神様からのギフト 「うっ…ここはどこテチ…ワタチは一体…」 とここで今までの記憶が蘇ってくる 自分は実装石であること生まれる直前よりママのお歌を聞きながら 外に出る日を待ち望んでいた事 そしていよいよその日が訪れ全身全霊からこの世に生まれた喜びを 声にしてテッテレーと叫んで生まれたのもつかの間 ママに抱かれる事もなく大きなゴワゴワしたもので粘膜を荒っぽく取り除かれ 手足が伸びたと思ったらそのまま落とされて ママとは離れ離れになってしまった 余りの仕打ちに混乱していたが容赦なくまたさっきのようなゴワゴワにかけられて 次に出てきた時には大切な髪と服は失われていた 「酷いテチ…ワタチが何をしたというテチ」 泣いて訴える間も無く似たような境遇に会った同属と共に三匹ずつ 透明な膜の上に並べられ さらにその上から膜が重ねられると急にそれは体を締め付けてきた 動けないテチ…息が出来ない…苦しいテチ… そして意識は深い闇の中に沈んでいった *********************************************************************** 時としてこの世に生ある生き物は素晴らしい能力を授かることがある 神様からのギフト それを受け取ったギフテッドと言う存在 この仔実装の場合は人間にも匹敵する高い知能であった だがそんな貴重な贈り物を受け取ったからと言って 必ずしもその個体が幸せになれるとは限らない この仔実装の不幸は単なる食用実装石としてこの世に生を受けたことにある これがどこかの山に住まう山実装の長の仔であったとか 大金持ちの実装石愛護家の元に生まれたというのなら まだ何らかの意味はあったのかもしれないが 食用仔実装三匹入りパック希望小売価格200円の中身には一切必要ないものであった むしろこれから先に起こる事を察知し理解してしまう事で 必要以上に悲しみと絶望を感じ余計に苦しむだけとなってしまうのだ この事態を打破する事を考えても経験と知識がないために ただ頭の回転が良いだけに終わって有効な手立てを思いつくことが出来ない どうしようと頭の中で思考がグルグルとなっていると 大きな影が近づいて来た 無駄に賢い仔実装は瞬時にこれがニンゲンである事 そしてこれからこのニンゲンの手によって酷い目に合う事を察してしまったのだ 恐怖で顔が歪み思わず悲鳴を上げてしまう 「テッ…テチャァァァァっ」 *********************************************************************** (おっこの仔実装なかなか活きが良いじゃないか!でもちょっと五月蠅いな) そんな声が響き渡り仔実装はまな板に仰向けに押し付けられて 包丁の背で喉を強く叩かれた グボッゲェゼイゼイ…声が出ない痛い…苦しいテチ… 今度はひっくり返して背中を上にすると腰骨を砕く 激痛が頭のてっぺんまで突き上がり動く事すらできない さらに追い打ちをかけるように背骨の三か所に打撃が加わり三つに折れた そして手足の骨を細かく叩き折られて 背中と腹に刃先で十字の切れ目を入れられて 塩をまんべんなく振りかけられた 仔実装は傷口に塩が沁みて再び悶絶する そんな惨劇が繰り広げられているにも関わらず残りの二匹は暢気にイビキをかいて寝ていたが 次々に地獄のモーニングコールで起こされて 同じ仕打ちに会って息も絶え絶えになっていた *********************************************************************** およそ10分ほどであったが仔実装達には永遠にも等しい時間が経った後 一旦水洗いをされてキッチンペーパーで丁寧に水分を拭きとられた これにより少し楽になった仔実装であるが すぐに新たな地獄が始まった 今度はさっきよりも多い塩が全身に振りかけられたのだ そして金串が打たれ身動きが取れなくなると そのまコンロのグリルに三匹共乗せられて中に閉じ込められた 予め熱せられたグリルの中で仔実装は灼熱地獄の中でもだえ苦しんでいた 「熱いテチ…熱いテチ…誰か助けてテチ…チュボォォォォ…」 …パキン… とても小さな石が砕ける音がして 神に祝福された不幸な仔実装の短い実生は終わった *********************************************************************** 場面は人間視点に変わる 「ただいまー…おっいい匂いがするね」 どうやらルームメイトがバイトから帰ってきたようだ 今日は俺が食事当番なので夕飯の支度をしている 「お帰りとしあきっ!今日はスーパーでパック入り食用仔実装が半額セールで安かったから 今塩焼きにしていた所だ」 そう言いつつ焼きたての仔実装を皿に盛り付ける 後は味噌汁が出来たら夕飯の準備は完了だ 完
1 Re: Name:匿名石 2024/07/13-22:12:34 No:00009239[申告] |
ギフトがマジで何の役にも立たなくて笑った |
2 Re: Name:匿名石 2024/07/14-03:11:05 No:00009242[申告] |
天賦はあっても運否はなかったな |
3 Re: Name:匿名石 2024/07/14-06:23:50 No:00009243[申告] |
こうして無駄死にしていく才ある者結構いそう
ニンゲンも |