タイトル:【虐】 裸の実装金
ファイル:全裸の実装金.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:342 レス数:2
初投稿日時:2024/05/28-19:19:39修正日時:2024/05/28-19:19:39
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【全裸の実装金】



その日、仕事を終えた俺は家への道を急いでいた。
いつもなら寄り道したり買い物したりしてから帰宅するのだが、
職場を出た時の空模様が怪しく、道を歩いていると小雨がぽつぽつ降ってきたので、
慌てて走り出したという訳だ。

俺が暮らすのは会社から程近い築数十年の古いマンションで、
家賃が安く、また躾さえしてあれば実装シリーズに限りペットOKだった。
まあ俺はペットは飼ってないので関係ないんだが、たまに隣室に住むおっさんが
ハーネスを付けた実装石の散歩をさせているのを見かけるし、
逆隣の部屋では実装紅?とかいうのを飼っているようで、たまに庭で紅茶を飲んでいる。

俺の部屋はそんなマンションの一階にある。
そして今朝、俺は洗濯物を干したまま仕事に出かけてしまったたのだ。
早く帰って取り込まなければ朝の洗濯が無駄になってしまう。

「はあ、はぁ……本降りになる前に帰れたか……早く取り込まないと……!」

玄関の扉を開けて部屋に上がると、ベランダに通じる窓を開けて洗濯物を取り込みに行った。
そして、そこで俺は「そいつ」を見た。

『……カシラ~』

そいつはバネのように巻いた髪を後頭部から二本垂らした、身長数十センチほどの全裸の小人だった。
全裸という姿に似合わないお洒落な傘を差して宙に浮いており、
今まさに干してある洗濯物の中から俺のトランクスを選び、洗濯ばさみを外そうとしていた!

「何だお前!」
『み、見つかったカシ————ラッ!?』

泥棒行為を見咎めた俺が叫ぶと、そいつは慌てたのか空中でバランスを崩し、物干し竿に頭をぶつけた。
呆気にとられた俺は洗濯物が濡れるのも忘れて、ベランダに落下した全裸の小人を見下ろしていた……。

  *  *  *  *  *

気を失ったその小人を、俺はとりあえず室内に運んでタオルを掛けてやった。
風邪を引かれても可哀想だし、それによくよく見ると顔立ちも可愛らしく
どこか丸みを帯びた身体つきをいていて女の子っぽかったので、全裸は拙いだろうと思ったからだ。
なお裸をじっくり観察するような失礼な真似はしなかったが、室内に運ぶ際に触ってしまった身体は————
あくまで「触ってしまった」だ。抱きかかえて室内に入れたから仕方ない。
————柔らかくて触り心地が良かった、と記しておく。

雨に打たれて冷えたので茶でも淹れようかとお湯を沸かしながら、
俺はこの生物についてスマホで検索してみた。
……結果、こいつは実装金という実装シリーズの一種らしいことが判った。

「『じっそうきん』って読むのかな……読み方は書いてないな」

スマホの画面には、でかいトランクスのような服を着て傘とウクレレのような楽器を持った
実装金の姿が映し出されている。
だが、目の前で倒れているこいつは全裸だし、傘はあるが楽器は持っていなかった。
俺は実装シリーズに詳しくないのでどういう事かはよく分からないが……。

もう少し詳しく調べようとした時、そいつは目を覚ました。

『……ここはどこカシラ? ワタシはどうなったのカシラ……?』
「よぅ、お目覚めかいパンツ泥棒」
『はっ、に、ニンゲンサン……?』

そいつは警戒心をあらわにし、俺から距離を取ろうとする。
だが、自分の身体に掛けられていたタオルに気づき、こちらを見上げて言った。

『これはアナタが掛けてくれたのカシラ?』
「あぁ、裸じゃ寒いだろうと思ってね」
『ありがとうカシラ』

そいつは頭を下げて礼を言った。
野良実装ってのは礼儀知らずのどうしようもない生き物だと聞いていたが、実装金は違うようだ。
あるいはこいつは誰かに飼われていて躾されてるのだろうか?

「お前、誰かに飼われてるのか?」
『いいえ、ワタシは自由に生きているカシラ』

じゃあ野良ってことか。

「自由に生きてるのはいいけど、他人様のパンツを盗むのは自由すぎだろ」
『あっ……あれは理由があって仕方なかったカシラ!』
「まあ理由もなくパンツ盗んだらただの変態だからな……。
 やれやれ、あまり興味はないが、何があったか聞いてやるから話してみろ」
『わ、わかったカシラ……ワタシが変態でないことを説明するカシラ……!』

そいつはタオルに包まったまま話し始めた。

  *  *  *  *  *

実装金の説明を要約するとこうだ。

今日の夕方、風に乗って傘でふわふわ飛んでいたが、突然の突風に煽られてバランスを崩し、
このマンションの近所にある公園に墜落してしまった。

すぐに立ち上がったが、近くで見ていた野良実装がこちらを見て笑ったので、
怒って懲らしめようと思ったものの、落下の表紙に服の紐が緩んでいてずり落ちて転んでしまった。
その隙に野良実装に服を奪われ、奪い返そうと思ったが公園のやぶの中に逃げ込んだ実装石を
全裸で追いかけるのは躊躇われたので、ひとまず撤退した。

「マヌケな奴だな……」
『ま、マヌケじゃないカシラ! 運が悪かっただけカシラ!』
「わかったわかった……で、それからどうした」

その後、近所の人間の家(俺の部屋のことだろう)に自分に似合う服が吊るしてあったのを思い出し、
悪いとは思ったがちょっと借りようと思ってやって来た……ということだそうだ。

「……なあ、ひとつ聞きたいんだが」
『何カシラ?』
「お前らマジでこの恰好で生活してんの?」

俺はスマホの実装金の画像を見せながら尋ねる。
そいつは小首を傾げて答えた。

『……そうカシラ。何かおかしいカシラ?』
「実装石でさえ一応ちゃんとした服を着てるのに、お前たちは何でデカパン一丁なん?」
『何かおかしいカシラ!?』
「おかしい」
『おかしくないカシラ!?』

俺は他の実装シリーズの画像を見せたり、人間の女の子用ドレスの画像を見せたりしながら
もう一度「おかしくね?」と言ってみた。

『おかしくないカシラー!!』

やいのやいの。

まあ、あまりイジメるのも可哀想なのでこの辺にしてやろう。
ついでに、こいつが狙っていた俺のトランクスだが、こいつに譲ってやることにした。

『本当カシラッ!?』
「ああ、全裸でうろつかれても困るしな……」
『ありがとうカシラ!』

そいつは満面の笑みで俺の脚に抱きついてきた。
その拍子にタオルが剥がれて全裸になっていたので、不覚にも下半身が少し反応してしまったのが悔しい。
落ち着け、多少女の子らしい身体つきと言ってもほぼ人形みたいなもんだ……!

『じゃあさっそく着させてもらうカシラ!』

俺の葛藤にも気づかず、そいつはあっさり俺から離れると、トランクスに紐を器用に通し始めた。
そして胸の辺りまで持ち上げて穿き、紐を縛ってサイズを調節した。
うーん……グレーの縦縞のトランクスを穿いた女の子か……なかなかシュールだ。
トランクスを嬉しそうに穿いたそいつは、しかし表情を曇らせた。

『……ごわごわしていまいちカシラ?』

あぁ、やっぱりわかるんだ。
100均で買った3枚100円のパンツで肌触りが悪かった奴だからな……。
俺は不満そうなそいつを見て、ある決意を固めた。

「しょうがない、今度もうちょっと高いパンツをプレゼントしてやるよ。
 その代わりお前、俺のペットになれ」

俺は常々、せっかく実装ペット可の物件に住んでるんだから実装シリーズを飼いたいと思っていたのだ。
ただ、安い実装石は質が悪いと聞くし、性格の良い他実装は高いらしい。
そんな折にこうして行儀の良い実装金が転がり込んできてくれた……渡りに船だ。
……決して、裸で抱き着かれて欲情したからではないぞ。
という訳でそんな申し出をしたのだが、そいつも満更ではないようだった。

『ペット……なってもいいけど条件があるカシラ。
 ワタシのお服を奪ったあの実装石への復讐を手伝って欲しいカシラ!」
「復讐……? あぁ、わかった。明日は休みだから手伝ってやる」

俺とそいつの取引は成立し、そいつはひとまず俺の部屋に泊まることになった。

「そういやお前、ウクレレは持ってないのか。ほら、この画像だとお前の仲間は持ってるんだが……」
『ウクレレじゃなくてバイオリンカシラ! ワタシは持ってないカシラ。
 ……バイオリンは皆が持ってるわけじゃないカシラ』

ふーん、そういうもんなのか。
俺は実装種に詳しくないので、それ以上は追及しなかった。

常備してある乾麺の蕎麦で適当に夕食を済ませると、洗面器にぬるま湯を張って実装金を風呂に入れてやる。
相手はあまり気にしてない様子だったが、裸はなるべく見ないように配慮した。
そして明日に備えて早く休むという実装金に合わせて俺もその日は早く寝た。
……復讐ってどんなことをするのだろうな。

  *  *  *  *  *

翌朝。
昨夜の蕎麦の残りで適当に朝食を済ませた俺たちは、実装金がパンツを盗られた公園に向かった。

公園に行く前に紐などを用意してくれるよう頼んできたので適当にそろえてやったが、
実装金は公園に着くなりその材料を使って何やら罠をこしらえていた。

『さぁ、あの実装石を見つけるカシラ!』

意気込んで公園の木に登り(バネ状の髪を使い跳躍していた)、目当ての実装石を探し始める実装金。
俺には実装石の区別などつかないので、その様子をただぼんやりと眺めている。
そして5分ほどすると、そいつは木から降りてきた。

『あそこに居たカシラ……!』

傘で指し示した場所には、確かにダンボールハウスがひとつ。
その前で成体の実装石が数匹の仔実装を連れて木の実を食べている。
俺はあらかじめしていた打ち合わせに従い、その親仔に近づき、仔実装を一匹抱えて走り出した。

『テチュ?』
「さぁ、おじさんと一緒に行こうね」

すぐに親実装が気づき、追いかけてくる。

『デェッ! ワタシのムスメをどこに連れて行くデス!?』
「ここまでおいで!」
『待つデス!』

そして、実装金が罠を張っていた地点で。

『デェェッ!?』

親実装は見事に足を括られ、吊り下げられていた。
実装金って凄いんだな……こんな罠、俺は作れないぞ。

『何するデス! クソニンゲン、早く下ろすデス!』

うーん、この口の悪さ。
だから実装石は飼う気になれないんだよなあ。
などと思っている所に、他の仔実装が泣きながら追いかけてきた。

『ママー!』『テェェン!』『テチュー!』

俺はその三匹も捕まえ、最初に捕らえた仔実装と一緒に用意しておいた小箱に入れる。
これでこの仔実装たちに邪魔されることはないだろう。
そのタイミングを見計らったように、実装金が姿を現した。

『お久しぶりカシラ?』
『デッ、オマエは昨日の、空からブザマに落ちたデカパンデス!?』
『そのブザマなワタシに吊るされたアナタはおマヌケカシラ?』
『デェェ! オマエ、オマエのそのパンツはなんデス? 全然似合ってないデス!
 いくら趣味の悪いデカパンが好きと言ってもセンスがなさすぎデシャ……デプププ!』
『そういうアナタのパンツはなかなかのセンスで素敵カシラ? 今日も綺麗な緑の染みをつけてるカシラ』

まずは口での応酬か。
逆さ吊り状態でよく喋る親実装に、実装金は冷静に言葉を返していく。
しかし……そんなにセンスのないトランクスだったかなあ、実装石に言われるとちょっと悔しい。

『デズゥゥゥ……! そんなことより下ろすデス! 今なら許してやるデス!』
『アナタにはワタシの服を奪ったオシオキが必要カシラ』
『デデェッ!?』

実装金は意地悪く笑うと、持っていた傘で逆さ吊りの親実装をつつき始めた。
だが、力はあまり強くないのか、大した傷はつけられないようだ。
それでも逆さ吊りて一方的になぶられるのは恐ろしいのか、親実装は涙を流して泣き始めた。

『デェェェン、ワタシが悪かったデスゥ! 許して欲しいデスゥ!』
『まだまだ、こんなものじゃないカシラ! カシラッ、カシラッ!』
『デギャッ! デグッ! デェェェン、デェェェン!』

実装金はさらに気合を入れて突いていく。
泣きながら俺に助けを求めるようにチラチラと視線を送ってくる親実装を見てさすがに気の毒になり、
実装金を止めることにした。

「おい、もう泣いてるじゃないか。その辺で止めてやれよ」
『ニンゲンサンは甘いカシラ! これは嘘泣きカシラ!』
「う、嘘泣き!?」

実装石ってのはそんなことまでできるのか?
涙を流してるようだし、にわかには信じがたいが……。

『透明な涙は嘘泣きの証カシラ! 本気の涙は色がついてるカシラ!』

えぇ……? 何それ、マジか……変な生態してるんだな……。
実装金の言葉を聞くと、親実装は泣くのを止めて暴れ始めた。

『デズァッ! 離すデシャア、デカパン! 非力なお前の攻撃なんか効かないデシャ!』

……どうやら本当に嘘泣きだったらしい。
騙される所だった……。

実装金はしばらく親実装をつついていたが、さすがに疲れたのか一時中断し、
今度は仔実装を入れた小箱の方に近づいていった。

『ムスメたちに手を出すなデシャア! 手を出したらオマエを食ってやるデシャアア!』
『黙って見てるがいいカシラ!』

実装金はそう言って、仔実装に傘を向ける。

『デェェ……』

仔を人質に取られては、親実装も黙るしかなかったようだ。
親実装が黙ったのを確認すると、実装金は仔実装の一匹に尋ねた。

『アナタの親がワタシから奪った服は、今どこにあるカシラ?』
『テェ?』
『言えばアナタたちは助けてあげるカシラ』

実装金が少しだけ優しげな口調で、仔実装にそう問いかける。
言えば命は助ける、その言葉に親実装が反応した。

『長女、正直に言うデス! 言えばママが助かるデス!』

長女らしいその仔実装は少し躊躇していたが、やがておずおずと口を開いた。

『テェェ……ま、ママが……』
『ママが……どうしたのカシラ?』
『ママがおしり拭きに使うって……みんなで拭いたテチ……今はウンチ穴の隣に置いてあるテチ……』
『……おしり拭き……カシラ……?』

実装金の表情は、昨日初めて見た時から基本的には愛らしい感じだと思っていたが、
この時ばかりは顔に血管を浮かせて少し恐ろしげに見えた。
親実装をもそれを感じ取ったか、逆さま状態のまま首を傾げて奇妙な鳴き方を始める。

『しょ、正直に話したから助ける約束デスゥ~ン♪』
『……そうだったカシラ?』
『や、約束デスゥ~————デギャアッ!』

次の瞬間、親実装の右目に傘の先端が突き刺さっていた。

『デギャアアアア、ワタシの目がアアァァ!
 このクソデカパン! 確かに助けると言ったはずデシャアアアアア!』
『ワタシの服でおしりを拭いたアナタのことなんて助けるはずがないカシラ!』

こわ~。
ペットにした後のパンツの扱いには気を付けよう……。

『アナタはこれから、非力なワタシの攻撃で、なぶり殺されるカシラ!』
『や、やめるデズゥゥゥ! 許してくださいデズゥゥゥゥ!』
『『『『ママー!!』』』』

仔実装たちが泣き叫ぶ中、実装金の親実装への制裁が始まった。
鼻の穴に傘を突き刺してえぐったり、前髪を引きちぎったり、口の奥まで傘を突っ込んで吐かせたり……。
親実装は残った左目から緑の涙を流していた。
本気泣きの時は色付きの涙ってのはマジだったのか……。

ところで、親実装は逆さ吊りなのでパンツ丸見え状態である。
そのパンツは最初から緑色に汚れていたのだが、実装金にボコられ始めてからは
さらに緑の染みが広がって膨らみ始めた……これが話に聞いていたパンコンという奴か。
何とも嫌な臭いが辺りに漂ってるが、実装金の復讐に協力すると約束した手前、臭いから帰るとは言えない。
俺は臭いに耐えながら、早く終わらないかなあと思っていた。

『だ、ダズゲ……デズゥ……』
『はぁ、はぁ、しぶといカシラ……なかなか死なないカシラ……』

顔面に青痣がいくつもでき、前髪は抜かれ、片目は潰れ、鼻血とゲロまみれになってなお、
しかしまだ致命傷には程遠いのか、親実装は生きていた。
さすがに実装金も疲れたようだ。
しばらく肩で息をしていたが、やがてポンと手を打つと、こう言った。

『このままにして帰るカシラ!』

親実装は地面からさほど高くない位置で逆さ吊りにされている。
一方、この公園には他にも実装石が住んでいる。
その連中に助けを求める事もできるが……聞いた話では実装石と言うのは共食いをするらしい。
……つまり。

『さっきからこの実装石が上げていた悲鳴で、ここにコイツがいるのは知られているカシラ。
 ワタシたちが帰れば、すぐに他の実装石が来るカシラ!』
「エグイこと考えるなあ……」

まあ、俺としては特に口を挟むことではないので黙って言うとおりにする。
帰り支度を始める俺たちに、小箱に入れられた仔実装が口々に叫び始める。

『ママを助けて欲しいテチー!』『ニンゲンサン、ワタチだけでも助けるテッチャーーー!』
『テェェェン、テェェェン!』『テチューン♪』

俺たちはそれを無視してその場を後にした。
少し歩いて振り返ると、どこから現れたのか大勢の野良実装たちが、
逆さ吊りの親実装と仔実装を入れた小箱を取り囲んでいた。
そして、親仔の悲鳴が聞こえてきた。

「それにしてもお前、あまり力がないみたいだけど……実装石に襲われたらどうするんだ?」
『本来、ワタシたちと実装石は、互いに無闇に争ったりしない関係カシラ。
 今回はアイツがワタシの服を盗ったせいでボコボコにされていると、
 周りに聞こえるように言っておいたから アイツの自業自得だと思われるはずカシラ! 
 それにワタシたちは直接戦うだけじゃなく、罠を張ったり空を飛んで逃げることもできるから
 仮に戦いになっても簡単にはやられないカシラ!』
「確かに、罠を手際よく作ってたな……あれはスゲェよ」
『ワタシは凄いカシラ!』

実装金はそう言って小さな胸を反らすと、近くの木の葉をちぎって
親実装の血やゲロで汚れた傘の先端を拭き始めた。
……あ、後方で聞こえてた悲鳴が消えた。
あの親仔、食われたかな……ちょっと哀れだ。

  *  *  *  *  *

約束を果たした俺は、その実装金を飼うことになった。
飼った以上は名前が必要なので「ラン」と名付ける。
……トランクスの「ラン」だ。

「今日からお前はランだ」
『ラン! ……良い名前カシラ~♪』

こいつも気に入ってくれたらしい。
名前を付けた後、さっそくランの健康状態のチェックをしに実装ショップへ連れて行き、
ついでにペット登録の手続きもしてきた。

「仕事に行ってる間は構ってやれないけど、大人しくしててくれよ。
 大家さんにも言っておいたから、マンションの敷地内をうろつくくらいはいいぞ」
『わかったカシラ~』

何しろこのマンションは実装可、実装シリーズへの理解はあるのだ。
それにマンションの敷地に入った人間は大家さんと監視カメラがチェックしてくれるので、
ペットの実装シリーズもマンション内に限れば自由にさせていいらしい。
もちろん、訪れた人間や他の住人、そして他のペットに害を及ぼさない場合に限るが。

大家さんにランを紹介した際に簡単な躾のチェックを受けたが、
ランは1,2回言えば大抵のことは理解できたので、躾OKという評価を受け、
晴れてこのマンションに住めることになった。

  *  *  *  *  *

月曜日の朝、出勤の支度をしながら、まだ寝ているランの掛布団を引っ張って起こす。
ちなみにランは、俺の座布団を敷布団にしてタオルを掛けて寝ている。

「もう朝だぞ。おい、ランよ。起きろ」
『むにゃ……おはようカシラ』
「おはよう……ってお前、全裸じゃないか!」

タオルの掛布団の下から現れたのは、出会った時と同じ全裸のラン。
そう言えば俺がやったパンツがごわごわするとか言ってたから、脱いで寝たのか……。
うん、今日の仕事帰りに良いパンツを買って帰ろう。

『このタオル、ふわふわしていて良い寝心地だったカシラ~♪』
「そりゃどうも。わざわざ新しいタオルを出したからな、気に入ってもらえて良かったよ。
 さ、早く服着ろ。あまり全裸でうろうろするもんじゃない」

ランは俺のやったトランクスを穿きながら『やっぱりごわごわしてるカシラ』などと言っている。
それを聞き流しながら、俺はランに尋ねた。

「そういやラン、お前食べ物は何が好きなんだ」
『卵焼きカシラ~!』

にこ~っと柔らかな笑顔を向けながら、そう答えるラン。
卵焼きか……ちゃんと作ったことないし目玉焼きでいいか。
俺は手早く朝食の支度をするべく卵を割り、ハムを焼いているフライパンに入れる。
蓋をして数分。目玉焼きとハムをランの前に出した。
カット済み野菜のサラダとトースト、カップスープも添えてある。

「ほら、卵焼きできたぞ」
『……? 何か違うカシラ……?』
「違わないぞ、それは卵を焼いたものだからな」
『そ、そうなのカシラ? いただきますカシラ……ムシャムシャ』

首を傾げながらも、ランは目玉焼きを完食する。

『やっぱり卵焼きとは違うカシラ……?』

悪い、卵焼きは今度ちゃんと練習してからな!
こうして、俺とランの生活が始まったのである。



終わり

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

他実装も好きなので実装歴浅くて実装金とかはあまり詳しくないのに書いた
だから変なとこがあるかもしれません

まず読み方がはっきりわからない…元ネタの読みがカナリアだから「じっそうかな」かなとも思うが
そうすると実装紅は「じっそうく」か?いや紅茶から取って「じっそうこう」でいいのか?
とかあれこれ考えた

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1 Re: Name:匿名石 2024/05/30-02:36:38 No:00009143[申告]
じっそうきん派だな
本家のパチモンなのが実装って認識なので読み方が違うイメージ
だから実装紅もじっそうこう
2 Re: Name:匿名石 2024/05/30-11:13:50 No:00009144[申告]
>本家のパチモンなのが実装って認識なので
なるほどそういう考え方いいですね
読み方にせよ姿形や生態にせよ似ているようでニセモノに過ぎないと
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