食を取りに部屋を後にする。 その日の夜、恥豚どもを親蟲の水槽に放り込み、マッシブと話をする。 見事1位になったマッシブの今後の身の振り方を聞くためだ。 「おめでとうマッシブ、見事一番になったお前には一番初めに話したように3つの権利が与えられる。 今からその答えを聞きたい。」 そう告げるとマッシブは少しうつむいて考えた後、 「ニンゲン様、自由になる権利とお願いを聞いてくれる権利を捨てる代わりに、 ワタシを又レースに出させてくださいデスゥ。」 何も教えていないのに物の頼み方を何処で憶えたのか・・・。 もしかしてコイツみたいな奴を本当に賢い実装石というのかもな。 「いいだろう、その望みを叶えてやろう。 それとな、お前のことを購入したいという既得な奴がいてな、お前が良いと言うならそいつに売ろうと思う。 まあ私は虐待以外で実装石を飼おうとは思わないし、 ここにいればいつかお前にも無残な死が訪れることになるだろう。 だが極めつけの異端者であるお前を虐待死させるのはさすがの私でも気が引ける。 この申し出にいい答えを出してくれるとこちらとしてもありがたい。・・・どうするかな?」 マッシブは二つ返事で快諾し、レース実装として生きる道を選んだ。 あとは最後に残った親蟲の生死について訊ねると 「この残った唯一の財産である前髪を捨ててもいいからワタシ自身の手で殺させては欲しいデスゥ!」 と鬼気迫る顔で嘆願してくる。 まあコイツはこのためだけに生きてきたのだからそれぐらいの我侭は無償で聞いてやろう。 そのころ・・・。 親蟲は憤怒していた。 恥豚二匹を打ち据えて、罵声を浴びせている。 「ママ、ごめんなさいデスゥ!!もうぶたないでデスゥ!!」 「痛いデスゥ!!やめて、やめてほしいデスゥ!!」 「デガアァァァァーーーー!!!この糞どもがふざけるなデスゥ。 賢く美しいワタシが選んでやったというのになんて様でデス。 もうこれでお終いデスゥ!!あの残忍なニンゲンにあの子達以上の責め苦を嫌というほど味あわされて 死ぬことになっちまったんデスゥ!!!!そんな姿になるまで楽しんだお前達はともかく、なんでワタシが、 なんで賢く美しく世界に稀な存在であるワタシが死ななければならないんデスゥゥ!!!!!!」 色々な体液を撒き散らしながら気の触れたように怒り狂う親蟲。 これが親蟲の本当の姿なのだろう、 度重なる苦痛と絶望で虚構の仮面が剥がれて現れた野良実装と同じ代物。 賢さも演技、子供への愛情も演技、生きていることすら演技なのだろう実装石という生き物は・・。 嵐のようにまくし立てている親蟲に恥豚の1匹が恐る恐る提案をする。 こいつは私に非常に無礼な発言をした方の恥豚だな。 「こうなったらワタシの色気であのクソニンゲンを誑し込んでやるデス。 必要ならば無償で抱かせてやってメロメロにしてやるデス。 この美しい身体で誘ってやれば、物欲しげなニンゲンなんていちころデスゥ♪」 自分の発言の素晴らしさにうっとりしている恥豚に親蟲は張り手を顔面にご馳走する。 「デゥゥウゥウゥーーー!!」 みすぼらしいツラを陥没させて絶叫する恥豚。 「このくそがぁぁぁーーーー!!!。 脳味噌にまで脂肪が付きやがったんデスかぁぁーーーーー!!!! あのニンゲンはワタシたちのことなんて生ごみ以下としか思っていないんデス!! 地獄に落ちたほうがマシという目に遭いたいんデスか!! もしもお前がそんな真似をしたら・・・ワタシにまでとばっちりが・・・。」 ひとしきり怒鳴りまわした後、ブツブツ言いながら座り込む親蟲。 血涙を流して丸くなって震える恥豚ども。 水槽に恥豚どもが入れられたときから完全に無視されている裏切り子蟲は水槽の隅で頭を抱えて震えるのみ。 三者三様に惨たらしい結末を待つ糞虫親子。 糞虫親子が黙り込んでから1時間後。 蓋を開け糞どもをトングで掴み出し、床に投げ捨た後足で一箇所にかき集める。 「許してくださいお願いデスゥ!!後生デスゥ!!お願いしますデス!! い、命だけは・・・命だけは・・・。」 土下座で許しを請う親蟲。 丸まって震えるばかりの子蟲ども。 なんで実装石というものは判を押したように同じ行動しか取れないのだろうか・・・。 私も物心ついてから1000組以上の実装石親子を嬲り潰してきたが、ほんの5組以外はどれも同じ答え。 血涙を垂れ流して「命だけは助けて。」と懇願する・・・・・まあ、これも演技なのだが。 痛いのは仕方ないが耐えればニンゲンが飽きて開放してくれるなどと初めのうちは余裕をかましているが 10回も仮死を迎えれば言動と思考が一致してくる。絶対に助からない・・・・と足りない頭でも理解する。 私はそのときの下らない演技の入り込む余地のない混じり気無しの絶望の顔が見たくて、実装石を潰している。 まあ話がそれたが、震える糞虫親子の傍にマッシブを降ろし、親蟲に声をかける。 「おい!親蟲。 私が初めに言った事を覚えているか?1番になった子蟲に3つの権利を与えるといったことを。 それでマッシブはお前達に話があるそうだ。」 「デゥ!!!」 驚く親蟲。 だってこの仔は・・ワタシが切り捨てた仔は・・ワタシのことを憎んでいるはず・・・。 ・・・でも、もしかしたらワタシだけでも助けてくれるのかもしれない・・。 なんたってワタシはあの仔のママなのだから・・。 親蟲の瞳に希望の光が宿る。 ・・・・・・本当に愚かな奴だ。自分のしたことすっかり忘れているのか。 まあいい感動の再会といこうか。 能面のように無表情のマッシブに親蟲が匍匐全身で近づき、土下座で懇願する。 「愚かなママを許してほしいデスゥ〜〜。 純情なワタシにはあの糞どもの本性が見抜けなくて騙されたんデスゥ〜〜。 本当はお前のこ・・・・ヂャバ!!!!!!!」 最後まで喋る事を許させず、顔面を蹴りぬかれ、鼻に当たる部分と前歯を上顎ごと失う。 「ヒャべべべべべべ!!!!ヒュバァァァァ!!!ヒュブウゥ!!!!」 きっと「ママになんてことをするんデス〜」などとほざいているのだろうが、 鼻と上顎を失った今、それを伝える術はない。 潰された顔を押え、上目使いでマッシブを見ようとするも踵落しを喰らい地面とキスをする。 さらにこめかみを蹴り抜かれて3mほど吹っ飛ぶ。 身体が筋肉ダルマになるほど鍛え抜かれたマッシブの一撃は 人間の子供に殴られるのと同じぐらいの威力があるようだ。 3mほどむこうで頭を3倍ほどに膨らませている親蟲は仮死してしまったようだ。 だが、これで終わりではない。 怯えきって丸まっている姉妹を無視して、親蟲の元に向かう。 仮死から蘇生してゼーゼーと荒い息を上げる親蟲の頭の皮を掴み、片手で持ち上げてぶら下げる。 意識の戻ってきた親蟲の視界に映るものは・・・マッシブの貌に刻まれた憤怒の表情。 「ワタシを、要らないといったその口で!何を!何をぉ!ぬかしやがるんデスゥ!!!」 マッシブはその拳にいままで溜めに溜めた怒り、憎しみ、そして悲しみを込め、 一撃、一撃を味わうように親の体に打ち込んでゆく。 短い口笛のような呻きとステーキ肉を地面に叩きつけたときのような音だけが部屋の中に木霊する。 10分後・・肩で荒い息をするマッシブの足元には赤緑色の餅と化した親蟲の躯・・・否、まだ生きている。 弱々しく呻く肉塊にマッシブは唾を吐きかけ、踏みにじろうとする。 「まあ待て、マッシブ。」 「デスゥ!!」 私の呼びかけにビクッとして振り返るマッシブ。 「その一撃でこの糞は死ぬ。お前はそれで本当にいいのか? お前を不要と罵った糞をこの程度で楽にしてやってお前は満足するのか? よく考えるんだ。 お前は本当にそれで満足するのか?」 私の問いかけに苦い顔をして親蟲の成れの果てと私を見比べでいる。 そうだろう・・・・お前は少しも満足していない。 お前の本当の願いを虐待師の私が叶えてやろう。 ちり取りで餅化した親蟲を拾い上げる。そして 「マッシブ、お前に素敵なプレゼントをやろう。少し親蟲を借りるぞ。 その間に姉妹の処理を任せよう。」 と声をかけて隣の部屋に向かう。 餅化した親蟲を小型の水槽の中に放り込み、業務用の冷蔵庫の中を漁る。 中から翡翠色の液体の入ったビンを取り出し、スポイトで1CCほど翡翠色の液体を抜き取る。 そしてそれを餅化した親蟲にふりかける。 10秒もしないうちにものすごい勢いで泡立ち始め、親蟲を覆い隠す。 「デbjёs=&んhふc%べbk㊥£sーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」 と元気な叫び声が上がり、メキメキ、ビシビシと景気のいい音が水槽内に響き渡る。 3分後、親蟲は髪と歯が全て失われているが捕まえてきた当時の丸々とした実装石の体型に戻っている。 コイツにふりかけたのは実装活性剤という劇薬。 これは実装石の偽石から抽出した生体エネルギーを液化させた代物。 人間にはなにも効果は無いが、実装シリーズに使えば成長や再生を飛躍的に早めることが出来る上に、 副作用が他の促進剤や栄養剤と違ってまるで無い。 100倍に薄めた実装活性剤を入れた紅茶を飲ますだけで再生能力の低い実装紅ですら 半日で腕1本を丸ごと再生させることもできる優れもの。 ちなみに100CC作るのにエサを生まれたときから一切与えず栄養剤の点滴のみで丸々と肥やした 生後8日目の仔実装100匹を原料として必要とする。 原料の管理と生成過程の中での人間の手による複雑な作業があるため工場での大量生産には向かず、 一部の虐待師達がその製法を伝承し製作したものが通販で出回っているだけの珍しい物なのだ。 私も曽祖父からこれの製法を学び、実装紅飼育の助けに使っている。 今までこいつ等があんな無茶な環境でストレス死しなかったのは実装活性剤のお陰。 元々生命力だけは全生物中最高を誇る実装石はこれに偽石を漬けるとほぼ不死化するのだ。 復元した親蟲を吊るし、マッシブの元に戻り渡そうとするも親蟲はさっきの有様が嘘のように暴れまわる。 逃げ回ると面倒だな・・・。私は親蟲の右膝を360°回転させてからマッシブの前に降ろしてやる。 膝関節を破壊された激痛でその場でグルグル回る事しかできない親蟲にマッシブが悠然と歩みよる。 「ゆ、ゆ、許してデスゥゥゥーーー!!」 命乞いをする親蟲の顔をさっきよりも加減してぶん殴るマッシブ。 それでもやわな親蟲の下あごは一撃で砕けてぶら下がる・・・、があっという間に巻き戻した様に再生する。 再生した後でも傷の痛みに悶える親蟲を唖然とした表情で見つめるマッシブ。 これが実装活性剤のおまけの効能。 原液を体にかけてやると20分ほどの間、再生力が100倍に強化されるのだ。 ただ、新陳代謝も100倍になるので寿命が物凄く縮む。 「なぁ?素敵なプレゼントだろ。」 「デスゥ♪」 実装石らしからぬ笑顔で私に答えるマッシブ。 壮絶な笑みを浮かべて殴りかかるマッシブを尻目に糞姉妹たちの様子を窺う。 恥豚二匹は体中を3倍に膨らまして悶絶していが時間が短かったため仮死まで追い込めなかったようだ。 だが問題は裏切り子蟲は・・・まったくの無傷なのだ。 これはどういうことか・・・・? 血みどろのスキンシップが一段落ついたマッシブに聞いてみる。 すると、 「コイツのお陰で今のワタシがあるんデス。 コイツがニンゲン様に会わなければ、ワタシはこのクズに喰われて文字どうり糞になっていたデス。 だから殺すのはなんとなく忍びなくて・・・デスゥ。」 う〜む・・・、コイツは恩義を感じることもできるのか。 さて・・どうしたものか・・・・・・。 あれから半年後。 私は実装スタジアムの支配人室にいた。 アノールを膝の上に乗せてソファーの向かいに座る虹乃宮にジュラルミンケースを渡す。 「いつもすまないな。こいつがあると随分と便利がいいものでなぁ。」 ジュラルミンケースから取り出した実装活性剤のアンプルをしげしげと眺める虹乃宮。 「なに、こちらは商売だからな。注文を受ければ可能な限り生産するさ。 それと虹乃宮、余りの成体実装石がいたら100匹ほど回してくれるか。今回の生産で出産石をかなり酷使 したからそろそろ入れ替えをしないといけない。それにしても5リットルも何に使うのか?」 「まあそのうち教えるさ。それはそうとお前から購入したマッシブ、すごいな・・。 あんなの実装石じゃねえぞ。本当は実蒼石を改造したんじゃないのか?」 失礼なことを言う奴だ。虐待の映像記録を一番初めから見せてやったのにまったく・・・。 「そういえば、今日はアノールの機嫌がいいのか?あんなに嫌がっていたここに来るなんてな。」 「家に置いてくると俺が帰るまでずっと泣いているんでよ・・・。 だから、なんとかなだめすかして過激な物を見せないようにして連れ歩くようにしているんだ。 あんな顔で泣かれたら俺まで悲しくなってくる。」 アノールを抱きしめ頬擦りをする虹乃宮。まったく馬鹿飼い主ぶり全開だな・・・。 実装石をミリ単位で切り刻んで馬鹿笑いをしている奴と同一人物とはおもえんな。 たしかにしおらしい実装紅は病的なまでに可愛らしいが・・・アノールのはそれを遥かに通り越している。 実装紅とは思えないはかなさが虹乃宮の心を捉えて離さないのだろう。 突然抱きしめられたアノールは状況をうまく理解していないようだが、 虹乃宮にかまってもらえるのが嬉しいらしく華のような笑顔でほほえむ。 ・・・・・みっともないなぁ虹乃宮・・・・・ツラがだいぶ歪んでいるぞ・・・。 白昼堂々ラブ時空に旅立ってしまった虹乃宮達を10分程しげしげと観察したあと、今日の本題を切り出す。 虹乃宮に注文された品物を渡すついでにアレの様子を見る為、郵送で送らずにワザワザ自分で届けにきたのだ。 「アレの調子はどうだ?ちゃんと機能しているかな。」 「今の所はバグも無くちゃんと働いているという報告をうけているが・・・。 なんなら今から見に行くかい?」 「そうだな・・・面倒臭くなる前に行くとしよう。」 「アノール、俺はこれから先生と仕事の話が有るんででちょっと空けるよ。 この部屋でいい子にして待っていてくれよ。」 アノールの寂しそうな視線に後ろ髪を引かれている虹乃宮を連れて地下の実装飼育エリアに向かう。 実装スタジアムの地下5階に在る実装飼育エリアに入り、マッシブの居る部屋を目指す。 ここは実装スタジアム地上階にある実装ギャンブル用の仔実装を生産している場所。 常時10万の出産石から生産される仔実装を分類別に仕分けし、飼育出荷している。 一日3万匹ほど生産される仔実装も生まれたその日のうちに98%ほどが消費され明日を迎えることは無い。 残された2%もさらに過酷な運命が待ち受ける。 実装コロシアム用に厳しく調教され、満一歳を迎えることなく戦い死んでゆくか、 出産石候補として出産機能を強化された後、仔が産めなくなるまで出産を強要されて擦り切れて死ぬか、 の二択しかないのである。 ガラス張りの廊下を歩くうちに、首かせを咬まされ、空気椅子の体勢で拘束されている出産石たちが 苦しみながら糞をひり出す様に仔実装を産み落としている様子が目に留まる。 「テッチュゥ♪」 「テチュウー!テフーーン♪」 「テッフゥーン!テッチュウ♪」 「レフゥーン♪」 「テフー♪」 「テッチューーーゥ!♪」 「テフー!♪」 喜びに満ちた鳴き声を上げてボトボトと生れ落ちる仔実装達。 お前達は苦しみと絶望を味わうためだけに生まれてきたというのに・・・能天気な奴らだ。 その能天気な奴らを分類石たちがいそいそと仕分けをしている。 ここで実装ギャンブル用に選ばれた連中は幸せだ。すぐに死んで楽になれるからだ。 それ以外の実装コロシアム用、出産石用に選ばれた連中は・・・。 この世に生れ落ちたことを呪いながら長い時間をかけて死んでゆくだけだ。 そんなことも知らずに分類石に抱き上げられて喜ぶ子蟲たちを見ていると楽しくなってくる。 出産石のエリアを抜けてマッシブの個室にたどり着く。 中に入るとテーブルの前に座ったマッシブと専属の飼育員が私達に敬礼する。 「これから食事だったのか。」 「はいオーナー、今日は特別メニューの日です。」 白いエプロンを掛けた専属の飼育員はきびきびと答える。 この特別メニューというのは・・・。 隣の部屋から白い服を着た成体の禿実装石がワゴンを押して入ってくる。 「今日は俺達も見学させてもらおう。始めてくれ。」 虹乃宮の合図と共に白服の禿実装石がワゴン内から仔実装を3匹ほど取り出す。 禿実装石の手にある仔実装は生後一週目ののわりには体が大きく丸々と太っている。 禿裸に剥かれ額にA01、A02、A03と番号が振られている仔実装達を飼育員に手渡すと 白服の禿実装石は奥の部屋に戻り、中から別のワゴンを押してくる。 そのワゴンをマッシブとキッチンの丁度中ほどに置き、その配置が三角形になるようにする。 そしてワゴンの側面の蓋を上げると・・・ 中には四つん這いに拘束され、頭が正面を見据えるように固定された親蟲と恥豚2匹が入っていた。 「デウゥウゥウーーー!!子供を返せデスゥ!!!!」 親蟲が騒いでいる、どうやら今日の食材は親蟲の仔らしい。 「チャンピオン、今日のメニューは如何様にしますか?」 「今日は和食コースでお願いしますデス。」 丁寧に飼育員に頼むマッシブ。 あいかわらず礼儀正しいな。 飼育員はキッチンに向かうと、仔実装の調理を始める。 全ての仔実装の偽石をあっという間に抜き去り、実装活性剤を10倍に薄めた物に漬ける。 偽石を失い、そわそわしている仔実装達をシンクに移してぬるま湯で洗う。 「「「「チューーーン♪」」」」 と喜ぶ仔実装達。 そしてA01の仔実装を摘むとまな板の上に置く。 まな板の上でキョトンとしている仔実装に飼育員はスポイトで実装活性剤入りの砂糖水を啜らせる。 「テチュウゥゥゥーーーー♪♪♪」 生まれて始めての甘味に叫び声を上げて喜ぶ仔実装、天上の美味を味わったような顔をして踊る子実装を まな板の上に寝かせ、刺身包丁で総排泄口のスリットから上に向かって一文字に切り内臓を取り出す。 そして手足を切り離し、身体を開き4枚に卸し、頭を脊椎が付いたまま取り外す。 解体された肉を薄くスライスし、絵皿にふぐ刺しのように盛り付け、先に取り除いた肝臓を飾りつける。 最後に悶絶する頭に偽石を戻し刺身の中央に配置してマッシブの元に出される。 「おまたせしました、仔実装の活け作りです。」 天国から地獄に転げ落ちたような顔の子蟲と透けるほど薄く切られた切り身のコントラストが素晴らしい一品。 パクパク口を開閉している頭に微笑みながら、仔実装の刺身に舌鼓を打つマッシブ。 「うまいデスゥ!!やはり生後一週間の仔実装肉は最高デス。」 「デギャァァァァーーーー!!!!子供を食うなデスゥゥゥゥ!!!その仔はお前の妹なんデスよ!!!」 「仔産みは黙ってワタシのための肉を産むがいいデス。なんのために生かしていると思っているんデス?」 さも旨そうに妹の成れの果てを喰うマッシブと血涙を流して抗議する親蟲。 その隣でよだれを垂らして物欲しげにマッシブを見つめる恥豚二匹。 「旨そうデスゥ・・・ワタシも喰って見たいデスゥ・・・」 ついつい余計な一言がほどばしる。 その暴言に親蟲は即座に反応し 「この畜生がぁぁぁ!!!!死ねデスゥ糞蟲!!!!」 「デスゥゥゥゥ!!!!ごめんなさいデスゥ!!」 親蟲の羅刹のような貌にパンコンしそうなぐらいビビる恥豚。 それを尻目にマッシブは刺身を完食し親蟲達に声をかけ、残った頭を口にほうばる。 「デスゥゥゥウウゥゥーーーーー!!!!」 絶叫する親蟲を満足げに見下ろし次の料理を注文するマッシブ。 A02の仔実装は前の奴よりも悲惨な運命が待ち受けている。 今度も実装活性剤入りの砂糖水を先に啜らせ、まな板の上に寝かせる。 そして神速の包丁捌きで肺と心臓を付けたまま頭を取り除く。 「チェ?チュウ・・・?・・・・・チュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」 後からやってきた激痛に悶える仔実装。 それに連動するかのように頭の無い体がパタパタと手足を動かす。 それをすり鉢のなかに入れ、すりこぎで荒めに磨り潰していく。 「チャア!!チュアァァ!!チュウゥゥウ!!チィィイイ!!」 神経が繋がっている訳でもないのに苦悶の表情を浮かべ、すりこぎの回るペースに合わせて呻き声を上げる。 ある程度潰れた処に蓮根、豚バラのひき肉、各種調味料を入れ一つになるまで混ぜ和せる。 できあがったタネをくり貫いた大き目の蕪に詰め込み、蓋として肺と心臓の繋がったままの仔実装の頭を タネの中に突っ込んで蒸し器の中に入れ10分間蒸し上げる。 「チュウウウウウウウゥゥゥゥウウゥゥウウウウウウウーーーーーーーー!!!!!!!!」 蒸し器の中から上がる絶叫。その声が絶えることなく延々と響く。 「もうに殺してあげてデスゥゥーーーー!!!。その仔は何にも悪いことをしていないのに何で こんな酷い目に会わなければならないんデスゥ!!」 「馬鹿だなぁ、親蟲。 実装石は生きているだけで重罪なんだぞ。知らなかったのかい? お前の罪はお前自身が苦しんだだけでは清算されるものではないんだ。 だからお前のガキどもにも分割して罪を清算してもらっているんだよ。」 虹乃宮は三日月のような笑みを浮かべて親蟲の愚問に律儀に答えてやる。 口をあんぐりと開けて虹乃宮を見つめる親蟲。 その間抜け面に狂ったように嘲笑を浴びせる虹乃宮。 その間も仔実装の魂千切る悲鳴は続く。 10分後、蒸し器から取り出された仔実装のお頭つきの蕪を深めの皿に盛り、耳の穴に偽石を入れる。 そして葛粉でとろみをつけた餡を仔実装の頭に満遍なくかけて、マッシブの元に運ばれる。 「どうぞ、仔実装ひき肉詰めのかぶら蒸しです。」 今が旬の蕪の甘みと、蒸されている間にひき肉と同化して神経網が張りなおさた 仔実装の悲鳴がいいアクセントになる一品。 高温で蒸された仔実装の頭は赤く焼け爛れ、蕪と一体化した姿はまるで出来損ないの達磨。 「テェェェ・・・・・・・。」 と意味のない呻き声を上げて悶絶している。 マッシブは先割れスプーンで切り込みを入れ、一口分を取り口に運ぶ。 「荒め引かれたひき肉と蕪の甘みが絶妙にマッチして美味しいデス。 アクセントに入れられた蓮根の食感も素晴らしいデス。」 悶絶する熱々の仔実装料理を美味そうにほうばるマッシブに親蟲は無意味な抗議を続けている。 「お前は畜生デスゥゥゥーー!!妹喰らいの畜生め、地獄に落ちるがいいデスゥゥゥゥーー!!! 家族であるワタシ達をこんな目に遭わせて何が楽しいデスゥゥゥーーーー!!」 罵詈雑言を無視し黙々と仔実装料理を平らげ、飼育員にメインディッシュを注文すると マッシブは椅子から立ち上がり親蟲の拘束されているワゴンに向かう。 まくし立てる親蟲の目の前に立つとそのブサイクなツラに渾身の張り手をぶち込む。 「お前は何を勘違いしているんデス。ワタシはお前の家族なんかじゃない。お前の飼い主様デス。 お前はワタシのことを捨てたくせに何をいまさら母親ズラをしているんデス。 ワタシがいままで喰ってきたお前の仔たちも野良の生活だったら自分で殺して喰っちまうくせに 何をご立派なことを抜かしやがるんデス。」 「ワ、ワタシはママデスゥ。家族の安全を第一に考えるのは当たり前です! 馬鹿がいるだけで今のワタシ達のような酷い目に遭うことになるんデス。 馬鹿な要らない仔を間引く時にワタシの腹の足しにして何が悪いんです。 元々ワタシが産んだんデス。私の所有物デス。自分の物を好きにして何が悪いんデギャッ!!!!」 最後まで言い切ることが出来ずに悶絶する親蟲。 蹴り飛ばされ下顎を丸ごと失い、馬鹿みたいに舌を垂らしてビクビク痙攣している 学ばない奴だ。自分の立場をまだ理解できていないようだな。 痙攣する親蟲の顔に痰を吐きかけ、マッシブは話を続ける。 「どんなに賢く取り繕うとしてもお前は公園に居るクズどもと同じデス。ワタシは卑しい生ゴミであるお前が 自分は賢く他の実装石とは出来が違うと思い込んでいることが許せないデス。 そんなクズであるお前がお前の下らない基準でワタシを計り、不要と言った事はもっと許せないデス。 だからワタシはそちらのニンゲン様とオーナー様に実装ダービーで勝ち続けることを誓い、お前たちクズを ワタシが望む限り生き地獄を味あわせてやることにしたんデス。それがワタシの生きる理由デス。」 そう言い放つとマッシブは席に戻った。 そんな楽しいやり取りの間に料理の下ごしらえは終わり、焼きに入るようだ。 臓物を抜かれ開きにされたA03の仔実装は×の字に竹串が打たれ、炭火の上で背中を炙られる。 肺や声帯が無いため鳴き声を上げることが叶わず、 唯一動かせる頭をブンブン振り回し助けてと飼育員に懇願している。 だが飼育員はそんな仔実装を無視し特製の塩ダレを刷毛で全身に塗りつけてゆく。 塩ダレが塗られるたびに両目の目玉を飛び出しそうなぐらい見開いてやめて、もう許してと懇願する仔実装。 私の記憶が確かならばこの料理は時間がかかったような気がする・・・。 20分後、背中はカリカリ、開いた腹側はしっとりした仔実装の焼き物が出来上がる。 素焼きの厚手の皿に盛られ、飾り包丁を入れた半切りのカボスを添えてマッシブの机に出される。 「主菜の仔実装の姿焼きです。」 体は全身で喜びを表しているかのような万歳のポーズなのに 頭のほうは両目を3分の2ほど飛び出させた苦悶の表情を晒して喘いでいる。 この飼育員・・・出来る・・・。 脂ののった仔実装肉は身離れが良く、フォークで軽く削いでやるだけで簡単に身が離れる。 塩味の程よく効いた仔実装肉に大満足の様子のマッシブ。 親蟲は唯一の反抗手段である口を潰された為、何もできぬまま最後の仔が喰われる様を見せ付けられる。 肉を食べつくし、骨と皮、苦悶の表情の頭を残すだけになると飼育員は皿を一旦引き上げる。 仔実装の耳の穴に偽石を戻し、引き上げた皿に煮きりの酒に特製のだしを加えたものを注ぐ。 虫の息の仔実装はビクッと痙攣すると目玉を飛び出せて絶命する。そしてそれをまたマッシブの前に差し出す。 マッシブは舌なめずりをすると皿を持ち上げ、スープを飲み干す。 「そう、これデス。この仔実装のうまみスープがいいんデス。五臓六腑に染み渡るデスゥ。」 皿の中身を平らげると、マッシブはフゥッと息をつく。 食事が終わり、マッシブは親蟲達のワゴンに近寄りある物をちらつかせる。 自爆スイッチのような代物をみると親蟲達の顔が強張る。 「奴隷石、楽しいお仕事の時間デスゥ。」 マッシブが白服の禿実装石に声をかけると、着ている服を脱ぎ、綺麗にたたんで気をつけの体勢になる。 その股間には萎びたウインナーの様なマラがぶら下がっている。 マッシブがスイッチを押すと、禿マラ実装がブルブルと痙攣し始め地面に座り込んでしまう。 すると股間のマラがムクムクと巨大化を始め、あっという間に黒光りする身長よりも巨大なマラが怒張する。 「デェェェスウウゥウウゥウウウウウゥゥーーーー!!!!!!」 と野太い雄叫びを上げると親蟲達のワゴンの背面に素早く走り寄り、 蓋を取っ払うと並んだ汚い尻の内の恥豚2号の尻に怒張を捻り込む。 「デスゥゥゥゥーーーーーーーーンン♪♪♪♪♪」 「デガァァァァアアァーーーーー!!!!」 嬌声を上げる禿マラ実装と悲鳴ぶち込まれて悶絶する恥豚2号 「ママーーー!!助けてデスゥウウ!!!!」 「デェェーーーー!!!」 「止めるデスゥゥゥゥーーーー!!!近親相姦は良くないことデスゥゥゥーーー!!!」 「お姉ちゃんの穴はグンバツデスゥ♪♪たっぷりぶちまけてまた孕ませてやるデスゥ♪♪♪」 悶えて泣き叫ぶ親子蟲どもとその醜態に猛り狂う禿マラ実装 さっきから姉とか近親相姦という単語が飛び交っているが・・・。 そう、禿マラ実装は裏切り子蟲の成れの果て。 マッシブに命を助けられたコイツは模範的な糞蟲だったのでそのままでは何の役にも立たない。 そこで私はある処置を施した。 最近、人間の記憶をハードディスクに保管するという試みが行われており、 人間よりも簡易な構造をしている実装石を実験台に使って、一応の理論が完成した。 私はその理論を使って裏切り子蟲を育児石もどきに仕立ててみた。 出来の悪い頭から裏切り子蟲を構成する情報を全て抜き出し、 それを調整して試験用に作られた分類石から抽出した知能プログラムと混ぜ合わせて脳チップに転送する。 そしてその脳チップを裏切り子蟲の脳みそと取り替えて処理は完了。 さらに裏切り子蟲の下半身を同じ大きさの仔マラの下半身と挿げ替えて、マッシブ専用の奴隷石の完成だ。 裏切り子蟲の記憶と性格が混ざったため性能は格段に落ちたが、親蟲達が生んだ仔蟲たちに番号を振り、 一週間栄養剤注射を打って遊んでやるだけの仕事なのでたいした問題はない。 スイッチ一つで育児石モードとマラ実装モードに切り替わるように調整する方が大変だった。 単純な実装石の精神を崩壊させずに2つの正反対の精神を宿すということは意外と難物なのだ。 そうしているうちに禿マラ実装は2つ目の尻に移り、フンフンと荒い鼻息を鳴らし激しく腰を振る。 一週間禁欲させられた禿マラ実装の性欲は留まる事を知らず、三擦り半で濃厚な精液を家族の胎にぶちまける。 10回ほど射精して恥豚1号の穴に飽きた禿マラ実装は親蟲の尻に黒光りするマラをあてがい、 「今日も楽しませてもらうデスゥ、ママ。」 「い、いい子だから止めるデスゥ・・・。」 「ママがワタチを虐めていた時もワタチがどんなに謝っても許してくれなかったデスゥ。 だからワタチも止めないデスゥ♪」 一気にブチ込み激しいピストンを始める。 親蟲と禿マラ実装の狂態が続く中、 先ほど3分間に10回も射精されてグッタリしていた恥豚1号は突然ブルブル震え始めると 「デゥウウゥウウゥウウゥウウウーーーー!!!生まれるデスゥゥゥゥーーーー!!」 ぶりゅ! 「テッチュゥ♪」 ぶりゅ! 「レフゥーン♪」 ぶりゅ! 「テフー♪」 ぶりゅ! 「テッチューーーン!♪」 計4匹の仔実装を産み落とす。 どいつもこいつも丸々としており、この世に生まれた喜びを全身で表現している。 それを見たマッシブはスイッチを再度押し、親蟲との性交中にもかかわらずマラを萎まされて 無表情になった禿マラ実装に生まれ落ちた子蟲たちの粘液を舐め取るように命じる。 機械的に命じられるまま子蟲たちの粘液を必要最低限舐め取ると、 それらを一抱えにして食材用のワゴンの中に無造作に入れ隣の部屋に運び去る。 「ワタシの赤ちゃんを返してデスゥゥゥーーー!!!」 子蟲をひり出した恥豚1号は血涙を流してワゴンの運び去られるのを見つめていた。 マッシブ親子の痴態を横目に飼育員から渡された禿マラ実装のデータを眺めて私は満足する。 今の所2つの精神が反発しあうことなく共存し、仕事内容も最低限ではあるが全てこなしているようだ。 今回の実験は成功の様だ。 「なんでデスゥ・・・どうしてワタシ達はこんな目に遭わなければならないんデス・・・。 どうして幸せになれないんデスゥ・・・・。ワタシはただ・・・・・・・。」 精も根も尽き果て、朦朧としている親蟲達を乗せたワゴンを服を着た奴隷石が隣部屋に運んでゆく。 親蟲達はこうやって一週間に一度の特別メニューの度に眼前で自分が産んだ仔を食われ、 裏切り者に孕まされる屈辱的な実装生を半年間すごしている。 点滴で栄養を与えられているため食事の喜びも無く、 仔を産み落としてもその手に抱くことも無く、 7日間奴隷石にぞんざいに飼育される仔の様子を見せられた挙句に、 その仔をマッシブの指示で極限の苦痛を与えられて生きながら喰われる様を余すこと無く見せ付けられる。 生きる喜びを全て奪われ、苦しむためだけに生かされる糞蟲親子。 親蟲達が運ばれていく様を見届けた後マッシブは私たちに一礼し自分の部屋に戻ってゆく。 まあなんとも痛々しい背中だ・・・。 一番不幸なのはコイツかもしれないな・・・・まあ私の知ったことではないが。 こいつらの不幸が終わるのはマッシブの恨みが晴れるか、家族の命が尽きる時のみ。 まあ当分の間この狂宴は終わることは無いと言うことだけが今わかる確かなこと。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注釈. 及び後記. 06/06/03(土)23:00:00 作者コメント: 駄文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。 *1:アップローダーにあがっていた作品を追加しました。 *2:仮題をつけている場合もあります。その際は作者からの題名ご報告よろしくお願いします。 *3:改行や誤字脱字の修正を加えた作品もあります。勝手ながらご了承下さい。 *4:作品の記載もれやご報告などがありましたら保管庫の掲示板によろしくお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 戻る
2021/10:塩保消滅によりスクが見れなくなりましたので当保管庫の保存したキャッシュを表示します
