タイトル:【怪】 実装石はほとんど登場しません
ファイル:赤と緑.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:1470 レス数:0
初投稿日時:2008/06/30-09:15:33修正日時:2008/06/30-09:15:33
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現在百派ー市では飼い実装連続惨殺事件が起きていた。
愛護派、虐待派問わずに飼い実装は全て標的とされた。
その殺害方法は2種類。
全身を真っ赤に染め命尽きるまで強制出産を強いられた者。
もう1つは命尽きるまで脱糞させられた挙句にその糞を強制的に食わされた者。
この2パターンだけである。
警察も被害の多さについに重い腰を上げ捜査に乗り出した。
そして発見が早くまだ息のあった飼い実装から犯人の情報を聞き出せた。

飼い実装の情報によると犯人は自分達が部屋でのんびりしていたらいつの間にか背後に居たという。
その犯人はピエロのような仮面にシルクハットを被りマントを羽織っていた。
そして自分達に1つの質問をしてきた。

「赤と緑、どちらが好き?」

いきなりの事で困惑したが素直に答えたと言う。
ある者は「実装石と言えば緑、やっぱり緑が好きデス」と。
ある者は「赤と言えばイチゴにサクランボ、どっちもアマアマデス」と。
その直後に犯人は彼女達に襲い掛かったのだそうだ。
ちなみにどっちも好きじゃないと言った実装は赤と緑の両方のもてなしを受けた。
部屋の中には犯人の物と思われる足跡があったがその逃走経路がどうしても分からなかった。
指紋はもちろんどの窓からも脱出した形跡が見当たらなかった。
まるで瞬間移動でもしたかのように忽然と消えていたのだ。
密室の事件に頭を悩ます警察に1人の愛護派から事件に協力したいという連絡が来た。
「うちの飼い実装を囮に使ってください」と。
警察としてもこの申し出は願ったり適ったりだったが飼い実装の安全は保障できないと伝えた。
すると愛護派は笑いながら構わないと言った。
話を聞くと最近我侭になり可愛くなくなったから処分しようと思ってたらしい。
どうせ処分するならこの糞蟲どもに地獄を味合わせたい。
それが囮捜査に協力しようとした動機だ。
警察も愛護派の話に呆れたが何にしてもこれで犯人を捕まえる事が出来るかもしれない。
そう思い協力に感謝しますとだけ伝えた。

数日後、作戦は決行された。
愛護派の飼い主がわざと外出し自宅を空けた。
警察官達は飼い実装が居る部屋の押入れの中で待機。
この事は飼い実装にも内緒である。
その後しばらく飼い実装どもの耳障りな鳴き声に耐えていた警察官だったがふいに部屋の中に気配を感じた。
押入れの中からそっと覗くと飼い実装に歩み寄るマントの男が見えた。

「(来たぞ!)」
「(早速捕まえましょう!)」
「(待て、まだ早い、コイツが犯人だという証拠をおさえなければならん)」
「(ですがそうなるとあの飼い実装達は…)」
「(死ぬ事になるな、だが飼い主もそれを望んでいる、問題は無い)」
「(糞蟲とはいえ哀れですね…)」
「(しかし妙だとは思わんか?)」
「(何がです?)」
「(我々はずっと押入れの中で待機していた、誰かが侵入してくればすぐ分かるはずだ)」
「(そういえば…)」
「(だが我々が気付いたのは奴が部屋の中に現れた時だ)」
「(確かに…まるで瞬間移動してきたみたいですね)」
「(うむ…)」

デッギャーーーーーーー!!!

警察官達は飼い実装の絶叫にピクっと反応し部屋の中を見た。
すでに飼い実装は激しく苦しみながら異界の言葉を発してる。
死ぬのも時間の問題だろう。
そしてその姿を見届けた犯人がゆっくり押入れのほうを見て不気味な声で笑った。

「コイツ…!俺たちの事に気付いてやがった!」
「なのに堂々と犯行に及ぶとは…!くそ!バカにしやがって!」

警察官達は押入れから飛び出し犯人を取り囲む。

「現行犯だ、言い逃れは出来んぞ!」
「大人しくしろ!」

警察官達が手錠を出して犯人を捕まえようとした瞬間、犯人はマントを翻し忽然と消えた!

「何!?消えた!?」
「あ!庭に居ますよ!」
「何!?いつ移動した!?」
「とにかく捕まえましょう!」
「くそ!」

その後も犯人の奇怪な動きに翻弄されつつもついに川の堤防で追い詰める。

「動くな!それ以上抵抗すると撃つぞ!」

警察官達もついに拳銃を抜いていた。
だが犯人は不気味な声で笑うばかりで投降しようとしない。
武器を隠し持っているかもしれないため慎重に距離を詰めていく。
その時犯人がマントの中から何かを取り出しこちらに向けた!

「!」

パーン

警察官はそれに反応し引き金を引いてしまった。
弾丸は犯人の腹に命中し、犯人はゆっくりと川へと落ちていく。
だが水面に触れようとした瞬間、犯人の姿はフッと消えてしまった。

「何だ!?奴はどこに行った!?」
「分かりません…忽然と消えてしまいました…」
「そんなわけあるか!きっとどこかに隠れているんだ!探すぞ!」
「はい!」

しかし犯人の居た付近をくまなく調べてみたが何処にも居なかった。
というか隠れられる場所など無い。
撃たれたはずなのに血痕も残っていない。
ただ1つだけ残っていたのは…

「これは…コンペイトウ?」
「あの時奴が取り出したのはこれだったのか…」

その場にはコンペイトウの入った袋だけが落ちていた。

「…奴は…どこに行ってしまったんでしょうか…」
「…」
「本部にはどう報告すれば…」
「逃がしたというしかあるまい…」
「しかし…」
「本当の事を言っても信じてはくれまい…」
「そうですが…」
「もう帰るぞ、ここに居ても仕方ない」
「はあ…課長の説教確定ですね…」
「説教程度で済むんだから我慢しろ、少なくても課長は人間だから気が楽だ」
「人間…?」




















その後も事件は続いたが犯人は捕まらなかった。
TVでも大々的に報道されたが有力な情報は集まらなかった。
そしていつしかこの街では実装石を飼おうとする者は居なくなった。
標的は飼い実装のみ、ならば飼わなければ被害はなくなるだろうと。
それに飼っても殺されてしまうので金の無駄だ。
野良実装は相変わらず公園で群れているがこちらは全く無傷。
ただし愛護派などが少しでも可愛がった個体は次の日には無残な姿で発見された。
飼い実装が居なくなったことで野良でも可愛がられた実装全てが標的にされるようになったようだ。
そんなこんなでついに人間達は実装石と関わる事をやめた。
人間からの施しが途絶えた事で野良の数も次第に減っていった。
今では人間の見つからない暗く寒い所で惨めにひっそり暮らしている僅かな個体だけになった。
この街から実装石が完全に消えるのも時間の問題だろう。

「それにしてもあの事件はなんだったんでしょうか…」
「忘れろ、我々の手に負える相手じゃなかったんだ」
「事件も人間が実装との関わりをやめた頃からピタリと止んでしまいましたし…」
「…」
「もしかして奴は幽霊かなんかだったんですかね?」
「かもしれんな、まあ実装石だけを標的にしている所を見ると意外と良心的な霊に見えるが」
「そうですね」
「願わくば標的が人間に向かない事を願うばかりだ…そうなったら…考えたくない…」
「ホントですね…」

結局犯人は何者だったのか…
何故実装石だけを狙ったのか…
犯人は本当に人間だったのか…
全ては謎のままである。





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あとがき

オチがイマイチでスンマセン。
たまには普通の虐待モノ以外のを書きたかっただけです。





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