花粉の飛び散るこの時期

　双葉市にある双葉山公園、この公園の後ろの山には、沢山の杉の木が自生している。
　更に公園を囲む様に沢山桜の木が植えられている。
　時期は、まだ寒い２月下旬に数匹の実装がこの公園に渡って来た。
「広い公園デス！公園の周りに沢山の木が植えられているデス！風よけになるデス！此処に住むデス！」同じような事を考えた実装達が次々に住み着いた。

　寒い２月が終わり３月下旬になると花粉が飛び散り、桜の花も咲きだすと実装石の出産が始まる。
　仔実装を大事に育てようと考える者、花粉が飛びだし成行きで妊娠してしまう者、自分の餌にする為だけに産む者と様々だ。
　ここに目的は違うが、この３つのパターンに該当する実装達がいた。


【仔実装を大事に育てる為に出産する者】


　仔実装を可愛がる目的で出産する実装は、２月の寒い時期から公園の周辺を動き回り、自分の置かれている状況を把握する。【つまり賢い部類の実装石】
　花粉が飛び出すと、いつ何時妊娠してしまうやもしれない。
　そうなってからでは、遅いので賢い実装達は、まず食糧調達を始める。
　仔実装を大事に育てるには、育てる者（つまり自分自身）が、弱っていては話にならない。
　その為には、食べる事が第一位に来る。

　彼女らは、公園の近所にある数件のスーパーの廃棄処分用の見切り商品に目を付けた。
　スーパーの見切りは、店が開店する前に行われる。
　陳列台から賞味期限が過ぎた商品が、廃棄する場所に持って来られる。
　彼女らは、栄養価が高く比較的持ちやすくしかも大量に運べる菓子パン、食パン、プリンに目を付けた。
　店が開店する前は、従業員も品出しに追われ、見切り品なんかに目もくれず作業する。
　その隙に彼女らは、置かれたパンを大量に持ち出す。
　当然、毎日毎日パンがある訳では無いが、それ以外にも毎日廃棄商品は出る、
　果物、ジュース、ゼリー、和日配のうどん、かまぼこ、ちくわ、ひらてん、ごぼうてん等、代用になる物なら何でも盗んで来る。

　しかし、がさつに荒らせば店も警戒して、扉を閉じられてしまうので、バックヤードを汚く荒らす事無く持って帰る。
　廃棄に来た店員も「あれ！見切りが減っているな！まっ！いいか！俺が、楽できるし」位で警戒されない。
　こう言った状態で公園周辺の店舗をローテションで廃棄商品を持って帰れるから餌に困らないし、同じ店に毎日盗みに行く訳でもないから誰にも怪しまれない。
　廃棄と言っても、生ゴミを喰う実装にとっては、賞味期限の切れた見切り等は、栄養価が高い上に美味しい。
　充分栄養を摂取出来るから、体はデカくなり腕力も着いて来る。
　盗んだ商品は、行動を共にした仲間同士で平等に分けるから、誰も妬まないし、仲間割れもしないそして充分腹は満たされる。
　だから腹を空かせた他の実装達は、腕カの強い彼女らと喧嘩しても勝てないから近寄らないし、例え彼女らの餌を盗んでも、後でお礼参りに来られるのが嫌だから怖くて盗まない。

　この公園では、彼女らに対しての抵抗勢力は無い。つまり彼女らの独壇場である。
　仔実装を育てる為の家もそうだ。彼女らは、近所にある古紙回収業者が、置いている新聞や雑誌を捨てるコンテナーから新聞や段ボール箱を盗んで来くる。
　段ボールのおうちを組み立て、風で飛ばない様に、公園の砂場に行き取って来た砂を段ボールの床に大量にまき、その上に新聞紙を敷いて綺麗に整理する。
　産まれて来る仔実装達の為にベッドを作っておく。

　更に出産時に公園のトイレで出産中に、ニンゲンや動物に襲われて殺された哀れな仲間達の末路をみているから別に出産の為に大きな段ボールを持って来て出産の為のスペースを確保。
　廃品回収の時期に人の目を結んで捨てられている鍋ややかんを持って帰る。
 「これで、頑丈なおうちの暖かふかふかベッドや出産のスペースが出来たデス！」そう言って喜んでいる。
　妊娠すれば、家に籠ってゆっくり体を休め、貯めた食糧を食べて出産に備える。
　そして出産になれば、やかんや鍋に水を一杯入れて大きな段ボールで囲いを作りその中で出産する。
　元気はつらつの彼女らからは、元気で体が大きな仔実装が産まれて来る
　仔実装を包んでいる羊水を素早く綺麗に洗い流し、速やかにおうちの中に籠る。
　何の危険も無く、誰に襲われる事なく、更に餌も沢山蓄えているから、仔実装が小さい内は、生きて行く為の知恵や知識を丁寧に教える。
 「.....という事デス！絶対に気を付けるデスよ！」
 「ハイ！テチ！ママ！」
 「ワタチは、ママの様に賢く思いやりのある実装になるテチ！」
 「ママ！大好きテチ！」
 「ママも貴女達の様に賢く思いやりのある子は、大好きデスよ！」　
　そして彼女らの仔実装は、親譲りの賢い実装に育って行くのである。


【成り行き出産をする者】


　この連中は、花粉が飛び散り出してから慌てて出産の準備を始める。
 「そろそろ花粉が飛ぶデス！妊娠するかも知れないデス！早速準備するデス！」多分、普通の実装がこのパターンだろう。
  彼女らも業者の置いたコンテナーから段ボールや新聞を拝借してくるが、賢い実装と違い床に砂をまいたりしないし、新聞の置き方も適当か最悪無しである。
　食糧も、週２回若しくは３回近所のゴミステーションから持って帰って来る。
　ゴミ袋は、破れ放題、ゴミも散らかし放題、だから近所に住むニンゲンさんに見つかって成敗されてしまう。
　生ゴミの回収日を間違えてみたり、回収が終わってから生ゴミ置き場で涙する連中が殆どと言った状態。
　そうかと思えは、閉店したレストランや民家の生ゴミバケツを漁りに行き従業員や家人に追いかけ廻されたり往々にしてそんな事になる。

　計画性が無くいつも腹を空かせてその日暮らしの生活を送っている状態である。
　そんな、彼女らが妊娠したら、「今日は、体が怠いデス！でもお腹が減るからごはんを探しに行くデス！」
　そう言って餌を探しに行っても、他実装に先を越されてしまうか、動きが鈍いから暇を持て余している虐待派から「ヒャッハー！此奴妊娠しているぜ！母娘共々地獄へ行きやがれ！」
　とバーruの様な物で叩き潰されてしまう。

　仔実装を出産する時も公園の便所に行く、「デス！デス！」「テチ！テチ！」騒がしいから、便所掃除のおっさんに「この糞共！折角掃除したのに〜！又、便所を汚くしやがって！」
　と怒りを買って、片っ端から惨たらしく始末されてしまうのが落ちである。
　例え始末されずに便所から出て来られたとしても、バカ親から生まれた仔実装は、親同様に危険意識も欠如しているので、ニンゲンの子供や野良犬、野良猫に近づき......。
 「助けてテチィ〜！ワンワンに捕まってしまったテチィ〜！」
 「痛いテチィ〜！痛い！痛い！ママァ〜！ニャンニャンに引っかかれたテチィ〜！助けてぇ〜！」
 「ニンゲンに捕まったテチィ〜！助けてぇ〜！」
  そう言って助けを求めても、親実装は助けに行かずこれ幸いと「早くおうちに帰るデス！あの仔はもう助からないデス！」と見捨てて行ってしまう。
   又は、「ママと離れて勝手な事をするとあんな目に遭うデスよ！」と他人事の様な態度を取る。
 「マンマァ〜！行かないテチィ〜！見捨てないテチィ〜！」親に見捨てられた仔実装は、絶望の内に力尽きて≪パキン！≫たった数分間だけの命を全うする。
  しょせん成行きで産んだ仔実装だし、親実装は自分自身が一番可愛い、愛情もくそも無いので、その様な扱いにしてしまうのだ。
  おうちに帰れば「わかったデスか！ママの言う事を聞かない物、勝手な行動を取る物は、ママは者とみずに物と見るデス！絶対助け無いデス！」
 「ハイテチ！」
 「自分の身は自分で守るデス！わかったデスか？」
 「ハイ！解ったテチ！」
 「はあ～いテチ！」
  生まれたばかりのバカ子が、そんな教訓を言ったところで右から左に抜けている。

　しかし可愛がっていた仔を見捨てて逃げたり、自分だけ安全な場所に避難ばかりしていると、流石のバカ仔でも疑問に思ったり不信感を持ったりする。
 「ママはどうしてワタチ達を守ってくれないテチ？」
 「偉そうな事を言ってるテチが、もしかして、ワンワンやニャンニャン、ニンゲンさんが怖いんじゃないテチ？」
 「臆病者テチ？」
 「ママがいなくてもワタシ達姉妹でも自立できるテチ！」 
 「ママは必要無いテチ！ご飯だけ持って来れば良いテチ！」
 「お前達 は、ママをそんな風に見ているデスか？」 
　と自分（ママ）を排除若しくは、便利屋の様に利用してやろうと考える者も出て来る。
 「ワタシを利用する等１００年早いデス！」
　と怒るが彼女は、自分の仔実装を喰う事はしない。【仔喰いするほど糞ではないと思っている】 
 「じゃあ！どうして妹ちゃんを見捨てたテチ？」
 「逃げて無いで助けるテチ！」
 「わかったデス！今度は助けるデス！」
　そう言いながら、わざと犬や猫に仔実装が捕まる様にして、「ママァ～！助けてぇ～！」と助けを呼んでも.....。
 「お前は、自立するのではなかったデスか？自分で切り抜けるデス！」
 「ワタシが居ないとお前らも、ああやって簡単に捕まって殺されてしまうデス！ママがこうやって居るだけでも襲われ無いデス！
　好き勝手にすれば、彼奴な様になるデス！解ったか！」と見せしめにして殺してしまう。　
【仔実装なんかいつでも産めるし自分が不利な立場に置かれる位なら殺してしまえは良い位にしか考えていない】
  見せしめにされたバカや言いつけを守れないバカは、その事を身を持って体験して、初めて自分の立場を理解する。【わかった時点で手遅れだが】

 【仔実装を喰う為に産む者】


  このタイプは、産まれて来る仔実装は、全て自分の餌と考えて居る者【極悪非道である】同族喰いも平気で行う性根が腐っている部類に属する。
  自分の子供が産まれれば当然喰うが、それまでは、他石の育てている仔実装も当然狙っている。

  他の実装親子が「ママは今からごはんを取って来るデス！おうちから出ては駄目デスよ！」【そんな話は聞き耳を立てて漏らさず聞いているのだ】
　そう言っておうちを離れるが、大体の仔実装は、言いつけ等守れる奴は少ない。
   そんな仔実装に目を付け,仔実装の背後から襲い掛かり次々に食べてしまう。
　当然、約束を守っておうちから仔実装が出なくても、段ボールの入り口をこじ開けて......。
 「おばちゃん、誰テチ？」
 「何か用テチ？」
 「おばちゃんは、お前達を喰うのが用事デス！」
 「テチャァ〜!助けてぇ〜！」　
 「ワタチのあんよを食べないでぇ〜！」
 「痛い！痛い！止めてぇ〜!」
   次々と子喰い実装の餌食になってしまう。

   暫くして、鼻歌を歌いながら、何も知らない親実装が、嬉しそうに大量の生ゴミを持って帰ってくる。
 「子供達ぃ〜！今日は、沢山ゴハンを持って帰って来たデスよ！」
　そう喜んでそのおうちの親実装が中を覗くと、おうちの中は一面血塗れ、周辺には血の付いた子供達の手足が散乱している。
 「こ......。子供がぁ〜！子供が全員喰われたデスゥ〜！」
　血塗れののおうちを見てがっくり膝を着き絶叫する。
 「何で？何で？ワタシが一体とんな悪い事をしたのデス？神様あんまりデス！」
   と、お決まりのセリフをのたまわく。
　最悪、ショックで偽石を≪パキン！≫してしまう者もいるし、発狂して道路に飛び出して悲惨な事になったりもする。


　子喰いの実装達も栄養価の高い仔実装を食べているから体はデカく腕力も強いが、根性が腐っている為自分より体の小さめの他石
（成行きで出産した様な奴の子がターゲットになる）の子供を襲って喰う。
　仮に反撃を食らっても勝自信が有るからだ。（そもそも、そんな親なら反撃もせずただ見ているだけだが）そんな性根の腐った実装が妊娠した。

　彼女らは、別に事前の出産の準備をする訳でもない。
　そんな性根の腐った実装が妊娠して出産した。
　適当に便所の水で体を洗い、コンビニ袋にサッサと入れておうちに持ち帰る。
　歩く練習やゆっくり公園の風景を堪能させたりしない、他の同族に自分の餌が喰われるかもしれないからだ。
 【当然、自分がその様にして来たから警戒はしている】

　だが、産まれたばかりの子実装は直ぐに食わずある程度大きくなるのを待つ。
　それまでは、他石の仔実装を襲い食いつなぎ、一定の大きさになったら体の大きい奴から順番に喰って行く。
　餌を探しに行く時は、仔実装を入れたまま段ボール箱の入り口を上に向けて外に遊びに行く事が出来ない様にする。
　生ゴミを漁って来て子実装に与えて、自分はおうちに帰る途中で何処かの公園で他石の仔実装をさらって喰って来る。
　自分の子供が大きくなれば、夜寝静まってから、一番美味しそうな奴に「お前だけに取って置きの御馳走を外に準備しているデス！皆に内緒で外で喰うデス！」
　そう言って騙して、仔実装の悲鳴を出しても大丈夫な様におうちから少し離れた場所におびき出して、後ろから突き飛ばす。
 「ママ〜！どうして？ワタチママの言う事を聞いて良い仔にしていたのに、どうしてイタイ！イタイ！するテチ？」
 「お前達姉妹は、ワタシに喰われる為に生まれて来たデス！今まで育ててやった恩を返す時デス！つべこべ言わずにワタシのごはんになるデス！」
 「そ……。そんなぁ〜！」
  ≪ガブッ！≫「テッチャーァァァ〜！」≪パキン！≫
  そんなやり方で次々と自分の子供を血祭りに上げていくのだ。

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  双葉公園の桜の木もボチボチ咲き始めた、双葉町恒例の桜祭りの日が近づいて来た。
　来週、日曜日の桜祭には、この公園には多くの露店が出たり、町内の有志によるのど自慢大会もある。
　当然ゴザを敷いての宴会や花見を楽しむ人でごったがえすだろう。

　となれば必然的に……。

　双葉市役所の清掃局の人間十数人が、スプレー式のコロリや金属バット、金属スコップを持ってやって来た。
　野良実装嫌いのこの男、あきとし率いる班が実装駆除にやって来たのである。
 「おい！野郎共！この公園に巣食う糞蟲共を、一匹残らず地獄に送ってやろうぜ！」
 「おう！」
 「よっしゃあ〜！」
　あきとしは、公園から実装が逃げ出せない様に、公園のフェンスに沿いと全ての出口にカスミ網を張った。
　沢山のニンゲンがワイワイガヤガヤ騒々しいから、実装達も段ボール箱から首を出して外を見た。
 「デッス！何で？何で？これだけ多くのニンゲンがこの公園に来ているデス？」
 「五月蠅いデス！ワタシは、子供を食べたばかりで、お腹が一杯だからもう少し寝かせて欲しいデス！」
 「もしかして、ワタシ達を駆除しに来たデス？子供達早く裏口から逃げるデス！」
    と、ニンゲンに対する反応も様々だ。

　やっぱり子供を大事にする実装達が、一番に仔実装を公園から逃がそうとしたが……。
 「おっ！仔実装がテチ！テチ！言って逃げ出したな！」
 「しかし、動きが遅いなぁ〜！スロー過ぎてあくびが出るぜ！」
 「ホラよ！」
 「テッチャァ〜！」≪パキン！≫
 「テッチャ〜！」≪パキン！≫
 「テジィ〜！」≪パキン！≫
 「テッ！」≪パキン！≫
 「テジャーァァァァァ」≪パキン！≫
　次々と仔実装達が、バットで叩き飛ばされた。

 「デジャーァ！ワタシの子供達に何をするデスゥ〜！」仔実装を大事にする親たちが、一斉にあきとし達に抗議した。
 「うるせぇ〜！誰に断ってこの公園に住み着きやがったんだ！この汚染動物め！」そう言って、抗議して来た実装に向かってスプレーコロリを吹きつけた。
 「デジャーァァァァ〜！」≪パキン！≫
 「苦しい〜！」≪パキン！≫
 「口が！目が焼ける様に痛いデスゥ〜！」≪パキン！≫ 
  ≪パキン！≫
  ≪パキン！≫  
  ≪パキン！≫
  ≪パキン！≫
  子供思いの実装は、地面をのたうち廻りながら死んで逝った。

  成行きで子供を産んだ実装達は、子供達には、「おうちの中でじっとしているデスよ！ママが逃げ道を確保してくるデス！」
　とこっそりおうちを抜け出して、自分だけ助かろうと出口に急いだが……。
　出口周辺に取り付けられたカスミ網に引っ掛かり、もだえ苦しんでいる。
 「何、逃げようとしてんだ！死ね！」そう言ってコロリを吹きつけられたり、スコップで押しつぶされたり、体を真っ二つにされて死んでいった。


  子供を喰う為に産んだ実装と成行き実装に見捨てられた仔実装は、段ボールの中で震えていた。
 「ニンゲン！ワタシに気付かないでぇ〜！見逃してぇ〜！」
 「ママァ〜！早く帰って来てぇ〜！ワタチ達を助けてぇ〜！」
　その様な願いもむなしく段ボール箱を逆さに向けられてシェイクすると次々に仔実装や成体実装が落ちて来た。
　そのまま地面に叩き付けられて死ぬ仔実装は、まだましだったが、そうで無い仔実装は……。
 「痛い！痛い！あんよが痛いテチィ〜」
 「オテテが痛いテチィ〜！」
 「ほう！手足が痛いか！じゃあ〜！今、楽にしてやる！」
  そう言って、金属バットで叩き飛ばされて風圧で死ぬ奴、高く空中に飛ばされ落下して潰れる奴。
　バットに当たった時点で潰れている奴と親に見捨てられた仔実装も全滅した。

　仔食い実装もバットで叩き潰されたり、銜えたばこを体に押しつけられ火だるまになって「熱い！熱い！助けてぇ〜！」<パキン≫焼け死んだ。
　それでもに逃げる奴には、手足を思い切り踏みつけて「デスゥ〜！」大きな口を開けて悲鳴を上げた途端、コロリスプレーや火の着いたタバコを口に放り込み......。
 「デバッ！」
 「グバッ！」
 「へべッ！」
　声にならない様な音を口から出し苦痛にもがき苦しんで死んでいった。

　あきとし達が駆除に来て１時間足らずで公園の実装は、惨たらしい殺され方をされ全滅した。
　実装回収車に死んだ実装を全て投げ込こんで作業が完了した。
 「終わった！終わった！さあ！帰ろうぜ！」
 「桜祭り当日の朝まで実装が入れない様に注意看板を置いてバリケードをして帰るぞ！」
 「りょうかぁ〜い！」
 「イエッサーァ〜！」
 【日曜日の桜祭りまで実装石が公園内に入れない様にバリケードを設置しています。入園しない様にご協力お願い致します】と書かれた立て看板が、公園の入り口付近に置かれた。


 仔実装の事を一番に考えて大事に育てる者、成行きで生まれた子供は捨て駒の様に使えば良いと思う者、
 喰う為だけに子供を産む者、産まれた仔実装に対しての扱いは様々であるが……。
 結局最後は惨たらしい運命を辿る事になる。

 それはなぜか？

 産む時期、産む場所を間違えは、何れの場合もニンゲンの手に係って殺されてしまうのである。
 特に桜の木を多く植えている公園に渡って来た時点で彼女らの運命は既に決定付けられてしまっている。
 来年この公園に渡って来た実装達も花見シーズンが来ればこれと同じ運命を迎える事になるだろう。

  FIN