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ゴォをくわえ込んだ枝先は、そのまま、ゆっくりと持ち上がって行く。 薄い半透明の葉の内側からは、外の様子を見ることができる。 エレベーターのように、徐々に上昇する景色に動転するゴォだったが、なすすべもない。 やがて、ゴォを閉じ込めた葉も枝も、ぴったりと草の幹にくっ付いてしまった。 枝が幹に付いてから周囲を見渡すと、その幹の所々に、半透明の袋状 の部屋があり、中には、一匹ずつ仔実装が閉じ込められている。 ゴォの右上にある袋にも、仔実装が一匹閉じ込められていた。その仔実装は、 ゴォが戸惑っている様子を、膝を抱えて座ったままじっと見ていたが、 次の瞬間、突然悲鳴を上げて暴れ出した。その袋に消化液が注入され始めたのだ。 この植物は、一部マニアに人気がある「コジッソウカズラ」である。 太い幹の根元に何本もの触手状の枝を持ち、その先端にある上下二枚の 葉がぴったりと閉じるようになっている。 下の葉には、仔実装をおびき寄せる、母乳の香りを出す乳液がたたえられ これに仔実装が引っかかると、上の葉が降りて来て仔実装を閉じ込める。 そのまま、枝は仔実装 を逃さないように持ち上がって行き、幹にくっ付いて同化するのだ。 一本枝が持ち上がると、次の獲物を捕らえるべく、根元からまた次の枝が生えてくる。 葉に捕らえられた仔実装は、中の乳液を啜りながら、しばらくは生き ながらえるのだが、植物の栄養状態に応じて、その牢獄と化した葉の中で、順次消化されてゆく。 このおぞましい植物の人気の秘密は、仔実装を閉じ込める葉が半透明で 袋状の部屋と化した葉の中で消化されゆく仔実装を観察することができる点にあった。 「テチャァァァッ!」 ゴォのすぐ傍の袋に閉じ込められていた仔実装は、消化液の注入に気付くと じたばたと手足を振って暴れだした。 しかし、弾力性のある袋の壁は、蹴ろうが叩こうが破れはしない。 袋の中にはあっという間に消化液が満ち、仔実装はその中でガボガボと溺れていたが やがて体中から泡を吹き出し始めた。 服が、髪が、皮膚が、目玉が、次々と溶けてゆく。 ぼろぼろになっても、なお袋の中でもがいていた仔実装だが、少しずつ動きが鈍ってゆき やがて完全に動かなくなると、跡形もなく消化液の中に消えてしまった。 その様子を瞬きもせず見せられたゴォは、恐怖のためガタガタと震えていた。 パンツから漏れた緑色の糞が、膝までたまった乳液に溶けてゆく。 脇から取り落としたさくらんぼが、乳液に浮かび漂っていた。 . ******************************************************************* . ムゥは、様々な食器を並べた棚が連なるコーナーをさ迷い歩いていた。 棚の下から、別の棚の下へと、人間の気配を伺いながら進むうちに、ムゥ が辿り着いたのは、鍋物用の食器が揃えられたテーブルの下であった。 網状のテーブルクロスが敷かれたその上に、様々な大きさの鉄鍋や土鍋、 勺、ガスコンロなどが並んで展示されている。 その傍には、ビデオ一体型のテレビが置いてあり 鍋物用食器のCMビデオが繰り返し流されていた。 画面には、湯気を立てた鍋料理が次々と映し出される。 キムチ鍋、おでん、湯豆腐、すきやき。 それに続いて、その鍋を頬張る家族の団欒。 家族に混じって、ペット役と思しき実装石の姿も映っており、人間たちと一緒に熱々の 鍋料理を頬張っている。 『もうお腹いっぱいデプゥ~♪』 その実装石が、膨れたお腹をさすりながらひっくり返ると 周りの人間たちは、どっと笑って、その頭を撫でた。 そんな情景が一巡りすると、場面は再び最初に戻り、同じ映像が流れ始めた。 そんなありふれたCMビデオを、熱心に見る客などいない。 客はみな、テレビ画面には一瞥もせずに通り過ぎて行く。 しかし、テレビを見るのも、鍋料理を見るのも初めてのムゥは別だ。 「テェェェェ・・・。」 その幸福を具現化したような一連の映像に釘付けになる。 ムゥの小さな口からは、滝の様によだれが溢れていた。 「あのガラスの箱の中には、温かくて美味しそうなゴハンがいっぱい テチ・・・。優しそうなニンゲンもいたデチ。ワタチもあの箱の中に入って、春 まで面倒見てもらうテチ!」 そう決心すると、ムゥは、テーブルの上から 床すれすれまで垂れ下がる網状のテーブルクロスを、よじよじと伝って 上まで這い上り、テレビ画面の傍まで駆け寄って行く。しかし、どこに 入り口があるのか分からない。 「テェェ・・・?」 テレビの周りをくるりと一周しても、穴もドアもない。 画面には、先程と同じ映像が、繰り返し流れている。その楽園のような 光景を眼前にしながら、ムゥは途方に暮れてしまった。 その時、人間の気配がムゥの背後から近づいて来た。 「テテッ!」 キューが無残に殺された光景を思い出し、慌ててすぐ近くの土鍋の中に隠れるムゥ。 現れた人間は、食器売り場を担当する従業員であった。従業員は、ムゥ には気付かないまま、テレビに近づき、画面下の丸いスイッチを押した。 すると、画面が暗くなり、機械音とともにビデオの挿し込み口が開いて、テープが出てきた。 そのテープを回収すると、従業員は、背を向けてもと来た方向へ歩き去って行った。 「テチュ~ン、あんな所に入り口があったテチ♪」 従業員の一連の作業を土鍋の中から見ていたムゥは、合点がいったとばかりに土鍋から這い出し、 再びテレビに近づくと、テープの挿し込み口を体ごと押し開きながら、中に滑り込んだ。 「テェ?」 予期に反して、テレビの中には、暖かい部屋も、鍋料理もなく、優しそうな人間の家族もいなかった。 それどころか、小さな仔実装一匹立 ち上がるスペースもない。その代わりにあったのは、複雑な機械や基盤、コードなどであった。 「何でチカこれは?ひどいペテンデチ!」 憤るムゥ。 這いつくばったままデッキの中で方向転換し、外に出ようとした、その時である。 いきなり、黒いプラスチックの箱が、出入り口から差し込まれた。 ムゥがデッキの中で戸惑っている間に、先程の従業員が、別のCMビデオのテープを持って来たのだ。 「テェェェェ!」 テープに押され、デッキの奥まで突き入れられるムゥ。デッ キの最奥で、必死に踏ん張って箱の侵入を阻止しようとするものの、抵抗 あえなく、ムゥの柔らかい腹は無残に押し潰された。 「テチャッ・・・!」 口と総排泄口から、ムゥの体内で行き場を失った臓物が溢れ出す。 何も知らない従業員は、淡々とリモコンの再生ボタンを押した。しかし、 デッキからは、「ウィーン、ウィーン」と、くぐもった機械音がするばかりで一向に再生が始まらない。 不審に思った従業員は、様子を見るべく一旦 テープを取り出したが、次の瞬間 「うわぁっ!」 と悲鳴を上げてそれを取り落とした。 ビデオテープには、緑色のねばねばした汚らしい肉汁が大量にこびり付いていたのだ。 . ******************************************************************** . 七女のナァと八女のヤァが潜り込んでいた段ボール箱が運び込まれたのは、 6階のおもちゃ・ペット売り場であった。 その段ボール箱は、売り場到着後も即座に開梱されることはなく 奥の在庫置き場に、他の段ボール箱とともに積み上げられた。 二匹が潜んでいた段ボール箱の中身は、いわゆる「食玩」であった。 エレベーターで運ばれる途中、段ボール箱の中で空腹に我慢できず 二匹が齧り開けた紙箱の中からは、ブラスチック製のロボット人形と チョコレートを挟んだウエハースが出てきた。 ウエハースなど見たこともなかった 二匹だが、食べ物だということは、甘い香りからすぐに分かった。
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