タイトル:【虐】 実装石との出遭い・実蒼石との出逢い
ファイル:実装石との出遭い・実蒼石との出逢い.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:388 レス数:1
初投稿日時:2023/10/14-13:25:06修正日時:2023/10/14-13:25:06
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実装石との出遭い・実蒼石との出逢い


最近引っ越したふたば町は、野良実装が多いことで知られている。
俺が前に住んでいた地域は野良実装は少なく、めったに見かけなかったので
俺は実装石には興味がないのだが、ふたば町に引っ越すのを知った友人から、
「野良実装から託児とかされないように注意した方がいい」と教えてもらった。

軽くパソコンで検索してみると、コンビニ帰りなどの人間を狙い、
手にぶら下げたレジ袋に仔実装を入れる行為を指すらしい。

「託児ねぇ…そう言われれば物陰とかにいる野良がこっちを見てる気がするな。
 …でもまあ、人間とは歩幅も違うしレジ袋に仔を入れるなんて簡単には無理だろ」

と、俺は油断していたのだが…まさにコンビニで買い物をした帰り道のこと。
小さな交差点で赤信号で立ち止まった時、手にした袋がガサガサ音をたてた気がした。

「ん?…あっ、こら!」
『テチィィッ!』

レジ袋には一匹の仔実装がしがみついていた。
俺は慌てて振り払おうとしたが、気持ち悪くて仔実装に触れないのと、
相手も必死なのか、なかなか振り落とすことができずにいた…その時!

————シャキーン!
『ヂィッ!?』

何か音がしたかと思うと、レジ袋にしがみついていた仔実装の腕だけが見事に斬り落とされた。

『ヂュアァァァァッ!』
『ボクゥ…』

足下には腕を斬り落されて悲鳴をあげる仔実装と、帽子を被った青い…仔実装と同サイズの小人。
青い服を着たその小人はハサミを構えて、俺と仔実装の間に立ちはだかっていた。

『チュワアアアアッ!?』

仔実装の鳴き声が辺りに響き、それを聞きつけた親実装らしき奴が電柱の陰から飛び出してきた。

『デシャッ、デシャアアアッ!』

親実装は威嚇するような鳴き声を上げながら突進してくるが、
青い小人がハサミを構えると、急停止して逆に後ずさった。
両者のサイズはかなり違うが、親実装はハサミを警戒しているのだろうか?

『ヂュワァァァァッ!テヂャアアアアアア!』

腕を斬られた仔実装は、相変わらずうるさく鳴き続けている。
パンツ丸出しで足をじたばたさせ、しかも糞を漏らしている姿はとても醜い。
青い小人は俺の方をちらりと見上げると、隣で騒いでいる仔実装にハサミを突き立てた。

『ヂギィ!』

青い小人は悲鳴をあげる仔実装をハサミで持ち上げると、そのまま親実装の方に投げ飛ばした。

『…ヂュァ!』
『デェェッ!?デ…デェェェェェン!』

我が仔を無惨な姿で投げ返された親実装は、その場に座り込んで泣き喚く。

『…ボクゥ!』

その隙に青い小人が、俺を見上げて走り始めた。
どうやら今のうちに逃げろということらしい…素直に従っておこう。


   *   *   *


青い小人の後について行くと、そこは俺が借りている安アパートだった。
…どうして俺の家を知っているんだ?
疑問に思っていると、青い小人はすたすたと1階の端の部屋へ歩いていく。
そしてその部屋の戸を叩くと、中からアパートの大家さんが出てきた。

『…ボクボクゥ』
「おかえり、アオ…おや?あなたは確か虹浦さん…?」
「あ、はい。102号室の虹浦敏明です。あの、さっき実装石に託児されそうになって、
 その青い子に助けてもらったんですけど…その子は何なんですか?」
「あぁ、虹浦さんは実装石とかに詳しくないんでしたか。この子は私の飼っている…」

大家さんは俺に、実蒼石という存在について教えてくれた。
…そういうのもいるのか。俺は大家さんの説明に驚きを隠せなかった。
実装石を駆除する天敵なんて、俺みたいに実装石慣れしてない人間には有難い話だ。

『ボクゥ…』

部屋の外に置かれた桶でハサミを洗っていた実蒼石…アオが、鳴きながら大家さんを見上げる。

「あぁ、ご飯だね。ちょっと待っておくれ」

大家さんが部屋に戻っている間に、俺はハサミを洗い終えたアオに話しかけてみることにした。

「さっきはありがとうな」
『ボクゥ』
「ハサミの扱い上手いんだな、見事に腕だけ斬ってた」
『…ボクゥ』
「いつもハサミ持ってるのか?」
『ボクゥ!』

言葉が通じてるのかもよく判らないが、微妙に変化する表情で感情があるらしいのは解かる。
実装石にはあまり良いイメージはなかったが、実蒼石なら素直そうだし良いな。
…と、俺がアオに好感を抱いた時だった。

『デジャアアアアアアアッ!』

アパートの敷地内に憤怒の表情を浮かべた実装石が駆け込んできた。
赤と緑の涙を流し、腕の無い仔実装を抱えた親実装…さっきの奴だ!
抱えられた仔実装は、目を見開いて舌をだらりと垂らしぐったりしている。
どうやら事切れているらしく…親実装は怒って復讐に来たようだ。

『ボクゥ…!』

アオが一声鳴いて、置いてあったハサミを手にしようとした時…!

『デズァァァッ!』

親実装が仔の死骸をアオに向かって投げつけた!

『ボクッ!?』

ハサミを拾う間もなく、アオは死骸をぶつけられて倒れてしまう。

「あっ!おい、大丈夫か!?」

俺がアオを助けている間に、親実装がハサミを拾った。

『デプッデプッデププ…!』
『ボ、ボクゥ…』

アオが途端に弱気な表情を見せる。
対して親実装は先程までの涙はどこへやら、急に強気になる。

『デププ…!』

親実装はシャキーン、シャキーンとハサミを鳴らし、アオを威嚇した。

『ボクボクゥ…』

しかしアオは怯えた表情を見せながらも、俺と親実装の間に入ろうとする。
こいつ…俺がさっき仔実装を触れなかったのを見て、俺を守ろうとしているのか。

「…アオ、大丈夫だ。俺に任せろ」
『…ボクゥ?』

俺とて実装石の多い街に無策で引っ越してきた訳じゃない。
俺はポケットに手を突っ込み、アレを取り出した。

「ほーら、コンペイトウだぞぉ!」
『デッ!?』

親実装は俺が取り出したトゲトゲの丸い飴を見るなり、目をそれに奪われている。

『デスッ!デスッ!』

そして飴をよこすように要求しているのだろう、ハサミを振り上げて威嚇してきた。

「よし、こうしよう。そのハサミを置け。そしたらこれをアパートの外に投げてやる」
『デェ?』
「このアオはお前に一泡吹かされた。そしてお前はコンペイトウも手に入れられる。
 それで手を打たないか?お互いに損はないと思うが…?」
『デェェ…デスゥ』

親実装はしばし考えていたが、一声鳴くとハサミを足下に置く…と思わせて置かない。
手に持った飴をアパートの外に放り投げようとしていた俺は、それを見て投げるのをやめた。

「おい、駆け引きは無しにしようぜ。コンペイトウ欲しいだろ?」
『デェェ…デェェ…デスゥ!』

迷っていた親実装がうなずいてハサミを置くのを見ると、俺は飴を投げた。

『デププッ!』

親実装は俺を見て笑うと、即座にハサミを拾い上げて飴を追って走り出した!

「あっ、あのヤロー!」
『ボクゥゥゥ!』

アオが手を伸ばして泣き始める…ハサミはそんなに大切なものなのか…。

「大丈夫だ、アオ。すぐに追いかけるぞ」

俺はアオを抱えると、親実装の後を追いかけて道路に出た。


   *   *   *


『デベェェェェエェ…!』

俺とアオが親実装の逃げた方へ走っていくと、凄い呻き声が聞こえてきた。
見ると、親実装が口からゲロを吐いてうずくまっている。

『デブェェェェェ…デボァァァァァ…!』

親実装は服や足下をゲロまみれにしてなお出続けるゲロに苦しんでいるようだ。
さっき俺が俺が投げたのは実はコンペイトウではなく、
野良に絡まれた時のために持ってた実装ゲロリって薬なんだが、こんなに効くのか…。

『…ボクゥ!』

アオが俺の腕から下りて親実装の近くを指差し鳴いた。
見ると、ハサミが落ちている…多少ゲロがついているが、洗えば大丈夫だろう。

「ほら、ハサミだぞ」
『ボクゥ…』

俺がティッシュでハサミを拭って返してやると、アオは大事そうにそれを抱えた。
そしてお礼を言うように頭を下げた後で、糞みたいな臭いのゲロを吐き始めた親実装に向かった。

『ボクゥゥゥ!』
『デビェェェェ!』

悲鳴を上げる親実装。
アオはハサミを取られた恨みを晴らすつもりなのか…だが。

「待った、アオ。俺にやらせてくれないか」
『ボクゥ?』
「俺も、この町に住む以上は実装石に慣れないといけない。
 そして、悪さをした実装石には、罰を与えないといけない…だよな?」

元々はこの親実装が俺に託児してきたのが始まりだから、この親実装は俺が駆除しないといけない。

『…ボクゥ!』

アオはうなずいて、ハサミを納めた。

『デビャ、デボァァァァァァ!』

座り込んで糞みたいなゲロを吐きながら後ずさる親実装に近づいて、俺はその頭に足を…!


   *   *   *


「おや、どこか行ってたんですか?アオも一緒に?」

俺が靴の汚れを気にしながらアパートに戻ると、アオのご飯を持った大家さんが待っていた。
今あったことを話すと、大家さんは俺に頭を下げてお礼を言ってきた。

「アオを助けてくれてありがとうございます。この子はまだ仔実蒼なもんで、
 成体の実装石には後れを取ることもあるんでしょう…。
 しかし…実装石を逃がさなかったのは良い判断でしたね、学習されるところでした」

大家さんが、道路の方を眺めながらそう呟く。

「えぇ、俺も実装石に慣れないといけませんから、今後は積極的に行動しますよ」
「ははは、まぁ、虐待に入れ込まないように気をつけて下さいね…」

俺の告げた決意に、何故か大家さんは微妙な表情をするのだった。


   *   *   *


そんなこんなで俺のふたば町での初実装体験は、アオに助けられアオを助ける結果となった。
その後アオとは毎朝のように挨拶する仲になり、休日にはアオをお供に公園に行くことで、
徐々にではあるけれど実装石にも慣れていっている。
もうゲロリなどに頼る必要もなさそうだ。
ふたば町での暮らしも上手くやっていけそうで、アオには感謝している。

「おはよう、アオ」
『ボクゥ!』


~終~


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実蒼石を書いてみたくなったので。
でもスレに投下する予定が長くなったので初めからこっちに。
実蒼石は好きですが、何してもさせてもOKな実装石の方がやはり扱いやすい…。

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1 Re: Name:匿名石 2023/10/14-23:16:19 No:00008113[申告]
いいよね実蒼石かわいがりたい
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