タイトル:【愛】 某漫画のパロ(加筆修正版)
ファイル:BJ(ブラック・ジッソー).txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:311 レス数:2
初投稿日時:2023/10/29-07:51:00修正日時:2023/10/29-07:51:00
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BJ(ブラック・ジッソー)は、実装石専門の医者である。
自身も実装石だが実装医として優れた腕を持っている。ただし無免許。
飼い、野良に関係なく手術を引き受けるが法外な手術代を取ることで知られる。
仔実装の頃に事故に巻き込まれて身体がめちゃくちゃになる大怪我を負ったため、
身体中が偽石の再生力でも治りきらないほどの傷痕だらけ。
その時に大量に投与された活性剤やら様々な賦活剤の影響で、
驚異的な器用さと知能の高さを得るに至ったと思われる。
半分白髪の髪と、顔の大きな傷跡、黒いコートがトレードマーク。

   *   *   *

闇実装医を営むBJの元に、近所の飼い実装のエメラルドが訪ねてきた。

「先生、この仔の髪を…髪を元に戻してやって欲しいデス!先生だけが頼りデス!」

エメラルドの娘…ヒスイの前髪が、遊んでいる最中にオモチャに巻き込まれ抜けてしまったという。

「ゴシュジンサマは明日まで戻らないデス!でも、帰ってきた時にこの仔が禿になっていたら…!
 きっとこの仔は捨てられてしまうデス!」

BJは娘の髪の抜け痕を調べていたが、顔を上げて言った。

「手術代はコンペイトウ100個!…オマエに払えるデス?」
「コンペイトウ100個デス!?…そんな、無茶デス!」
「無理なら、明日ムスメさんの禿げた姿をゴシュジンに見せりゃあいいデス」

BJはエメラルドに背中を向けて、非情にもそう言った。
エメラルドが迷ったのはほんの一瞬だった。
すぐに決心し、BJの目を見て決意を口にする。

「わ、わかったデス…コンペイトウ100個デスね?…どれだけかかっても必ず払うデス!」
「その言葉が聞きたかったデス…すぐにオペを始めるデス!ピノ仔、オペの準備デス!」
「はいテチ!」

BJはヒスイに強い酒を飲ませて眠らせ、抜け痕にも同じ酒を塗って消毒兼麻酔にした。
そして手際よく抜け痕の肉を削り取ると、実装活性剤を塗って絆創膏を貼った。

「先生、どうでしたデス?」
「成功デス。栄養剤を処方するデス…それを飲んでおけば明日には元通りデス」
「ありがとうございますデス!これは今日の分デス!」

エメラルドは飼い主から今日のおやつとして渡されていたコンペイトウをBJに手渡した。

「残りも必ず、お支払いするデス!先生、本当にありがとうございましたデス!」

   *   *   *

————1週間後
BJがレトルトのグリーンカレーを食べていると、家の前で車のブレーキ音が響いた。

(どこかの飼い実装が車に轢かれたぞー!)

BJが様子を見に行くと、轢かれていたのはエメラルドだった。
髪が元通りになったヒスイがそばで泣いている。

「先生!ママが、ママが…!」
「ワタシの家に運ぶデス!偽石が割れてなければ助かるデス!」

   *   *   *

「こりゃあ酷いデス…目が飛び出て手足の骨が折れてるし、内臓も潰れかけてるデス!」

まずBJはエメラルドに酒で麻酔をすると、手術を始めた。
初めに偽石の状態を確かめる。
エメラルドの場合、偽石は胴体にあったので腹を開いて取り出した。
幸いにも偽石はヒビすら入っていなかったので慎重に取り出し、栄養剤に漬けておく。

次に飛び出た目を眼窩に戻した後、再生させるのだが…。
目は妊娠や出産に影響する大事な器官なので、刺激の少ないマイルドな栄養剤を点眼しておく。

続いて潰れかけた肺と心臓を取り出し活性剤をかけ、再生を待つ間に消化管…、
いわゆる糞袋にも裂傷があったのでそれを縫合しておく。

実装石の内臓は単純で、肺と心臓と糞袋以外にさしたる臓器はないので、
あとは全体に活性剤を振りかけておけば自動で再生される。
その片手間に手足の骨折についても骨のズレを治して位置を合わせておく。

再生が終わった肺と心臓を体内に戻し、偽石も状態を確認してから元に戻す。
偽石は幸運なことに、ドス黒くなったり、ヒビが新たに発生することもなく正常だった。
開いた腹を閉じ、後は体表の怪我の消毒をして包帯を巻き、折れた手足も固定すれば完了だ。

「ふぅーっ…終わったデス…」
「せんちぇい、おつかれさまテチ!」
「ピノ仔、オマエもよく手伝ってくれたデス」

   *   *   *

ヒスイは、母親の手術が終わるのを待ちながら手術室前でうろうろしていた。
しばらくすると、BJが手術室から出てきた。

「もう大丈夫デス。ママはしばらく安静にしてれば治るデス」
「あ…ありがとうございましたテチ!」

ヒスイは安堵のあまり腰を抜かしてしまう。
BJに助け起こされてどうにか立ち上がると、ヒスイはゆっくりと口を開いた。

「それで先生…手術代のことなんテチ…」
「手術代デス?」
「必ず、必ずお支払いするテチ!ゴシュジンサマから貰うコンペイトウを毎日届けるテチ!
 だからワタチの手術代と併せてもう少し支払いを伸ばして欲しいテチ!」

だが、BJはとぼけた顔をして言った。

「いや、実はオマエのママから払ってもらったオマエの髪の手術代が多すぎたデス。
 だから今回の手術はその払い戻し分ということで構わないデス」
「多すぎたテチ…?でもママは支払いが終わるまでまだしばらくかかるって言ってたテチ…」
「オマエの髪の手術代はコンペイトウ10.0個!とっくに払い終わっていたデス。
 申し訳ないデス、もっと早くに伝えるべきだったデス」

ヒスイに背を向けながら、見え透いた嘘を言うBJ。

「先生!ありがとうございますテチ…!」
「ママを大切にするデスよ…」

こうしてブラック・ジッソーは、今日も奇跡の腕を振るうのだった。


~終~

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細かい世界観はどうでもいいんだよ!
あと実装石の内臓ってどうなってるのかよくわからんので単純構造にしました。

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1 Re: Name:匿名石 2023/10/30-23:18:08 No:00008183[申告]
ええ話しやのぅ。治蟲先生?
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