タイトル:【馬 クトゥルー】 跳べ!跳べ跳べ〇〇マン!逝け!逝け逝け〇〇マン!
ファイル:鬼実装顛末記.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:373 レス数:2
初投稿日時:2018/07/16-00:01:36修正日時:2018/07/16-19:07:32
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【鬼実装顛末記】


「今回は実験派が作った巨大実装さんが逃げ出したんだってよ。」

「実装さんなら大きいに決まってらあ。」

「いや、それが並みの大きさじゃないんだ。
 ギネス認定を目指して超大きな実装さんを人工的に作っていたらしい。」

「それで、その実験派はどうなったの?」

「そりゃあ、もちろん…。」

「踏み潰されて死んだか、食われて死んだか…。」

「まあ、そんなところだな。」

「いくら大きくても実装石はしょせん実装石さ。
 おいら達にかかればイチコロだよ。」

「油断してると痛い目に合うぞい。」

「そろそろ現場だ。気合入れていくぞ!」

「「「「ラジャーッ!!!」」」」


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工事の業者がよく使っている白くて四角いバンタイプの自動車。
車体の両側には <特殊実装の駆除なら科学駆除隊におまかせ!>
という広告が描かれている。

中に乗っているのは派手な色のTシャツやジーンズなどの
ラフな服装の若者が5人。
とてもではないが、これから仕事に行く社会人には見えない。

民間の駆除業者を名乗ってはいるがその実態は
全員が虐殺派に近い虐待派の集団。

実装さん、覚醒獣装石、実超石など、
保健所の手には負えない特殊な実装シリーズの虐殺を楽しんで、
そのうえお金がもらえるという趣味と実益を兼ねた美味しい仕事だ。

今回は虹温羅(にじうら)市役所からの要請で、
虹温羅仲良し公園に出現したという実装さんを駆除しに出動したところだ。


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『ドゥエェ〜スゥ〜!』

車の窓がビリビリと震えるような低い声が
公園に着く前から聞こえてくる。

「な、なんだよ、あの声!?」

「本当にバケモンなんだろ、きっと。」

「ねえ、あれ見て!」

指差す先に見えるのは、
2階建ての家の向こう側にいる巨大な実装石の顔。

「屋根の上に顔が見えるって、
 どんだけ大きいんだよ!」

「だから言ったろ、
 巨大実装さんだって。」

「あまり近づくと車を破壊される可能性もあるな。
 手前のコインパーキングで車を降りるぞ。」

「「「「ラジャーッ!!!」」」」


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『ドゥエェ〜スゥ〜!』

「うひゃ〜、近くで見るとすごい迫力だぜ。」

巨大な実装石の身長は軽く8m以上あるだろうか。
もはや実装さんの域を越えている大きさだ。
とがった耳はまるで角のように見える。

「こいつが公園から外に出て暴れたりしたら被害は甚大だ。
 速攻で片付けるぞ! Bad Go !」

「「「「Bad Go !」」」」

掛け声と共に私服の上から作業服を重ね着して、
鳥の頭部を模したヘルメットをかぶる。

「G-1号、シジュウカラのケンヤ!」

「G-2号、ダチョウのジョージ!」

「G-3号、シマエナガのジュンコ!」

「G-4号、コマドリのジンペータ!」

「G-5号、メジロのリュウザブロウ!」

「「「「「科学駆除隊、ゲッチュマン!」」」」」

「なあ、なんで俺だけダチョウなんだよ?」

「あら、ダチョウは嫌い?
 肉は美味しいし、玉子はおっきな目玉焼きが作れるし、
 羽は宝塚の豪華な衣装に使われているし、
 ダチョウ皮のサイフなんて高いのよ。」

「いや、そういう事じゃなくてよ、
 みんなは小さくて可愛い小鳥がコードネームなのに、
 ダチョウなんて大きくて可愛くないし、空も飛べないじゃないか。
 空を飛べないにしてもヤンバルクイナ、
 いや、せめてキウイにならないか?」

「どうやらそんな事言ってる場合じゃないみたいだぞい。」

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

ズシ〜ン!

5人がいた場所に巨大な足が振り下ろされた。
それが戦闘開始の合図となった。


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「チッ、タフな野郎だぜ。」

液状の弱毒性実装シビレが塗ってあるブーメランや
羽根手裏剣で動きを鈍らせておいてから
先の曲がったバールのようなもので嬲り殺しにするのが、
ゲッチュマンの基本的な戦闘スタイルだ。

しかし今回の巨大実装さんは体が大き過ぎて、
かなりの数のブーメランや羽根手裏剣を撃ち込んでいるのに、
まだシビレの効果が出ていない。

「ブーメランや羽根手裏剣なんかでチマチマやってたって埒が明かねえ!
 こうなったらシビレを直接ブチ込んでやるぜ!」

先の曲がったバールのような物「ZZ」に弱毒性シビレをたっぷりと塗って
巨大実装さんへと突進するジョージ。

「待て、ジョージ! まだ近づくのは危険だ!」

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

バシッ!

「う、うわぁーあ!
 ぐふっ!」

巨大な手に張り倒されて吹っ飛び、
背中から木に激突するジョージ。

「ジョージ!」

「ジョージ、大丈夫か!?」

「やべえ、やべえ、強化スーツが無かったら
 死ぬところだったぜ。」

何事も無かったようにムクッと起き上がるジョージ。
強がってはいるが、鼻からは一筋の血が流れ出ている。

ちなみに強化服っぽいデザインではあるが、
素材は普通の作業服と同じである。
鳥の羽根っぽいデザインのマントも
空を飛ぶ機能はもちろん無い。
鳥の頭部を模したヘルメットだってオートバイ用の
普通のヘルメットをデコレーションしただけの物だ。

彼らはアニメの中のヒーローではなく、
ただの生身の人間なのだ。


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「だが手応えはあったぜ!」

巨大実装さんの右手、ジョージを張り倒した方の手には、
ザックリとえぐられた大きな傷ができていた。

「いくら弱毒性だと言ったって、
 これだけたっぷりとシビレをくらわせてやれば…」

しかし巨大実装さんの傷は見る見る再生してしまう。

「くっ、多石化手術か!」

多石化手術。

筋力や運動能力、再生能力を向上させる目的で、
他の実装石から集めた複数の偽石を移植する手術だ。
しかしやり過ぎると、とんでもない化け物を作り出して
しまう可能性があるので、かなりマッドな実験派か、
逆にあまり実装石のことを知らない素人しかやらない
危険な手術でもある。

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

ジョージが立っていた場所に巨大な足が振り下ろされる。

「ちいっ!」

間一髪でケンヤがジョージを救い出す。

「えいっ!」

「やあっ!」

ジュンコとジンペータがスピードを活かして
先の曲がったバールのような物「Z」で攻撃し、
巨大実装さんの注意を引き付ける。

「うりゃあ〜あ!」

その隙に巨大実装さんの背後から近づいた力自慢のリュウザブロウが、
両手に1本ずつ持った「ZZ」で
巨大実装さんの両脚を攻撃するコンビネーション攻撃。

全員がジョージを見習って、先の曲がったバールのような物に
たっぷりと弱毒性シビレを塗ってある。

しかし…

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

やはり巨大実装さんの傷は見る見る再生してしまう。
シビレの効果もまだ出ていないようだ。


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「アニキ、やっぱり弱毒性じゃ効果が薄いよォ。」

まったく動けない実装石を殴っても面白くない。
ゲッチュマンは普通のシビレやコロリは使わないのがポリシーだ。
今回も普通のシビレやコロリは持って来ていない。

「こうなったらBaDoミサイルをぶち込んでやるぜ!」

「待てジョージ!
 BaDoミサイルの使用には暗部博士の許可が必要だ!」

BaDoミサイル。

Bakuretsu(爆裂)
Dodonpa(ドドンパ)
ミサイルの略だ。

目的の特殊実装以外のザコ実装を一掃するのに使うのが
通常の使用方法だが、
周囲が糞まみれになってしまうので、
使用には暗部博士の許可が必要なのだ。

「ケンヤ、この際暗部博士の許可なんてとってる暇はないんだぜ。」

ちなみに語呂が良いのでミサイルと呼んでいるが、
金属製の筒に入った多量のドドンパを圧縮空気で発射する構造は、
どちらかというと大きめの散弾銃に近い。

「ちょっとジョージ、何言ってんのよ。
 勝手に使うと、後で暗部博士に怒られるのはケンヤなのよ。」

「わかっている。もう耳にタコができてるぜ。
 だがなジュンコ、一回だけでいいんだ。
 頼む、一回だけやらせてくれ。」

「一回だけって…いっつも無許可でBaDoミサイルを
 ぶっ放しまくってるじゃん。」

ジンペータが小声でコッソリと突っ込みを入れる。


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「鬼っ!お前だったのかっ!」

公園の入り口に突如現れた一人の男。
やはり強化服っぽい赤いボディースーツを着て、
曲がった大きな角のような物でデコレーションされた
独特な形のヘルメットをかぶっている。

「ファチョ〜ウ!」

中国拳法のような構えをとりながら気合を入れているこの男は、
特殊ポリマーシートを扇状に折り畳んだ強力なハリセンを武器に
特殊実装石を駆除するハリセン・ポリマー。
ゲッチュマンの同業者である。

「なんだポリマー、今頃来やがって。」

「コイツは俺たちの獲物だぞ。すっこんでろ。」

ゲッチュマンからの野次を完全に無視して
巨大な実装さんへ向かって疾走するポリマー。
右手を伸ばし、そのままジャンプする。

「震・空・片手間ゴマーっ!」

相手の体を回転させて抵抗できなくする、
ポリマーの得意技である。
しかし…

ムクムクムクッ

巨大実装さんの股間から突如現れる巨大なマラ。

カキーン!

「う、うわぁーあ!」

巨大なマラに打ち返され、
遥か空の彼方へ消えて行くハリセン・ポリマー。
場外ホームランである。

「いったいアイツは何をしに出て来たんだ?」


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「しかし隠れマラ実装だったとはな。
 道理で手強いはずだぜ。」

マラ実装は通常の実装石の数倍の力があるという。
これだけ巨大な実装さんが、しかもマラ実装だった場合、
その戦闘力はいったいどのくらいになるのか、
想像もつかない。

『ドゥアァ〜グェ〜スィ〜!』

勝ち誇る巨大なマラ実装さん。

「いったい何の意味なんだ?
 この(タ〜ケ〜スィ〜)っていうのは?」

ゲッチュマンのヘルメットは市販のオートバイ用のヘルメットをベースに
デコレーションしただけの物ではあるが、
トランシーバーや音声式リンガルのスピーカーを内蔵するくらいの
簡単な改造は施してある。

「そんな事はどうでもいいよ。
 一旦撤退して態勢を建て直さないと、
 おいら達もポリマーみたいにやられちゃうよ!」

「実装石に背中を見せるってのか!
 ジンペータ、お前それでも男か!虐待派か!」

「そうは言っても、
 命あっての物種だぞい。」

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

ズシ〜ン!

巨大実装さんの踏みつけ攻撃を避けながら
作戦を話し合うゲッチュマン。

「でも撤退するって言っても、
 あの巨大実装さんが私達を追いかけて公園から出てしまったら、
 街が大変な事になるわ!」

「街は人々の安息の住処だ!必ず守ってみせる!」

『ドゥエェ〜スゥ〜!』

ズシ〜ン!

「…っとあぶねえ!
 守ってみせるって、
 あんな化け物相手にどうするのさぁ!?」

「リュウザブロウは車で近くのホームセンターや実装ショップに行って
 武器になりそうな物や薬品を買ってきてくれ!
 この際強力シビレや激烈コロリの使用もやむを得ん。」

「ラジャーッ!」

「ジョージはリュウザブロウに同行して助手席でナビを担当、
 荷物運びも手伝ってくれ。」

「チッ、しょうがねえな。」

「ジュンコとジンペータは俺と一緒に公園に残って、
 巨大実装さんが公園から外に出ないようにおとりになりながら
 リュウザブロウとジョージの帰りを待つ。」

「「ラジャーッ!」」

「よし、作戦開始だ!」

ヒュゥ〜ウ…

冷たい風が吹いた。


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「あのー、済みません。
 このあたりに美味しい蕎麦屋ってありませんか?」

「うわっ、なんだ!?」

急に話しかけて来た見知らぬ男。
背が高く年は40代くらいだろうか。
夏だというのに黒いシャツに黒いズボン、
おまけに黄色いロングコートまで羽織っているのに
汗ひとつかかずに涼しい顔だ。

何よりもおかしいのは気配も感じさせずに
急にすぐ近くに現れたことだ。

「ここは危険です!
 避難してください!」

「危険?
 ああ、あのおっきな実装石なら問題ありませんよ。」

「いや、問題無いって…」

『デ…ズッ…』

ズ…ズルッ…

急に巨大なマラ実装さんの体が斜めにズレ始めた。
輪切りになった巨大な体が崩れ始めたのだ。

『デッ…』

ズズーン…

崩れ落ちる巨大な実装さん。
あっという間に巨大な肉の塊になってしまう。

「ほらね?」

「こ、これはいったい!?」

5人がかり、
いやポリマーも数えると6人がかりでも歯がたたなかった巨大実装さんが一瞬にして、
それもゲッチュマンの誰も気が付かないうちに輪切りにされている。

「すげえ…」

「これはあなたが!?」

「ええ、まあ、そんなところです。」

「すげえ!
 あんた何者なんだよ!?」

「名乗るほどの者では…。
 まあ、風の吹くまま気の向くまま、
 日本各地の蕎麦を食べ歩いている風来坊…ってとこですか。」

「風来…坊?」

ヒュゥ〜ウ…

冷たい風が吹いて塵が渦を巻いた。


【終】


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[あとがき]

どうも、お久しぶりです。
デスゥ・ノートの作者でございます。
毎度馬鹿馬鹿しいスクを読んでくださって、
ありがとうございます。

今回は
ペプシコーラのCMの鬼みたいにでっかい巨大実装さんを
一陣の風で瞬殺する謎の男が登場です。
え?
誰だかわからない?
そんな時はオマケをどうぞ。


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[オマケ]


①クトゥルー神話
小説家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトのホラー小説をもとに
小説家オーガスト・ダーレスが体系化したクトゥルー神話、
及びそれらの架空の神々の設定を共有し書き継いだ作家たちの作品群。
「強大な力を持ち太古に地球を支配していたが現在は地上から姿を消している
恐るべき異形のものども(旧支配者や邪神など)」が現代に蘇るという
モチーフを主体とする。

②名状しがたきもの「ハスター」
アルデバラン星の傍にある暗黒の都に棲む邪神とされ、
クトゥルーの兄弟ともシュブ・ニグラスの夫であるともいう。
宇宙空間を飛行する風の神という性格があるとされ、
配下に有翼生物のバイアクヘーがいる。
また「黄衣の王」という戯曲を読んだ者のもとに現れ、
「黄の印」と一緒に命を持ち去るという。
外見など謎が多く危険な邪神だが、
クトゥルーやニャルラトホテプと敵対しており、
利害が一致した場合は人間に力を貸したり召喚に応じることもあるという。
「気ままな風来坊、蓮田(はすた)」のモデル。



[スク投稿リスト]
・マラ実装エステの時代   08.01.02
・デスゥ・ノート①     08.01.30
・デスゥ・ノート②     08.02.01
・デスゥ・ノート③【完】  08.02.03
・48匹目の実装石     11.01.15
・シン・実装石       16.10.20
・聖バレンタインデーの虐殺 17.02.11
・桃の節句ス-MEN     17.02.24
・ホワイトデー計画     17.03.07
・トシアキ兄弟       17.04.15
・端午の節句ス-MEN    17.04.30
・七夕祭の夜        17.08.07
・ハロウィン・ナイト    17.10.29
・七草の節句ス-MEN    18.01.05
・ジックスパッド      18.02.03
・本作           18.07.16

(上記スクの日付は初稿の完成日であり、修正版と入れ替えたスクは
 スクアップローダーの表示年月日と異なる場合があります)


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1 Re: Name:匿名石 2018/07/16-22:07:40 No:00005500[申告]
うむ、わからんw
クトゥルフ知らないがそれでもノリの良さで笑ってしまうw
2 Re: Name:匿名石 2018/07/17-00:07:03 No:00005501[申告]
ガッチャマンと思わせて実はインフィニティフォース
でも最後はハスターが美味しいところを持って行ってしまうというwww
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