画像掲示板の23/01/28の三角コーナー飼いネタの画像や、 3105 キッチンコーナー実装のある日常.txt 用語集の【三角コーナー飼い】を元にしました。 【三角コーナー用親指実装・キレイキレイ親指ちゃん】 私の名前は双葉愛依。 夫のとしあきとは虐待派オフで知り合い、意気投合して結婚した。 友人の亜希子からは「虐待派カップルとか最悪ね」と笑われたが、余計なお世話である。 あんたこそ実装研なんかで研究に勤しんでないで早く結婚しないと嫁き遅れるぞ、と言ってやった。 さて、結婚して新しいマンションに引っ越した私たち。 社会は男女平等とは言え、夫は遅くまで仕事をしている。 だから必然的に台所仕事はパート勤めで帰りが早い私の担当になっていた。 そのことは全然構わないのだけれど、私は昔からあることが苦手だった。 「うえぇぇ、このぬるぬるが気持ち悪い……」 そう、台所の三角コーナーや排水口のぬるぬるだ。 実家暮らしをしていた頃は母がその辺りの担当だったので、私は関わらずに済んでいたのだけど、 今後は私がやらなければならない……気が重い。 でも、ちょっとネットで調べてみたら「排水口や三角コーナーのぬめりを取る方法」が簡単にヒットした。 なんだ、世の中便利にできているじゃないの。 ふむふむ、これは楽そうね……って、ちょっと待って何これ!? 『三角コーナー用親指実装・キレイキレイ親指ちゃん。 三角コーナーに放り込んでおくだけで生ゴミを食べてくれるため、ぬめりが発生しにくい。 また、ぬめりが発生しても舐め取ってくれるのでさほど気にならない。 ただしウンコをするので、1日に何回か水で流す必要がある』 気がつくと、通販サイトのnamamonでその商品をポチっていた。 あ、今注文したのは『双葉実装研究所』で開発された新タイプだ……いいじゃん、実装研。 * * * * * 翌日、『キレイキレイ親指ちゃん』が届いた。速いぜナマモン。 一箱三匹入りで、偽石は摘出されて専用のカプセルの中で液体漬けになっている。 この液体は成長抑制剤とのことで、親指実装が育ちすぎるのを防ぐ効果があるらしい。 従来の他社製品では使ううちに育ってしまい、定期的に処分・交換する必要があったけど、 この処置のおかげで一匹を長く使えるみたいだ。 ただし、単価は高くなっているけど……。 っと、いつまでも眺めていても仕方がない。 私は真空パックになっている禿裸の親指ちゃんを蘇生させると、さっそく三角コーナーに入れた。 「こんにちは、ようこそ我が家へ」 『……レ、レチュ?』 親指ちゃんは状況がつかめていないのか、少しの間キョロキョロしていたけど、 すぐに『レチュ~』と鳴いて周囲の生ゴミを食べ始めた。 うーん、もりもりと良い食べっぷり……みるみる生ゴミが減って、スペースが空いていく。 でも親指ちゃんの小さな身体じゃやはり限界があるのか、三角コーナーの生ゴミを食べ尽くす前に お腹がいっぱいになってしまったみたい……。 『レチュゥゥゥ……』 お腹がいっぱいになったらウンチをし始めた。 うーん、もりもりと良い出しっぷり……空いたばかりのスペースがウンチで埋まっていく。 ……大丈夫か、これ? 臭いが酷いし、さっそく水で流すことにしよう。 三角コーナーに水を注ぐと、親指ちゃんは『レチャア!』と驚いた様子で逃げ惑う。 私はなんだか楽しくなって、水が親指ちゃんに当たるように蛇口の向きを動かして遊んだ。 『レチャ、レチャア! チャアア! レビュ、ヴェビュ、ガボガボ……!』 ウンチを流し終わった頃には、親指ちゃんはぐったりして泣いていた。 『レェェェン、レェェェェン……』 「あぁ、ごめんごめん。ちょっとやり過ぎたね」 『レチュゥ……?』 その時になって、親指ちゃんはようやく私の存在に気づいたらしい。 三角コーナーから私を見上げて、片手を口元に添えて小首を傾げた。 『レチュ~~ン♪』 「はい、水責め再開」 『レビャビャベベベ……!』 * * * * * 親指ちゃんはよく食べ、よくウンチをする。 私は朝起きると三角コーナーに水を流し入れるのが日課になっていた。 「親指ちゃんおはよー」 『レビャ、レビュビュビュ……!』 そして朝食の支度をすると、出た生ゴミを三角コーナーに放り込む。 「今朝は卵の殻と、野菜くずだよぉ」 『レチュ! レチュウ♪』 禿裸の親指ちゃんは卵の殻をカリカリと食べては一声鳴き、 野菜の皮や切れ端をぱりぱりかじっては笑顔で私を見上げてもう一声嬉しそうに鳴く。 可愛いなあ、思わず愛護派に転向しちゃいそう♪ でも愛護派はこんな飼い方しないもんね……うん、だから私は虐待派で間違いない。 食事が終わってウンチをしたところで、もう一度水で洗い流しておく。 『レヂャアアアアアア!』 朝イチと朝食後の親指ちゃんの鳴き声は、もはや我が家の風物詩だ。 夫も親指ちゃんの悲鳴を聞いて、にこやかに出勤していく。 私がパートに出かけている間、親指ちゃんは朝の残りの生ゴミを食べてしのぐ。 それを食べ尽くしてしまえば、他に摂取できるのは内壁についたわずかなぬめりと水滴、 そして自分の排泄したウンチだけ。 だから私がパートを終えて帰宅すると、レチュレチュとやかましくゴハンをねだってくる。 「はいはい、ただいま。じゃあまずはウンチを流そうねぇ」 『レヂャヂャヂャヂャ……!』 さて、親指ちゃんを購入して数日が経つけれど、ウンチが多いこと以外は特に不満はない。 台所が少しウンチ臭いのは気になると言えばなるけど……消臭剤を置いてごまかしている。 それに今のところ、夫からの不満はない。 「そいつちょっと虐待させてよ」 「だめ、これは台所用品なんだから!」 酒に酔った夫が親指ちゃんを虐待させてと言うことはあったけど、 台所は私の領域と思っているのか、拒否するとそれ以上は踏み込んでこなかった。 * * * * * そして、再び可燃ゴミの日が来た。 親指ちゃんのおかげで三角コーナーはキレイだ。 「ヒャハッ、いいわよ親指ちゃん! あんた最高!」 『レチュ? レチュー♪』 褒められたのが解かったのかな、親指ちゃんは照れた様子で三角コーナーの中をうろちょろしていた。 だけど……うっ、排水口はやっぱりぬめりが酷い。 しかもこの数日で何度も親指ちゃんのウンチを流したせいか、いつもよりぬめりが酷い気がする。 ここに手を突っ込んで水切りネットを取り換えるのか……手袋しても嫌だ。 私は『キレイキレイ親指ちゃん』三匹セットの二匹目を開封すると、水切りネットの中に放り込んだ。 「こんにちは、ようこそ我が家へ」 『レチュ? レチュ、レチュ』 蘇生するや否や、親指ちゃん(便宜上、三角コーナーのを1号、こちらを2号とする)は 水切りネットに溜まったクズ野菜を食べ始める。 ネットの中にあるのは、調理中にうっかり流してしまった野菜の細かな皮や切れ端ばかりで、 三角コーナーほどは食べ物がない。 だけど、1号ちゃんのウンチを流しているからぬめりはしっかり付いている。 それを舐め取ってもらおう。 『レチュ、レチュ……レチュウ』 2号ちゃんは野菜くずを食べ尽くし、ぬめりの掃除に入っていた。 ここ数日で流した1号ちゃんのウンチ汚れとぬめりは酷く、舐めがいがあると思う。 キレイな禿裸だった2号ちゃんは、瞬く間にぬめりに塗れた汚い2号ちゃんになる。 そうして2号ちゃんが頑張って汚れを舐めている間に、私はゴミを捨てに行った。 お隣さんたちと適当な会話をして部屋に戻ると、もうパートに行く時間だ。 * * * * * その日は珍しく夫も早く帰って来た。 今日は暑かったので素麺でも食べようということになり、私はお湯を沸かして麺を茹で始めた。 2分ほどで茹で上がり、私は素麺をザルに開けてお湯を切———— 『レヂュゥゥゥゥゥ!』 ……あ、しまった。 排水口に熱湯を流しちゃいけないんだっけ! 理由はよく知らないけど何かで聞いたことがあった。 うっかりうっかり、テヘペロ。 『ヂィィィィィ……!』 ってそれもそうだけど、排水口に2号ちゃんがいるんだった。 私はいったん鍋をコンロに戻すと、水切りネットの中を覗き込んだ。 『ヂ……ヂィ……』 あーあ、茹だって真っ赤になってる……ピクピクしてるしこれはもう駄目かな。 私は茹だった2号ちゃんをトングで摘まみ上げると、三角コーナーの中に放り込んだ。 「ほぅら、今日のゴハンは茹で肉だよぉ」 『レチュウ♪』 『レ……レヂ……』 弱々しくイゴイゴする2号ちゃんに、1号ちゃんが元気にかじりつく。 今日のお夕飯は素麺だから、ほとんど生ゴミが出なくて1号ちゃんは可哀想と思っていたけど、 思いもよらずゴチソウが出てきてよかったね! 『レチュ、レチュ!』 おー、凄い食べっぷり。 そう言えば温かいゴハンは初めてだから美味しいでしょう。 味わって食べなさいね。 『ヂ……レヂャ……ァァ……』 哀れ2号ちゃんは断末魔の悲鳴を残し、1号ちゃんのお腹に収まった。 美味しかった? 良かったねぇ1号ちゃん。 『レチュウ♪』 それにしても、これからは排水口に親指ちゃんを入れるのはやめないとね。 考えてみたら洗剤で食器を洗ったりする時も、排水口に親指ちゃんがいると良くなさそうだし。 あーあ、結局排水口は自分で何とかするしかないかぁ。 待てよ、検索したら手軽な方法が見つかるかも……あとで調べてみよっと。 私はウンチし始めている1号ちゃんを見下ろしながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。 「……なぁ愛依ちゃん、素麺は?」 ……はっ、いけない! 「ごめんとし君、すっかり忘れてた!」 うん、素麺はのびてたわ……。 * * * * * その後、1号ちゃんは二ヶ月ほどの間、我が家の三角コーナーをキレイに保ってくれた。 しかしある暑い日、パートから帰ってくると、家の中に漂う嫌な臭い……。 「あぁ、やっぱり……今日は特別暑かったもんねぇ」 1号ちゃんは私がパートに行っている間に、三角コーナーの中で暑さにやられてパキンしていた。 死骸の様子は仰向けに倒れた状態で、渇きに苦しんだのか両腕を首に当て、舌はだらりと口から垂れ、 見開いた目は助けを求めるように流しの外へ向けられ……恐らく私を呼びながら事切れたのであろうと 容易に想像できる美しい死に様だった……録画しておけばよかった。 思えば今日の朝にウンチを流すべく水をぶっかけた時、いつもよりレチュレチュ騒いで 必死に水を舐めていたっけ……多分、昨日の熱帯夜でかなり消耗していたんだと思う。 ……今までよく働いてくれたねぇ、お疲れ様。 私は1号ちゃんの死骸をそのままに、『キレイキレイ親指ちゃん』三匹セットの最後の一匹を開封して 三角コーナーに投入した。 「こんにちは、ようこそ我が家へ」 『……レェ? レチュ、レチュ!』 「うん、それは食べていいよ、ただのお肉だからね」 新たな親指ちゃんは、一声鳴いて1号ちゃんだったお肉をもりもり食べ始める。 これからよろしくね、3号ちゃん。 今年の夏も暑そうだし、また親指ちゃんを注文しておかないと。 終わり
1 Re: Name:匿名石 2024/06/06-22:27:49 No:00009167[申告] |
キレイキレイ親指ちゃん便利だね、業務用とかもありそうな
愛依ちゃんの性格ハイテンションでかわいいながらも、ダメになった親指を即共食いさせたり、録画しておけばよかったとか言ったりしっかり虐待派なのがよかった |
2 Re: Name:匿名石 2024/06/07-15:06:39 No:00009169[申告] |
人間のエゴと実装石の儚いハーモニーを感じるスクデス |
3 Re: Name:匿名石 2024/06/08-03:41:13 No:00009171[申告] |
二つの意味でディスポーザーだな |
4 Re: Name:匿名石 2024/06/11-12:18:22 No:00009172[申告] |
>>『レヂュゥゥゥゥゥ!』
……あ、しまった。 排水口に熱湯を流しちゃいけないんだっけ! 全く心配されない親指に笑った これこそ消耗品実装だな! |
5 Re: Name:匿名石 2024/06/13-04:30:49 No:00009175[申告] |
>台所が少しウンチ臭い
この時点で論外の商品だよぉ! 台所じゃない適当な所で生ごみ処理用としてなら欲しいなあこれ |
6 Re: Name:匿名石 2024/06/13-16:29:32 No:00009176[申告] |
便利そうなんだけど確かに帰宅したら毎日部屋がウンコ臭いのは嫌かもしれない |
7 Re: Name:匿名石 2024/07/07-17:03:23 No:00009229[申告] |
コンポストだったら使えるかな |
8 Re: Name:匿名石 2024/07/08-03:44:22 No:00009230[申告] |
飯作るすぐ横で実装石の糞の臭いがするとか控えめに言って最悪すぎる |
9 Re: Name:匿名石 2024/07/17-18:18:07 No:00009251[申告] |
1号ちゃんはペット向けの親指よりも長生きしてそう |