「それでは、行きますよ」 その女性は、優しい笑顔で微笑みかけた。 小さな身体が緊張に震え、小刻みに揺れる。 だがその仔は、我慢して全てを受け入れる覚悟を決めていた。 「始めます——」 女性の笑顔が途絶え、真剣な顔つきになる。 ゆっくり目が閉じられた次の瞬間、いきなり、自分の周囲が暗転した。 やがて、どこからともなく無数の光のラインが迫り、彼女の身体の中に入り込んでいった。 痛みはない——むしろ暖かで、心地良かった。 その瞬間、その仔は、膨大な「情報」を一度に手に入れた。 世界の仕組み、人間の生活と文化、機械やシステムという概念、発展を経て成長進化する概念、 そして歴史—— 彼女の体内にある、小さな小さな偽石の中に、それらの情報が次々に書き込まれる。 「知識の海」に漂う感覚に酔っていると、やがて、目の前にあの女性が現れた。 「今、貴女の中に、私の持てるあらゆる情報をコピーしています。 でもこれは、貴女のこれからの生き方を大きく変えてしまいます。 それなのに——貴女は、本当にそれを望むのですか?」 改めて頷きを返すと、その仔は、静かに語り出した。 『ワタチは、わかったんテチュ。 このままこの世界で生き続けても、ご主人チャマには何もしてあげられないテチュ。 ご主人チャマは、とてもつらい、とても悲しい歴史を、これから歩んで行くテチュ。 ——だからせめて、ワタチは、少しでもご主人チャマの手助けがしたいんテチュ!!』 「それは、貴女の命を……いえ、存在そのものを蝕んでしまう可能性もありますよ?」 『それでもいいテチュ。 ワタチは決めたんテチュ。 必ず、ご主人チャマを助けて——チカチャンの夢も、果たすんテチュ!』 「そんなことを、想ってくださっていたのですか——」 女性は、少し泣きそうな表情を浮かべたが、すぐに表情を引き締めた。 「分かりました。貴女に全てを託します。 私の持てる全てを、貴女の、全ての潜在能力にインストールします」 体内に入り込む光の量が、何倍にも、何十倍にも増加していく。 頭の中が真っ白になり、森羅万象の全てが入り込んでくるような感覚を覚える。 だがその仔は、圧倒的な程巨大な「情報の波」を、小さな身体で、必死で受け止めようと頑張った。 たった十センチ足らずの、儚い身体の中に—— 待っててね、ご主人様 私、早く大きくなって——経験を積んで—— 必ず、貴方を迎えに行きます そして絶対に、貴方を、救います…… この“因果”から—— だって、貴方は、私に大切なものをくれた 大事な人なのだから…… ---------------------------------------------------------------------------- じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜 第13話 ACT-8 【 実装支配世界、崩壊 】 ---------------------------------------------------------------------------- シティ・ジ・エメラルディアのあらゆる機能が停止した。 それはMOTHERが沈黙したことを意味する。 Deceiveは——否、今や「実を葬」となった隊員達は、テロリストグループと共にジオ・フロントを脱出する。 抵抗する者は、もういない。 実装石側に付いていた人間達も、先のエルメスの放送により完全にやる気をなくし、そのほぼ全てが 「実を葬」に加担した。 無論、最後まで敵対した者達も居たには居たが、彼らが話すことは、もうありえない。 “実装石が支配する世界”は、この瞬間、人間の手により奪還されたのだ。 「やりましたね、隊長!」 「おめでとうございます!」 大喜びしながら賛美の言葉を並べる隊員達。 しかし、オルカの表情はまだ険しい。 「いいや、まだだ。 この世界にはまだ、MOTHERや大ローゼンの事情を知らない、認めない者達がいる筈。 その者達を一掃するまで、私達の活動は終わらない」 「た、確かに!」 「闘いはまだまだ続く。 一旦帰還して、今後の方針を検討しよう」 「了解!」 ミッションはまだまだ残るものの、今この瞬間に感じる達成感は素晴らしい。 オルカは、これまで感じたことのない程の解放感をも感じながら、ひろがる青空を見上げた。 ジオ・フロントを覆う壁が視界に入り、眉間に皺が寄る。 (あれもいずれ、全て破壊する必要があるな。 それで本当に、実装と人間の垣根が——) そこまで考えた瞬間、オルカは、ふとあることを思い出した。 (そうか、もういいんだ。 大ローゼンもMOTHERもないのだから……あの三人を保護する必要もなくなったわけだ) オルカの口元に、嫌らしい笑みが浮かぶ。 6月5日午後5時。 としあき達がこの世界にやって来て、93時間が経過した。 残りの滞在時間は、あと27時間—— (ぐえぇ〜、腹減ったデス……もうダメ、死んじゃうデス〜……) 「テ……ェ……」 『お〜い誰かぁ! ぷちが苦しそうデス! せめて水くらい寄越せデスぅ!!』 「うるせぇ! 糞蟲が!!」 ガンッ! と激しい音を鳴らし、鉄格子が蹴られる。 ここに閉じ込められてから、既に一日半。 その間、食べ物も飲み物も与えられず、ミドリとぷちは限界に達しようとしていた。 「キキキ、まだ喚く元気があるとは驚きさまず」 白い仮面を被った巨体が、興味深そうに覗き込んで来る。 「もうお前達は助からないざます」 『デデェッ?!』 「なんで? って顔をしているざますね? 特別に教えてやるざます。 この世界を支配していた糞蟲共が、先程壊滅したざます。 つまりもう、お前達はこの世界の賓客ではない、ただの一介の実装石に過ぎなくなったんざます!」 『で、デギャア! それじゃあ、ワタシに与えられる筈だった豪邸は! 山盛りの牛丼毎日食べ放題の特典は! ぜぇんぶ消えてなくなってしまったんデスぅ?!』 「何を喚いているのかわからんざますが、とにかくお前達を助けるものは、もういないざます」 『くっそ〜! クソドレイ! クソドレイぃ! あいつ何してるデス?! 主人のワタシを助ける為に颯爽と現れ……るわきゃぁないかぁ、デスゥ』 「お前とそこの人化実装は、今夜! 広場にて公開解体処刑に処すつもりさまず! その際は、この私自らが凌遅刑(りょうちけい)を行ってくれるざます! あ〜、楽しみ過ぎてイッちゃいそうざます〜♪」 『こ、このバケモノめ! なんだかよくわからんけど、それまでにここを脱出しなきゃならんデス! くっそ、いったいどうすりゃいいんデス?!』 白い仮面の巨体は、静かに仮面を外す。 その下から覗く異形の顔に、ミドリはまたも言葉を詰まらせた。 「グギギ……あの時、お前の自爆攻撃をまともに食らった私は、こんな化け物のような顔になってしまった ざます! お前達さえ“実装愛護の世界”に来なければ! 私は今でも実装石愛護派として君臨し、虐待派の処刑を楽しんでいられたんざます! 私の人生を無茶苦茶にしたお前達三人、絶対に生きてこの世界から出さないざます!!」 額の方にずれた左目、頬の辺りまでずり下がっている右目。 縦に切り裂かれたように割れている口、そして形を失い穴だけになった鼻。 黒くただれた肌、一部筋肉と骨が剥き出しになった顔—— ジュリアーノ京橋。 それが、この仮面巨体の正体。 としあきが四番目に訪れた“実装愛護の世界(※第4話参照)”。 そこは実装石愛護派が大半を占め、虐待派が愛護派によって迫害を受けるという世界だった。 愛護派の拠点とも云える「愛(ラブ)実装パレス」の管理人及び代表者面をしていたのが、この巨体を誇る 女性・ジュリアーノ京橋だった。 実装石愛護の精神を拗らせ、虐待派を捕らえては個人の判断で残虐な拷問・処刑を行い、果ては少し でも疑いのある者であれば愛護派であっても容赦なく断罪するという、鬼畜の中の鬼畜。 しかしそんな彼女には、“死体愛好癖(ネクロフィリア)”という恐るべき正体があった。 それも、人間・実装石問わず、過度に損壊した死体でないと性的興奮を得られないという、究極のド変態。 つまり自身の虐待癖を隠す為に、愛護派代表の皮を被り続けていたのだ。 そんなジュリアーノ京橋は、海藤ひろあきによって正体を暴かれ、同時にとしあきとミドリの捨て身の戦法 で大ダメージを受け、昏倒した。 その時のダメージが、今もその顔に色濃く刻まれているのだ。 しかし、彼女はこことは異なる世界の住人だった筈。 それが何故、この世界に? 心身ともにズダボロのミドリでも、そのくらいの違和感は覚えられた。 『コイツをこの世界に連れて来たのは、間違いなく初期実装デス! あいつ、なんてことをするデス! おかげでこちらは危険が大ピンチデス。 点を付ければ“犬ピンチ”デス!』 としあきによる救出は期待出来ず、ぷちも頼りにはならない。 もう、自分の力でどうにかするしかない! ジュリアーノ京橋の大声に反応してか、「実を葬」のメンバー達が次々に集まって来る。 その好奇の目が、自分達への加虐を期待しているのは明白だ。 ミドリは、覚悟を決めた。 「あ〜もう、やっぱり辛抱たまらんざます! 実を葬の諸君! 今からこの二人を徹底的に痛めつけ、細かく身体を切り刻んでじわじわとなぶり殺しに してやるざます! 参加したい人はここに並んで——」 『ふざけんのも、いい加減にしろデッシャァアァァァァl!!』 突然、部屋全体が振動する程の大声が響く。 それは、ミドリの怒声。 突然のことに驚いた人間達は、鉄格子の方を見て仰天した。 ミドリの身体に、異変が起きている。 実装服には「6」の模様が浮かび上がり、その両目は激しく血走る。 逆立つ巻き毛、激しく燃え上がる真っ赤なオーラ。 それを見たジュリアーノ京橋は、甲高い悲鳴を上げた。 「ひ、ひいぃぃぃ?! しょ、初期実装おぉぉ?!」 「さ、最重要警戒態?」 「も、もう一体居たのか?!」 「なんだそりゃ! 聞いてないぞぉ!」 「実を葬」のメンバー達も、想定外過ぎる状況にどよめく。 そんな彼らをよそに、ミドリはまるで温めた飴でも曲げるかのように、易々と鉄格子をひん曲げてしまった。 手すら使うことなく。 「ぎゃあああああ!!」 「や、ヤバイ! 逃げろ!」 「大変なことになるぞ!」 「うわあぁぁぁあ!!」 『待ちやがれデス! てめえら一人たりとも生きてここから出られると思うなデス!!』 ミドリの目が煌々と輝き、巻き毛が膨張し始める。 次の瞬間、それは前方に猛スピードで伸び始め、分裂してメンバー達を拘束した。 その間、僅か三秒ほど。 階段へ逃げようとしていた者達も、漏れなく全員捕らわれの身になった。 「ぎゃあああ! ち、近付くなこのバケモノぉ!!」 『ワタシよりお前の方がバケモノデス! お前をこの世界に連れて来たのは、初期実装デス?』 「は、は、は、はい! そ、そうでございますざますぅ!」 『あの野郎、何を考えてやがるデス! ま、それはイイとして。 さっきお前が言ってたリョウチケーって奴デス? あれを今からお前にやってやるデス!』 「ひ、ひぃぃ!!」 『まずは、その妖怪みたいな顔を削り取って——』 「オネーチャ! 止めてテチィ!!」 背後から、声が聞こえて来る。 見ると、よろよろと立ち上がり辛そうに胸を押さえているぷちの姿があった。 『ぷち! お前、大丈夫なんデス?』 「だ、大丈夫じゃないテチ……死にそうテチ…… で、でもオネーチャ、どんなことがあっても、人を殺すのはダメなんテチィ……」 『でも、こいつらが悪さをしたから!』 「ここでオネーチャがこの人達を殺しちゃったら、オネーチャはこの人達と同じになっちゃうテチ! それだけは、絶対にしちゃダメなんテチィ!」 『デ……』 ぷちの必死の、今にも倒れそうなほど衰弱した身体に鞭打っての訴えに、ミドリは動揺する。 しかし、この者達を容赦することは出来ない。 散々悩んだ結果、ミドリは—— 『おいお前ら! 我が妹ぷちの懇願で、特別にお前達の命は奪わずにおいてやるデス』 「お、おおおおおお?!」 「ま、マジかぁ! あ、ありがてぇ!」 『ただし……』 そう呟くと、ミドリはぷちの手を取り、シュンと一瞬で姿を消した。 無論、彼女の巻き毛に絡み取られているメンバーも全員。 ミドリ達が現れたのは、真っ白な壁の何もない部屋。 それはこの世界に来た初日、エメラルデス42世に謁見後に二人が放り込まれた部屋。 空調も効いており、飲料や食料が詰め込まれた冷蔵庫もあり、着替えやタオル、アメニティ各種を揃えた 浴室、清潔なベッドまである。 だが、そんなに大勢を収容する前提でない部屋の為、ジュリアーノ京橋を含めた「実を葬」メンバー達は、 かなりギチギチの状態で詰め込まれる形となった。 「お、ギ、ギギギ……せ、狭いざます! おいお前! もうちょっとそっち行けざます!」 「そ、そんな事言ったって、む、無理ぃ!」 「ちょ、こ、こちら、身体逆さまで……」 「あだだだ! あ、足、顔に当たってる!」 「重い重い重い! 早くどいてくれー!」 「ゆ、指折れてるぅ! 痛えぇ!!」 僅かに空中に浮いているミドリとぷちは、眼下で身体が挟まっている人間達を見下ろす。 「これでいいデス」 「か、可哀想テチ! オネーチャ、助けてあげてテチ!」 「いんや! 助けはしないデス」 「テェ?」 「ワタシは、お前の言う通り殺しはしなかったデス。 でも、許したわけじゃないデス。 生き残りたいなら、こいつらが自力でなんとかすりゃいいデス。 そこまで面倒見る気はないデス」 「て、テチャァ……」 「み、み、ミドリぃ〜〜!!」 ジュリアーノ京橋が、怒りの形相で睨みつける。 そんな彼女に向かって、ミドリは 「そぉれ、あの時の屈辱をもう一度思い出させてやるデッスン♪」 徐にパンツをずり下げると、総排泄口を顔に向ける。 ——ブリリン☆ ろくに何も食っていないにも関わらず、何故か大量に糞が排出される。 そしてそれは、余す事なく全てジュリアーノ京橋の顔面を覆い尽くした。 「も、もがあぁぁ〜〜!!」 断末魔のような悲鳴を聞きながら、ミドリはぷちを連れてその部屋から姿を消した。 「今戻った! 大成功d——あれっ?」 「実を葬」の本拠地に戻ったオルカとDecieveの隊員達は、喜び勇んでジュリアーノ達の居る部屋へ 飛び込んだ。 にも関わらず、そこはもぬけの空。 「た、隊長! これを!」 隊員の一人が、慌てた声で報告する。 彼の指し示す方向を見ると、ミドリ達が幽閉されていた筈の鉄格子が破壊されている様子が窺えた。 当然、中には誰も居ない。 事態が呑み込めないオルカは、思わず口元に手を当てた。 「どうなっているんだ? 我々が居ない間に、大ローゼンの何者かが?」 『いんや、それは違うデスゥ』 何処からともなく、聞き覚えのある声が響く。 見ると、部屋の奥にお初さんが佇んでいた。 驚く隊員達が、オルカを守るように立ち塞がる。 「最重要警戒態……」 「え、こ、こいつが?!」 「最重要警戒態?」 「テロ完遂お疲れっす! です。 これで、この世界における「実を葬」の役目は全部終わりです」 「はぁ? 何を言っている? この世界には、まだ多くの実装石が残っている。 そいつらを全て淘汰しなければ我々の目的は——」 「そんな事、どうだっていいデスゥ〜」 ボンッ! と音を立て、お初さんは初期実装の姿に戻る。 驚きの声を上げる隊員達をよそに、オルカの表情が険しくなる。 「お前達はお前達で、後は好きにやればいいデスゥ。 でもワタシは、ようやく目的を果たせたから、正直もうどうでもいいデスゥ」 「目的? どういうことだ?」 オルカの質問に、初期実装は相変わらずの無表情のまま答える。 「ジオ・フロント地下最深部から、クソドレイを引っ張り上げる“次元の路”を開くことデスゥ。 お前達がジオ・フロントに突入してテロ行為と破壊工作をしてくれたおかげで、MOTHERの作り出した イセリアルフィールドの効果が途切れて、困難だったジオ・フロントへの潜入が容易になったデスゥ」 「な……」 「あのシールドは、ワタシ専用の対策なだけに、本当にしんどかったデスゥ。 どんなに頑張っても、今まではワタシの意識体だけしか送り込めなかったデスゥ。 あのとしあきという“因子”を別な世界に引っ張り出す為には、もっと大きな“次元の路”を開いてやる必要 があったデスゥ。 ——でもMOTHERが沈黙した今、シールドもなくなって、もうワタシに制約は一切なくなったんデスゥ〜♪」 「つまりお前ははじめから、“因子”である弐羽としあきをMOTHERの監視下から解き放つ、ただそれだけの 為に私を利用したというのか!」 わなわなと、オルカの肩が震える。 それを嘲笑うかのように、初期実装はその場で軽やかにクルリと回った。 「そう、その通り! 銀の翼に望みを以下略デスゥ☆」 「ジュリアーノ京橋を異世界から呼びつけたのも、私を「実を葬」に引き込んだのも!」 「そうデスゥ。 ジュリアーノは、この世界で「実を葬」を組織するために呼び寄せたけど、あいつの感動的な人脈形成術は 思いの外役に立ったデスゥ。 そしてお前も、ジオ・フロントを崩壊させる手引きをしてくれたデスゥ。 スゴイスゴイ、おっきな花丸あげちゃうデスゥ♪」 「……」 Decieveの隊員達が、信じられないものを見る様な目つきでオルカを見つめる。 だが彼女はそれに気付かず、怒りの眼差しで初期実装を睨みつけていた。 「よくも……騙してくれたな!」 「そんな怖い顔をするなデスゥ。 お前も、憎っくき上司を自分の手でぶち殺せて嬉しかったデスゥ? 実装石を虐待する喜びにも目覚めたデスゥ? これからも、お前はお前の好きなように、この世界の実装石を痛めつければいいのデスゥ」 「わ、私は、そんなつまらないことの為に、コイツに利用されていたというのか……」 オルカは愕然とした表情で膝から崩れ落ちる。 だが隊員の誰も、そんな彼女を助けようとはしない。 それどころか、侮蔑の眼差しを向けるだけだ。 「この世界がこの後どう変わって行くのか、それはお前ら次第デスゥ。 まぁ、好きなようにし——」 そこまで話した時点で、不自然に言葉が止まる。 初期実装は急に天井を見上げると、耳をぴこぴこ動かし始めた。 「うっわぁ、コイツはヤバイことになったデスゥ」 「な、なに?」 「お前らに説明する義務はないデスゥ。 とっととあばよデスゥ」 「あ、待て! 最重要警戒態ぃ!!」 オルカの呼び止めも空しく、初期実装は一瞬で姿を消す。 跪いたオルカが立ち上がろうとすると、その頭に銃口が突きつけられた。 「?!」 「隊長……いや、オルカ。 どういうことなのか説明してもらおうか」 「な、お前達……」 「あんた、俺達を騙していたのか?」 「……!!」 室内が、張り詰めた緊張感で満たされた。 6月5日午後7時。 としあき達がこの世界にやって来て、95時間が経過した。 残りの滞在時間は、あと25時間—— ミドリとぷちは、ぼろぼろになりながらも、ジオ・フロント地下最深部に到達した。 突然前置きもなく現れた二人に、としあきはボロボロ涙を流しながら接近する。 「ぷちぃ! 無事だったかぁ!」 「クソドレイサン! 良かったテチィ!」 「コラ、クソドレイ! 主人であるワタシの安否を真っ先に確かめないとは、なんたる躾のなってないオス犬デス?!」 「いやだって、お前何やったって死なないじゃん」 「言われてみれば、それはそうデス」 「だったら心配する必要なんかないべ?」 「いやいや」 「イヤイヤ」 「「 ハッハッハッハッ 」」 「何おバカな事話してるんテチィ! って、このおっきなお部屋は何テチ?」 「ああ、ここはな。 俺がこの世界に来てからずっと閉じ込められてた場所だ」 「「 閉じ込められてた? 」」 としあきは、これまでの自身の経緯を二人に説明した。 そして、諸悪の根源であるMOTHERが、足元に転がっている金属球であることも。 「コイツがワタシ達をこんな目に遭わせやがったデス?! とんでもなくふてぇ野郎デス!!」 ミドリが、ポフッと金属球を蹴飛ばす。 すると、まるでそれがきっかけになったかのように、球はフワリと空中に舞い上がった。 「くそ! まだ動きやがるか!」 咄嗟にデスゥタンガンを構えようとしたその時、どこからともなく射出されたレーザーが、デスゥタンガンを 撃ち抜いた。 ボンッ! と小さな破裂音が鳴り、デスゥタンガンが真っ二つに割れて落ちる。 「うぉっ?! あ、危ねっ!」 「クソドレイサン! 大丈夫テチ?」 「お、おう、なんとか。 って、えっ?!」 見上げると、金属球はいつの間にか元の高台の上に戻っていた。 ゴウンゴウンという、不気味な重い音と微振動が、部屋全体に襲い掛かる。 どこからともなく、割れまくった音声が響き始めた。 『ドウシテ……ドウシテ……』 「ま、MOTHER?!」 『ソウシテイツモ……アナタガ……ゴシュジンサマヲ……』 「こいつ、何言ってるデス?」 「わかんねぇ! 多分狂ったんだろう」 「テェェ! なんだか猛烈に嫌な予感がするテチィ! オネーチャ、クソドレイサン、逃げるテチィ!」 「ににに、逃げるって、何処へ?!」 『ゴシュジンサマダケハ……ワタサナイ。 ゼッタイニ……ワタサナイィィィ!!』 「早く、こっちに来るデスゥ!」 グラグラと揺れ始めた床に戸惑う三人の眼前に、突然初期実装が姿を現した。 「初期実装?!」 「大変デスゥ。衛星が落下して来ているデスゥ!」 「えっ?! コロニー落し?」 「ガ○ダムじゃねぇデスゥ! 衛星デスゥ! しかも落ちて来るのは、どうやらこの街みたいな感じプンプンデスゥ!」 「デギャ?! そ、それじゃあみんな死んじまうデス?!」 「たたた、大変テチィ!」 「そうデスゥ! だから今から、無理矢理別な世界に逃げるデスゥ! これ以上この世界に留まったら、命が犬ピンチデスゥ!」 「点が一つ多い気がするが、了解だぁ!」 『マッテ……ゴシュジンサマ、マッテ……! オノレ、サイジュウヨウケイカイタイメェェェェェエl!!』 怒り狂ったMOTHERの声が木霊し、次々に床が破砕されていく。 何処からともなく伸びて来た機械のアームが、皆を捕らえようと接近してくる。 もう、打つ手はない。 しかし、突然初期実装が声を張り上げた。 「おいミドリ、手を貸せデスゥ」 「手? はいよデス」 「おう、デスゥ。 って、別にお手々繋ぐわけじゃないデスゥ」 「デェェ、じゃあどうしろというんデス?!」 「お前の力を貸せって意味デスゥ!」 「デェ? それはどういう——」 「お前に目覚めた力を使ってワタシの力にバフかけろっつってんデスゥ! それくらい分かれよバカァ!」 「な、なんだかすっごく悪い事した気分になってきたデス……」 「なんだかわからんが、二人とも早くしてくれぇ!」 「「 わかったデスぅ! デュアル・オー□ラ・ウェーイブ!! 」」 「掛け声それなん?!」 としあきの叫びと同時に、ミドリ、ぷち、初期実装を含めた全員が、その場から姿を消す。 僅かに遅れて、彼らの居た場所にアームが届いた。 『グアアァァァァァァァァァァアアアアアアアア!!!』 MOTHERの叫び声は、激しく恐ろしく、だがどこか悲し気な色を湛えていた。 その者の生誕は、まさに天の気まぐれだったのかもしれない。 とある野良実装が産み出した「娘」は、稀代の天才だった。 突然変異的なものなのか、生後一週間にして公園に住む実装石達の顔や特徴、性格を暗記し、それを 基に、母親の実装石に提言を行った。 または、餌場であるゴミ捨て場の注意書きを読み、餌を取れない日を特定し、母親に無駄な行動を 取らせないように計らった。 他の実装石とは比較にならない程の、優秀な頭脳を持ち、また高い学習能力や思考能力、また応用能力 をも秘めながらも、それを上手に隠ぺいし、他の個体の羨望や嫉妬心をかわす心構えすら備えていた。 そんな優秀な「娘」を、母実装はとても大事に思い、全身全霊を以て大切に育てていた。 かつては飼い実装だった母は、裕福な家庭で大事に育てられて、上等な躾けを学んでいた。 だが家人が急死した途端、大勢の親族が遺産を巡り激しい争いを始めたのをきっかけに、自ら飼い実装 の座を捨てたのだ。 今はただの廃墟となっている、かつての住処の前を通る度に、母実装は酷く悲しげな表情を浮かべていた。 そして「娘」は、そんな母をせつない気持ちで見つめていた。 母実装はとても優しく、そして時には厳しく、愛情を込めてしっかりと「娘」を躾けた。 自分が飼い実装に戻ることはもうないと理解しているが、せめて娘には、可能性だけでも残してやりたい と願っていた。 今はただの野良実装でも、「娘」の優秀な能力があれば、もしかしたら… 微かな希望に過ぎなかったが、母実装はそれにすがり、出来るだけのことを施してやりたいと願っていた。 そして「娘」も、そんな母の想いに応えようと、懸命に努力を重ねた。 しかし、悲痛な別れは、突然に訪れる。 二人が住んでいる公園に、ある晩、人間達が入り込んだ。 彼らは凶器を携え、次々に仲間の実装石を襲撃し、殺害していった。 いち早く異変に気付いた母実装は、「娘」を近くの木の洞に隠し、自ら囮となった。 命がけで、大切な「娘」を守るために。 翌朝、「娘」は見た。 朝陽に照らし出される、死屍累々の惨状。 何の罪もない仲間達は、一匹残らず惨殺されていた。 無論、最愛の母も—— 匂いだけを頼りに捜し出した母は、もはや原型を留めないほどに破壊され尽くしていた。 「娘」は泣いた。 しかし母の教えを思い出し、人間を憎んだりはしなかった。 実装石が虐げられるこの世の中に、問題があるのだ。 実装石と人間が、仲良く共存する世界があれば、こんな事は起こらない筈なのに—— 「娘」は抱いた。 途方もない夢、実装石には叶えられる筈もない理想を。 そんな時、彼女の前に、不思議な存在が現れた。 「お前、ワタシと共に、世界を巡るデスゥ」 その者は、実装石でありながら、明らかに他と異なっていた。 縦に伸びた尖った耳、血走った眼、不思議な模様が浮き出た頭巾、なんとなく違和感を覚える髪の毛…… 「娘」がどんなに賢くても、まだ生後一か月も経たない子供である。 彼女は、誰かにすがりたかった、甘えたかった。 そんな幼さ故の感情が、最悪の選択をしてしまうとは、つゆ知らず。 「娘」を引き取った不思議な実装石は、自分の名前は明かさなかったが、しきりに「一番最初の〜」と 名乗っていた。 本当はその後にも何かが続くのだが、「娘」にはよくわからなかった。 不思議な実装石は、世界を飛び越える能力を持っていた。 その力で、「娘」と共に、様々な別世界を旅して回った。 滞在期間はばらばらで、いつも突然に移動する羽目になったが、「娘」はそれが楽しくて仕方なかった。 自分の住む世界とは違う世界で、色々な実装石や人間、動物が居るという現実は、「娘」の好奇心や 知識欲を、激しく刺激した。 ——とある存在に出会うまでは。 ある時、「娘」は突然、不思議な実装石と離れ離れになってしまった。 理由はわからない。 しかしその結果、「娘」は、自分に好意を寄せてくれる、もう一人の存在と出会えた。 それは、人間の男。 名前は、弐羽としあきという。 「そんなに、そのまん丸好きか?」 テッチュウ♪ 「じゃあ、お前の名前は“マンマル”…じゃ変だな、よし、マルにしよう」 テチャア♪ テチテチィ!! 「マル」という名前を貰えた事は、「娘」の心に大きな改革をもたらした。 かつて母実装は、熱く語っていた。 自分に名前を授けてくれる人間は、生涯をかけてご奉仕するべき、大切なご主人様。 最高の礼儀作法と、最大の愛情を以て、ご主人様の為に尽くす。 それが、飼い実装の本望なのだ——と。 「娘」は……否、「マル」は、とうとう見つけた。 自分が生涯を賭して全てを捧げるべき、大好きなご主人様! これで、長い旅が終わる。 マルは、そう信じて疑わなかった。 しかし、またも悲劇が訪れた。 とてつもなく大きな力によって、マルは、再び異世界へと飛ばされた。 そんな彼女を救ったのは、かつて敬愛した存在……不思議な実装石だった。 彼女は、何故か、マルが降り立った世界を敬遠していたのだ。 “既に滅びた世界には、興味がない”と言い。 不思議な実装石は、その後もマルを連れ回し、更に多くの異世界を巡った。 実装愛護の世界 実装虐待の世界 実装人の世界 実装人形の世界 鍋実装の世界 親指実装の世界 etc... いくつの異世界を巡ったか、もうわからなくなった頃。 マルは成長し、やがて中実装と呼ばれるほどの体格になっていた。 それに伴い、徐々に“不思議な実装石”に対する疑念が強まって行った。 彼女は、何の目的があって自分を連れ回すのだろうか? 何故、どの世界でもバラバラの滞在時間なのだろうか? どうして、「ネガ実装人の世界」だけは避けようとしたのか? 彼女は、自分に、何を求めているのか? 答えを得ることはなかったが、マルは、いつか必ず突き止めようと心に誓った。 そしてその気持ちは、やがて不思議な実装石との確執へと変貌を遂げる。 ——山実装の世界。 ここに降り立ったマルは、山奥で人里を避けて暮らす山実装、そしてその変異種である獣装石という 種族に出会った。 そこで、これまでに培ってきた知識や技術を披露し、彼女達の生活改善に努めたところ、いつしか山実装 のリーダーに祭り上げられた。 しかし、マルは気づく。 一見、大自然の中で平和に暮らしている彼達は、実は人間の監視下に置かれている事を。 そしてまた、その目的が「捕食」であるという事にも。 マルは、山実装達に過酷な現実を伝えることを躊躇い、秘密裏に彼女達を救う方法を模索した。 不思議な実装石による、世界移動を拒み続けながら。 たとえ自分とは何の関係もない者達でも、見捨てることはどうしても出来なかったのだ。 とはいえ、自分の力だけで、山実装達を更なる安全圏に移すことは、至極困難を極めた。 だがそんな時、奇跡の出会いが訪れる。 山実装の集落に、マルのご主人様が姿を現したのだ。 予想もしなかった再会にマルは激しく心躍らせたが、すぐに事態の異常性に気づく。 何故この世界に、ご主人様が? もしかしてご主人様も、自分と同じように、世界移動をさせられているのでは? マルは、はやる気持ちを必死で抑えつつ、自分の素性を隠してご主人様に接した。 甘えたい気持ちを、抱き着きたい心を殺し—— ご主人様は、マルの意志に同調し、山実装を人間達から護るために協力してくれた。 ご主人様の優しさは相変わらずで、マルは心の底から喜んだ。 彼の協力があれば、山実装達を救う事は可能に思われた。 しかし、あと少しという所で、マルは「不思議な実装石」に捕らわれ、強制的に異世界へと連れて行かれて しまった。 山実装達や、ご主人様達の行く末を見守ることもなく—— それから、再び数多くの異世界を巡らされ、マルはすっかり成熟した。 成体実装となったマルは、これまでの経験や、大事なお友達から授かった膨大な知識を動員し、ついに 「不思議な実装石」の真の目的を特定した。 このままでは、自分は、自分の居た元の世界を、滅ぼしてしまうだろう。 それに抗うために、どうすればいいのか? ——実装産業の世界。 「アビス・ゲーム」なる、閉鎖空間内での実装石同士の殺し合いに紛れ込んでしまったマルは、ここで強力 な味方と出会う。 “偉大なる、大ローゼン” MOTHERなる、異世界に居る謎の存在の意志により、狂った閉鎖空間内でのサバイバルは、若干の好転 を見せた。 そしてそこでも、マルは再び奇跡の再会を果たす。 ただ、二度目の再会を果たしたご主人様は、とある者の仕業で実装石の姿に変えられていた。 同じく、実装石に替えられた人化実装の娘が付き従っており、マルは少し嫉妬を覚える。 だが、この狂った空間の中では、自分が二人を守らなければならない。 大ローゼンのエージェントを名乗る者達の力を借り、マルは、必死で他の実装石達と闘った。 アオチームのリーダー・通称「アオ親」として。 しかし、またしても「不思議な実装石」によって捕えられ、強制的に世界移動を行われてしまう。 マルは、自分が成長の限界に達している事と、ご主人様の境遇を考慮し、恐らくもう二度と再会することは ないだろうと考えた。 そして、その予想は、的中した。 ——故郷の、世界。 無数の実装世界を巡ったマルは、自分の故郷の世界に戻された。 だがそれとほぼ同時に、突如として世界的異変が発生し、世界全体が大規模な災害に見舞われ始めた。 自分が元の世界に戻ることで、大いなる災厄を招き寄せる。 それは、大切なお友達から引き継いだ知識の中にも、しっかりと記述されていた。 ユナイト現象。 このままでは、異世界と深く関わった自分の「因果」を伝って、膨大な実装生物が一度に来襲する。 生態系は破壊され、社会は混乱し、また彼女達を運んできたワームホールは、容赦なく海と大地を破壊 し切り裂いていく。 その因果を断ち切る方法は、ただ一つ。 因果をこの世界に持ち込んだ「因子」そのものを、破壊する。 それしか、世界を救う方法はない。 その破壊すべき「因子」とは、自分のことだ。 マルは、決断した。 自らの命を絶ち、肉体を無に帰すことを。 それが唯一の方法にして、自分に忌まわしい因縁を付加した「不思議な実装石」への、最大にして最期の 報復だった。 かくして、世界の崩壊はぎりぎりの所で収まった、 しかし世界は壊滅的な打撃を受け、もはや以前のような状況を取り戻すことは不可能に思われた。 だがマルは、一計を案じていた。 自ら死を選ぶ直前、大ローゼンのエージェントの力を借り、自分自身の意志と記憶をデータ化したもの、 そして自らの偽石を外部に保存していたのだ。 肉体が滅んでも、マルの意志は残る。 機械の身体を得たマルは、早速、崩壊した故郷の復興に着手することにした、 —— MOTHER として。 それから、三百年もの月日が経った。 三度目の再会が、ようやく叶ったのだ。 完全に復興し、以前よりも遥かに進歩した、この世界で。 総ては、ご主人様「弐羽としあき」を迎え、不思議な実装石 〜最重要警戒態〜 から護るために。 ご主人様……大切な、私のご主人様 私はマル、貴方の飼い実装、マルなのですよ もう、お忘れでしょうか ずっと、ずっと……貴方に逢いたかった 抱き締められたかった、愛して欲しかった だけど、私はそれを諦めて三百年……貴方の為に、必死でこの世界を作り上げました この身体すらも、犠牲にして ただ貴方に、幸せでいてもらいたいが為に—— なのに、どうして 私にまだ、欠けているもの、足りないものがあったのでしょうか ならば私はきっと、今度こそ絶対に、足りなかったものを補います 貴方にとって、最高の存在になってみせます だから、還って来て—— お願いだから……お願いですから だって貴方は、とても大事な人だから—— 愛しています、ご主人様—— MOTHERは、デスゥタンガンによる強力な拘束と、としあきの蹴りによって偽石に大きなダメージを 負ってしまった。 本来であれば中枢部に位置し、表に現れることなどない“核(コア)”。 としあきに全てを打ち明け、信じて欲しい一心で表出したのがいけなかった。 MOTHERの機能が一時的に停止した為、DESU-EXの制御は乱れた。 そこに、エルメスが仕込んでいた最後の切り札が作動したのだ。 もし全てに失敗した際、DESU-EXをMOTHERの真上に落下させ、これを完全に破壊するという 自爆プログラム。 その存在をMOTHERが気付かなかったのか、或いは気付いていたのかは、もうわからない。 大勢の人間と、生き残った禿裸実装達の住む大都市シティ・ジ・エメラルディアにDESU-EXが墜落した のは、それからおおよそ一時間後のことである。 → To Be Continue NEXT WORLD 次回 【 カオス実装の世界 】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− このスクは、 sc1862「じゃに☆じそ!」第一話(公園実装の世界編) sc1863 sc1865 sc1891「じゃに☆じそ!」第二話(虐待正義の世界編) sc1892 sc1893 sc1897「じゃに☆じそ!」第三話(人化実装の世界編) sc1899 sc1900 sc1948「じゃに☆じそ!」第四話(実装愛護の世界編) sc1949 sc1951 sc1956「じゃに☆じそ!」第五話(実装石のいなくなった世界編) sc1975「じゃに☆じそ!」第六話(実装人形の世界編) sc1978 sc2042「じゃに☆じそ!」第七話(他実装の世界編) sc2044 sc2052 sc2055 sc0210「無謀なる天使達3」(実装人荘編)※実装人スク sc0211 sc0212 sc0213「じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜」第八話(実装人の世界編) sc0214 sc0215 sc0216 sc0217「じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜」第九話(ネガ実装人の世界編) sc0218 sc0219 sc0220 sc2165「じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜」第十話(大分の世界編) sc2373「じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜」第十一話(山実装の世界編) sc2374 sc2375 sc2376 sc2457「じゃに☆じそ!〜実装世界あばれ旅〜」第十二話(実装産業の世界編) sc2458 sc2459 sc2460 sc2461 sc2462 sc2463 sc2464 sc2466 sc2467 の続きです。 ただし、前のエピソードを特に読まなくてもだいたいわかります。