タイトル:【観察】 異世界実装
ファイル:異世界実装.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:340 レス数:5
初投稿日時:2023/12/30-21:11:22修正日時:2023/12/30-21:13:42
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異世界転生しても実装石だったけど仔をたくさん産んでシアワセになるデスゥ!



第一章『転生』


ミドリは暗闇の中にいた。

『ここはどこデス…?確かワタシはスシとステーキとコンペイトウの食べ過ぎで死んで…』
「違うですぅ!お前は虐待派に殺されたですぅ!まったくこれだから実装石は困るです!
 何が『スシとステーキとコンペイトウの食べ過ぎ』ですぅ!?
 幸せ回路全開で自分に都合の良い妄想に浸りやがるなですぅ!」
『…オマエ、誰デス?』

突然独り言に割り込んできて文句を並べ立てるニンゲンのオンナ…のような奴。
よく見るとワタシによく似ている、とミドリは思った。

「どこが似てるです!?まったく無礼な奴です!お前みたいな奴はさっさと転生させるです!」
『…テンセイ、デスゥ?』
「いいです?お前にひとつだけチートスキルを授けるです。
 それを活用して、せいぜい頑張って異世界で生き延びるといいですぅ!」

ミドリの身体が光に包まれ…。
…気がつくと洞窟の中にいた。

身体の大きさはここに来る前と同じ成体実装並み。
緑色の実装服を着た、ごく一般的な姿だ。
なお死ぬ前に持っていたポシェット(飼いから奪った)もそのまま持っている。

と、その時だった。
ミドリの脳裏に、ある説明が浮かんできた。

【チートスキル『無制限出産』
 自らの意思でいつでも好きな時に、体力を消費せずに大量に妊娠出産できる】

ミドリには難しい説明は理解できなかったが、言葉ではなく心で理解できた!
つまりこのスキルさえあれば食事には困らない!寂しくもないし、ドレイも作れる!

『ありがとうデスゥ!緑色のワタシに似たニンゲンサン!』

緑色のニンゲンサンは「お前なんかに似てねぇです!」と怒っているだろうが、
ミドリにはその声は届かないのだった。



第二章『粘液』


ミドリはお腹がすいていたので、とりあえず蛆を3匹ほど出産した。

『テッテレー♪うじちゃんたんじょうレフー!ママ、なめなめしてほs』ぞぶり
『テッテレー♪…レフ?さきにでたオネチャはどこレ』ぞぶり
『テッテレー♪…レフ?うじちゃしかいないレフ。オネチャがいたはずレフ…』

2匹はさっさと食べてしまい、最後の1匹をおやつ代わりにポシェットに放り込むと、
ミドリは洞窟の探索を開始する。
しばらく歩いていると、岩陰から何やら緑色の粘液状のモノが姿を現した。
…俗に言うグリーンスライムだが、もちろんミドリはそんなものは知らない。

(ベタベタしてそうで気持ち悪い奴デス…)

警戒したミドリは、ポシェットから取り出した蛆実装を地面に置いて言った。

『蛆チャ、あのネバネバはアマアマデス!全部蛆チャが食べていいのデス!』
『レフー♪アマアマおいしそうレフー!ママありがとうレフー、いただきますレフー!』

スライムに向かって突き進んだ蛆実装は、しかしあっと言う間に全身を粘液に包まれた。

『レヒャー!!ママ、ママ、うじちゃんのからだがピリピリするレフ!いたいレフ!死んじゃ…レピ!』
『蛆チャが溶けたデス…やっぱり危険な生き物だったデス。ワタシは賢いデスゥ♪』

ミドリはスライムは危険、という事を学習した。
その後、再び蛆実装を出産し、おやつ兼おとりとして持ち歩きながら住むのに適した場所を探した。
そして、洞窟の奥に広い部屋を見つけ、そこを棲み家と定めた。



第三章『拡大』


ミドリはいよいよ群れを作ることにした。
仔実装を次々に出産し、洞窟の各所を調べさせた。
胎教でスライムは危険と教え込まれていた仔実装たちは、
スライムに気をつけながら洞窟の各所を探索し、食べられそうな物を探して戻ってきた。

『オマエたちよくやったデス。褒美に蛆肉をやるデス』
『『『『『テッチューン!』』』』』

こうして仔実装を統率し、群れを数百匹にまで拡大したミドリは、ついに洞窟から出ることにした。

『どうやらあそこに人間の住む家がたくさんあるようデス…
 娘たち、あそこに行って食べ物を持ってくるデス!』
『『『『『テチュー!』』』』』

その村では、収穫祭の真っ最中だった。
そこへミドリの娘たちが殺到する。

『アマアマよこすテチィ!』
『ウマウマを献上しろテチャア!』
「何だこの緑色の…ゴブリンか!?」

混乱する村人たちは逃げ惑い、祭りの為に用意された食べ物が辺りに散乱した。
仔実装たちはそれに群がっていく。

『チププ…旨そうな食べ物テチ…』
『このお肉はウマウマテチュー!』

だが、食べ物に群がる仔実装を、村人たちが農具を手に追い払い始めた。

「くそっ、このゴブリンども、あっち行け!」
『チベッ!?』

数匹の仔実装が緑と赤の染みになるが、他の仔実装たちは糞を投げて応戦し始める。

『ウンチでも食らえテチ!』
「うわっ、何か投げてきた…糞だ!」
「こいつら何なんだ!?ゴブリンじゃないのか!?」

祭りの会場がパニックになる一方で、収穫物を納めている倉庫も仔実装に襲撃されていた。

「助けてくれ、作物が盗まれる!」
『チププ…この果物は貰っていくテチ』
『持ち運べない分はウンチをぶちまけてやるテチ!ドレイニンゲンにはお似合いテチ♪』

突然の襲撃でパニックになった、小さな農村の自警団では被害を防ぎきれなかった。
村の収穫物はほとんどが食い荒らされたり糞まみれにされ、あるいは持ち去られ、
その年の収穫はめちゃくちゃにされた…。



第四章『討伐』


近くの街にゴブリン討伐依頼が出された。
それを請けてやってきたのは、冒険者の一団。
村人を追い出し、我が物顔で村の中でふるまっていたミドリの娘たちを、
剣を振るい、弓矢を射て、魔法を放ち蹴散らしていく。

「ゴブリンども、全滅だ!」
「でもこの魔物、ゴブリンにしてはちょっと変じゃないですか?」
「そうねぇ…糞なんて投げてくるし、なによりゴブリンにしては小さすぎる気が…」
「ゴブリンに似ているという理由だけで十分だ!」

ゴブリン死すべし慈悲はない、の冒険者によってミドリの仔の群れは蹂躙される。
そして、冒険者たちは逃亡するミドリの娘を追って、ついにミドリの本拠である洞窟にまで攻め入ってきた。

『ママ!ママ!人間が来たテチ!助けテチ!ニンゲンをやっつけテチ!』
『うるさいデス、ワタシが生きてればオマエらなんていくらでも産めるデス!
 オマエたちはワタシの為にクソニンゲンどもを足止めするデス!』

ミドリは仔たちを人間の方に突撃させると、洞窟の抜け穴から逃げ出そうと目論んだ。

『クソニンゲンのせいでワタシの群れが全滅デスゥ…。
 まぁいいデス、次はもっと上手くやるデス。ひとまずこの洞窟から脱出————デェッ!?』

足場の悪い抜け道を歩いていたミドリは、足を踏み外して洞窟の割れ目に落ちそうになった。
必死に両側の壁に手を伸ばして踏ん張り、落下は回避したものの、身動きが取れない。

『フゥフゥ…何でこんな目に遭うデスゥ…どうにかここを登らないと…』

ミドリが割れ目の下に目を凝らすと、下で何かがうごめいていた。
あれは…スライムだ!

『ヤバいデス!落ちたら溶かされちゃうデス!』

焦るミドリ。
しかし割れ目を登るほどの体力はない。
オマケに頭をぶつけていたのか、額から血が流れてきて左目に入った。

『デッ…!?う、産まれるデスゥ!』

それはチートスキルによる出産ではない、実装石本来の生態である両目が赤くなったことによる強制出産。
パンツの中をたちまち無数の蛆実装が満たし、重さに耐えられなくなったパンツが脱げ落ちる。

『テッテレー♪』『テッテレー♪』『テッテレー♪』『テッテ(略)
『レピィィ!』『レピッ!?』『レピャァァッ!』『レヒィィ(略)

次々に産み落とされた蛆実装が、次々にスライムに飲み込まれていった。
そして、ミドリの体力も急速に失われていった。
どうやらチートスキルに寄らない出産は、普通に体力を消耗するらしかった。

『今更そんなことがわかってもどうにもならないデスゥゥ!糞蛆ども出てくるなデスゥゥゥ!』

両側の壁に突っ張っている腕の力が次第に抜けていく。

『このままじゃ落ちちゃうデスゥゥ!誰でもいいから助けるデスゥゥ!
 クソニンゲンども!緑のニンゲンサン!助けてデスゥゥゥゥゥ!』

————ずるっ

ついに両腕が身体を支えられなくなり、ミドリはスライムの待つ割れ目の下へ落ちていった。

『デジャアアア!身体がヒリヒリするデジャアア!死にたくないデズァァァァ!
 ダズゲガボガボァァァァァ……!』

その悲鳴はすぐに聞こえなくなった。

その時、割れ目の上から人間が顔を覗かせ、下にいるスライムを発見したが————

「もうゴブリンはいないみたいだな。いるのはスライムだけだ。
 刺激しなければ放置しても問題ないだろう」

————すぐに去って行った。


 * * * * * *


「転生から20日…実装石にしてはもった方ですぅ」
ミドリの死を確認した緑色の少女はそう呟くと、次の転生候補者を迎えるのだった。

『ここはどこデス…?確かワタシは優しいダンナサマに看取られてシアワセな生涯を終えて…』
「違うですぅ!お前は虐待派に殺されたですぅ!全くどいつもこいつもですぅ!」


終わり

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1 Re: Name:匿名石 2023/12/31-00:05:20 No:00008575[申告]
この世界の人間メンタル弱すぎでしょ
農家の人間なら上半身まですら届かないような投糞なんか
後で洗えばいいやと気にも留めず、害獣と見たら踏み殺すことに躊躇なんかしないのに
体長せいぜい20~30cmの虫けらより脆い生物にビビって被害出すとか
ゴキブリの死体すら処理できない都会のヘタレ現代人かよ
2 Re: Name:匿名石 2023/12/31-03:33:31 No:00008576[申告]
小さなムシを馬鹿にしてるが蝗害とか夜盗蛾の大群みたいに数で押し切られたらどうにもならん
3 Re: Name:匿名石 2023/12/31-08:48:22 No:00008577[申告]
非戦闘員だから見知らぬ魔物がいきなり数百匹襲ってきたらビビる
何回か遭遇したらクッソ弱いことに気づかれただろう
4 Re: Name:匿名石 2024/01/23-03:03:41 No:00008638[申告]
ゴブリンは人を殺傷する危険な魔物と言う世界に初めて実装石が現れたら間違えてパニックになる方が自然
あくまで初見だから混同して驚いただけってのが今後の展開を想像させる余韻
5 Re: Name:匿名石 2024/01/23-20:48:08 No:00008639[申告]
よく解らん群が現れたら初見混乱は十分可能性アリ
でも所詮実装で物理障壁に激弱なので
次襲撃時には塀や堀に跳ね橋、茨の生垣や逆茂木など準備して
絞った侵入経路に番犬でも見張りさせとけば村人だけでも対策十分出来そうだね
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