タイトル:【虐】 バレンタインの翌日
ファイル:特に何も起こらないバレンタインデー.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:414 レス数:5
初投稿日時:2024/02/05-20:44:54修正日時:2024/02/05-20:44:54
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【特に何も起こらないバレンタインデー】




バレンタインが近いある日。
開店したばかりのとある実装ショップで、本部からの通達を受けてある企画が行われる事になった。

<飼い実装ちゃん達に感謝を込めて、プレゼントを贈りましょう>

要するに、バレンタイン関連のグッズを実装ショップでも扱うというだけの投げやりな企画だ。
だがラインナップは豊富で、金平糖型の小粒のチョコの詰め合わせや、
チョコを溶かして型に流し込む手作りセット(型の種類もハートや実装石の顔型など様々だ)、
そしてチョコ以外のプレゼント…ポシェット等のおしゃれグッズなど、様々用意されている。

また、他実装向けのバレンタイン商品も用意されていた。
実蒼石向けのおしゃれ鋏ケース、実装紅向けチョコレートローズティー、
実装燈向けヤ●ルトチョコ、実装金向けチョコ卵焼き、実装雛向けチョコ苺大福…。

その他にも、様々な商品が用意された。


   *   *   *


さて、バレンタイン当日。
ここに一人のとしあきがいた。
彼はミドリコという一匹の仔実装を飼っている。

彼が昼休みに街を歩いていると、実装ショップの入口に店頭展示されている一匹の仔実装が目に入った。
その仔実装はピンクのマフラーと手袋をつけ、ピンクのブーツを履いて、ケースの中で踊っていた。

『テッチュン、テッチュン♪』

としあきは思った。
あぁ、バレンタインセールの客寄せか。
ああしてセールの期間中ずっとケースの中で踊って、セールが終われば処分されるんだよな…。

としあきは愛護派と言うほど実装石を溺愛はしていなかったが、
客寄せに使われる仔実装にほんの少しの哀れみを覚え、客寄せに乗って店に入る事にした。

「いらっしゃいませー!」

ショップの女性…店長と名札に書いてある…は、としあきに笑顔を向けて挨拶してくる。
その店長は黒髪を後ろでまとめたおっぱいの大きなお姉さんで、
としあきの好みのタイプだったが、あまりチラチラ見ても不審がられるので
とりあえず棚の商品をあれこれ眺めながら、ミドリコに何を買って帰るか考えていた。

金平糖型小粒チョコがいいかな、値段も手頃だ。
いや、食べて無くなる物より残る物がいいか…?

としあきが悩んでいると、いつの間にか店長が近づいてきて声を掛けてきた。

「何かお探しですか?」
「あ…え、あ、はい」

急に声を掛けられ、しどろもどろになってしまうとしあきだったが、何とか返事ができた。
店長はそんなとしあきの様子を不振がることなく、笑顔を向けたままたずねてきた。

「お飼いになられているのは…実装石ちゃんですか?」
「は、はい…仔実装です…蒼じゃなくて緑色の方…」
「仔実装ちゃんですね。
 仔実装ちゃんのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「み、ミドリコです…」
「では、ミドリコちゃんは長く飼ってらっしゃいますか?」
「ま、まだ一月ちょっと、です…正月に買ったので…」
「なるほど…でしたら、こちらの金平糖型小粒チョコがお勧めです」
「えっ、今のでお勧めとか分かるんですか?」

少し話しただけでお勧め商品を挙げられて、としあきは面食らった。
もっと高い、後に残るような商品が良いのではとも思うのだが…。

「実装石ちゃんは、躾をしっかりするとか、飼い主さんとの信頼関係が厚くないと、
 すぐに糞蟲化してしまうのはご存じだと思います…。
 飼って一月ちょっとの仔実装ちゃんが、いきなり高価な物や美味しい食べ物をプレゼントされた場合、
 増長し、糞蟲になる可能性が…あるいはならなくても、糞蟲化を助長します。
 その点、こちらの商品はすぐに食べ終えてすぐになくなる商品ですし、
 甘さ控えめになっておりますので、それだけ糞蟲化もしにくくなっています」

店長は笑顔のままとしあきを真っすぐ見つめ、そう説明した。
としあきはその間ずっと、店長と目を合わせられず、おっぱいを見ていた。

「じゃ、じゃあそれ下さい…」
「はい、お買い上げありがとうございます♪
 あ、いくら糞蟲化しにくいと言っても個体差がありますから、
 一度にたくさん与える場合は様子を見ながらにしてくださいね」

としあきが商品を買ってショップを出ると、店頭展示されている仔実装のケースに、
女子高生が数人群がって笑っていた。
ケースの中の仔実装は必死に踊っていた。


   *   *   *


「ただいま」

とある安アパートの一室が、としあきの部屋だ。
アパートだが、室内で放し飼いにしなければペット可という大家の方針により、
水槽などに入れておけば実装石を買う事ができるのだ。

仕事を終えて帰宅したとしあきは、ミドリコの入った水槽に目を向ける。

『テチュー!』

昼間ずっと一匹で退屈だったのだろう。
ミドリコはスポンジのボールを掲げて、遊んでくれとせがんでくる。

「あぁ、でもちょっと待ってな。
 トイレの片づけをしてからな」

としあきは水槽の隅にしてあるミドリコの糞を片付け、室内に実装臭対応の消臭スプレーを噴きかけた。
そしてボールを摘まみあげると、水槽の中に転がしてやった。

『テッチュ、テッチュ!』
「ほら、今度は少し強く投げるぞ…」
『テッチュウ!』

そうしてしばし遊んでやった後はエサの時間だ。
いつもの、成長抑制剤入りの実装フード2粒を与える。

『テム、テム…』
「美味いか…?」
『テッチュン!』

エサの後は器にぬるま湯を張ってやり、お風呂の時間。
風呂が終わればとしあきが見るテレビを一緒に眺め、その後はもう寝る時間だ。

「おっと忘れてた、今日はプレゼントがあるんだった」
『テチ?』
「今日はバレンタインだ。
 いつもありがとうな、ミドリコ」

としあきは購入したプレゼントの包装を破り、小粒チョコを1粒ミドリコに与えた。
ミドリコはいつものエサと違う時間に与えられる、いつものエサと違う食べ物に困惑していた様子だったが、
その甘い匂いに食欲をそそられたのか、すぐに口に入れて食べ始めた。

『ンマンマ…フェフゥ~ン♪』
「こらこら、口に物を入れたまま鳴くんじゃないよ」
『ングング、ゴクン…テッチュテッチュ!』
「おっ、もっと欲しいか?
 よーしよし、まだあるぞ」

1粒食べ終えると、ミドリコは次をせがんできた。

『ムグムグ…テッチュテッチュ!』

その次も、その次も…。

『マグマグ…テッチュテッチュ!』

こうしてミドリコは、10粒入りの小粒チョコを一気に全部食べてしまった。
しかし、もう無くなったというのに、ミドリコはまだせがんでくる。

「ごめんな、もう無いんだよ」
『テチュゥ…』

しょぼくれてうなだれるミドリコの姿を見て、としあきは少し可哀想になってしまった。

いつも一匹で留守番させて、エサはさして高級でもない実装フード。
おもちゃもボールだけで、帰宅後に少し遊んでやる程度だが、文句を言わない。
そんな生活をさせているのだから、たまに贅沢させてやっても良いのではないか。
そうだ、明日もうひと箱買ってきてやろう。

「ミドリコ、今日はもう遅いから寝るんだ。
 明日、また買ってきてやるからな」
『…テチュ!』

ミドリコは顔を上げ、元気良く笑顔で鳴いた。
としあきはその笑顔を見て、明日も頑張ろうと思うのだった。


しかし、としあきが電気を消して「おやすみ」と布団に潜り込む瞬間。

『…チププ』

そんな鳴き声が、聞こえた気がした。


   *   *   *


バレンタインデー翌日の昼。
としあきが再び実装ショップを訪れると、店頭展示されていた仔実装はいなくなっていた。
昨日の、踊っている仔実装の姿が一瞬だけ脳裏に浮かんだが、
としあきは特に何も思う事なく店に入り、店長のおっぱいを眺めながら目的の商品を買った。
バレンタインの売れ残りなので値引きセールされており、かなり安く買えた。

その夜。

「ただいま」
『テチュー!テチュー!』

家に帰るなり、ミドリコが何やら激しく鳴いている。
ボールで遊んで欲しい訳ではないようで、としあきが持っている袋に視線を注いでいる。

「これが欲しいのか?」
『テチュ、テチュゥ!』
「よしよし、今やるからな」
『チププ…テッチューン♪』

ミドリコが下卑た笑みを浮かべると、としあきは「あぁ、やっぱりそうか」と呟いて、
いつもなら帰宅してすぐにしていたミドリコの水槽の掃除もせずに、
買ってきたチョコを取り出してミドリコに与えた。

そして、1分後…。
ミドリコはゲロを吐いていた。
ミドリコに食べさせたのは、弱毒ゲロリが配合されたゲロリチョコだったのだ。

『テビャァァァァァァ…チベェェェェェ…』
「どうした、あんなに欲しがっていたチョコだぞ。
 もっとあるから食べなさい」
『テビェェェェェ…テヂュゥゥゥ…』
「まったく…昨日やった少しのチョコで糞蟲化するなんて、とんでもない糞蟲だよ…。
 もっと早く気付けばよかった」

としあきはゲロリチョコと一緒に買ってきた、昨日食べさせたのと同じ普通のチョコをゴミ箱に捨てる。
もしミドリコが糞蟲化していなかったらゲロリチョコを与える気はなかったのだが、
ミドリコの下卑た笑いにより、疑惑は確信に変わってしまった。
ゲロを吐き続けるミドリコの身体を押さえ、ゲロが治まるとさらにゲロリチョコを口内に押し込む。

「吐き気が治まったならもっと食え」
『ヂィ!テヂィ!…ムグ、ムギュゥゥゥ…!
 …テヂィィィィ…ボベェェェ!』

元はと言えばとしあき自身が招いたミドリコの糞蟲化なのだが…。
もがき苦しむミドリコを冷ややかに見つめながらも、としあきは胸の内から熱く滾る何かを感じていた。




終わり

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1 Re: Name:匿名石 2024/02/06-00:58:53 No:00008684[申告]
2月15日はお釈迦様の命日、すなわちガチ仏滅だからな
いいことなど起こるはずがないのです

しかし店員さん、店の売り上げ優先どころか
飼いの糞蟲化にまで気を遣ってくれるとは……良い店だな
2 Re: Name:匿名石 2024/02/06-06:56:26 No:00008685[申告]
虐待ルートに入っちゃったからこれで更生しても無駄だねえ
儚い運命
3 Re: Name:匿名石 2024/02/07-05:18:05 No:00008686[申告]
早々にメッキが剥がれるハズレに躾直しまでする義理はないもんな
ご愁傷様仔実装
4 Re: Name:匿名石 2024/02/07-19:32:30 No:00008689[申告]
早い段階で糞虫が露呈して良かった(ニッコリ)
5 Re: Name:匿名石 2024/02/07-22:33:36 No:00008690[申告]
たかが小粒チョコレートで糞蟲化を見抜けるとかちょっとした革命感ある
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