実装のいる風景2 実装ストーンステーキ バイト仲間のトシアキ達とキャンプに来た。 メインディッシュは実装ストーンステーキ。実装石は焚火の火力に負けないよう国宝級の特大実装石を使う。 キャンプ場近くにある巻毛暮野牧石場直売所に立ち寄り、注文しておいた特産の食用実装石を購入する。 ここ巻毛暮野産国宝石は髪を残して肥育される国宝級食用実装石で、全国的にも食用石のブランドとして知られている。 その飼育方法は、実装石に相撲をさせて強いやつに上質のエサをたくさん与えるというだけだ。もちろん弱くて小さな個体 はさっさと禿にされて通常の食用石にまわされる。相撲部屋に似た小世界で実装石は自ら肉質最高な食材となるべく励むよう 仕向けられる。そして通常サイズを大幅に上回る体躯と引き締まった肉質を持つ選ばれた実装石だけが巻毛暮野ブランドの 国宝石として出荷されるのだ。 「デスゥ デスデスデスデスゥデスーゥデデッスゥ」 (そこの奴隷ども さっさとフグとカニとステーキとスシで酒池肉林するデス 国宝級の高貴なワタシがお前達の主人に なってやる門出にふさわしいゴッツアンするデス) 「ふざけんな糞蟲」 「デス デデーースッデプップ デッスゥ〜〜ン デップゥ〜〜ン」 (タダとは言わないデスゥ タニマチにはグラマーでゴージャスなこの肉体に奉仕する栄誉をトクベツに許すデスゥ 今夜は下民が見るのももったいない国宝級の肉林にぞんぶんに溺れるデスゥ) 「願い下げだ糞蟲」 「デ? ウポポポ ウポポ ウポポポ ウポッポ」 (なんデスと? 国宝級のワタシの価値がわからないデスか 目が総排泄孔以下デス無知無教養の低脳奴隷デス) 「うるせーぞ糞蟲」 「デプッデデスゥ〜〜ウ デデデデスデス デスデスデッスゥデッププ〜ン」 (頭悪いから常識を知らようデスね 親方が言ってたデス 国技を極めた国宝級にはトクベツな伝統と格式があるデス) 「頭腐ってんのか糞蟲」 「デスデデスデスゥ デスゥデスデスデスコイ!デスコイ! 」 (なんて生意気な奴隷デス 徹底的にもてなしの心を教育してやるデス!目上の者への礼儀を躾けてやるデス!) 「くたばれ糞蟲」 トシアキがリンガルを使って国宝石をからかっている。食用実装石と会話して何が面白いのかよくわからないが、皆ニヤ ニヤ笑っているのでたぶん楽しいんだろう。トシアキの強いリクエストもあって、国宝石には伝統と格式にのっとり相応の 敬意をはらうことにする。 ブランドものの食材にふさわしい『清めの膳』、『禊』、『断髪式』、『御魂抜き』と称する儀式を恭しく執り行う。 清めの儀式としてまず『清めの膳』を食していただく。 色とりどりの清めの膳(ゲロリ)を口に放り込まれた国宝石がエレエレと緑の汚れを吐き出す。 体内の汚れを吐き出した次は全身の汚れを祓い清める『禊』。 両腕両足をトシアキ達に奉げもたれた国宝石が清流(キャンプ場近くの川)に浸される。 念入りに何度も何度も全身を清流に深く沈めてもらい、身体も心も清浄になった。 続けて新しい実生の門出にあたり、過去への未練を断ち切る覚悟を固める『断髪式』。 両腕両足に1人ずつつきそい、国宝石の髪を剃刀(カッターナイフ)で一櫛ずつ丁寧に剃り落とす。 最後に実装の御魂(偽石)を洗い清める『御魂抜き』。 御神刀(トシアキ愛用のアーミーナイフ)で御魂(偽石)を抉り出す。取り出された御魂(偽石)についた汚れた血と肉片 を清流の水で洗い流し、御魂(偽石)を聖水(高級栄養剤)に浸す。 恭しい儀式を経て身も魂も清められ、国宝石は新しい姿に生まれ変わった。 「デジャアアアァーーーッ!!!」 五月蝿い口に突っ込んでおいた薪を外してやると、偽石と髪を奪われたショックに国宝石が絶叫をあげる。 ハッスルしているトシアキに付き合って妙なノリになってしまったが、要はいつもの糞抜き、髪抜き、偽石抜きである。 トシアキが髪のないツルツル頭を見せつけるためにわざわざ鏡を出してくる。 デェ〜 デェ〜と鳴きながらと涙を流す国宝石。仲間の一人がその惨めな姿をギャハハとあざ笑うと、プルプル震えていた 国宝石が顔を真っ赤にしてデジャデジャ喚きだす。それでも笑い止まないそいつに向かってキれた国宝石が突っかかってきた。 張り手のようなポーズを取り、奇声をあげながらガニ股で突進してくる。 「デエエエアアアア! デシャアアアア! ジュガアアアアーーッ!デスコーーイ!」 (笑うなデースッ! 黙れデースッ! 冥土の土産に国宝級のチカラ見せてやるデス!死ねデスゥウウッ!) 通常サイズの実装石なら吹き飛ばされるであろうみごとな突進だ。だが人間を相手にして意味のある事ではない。 横合いからオレがテントのペグを打ちつけるゴムハンマーで殴りつけた。バールのようなものを使うと力加減を間違えて 肉を引きちぎってしまうことがある。しかしゴムでできたこれなら肉を目減りさせることも少ない。 あっけなく巻毛暮野ブランド国宝石は某元力士のような格好でうつぶせに倒れた。実装同士の相撲で鍛えた特大実装石と いえども山実装程の生命力はないようだ。巻毛暮野ブランドといっても食用石は食用石、肉質を引き締めるためにしっかり 叩いておくことにする。 「デガァッ!!!デギィッ!!!デグゥッ!!!デゲェッ!!!デゴォッ!!!」 「オラオラ」だの「ヒャッハー」だの「絶対に(ry」だのと言いながらトシアキ達も積極的に調理の協力をしてくれる。 手足を引きちぎらないように注意して全身を満遍なく叩いていく。国宝石の全身が余すことなく青痣とミミズ腫れで覆い尽く されたので作業を止める。 「デェェ… デデェェ… …」 痙攣する肉塊になった国宝石を仰向けにバーベキュー用大型焼き網に置く。金網に四肢を針金できつめにくくりつけて動け ないようにする。 水場で国宝石の腹を割く。内臓を取り除き腹腔を綺麗に洗ったら醤油とニンニク、その他香味野菜や香辛料を腹につめる。 総排泄孔から汁がこぼれ出さないよう内側から適当な野菜を差し込んで栓をしておく。適当な大きさのタマネギを詰めておく。 口からも噴き出さないように胸元から喉に向けてニンジンを差し込んでおいた。 下味が充分沁みるようしばらく放置し、テントと竈の準備に取り掛かる。河原の石を積み上げバーベキューグリルの道具と 組み合わせて大きめに竈を造る。トシアキが持っている大き目のバールのよ(ry がいろいろ役に立ってくれた。 ついでに河原の石の中から国宝石の体躯に釣り合う大きさの焼き石を見繕っておく。なるべく焼き面が広く、かつ熱を充分 溜め込める平たく大きい石一つを選びとった。バールの(ry でひっかけられるように針金の取っ手を巻きつけておく。 竈に火を起こす。薪には火力の強い実装炭を混ぜて使う。 焚火の火が安定したら焼き石を炎に入れ時間をかけて充分な加熱をする。 竈の用意が整った頃、ちょうど国宝石も意識を取り戻したようだ。 「… …… … !… ?!… …………ッ!!!」 (……な…何でデス?! 国宝石になってタニマチ奴隷がゴッツアン放題のはずデス? 親方に騙されたデス?!) 口をあけてモガモガやっているが、喉に差し込んだニンジンが詰まっているので声を出すことも汁を吐き出す心配もない。 代わりに両目から血涙をダクダク流している。 国宝石を縛り付けた焼き網を焚火の上になるべく遠火になるよう置く。腹部を一番火力の強い位置に置き、頭部はなるべく 最後に焼きあがるよう端にする。 (アヂッ!アヂッ!ワタシの美しい肉体が焼けるデス!歴史と伝統の軽視デス国宝級の損失デズゥァアアアアアーーー) さらに充分に焼けた焼き石をバール(ry でひっかけて実装石の腹腔に放り込む。カンカンに焼けた焼き石が腹の汁気を 一気に焼き飛ばし、ニンイク醤油と香味野菜の香りがする蒸気が立ちのぼる。 こうすることで大きな肉の塊である国宝石も下と中からバランスよくこんがりと炙られていく。 (デギャァアアアァァァーーーッ!! やめてデス!許してデス!助けてデスーーッ!死にたく無いデスゥーーーッ!) 途中でパイナップルのスライスを焼き石にのせて、仕上げにワインとリンゴのすりおろしたものをふりかける。 成体実装は仔実装と比べて肉にスジが多く、独特の実装臭も強く出てくる。せっかくの国宝石だ、仔実装を料理するより 念入りに手間をかける。 カップ麺とコンビニ弁当以上の食生活をしていないトシアキ達は実装が焼けてゆく姿を眺めながらずいぶん嬉しそうだ。 それぞれ持参した愛用のナイフとフォーク代わりのバー(ry をチャカチャカ打ち鳴らしながら待ち切れなさそうに笑って いる。 (も、もしかしてワタシが喰われるデスか?! 親方の嘘つきーーワタシが酒池肉林なんてあんまりデスゥーー!) 焼き上がった国宝石は、焚火と焼き石の遠赤外線効果で外は焦げ目も香ばしくカリカリ、中は柔らかくジューシー。 食べながら肉の切り口を焼き石に押し付けて焼くこともできるので好みの焼き加減のお肉をアツアツで味わうことができる。 クールボックスからビールを取り出し乾杯する。 焼けた実装肉をナイフで好きなだけ切りとり、そのまま豪快に齧りつく。 (何で!!どうしてワタシがこんな目にあうんデスーー! 頑張って鍛えたデスしごきにも耐えたデスまずいチャンコも我慢して食べたデス 毎日トレーニングした腕がーー 走りこんだ脚がーー 引き締めた腹がーー ニンゲンに食べられてくデスーーー!) 欠食児童の群れのような勢いで国宝石の四肢と胴体は食べ尽くされた。 温度の冷えた焼き石はどけて、残っている頭を金網の真ん中に移しひっくり返す。 焚火の炎に最後の涙が流れ落ち蒸気をあげる。 焼け焦げたニンジンが喉から外れると口から小さく嗚咽がこぼれた。 「デ… デ …デ … … 」 (ワタシの体が… 全部なくなっちゃったデス… … …うそデスゥ… …これは悪い夢なんデス… みんナ… ミンナユメナンデス… …) 都会の喧騒を離れ、気の合う仲間と楽しむ食事は最高だ。 心地よい川辺の風に吹かれ、煌々と輝く月を見上げる。 あの月に乾杯。 −− 終わり −− 春の味 初スク 春の味2 実竹煮 2スク 春の味3 身近な野草の天婦羅 3スク 実装のいる風景1 春の思い出 4スク 実装のいる風景2 春の災難 5スク 実装ストーンステーキ 6スク なんか焦点がいまいち。 自分が読むなら普通に(?)ヒャッハーしたり窓割りや託児を拷問したり浅はかな実装石を陥れるスクがいいです。 でも自分で書くとなんか不自然な感じになります。糞蟲らしい糞蟲を小憎たらしく描くのは案外難しいです。
