「テッチ、チー！」「テッチ、チー！」「テッチ、チー！」

仔実装姉妹たちの愉快な行進。
笑顔で楽しそうにヨチヨチと歩いていく。

短い手足を前後に振って、小さな歩幅に大きなわくわくを秘めた希望に溢れるニコニコ笑顔。

「みんなでいくテチ！」「おそとがすきテチ！」「みんなでイッショにだいぼーけんテチ！」

和気あいあいと姉妹で仲良く、揃ったリズムでいちにのさんし。

春の陽気に包まれて、道行く人も自然と笑顔にするような愛らしさ。

緑のズキンの探検隊、期待に胸を躍らせて。

さてさて、どこへ行くのかな？

……

数分前、屋内。

「デギャア！やめてデス！そんな歌聴かせたら仔がヘンになるデスゥ！」「黙れ！」ﾎﾞｶｯ
「デギャッ……だ、黙ってるデスゥ」

アップテンポで過激なロック調の胎教歌がヘビーローテーションされている。

『デッデロゲー！危険なお外は最高デス！』
『安全なおウチなんかより危険なお外が最高デス！』
『お外にあるドブや側溝の中へダイブしたらきっとすごくたのしいんデス！』
『ママやゴシュジンサマなんか放っておいてお外へGOGOGO!デス～！！何も考えずお外へGOGOGOGOデス！』

『お外！お外！お外へGOGOGO!側溝へダイブデス！！！』

死への大行進を盛り上げる、最悪の胎教ソングだった。

「ほーら両目を赤くしてやったぞ？そろそろガキが出るよなぁ？」

「デ！う、生まれるデス、デッス！今産みたくないけど産まなきゃデスッ？」

「やれよ、やんなきゃぶっ殺すぞ」

「デッ……わかったデス」

「何ためらってんだよ、はよ産め、はよ産め！お外へGOGOさせるんだよ！」

「こんなのあんまりデスゥ！」

「うっせえなあ、妊娠出産がOKとしか言って無かっただろ俺は、育成を約束したことはねーぞ」

「デェェェェン！」

……

「テッテレー！ママ、ナメナメありがとうテチ！はじめまちてテチ！お外へゴー！テチー！」

「ママ、こわいけどお外へ行ってくるテチ！」

「ママもゴシュジンサマもしらないテチ！お外お外お外テッチャア！」

「いってらー」

「いっ行っちゃダメデス！……デギャア！ゴシュジンサマ、なんでワタシを殴るんデス！とめないと仔が、仔が死んじゃうんデス！あんなにかわいい子なんデス！助けてあげてデス！」

「殺す為にやってんだヨッ」

……

「テテッ！側溝をはっけんテチ！くっさくてきったないお水さんがいっぱいテチ！？」
「でもダイブするとおもしろいらしいんテチ！」「ワクワクテチ—！」

「みんなでいくテチ！」「そうテチ！みんな、いっせーのでいくテチ！」「たのしみテチ！」

「わかっテチ！せーのっテチ！」

ボチャン、ボチャン、ボチャン。

「ﾃﾁﾞｬｯｶﾞﾎﾞｯ」「ｺﾞﾎﾞｯｺﾞｯｺﾞﾎｯﾃﾞﾁﾞｬｱｯ」「ﾁﾞﾁﾞｯチ～！ﾃﾞﾁﾞｬｱｯ！」

ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ。
ﾌﾞｸﾌﾞｸ

ﾌﾟｶｧ…

……

「はーい録画完了、全くこっちに気が付かなかったな連中」
「仔実装は！それだけ不注意でよわいモノなんデスゥ！」

「面白かったなあ、集団ダイビング。もっかい見たいわ、もっかい妊娠できる？」
「デ？またやるつもりなんデス！？ひどいデス！ご主人様はアクマデス！」

「うるせえヨ、また妊娠しろッ」
「デギャアｱｯ！イヤデスゥ！」

「よーし両目緑色になったな、今度は蛆の探検隊なんかどうだ？ピコピコ這いながら側溝へ落下するとかさ」

「最悪デスゥ！デギャア！デギャアッ！！」

おわり

【あとがきデスゥ】

こういった形の自己顕示的な語りは無作法だと思いつつご挨拶させていただきますデス。
2月ごろに投稿した『再誕経路』から今作『お外へGOGOGO！』まで実装スクをだいたい16作ほど投稿させていただきましたデス。

すべては実装スクをもっと盛り上げたいという気持ちあってのものデスが、粗製乱造になっているのではないか？と振り返るべき時期に来たと思いましたデス。
実際に作品に誤字脱字や設定の粗、なにより可読性に難のある文章も増えてきていること、
新順直近5作が自分の投稿作で埋まっているのを鑑み、投稿をいましばらく自制すべきだとの結論に至りましたデス。

なのでこの作品を最後に実装スクの投稿を控え、文章能力を鍛えてまた戻ってきたいと思いますデス。

その時はまたよろしくお願いいたしますデス。