タイトル:【虐】 後始末
ファイル:野良と飼いの後始末.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:836 レス数:5
初投稿日時:2023/12/03-19:35:25修正日時:2023/12/03-19:35:25
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野良と飼いの後始末



ワタシと仔たちが冬に備えてドングリを拾ったり落ち葉を集めたりしていると、
ニンゲンサンに連れられたピンク服の飼いがやってきたデス。
その飼いはぽっちゃりしていて、肌の色つやも良くて、見るからに幸せそうな顔をしていたデス。
ワタシはドングリを拾い集める作業の合間に、その飼いに尋ねたデス。

『ニンゲンサンに飼われてると楽しいことがたくさんあるデス?』
『もちろんデス!ウマウマなゴハンに楽しいお遊びに、一緒にお出かけもするデス!
 今度ゴシュジンサマと紅葉狩りに行くデス!』

飼いは嬉しそうにそう答えたデス。
…それにしても、モミジ?あの赤くてニンゲンサンの手みたいな形の葉っぱデス?
そんなモノちょっと公園の外れに行けば落ちてるデス…。

『冬支度の必要もない飼いが紅葉なんてどうするデス?』
『デププ…この風情が分からないとは、高貴でセレブなワタシたちと野良とはやはり違うデッスゥン♪
 紅葉狩りって言うのは、赤い葉っぱが綺麗デスゥと見て楽しむものデス』

その飼いは、ワタシを蔑むような目で見ながらそう言ったデス。
まったく、飼いはのんきで良いデスゥ…。

『…そんな暇があったら一粒でもドングリを集めるデス。葉っぱは防寒用に持ち帰るデス』
『デェ…お前と話しても時間の無駄デスゥ!もっとセレブの会話ができる奴を探すデス!』

ピンク服の飼いはワタシから離れていったデス…やれやれ、こっちこそ時間の無駄だったデス。
ワタシは作業の手が止まっていたことに気づいて、仔たちを促しドングリや落ち葉拾いに戻ったデス。



そして冬になった頃、ワタシと仔たちがダンボールのおうちの中で身を寄せ合っていると、
入口の隙間からあの時のピンク服の飼いが顔を覗かせたデス。

『助けて欲しいデスゥ…ゴシュジンサマに捨てられたデスゥ…』

その元飼いは、寒そうに胸の前で手を合わせて、おうちの中に入りたそうにしていたデス。
とにかく、入口を開けられているとこっちまで寒いデス。
だから…。

『ようこそデス。家族みんなで歓迎するデス』
『ありがとうデス!持つべきものはオトモダチデスゥ!』

ワタシと仔たちはピンク服の元飼いを招き入れたデス。
おうちの中が一気に狭くなったデス…。

『オバチャン、ピンクの服さんかわいいテチ!』
『オバチャンの髪さんつやつやテチ、うらやましいテチ!』
『オバチャンの黄色いポシェットさん素敵テチ!』

仔たちが元飼いに群がっていくデス。
長女は服のすそを掴み、次女は髪を引っ張り、三女はポシェットにしがみついたデス。

『デププ…なかなかわかってる仔たちデスゥ…もっと褒めるデス』

元飼いは気を良くしたのか、仔たちにされるがままになっているデス。

『ところで、どうしてニンゲンサンに捨てられたデス?』
『それが…ゴシュジンサマがワタシにくれる実装フードのグレードを下げやがったデスゥ。
 物価高がどうとか言っていたデスが、ワタシは我慢できなくて怒ったデス。
 そしたら「嫌なら出て行け」って言われたから出てきてやったデス…!』

…こいつはとんでもない糞蟲デスゥ。
何もしなくてもゴハンが貰えるのに、文句なんて言うから愛想をつかされるデス。
こんな奴の面倒を見ても良いことはなさそうデス。

『そうデスか、それは大変だったデスゥ…』

ワタシは仔たちと同じく元飼いに身を寄せると、そのまま相手を押し倒して首に手を掛けたデス。

『デデッ、く、苦しいデス…何するデス…!』

元飼いは抵抗しようとしたデスが、仔たちにあちこち引っ張られていたのと、
ワタシがしっかり抑えていたので動けなかったデス。

『オマエは丸々して美味しそうデス…今夜はごちそうデスゥ』
『デギギ…や、ヤベルデズ…ワダジだぢオドモダヂデズゥ…グルジ、デズ……ゴボァ…』
『ワタシたちにはオマエみたいな甘ったれの元飼いの面倒を見る余裕なんてないんデス。
 オマエはワタシたちのゴハンになる運命だったデスゥ…』

ワタシはもっと力を込めて、元飼いの身体を抑えつけたデス。
ワタシの行動で察した仔たちは、そいつがじたばた動かしている手足に潰されないようにしながら、
髪や服を思いきり引っ張って抵抗を邪魔し始めたデス。
デププ…ワタシに似て頭の良い仔たちデス。
仔たちのためにも早くとどめを刺そうと、ワタシは悲鳴を上げる元飼いの顔に噛りついたデス。


デプゥ…食いでのあるオニクだったデスゥ。
ワタシも仔たちも大満足デス…食い残しは干し肉にするデスゥ。
着ていたピンクの服は引き裂いて仔たちの服に詰めて防寒具にしたデス。
頭お花畑のどうしようもない糞蟲だったデスが、ワタシたちの役には立ったデス。
持つべきモノは飼いの知り合いかもしれないデスね…。




翌朝、ワタシはニンゲンサンの声で目を覚ましたデス。

「モモー!モモー!おかしいなあ、この公園にいると思うんだけど…」

そのニンゲンサンは、だんだんこっちに近づいて来るデス。
何となく嫌な予感がしたワタシが、まだ眠っている仔たちの服の裾からはみ出ているピンクの端切れを
ぐいぐいと裾の中に押し込んだ時、ニンゲンサンがワタシたちのおうちを覗き込んだデス。

「やぁ、うちの飼い実装のモモを見てないかなあ?
 ピンクの服を着て、黄色いポシェットを持ってて、ちょっとぽっちゃりしてる子なんだけど…」
『…知らないデス』

あいつの名前なんて聞いてなかったデス。
だからモモなんて飼い実装は知らないデス。

「そっか…もし見かけたら、家に帰るように伝えてくれないかな。
 あ、この金平糖は朝から騒がせたお詫びにあげるよ。モモにあげようと思ってたんだけどね…」

ニンゲンサンはそう言って、なんとコンペイトウを置いて去って行ったデス。

『聞いたデスゥ?ゴシュジンサマのおうちに帰っていいそうデス。
 それにしても気前のいいニンゲンサンデスゥ…ワガママ言わなければオマエもシアワセだったデスゥ』

ワタシはおうちの隅に干してある食い残しに声を掛けて笑うと、
仔たちを起こして、貰ったコンペイトウを食べたデス。

『アマアマテッチュウ!』
『テチューン!最高テチュ!』
『テッチュン!テッチュン!』

大喜びする仔たちにワタシも笑顔になったデス…床に落ちていたポシェットに気づくまでは。
そう、あの元飼いが持っていた黄色いポシェットデス…ワタシはお顔から血の気が引くのを感じたデス。
隠すのを忘れていたデス…でもニンゲンサンは気づいた様子がなかった、はずデス。
たぶん、大丈夫デ————

『————デボァ!』

不意に物凄い吐き気が襲ってきたと思う間もなく、口からゲロが溢れ出たデス。

『テヂュアァ!』
『テベェェ!』
『チベベェ!』

仔たちも口からゲロを吐いてのた打ち回り始めたデス!
まさか、今食べたコンペイトウが…!?

『ボベェェェェ!』

なんでデス?あのニンゲンはモモとかいう飼いにあげるって言ってたデス!
それが何で毒なんデス?ワケが分からないデス…!気持ち悪いデス!苦しいデス!
デボェェェェ…!デベベェェェェ!

『ママ…だずげ……』パキン
『ぐるじ…じにだぐないデヂィ…』パキン
『ママの…グゾママのぜいデヂャァ…!』パキン

おうちの床がゲロまみれになった頃、仔たちが動かなくなったデス…。
このままじゃワタシも死んじゃうデスゥ…誰か助けるデスゥ!

「…あ、もう食べたんだ。やっぱり野良は意地汚いな」

さ、さっきのニンゲンが戻ってきたデス…!オマエ毒食わせやがったデスゥ…!?
おかしいデス!どうしてデス!?オマエの飼い実装にあげるエサだったはずデス!

「どうして?って顔してるな…答えは簡単。逃げた糞蟲の始末をしたかったからだよ。
 飼い実装にはマイクロチップが埋めてあるから、調べれば誰のペットかすぐに分かるんだ。
 どこかで悪さでもされて俺の迷惑になっても困るから、キチンと処分しようと思ったんだよ。
 まさか叱ってすぐ家を出て行くとは思わなくてね…で、探しに来たらモモのポシェットがあったからさ、
 これはこいつらに食われたなって思ったんだけど、お前ら『知らない』って嘘つきやがったよな?
 これは始末しないといけないよなぁって…おや、もう死んじゃったかな?…じゃ、帰るか」

クソニンゲンはワケのわからないことを呟いて去って行ったデス…。
ワタシたちがこんな目に遭うのも…全部あの…ピンク服のせいデス…。
…飼いなんかに関わるんじゃ…なかったデ…スゥ…。

パキン



終わり

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1 Re: Name:匿名石 2023/12/04-01:54:06 No:00008507[申告]
逃げた糞蟲も元飼いの同族喰いも処分出来て一件落着だね
人間舐めすぎの自滅だけど子連れで越冬してる時点で大した賢さでも無い連中だし惜しくもない
2 Re: Name:匿名石 2023/12/04-14:07:41 No:00008511[申告]
飼い実装の後始末をする素晴らしい飼い主テチ
3 Re: Name:匿名石 2023/12/05-08:04:43 No:00008516[申告]
自然の摂理エンドで終わらせぬニンゲンの悪意…!
4 Re: Name:匿名石 2023/12/09-06:04:29 No:00008517[申告]
結構いい根性してる野良たちだったなあ…人間に、というか飼いに関わったのが不幸だったね
とはいえ今回は飼いの糞蟲の方から寄ってきたんだが…何してても迷惑なやつらだなぁ
5 Re: Name:匿名石 2023/12/09-12:47:30 No:00008518[申告]
人間は逃げた糞蟲の後始末ついでに手元の毒餌を使っただけで既に目的達成済みだった
わざわざ探しに来たやつがそんな露骨な痕跡を見逃すはずはないって考えに至りかけてたのに油断したね
野良実装における楽観の代償は死に直結する
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