タイトル:【観察】 臭い
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初投稿日時:2023/02/27-04:49:37修正日時:2023/02/27-04:49:37
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臭い


実装石で有名な生態の一つとして同属食いが良く取り上げられる
だがこれ自体は他の生物でもそういう行動をとる者もいるので
特段異質な事ではない

だが同時に良く聞かれる同属食いを重ねた実装石の個体は
体臭がキツくなると言うのは
実際にそれを確認したという報告ほとんどない

好奇心旺盛な私はどの位臭いがキツくなるのかを確かめようと実験をしてみた

まずはサンプルの採取から

最初は公園で野良を捕獲する事を考えていたのだが
実際捕獲してみたら臭すぎで思わずキックでリリースしてしまった

そこでペットショップに赴き特売品の飼い実装から
今回の検証に適した個体を選んで購入することにした
ついでに幾つか必要になる用品類も買い求めた

今回用意したのは以下のとおりである

禿裸実装石 二体(糞蟲傾向がある個体を選んだ)

実装石飼育スターターセット成体用 二セット

実装石用生餌 ソフトタイプ12匹入り 一ケ

       ハードタイプ12匹入り 一ケ

ドライタイプ実装フード無添加タイプ  1キロ

トイレ用砂        1キロ

糞臭抑制剤3倍濃縮タイプ 500㎖入り2個       

思いのほか結構な出費になった

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それらを実験観察用に確保したプレハブ小屋に運び込み
スターターキットの組み立てを終わらせたら
いよいよ実験対象の収容開始である

二体とも比較的大人しいとはいえ選別を外れた糞蟲個体であり
結構五月蠅くて手こずった

それでも野良に比べて衛生的なのとトイレの躾が出来ているのは大きい
これが野良だと一々教えなくてはいけないし
それでも覚えてくれない事が多く
体の不潔と言う点では野良のそれは度し難い物なのだから

当初目先の出費を惜しんで野良をと思ったが
それは間違いだったと改めて痛感した

やはり物事をスムーズに進めるためには然るべき金額が伴うものなのだ

あと便宜上ソフトタイプを与える個体を「グル」と名付け

ハードタイプを与える個体には「ジビ」と名付けた

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さて同属食いの体臭がきつくなる原因として考えられるのは一つは生物濃縮である
野良実装の生態からしてもゴミや人間の食べ残しから臭いの元になる成分を
取り込んで体内に蓄積しやがて濃縮され

更にそれを同属食いによって取り込むために蓄積濃度が更に上がって
体臭が強くなるという説だ

では、その成分がどこから由来するものなのかをハッキリさせるのが
今回の検証の目的であり

その方法として選んだのが用意した生き餌二種類ををそれぞれの水槽の実装石に
どちらか一方のみを与えて経過観察をする事にして変化の違いを比べてみる事にした

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まず生餌であるが
これは真空パックにした仔実装であり禿裸処理済みである
この状態で一年持つというから驚きだ

開封と同時に蘇生してそのまま与えるようになっており
そのため一匹ずつパックされている

さてこの二種類の生餌のソフトとハードのタイプの違いは
糞抜きがされているか否かである

ソフトタイプは当然糞抜き済みで比較的取り扱いが容易である
ビギナー向けと言う意味でのソフトと言う意味のようだ

一方でハードタイプは未処理というだけあって
真空パックされている時点で既に尻の辺りに緑色の汁が溜まっている

パックにも大きく注意喚起の文字が入っていて
上級者向けである事と開封時に糞を噴出する恐れがあり
推奨されていたのは開封直前に頭を潰す事で
これで突然の糞の噴出は防げると書かれていた

そもそも生餌自体過去には定期的に与えると良いとされていたが
フードの発達のおかげで特に無くても差障りはないのだ

今や生餌を与えるのは飼育する側の趣味的な問題でしかないのだ

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まずはソフトタイプの開封を行った
よく見たらこっちのパックにも開封前に頭を潰すことを
推奨する文が書かれており
これにより大事なペットが怪我をするリスクを減らせると
説明されていた

とりあえず扱いやすさも考慮して頭を潰してから開封する事にした

木槌を用意して頭部を殴ってみたら
そんなに力を入れなくとも簡単に潰れた
パック越しに少し痙攣していたがすぐに収まり絶命した

丁寧にパックを開封してこの部屋の手洗い場のシンクに中身を出す

血とかが出たがそれほど多くない
軽く水洗いしてからグルの水槽に放り込んだ

入れた当初は戸惑っていた様だがやがてそれを餌と判断すると
あっという間に平らげてしまった

量的に足りないのかもっと寄こせと抗議していたが
ドライフードを餌皿に入れてあとは無視した

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次にジビへの餌やりだ

ハードタイプの生餌の頭を潰してから開封

予想はしていたが糞が臭い…

もっとも普段からゴミだの残飯だのを常食している野良に比べれば
臭いは許容範囲内の物ではあった

食用目的などで育てられる実装石は管理された飼料で肥育されているので
おかしな物質の蓄積が無いからだろう

一方でペット用飼料のように臭いを抑える添加物等は食の安全の観点から
使用されておらず
それは生餌用の実装石にも当てはめられている
それもあって糞の臭いから避けられないのだ

とりあえずこれも水洗いしてそれでも尻から糞が垂れて来るので
逆さ吊りの形で運んでジビの水槽に放り込んだ

こちらも餌かどうかの確認をした後頭の方からバリバリと食べてしまった
腹に糞がある事は特に気にしてない様だった

こちらもおかわりを要求してきたがドライフードを置いて
抗議は無視してケージの蓋を閉じた

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一週間程が経過した頃にその違いが顕著に出てきた

明らかにジビの方が体臭がキツくなっている

今の時点で剣道の防具のような臭いがしてきている
しかもかなり強く臭う

対してグルの方は洗わずに放置した納豆容器のような臭いが
うっすらとするくらいだった

やはり思った通りであった

同属食いを重ねた個体の臭いがきつくなるのは取り込んだ糞の臭い成分が
体内で濃縮されそれが全身に回ってくることが原因なのだ

飼育管理下の環境ですらこうなるのだから
野良が同属食いを重ねた時の臭いは想像を絶する物になるだろう

それにしても糞食は忌避する癖に腹の中の糞は気にしない辺り
なんともマヌケなナマモノであると言わざるを得ない

むしろスパイスやソース代わりになっているのか…
想像したら気分が悪くなってきたので考えるのは止めにした

最後に何時もとは逆にグルにハードタイプをジビにソフトタイプを与えてみた

やはり何時もと味が違うと抗議をしてきた

食べなれた味以外は受け付けなくなっている様だった

実装石は一度味を占めた物への執着が強く同属食いを起こした個体は
味を占めて他の餌に見向きしなくなる特徴がある

野良の社会では通常同属食いは禁忌とされているのだが
これはそう言った自分達の特性をよく理解しているからなのだろう
放っておけば群れとしての秩序が崩壊し共倒れになる危険があるせいだ

一方で自分達の群れ以外の実装石はその限りでなく
公園に捨てられた飼いのほとんどは襲われて捕食されているが
捨てられる実装石事態が少ない事もあって常食にならない辺りで
同属食い化をギリギリ回避しているのかもしれない

一通りの結果に納得した私はグルとジビのケージに
コロリスプレーを噴射して処分した

次は蛆実装の観察でもしてみるか

                     終

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1 Re: Name:匿名石 2023/02/28-02:07:00 No:00006879[申告]
考察物とは興味深い一作でした
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