「実装石のなる木」 ここはA県のとある大農場 最近大学との共同研究で新しい成果を上げたとの話があり、新聞の取材にきた 仮称は「実装石のなる木」とのことだ 不思議なことに果実のように木から実装石ができるというのだ 取材に対応してくれたのは、この地域の農家の中でも最も期待されている若手と評判の冨多葉利明 さん(47歳)だ 「最初は驚かれると思いますけど」 実際に見せていただくとリンゴの木のようなものの枝から、たくさんの仔実装が生えていた 腰から下は完全に木になっており、上半身だけが実装石だ。果樹実装とでも表現すればいいのだろ うか? みな一様にこちらを見て笑いながら手を振ったり「チィチィ」とかわいい鳴き声を出して歓迎して くれる 「ここらへんはまだ収穫前ですね。ちょうど収穫している最中のものがあちらになります」 農園の奥へ進むと、先ほどとは少し雰囲気が変わってくる 果樹実装が少し大きくなり、我々が近づくだけで「テチャー!」「ジイイイ!」と悲鳴を上げたり 威嚇したりするのだ 「こいつらも一応知能がありましてね。収穫された仲間を見てるんで自分も収穫されるって怖がる んですよ」 利明さんが威嚇している仔実装を一匹掴んで引っ張り、木の部分から「ヂッ!」と一気にもぎとる と果樹実装を渡してくれる 木から切り離されるとさっきまでの威嚇していた様子とは打って変わり、「テチャアアア…」と血涙を流 しながらぐったりとしている 「そのまま皮(服)ごと食べられます。新鮮なうちにどうぞ」 少し抵抗はあったがそのフルーティーな香りに誘われて、腕からかぶりつく 「テ、テーー…」私の手の中で力なく震える仔実装の感触が不気味ではあったが、味わってみると… 食感は鶏肉のようにしっかりとした噛みごたえがあるが、見た目とは違い肉はリンゴそのもののよ うな甘さで、血も果汁のようなさわやかな味であった 骨もサクサクとしておりスナック菓子のような食感で、やや酸味が強いが味が濃くて美味しい 「頭の部分が一番甘いんですよ」 利明さんに言われるがままに、「テエエエ」と残った腕を口元に当てて懇願するような目で見る仔実装 を頭からぞぶりと噛んでみると、弾けるように果汁が溢れ出す いわゆる脳の部分はまるで蜜のような甘さだった これは美味いと、残った腕と胴体も食べ尽くす 皮(服)は無味だが特に口に引っかかる感じもしないのでそのまま食べてもいいし、好みで剥いて もいいだろう 頭に近い部分が一番甘いが、部位それぞれに違った食感があり一匹まるごと夢中になって食べてし まった 欠点といえば手や口が赤と緑の血(果汁)で汚くなることだろうか 利明さんになぜ木に実装石がなっているのか、なぜ果物のような味がするのか聞いてみると 「詳しくは言えませんが、たくさん用意した実装石の偽石を特殊な薬品で固めて、果樹に固着する んですよ。すると果樹と実装石が混ざり合って生えてきた果実は、思考や姿形は実装石ですが味や 性質は植物です。しかも実装石の欲望の分だけ、幸せになりたいと願った分だけ、偽石の力を使っ て味が良くなるんです」 樹木に癒着していて動けない、こんなナリをしていても幸せになりたいと思っているのか? 試しに入口のほうの歓迎してくれた仔実装のところでリンガルを使うと 「ニンゲンさん飼っテチー」 「金平糖が食べたいテチー」 「なでなでしてほしいテチ…できれば抱っこもしてほしいテチ…」 「良い仔にするから飼い実装にしてほしいテチ!」 「お寿司ってのを食べてみたいテチ」 等々、よくある野良実装のようなことを話しながら媚びていた 「農園の所有物なので飼い実装みたいなもんですけど、こいつらの考えてる飼い実装は違うんで しょうね。しかも食べ物なんて食べられないのに、なぜか欲求はあるみたいで…」 利明さんは苦笑する とても美味しい果実だったが、今後の課題を聞いてみると… 「美味しさの鍵が偽石なのですが、果実一つ一つの偽石はとても小さくて。木から切り離されると 1時間程で偽石が死んで、すぐ味が落ちてしまいます。食実装によくある臭みも出てしまいます」 ---1時間!?それでは出荷などできないし採算が取れないのでは… 「体験型農園としてその場で取って食べる形にして、観光客や家族連れをターゲットにしたいと 思っています。味は十分よくできているので、あとは知ってもらうこと。ブランディングですね。 そしてもう一つ。実装食に抵抗がある人にも食べてもらえるよう試行錯誤してます」 ---少し抵抗ありますよね、もぐときや食べる時に悲鳴をあげますし。色も赤と緑でグロテスクとい うか。 「そこなんですよね、声を出さないように改良したのもあるんですけど、実装石は脱糞でストレス を軽減させる機能があるけど果樹実装ではそれができない。それに加えて声も出せないとなると、 すぐ偽石が壊れて成長する前に腐っちゃうんですよね。どうしても苦手な方にはこちらでカットす るなどして提供もできますよ」 ---でもこれだけ部位ごとの食感が違うと、味の違いも楽しみたいですよね 「実装食に慣れている人なら仔実装の反応を見ながら食べる人もいます。ストレスをかければかけ るほど偽石が頑張るので、より美味しくなるのは果樹実装も同じです。そしてもっと尖った嗜好の 方もいまして…どうぞこちらに来てください」 利明さんについていくと、先程収穫した畑のさらに先には… ややデカくなった果樹実装が数匹ずつ、青ざめた表情で「テチー…テチー…」と宙を見ながら呟い ていた どうやら収穫後の木に取り残されたような状態だが… 「ここは早期収穫が終わった後の畑です。何匹か、あえて収穫せずにおいてあります。こいつらは 来年まで薬品を使って強制的に生かし続けます。そうしないで果実を全部とってしまうと、偽石の 力が完全に消えて普通のリンゴの木になってしまうんですよね」 リンガルを使うと「殺しテチ…」「苦しいテチィ」「お願いテチ、死なせてほしいテチ…」 と絶望の言葉が流れてくる 無理やり生かしているので、身体も偽石も限界を越えて辛いのだろう 「こんなのはお客さんに見せるようなものじゃないんですけど、結構見たいっていう方がいらっ しゃいまして。中にはお金を出すから収穫させてと言われる方まで居て。さすがにお断りしました けどね。でも、今後はそういう需要があるなら応えてもいいんじゃないかと。そういうこと専用の 畑を作ることも検討しています」 その後、果実実装を使ったパフェの試作品を食べさせてもらったり、果実実装を盗もうとしてきた 泥棒を罠用に仕掛けておいたドドンパ野良実装で撃退した笑い話を聞かせてもらったりとあっとい う間の一日だった これは充実した記事が書けるだろう 今日はいろいろな形での実装食の未来を見せてもらった。農園の発展が期待される 利明さんにお礼を言い帰ろうとした際に、入口の小さい果樹実装が手を振りながら 「ニンゲンさん、また来テチ~」と笑顔で見送ってくれた 私は複雑な感情で手を振り返し、農園を後にした (終) ---------------------------------------------------------------------------------------------- 過去作 3416【哀】 幸せな部類の実装石 3396【虐哀】短~中編色々詰め合わせ2 3395【愛虐】働く野良仔実装 3368【虐哀パ】短~中編色々詰め合わせ1 テチコ系他 3270【虐観察】楽園とは実装石の産物なり 3240【観察】フォトコンテスト 3199【虐観察】本能と理性の狭間で 3193【虐】里親 3140【虐】ビン飼育
1 Re: Name:匿名石 2024/09/01-00:56:36 No:00009308[申告] |
服が皮だと剥きやすそう |
2 Re: Name:匿名石 2024/09/02-01:21:09 No:00009312[申告] |
また来テチ〜の破壊力やばいね
凶悪ながら食べてみたさもある絶妙なスク |
3 Re: Name:匿名石 2024/09/02-23:50:11 No:00009313[申告] |
脱糞や体液を気にせず可愛らしい仔実装を生きたまま貪り食える
最高かよ |