タイトル:【飼育】 仔実装チーちゃん1
ファイル:仔実装チーちゃん1.txt
作者:特売 総投稿数:39 総ダウンロード数:739 レス数:2
初投稿日時:2023/02/09-15:29:49修正日時:2023/02/09-16:41:32
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仔実装チーちゃん1


今でも瞼を閉じるとあの愛らしい姿が頭の中に浮かんで来る

チーちゃん…

もうあなたとは二度と会えない

あの時、私がもっと注意をしていれば…
家に他人を入れさえしなければと後悔の念が止まらない

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私の名は敏子
結婚してもう10年になるが子供いない
長年不妊治療をしてきたが一向に子供が授かることが無く
最近では夫と二人して諦めつつあった

そんな沈みがちな私の事を気遣ってか
ある日夫はショッピングモールへ行こうと言いだし
今度の休みの日に行くことが決まった

目指すは最近できたばかりの大型商業施設で各店舗は無論の事
各種飲食コーナーや映画館も併設されている
ちょっとした娯楽施設としての側面も併せ持っていた
これは今から行くのが楽しみだ

数日後待ちに待ったお出かけ当日となり
私と夫はテンション高めの気分で出発した

小一時間程車を走らせると目的のショッピングモールが見えてきた
駐車スペースに車を止め、はやる気持ちを抑えつつ建物内に入った

それから二人でウィンドショッピングをしたり飲食コーナーで食事をしたりして
何だか知り合ったばかりの若い頃を思い出して少し気恥ずかしい気持ちになっていた

モール内を歩き回っていると夫がペットコーナーを見てみたいと言い出したので
立ち寄ることにした

ペットコーナーは様々な動物が展示販売されていた
可愛い子犬や子猫がケージの中で愛想を振りまいていた
奥に進むと鳥類のコーナーがあり
更にその奥はアクアリウムと爬虫類や昆虫を扱うコーナーになっていた

目をキラキラさせて奥へと行きたがる夫に
爬虫類や昆虫が苦手な私は鳥類コーナーで待っているとだけ言って
一人だけで向かわせた
本当男の人は何時になっても子供じみているんだから…
呆れながらふと向かいの方に目をやるとそこには

実装コーナーという立て看板が立っていた

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「実装コーナー?…一体何なのかしら」

何となく興味が湧いた私は覗いてみる事にした

そこにもケージが並んでいて小さな人型をした生き物が展示されていた

「実装…ああ実装石とかそういうことか」

ようやく納得した私はケージを一通り見て回った
そこには実装石だけでなく様々な他実装が居た

真紅のドレスをまとい優雅に専用カップで紅茶を飲んでいる実装紅

利口そうな顔でこちらを興味深げに見ている実装金

夢中になってオモチャ相手にチャンバラをしている実装蒼

どれも愛らしいのだが表示されている価格を見てビックリした
全て五桁じゃないか…
血統書付きで躾済みとなるとそうなるか…

展示されている仔達を眺めながら歩き回っていると
ふと一つのケージが目に付いた

躾済み実装石 特別価格9800円

さっきまでの高価格の他実装達を見ていた私には
それがえらく安いものに感じていた

何となく中を見るとそこには一匹の仔実装が居た
中に入れてあるボールで夢中になって遊んでいたが
私の気配に気が付いてこっちを見上げてきた

何となくだが目が合った気がした…
次の瞬間、猛烈な庇護欲にかられてしまった

あの仔をお迎えしたい

頭の中がもうそれだけで一杯になってしまった

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思い立ったら吉日である

私は慌てて夫を呼び戻し
仔実装を迎えたいと言った

夫はやや困惑した顔をして実装石飼育に関するネガティブな意見を述べ
思いとどまるように促してきた

だがその時何時の間にか側に来ていた店員が
お迎えに関する事で幾つか説明をしたいと申し出てきた
それらを聞いたうえでお迎えをするか決めて欲しいと言った

説明の内容は初期投資として用意しないといけない物や
病気や怪我への対応や予防対策
月々に掛かる飼育費用の見積もりなど多岐にわたっていた

やはり生き物である以上安易な気持ちでのお迎えは止めるべきだと
迎える以上は最後まで面倒をみる覚悟がないといけないと言われた

それでもお迎えしたい気持ちに変わりはないと伝えると
一旦予約という形で預かるので一週間ほど話し合って欲しいと言われ
幾つかの飼育相談のホームページや飼育動画を紹介し
必要とされる設備や用品のカタログを渡してくれた

私は来週にまた来ると言って一旦帰ることにした

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家に帰って夕食を済ませた後
早速貰ったカタログを読み漁り飼育動画を見て回った
飼育相談のホームページでは主に飼育に関する注意点や
よくある質問コーナーが設けられていて何度も繰り返して読んだ

夫はまだ気持ちに変わりがないかと尋ねられただけだった
私は気持ちに変わりがないとだけ言うと
一週間後にもう一度確認するから
それでもまだ変わりないと言うなら
お迎えに行こうと言った

考えないといけない事は多かった
ケージは必須、しかもすぐ大きくなるので
成体になった時のサイズも想定しないといけない

餌やトイレ用品とかその他消耗品の数々
全部ひっくるめた初期費用を算出して夫にも見せて
費用面での相談をする

思った以上に大変だった
あの店員が一週間の猶予を付けたのも良く分かった

無知なままで迎えていたら大変な事になるところだった
ケージを設置する場所の検討や
餌や用品を収納するスペースの確保も考えなくてはいけない

それから数日は何かにつけあの仔実装をお迎えする事ばかり考えていた

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約束したお迎え当日となった
夫は一度だけ気持ちに変わりがないことだけ確認し

「それじゃあ行こうか」

とだけいっ言って車を出す準備を始めた

再び訪れたペットコーナーでは先週に話をした店員が出迎えてくれた

私はお迎えする気持ちに変わりが無い事を伝えると店員は分かりましたと言って

バックヤードから予約済みという札が貼られたケースを持って来た

そこには先週見染めたあの仔実装がいた
出会った時と同様にオモチャで無邪気に遊んでいる姿が愛らしかった

この後必要な設備や用品をまとめて購入しようとカタログを片手に注文しようとしたが
店員からケージや専用トイレなどは発注してからセンターから発送されるので
届くまでの間を過ごすために最低限必要なものが揃っている
スターターキットを買うと良い言われ素直に応じた

ケージや専用トイレの注文を終えて自宅に配送してもらうよう頼んだ後
支払いは夫が一旦立て替えてくれてカードで決済してくれた
立て替え分は後日夫婦の共有口座から夫の口座に補填する事にしている

ふとレジカウンターを見ると店員さんが仔実装をクッション材を敷き詰めた箱に入れて蓋をする様子が見えた
引き渡す直前に幾つかの注意事項を口頭で伝えられ

「どうか末永く愛してあげてください」

と言って仔実装が入った箱を渡してくれた

帰りの車の中で私は箱を抱えてずっとニャけていた

自宅に到着してすぐに車のトランクケースからスターターキットを運び出し
予定していた部屋に運び込んで設置する

スターターキットの内容は

水槽タイプケージに餌箱、簡易トイレ、給水器、寝床用クッション、専用オモチャ
三日分の実装フードと簡易トイレ用のトイレ砂が入っていた

これならケージとかが届くまでの間はしのげるだろう

設置が終わったら仔実装が入った箱を慎重に部屋に運び
そこでゆっくりと箱を開けた

さすがに長時間箱に入れられていたせいか
やや周囲を警戒していたが私の顔を見ると安心したのか
早速甘える仕草を始めた

「ようこそ…今日からここがあなたのお家よ」

                         続く

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1 Re: Name:匿名石 2023/02/09-17:47:19 No:00006769[申告]
他の実装生物より安い実装石に笑った
2 Re: Name:匿名石 2023/02/09-23:00:03 No:00006772[申告]
これから愛護になるのか虐待になるのか…気になる
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