タイトル:【観察】 クリスマス後のゴチソウ
ファイル:クリスマス後のゴチソウ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:470 レス数:2
初投稿日時:2023/12/25-09:12:59修正日時:2023/12/25-09:12:59
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クリスマス後のゴミの日は祭りだ。
実装たちは燃えるゴミにチキンの骨などのゴチソウが捨てられると知っているのだ。
朝、ゴミ捨てに来る人間が途切れた僅かな時間が勝負だった。

「これはワタシのデス!」
「こっちによこすデシャア!」
「この骨は渡さないデッサア!」
「糞蟲はあっち行けデシャアア!」

熾烈な争奪戦を勝ち抜き、上手いことゴチソウを手に入れた親実装は、
ダンボールハウスに戻って仔たちと共にパーティーを始める。

「デププ…まだオニクがたっぷりついてるデス…」
「ママ、ワタチにも食べさせテチ!」
「ほら、三女も慌てないで食べるデス」
「ママありがとうテチ!」

親実装が仔実装に、骨についた肉をむしって手渡してやる。
親仔はそろって残飯に舌鼓を打った。
…が、しばらくして。

「デボァ!」
「テヂュゥ!」

ゴチソウを食べた実装たちは次々に苦しみ出し、続々とパキンした。
世の中そう甘くはなく、残飯にはコロリがまぶされていたようだ。

毎年、クリスマス後のゴミが特に酷く荒らされることに悩んだこの地区では、
クリスマスで出た残飯に、各家庭に配布した遅効性粉末コロリをまぶして捨ててもらう実験を行った。
愛護派の反対はあったが、野良実装がゴミを荒らすのを防ぐためと言われては
声高に反対することもできず、実験は行われることとなった。

「デギギギャァァ!」
「ヂィィィ!
「テヂィィ!」
「テヂャァァ!」

その日、公園の野良たちは多くが駆除されたという。
その中に、コロリ入りのゴチソウを食べなかった、争奪戦に負けた親実装の一家がいた。

「オマエたち、そこらに転がってる糞蟲たちは食べちゃ駄目デスよ。
 コロリを食って死んだマヌケどもデス…オニクにも毒が混じってるデス」
「わかったテチ」
「ママ、じゃあ食べられるオニクはどこにあるテチ?」

争奪戦に敗れたこの親実装は、公園の惨状を見てゴチソウにコロリが混ぜられてると気づいた。
そして、公園が静かになると仔たちを連れて「オニク」を回収しに来たのだ。

「オニクはここデス…」

親実装が探していたのは、一家全滅したとある家族の家の外。
そう、ウンチ穴だ。
ウンチ穴の蓋を外すと、中には数匹の蛆実装がレフレフとうごめいている。
コロリを食った親たちのウンチはまだ出されていなかったため、蛆たちは生きている。

「さぁ、オマエたちもこの蛆ちゃんを食べるデス」
「オニクテチ!」
「丸々してるテチ!」
「うまそうテチ!」

仔たちは親がウンチ穴から出した蛆を我先にと捕まえる。
一方の蛆は、ウンチ穴から出してくれたと勘違いし、笑顔で手足をピコピコ動かして喜んでいる。

「しらないオバサンたちありがとレフー」
「ウジチャたちやっとでられたレフー」
「プニプニしてほしいレフー」

————ぞぶり

頭をかじられ、ピクピクと手足を動かす蛆たち。
仔たちは大喜びでその丸々とした蛆実装を平らげた。

「さぁ、オマエたち。もっとあちこちの家を回って蛆ちゃんを回収するデス」
「わかったテチ!」
「クリスマスのゴチソウテチ!」
「オニクウマウマテッチュウ!」

…この家族は気づいていなかった。
公園の入口には、コロリの効果を確かめて死骸を回収するための人間たちがやってきていることに。
人間たちは回収のついでに、まだ生きている実装石も駆除しに来ているということに。


終わり

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1 Re: Name:匿名石 2023/12/25-23:39:56 No:00008560[申告]
過去に毎度のごとく被害が出てたら大量に業務のゴミが出る時はしまいにゃ対策されるだろうなあ
普段腰が重くてもいざ対処ってなると人間はしっかりドラスティックな処置してくる場合があるので気をつけなきゃね
2 Re: Name:匿名石 2023/12/26-10:51:18 No:00008562[申告]
>————ぞぶり
夢枕獏ですかな
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