タイトル:【虐愛】 遺言 その5 2024/1/9修正。その7を追加
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作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:427 レス数:4
初投稿日時:2024/01/07-19:33:55修正日時:2024/01/09-20:04:12
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遺言 その5




『これはいかにも曰くつきって感じのやつだなぁ』カチカチ

ピンポーン

『あっ…そういえばもう柏◯さんが来る時間だったよな…』
『今日はあいついないし…居留守するか…』

ピンポーンピンポーン…
ピポピポピポピポピポピンポーン

『な、なんだよ…いくらなんでも押しすぎだろ!?』

ガチャガチャ…ッピーン
ドタドタドタ…ガチャ

『ちーっす、桜◯くん。同級生の冴島っす。プリント配りに来ましたー』

『はぁっ!?えっ!?だ、誰だよおまえ!?
なんで勝手に家に…って鍵は!?』
『ああ、鍵が掛かってたからちょいと針金で開けたんすよ。
いやだなー居留守なんか使っちゃって』
『そういう問題じゃないだろ!?明らかに不法侵入じゃないか!?
それより委員長はどうしたんだよ!?』
『ああ、委員長なら風邪ひいて休みだから代わりに俺が来たわけよ?』
『えっ…』
『おっトライアンフのミニカーじゃねこれ?おたくシブいねー!!』
『か、勝手に触るな!』
『まあまあそう固ぇーこと言うなよジ◯ンちゃんよ?』
『誰がジュ◯ちゃんだ!?はやく出てけー!!』

これが、悪友(冴島)との初の出逢いであった。
それ以降、何かと冴島は家に来ては勝手にテレビで野球を見たり、
姉貴の下着を物色したり、俺にタバコを勧めたり、傍若無人に振る舞った。
はじめは鬱陶しかったが、家にも学校にも束縛されない冴島の自由な生き様に、
俺はだんだんと心地よい解放感を覚えていった。

そしていつの間にか仲良くなり、
夜遊びや一緒に親のバイクを勝手に乗り回したりするなど、
やりたい放題して時は過ぎ去り…


俺の引きこもりは治った。
そして俺は不良になった。
柏◯さんとは疎遠になった。


--


「どうだ?これが俺のコレクションだ」
「テェエ…!」

俺はテチィを肩に乗せてコレクションルームに入り、展示してあるドールたちを見せた。
ここに実装石が入るのは通算2度目。
1度目は身の程知らずの糞蟲、そして今回は…

「テチッ! テッチィ!!」

色鮮やかなドールたちを見たことで、テチィは目を輝かせながら俺の肩の上で興奮する。
俺がしっかりと御していなければどうなるかわかったものではないだろうな。

「俺はおめえにこの子たちのような、
美しさと気品を身に付けさせようと…」
「テチャッ‼︎テッチャァアアア‼︎ テチュァアアアーーーーッ!!」
「聴けよ」
「チベェエァ⁉︎」

きゅいい〜

俺の話が耳に入ってないようなので、耳を気持ち強めにつねりこねる。

「デヂィイイイーーーーッ‼︎ヂィィイヤァーーーーッ‼︎」
「人の話を聴かない悪〜い耳はこれかなぁ?」

ペリィィ
耳が根本から少し裂ける。
これ以上やったらただの虐待であるので、そこそこに終わらせて本題に入った。

「あー聴こえるか?今日からおまえに、
真の高貴さのなんたるかをウルトラハイレベルにティーチングしてやるってわけよ?
ありがたく受け取れよ?」
『テェ…ご主人様の声がわかるテチ…』
「おめえ俺のことご主人様って呼んでたのか?
うむ、チンカスにしては殊勝な奴よ」

俺はリンガルアプリを起動して、テチとはじめての言語を交わす。
これから極めて特殊な教育を施す為、通常のやり方では限界があるからだ。

「いきなりだがこの家のルールは大体把握してるな?
まあしてなくちゃ困るんだがな。
今日からそのルールの大幅な変更をおめえに伝える」
『テチ?変更って何テチ?』
「まずはこれを見ろ」

俺はA3サイズのポスターを広げてテチィに見せた。

05:00〜05:15 起床、実装強化体操
05:30〜05:45 食事
06:00〜06:15 挨拶回り
06:30〜07:00 アイロン掛け
07:00〜07:15 服装容儀点検
07:30〜08:30 言語
09:00〜10:00 倫理
10:30〜11:00 基本動作
11:30〜11:40 5分間講話
11:45〜12:00 食事
12:00〜12:30 アイロン掛け
12:45〜13:00 整列
13:00〜14:00 礼儀作法
14:00〜15:00 算数
15:00〜16:00 体力練成
16:00〜16:15 食事
16:30〜17:00 哲学
17:00〜18:00 社会学
18:30〜19:00 掃除
19:00〜20:00 自習
20:00〜20:15 入浴
20:30〜21:00 アイロン掛け
21:00〜21:55 就寝用意
22:00        就寝
22:00〜04:55 延灯可能時間


そこには、これからテチィに行ってもらうスペシャルメニューの予定がビッシリと書かれていた。
うーむ、我ながら完璧な内容と時間配分だ。
これをこなせば俺の理想とする実装石が『完成』するのも夢ではないだろう。

『あ、あの…ご主人様…ワタチはニンゲンサンの文字が読めないテチ』
「ああ、それなら気にすんな。これまで通り…いや、
『これまで以上に』身体でおぼえさせてやっからよ?」
『テェエッ!?』
「偽石が壊れねえ程度に加減はしてやるよ。
まっ、大船に乗ったつもりで頑張ってくれや!」
『テェエ…イヤなヨカンがするテチィ…』

プルプルと震えて呟くテチィ。
震えるほど喜ぶなんて、そんなに喜ばれるとは思ってなかったぞ?
作った甲斐があるというものだ。
これから毎日俺に泣いて感謝する日々が続くと思うとワクワクした気分になってくるな。

躾が飼い実装として生きるために必要な知識の習得を目標にすることであるなら、
このスペシャルメニューは『生活の中身を徹底的に洗練させる』ことを目標にしている。

飼い実装としての『使命を自覚させ』
実装石の『個人の中身を充実させ』
飼い主に飼われるという『責務を遂行させ』
人間社会の『規律を遵守させる』
そして、それは日々の規則正しい『節制』の元に形成されるのだ。

はっきり言って最初は半分もこなせないだろう。
だが、コイツならできると思う。いや、意地でも『慣れさせる』

そしてこのメニューにはこちらで想定している『隙間』が存在する。
それに気づくことができれば、破綻することなく教育することが可能なのだ。

「まあ最初は寝かせるつもりはねえから、死ぬ気で覚えろよ?でないと…」

「本当に『シ』んじまうぞぉ…!?」

ニタァ

「テッッ…!! テッヂャァアアーーーーッ!?」



そして、テチィにとって地獄の最下層のような日々がスタートした。


--



AM04:59
チンカスルーム



「テチュゥゥン…テチュゥゥン…」
スピスピ…


AM05:00
ジリリリリリリリリ!!

ドガァッ
「オラァ朝だぞ起きやがれチンカスコラァ!?」
「テェッ⁉︎」

起床の目覚まし音と共に俺はドアを蹴破るように開け、テチィを叩き起こした。

「ダラダラ着替えてんじゃねぇぞ!?キリキリ動かねぇかコラ!?」
「テェッ! テヒッ テヒッ」

寝巻き姿のテチィを怒鳴り飛ばして着替えを急がせる。
実装服を急いで着て、頭巾を被り、靴を履く…
全ての着替えを終えたテチィは部屋の外に向かう。

「おう待てや!!ベッドを綺麗に畳んでけ」
「テチッ!?」

『そこまでするのか!?』とでも言いたげな視線を向けるテチィ。
むしろやらないで許されると思っているのかコイツは?

「あ゛ぁ゛ン゛!?」ピキッピキ

!?

「テッ テッピャァァア‼︎」

俺の睨みでテチィは涙目になりながらもながら布団を懸命に畳む。
しかしあまりにも必死過ぎて畳みきれていない。
所々ぐちゃぐちゃである。

「オラァもう2分経つぞ!?いつまでチンタラやってんだコラ!?っくらすぞコラ!?」
「テピィイイイーーーーッ⁉︎」

『4分以内に外に整列できなければイタイイタイ』

テチィに教えた起床のルールを発してテチィを急がせる。
オラオラァ早くしねぇと地獄を見るぞ!?

「テヒャァァ−…ッテヒャァァ−…ッ!」
「3分54秒…問題外だな、このクサレチンカスが」

息を切らしてようやく整列したテチィ。
ギリギリだった。しかし間に合えば良いというものではない、
遅いということに変わりはないのだ。
家の外に出るまでが起床の第一段階、そして第二段階に移行する。

「何ボケーッとしてんだコラ!?
指示があるまで発音練習開始!!『おはようございます』!!」
『お、おはようございますテチ!!』
「声が小せえぞ!!『ありがとうございます』!!」
『ありがとうございますテチ!!』

大体3分程度の挨拶の訓練。
腹の底からきびきびとシャキッと声を出させるように、俺も声を張り上げてテチィに見本を見せる。

「次!!体操用意!!服を脱いで畳んで横に置け!!」
『は、はいテチ』
「返事はハッキリ言えコラ!?」
『はいテチ!!』

いそいそと服を脱ぎ、下着を脱ぎ、上半身裸になったところで畳ませ、足下に置き…

「畳み方が汚ねえぞコラ!?やり直せ!!」
『はいテチ!!』
「てめえいちいち俺に言わせてんじゃねえぞコラ!?俺の喉を潰す気かぁ!?」
『はいテチ!!』
「そこは否定しろチンカス!!」

先ほどよりは畳み方がマシになったのでいよいよ体操に取り掛かる。
実装石の体力向上を目的として、とある虐待師が総計2547体の実装石を犠牲にして作り上げた『実装強化体操』。
早朝から体を強制的に行動モードに切り替えさせる、理想的な運動である。

「引き裂き背伸びの運動はじめ!!1、2、3、4!!」
『ゴーロクシチハチ…』
「その場踏み潰し飛び!!はじめ!!」
『テチッ!テチッ!テチッ!』
「ゴラァア!!ドスドスとブッサイクに飛び跳ねてんじゃねえぞ!?」
『は、はいテチィッ!』



AM05:30 食事



「食事中は静かに、すばやく摂取すること。
たとえ美味しくても感情を面に出さず、余裕を持って味わえ」
『はいテチ』

体操を終え、食事の時間になった。
普段から食べる実装フードに加え、実装向けの栄養ペーストを追加した。
当然手づかみは許されるはずもないので、仔実装用スプーンを与えて摂取させる。

「それより時間がないぞ。急げ」
『テェッ!?』
「ああ、残したらブッ殺すぞ?」
『テヂィッ!!』

食事の時間は僅か15分程度。
残さずしっかり食べるには食器に慣れるしかない。
慣れない食器で必死にペーストを口に運ぶが…

『テッ テチィッ!!』

焦って食べようとしたテチィはスプーンに多くペーストを盛り、その結果僅かだが零してしまった。

「てめえコラ零してんじゃねぇぞ!?」

ミリミリミリ…

「テッビィィィィィ!!!」

久しぶりに頬をつねりねじ上げる。
粗相に対する折檻はこれまでと変わらずに行う。
その分食事の時間が減るが、テチィ本人のやらかしが原因である、じっくりとわからせていかなければならない。


AM06:30
チンカスルーム



『あの、ご主人様…?』
「なによ?」
『ワタチのベッドがフンサイハカイされているテチ…』
「ハリケーンでも来たんじゃねえのか?
まあ、ろくに綺麗に畳めねえチンカスにベッドなんざ500億年早え。
当分は地べたで十分だ」
『テェエ…』

部屋に戻ったテチィは、文字通り粉砕破壊された実装ベッドの前で力なくへたりこむ。
せっかくご主人サマに買ってもらったと喜んでいたのだが、ハリケーンが来てしまったのではしょうがない。本当にしょうがない。

そして、朝のメインともいうべき課題、
『アイロン掛け』が始まる。

「まずおめえには、今着てる服と合わせて3着の実装服を与える」
『はいテチ』
「その中でもっともキレイでシワのない服を着て服装点検に臨め。洗濯は俺がしてやるがシワまでは何もしねえ。
自分でアイロンをかけて伸ばせ」
『ア、アイロンってなんテチか?』

頭に?を浮かべたテチィに、俺は実装用小型アイロンを取り出して電源を入れる。
すぐに熱くなり、既に置いてある実装服に霧吹きで少々の水をかけた後、丁寧に当てはじめた。

『す、すごいテチ!?シワシワだったフクがサラサラになってくテチィ!
まるでマホウテチィ!!』
「これがアイロン掛けだ。
自分の服を自分で管理できてこそ一人前なんだ。できたぞ」
『ご主人様はマホウつかいテチィ!
すごいテチィ!!』

まるで魔法のようだときたか。まあ興味を持つことは良いことだ。
まあ今日はアイロン掛けの教授だけで終わらせるつもりだから願ったり叶ったりだが、
果たしてその喜びがいつまで続くかねえ?

「ちなみにこれめっちゃ熱いから気をつけろよ?。ほれ」

ジュゥウウウッ

『テジェベィイイエギャアアアアアアア!!?』

テチィの手の先に『ちょん』とアイロンを引っ掛ける。
そのあまりの熱さに本日最大の絶叫をあげて飛び跳ねるテチィ。

『テジィィイィィイ…!』
「あと使った後は『必ず』電源切れよ?
火事になるからなぁ?
もし電源切らなかったり、熱い面を置いてたりしてみろ…」


俺は熱さに悶えるテチィの首根っこを掴み、
目線をスッと合わせる。
そして…



「『コロス』ぞ」



コクコクコクコク

冗談でも恫喝でもない、俺の真心のこもった言葉に、
テチィは全身に冷や汗を浮かべながら壊れた人形のように頷いた。


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1 Re: Name:匿名石 2024/01/07-21:26:31 No:00008606[申告]
何だかんだで楽しく暮らしてて好き
2 Re: Name:匿名石 2024/01/07-21:56:39 No:00008607[申告]
躾は上手くいってたな
テチィがんばえー
3 Re: Name:匿名石 2024/01/07-23:45:29 No:00008608[申告]
そういえば胎教や偽石記憶って人間と共生するのにアドバンテージになってるか怪しいモンよね後天的要因の方が大事というか
割と利発そうではあるがテチィは英才教育について来れるのか
4 Re: Name:匿名石 2024/01/08-00:50:52 No:00008609[申告]
スペシャルメニューか海自の幹部候補生かと錯覚するような内容でカレー吹いた。
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