タイトル:【実食】 ヘル&ヘヴン
ファイル:ヘル&ヘヴン.txt
作者:特売 総投稿数:39 総ダウンロード数:502 レス数:2
初投稿日時:2023/10/27-04:25:27修正日時:2023/10/27-04:25:27
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ヘル&ヘヴン

「ようっ!敏明久しぶりだな…
珍しい物が手に入ったから遊びに来ないか?」

やれやれ…アイツは何時もこうだ

唐突に電話をしてきてこっちの都合何てお構いなく誘ってくる

俺の名は敏明
実食界隈でそれなりに交流の輪を持つ一介の実食派だ

最初の頃は実食に関して否定的な書き込みが多かったが
やがて少しずつ同調する人が増え
気が付いたら一端のコミュニティを形成するに至った

今では一年に一度のペースでオフ会を開き
各自が持ち寄った実装石を素材とした食品とかの
試食会を催したりしてる

そしてさっき唐突な誘いの電話をしてきたのは
同じ実食仲間で比較的近所に住んでいる圭介という男だ
近所と言っても車を走らせて一時間程の距離はあるのだが…

奴とは年が近い事もあって何かと気が合うのだが
それもあってこうして時々お誘いが来ると言う訳だ

それに奴が言う珍しい物とは
大抵は実装石にちなんだ珍しい食品の類なのだ

ある時は日本に中々入ってこない珍しい海外の実装食品だったり
またある時は希少な天然山実装だったりと
普段なら中々お目に掛かれない物ばかりなのだ
今度も何が来るのか既に期待している程だ

早速出かける準備をして
取って置きの日本酒を持ち出して出発した

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出発して一時間後
到着直前に連絡した事もあって
玄関先で圭介が出迎えに出ていた

「やあ…よく来てくれたね」

そう言って奴は嬉しそうな顔をしていた

車を駐車スペースに移動させると手土産を持って降りた

家に入るとリビングに案内されそこで一旦くつろいだ

暫くの間雑談を交わした後
俺を誘った理由を聞く

圭介曰くここいら一帯の地主である父から譲渡された裏山に
山実装のコロニーが幾つかあって
秋になると連中と取引をして何匹か仔実装を
畑で獲れた規格外の野菜や芋と交換で引き取っているのだとか

そして今年も取引の季節を迎え良い仔実装が手に入ったので
俺を誘ったと言う訳だ

ちなみに引き渡されるのはコロニーで糞蟲認定された仔や
冬支度を終えて用済みになった秋仔で
奴らは間引きついでに冬ごもりに必要な食糧を得られるので
WIN WINな関係なんだとか

勿論引き取った仔達は貴重な秋の味覚となるわけだが

また実はここで獲れる山実装には他にはない特徴があるという

裏山は山実装の食糧となる木の実や草の実がやや少なく
一方でスズメバチが沢山生息しているので
時折巣を掘り起こして蜂の子や蜜を食料にしているのだとか

そのため肉にほのかな蜂蜜の香りと甘みがあると言うのだ

「それにしても山実装はスズメバチに刺されて平気なのか?」

俺は圭介に疑問を言った

「山実装は毒への耐性が強いから大丈夫みたいだよ
刺されたら痛がるし腫れたりするけど一日で治ってしまう
それに裏山に住んでいる連中は何世代もそういう事を続けているせいか
他の山実装に比べて皮が丈夫だし実装服も分厚くなっているんだよ
環境に合わせて進化しているようなんだ」

圭介の説明を聞いて山実装のタフさを改めて知った

*****************************************************

説明の後
俺はダイニングへと案内された
テーブルの上には二つの皿が置かれていて
そこに仔実装の腕と思われる部位が盛られていた

「まずはこれを食べてみてくれ」と右の皿を指さした

言われるがままにそれを手に取り食べてみる

軽くボイルされていてまだ温かいそれにかぶり付くと
まず弾力のある皮の歯ごたえとそれを破った下から肉汁が溢れてきた

少し上等なソーセージに似た食感であった
ただ少し臭みがあるのが気になった

次に左の皿の分を差し出されて食した

食感はさっきと同じであるが一つだけ違いがあった
肉汁から甘い香りが漂ってきたのだ

人の味覚は舌の感覚のもならず嗅覚も大きな影響がある
さっき食べたのに比べて
こっちの方がはるかに美味しく感じた
肉に甘い後味を感じたほどだ

「圭介…これは一体?」

「ああ…それは同じ山実装の腕なんだよそれぞれが全然違うだろ
裏山の山実装は右手で蜂蜜を掬って食べるので手に蜂蜜が沁み込んでいて
そんな味になるんだ
一方で左手は糞した時に尻を拭いているから糞臭が染みついていると言う訳だ」

その説明を聞いて少し気分が悪くなった

「つまり最初に食わせたのが左手で次に出したのが右手という事か?」

「そうだよ正に味のヘル&ヘヴンと言う感じで面白かっただろ」

奴はそう無邪気に答えた

ああ…忘れていたよこいつはこういう悪戯が大好きだという事を

「ゴメンゴメン俺もこの違いに最近気が付いてね…
としあきにも体験させたいなと思ってやったんだよ
お詫びに今夜は山実装づくしを振舞うよ」

そういって圭介は俺を慌ててなだめに掛かった

まあ何時もの事だし珍しい山実装料理が食べられるならまあいいか…

「それでさっきの腕の持ち主は今どうしているのかな?」

「もちろん処理と下ごしらえを済ませているよ」

圭介は俺の問いかけに待ってましたとばかりに返答する

「今日は取って置きの酒をもってきた料理には期待しているよ」

俺は早速持参してきた日本酒を取り出した

「おっ気が利くねぇメインの実装鍋によく合う奴じゃないか」

圭介もお気に入りの銘柄にご機嫌になっている

「今夜は夜通し飲むぞー」

こうして宴は夜通し続いたのであった

                      終

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1 Re: Name:匿名石 2023/10/27-19:59:57 No:00008168[申告]
山実装の叫び声がないデスゥ
2 Re: Name:匿名石 2023/10/28-06:22:26 No:00008175[申告]
次の交渉時に糞は葉っぱとかで拭くよう徹底させないとな
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