実翠石との生活 その2 後片付け ------------------------------------------------------- 「うちのお店はペットショップで、保健所でも駆除業者でもないんだけどね〜」 バイト上がりに勤め先のペットショップにほど近い店で食事をしていると、店員のお姉さんから店の近くに転がっている実装石を何とかしてほしい、と頼み込まれた。 気持ち悪い上に怪我をしているようなので手に負えそうにないから、というのがその理由だった。 どうしようかと考えていると、今度サービスするから、と重ねてお願いされたので、それならばと了承する。 店からトングと軍手、黒いゴミ袋を借りて、糞蟲共の様子を確認する。 半死半生といった体で道の端に転がる親蟲が一匹と仔蟲が三匹、保護ネットに絡まって身動きが取れなくなっている間抜けな仔蟲が一匹。 ゴミを漁りに来た際に、通行人に要らぬ喧嘩を売って返り討ちにでも合ったのだろう。 仔蟲三匹をトングで掴み、ゴミ袋に放り込む。 親蟲はトングで挟むには少しばかり大きかったため、胴体にトングを思い切り突き刺して持ち上げた。これもゴミ袋に放り込む。 最後の間抜けな仔蟲は、髪を引き千切ってネットから外す。 テチテチとうるさいので軽く握り潰してから、これもゴミ袋に放り込む。 最後にゴミ袋内の空気を抜いてなるべく萎ませてから、口を縛る。 「終わりましたよ〜」 「ありがとう!助かったわ!」 作業が終わったことを報告して道具を返却する。 「ところで、その実装石達はどうするの?」 「う〜ん、ケガしてるみたいなので、今日のところはとりあえず連れて帰りますね〜」 店員のお姉さんの疑問に、無難な回答を返す。 嘘は言っていない。連れて帰った後どうなるかについて言及していないだけだ。 さすがにペットショップのアルバイトが殺処分云々など物騒な事を口にすると、雇い主の顔に泥を塗りかねない。 これでも私は義理堅い性格なのだ。 そこそこの重さのゴミ袋を、時たま手近な電信柱や街灯に叩き付けながら、私は自宅へと歩みを進めた。 アパートに帰り着く。 袋からは未だにイゴイゴと糞蟲共が蠢く気配がした。 騒がれたり暴れられたりされると困るため、5、6回ほど思い切り踏みつける。どうやら大人しくなったようだ。 さて、この糞蟲共の扱いはどうしたものか。 面倒くさいのでこのままゴミに出すか? それともペットショップでの「再教育」の教材にでもするか? ペットショップの糞蟲共は最近やけに大人しかった。 糞蟲化することもなく、お行儀のいい躾済み実装として振る舞っている。 「再教育」の賜物だと店長は喜び、時給もちょっぴり上げてくれたが、私としてはあまり面白くなかった。 あくびが出る。 なんだか考えるのすら面倒臭くなってきたな。 というか糞蟲共のために思考に時間を費やすなど無駄もいいところだろう。 うん、決めた。明日はゴミの日だから、そこで処分してしまおう。 そうと決まれば話は早い。生かしたままゴミに出して万が一にも逃げ出されたら困るので、確実にとどめを刺すことにする。 手始めに、ゴミ袋に入ったままの仔蟲を、足先から順々に押し潰してゆく。梱包材のプチプチを端から潰してゆくように。 仔蟲がか細い鳴き声を上げる度に親蟲がイゴイゴと蠢くが、 その都度動かなくなるまで殴りつける。 仔蟲全てを潰し終えた時には、親蟲はピクリともしなくなっていた。どうやら窒息死したようだ。 念のため袋の上から頭と胸部と思しき場所を何度も体重をかけて踏み潰しておく。 終わった終わった。 後はシャワーを浴びて寝てしまおう。 寝過ごしてゴミを出し忘れることがないように。 -- 高速メモ帳から送信
1 Re: Name:匿名石 2024/04/14-19:08:55 No:00009018[申告] |
再生復帰してまた迷惑かけそうな路傍の汚物を片付けてくれた上に適切処置を施す店員の鑑 |
2 Re: Name:匿名石 2024/04/15-07:38:50 No:00009019[申告] |
糞蟲どもざまあ
と思ったが躾済みすら狂わせる実翠の実装糞蟲化効果の影響の可能性もあるのか 実翠去った後の言動はわからないから想像が膨らむね |
3 Re: Name:匿名石 2024/04/15-08:24:11 No:00009020[申告] |
潰す描写が丁寧でとても良いね
これに懲りたら次は良い実装石に生まれ変わるんだぞ |
4 Re: Name:匿名石 2024/04/15-19:46:49 No:00009021[申告] |
元々その素質が無ければ糞蟲化も抑えられるからねえ
実翠じゃなくても飼い実装に対しても妬み嫉みは尋常じゃないし 箍の外れやすさが格段に跳ね上がるだけで |