季節は秋の頃、とある山に暮らす実装石達は越冬の準備をしていた。 広葉樹の林の中、あちこちの木の根元の空間を住居としている実装石達。 数家族が集まってコミュニティを形成していた。殆どが何かしらの血縁関係にある。 実装石としては珍しいがこの山に暮らす実装石としては当然のことであった。 比較的平らな場所に1匹の実装石が穴を掘っている。 この辺は腐葉土で柔らかく、実装石の手でも掘りやすい。 深さは20cm程、広さは60cm×60cm程であろうか。 周囲には同じような穴が複数掘られている。 そこに両手に蛆実装を抱えた実装石が来て数匹ずつ優しく穴の中へ入れていく。 その実装石はついでにブリョブリョとその穴に糞を出していく。 この蛆実装は今さっき産まれたばかりだ。 デスデスと何かを言われると蛆実装はニコニコしながら糞を食べ始めた。 次は向こうから別な実装石がトタン板を引きずってきた。 以前山に多数不法投棄されたものを使い回している。 慣れた感じで掘った穴にトタンを被せていった。 まるでそれは山の中に作られた蛆実装用のカプセルホテルのようだった。 その後は食料を調達しながら糞は穴の中へ、という動きをしていた実装石達。 時折棒を使って糞を攪拌するということもしていた。 そうすることにより発酵が進み、発酵熱により蛆実装が暖かく過ごせるのだ。 他の実装の出す糞は蛆実装にとって重要な餌であり暖房であった。 実装石の糞には消化吸収しきれなかった栄養素が多量に含まれているという。 そもそも構造的に口から総排泄孔までの距離が短すぎるのだ。 もしや緑のペースト状になって出てるだけでは?という声が一部では囁かれている。 それは置いておいて糞を食って蛆実装は確実に成長する。 蛆実装にとって糞は完全食であり、早く大きくなりたい想いが後押しする。 大きくなれば皆と一緒に暮らし、遊べると信じて糞を食らうのだ。 季節は進み、冬。 この地域は特別雪深いわけでもないが、積もりはする。 朝、デスデスと複数匹の実装石が話を交わしながら蛆の穴まで歩いてきた。 今日も寒いデスなどの話をしているのだろうか。 話しながら夜のうちにうっすら雪が積もったトタンをずらす。 中には秋から冬にかけてたっぷりと糞を食い、でっぷり太った蛆実装がいた。 やや野太い声でレフ〜と鳴く大蛆を穴から引き上げる実装石達。 複数匹でないと持ち上げるのも難しいほどに育っている。 穴から出された大蛆は耳と手足をピコピコさせて喜びを表現している。 大蛆をデッコイショと抱えて運んでいった先は平たい石の上だった。 と、リーダーらしき実装石が何かを取り出した。 先が尖った金属片だ。朝日を浴びてギラギラと輝いている。 これもまた不法投棄されたものを使っている。 器用に金属片の先端部を使い大蛆の服を剥いていく。 ついでにわずかに生えている前髪も毟り取る。 そして大蛆の尻尾の辺りに刃を当てると、躊躇うことなく切り落とした。 「レレッレグアァァァァーーーーッッッ!!!!!」 朝のしじまに響き渡る蛆とは思えない力強い悲鳴。 切られた部分からブリョブリョと凄い勢いで糞が噴射されている。 そんなことを意に介さず大蛆を捌いていくリーダー実装。 素早く的確にサクサクと切り身にしていく姿はまるで板前だ。 それでいてパキン死させないように急所は外していく。 苦しめれば苦しめるほど旨味が増すことを知っているのだ。 周りで観ている若手であろう実装石も唸り感心している。 この大蛆は実装石達の朝ごはんであった。 切り身になった部分をそれぞれの住処に運んでいく実装石達。 頭蓋骨とわずかな内臓しか残っていない大蛆。 内臓がピクピクと痙攣している様子からこれでもまだ生きているようだ。 リーダー実装は残った頭蓋骨に穴を開け、ちゅるんと中身を吸い込んだ。 デス♪と一声上げるとパキンと口の中から音がした。偽石は頭にあったようだ。 こうして蛆実装はその生と役目を終えた。 この穴は蛆実装にとって快適なホテルなどではなかった。 食われるのを待つだけの牢獄であったのだ。 実装石は特別身体能力が高いわけではない。 再生能力等は高いが、食料を得るための能力は低い。 それなのによく食う。前述の通りの身体構造なので仕方がないが。 この厳しい環境で安定して食料を得られる方法として伝えられているのが 『秋蛆の養殖』である。 実装石が必要な栄養素を高濃度で大量に糞という形で食わされた蛆実装は、 この短期間のうちに1匹で数家族分の食事を賄える良質の食肉となるのだ。 便槽で蛆実装を飼う実装石は多いが、この集団の蛆は明らかに大きい。 その代わり各家庭に貯蔵されている保存が効く木の実等は他集団より少ない。 美味い物は先に食ってしまってその糞を蛆に食わせるのだろう。 元々この山に住み着いた実装石の初代は元飼い実装だった。 成体になって人里から離れた山に捨てられたのだ。 だから一般的な山実装とは異なる部分が多い。 この個体は飼いへの執着より生への執念が強かった。 どうすれば生きていけるか、捻り出した答えがこれだった。 当初はただ仔を増やしていたが、やがて食料の問題が出てきた。 ある程度の数の兵隊となる仔を厳選し、残りを非常食とし始めた。 その後、迷い込んだ他のグループの実装石を強制出産させる手法も増えた。 先の蛆実装も奴隷となった個体に産ませたものである。 初代の元飼い実装はとうの昔に死亡したが、その手法は今なお受け継がれている。 今では遠い親戚同士が(糞蟲は間引くが)争うこともなく共同生活している。 今日もまた実装石達の食卓に上る蛆実装。 春になり、食料事情が安定する季節まで秋蛆食いは続く。 皆の笑顔のため、家族の団欒のためにその身を捧げさせられるのであった。 ====================================== … ……… …………… …レフ? 暗いレフー… でもあったかいレフー 何か聞こえるレフー (デッデロゲー デッデロゲー 大きく立派に育つデスー) (デッデロゲー デッデロゲー みんながお前を待ってるデスー) レフ! ママレフ! わかったレフ! (デッデロゲー デッデロゲー オテテとアンヨはいらんデスー) (デッデロゲー デッデロゲー マユになったらダメなんデスー) レフー! わかったレフ! (今日の胎教はこんなもんデス ドレイに糞を食わせたら持ち場に戻るデス) 何か聞こえるけどわかんないレフー (ブリョブリョブリョ…) テッテレー♪ お待ちかねレフー♪ ハッピバースデーレフー♪ オバチャンたち誰レフ? ウジちゃんどこへ連れてくレフ? ここは暗いレフー でもあったかいしごはんもあるレフー 他のウジちゃんたちもいるからそんなにさびしくもないレフー ウンチごはん食べて大きくなったらごほうびあげるとオバチャンに言われたレフー ウジちゃんウンチ食べて大きくなるレフー ウンチおいしいレフー ここは天国レフー でもお外に出たいレフー ウンチおいしいレフー ……レフ? おやすみしてたら出されたレフ! お外レフ! ウジちゃん約束守ったレフ! おっきくなったレフ! ごほうびレフ! レフ? そのギラギラさん何レフ? おくるみナイナイしたら寒いレフー! 寒いレフー! オケケもとっちゃダメレフー! ダメなんレフー! レレッレグアァァァァーーーーッッッ!!!!! ====================================== あとがきという自分語り 実装石コンテンツ自体はずっと前(06年位?)から知ってましたが スクを書き始めたのは23年10月位デス。 スレに2レス内で終わるようなのをポツポツ出してましたが それ以上長いのは初めてデス。 色々わかりづらかったり面白くないとかネタ被りとかはあろうがでしょうが ド素人でもまず書いてみたかった…すまない…
1 Re: Name:匿名石 2023/12/02-19:19:53 No:00008503[申告] |
蛆実装を便所で飼うの良いね
あと蛆視点のパートもあるのが悲哀が増してなお好き 自分も今年書き始めていくつかここに投下してるんで同期みたいなもんデス 今後も楽しみにしてます |
2 Re: Name:匿名石 2023/12/02-21:39:24 No:00008504[申告] |
実装の内蔵は言われてみるとかなり消化吸収率は悪そうだね
確かに蛆の肥育、肉用奴隷石、食糞前提でソレが反芻替わりというか そこら辺前提の構造だとも思えてくる |
3 Re: Name:匿名石 2023/12/03-11:05:16 No:00008505[申告] |
元飼いが完全に野生に戻るって言うのであまり見かけなかったので新鮮な気持ちになれました
先に旨いものを食べて後は蛆でしのぐって言うのも微妙に捨てられた理由が察せられて素晴らしい |
4 Re: Name:匿名石 2023/12/03-18:14:08 No:00008506[申告] |
胎教でしれっと存在を否定される親指 |
5 Re: Name:匿名石 2023/12/04-05:22:03 No:00008508[申告] |
>(デッデロゲー デッデロゲー オテテとアンヨはいらんデスー)
仔実装(親指)にした方が食いでがあるように時々思うんだがね 蛆実装と仔実装別なら知らん |
6 Re: Name:匿名石 2023/12/04-15:28:22 No:00008512[申告] |
親指になってもサイズはあんまり変わらないし無駄に必要な餌が増えるからな
そもそもウンチじゃ栄養足らなさそうだし |
7 Re: Name:匿名石 2023/12/04-19:34:58 No:00008514[申告] |
知性も比較的低く穴ぐらいの障壁で勝手にうろつけなくなる蛆実装は肥やして食う分には御し易く都合の良い存在なのでは?
歩留まりも費用対効果も激悪い親指は論外 |
8 Re: Name:匿名石 2023/12/05-08:00:19 No:00008515[申告] |
同じ扱いしても親指はこんなにでかくならなさそうなイメージ
ある 蛆は食肉向けなんやなあ |
9 Re: Name:匿名石 2023/12/13-14:19:00 No:00008526[申告] |
よく育てて食べるスクは見るけど食べ頃(だと実装石達が思う)のサイズはどれくらいかかるのかな
割と熟成されて時間掛かってる感じもなんとなくするけど |
10 Re: Name:匿名石 2023/12/14-16:29:22 No:00008528[申告] |
肉が自分らのウンコ食って勝手に大きくなってくれるんだから実装にとって本当に便利な食材だよなあ
ウジちゃんなら仔や親指と違って余計な知恵も付けないし食われる直前まで親を慕ってくれる そんな哀れなウジちゃんが好き |
11 Re: Name:匿名石 2023/12/15-18:21:12 No:00008529[申告] |
粘膜ある設定だとこういう話ド畜生すぎて笑えない(笑う)
粘膜なし設定だと失敗作の再利用ってことで納得できるけど |
12 Re: Name:匿名石 2023/12/15-19:51:50 No:00008530[申告] |
蛆を選択出来るのは環境によって育てる仔の数をコントロールできて
そうじゃないのも有効活用可能で実装石にとっても有益。ド畜生なのは否定しない |
13 Re: Name:匿名石 2023/12/15-22:22:33 No:00008531[申告] |
まあ自然界で間引きはあるし人間もかつては口減らしをやってたからな
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14 Re: Name:匿名石 2023/12/17-05:40:08 No:00008536[申告] |
蛆実装を大切にしてる親実装の話とかと(情操教育とか食料目的じゃなくちゃんとして)
そういうスクと相反しちまうんだよな食料系 親実装が帰ってきたら蛆実装が虐殺されて泣くやつ 粘膜無し設定で蛆実装がただの仔実装の出来損ないなら共存できるが |
15 Re: Name:匿名石 2023/12/17-07:39:47 No:00008537[申告] |
スクによって設定が異なることもある実装世界で何を言ってるんだ |
16 Re: Name:匿名石 2023/12/17-10:27:40 No:00008538[申告] |
スク設定どころか同スク内でも個々の実装石の倫理観や場合によっては情況でそこら辺の線引きは普通に変化する。
法や通念で縛られてない連中で薄っぺらいローカルルールや場当たり情緒で生きてると思うと別に相反なんて大した問題じゃない 口八丁でそこら辺を引っ剥がし破壊して愉しむ虐待派も出てくる場合もあるし |
17 Re: Name:匿名石 2023/12/17-14:10:07 No:00008539[申告] |
そんなに変だって思うなら自分でスク書けばいいじゃない
そうすりゃ何が言いたかったのか伝わりやすいと思うぞ それともただ勝手に他人に期待してケチ付けてる元飼い実装みたいな事をしてる訳じゃないよな? |
18 Re: Name:匿名石 2023/12/20-13:04:12 No:00008548[申告] |
人間って生物も地域や個体によって倫理観や価値観が違ったりするらしいから
実装石もそれと同じ感じだと考えるといいんじゃないか |
19 Re: Name:管理人 ◆Q8ffyaYxEg 2023/12/21-06:40:29 No:00008551[申告] |
>00008536
注意:実装スクの世界観は作者それぞれですのでその矛盾を付く感想はお控え下さい 当保管庫では個々の作者の世界観を尊重する方針です |