タイトル:【虐】 とある実装石親子の話⑤
ファイル:とある実装石親子の話⑤.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:544 レス数:3
初投稿日時:2023/02/08-18:33:58修正日時:2023/02/08-18:33:58
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「テン、あの”ミ”はまさか外にいる”ミー”のミかい?」

男が寝室で寝る前のテンに聞く。

テンが男の顔を見て


「はいデス、お隣だった…”ミー”ちゃんの名前頂いたデス」


お隣同士だった家族。

とても仲良くやっていて、色々相談やお喋りもしていた。

テンもミーの家族の育て方を見て尊敬もしていた。

だから咄嗟に出てきた事だったが、名前を頂いたのであった。


「そうか…まぁそこは呼びやすいし別にいいよ 好きにしなさい」

「ありがとうございますデス、ゴシュジンサマ」

「じゃあおやすみ、明日はまた忙しいからね」

「おやすみなさいデス」


そう言ってドアを閉めた。


「… … …行ったデス… …?」


布団から顔を出し、聞き耳を立てる。

男の足音が消えると、テンは布団の中で何かをモゾモゾ始める。


「デス…絶対に…デス… …テミ…ミン…」

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デギャァァァァァァア!! デズゥ!デェェェ!!


後ろ髪と後頭部が少し焦げた実装石が痛みで転げ回る。


デェズゥゥゥ… デェェ… デヂュィィィ…


裸にされ、体中に傷や痣が出来ている。
その目の前には男が立っている。
手には鉄製の棒を持ち、棒にはその実装石のだろうか、血が付いていた。
実装石が恐る恐る男の方を見上げ、何度言ったか分からない質問をする。


『なんでデズゥ…… ワタシはお前に何もしてないデズゥゥ…』


鼻血と涙を流して男に話しかける。
男は笑顔のまま再度実装石に棒を振り下ろす。


デギャ! デェェ… デェェェン!! デェェェン!!!


痛みでまた泣き始める実装石。
もう何度あの男の持つ棒で殴られたか分からない。


「何度も言ってるだろう? 僕達の邪魔をしたからだって」

『し、知らないデズゥ…何もイタズラしてないデズゥ…』


この実装石は公園でテン達を襲った野良の片割れである。
野良は、男に連れてこられ飼いになるのだと幸せ回路を全開にし楽しみにしていたのがこの結果だった。


オロローン、オロローン
『もう嫌デズゥ……公園に帰りたいデズゥ…』
ブビ!ビリュ…ブビビ…


先程の殴打で、左腕があらぬ方向に曲がっている実装石は痛がりながら泣いている。
そしてこれも何度目かの糞を漏らす。
しかし男は表情変えずに実装石を見ている。
実装石はもう1度、動く右腕で涙を拭いながら男に顔を向ける。


『お願いデスゥ……何かしたなら謝るデスゥ…お願いデスゥ…』

「駄目だ、ここ最近ストレスも溜まってたしね、ここで君は僕に虐待されて死ぬんだ」


実装石は一瞬止まり、目を丸くして男を見る。
冗談ではない、男はずっと変わらずにこちらを見ている。
それを見てまた実装石は顔をゆがめ泣き始めた。


『デェェエ・・・! デェェエン!オロローン!!
 死ぬのは嫌デスゥ……許して欲しいデズ…… 公園にはまだお腹を空かせた子供達がいるデズゥ…』


そう言い終えると男はニヤッっと笑った。
…許された?頭の中の幸せ回路に火が一瞬灯る。


「はははは…やっと自分の口から言ってくれたねぇ…」

『デ…デス…?』


実装石は何が何だか分からず首を傾げる。
今言った言葉に何があったのだろうか。
考えようとする前に男が口を開く。


「僕はね、色んな実装石見てたから分かるんだ
 妊娠したり子供を産んだ奴はすこーしばかりお腹が横に広い。
 それと若干ばかり足がガニ股のようになる」

『デス…?』


やっぱり何を言ってるか分からない…。
男は続ける。


「自分から白状してくれたんだよ君は
 『公園に子供がいます』ってね」

『そ、それがどうしたんデス…?早くオウチに返して欲しいデス…』

「…まだ分からないかい? 君は白状したんだ子供がいるって
 それを僕が見逃すと思うかい?糞蟲」

『デ…デェ…? デス…デ!デギャアアアアアア!!!』


一瞬考えやっと実装石が気づく。
子供達がいる事を、今自分を虐待している男に”喋ってしまった”
頭を抱え叫ぶ、体が震え出す。
子供達との厳しくも幸せに暮らした生活が走馬灯のように浮かぶ。


『や、止めるデス!子供達は何にも罪はないデス!
 だから止めるデズゥゥゥゥ!!!』

「ははは、それはどうかな?糞蟲の子供は得てして糞蟲だ
 君の糞共が何もしてなくても、”親の責任だ”」

『お、お願いデスウウウ!!可愛い仔達デス! それだけはお願い止めてるデスゥゥ!!!』


実装石は男に近寄り必死に懇願する。
土下座をし、必死に、必死に許しを乞う。
それを見ていた男が少し考え、実装石に話す。


「よし、じゃあ野良の糞蟲 こうしようじゃないか」

『デェ…?』


恐る恐る顔を上げた実装石の目の前には、男の変わらない笑顔だった。


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朝起き、ミー親子との散歩が終わったテンは早々に大変なものを見る。
それはテミとミン達の前に見知らぬ裸の実装石がいた。
しかもいつものケースでは無く、もっと大きい別のケースに子供達とその実装石が入れられている。


『ご、ゴシュジンサマ! これは何デスゥ!?』

「ああ、おはようテン 散歩は終わったかい?」


テンは慌てて男に駆け寄るが、男はいつもと変わらぬ様子でテンに挨拶する。
ズボンの裾を掴み、再度テンが男に問いかける。


『違うデスゥ!テミとミンデス!』

「ああ、あの子達の事か』


男がテンから目を離し、再度テミとミンに顔を向ける。
同じくしてテンもそちらを向く。
… … ? よく見るとあの実装石はおかしい…。
… … !?
驚いたテンが再度男に顔を向ける。


『ご、ゴシュジンサマ!アレ…!あの…!』

「お、気づいたかい あの実装石はね
 公園に帰る為、子供達を守る為に”目”をくり抜いて焼いてあげたんだ」


その言葉にぞわっとするテン。
…目は実装石に取って体の中の石の次に大事なものだ。
あれが無いと子供を作る事が出来ない、子孫を残せない。
ショップで教わった大事な大事な事だった。
それをくり抜いて、焼いた…?
再度その実装石の方を見る。
目は空洞で、確かに目の周りが焼けているように見える。


『デェェェェ!!!早くするデスゥゥ!!!』

『『テェェ!! ママーー!怖いテチィィ!!!』』


目無しの実装石が叫んだ。
ペシペシペシとその実装石と子供達の間に挟まれた透明な板を必死に叩いている。
そしてその逆側では目無しと距離を取ろうと、ケースの隅で震えながら二匹が体を抱き合い寄り添っている。
そして余りの恐怖で漏らしたのか、お尻や足は糞に塗れている。
それを見たテンも男の脚元から離れ、2匹の元に駆け寄った。


『テミ!ミン!大丈夫デス!?』

『ママ!ママ!怖いテチ!目の無いオバチャが怒ってるテチ!』

『ママ—!助けてテチ!怖いテチィ!!』


テミとミンが助けを求めるが、ケースの薄く、しかし実装石達には厚い壁がそれを邪魔する。
テンが必死に助けようとジャンプし、ケースを叩くが徒労に終わる。
目無しはこちらが見えないであろうが音に反応して叫び続けている。
必死に助けようとしているテンに男が声をかける。


「テン、今日はこのゲームでその2匹と遊ぶよ」

『ゲ、ゲームデスゥ…?』

「そう、そいつは君も昨日見たはずだ
 あの公園で君を襲った野良の片割れだよ
 僕のストレス解消にそのまま殺しても良かったんだが、自分から子供がいる事を吐いてね
 それも殺すって言ったら、そら助けて欲しいってさ」


『…子供達がいたデス…?』


テンが呟くように、男に言う。
だが聞こえていないのか男が続ける。


「だから少し考えてね
 それならゲームで勝ったら解放して子供達の元に返してあげるよってね
 そのゲームは今日これからやる、君の子供とあの実装石と戦ってもらうんだ」

『デェ!?戦うデスゥ!?』


「ただ普通なら束になっても無理だろうからね
 言ったんだ、君の”目”と引き換えでって条件でね
 そしたらなが~~く考えた後で了解したんだあいつは」


テンは何も言えなかった。
同じ子供を持つ親実装が昨日襲い掛かってきた。
だが、もしかして子供達の為でもあったんだろうか。
まだ考えが甘いテンは、同じ子供を持つその目無しに少し同情もした。
ワタシが同じ状況だったら…子供を産む為の目を取れただろうか……。


「だからね、自分でくり抜けってスプーンを渡したんだ
 そしたらまたなが~~~くスプーンを顔に向けて考えてたんだけど
 一声叫んで目をくり抜いたんだよ
 …いや糞蟲だと思ってたんだけどね、中々どうして子供の愛が強い奴だったよ」


叫びながら目をくり抜く姿を想像し、テンが震える。
この子達が、テミとミンが同じ状況だったら…。
そんな考えばかり頭を駆け巡る中で、やはり確信する。
ゴシュジンサマは優しい笑顔をするアクマなのだと…。


「まぁ一応くり抜いたけど万が一と、目の中焼いて何も再生できないようにしたけどね」


テンと仔実装達が男を見つめる中、仔実装達の足元に何かを落とす。


「ルールは簡単だ、今からお昼まで君達はあいつに食われないように逃げ回ればいい
 どっちか食われなければ、君たちの勝ちだ ちゃんと今日のご飯もあげよう」

『オネエチャ、怖いテチ…あの目の無いオバチャが怖いテチィ! 
 テェェェェン!テヂイイイイイ!テェェェェェン!!』

『ミ、ミンチャ…泣かないテチ…オネエチャも泣いちゃうテチ…』


またテミに抱きついて泣くミン。
だが姉であるテミもこの状況である、目に涙を浮かべて妹を慰めようとするが、体が震え上手くいかない。


「でも仔実装じゃ流石に分が悪いからね
 足元の武器を使って上手く逃げるといいよ」


テミとミンがそう言われ足元を見る。
足元には釘が2本落ちていた、実装石達に言わせれば”宝剣”とでも言うべきか。
それを見てテミが釘を持ち上げる。
初めて見る”武器”をまじまじと眺める。


「さあ、そろそろ始めようか」

『ま、待っテチ! ミンチャ! 泣いてないで早く武器持つテチ!』

テェェェエン! テェェェェン!


テミが、そうミンに言うが癇癪を起こすように泣くばかりのミン。
男が目無しと2匹の間の壁を取り除こうとする。


『帰るデズウウウウウウ!!!泣き声する奴らを食べて娘たちの元に帰るデズァアアアアアア!』


壁を必死に叩いている目無しとの境が無くなろうとしている。
考え込んでいたテンがミンに叫ぶ。


『ミン!しっかりするデス!テミと一緒に逃げるデスゥ!!』

『テェェ…ママ…オネエチャ…』


親の言葉で我に返ったか、ミンが顔をあげた。
壁が目無しの顔の辺りまで持ち上げられ、今まさにゲームが始まる直前であった。



-続く-

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1 Re: Name:匿名石 2023/02/08-20:08:50 No:00006766[申告]
このゲーム野良に勝ち目は無い気がするがはてさてどうなることやら
2 Re: Name:匿名石 2023/02/09-01:19:24 No:00006768[申告]
待ってたデス
楽しいゲームになりそうデス
3 Re: Name:匿名石 2023/02/09-23:01:05 No:00006773[申告]
一気に読んだ
面白いです
毎回のお題とゲームが実装を追い詰めるのが楽しいです
今回のゲームは特に面白そう
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