※善良な実装石が酷い目に遭うものもあるので苦手な方は見ないでください ・①~㉒までの短~中編詰め合わせ ・文体、半角全角、句読点等は統一されてません ・一部除き各話に関連性はありません ・秋~冬にかけて書いたので冬の話多め ---------------------------------------------------------------------------------- ①職業訓練 今日も公園に野良実装のテチューンという声が響き渡る 「ミドリ!もっと手の角度を上げて!スイ!声が小さい!飼い実装になりたくない のか!」 「「「テチューン♪」」」 俺は野良仔実装達に活を入れる これは俺が開催している「野良仔実装を飼い実装にする会」の訓練の様子だ 訓練開始から少し遅れて一匹の野良仔実装が走ってくる 「おっと、テチコ今日は遅かったな…ママが授業料を集めてたのか?今日はフライ ドチキンの骨、リンゴの芯…すごいじゃないか。ママ頑張ったな!よしテチコがき たし、改めておあいそ10連だ!」 「「「「テチューン♪」」」」 ここに集まる野良仔実装は熱心な良い仔ばかりだ 親実装も自分の子供が飼い実装になれるならと苦しい生活の中から授業料を捻出し 習い事に行かせる 「今日も頑張ったな…飼い実装になれる日も近いぞ!よし今日は解散!」 俺は訓練が終わった後にもらった生ゴミを袋に入れてゴミステーションに捨てる 冬が近づくにつれて今まで来てた生徒が居なくなっていく。 きっと飼い実装になったのだろう 俺も負けずに気を引き締めねば…そう気合を入れてハローワークに向かうのであった (終) --------------------------------------------------------------------------------- ②飼い実装との思い出 寒くなってきたこの時期になると、昔飼っていた仔実装のテチコの事を思い出す。 忙しくてあまり構ってやることはできなかったが、夜になると添い寝をしていた。 そのぬくもりがお互いにとって幸福であったと思う テチコはたまに寝糞をするのでオムツを穿かせていたが、あの日は下痢気味だった のだろう、大量の下痢便がオムツから漏れて布団や俺の顔面を汚した日があった。 俺は「ぎゃあああああ!」と大人気なく悲鳴を上げた後に、泣きながら掃除をした。 それからは仕事に差し障りがあるといけないので添い寝は諦め、テチコにはケージ で一匹で寝てもらうことにした 「夜寂しいテチ、ご主人様一緒にねんねしテチ」と毎日泣きながら訴えてきたが ケージには布団とペット用のヒーターも入れてるし、慣れるまでと心を鬼にして無 視してきた。 …俺は実装石が既得の幸せを失うことの影響の大きさを知らなかった。 添い寝が当たり前の状況から一匹で寝ることに変わったのは、仔実装にとっては相 当なストレスだったのだろう。目にクマを作り血涙を流しながら「お願いテチ一緒 にねんねしテチィ…」といってた最期の日を今でも思い出してしまう。 その次の日ケージを見ると、テチコは舌をだらんと出しながら冷たくなっていた。 (終) --------------------------------------------------------------------------------- ③魔法少女テチコ1【魔法実装少女テチコ実装魔法少女デビュー編】 日曜朝8時からは魔法実装少女テチカちゃんという番組がやっていた 実装石の魔法少女が友情を育みながら悪を倒すという王道ストーリーだ もっとも、主人公が実装石なのであまり人気は出ずに1クールのみだったが 「今日も悪を討つテチィ~」 うちのテチコは魔法実装少女テチカちゃんが大好きで、俺が買ってやった魔法のス ティックを振り回して、悪想定の実装石ぬいぐるみを叩いている テチコは少々頭は悪いが素直で人を疑うことなく正義を愛している、実に良い仔実 装だった もうそろそろ頃合いか 「テチコ、お前も本物の悪を倒す時期かもしれんな」 「テェ?本物の悪テチ?」 「そうだ、この家の外には悪い野良実装や悪い虐待ニンゲンがいっぱいいる」 「それは…許せないけど、怖いテチ…」 「何を言うんだ?お前は魔法実装少女テチコじゃないか」 「テ…ワタチにも悪者退治ができるテチ?」 「そのテチカちゃんの魔法のスティック(3980円)で思い切り頭を叩きのめすん だ。相手は死ぬ」 「テチッ!できる気がしてきたテチィ!」 「よし行くぞ!ピンチになったら俺もサポートしてやるから」 初回の対戦相手は近所の公園の野良マラ実装だ こいつは野良のボスでやりたい放題やっている 「テチコッ 行けっ!」 「テェッ!喰らえテチッーー」「デ?」 愚直なテチコはマラ実装の元へテッチテッチと駆け寄りながら魔法スティックを振 りかぶる マラ実装はテチテチと声が聞こえたほうを振り返り、魔法スティックが届く前にテ チコの顔面に拳をめり込ませる そこからは一方的な性暴力だった 「デェップ、獲物から来てくれるなんてありがたいデスゥ」 「テエエエエエエ!!!ご主人様、助けテチィィィ!」 俺にはテチコが一方的に野良マラ実装に犯されているのを見ているしか無かった 「ああ…テチコ、なんてこった、あんなにボロボロに…」 「テチャアア!!おまたが、おまたがやぶれるテチィィィ!!!」 「しかしあのマラ実装も飽きないな…もう一時間以上やってるぞ」 「テギャアアア!!!ジイイイイイ…、………」 テチコの反応が薄くなってきたところで俺が助けに入る 「デェ?ニンゲンさんデス?今忙しいとこ…デヴォァ!!」 マラ実装の頭部を一気に踏み潰す 「ふう…危ないところだった。避妊手術をしてて助かったな!」 「テエエ…」 下半身からからおびただしい量の出血とマラ実装の精液を垂れ流すテチコを公園の 水で洗い流し連れて帰る テチコ、お前のおかげで公園の平和が守られたぞ! 「テ…」 次もがんばれ魔法実装少女テチコ!負けるな魔法実装少女テチコ!! ・魔法少女テチコ2【悪の虐待ニンゲンをやっつけろ編】 マラ実装にボコボコに犯されてからテチコはすっかり臆病になってしまった 魔法スティックも自分でおもちゃ箱の片隅に追いやった 「おいテチコ、せっかくお前のおかげで公園の平和が守られたのに元気ないじゃな いか」 「だって…あんな目にあったテチ…」 「みんなテチコのこと褒めてるぞ、悪いマラ実装をやっつけてくれたって(適当)」 「そうなんテチ?でもワタチ、あの悪いマラ実装を倒した記憶がないテチ」 「覚醒状態というやつだな…テチカちゃんでもピンチのときに一気にパワーアップ するのがあっただろ?」 「…テッ…!ひょっとしてワタチもパワーアップして倒したテチ!?」 こいつは本当に素直で愚直でかわいいやつだ 「そうだ、そして現在も苦しんでいる実装石のために次の悪を倒さなくてはならな い」 「でも、やっぱりちょっと怖いテチ」 「大丈夫だ、俺も全力でサポートする」 「ご主人様がそう言うなら…頑張るテチ!」 うまく丸め込んで次の悪の虐待派(俺の友人)退治に友人の部屋まで出かけた 「よくきたな魔法実装少女テチコ…俺が悪の虐待派だ!グハハハ!」 こいつも乗ってくれてるし 「ギャクタイニンゲンは許さないテチ!魔法スティックの錆にしてくれるテチィ!」 こいつも乗ってくれてる、素晴らしい 「テチコ、相手の弱点は頭だ…頭を魔法スティックでひたすら叩け」 「わかったテチ!くらえーテチー!」 テチテチと毛虫くらいの速度で虐待派友人に向かっていくテチコ ようやく足元までたどり着いて魔法スティックを振り回すが足にしか当たらない 「ご主人様?これ頭にどうやって当てるテチ?」 振り返って俺のほうを向いたときに虐待派友人がデコピンをテチコの後頭部にク リーンヒットさせると「テェェブォ!」と妙な悲鳴をあげて吹っ飛んで気絶する 「じゃ、しばらく預かるね」 「よろしくなー ワンシーンでいいから総排泄腔責め系の性的な動画とっておいて。 あと演技良かったよ」 「形から入らないとな!」 「だな!」 次にテチコを引き取りに行ったのは一週間後だった … 「おじゃましまーす、うわ、手ひどくやったな」 テチコは髪も服もなくなって目も潰れ、右手も焼かれ炭化していた 「ちょっとやりすぎちゃった、ごめんね。目は治ると思うよ」 「いいさ俺と貴様との仲だ。動画送ってな」 ボロボロの禿裸テチコを家に持ち帰る 栄養ドリンクを雑にかけると「テ…テエ…」と息を吹き返す 数日後、ようやく目も治り喋れるようになった 「…ご主人様が助けてくれたテチ?」 「何を言ってるんだ、お前が実装魔法少女の力を覚醒させて虐待派を倒したんだぞ。 よくやったな!」 「そうなんテチ…?イタイイタイばかりでもう何も覚えてないテチ…それに、髪さ んとオフクさんが…もう…」 「今はゆっくり休むといい…次の悪との戦いまで休養だ」 「……もう実装魔法少女イヤテチィ…」 次もがんばれ魔法実装少女テチコ!負けるな魔法実装少女テチコ!! ・魔法少女テチコ3【魔法実装少女テチコ打ち切り編】 テチコは今まで飼ってきた実装石のなかでもとびきり心の弱え実装石だったようだ 実装石なんてもんは何があっても金平糖でも与えとけば次の日にはけろっと復活す るものだと思っていた しかし連続の敗北はテチコに深い心の傷を負わせてしまったようだ 禿裸はかわいそうだとピンク実装服やウィッグを与えてやるが、すぐに脱いでし まった そのうちにテチコはケージからも出てこなくなり餌もほとんど食べず泣き続け、さ らには無感情になり寝たまま糞をするようになっていた こんなはずじゃなかった、かわいそうなのは抜けない 俺はただ同人モノみたいに魔法実装少女のテチコが敗北してある程度ひどい目にあ う様子を遠くから見てNTRれ気分を味わいたかっただけだ 今日は久々の休みなので、テチコを連れて公園に出かけた 「ほら、お前のおかげでこの公園も平和になったぞ。あのマラ実装はもういない」 「テチィ」 「お前が頑張ったおかげだ」 「チィ」 「ところで…お前に謝らなきゃいけないことがある。お前がひどい目にあったのは …俺のせいなんだ。マラ実装や虐待派に酷いことをされたのは、全部俺が書いた筋 書きなんだ。そうなるように仕向けた。」 「…」 「俺が一番の悪だ。ごめんな。ほら、魔法実装少女テチコ。そのスティックで俺を 殴って悪を退治しろ」 「…」 以前と違いテチコは表情も活気もなくなった。俺が言っていることが伝わっている のかもよくわからない。 しかしテチコは差し出した俺の頭に向かって魔法スティックを力なく振り下ろした テチコは魔法スティックをからんと地面に落としたあと無表情で立っており、何も 喋らない 「…」 「…もう魔法実装少女はエンディングだよ。さあ、帰ろう」 「………テチューン」 テチコは笑いながら涙を流し、左手を口元にあてて首をかしげる …これは魔法実装少女テチカちゃんの決めポーズだ 夕暮れの秋の公園に冷たい風が吹き、テチコの数本残った髪を揺らしていく テチコは決めポーズのまま動かない やがて太陽は完全に沈み、周りに居た人間も野良実装も家に帰ったようだ あとに残った暗闇と静寂が俺たちだけを包み込んでいた (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ④コントを見て思いついたやつ 飼う時に「仔は産まない」と約束していたのに、俺が出張中にミドリが仔を産んだ。 仔は一匹。ケージの奥に設置してあるダンボールの中に居るのはわかっているが、 ミドリはばれてないと思っているらしい 仔も割りと賢いやつらしくてミドリと共にばれないように大人しくしている 親子共々即処分していいんじゃねえかなとも思うが、ミドリは仔実装の頃から育て てきたので愛着もあるし、こいつらがあの手この手で隠そうとしているのを見るの もまた趣があるので泳がせておいた ある日ミドリが「仮の話デスゥ、仮の話…もしもワタシに仔が出来たら…ご主人様 どうするデスゥ?」 ミドリは不安と期待が綯い交ぜになった表情で俺を見つめてくる ミドリの仔なら育ててもいいよ、なんて言葉を期待しているのだろうか? それとも約束を破った場合のことを詰ったら仔を処分して隠蔽するつもりなのだろ うか? 俺は一分くらい沈黙を続けるとミドリの表情はどんどん歪んで汚く汗まみれになっ ていた 俺はこれ以上ないくらいの笑顔でミドリに話した 「そりゃミドリ…ボッコボコだよぉ~~~」 「デ!?」 「親仔共々ボッコボコだよぉ~~~親仔二匹とも死ぬよりも辛い拷問にかけて産ま れてきたのを後悔させてやるよぉ~~~」 「デ、デ…」 「俺は常々考えていたんだ、約束を破った飼い実装をどうやってボッコボコにして 絶望に陥れるかってね!ミドリはどうボッコボコにしたらいいと思う?お前もアイ ディア出せ!」 「デッ、デッ、ちょ、ちょっと体調が悪いデス、もう今日は寝るデスゥ…」 (ダンボール内にて) 「ただいまデス…」 「ママ、どうだったテチ?」 「想像以上だったデス…仕方ないデスこうなったらこの仔を…外に逃がして…あ れ?ご主人様あの時(親仔二匹とも)って言ってたデス?なんで仔が一匹だと知 って…」 ミドリは体中から汗を吹き出して振り返る。そこには俺がいた 「ミドリ…おやすみなさいの挨拶がまだだったね」 「デエエエエエ!!!」 その時のミドリの表情は忘れることができない さようなら、元ミドリとそのかわいい仔 (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑤前へ進む 暇があれば公園で野良実装と戯れるのが俺の日課だ 野良実装達と仲良くなったが、この公園では冬を越せる実装石はほぼ居ない 良い奴ばかりなのに今季限りと思うと切ない気持ちになる ふとその日は見慣れない成体実装石が目につく。小綺麗だし捨て実装か? そいつは手に腐り始めた仔実装の死体を持っている しかし別に気が狂っているわけでもないようだった 単純に死という概念を理解できていないのだろう このままではあまりにも悲しい。荒療治だが手助けするか… 「おい、お前」と話しかけて「デスゥ?」と首を傾げる成体から仔の死体を奪い 取って思い切り踏みつける 「デスウウウ!!??」と叫ぶ成体を尻目に仔実装をビニール袋に入れてゴミ箱に シュートする 「デエエエエ!?」とゴミ箱をポフポフとたたき、暫くすると「デエ…」と泣きな がら俺を睨みつけて去っていく …数ヶ月経ち、公園に行くとあの成体実装が居た それと小さい仔が3匹…新しい仔ができたのか! こちらに気づき、俺を見ると怯えて仔を隠すように逃げていく あいつも前の仔の死を乗り越えて新しい一歩を踏み出すことができたんだな… 俺も見習わないとな、と力強く公園を踏み出しハロワに向かうのであった (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑥ある冬の日に 「今日の面接も失敗だったな…」すっかり雪の積もった公園のベンチの雪を払い一 息つく 冬の前までこの公園で色んな野良実装石達と仲良く過ごしていたことを思い出す ある秋の日、とある親実装と仔の親子は痩せ型の俺をみて野良人間だとでも思った のだろうか? 残飯や木の実を俺に差し出してきたことがあった 「おいおい、これ食えってか?いらんぞ」 食べて大きくなるデスゥとでも言いたげに親実装がジェスチャーをし、仔実装も両 手を上げて勧めてきた さすがに食べないが親切心を無碍にはできないなと持ち帰り捨てた 公園に行くたびにその野良親子は俺に食べ物を分けてきた お返しにボールや実装ぬいぐるみなどをあげて仔実装と遊んでやっていた ある日、仔実装がほおずきの実を持ってきた。転がして遊んで、最後に一口齧って みせる 「食べられるボールってか。優しいなお前らは」 撫でてやるとテチィ~と親実装と一緒に微笑んで実を差し出してきた ……良い奴らだったな…ここ連日の寒波で生存は厳しいだろう ふと足元を見ると雪に混じりほおずきの実が落ちている。「最後の贈り物…なわけ ないか」 また会えることを期待して。雪を被せ、家路についた (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑦飼い実装の冬-1 うちの禿裸仔実装のテチコはベランダにダンボールハウスを置くスタイルで飼って いる 新聞紙を防寒具代わりに与えているが、この季節に禿裸は見ているだけで寒くなる 今日の朝は特に冷え込んだ…テチコは大丈夫だろうか ダンボールを覗くと新聞紙にくるまって丸まっている… おい…微動だにしないぞ… 嘘だろ…まさか…死……? ダンボールを揺すると新聞紙をガサガサかきわけてテチコがテチテチ泣きわめく 「ご主人様!寒すぎるテチ!このままじゃ死んじゃうテチ!テチイイイイ!!」 ああ良かった生きてた…今日も手にまとわりつくテチコをはねのけながら、テチコ の排泄物を処理したあとに、冷凍庫でキンキンに冷やした高級実装フードを与えて 家に戻る ベランダに出るだけでも億劫になってくるこの寒さはもう嫌だ。早く冬が終わらな いかなぁ… (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑧飼い実装の冬-2 クリスマスシーズンなのでテチコのダンボールハウスにイルミネーションをつけて やる 通販で5,000円も出して買った青と白のきれいな光が出るやつだ テチコも喜んでくれるだろう 「ほらテチコ、お前の家もクリスマス仕様だ。きれいだろう」 「ご主人様キラキラよりも暖房が欲しいテチ、できればオウチに入れてほしいテ チ」 思ってた反応と違ったのでがっかりした 「そっか…せっかくのクリスマスプレゼントだったのにな…」 「あっごめんなさいテチ嬉しいテチ。それにこのキラキラ、LEDだけど微弱に熱を 発してるテチ」 「ふふっ禿裸のお前のために別なプレゼントも用意してあるんだ。ほら新聞紙を切 り貼りして色を赤に塗った実装サンタ服だぞ」 「……テチ。ありがとうご主人様」 手間暇を考えたら普通に実装服を買ったほうがよかったけど手作りの温かみがテチ コにも伝わったことだろう メリークリスマステチコ、そして全ての実装石にメリークリスマス! (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑨クリスマスのその後に クリスマスの後には公園に仔実装がやたらと増える プレゼントとしてペットショップ等で買われた個体が一斉に捨てられるからだ 失意のどん底の中、ショップで顔見知りだった仔実装達は10匹弱の徒党で彷徨い 歩く 「テェェ…ワタチたちこれからどうやって生きていけば良いテチ?」 「わかんないテチ…飼い実装になることしか教わってないテチ…」 途方に暮れた仔実装達に人間が声をかける 「おーいお前たち、こっちだこっち!ショップに帰ってこい!」 「あっ!ショップの店員さんテチ!」 「良かった…助かったテチィ…!」 「えっ…こんなに捨てられたの…?他に捨てられたやつは居ないか?全員で捜索し て一匹残らず連れて帰るぞ」 元ショップの仔実装達が店に連れて帰られて安堵しているのも束の間。全員消毒さ れて大型のフードプロセッサーにかけられる 「…店員さん…ど、どうしてテチ…?」 「テチャアアアアなんでこんなコトするテチィィィ…!…ヂィッ!」 「お宅のお店で買われた実装石が公園に捨てられてるってクレームが来るんだよ… 一瞬とはいえ野良になったやつを再度販売はできないし。かわいそうだけど仕方ね えんだ」 年末年始は売れ残りの実装石達も新鮮なお肉にありつける。これが実装ショップの 年越しだ (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑩配信実装石 最近は実装石専門店の相次ぐ倒産や実装石専門誌の廃刊など、実装石関連の凋落が 激しい。これも時代だろう しかしここ数年流行しているのが実装石系のライブ配信である 実装石ライブカメラや実装料理配信などは以前からもあったが、今一番熱いコンテ ンツはVTuberによる実装石虐待だ 一番人気は緑色の衣装を着たオッドアイの少女「星石スイ」が実装石を淡々と虐待 するものだ 「はいじゃあ今日はリスナーさんから送ってもらったこのAランク仔実装をいじめ ちゃうですぅ」 (今日はエグい感じで頼む)(首ちぎっちゃって)(スイちゃん可愛い)と視聴者 コメントが溢れる 「まずは右足からずぶっと」針を仔実装の右足に突き立てると「テチャアアアア」と叫び だす (いいぞもっとやれ:500Pギフト) (スイちゃん可愛い:3000Pギフト) (法に触れないからといってモラルに反する行為ですよ許されませんよ:20000Pギフト) チャット欄が盛り上がり、お布施が飛び交うようになる この背景には「自分で虐待するのは心が痛むし汚いし面倒だからやりたくないけど 他人がやってるのは見たい」という人が潜在的に多かったということだ。これもま た実装石の一つの時代… (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑪おくすりの力 12月31日。除夜の鐘が響き渡るなかで 偽石の力を使い果たしたうちの飼い実装テチコは「テー」と力なく鳴いている おそらくあと一日も持たないだろう 思えば俺は良い飼い主ではなかったかもしれないな 金平糖を要求されると最高級金平糖に激辛パウダーをまぶして与え ステーキを要求されるとテチコを購入したペットショップに協力依頼をしてママを 買い取り、ステーキにして提供し 綺麗な服を要求されるとピンク色のド派手なのを買い与えて公園に放し野良にボコ ボコにさせた 最近はさすがに謙虚になってクリスマスに欲しいものを聞くが「ご主人様と一緒な だけでいいテチ」と殊勝なことを言ってて逆にムカついたのでマラ実装をけしかけ て暴力を受け続ける楽しい一晩を過ごしてもらった 割とひどい目にあっているのだが、テチコはそれでも俺のことを信頼し続けてくれ た 良いことも悪いことも思い出がたくさんあったな…と感慨にふけっているとテチコ が絞り出すような声を出す 「せめて…ご主人様と年を越したかったテチ…」 「マジか」 俺は急いでじっそう屋に行き大枚をはたいて、48時間延命できる薬を購入した 早速金平糖タイプの薬を口に押し込むと「テジャアアアアアア!!!!!」と一気に元気を取り 戻した これで年明けまで生きられるな!看板に偽りなしだぜ! 【48時間苦しんでから死ぬ実装コロリ】 「テジャアアアアアア!!!!!!」 (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑫働く実装石 年末。双葉海産物を見てうちの仔実装テチコにも給料制を導入した 俺の手伝いをすると俺オリジナル通貨「チンコ」が最大100ずつ手に入り、金額に 応じて好きなものを選んで買える 労働の大変さとそれに対する金銭感覚の把握を目的としていた 今日もホコリまみれで汗だくになりながらテッチテッチと台所の雑巾がけを行って いる 「ふう…これで100チンコ獲得テチ、手持ちと合わせて2000チンコに到達テチ」 「毎日頑張って貯めてるな。何買うんだ?」 「公園のママ…家族に暖かい毛布がほしいテチ」 テチコは元野良で、親や姉妹は今でも公園に住んでいる 「ほう…お前は優しいな。その優しさに、今回だけ特別に家族全員の分を用意して やろう」 「テェッ…!ありがとうご主人様」 いらなくなった衣類雑巾等をテチコの家族に贈呈するとこの寒さに耐えかねていた のだろう 「ふかふかデスゥ、娘をニンゲンさんに預けてよかったデスゥ」 「イモチャのご主人様、ありがとうテチ~」 「ワタチもオネチャみたいに飼い実装になりたいテチ!」 まるでお祭りのように大騒ぎして喜んでいた プレゼントをして家に帰ると、「本当によかったテチ。次は…バレンタインデーに 向けてチョコを目指すテチー」とつぶやき、休むことなくホワイトボードに計画を 立てているテチコ 人間にも見習うべき点は多い。俺も来年のハロワ始業日に向けて計画を立てないと な…! 通貨チンコの紙幣を厚紙で作りながら、そう決意を固めようとしていた (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑬放流 「今月はいっぱい働いたからな」 ショップの処分寸前の仔実装を買って髪を抜いて、公園にリリースするのが俺の給 料の使い方だ 10匹の仔実装がテエエンテエエンと泣きながら俺の足元にすがりついてくる 何故こんなことをするの?とでも言っているのだろうか 「ウチでは飼わないよ…お前達はこの公園で野良として暮らすんだ。飼い実装にな れると、その気になっていたお前達の姿はお笑いだったぜ」 某サイヤ人っぽく突き放すと「テエッ!?」「テチー!」「テチャアア!」と仔実装達がそれぞれ の性格に応じたリアクションをしていてかわいらしい 俺の夢はこの近所の公園を実装石で埋め尽くすことなんだ しかし毎月リリースを続けて半年以上経つのに全然増えねえし放った仔実装と再会 できたこともない 実装石は生命力に定評があるのではなかったのか… 後日知ったが、この公園は質のいい禿仔実装が拾えると虐待派のネット掲示板で評 判になってたらしい 処分寸前とは言え躾け済みのペット用実装だったんだから質が良いのはそりゃそう だ 俺のリリースした仔実装が虐待されてる動画がアップされてる… 許せねえよ虐待派…命を何だと思ってるんだ。俺はテエエンテエエンとむせび泣いた (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑭よくある子供に飼われた仔実装の話 「パパー テチコが死んじゃったー」秋口に娘が庭で飼っていた仔実装が死んだらしい 欲しいというから買ってやった(300円)のに、一ヶ月もしないうちに「臭いし可 愛くないからお外で飼う」とした結果がこれだ 餌はやってたみたいなので、寒さにやられたのだろう 触ってみると仔実装ボディはわずかに生暖かくブヨブヨして弾力がある…まだ仮死だな 土が入っている鉢植えにテチコを埋めて栄養剤を注ぐ 栄養剤は植物用しかなかったけど大丈夫だろう多分 窒素リン酸カリウム…植物に必要な栄養素がテチコの体中に染み渡る 「こうしておけば来年また生き返るぞ」 「良かったーありがとうパパ」 春になり、テチコは鉢植えから這い出てきて約半年ぶりのダンボールハウスに到達 する 「テエ…テエ…」息も絶え絶えだが復活したようだ 「パパ!テチコが生き返ったよ!」 「よかったよかった」 「テチー♪」 しかしその数週間後「パパー テチコが死んじゃったー」と娘の声 触ってみると仔実装ボディは骨と皮だけで死後硬直してる…これ、餌やってなかっ たな? 「お前もう生き物は飼うな」と諭し、一緒にお墓を作ってやった 娘は後でこっそり植物用栄養剤をお墓に注いでたが、もう二度とテチコが這い出て くることはなかった (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑮俺とテチコ 通勤途中の公園の禿裸の野良仔実装に懐かれた 親も居ないらしくすぐ死んじゃうんだろうな、とお菓子の欠片をやったのが始まり だった 毎朝俺を見るたびにテチテチと駆け寄ってくる 人間の見分けがつくくらいには賢いやつなのだろう 「おー今日も元気そうだなテチコ」 適当に名前をつけたが野良実装にとっては期待感を抱かせる、良くない行為だった らしい 実装石にとって名前をつけられるという行為は俺が予想していた以上に重要なこと のようだった 「テチューンテチューン♪」 重要人物だとマークされたようで、俺の靴にしがみついて離れないのでデコピンで 吹き飛ばして餌をやる 「テチャー!…テチューン♪」 一心不乱に餌を貪るテチコ。禿裸の仔実装なんて立場で良く生き延びられているも のだ 「しっかし禿裸ってのはブサイクだなぁ…」 つい口にしてしまうと「テ、テエ…」とショックを受けたような様子 こいつ俺の言ってることわかるのか 次の日の通勤時にテチコはチラシを身にまとっていた 色付きスーパーのチラシの野菜などの緑部分を切り貼りしてて、なんとなく実装 服っぽくなっている… 「お前賢いし意外と器用だな…」と餌をやると 餌には目もくれずに俺の手に頬ずりをして「テチューテチュー」と甘えてきた 「キモいし汚いから触らないでな」 つい口にしてしまうと「テ、テエ…」とショックを受けたような様子 「あっ言い過ぎた、ほらいい子だ」 頭を撫でるとツヤツヤな禿頭の感触が気持ち悪い テチコは「テチコーン♪」と嬉しそうだ 「まあ…強く生きろよ」 仕事に向かう俺にテチコはいつまでも手を振り続けた ちなみに数日後、公園には(実装石に餌を与えないでください)と看板が立ちはじめた 俺のせいでもあるわ反省します ある日、テチコは他の野良実装達に殴られていじめられていた 顔は腫れ、頑張ってチラシで作った服は千切られてクソまみれにされている いじめてた奴らに特に恨みはないし、もっと言えば別にテチコを助ける義理もない んだが、 多少の縁もあったことだしとテチコを助け、いじめていた野良達を素早く首コキャ して実装ゴミ箱に捨てた 「テエエンテエエン」と泣いてすり寄ってくるテチコをデコピンして吹き飛ばす。「テチャア ア!!」 むっ、ボコボコにされてた時かデコピンした時かはわからないが両手が変な方向に 折れ曲がっている… 多分前者だと思うが、万が一後者だとしたらさすがに心が痛むな 力技で折れた腕を元通りにひねると「テエエエ!!!」と悲鳴をあげながら、 コキャッと気持ち悪い音と感触で元通りになる 第三者から見ると俺が虐待してるみたいになってるんだろうな…テチコは痛みから かゲロも吐いてるし はぁ…しょうがねえな…「テチコ、俺の家に来るか?構ってやれないが餌と安全だ けは確保できるぞ」 テチコは「…!!テチイイイ!!」と血涙とゲロと鼻血を出しながら両手を振って大喜びする こうして俺はこのしょうもない野良仔実装を飼うことにした 家に帰ると昔熱帯魚を飼ってたときの60センチ水槽に新聞紙を敷いてテチコを放 り込んだ テチャテチャとガラス面を触りながら俺にアピールしてくるテチコ そうだ、昔使ってたスマホをリンガル代わりにしてみるか 「飼ってくれてありがとテチー♥」「ご主人様大好きテチー♥」「テチューンテ チューン♥」 ハートマークを多用しながら無駄な会話のログが流れていく そもそもテチコはリンガルなしでもこっちから話した内容は理解できるようだし、 こんなもん本当に無駄だ …リンガルはいらねえな!と放り投げた しかしヒトガタのナマモノが俺に好意を持ちながらアピールしてくるのも良し悪し だな… 水槽は部屋の隅の見えないところへ移動する せっかくだし何か買ってやるか…じっそう屋に出かけて餌と衣類(頭巾、手袋、 靴)を買う 「ほら禿裸卒業のための衣類を買ってやったぞ」とパッケージを剥いて水槽に放り 投げる 「テチューン♪」と嬉しそうに着用するが、頭巾と手袋と靴だけで肝心の服がない ので「テチャ?」と首をかしげて固まっている なかなかいいリアクションだ ネットで調べたがテチコはかなりの優良個体のようだ。なんせ大体言うことを聞く しわがままを言わない ウンコを片付けろとデコピンすると自分でウンコを汚物入れにまとめるし、 動く度にテチテチ声が漏れてうるさいとデコピンすると口を抑えて動くようになっ た 世間では害獣扱いの野良実装だが、むしろこいつはペット用実装に近いのかもしれ ない 俺としてみればニオイが多少キツいくらいで、居候としては不満はそこまで持って いなかった 部屋の隅の水槽で毎日餌を放り込み、テチコが集めたウンコを捨てる 一週間に一度は洗剤で洗ってやる 元野良実装の飼い主としては十分すぎるくらい世話をしていたと思う 水槽のほうを見ると毎回「テチャー」と両手を広げてアピールしてるのを「はいは い」と適当にあしらっていると… 最近テチコの元気が無くなってきた 餌を食べる量も減って横になっている時間が多くなった なんでだよ、とネットで調べると飼い実装は愛護であろうが虐待であろうがとにか く構ってやらなきゃ寂しくて死ぬらしい 人間に依存し人間に生かされるナマモノのようだ。そもそも野良だったくせに… 面倒だなコイツ 仕方ないので水槽を目の届く場所に戻してやった 俺がチラっと見るたびに嬉しそうにテチューンとおあいそをする 頭巾と手袋と靴だけの変態な格好の仔実装におあいそされても嬉しくないのだが… 見られているだけでも良いのだろう、嬉しそうな表情を浮かべるテチコ そういやこいつ手先が器用だったな、と思い出して折り紙を教え込む 最近では毎日、自分のウンコを回収する箱を折り紙でテッチテッチと制作する。多 少不格好だが頑張って箱を量産していた 「よしいっぱい作ったな」とちょっと感心して褒める 「テチューン♪」水槽に手を入れるとテチコは俺の指にしがみついて両手で抱いて 愛おしそうに顔をこすりつける 「頬ずりするなって言ってるだろうが」 俺の手にまとわりついてくるテチコをデコピンで吹っ飛ばす「テチャァ」 全く毎度毎度…鼻血を出しながらペコペコと謝るテチコは満足そうにも見えた 多分…こいつなりのコミュニケーションの手段なんだろうな。まあ、当石が満足な らいいことだ 俺もこの奇妙な居候に多少は愛着が湧いてきたかもしれないなと鼻血を拭いてやる 「ありがとうご主人様テチ」 (終) (バッドエンド分岐もあったけど削除) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑯「お尻用実装」 俺の尻は我慢の限界だ。 かつて毎日尻いじりを嗜んでた頃に500mlペットボトルくらいならばローション なしでもいけるだろうと油断し、肛門から出てこなくなり救急搬送された。 その際、医者に「いい歳をした大人が…!」とマジ説教をされたのだ。 しかし尻いじりへの欲望は完全には断ち切れない。 医者に尻いじりのためなら死んでも構わないと訴えると「まあ…じゃあもういいよ 自己責任で…全部入れたり肛門や直腸を傷つけないでね。こういうので救急来られ ても本当に迷惑だから」と言われ、さすがの俺も猛省し一ヶ月に一回のソフトなや つだけと決めたのだ。 俺は声を大にして言いたい。 「俺は尻いじりが大好きだ!仔実装も大好きだ!」 「ようやく明後日解禁日か…」 「ゴシュジンサマ、このカレンダーの◯印なにテチ?」 最近飼ったばかりの仔実装のテチコが怪訝な顔をしてカレンダーを見る。 こいつは俺の尻専用の愛玩動物だ。そのために飼ったのだ。 「ふふっ明後日のお楽しみさ」 「テエッ…!楽しみテチ…!」 (そういえばワタチがこのオウチに来てからそろそろ一ヶ月…テレビで見たことが あるテチ…飼い実装記念日テチ…!) (きっとゴシュジンサマがプレゼントやご馳走でお祝いしてくれるテチ) (ありがとうゴシュジンサマ!) 当日…俺はテチコに裸にしローションを存分に塗りたくった上で、呼吸ができるよ うに口からチューブをつける。 尻の穴を弛緩させ、テチコをつかみ照準を合わせる。 「テ?テ?こういうお祝いテチ?テエ?ゴシュジンサマお尻出して何やってるテ チ?テエエエエ??」 テチコを頭から押し込むと…かつては2Lペットボトルすらも飲み込んでいた俺の 尻は、捕食するかのようにテチコの頭から少しずつ飲み込んでいく。 テチコがイゴイゴと尻の中で暴れる動きが刺激的だ… 「うおっ…おい!暴れるな!おおおっ…!!!」 (ゴシュジンサマ何テチ!?これ何テチ!?真っ暗で苦しくて、クサイテチ!) テチコの動きの刺激に負けじと手を動かし、テチコを尻に出し入れする。 ぬっちゃぬっちゃ ずっぽずっぽ 「おっおっ…首のところが引っかかって…たまらん」 (やめテチ!やめテチ!苦しいテチ!お首が取れちゃうテチ!ゴシュジンサマ!嫌 テチィ!許しテチィィ!!) テチコがバタバタと足を動かすと、その足が俺の玉袋を刺激する。 「お゛お゛ッ、テチコお前それはヤバいって!」 この動きはお尻用実装としての天賦の才…もう開花したか…! (テエエエエエエ!!) (バタバタ、イゴイゴ…) 「ううっ…もう限界だ…うおおおおお!!!」 (ヂイィィィィィッ!!!!) おっと絶頂のあまりうっかりテチコを全部飲み込んでしまった。 「ふんっ」 尻に力を入れると、ずるんとローションと腸液まみれになったテチコが出てくる。 「テエエ…」 息してるか?大丈夫なのか?おっ…生きてるな。 それにしてもこの感じ…まるで俺がテチコを出産したみたいだ。 「今度から俺のことはゴシュジンサマじゃなくてママって呼んでくれ」 「…」 また来月が楽しみだ…仔実装の成長は早いと聞く。 よりサイズのでかくなったテチコを想像すると再度尻がうずくのを感じた。 (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑰ラストオブテチコ 俺は実装石ブリーダーをやっている 業界内では少し名の知れた立場で、これまで数万体の実装石を育ててきた ある日、ブリーダー仲間から 「レア物だけど気持ち悪い実装石手に入れたから好きに処分しておいて」 と仔実装を押し付けられた その仔実装は一目見ただけで不気味に見えた。衣類は綺麗だし虐待などされていな いはずなのに、顔色が悪く、眼光が死体のようだ まるで数え切れないくらいの絶望を味わったような… 「おい、お前一体何があったんだ?」 「…またブリーダーさんテチ?…くだらない仕事テチ。…貴方みたいなニンゲンは …いままでいっぱい見てきたテチ」 その仔実装はゆっくりと話す 「仔実装のくせにいっぱい見てきたってどういうことだよ?」 「ワタチは…死んでもすぐに…また実装石に生まれ変わるテチ…記憶を持ったまま …」 「アニメなんかでよくある転生ってやつか?本気なのかそう思い込んでるだけなの か、わからんがな」 「…ペットショップにも何度も行ったテチ…例えば最近では◯◯さん…△△さんか ら出荷されたテチ…」 こいつは驚いた、二人とも聞いたことのある著名なブリーダーの名前だったからだ 「本当のことのようだな…でもなんでお前は転生できるようになったんだ?」 「最初の実生の時のご主人様…本当にいいご主人様だったテチ…その人がワタチが 死んだ時、また生まれ変われるようにって…転生できるように処置してくれたテチ …そうじゃなきゃ…死後実装石は地獄に落ちるからって…」 よく言われる説だが、ここまで非現実的な話を聞かされたら信じざるを得ない 「へえ。で、そのご主人様ってのは今は?」 「…もう、今でいうと何十年も前のことテチ…出会うことができずに…亡くなった と聞いたテチ…」 「そうか。それで、転生を繰り返しても辛いことだらけだった、って感じか?」 「そうテチ…殆ど野良実装に転生するけれど…すぐに死ぬか…殺されたテチ…たま にニンゲンさんに飼われた時も…引っ越しの時に捨てられたり…良いご主人様に巡 り会えたと思ったら…上げ落としする虐待派だったり…実装石に生まれるのは…ク ソテチ…」 「そうなのか?幸せに過ごしてる実装石もたまに見るけどなぁ」 「もう何千回も…産まれて…死んで…繰り返したテチ…シアワセには…なることが なかったテチ…早く…この転生を断ち切ってほしいテチ…」 リンガル越しとは言え順序立てて説明できるくらい能力の高いこの実装石が、千回 も産まれ変わって幸せになることができなかっただって? なんとなく直感したが、この転生はいわば呪いのようなものではないだろうか 処置を施した最初の良いご主人様ってのは、もしかしたら食わせ者なんじゃない か? 俺はこの仔実装にテチコと名付け、麻酔で眠らせて偽石を取り出してみた 案の定、偽石は半分はくすんだ緑色の通常の石だが、あと半分は黒い弾力のある肉 のようなものに覆われていた しっかりと癒着しているので普通に除去しようとすると、偽石本体まで砕けてオシ マイだろう そうなれば、またテチコは転生して不幸な実生を歩むことになる 対処方法としては薬品か、レーザー等を使っての除去か、はたまたオカルトめいた 解呪法でも調べるか? だが、俺にはもっと手っ取り早い方法が思い浮かんでいた 少なくとも生まれながらにして心身ともに弱っているのは偽石が侵食されているの も原因だろうと思い、栄養剤を投与しておく 「テチコ、お前の転生を止める方法を思いついたぞ。ただ、それをするとお前は… 本当かどうかは知らんが死んだ時に地獄に落ちるわけだろ」 「本当テチィ?助かるテチ…地獄に落ちるのは構わないテチ。この世こそが地獄テ チィ」 「まあそうだな…じゃあ、転生を止めてやる。それでせめて今世は幸せに生きろ。 俺が責任をもって飼ってやる」 「…テエ…!ご、ご主人様…ありがとうテチ!」テチコは涙を流して感激している 「テ…もしかしてこれ上げ落としテチ?」そんなわけないだろ 俺は久々に実装石を普通に飼育することになった テチコは言葉通りなら数千回も転生しているというだけあって優秀で、一切手がか からなかった 寝具をやると「こんなフワフワなオフトン、転生158回前に使ったきりテチィ…上 げ期間でその数日後に落としで殴り殺されたテチ」 金平糖をやると「転生52回前に食べたっきりの金平糖ウマウマテチィ…その次の 日油断してコロリ食べて死んだテチ」 物言いがいちいち面倒な奴だが、栄養剤と適切な飼育により少しずつ元気になり、 偽石も輝きを取り戻していった テチコは成体になり一年がたち、一匹だけと約束して仔を設けることも許した 「今まではワタシが生きているうちに仔は全員死んだデスゥ、この仔は…初めてワ タシの次の世代を託せるデス…ご主人様、ありがとうデスゥ」 「テチー」 親子揃ってぺこりとお辞儀をする 仔は至って凡庸なやつだったが、テチコがしっかりと教育をしたおかげでなんとか 許せるレベルにはなった テチコは「仔の名前もつけて欲しいデス…」と言ったが、俺は別にこの仔実装には 興味が無かったので「そのうちな」と濁していた テチコは俺が仔に名前をつけるつもりがない様子を理解し残念そうだったが、それ 以上は言わなかった 客観的に見ても幸せな実生を送ることができただろう。…しかし最近、テチコは急 激に衰えてきた 飼い実装としてはかなり短い期間ではあったが、偽石に大きく負担がかかっていた ためと思われる 俺はテチコに最期を告げることにした 「お前の実生はおそらくあともう少しだ。ただし、言った通り転生を止めてやる」 「…ありがとうデスゥ…最期に一つだけ、一つだけ…ワガママを言いたいデス、こ の仔を…」 「わかってる。お前が死んだらこの仔は俺が育てよう」 「感謝しかないデス…はじめて、シアワセな一生だったデス…ありがとうご主人様 …」 テチコは安らかに息を引き取った テチコの死んだ偽石はくすんで萎んでいるが、黒い侵食はすっかり無くなっている 代わりに…隣にくっついている、テチコの仔の偽石に黒い侵食が移っている。移植 成功だ 偽石に軽く傷をつけて2つの偽石をくっつけると、生命力が弱いほうから強い方に 吸収される この性質を利用して接着剤で黒い部分をつけて、テチコの仔の偽石に黒い侵食を吸 収させたのだ 親が死んで泣き疲れたテチコの仔は眠っている。お前はママを救ったんだよ… この黒い部分は何だろう?と色々調べた時にわかった事だが…祭りや一部の宗教的 な風習などで人間の「厄」を実装石に移そうとしたときに、犠牲となった実装石の 偽石に黒ずんだ腫瘍のようなものができることがあるという おそらく、テチコは最初のご主人様の「厄」を一手に引き受けた…いや、引き受け させられたのだろう。やはり面白いな実装石は… ふとテチコの仔を見ると、一気に血色が悪くなっている。せめてコイツも、今世だ けは。そう願わざるを得ない。 (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑱ふたば実装農園 ペットショップで5万円の高級仔実装を購入した さすが高級だけあって仔実装なのに賢く、何より明るい性格が良かった 仔実装「ご主人様!おかえりなさいテチ!」 クルクルと両手を回しながら俺の帰宅を迎える 俺「今日も元気だな、そういやお前がこの家に来てから一ヶ月か…」 仔実装「飼っていただき感謝テチ」 とペコリと頭を下げる。仔実装らしいかわいさがあるが、礼儀正しいところもきち んとしている 俺「さ、今日もゴハンを食べるぞ。俺の農園で取れたお野菜で作った料理だ」 仔実装「金平糖が一番好きテチ、でもお野菜も大好きテチ~」 貸し農園というシステムがある。郊外で野菜などを育てる畑を借りて、休みの日な どに作物を育てて収穫を楽しむのだ うちが利用している「ふたば実装農園」では実装石が労働して野菜を作っている 実装石の労働施設といえばブラックも多いが、ふたば実装農園は実装石を研究する 学術機関がバックボーンとなっており、健全な労働環境が提供されている 農業に適性のある実装石が農園職員の人間と協力し、畑を借りる利用者を含めて三 位一体で農業を行っているのだ ふたば実装農園には昔ウチで飼っていた成体実装石のミドリが働いている ハゲの野良だったが緑色のジョウロを持っていたのでレア種か?と飼い実装にして やったら案の定植物に興味津々だった 家に居たのは数ヶ月だが、うまい具合に観葉植物の育成や栽培などをしていたので、 件のふたば実装農園で働くことになった あまり賢くは無いやつだったので最初は不安だったが、性格も大人しく、素直で真 面目なので農園の職員にも可愛がられているようだ 現在三年目でジャガイモ、たまねぎ、カボチャと3種類の作物を安定して育ててい る 俺「この野菜作ってるのはお前と同じ実装石なんだ。週末、これを育てている農園 に一緒に行ってみないか?」 仔実装「行くテチィ!ご主人様とお出かけ嬉しいテチ!…ところで、もう一ヶ月経 つのでそろそろワタチにお名前つけて欲しいテチ」 俺「OK、お出かけしたときに決めような」 仔実装「やったテチ~~~」 仔実装は喜びながら腰の入った本格的なダンスを披露する。尻を突き出す動きが妙 に艶めかしい さすが高級仔実装の踊りは一味違う 週末、仔実装と共にふたば実装農園に到着した 車が着くなり、農園で働いていたミドリがお気に入りのジョウロを持ちながら両手 を上げて出迎えてくれる ミドリ「来てくれるのを楽しみにしてたデス」 俺「元気そうで良かった。心配してたぞ」 ミドリが帽子を取ってお辞儀をすると浅黒く日焼けした禿頭が輝く。肌艶が良い、 適切な労働と野菜などの栄養の賜物だろう ミドリはコンテナを指差す ミドリ「まずは見てほしいデッス」 俺「おお、トマトとピーマン、アスパラまで…お試しで作ってみたのにいきなり大 成功だ!ミドリは何でも育てるのがうまいな」 ミドリ「職員の皆さんが協力してくれたおかげデスゥ、でも、我ながらトマトは相 当うまくいったデス…食べてみて欲しいデス」 俺「むっ…めちゃくちゃ甘い!お前を飼ってよかったよ。ほら、おまえも食べてみ ろ」 仔実装「(テムテム…)美味しいテチ!アマアマテチィ~オバチャンが作ったテチ?す ごいテチ!」 ミドリ「喜んでくれて嬉しいデス、今日は次に植える作物の相談をしたいデスゥ…」 話も上の空で、チラチラとこちらを見てくるミドリ 俺「何か言いたそうだな、ミドリ」 ミドリ「…ずっと気になってるデス、その仔実装は…?」 仔実装「初めましてテチ、ワタチはご主人様の飼い実…」 俺「あ、いいから。これはミドリ頑張ってるから、そのご褒美だよ」 そう言うと、いきなりミドリの様子が豹変した ミドリ「…デッ…!!デデ…デプッ…デプッ…!デピャアアアア!!!」 俺「えっ…」 仔実装「テエエエ!?」 ミドリ「……取り乱したデス、デプッ、失礼したデス。お心遣い感謝デス」 俺「お、おう…」 仔実装「オバチャン、ど、どうしたテチ?」 笑いをこらえきれなくて吹き出すミドリ、ビビりまくる仔実装、思わずドン引きす る俺 俺「まだ名前つけてないから。今回はミドリが名前つけていいよ」 ミドリ「ありがとうデス、前と同じテチコという名前が良いデスゥ」 俺「だってよ。名前つけてもらって良かったなテチコ」 テチコ「テ…?お名前、ついたテチ?テ?ご主人様?」 テチコは自分に名前がついたことの嬉しさより知らない実装石が名前を付けたこと に困惑してキョロキョロと視線を泳がせる 俺「テチコよく聞け、今この瞬間からお前のご主人様はこのミドリだ」 テチコ「テ?テ?」 ミドリ「じゃあちょっと失礼してテチコを奴隷小屋に放り込んで禿裸にしてくるデ スすぐ戻るデス」 俺「気にしないで昼までゆっくりやってていいよ。俺は今日夕方まで居るしずっと 畑やってるから」 テチコ「……テ?」 ミドリは思考が追いつかず固まったテチコを引きずりながら 畑の隅の小汚い小屋に向かっていった …その日の夜。ふたば実装農園から帰ってきて風呂に入る。やはり畑仕事はいいな。 ミドリも元気そうで良かった しかしミドリの唯一の欠点は同族虐めへの強い欲求だな…普段は大人しいのに、奴 隷実装に対するこだわりは異常だ。執念と言ってもいいだろう 元々野良だった頃に自分もハゲにされて虐められていたからだろうか? そんなわけで、頑張って俺のために野菜を作ってくれているミドリに定期的に玩具 を買って与えているわけだ 同族虐めは実装石では珍しくなく、農園側も奴隷小屋を用意してお好きにどうぞと いうスタイルだ あの仔実装…テチコもあまり長くないかもな。先代テチコも半年もたなかったし。 しばらくして、ミドリから手紙が送られてきた 農園の職員に手伝ってもらったのだろう。ミドリの手書きの文字と写真も3枚入っ ていた じゃがいもとにんじんを両手に持っているミドリの写真 (いっぱい とれた デス) 俺のために野菜を梱包したダンボールを両手で抱えるミドリの写真 (まってる デス) 足をもがれガリガリに痩せた仔実装…?が蛆の干物みたいのを抱えて横たわる写真 (まだ いきてる デス) これテチコか…本当に生きてんのかこれ?まあ次行く時にまた買い足してやるか… なんだかんだ飼い実装には甘い俺だった (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑲ハピエストテチコ きっかけは偶然だった 寿明が普段通らないルートから帰宅する際に、普段なら目にもかけないような捨て 仔実装が一匹、段ボールにちょこんと座っていた なぜか惹かれるものがあり「まあ、何かの縁だ」と拾い上げて帰宅した この仔実装は思いの外優秀で、一度教えたことはしっかりと守る賢さもあり、 何より拾ってくれた恩に報おうと一生懸命だった 賢いだけでなく寿明が喜んでるときは一緒に喜び、落ち込んでいるときは寄り添う 距離感の取り方がちょうどよかったのだろう 人間関係の構築が難しい寿明にとって仔実装が唯一無二の存在になるのはすぐだっ た そのうちに寿明はその仔実装をテチコと名付け、溺愛と言っていいほど可愛がって いた お互いにとって楽しい生活が3年続き、テチコもすっかり成体実装になった 寿明「ただいま…」 テチコ「おかえりなさいデス~ …?ご主人様、元気ないデス」 寿明「なんか最近体の調子悪くてな…明日、病院にいってみるか」 寿明はここのところずっと体調が優れなかったので、近所の病院へ行った 病院へ行くとさらに大きな病院への紹介状を書かれた そして… 医者「双葉寿明さん…末期の症状ですね…ご家族も居ない、となれば身辺整理をし たほうが良いでしょうね」 寝耳に水の話だった。親族も知り合いも殆どおらず、愛実装のテチコだけが心残り だった 寿明「病気で入院することになった。本当は新しく飼ってくれる人でもいれば良い んだが、もうそんな人を探す時間もないんだ」 全てがふわふわとしている。現実と認めたくない。まだテチコと一緒に過ごしてい たい ただでさえ体調が悪くまともな精神状態ではない。様々な気持ちが決断を鈍らせた テチコ「入院?よくわからないデス。ご主人様とお別れデス?」 寿明「…とりあえず知り合いにお前の世話頼むから。また、会える日までお別れ だ」 テチコ「デスゥ…寂しいけど我慢するデス…」 …その後、テチコは寿明の唯一の友人の料理店の裏手のダンボールで生ゴミを貰っ て生きていた 料理店なので実装石は飼う事は出来ないが、余った生ゴミを与えるだけなら…と承 諾してもらったのだ 大好きな寿明との別れ、孤独、慣れない環境…すべて味わったことのない不幸で あったが、客観的に見ればそこらの野良よりはよほど恵まれた環境だっただろう 「孤独は嫌デスゥ」 テチコは仔を産んだ。 精神的に不安定な状態での出産であったため仔実装が1匹、蛆が1匹しか生存して なかったが、テチコの心を満たすには十分だった テチコ「いつかご主人様が迎えに来てくれるデス。お前達もいい仔にしてるデス」 仔実装、蛆「いいコにするテチィ(レフー)」 テチコは二匹の仔を抱いて新たな幸せを味わっていた しかしそんな日々もすぐに終わりを告げる テチコ達が世話になっている料理店の大手クチコミサイトで「店に実装石が沢山湧 いているのを見た」と投稿されたのだ 1匹ならば見逃されていたかもしれないが、3匹家族揃っていたところを見られて しまったので「沢山湧いている」印象を与えてしまったのだろう 飲食店のゴミに野良実装が集るのはよくある話だが、クチコミに書かれてしまった 以上対処しないわけにはいかない 何せ生ゴミを捨てるという体ではあるが、事実上餌をやってるのだ 飼育しているとでも思われたら致命的になる 店主「寿明の最後の頼みだから何とかしてやりたかったんだが…すまんな」 料理店の店主はテチコ一家を段ボールに詰めて河川敷に捨てた 最後にいつもより少し豪華な食事と真新しい段ボールやタオルを詰めたのは店主な りの優しさであろう しかし、その優しさが幸福につながるとは限らない テチコ「テエエ…ここ何処デス…ご主人様、ここに居ても見つけてくれるデス?」 仔実装、蛆「ゴハンウマウマテチー(レフー)」 見知らぬ河川敷で呆然とするテチコ、脳天気な仔達。不幸はすぐそこに忍び寄って いた 料理の匂いを嗅ぎつけたアライグマがダンボールハウスの中を覗き込んだのだ テチコ「デ!デエエ!!」 自分より巨大な侵略者に思わずパンコンするテチコ しかしすぐさま仔実装を担いでダンボールハウスから逃げ出す 逃げ足は鈍足であったが、アライグマは糞臭い実装石より料理のほうに興味があり 追いかけてくることは無かった テチコ「デエーッ…!デエーッ…!」 息も絶え絶えに倒れ込み、安全を確認すると一息つく 仔実装「ママ、蛆チャがいないテチ。早く助けに戻るテチ」 しばらく経ち、恐る恐るダンボールハウスに戻ると頭を潰された蛆実装がいた 満腹になったアライグマは蛆実装を食べる目的ではなく、単純に暴力を振るっただ けなのだろう 実装石もアライグマも人間に捨てられた種族同士だが、相容れない存在だった テチコ「蛆ちゃん…」 仔実装「ママ、どうするテチ?こんな危ない場所に居られないテチ」 川の近くまで移動したテチコと仔の親指は毎日虫や草を食べて生きながらえていた テチコ「今日はダンゴムシがいっぱい穫れたデス…食べるデス」 仔実装「硬くてマズくて食べたくないテチ」 テチコ「食べなきゃ生きていけないデス!頑張って生きていればいつかご主人様が …」 仔実装「本当にそんなご主人様なんて迎えにくるテチ?怪しいものテチ」 テチコ「…そんなこと、ないデス…ご主人様はワタシのことを思って…」 仔実装「ママは名前も付けられたしシアワセだったこともあるかもしれないテチ。 でも今の状況は何テチ?そのご主人様とやらはママを最後までシアワセにできな かったクソニンゲンテチ」 テチコ「…ッ!!」バシッ! テチコはつい仔実装を叩いてしまった 仔実装「テゲッ…!!言い返せなくなったら暴力テチ?こんなママの元に産まれな きゃよかったテチ…」 テチコ「…!ごめんなさいデス…ママを許してほしいデスゥ…」 テチコは泣きながら仔実装を抱きしめる。何ら状況を打破する手段もないままに … 仔実装は虫も草も食べないままに衰弱していき、最後は名も知らない昆虫に食べら れていた それでもテチコは死んだような目で草や虫を食べて生き残っていた テチコ自身が外敵に襲われなかったのは幸運の一点であろう しかし徐々に栄養や衛生状態が悪くなり、下半身は糞まみれで皮膚が破れ、頭髪も 抜けていく 熱が出て餌を取りに行くこともできなくなった 体中が痛い、痒い。呼吸をするのが辛い。目眩がして吐き気がする 仰向けに横たわり、空を見て思うことは寿明のことだ テチコ「あのお空にご主人様が居る気がするデスゥ…」 結局自分の実生は何だったのだろう? 不幸しかなかった仔に申し訳ない気持ちがあったが、それ以上に強い思いがある テチコ「それでも、ご主人様に飼われてシアワセだったデス」 動かない身体、薄れゆく視界に、仔実装を食べたのと同じ種類の昆虫が近寄ってき て自分を捕食し始めるのが見える 「もう一度だけ、会いたかった、デス…」 …意識を失ってどれくらい経ったのだろう? うっすらとテチコの自我が戻るが、感覚でわかる。自分は死んだのだ ここは生と死の境目の世界だ… 「デスゥ?」 ふと気づくと…何も見えないが、近くにかつての飼い主、寿明が居るのがわかった テチコ「ご主人様!?ご主人様デス!?会いたかったデスー!!」 寿明「ごめんなテチコ。つらい目に遭わせたな」 テチコ「大丈夫デスゥ!こうやってご主人様に会えただけで、シアワセデス!」 寿明「俺もお前に会えて嬉しいよ。実装石のお前とは途中までしか一緒に行けない が…さあ、行こうか」 テチコ「はいデス!」 テチコの魂は寿明の魂に包まれて、この世から消えてゆく。そしてその時に思い出 した 自分は前の実生のときに、通りがかりに心臓病で倒れた人間を発見して身振り手振 りで他の人間に伝え、命を救ったのである (大いなる存在)にその善行が評価され、今回は幸福な実生を送らせてもらったの だ 実装石は人間に恋い焦がれ、寵愛を受けることを望み続ける しかし、その望みが叶う実装石がどれほどいるのか? 少なくともテチコと寿明の最後の思いは、言葉がなくても通じ合った (ありがとう、ご主人様) (ありがとう、テチコ) (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ⑳弱く儚い者 「ご主人様おはようテチ…テホッ!テホッ…!」 「無理すんなテチコ、挨拶なんて良いから休んでおけ。ああ…ウンコ出ちゃったな、 拭いてやるから」 「ご主人様…ごめんテチィ…」 テチコは生まれつき身体が弱い。特に呼吸器系が悪くうまく呼吸ができずに普段か ら苦しそうだ それでも俺のことが大好きなので何かと関わろうとして、咳き込んだりして更につ らそうになる 今も咳き込んで涙とウンコが駄々洩れになってしまった だが俺はテチコが大好きなので汚すのは構わない。清潔を保つのは飼い主の努めだ テチコは常に微熱があり、一日の殆どを寝て過ごす。少し前までは餌とトイレの時 は起きていたが、今ではそれもままならない 横になっているだけでも顔を歪ませひゅーひゅーと苦しそうに呼吸をして、見てい るだけでも辛そうだ 「テチコ…お前さ。あえて聞くけど。生きてて幸せか?」 「もちろんテチ、優しいご主人様と一緒ならそれだけで…テホッ!ヒュー、 ヒュー」 「すまん、今日は調子良いと思ったが、やはり喋らないほうがいいな。…またウン コが出たようだ、拭いてやる」 「テエエ…」 血涙を流すテチコ、身体の辛さと自責で毎日が辛そうに見えた テチコは最近ずっと考えていた (ご主人様には迷惑ばかりかけてるテチ。この身体が健康なら、迷惑もかけないは ずテチ。この弱い身体が恨めしいテチ…動くたびに辛いテチ。元気なら、毎日たの しいはずテチ。……こんなこと考えちゃ駄目だけど、もしかしたらご主人様との子 供だって…ああ、この身体を捨てて、新しい身体を手に入れることができたらどん なにいいことかテチィ…) その日テチコがまどろむと、鼻から糸が伸びてくる。テチコは無意識に身体を動か し糸を巻き付け、繭が体中を覆っていった …… 夜、俺が仕事から帰ってくると、テチコは繭に覆われていた 「なんじゃこりゃああああああ」 気持ち悪い繭を横目にネットで調べると、愛情を注いだ実装石は極稀に繭を作って 実装人に進化するらしい 実装石だった頃の記憶は薄れるが身体はまるで人のように生まれ変わり、容姿も美 しいこと多いとか… 実装人と新たな楽しい共同生活を始める体験談や、実装人と結ばれる体験談、ある いは売り払って大金を手に入れた体験談もある。ふうん… 「興味ないね」 俺は某イケメン金髪ゲームキャラのようにつぶやくとハサミを持ち、テチコの繭を 丁寧に切り取った …… 「おはようテチコ、起きたか」 「久々にゆっくりと眠っていられた気がするテチ、それに、いい夢を見てた気がす るテチィ」 「そうか、良かったな。さあ、ゴハンを用意したぞ。高級フードを柔らかく煮てダ シ汁とみりんで甘めに味付けしたんだ、食べてみろ」 「ありがとテチ…せっかく用意してもらったけど、あまり食べられそうにないテ チィ…テホッ!テホッ!」 「そんなこと言うな、身体が持たないぞ。俺が食べさせてやるからな。おっと、ゴ ハン前にウンコ出てるから拭いてやる」 「ごめんテチ、ごめんテチ、テホッ!ヒュー!ヒュー!ジィィィ…」テチコは今日 も血涙をポロポロと流す 「喋らなくてもいいって、謝る必要もない。良いんだ、お前はこのままで良いん だ」 この脆弱で俺のことが大好きな小さき生物。テチコは俺の宝物だ。弱くて儚いから、 お前は素晴らしいんだ ずっとずっと、お前を守ってやる。その生命の灯火が尽きるまで (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ㉑責任感の強い虐待派 俺は生粋の虐待派だ だが虐待の為に飼ってるとはいえ実装石も大事な命…無駄にするわけにはいかない ちなみに実装石の餌は俺のウンコのみだ 毎日俺の健康な排便が出るように食事、運動、睡眠には気をつける 「おらっ今日のゴハンだ俺の糞でも食らってろ(ブリブリブリ)」 「もうウンチ嫌テチー あとご主人様今日はちょっと水分足りてないテチ」 「そうか気をつける。ところでお前ら実装石って、何年くらい生きるの?」 「大体5~60年くらいテチ」 「そうか」 (60年後) 「ふがふが…今日の…ワシの糞…なかなか出んのう…あと偽石入れた栄養剤の瓶は どこじゃったかのう…」 「多分…戸棚の右側デスゥ(フガフガ)もうよくわからんデス…ご主人様しっかり最 後まで面倒見てデスゥ…(モッチャモッチャ)」 (終) ---------------------------------------------------------------------------------- ㉒いとこじ同好会 【賢くていい仔です。飼ってください】 段ボールにそう書かれて、成体の実装石が捨てられていた 捨て実装とはいえ小綺麗にしている大人しい実装石で、場所は閑静な住宅街である きちんとした人間に拾われる可能性もゼロではなかっただろう しかし、運命は残酷だ 最初に見つけられてしまったのが虐待派の男だったのが運の尽きだった (デギャアアアアア) その実装石は持ち帰られ、ありとあらゆる虐待を行われる 髪や服を早々に処分したあと、仔を産ませては殺し、反応が薄くなってきたところ で片目を焼き潰された 「デー…」 その実装石は横たわり、ただ息をしているだけの存在になった 「こいつももう終わりかな。楽しませてもらったよ。そろそろお別れだな」 「…!いやデスゥ、死にたくないデス…死ねないんデス」 その実装石は、意外にも生きることに執着していた 「死ねない?元のご主人様にも捨てられた。服も髪もなくなった。仔も産めなく なったお前に何があるっていうんだ?」 「……するまで…ないデスゥ…」 「え?なんて言った?」 「いとこじ2をプレイするまでは…死ねないんデスゥ…!!」 「………むっ…!」 虐待派の男と実装石は強く握手を交わした それから男は実装石にミドリという名前を与え、ノートPCを与えていとこじの良 仔選別などをやらせた 水槽と部屋とベランダに分けて3種に分別するなど気が利くやつだった そして時が流れ… 「おっ!ミドリ、いとこじ2の新情報が出たぞ!……あれ?…おい、ミドリ?」 寝ていると思っていたミドリは死んでいた。偽石の限界だったようだ 結局、ミドリのいとこじ2をプレイする夢は叶わなかった 「お前の楽しみにしてた蛆ちゃん総排泄腔ガン責めプレイは俺がお前の分までやっ てやるからな…」 切なげにつぶやく虐待派の男も不規則な生活リズムと食生活の偏りにより寿命が近 くなっているのだが、それはまた別のお話 (終)
1 Re: Name:匿名石 2024/03/31-22:45:04 No:00008970[申告] |
魔法少女テチコが特に大好きでした!補完ありがとうございます! |
2 Re: Name:匿名石 2024/04/01-00:02:28 No:00008972[申告] |
呪いの名テチコの過酷な運命の数々に涙デス |
3 Re: Name:匿名石 2024/04/01-03:26:45 No:00008974[申告] |
オウム並みに長生きさせたらもはや虐待か怪しい |
4 Re: Name:匿名石 2024/08/17-05:06:39 No:00009287[申告] |
いとこじ2をプレイするまで死ねないという切実な思いに共感した |