「ハンマーを振れ!気合いを入れて振れ!振れ!」 実装を悪趣味にカリカチュアしたマスクを被り、シミと脂に塗れたエプロンを着用したデブが笑いと共に包丁を振り上げて実装たちの労働を監督する。 実装サイズのテーブルやまな板に冷蔵庫が所狭しと不潔な空間に並ぶ。血まみれの蛆がそこら中に張う。得体の知れない切断された臓器が転がって、どくどくと濁った何かの液体を漏らす。 「くさいデスゥ!キタナイデスゥ!」泣き言を漏らす新米労働実装。ブリブリとパンコンしているが、あまりにも凄惨な環境にヤケを起こす事さえできない。 タン!タン!小気味いい音が一定のリズムでタイル張りの不潔な空間に響く。 「デェ~デェ~」息を切らす実装石。 ハンマーを構えては振り下ろし、まな板の上にある肉を細かく潰しては納品ボックスに詰め込んでいく。 「デオッ……」 詰まった声を上げてぶっ倒れた労働実装が現れる。 「デー……デー……デェ……」 過労とストレスの結果だろうか。顔は青くピクピクと耳を痙攣させている。 「あーあーあー、ほいッ」 「デジャッア!デジャアッ!デッ……」 まだ息のある労働実装の元にマスクのデブが歩み寄り、持ち上げて手足や胴体、顔面を引きちぎると、各まな板の上へ乱雑に落としていく。 「デデッ……」 実装たちはプルプルと震えつつも労働を再開する。やがて肉片はミンチと一体になるだろう。 「こんなとこイヤデズ!疲れたデズ!疲れたデズッ!」 泣き言を喚いてパンコンを漏らし続ける新米をデブは放置する。 労働終了後にペナルティを告げられ、食事が自分のパンツ(タップリパンコン入り)となった時のリアクションが今から待ちきれない。 ・・・ 「フン、フン」 玉のような汗を垂らす実装。相当な疲労を感じさせる。 軽金属でできた小型ハンマーは人間にとっては大した事のない重さだが、実装石にとってはかなりの重量。 一日中それを肉へと叩きつけることが仕事だ。 「デスー…デスー…デスー…」 変わり映えもない労働を繰り返させられるこの実装たちは元は特A級高級飼い実装だ。 実装ショップの花形である彼女たちは今や立派な労働者。 愛玩される対象となるべく練習したお歌やおダンスはここでは役にたたない。 「デーッ!ハッ!デーッ!ハッ!」ただ肉を叩くだけ。 厳格な知能検査や共感能力テスト、記憶力試験に受かってきた、人間のお手伝いの練習もいつだって満点で通過してきた素晴らしい才能たち。 「デッハァ、デハァ…」枯れた呻きは潰れかけた喉が産む雑音じみた哀れな鳴き声。鈴の鳴るようなかつての声で鳴ける日は二度と来ない。 ただミンチを作る、ハンマーを振り上げて振り落ろして実装の死肉を叩くだけ。 「フンッ、フン!デー…」 慣れてきた個体は腕の筋肉が雑然と発達して太く肥大している。ダーティバルクと言うやつで、その無骨な筋肥大は自認がか弱い乙女である実装にとって憂鬱な適応。 「フン、フン!フン~!」 特に『自分はニンゲンとのハーフ!』という誇りを持つ黒髪(実際はただ親実装がそう思い込んで産んだだけ)の実装たちは出自故に美意識が強く、相当に堪えている。 ハンマーを振り下ろす際には視線をより深くまな板へと向ける事で腕やらの発達した筋骨を目に入れることを避けていた。 多少賢い野良実装でも十分できる程度の単純作業だけが高級飼い実装として購入された個体たちに求められる。 虐待派たちの共同出資によって作られた『ミートフード工場』は365日休みなく稼働中。 法的に宙に浮いている実装石は動物愛護法や鳥獣保護法の適用下になく、つまりやりたい放題可能。 生配信は好事家たちに大好評。 『2223番の黒髪、かなりマッスルになってていいですね。ストレスで死んだら筋張った肉で実装チャンたちも苦戦しそう♪』 ・・・ ・・・ 「かわいいね、ウチの飼い実装にならない?」 「デデデっ!喜んでデスゥ!」 実装ショップの檻の中、自分と目線を合わせてくれた男が実装石には王子様に見えていた。 実装趣味の滑稽なピンク色のスーツにさわやかな笑顔、更になんだかコンペイトウのような甘い匂いがする! そうデス!きっとワタシはこのステキな王子サマのカイジッソウになる為にうまれてきたんデス! ユメみたいな毎日がきっとワタシを待ってる筈デスン♡ うまれてきて、よかったデス! 喜びに溢れる高級実装。 それを見守るピンクスーツの男の笑顔は、生気のないものだった。 おわり
1 Re: Name:匿名石 2024/11/24-14:41:54 No:00009416[申告] |
生気がないあたり調達係は虐待派じゃないのかな |
2 Re: Name:匿名石 2024/11/24-15:21:59 No:00009417[申告] |
絵面が屠殺場というより完全にホラー系のそれ
ピンクスーツが生気が無いのは一時的とはいえ実装の理想に媚びてるからかも?上げも楽しんでこそとは思うけど |