深夜。箱庭。街灯だけが無慈悲に暗く照らす世界。 「デスゥゥゥゥッ!!」 「デシャア!デシャア!!」 闇夜と寒空の下、泣き叫ぶ成体の実装石たちが実装用シャベルを手に嵌めて一心不乱に同じ方向へ斜めに穴を掘る。 「デホッ!ゴホッ!」「デェェェェン!おフクがデス!」「いつまでこんなことしなきゃなんデス…?」 実装たちの服はいつもながらに土で汚れ、また土埃で相当参っている様子だ。 「もっと威勢よく掘らんか」 その中からちびちびと作業する怠け者を俺はぶん殴る。 「デギャッ!」派手にすっころぶそいつはヨロヨロと穴掘りを再開した。それでいい。 … 「ママァ~!」「ひどいテチ!ニンゲンは悪魔テチ!ママをはやくたすけるテチ!」「クソムシテシャアアアアッ!ウンコニンゲンテシャアアアアッ!」「ワタチもああなるテチ?テェェ」 仔糞どもは適当な衣装ケースにありったけ収容して穴掘りを見学させる。 鳴くもの、威嚇するもの、様々だ。 「チププ、ワタチはニンゲンをユーワクちてたちゅかるんてチベッ」」 ふざけたことを言う仔糞を確認したので、破壊する。 「チュアアアッ!アタマふんじゃダメテチ!いたいテチ!かわいいからタチュケッ…チボッボッ!チギャアっ!おミソ、おミソ漏れちゃうレチ!」 軽く足先で頭を半端に潰す。ミソが漏れ出す危機に必死で手足をばたつかせている。 もう手遅れた。 「メパソッ~♪」いいかんじにめぱそしたらしい。 脳を撒き散らしてたのしい実装ダンスを始めた。 …… 「デゴッ……!」 穴掘り実装どもに目線を戻せば、ついに土埃で吸気がイカれた根性ナシが出たらしい。 「大丈夫デスゥ?デギョッ!?」「放っておけ」 倒れるそいつに構おうとするやつを俺は蹴って制裁しながら、穴掘りの続行を指示。 ギュム。 まだ息がある根性ナシは次々と踏まれて苦しそうだが、喉がイかれているので声も出せないようだ。 穴掘りに必死になっている実装たちに踏みしだかれ、それはやがてぼろ雑巾のようになった。 …… 「よーし、今日はここまで、今日はそうだな、お前とお前とお前とお前だ」 作業終了を実装どもに点呼する。そして今日の『おやすみなさい実装』を適当に選別し、穴の一番深い位置へ横たわらせる。 口には軽めな効果のシビレ(身体だけタイプ)を飲ませ、脱走を防止する。 「イヤデスゥ!イヤデスゥ!」「あんまりデス!」「ニンゲン、オマエはゼッタイジゴク行きデス」 横たわらされた実装が各々叫ぶ。 「テチっ♪ニンゲンサンやめてテチ?ワタチはかわいいテッチュ~ン、チビョッ」「イヤテチイヤテチ!はなしテチ!!」 衣装ケースから何匹かの仔糞をつまみ上げる。ぺきぺきと足を折っては、穴底に放り込んでいく。 「アンヨさんイタイテチ!!なにするんテチ…!?」「アンヨが…アンヨ折れたテチャ!も、もうたすからないテチ…ひどいテチ、ひどいテチィ!助けるテチィッ!」 「オバチャンたちも見てないでたすけテチィ~~!!」 血涙を流して穴掘り実装たちに助けを求める仔糞、しかし穴掘り実装たちは無表情に憔悴した顔でただ眺めるだけだ 「助けようとなんてするなよ、念のために言っておくぞ」 ここで義憤にかられるような個体は公開処刑拷問ショーの主役になるのを穴掘り実装たちは知っている。 じわじわと与え続けた暴力が実装たちの抵抗の意識を破損させているのだ。 …… 「土をかけろ。埋め戻しの時間だ」 穴掘り実装たちに横たわった実装どもへ土をかけるように命令した。 「っ…しんじゃうデス!やめてデス…ッ!」「テチュ~ン!ワタチはかわいいテチ!かわいいから土さんかけるのやめテチッ!テチャアアアアアア!!!」 なおも暴れて逃げようとするやつも勿論出るが、シビレの効果と実装の体型が合わさった都合、起き上がるのは不可能だ。 「土さんイヤデス!イヤデスゥ!」「テチャアッ!ゴホッ!やめテチィ!」「ママ!ママ!だきしめテチ!いっしょに逃げるテチ!」 「それはできないんデス…」「ゆるしてデス、ゆるしてデス…」「ワタチタチは死にたくないんデスゥ…」 ひっきりなしに土をかぶせられてしまえば重みからすぐに抵抗は不可能となる。 「…!…デッ…!」「……!!」「ゴホッ!ママッ!ママッ!ママァッ!ゴホッ…ゴボッ……!」 段々と埋められた連中の姿が見えなくなってくる。 やがて完全に見えなくなったのを見計らい、俺はその上に立って踏み固める。 ばしり、ばしり。土を踏む。強く強く踏んで固めていく。 「ムスメが…ムスメが…」ふらふらと地面の上へ駆け出し、血涙を流してその場で蹲る穴掘り実装の一匹。埋まった仔糞の中に娘がいたらしい。 …… 「よーし、今日は解散だ、仔糞どもを開放してやる」 解散を告げてスコップを回収する。生気の失せた目で俺の姿を見ている実装ども。 「…!デッ……デスゥ!こんなことして何になるんデス!?ひどいデス!殺すならいっそすぐに殺すデス!」 恨みがましい言葉を上げる勇気ある実装が現れた。睨みつけに目を合わせる、すぐに怒りは怯えに変わったようで目を逸らした。言葉ももはや不要だ。 最後の気力だったのだろう。 「ママ~!」「無事だったデス!?デホッ…ママはうれじいデス…ッ!」 「オマエはママがいなくなったデス…?」 「オバチャンたすけテチ…」「ウチに来るといいデス…」 衣装ケースから解放された仔糞と穴掘り実装もとい親実装の感動の再会。親なしになったやつは新しいママを得る。 仔糞の数が絶対に親実装より少なくなるように埋めているので、あぶれる仔糞はいない。 ここで仔を食べようとするような奴もまた公開処刑拷問ショーの末に凄惨に死んでいったので、そういう演技をしているだけかもしれない。 「明日も同じ時間に俺は来る、ここから逃げようとなんて思うなよ、監視カメラが見ているからな」 「わ、わかりましたデス!」返事の大合唱。勝手な事をした実装もまた公開処刑拷問ショーに処されたのを知っている。誰も俺の言葉を疑いはしない。 力なく箱庭備え付けの実装ハウスへと帰っていく実装たち。その生気のない背中がなんとも愉快だ。 … 我が家の箱庭で実装たちは疲弊し続ける。減って来れば捨て実装や野良実装を新しく穴掘り実装にする。 いつまでもここで穴掘り実装たちは穴を掘っては埋め戻すだろう。掘れ。掘れ、そして埋めて殺せ。 ここは実装石の運命の行き止まりだ。 おわり
1 Re: Name:匿名石 2024/03/11-20:26:51 No:00008889[申告] |
地獄行き?残念だがココが地獄で奴が獄卒だ |
2 Re: Name:匿名石 2024/03/12-04:21:16 No:00008890[申告] |
掘っては埋め戻すという無意味な作業
メタルマックス2のデスクルス、あそこで経験したドラム缶押しを思い出すぜぇ! |
3 Re: Name:匿名石 2024/03/13-18:33:56 No:00008901[申告] |
定期的に掘り返してしてそうだし栄養満点で皮肉にもデッドコピー元の翠星石の能力みたいに植物がよく育つかも |
4 Re: Name:匿名石 2024/03/24-22:31:00 No:00008946[申告] |
穴掘れるレベルなら実装石に利用価値ありそうなんだけどなー |