「ワタチはここのゴチュインさまテチ！！」

バァーンという擬音でもつけたくなる。
リンガルアプリを起動して、顔を覗き込むと開口一番に見栄を切るごとくそれは宣言した。

テーブルの上を我が物顔で闊歩する体長5センチ前後の仔実装。
託児と言うやつで俺の家にやってきたそいつは牛乳が腐ったような匂いがする。

「ワタチをかわいがってほちいテチ！」
興味本位からバレバレの託児を受けてやったのを既に後悔しつつある。

「もうかわいくってメロメロ♡テチィ～？(笑)」

コンビニ袋を汚物の沼に変えた緑色のクリーチャーは続け様に小首を傾げて右手をほっぺに当てながらそう言った。
そいつは興奮でピスピスと鼻息を荒くして下膨れ面が桜色に染まる。

「ご主人様～」ノリを合わせてやるとエッヘンと胸を張る仔実装。
「そうテチュ！そのとおりテチ！さあオムカエのゴチソウをよこすテッチ！腹が減っているテチ！！」

コンビニ袋の中身のホットスナックを丸ごと食い尽くしてクソに変換しておきながらまだメシを求める。

実装は腹が減るから飯を食うのではなく、クソを出す為に飯を食うとスマホで片手間に検索した記事には出てきている。

飯を食うという目的の結果として消化されてクソが出るのではない、クソを出したいという目的の為に飯を食うのだと。

脱糞が快感の上位に位置付けられる実装は可能な限り脱糞したいしするのだと。
脱糞の快感があらゆる感情行為に繋がるのだと。

こんなことしている間にもヤツはコンビニ袋に顔を突っ込んで自分が出した糞を食べて糞を出していた。

喜びでは気持ち良くて嬉ションならぬ喜パンコン。
怒ったら快感で頭を落ち着けるべく地団駄踏んで怒パンコン。
哀しければ落ち込む心を快感で忘れるために涙と共に哀パンコン。
楽しければ快感でそれを加速させるべく楽パンコン。

なんてこった、喜怒哀楽全部がパンコン、脱糞三昧じゃないか。脱糞中毒者じゃないか。
そして実装にとって満腹になるのは単に腹の中が消化しにくいものや硬めの糞でいっぱいになって消化が追いつかなくなった時だけだとか。

虐待派の書いた記事故に信憑性はかなり怪しいがこんなものは、こんなものはアレだ
こんなものまるで

「うんこ製造機だ」俺は思わず呟いてしまう。

「ナニいってるテチュ！？オマエのジコショーカイなんかどうでもいいテチ！」怒っていると同時にやはり怒パンコンしている。
記事は本当なのかもしれない。

こうなったらやる事は一つ、俺は仔実装を優しく指で掴んでやる。

「ご主人さまに相応しい場所があります」
「ホントテチか！？きがきくドレイテチ！さっさとそこにアンナイするテチ！」

俺はリンガルアプリを切った。仔実装をもって少し歩き、我が家のトイレに入る。

素早く便座のふたを開け、仔実装を放り込んだ。ボチャン。

「テェッ！？テチャ！テチャアアア！！！」テチャテチャと冷たい便器の水に憤る仔実装に俺は声をかけた。

「クソの下こそ実装の都でございますぞ」
「チャアアアアンッ！？」

便器の蓋をおろし、便器の水を流した。ジャーという音に心が洗われる思いだ。

うんこ製造機はうんこでいっぱいの場所に行った。

おわり