タイトル:【塩】 蛆の存在価値とは・・・
ファイル:山林の野生実装石.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:801 レス数:2
初投稿日時:2006/06/01-01:40:02修正日時:2006/06/01-01:40:02
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とある山林に住む野生の実装石達は、厳しい冬を越す為の面白い習慣がある。 1つの家族を例にその様子を見てみようと思う。 ------------------------------------------------------------------------ 「う、産まれそうデスゥ〜」 両目を赤く染め、大きなお腹を抱えた実装石が慌てて走っていた。 出産間近だと言うのに居眠りでもしていたのだろうか? 何とか、水溜りに間に合ったその実装石がゆっくりと座ると、出産が始まった。 総排泄口が徐々に広がり、緑色の粘膜に包まれた蛆のような姿の子供が次々に 出てくる。 6匹と、実装石としては平均的な数だ。 「ママレフーン」 「ママ、ナメナメしてほしいレフ〜」 産まれてきたばかりの蛆実装達は本能的に粘膜を舐め取って貰おうと、親の元へ 一斉に這い寄り始める。 親はまず一番初めに生まれてきた仔を両手で優しく抱き上げると、丁寧に粘膜を 舐めとり始めた。 粘膜が取れ、窮屈な格好から開放された仔実装が声を上げる。 「テッテレ〜、ママありがとうテチ!」 1匹目が粘膜を取り終えたのを見て、他の蛆実装達も粘膜をとって欲しいと並び だした。 しかし、親は急に1匹の仔実装を抱き抱えたまま水辺から数歩下がり座った。 当然それを蛆実装達も追いかける。 まだ湿り気がある場所とは言え、体が空気に晒される場所に、親を求めて上がっ て来てしまったのだ。 「ママァ〜ナメナメしてレフ〜」 親はちょっと待つように言い、先ほど仔実装になった仔を両手で抱え、 まだ所々湿っている場所を乾かすように風に当てている。 その内に、蛆実装達の中から切羽詰った声が聞こえ始める。 「ママ!?ママァはやくしてほしいレフ〜」 「周りが硬くなってきたレフ」 「ワタチもおててとあんよがほしいレフゥ」 水から上がり、外気に触れ続けた事で、粘膜が段々硬くなり、その形で固定され 始めている。 硬くなるといっても、粘膜は実装の服のようになるだけなので、動けなくなる事 は無い。 しかし、蛆実装達は知っている、粘膜が硬くなる前にナメナメして貰えない実装 は一生這いずり回り生きる事しか出来なくなる事を・・・。 それから、ほんの2.3分だろうか、5匹の蛆実装達は皆声を揃えて泣いていた。 「ママァ、どうしてレフゥ〜」 「ワタチもおねえちゃんみたいになりたかったレフ・・・」 「レェェェン」 産まれて来てその喜びの直後にやってきた絶望。 1匹の仔実装も心配そうに親に尋ねた。 「ママ?どうして妹達にもナメナメして上げなかったテチィ?」 「何言ってるの、あなたに妹なんてまだ居ませんよ」 「テチィ!?」 仔実装は驚いた顔をして蛆と親を何度も交互に見ていた。 そこに少し成長した仔実装と中ほどまで成長した仔実装が現れた。 「ママ、迎えに来たテス!」 「ワタシの妹生まれたテチュ?」 産まれたばかりの仔実装は、やってきた2匹にビックリしたようだが、直ぐに血 の繋がりを感じたのか落ち着きを取り戻した。 「お姉ちゃん達テチィ?よろしくテチィ」 「よろしくテス」 「やったテチュ、ワタシにも妹が出来たテチュン」 小さい方は妹が出来たのが余程嬉しかったらしく、飛び掛るように抱きついた。 「それじゃ、その仔巣まで連れて行ってデス、ママは荷物を運ぶデスから」 その言葉を聞くと一番大きな仔が先頭に立ち、彼女たちの巣へ歩いていった。 子供達が行ったのを確認すると、親は絶望に涙し震える蛆達の方を振り返った。 「さてと、痛い思いをしたくなかったら出来るだけ反り返るように努力すると いいデスよ」 そう言うと、蛆実装達の尻尾を右手に3、左手に2掴むと、引きずり出した。 「レレレレレェェェ!!」 「いたいレフゥ、いたいレフゥ」 「ママァ、やめてレフ〜」 蛆でしかも産まれたばかりの蛆実装に反り返ってバランスを取る事なんて出来 るわけが無い。 尻尾だけ掴まれた蛆実装達は転がったり、突起物に当たって跳ねたり、捻ったり と散々な状態になる。 巣に到着する頃には全身に傷が無い蛆実装は1匹もいない状態であった。 「さあ、ここに入るデス」 巣に行くのかと思ったら、親実装は直ぐ横の地面にひいてある1枚のダンボール をずらした。 中には10cmほどの深さに掘られた50cm×50cm程の広さの凹みがあった。 蛆実装達は次々にその下へ転がり落とされていく。 「レビャ!」 転がった蛆実装が何かにぶつかって止まった。 その何かを確認しようと顔を上げた蛆実装の目には自分たちよりも一回り大きな 蛆実装達とさらに大きな蛆実装達が映った。 「あなたたちも選ばれなかったんレフね・・」 ------------------------------------------------------------------------ この山林で妊娠した実装石が子供を出産する時、粘膜を舐めとるのは必ず1匹の みで、その他は蛆として決められた場所に集められるのだ。 蛆達が集められる場所は大抵が穴で、這うことしか出来ない蛆実装が自力で出る 事は不可能になっている。 この行為は春〜秋にかけて子供が生まれる度に行われ、その度に哀れな蛆実装達 が作られ、集められていく。 そして冬がやってくる。 ------------------------------------------------------------------------ 「寒くなってきたデスゥ」 山林にしんしんと雪が舞う。 親実装は食べ物を探すために出かけていたが、3時間探して見つけられたのは、 小さなキノコ1つだけだった。 「そろそろ・・・デスね。」 何かを決めたような顔をして、巣へと戻っていく。 「ママーご飯取ってきたデスか?」 「お腹空いたテスゥ」 「ペコペコテチィ」 「もううごけないテチ・・・」 あれからさらに1回の出産をした為に、子供の数は4匹に増えていた。 「今日はこれだけデス」 と言いながらキノコを1つ子供達の前に出した。 「ママ、これじゃ皆食べられないデスよ」 「すくないテチ」 ここ数日段々と餌が減り、空腹が限界に近い時にキノコ1つでは不満を言いたく なるだろう。 だが、親実装は怒りはせずに、付いて来るように言うと巣の外に出た。 たどり着いた所は巣の直ぐ横、この家族がトイレにしている場所だ。 「ここはトイレテス・・・まさかウンコを食べるテス??」 次女の発言に子供達は一斉に驚いたような顔をした。 「それは本当に最終手段デスが、ワタシ達にはまだ食べ物があるデスよ」 親実装はそう言うと、トイレのフタになっているダンボールをずらし始めた。 5cmほどずらすと、そこから中に手をいれる。 「レ?レフゥ〜〜!!」 突然の事に驚いたのか、大きく成長した蛆実装が声を上げながら引っ張り出さ れた。 「うれしいレフレフ〜〜ン」 蛆実装は出してもらえたと勘違いして喜びを全身で表現していた。 産まれた時から理不尽に扱われ、直ぐに薄暗い中に閉じ込められていたのだ。 死ぬまで蛆のままとは言え、やはり外に出られるのは嬉しいのだろう。 だが、現実は無常である。 親実装は蛆実装の汚れた服を破り裂き、少し積った雪で体を綺麗にする。 そして前に少ししかない髪も引き抜いた。 「レェェレビャァァァァァァァァ!!」 唯でさえ蛆なのだ、服も髪も失った衝撃は相当なものだろう。 何よりも蛆にとっては今でも唯一の親である親実装から受けた仕打ちだ。 混乱と悲しみが津波のように蛆実装の心を襲う。 「さあ、美味しいデスよ」 親実装はそう言うと、背中の真ん中辺りに噛み付き、食いちぎった。 あの体のどこから出しているのかと言いたくなるような悲鳴が響く。 だが、そんな事は気にしないかのように、4匹の子供達も食らい付いた。 産まれた時は妹だと言う認識があったが、直ぐに会えなくなった上に、優しい 姉妹達に囲まれ生活していると、蛆実装が姉妹であった事など完全に忘れてい るのだろう。 蛆実装の最後の悲鳴が聞こえてから5分ほどで、長さだけは成体並になった蛆 実装は食べきられてしまった。 「なかなか美味しいデス」 「お腹一杯テスゥ」 「ぱんぱんテチィ」 「もう・・・たべられないテチ」 子供達は大満足で巣に戻っていった。 親実装は、ずらしたダンボールの隙間から射す光りに群がる蛆達を見た。 「ママァ、ワタシもだしてほしいレフゥ」 「くさいレフ、もうウンチたべるのはイヤレフ・・・」 「ワタチもママといっしょにいたいレフゥ」 どの蛆実装も翠色の服は糞の色に染まり、汚い色をしている。 どうやら、さっき食べられた蛆実装が外に出て、親と暮らせるようになったのだ と勘違いしているようだ。 「安心なさい、近いうちに皆出れるデス。だからちゃんと糞を食べるデスよ」 それだけを言うとダンボールを元の位置に戻して、巣に戻った。 ------------------------------------------------------------------------ 一般的に野生の実装石達は、糞を決められた場所でしか出さない。 緊急時には食べ物の代用品として使えるほどの栄養素を含む糞の臭いは人間ほど では無いにしても実装石自身にも相当堪えるようだ。 それで何処に住む実装石でも野生ならば、トイレを巣の近くに必ず作るのだ。 中にはトイレを共同で保有するグループも存在している。 この山林に住む実装石達はそのトイレをさらに有効利用する為にと、餌の取れ ない冬場を凌ぐ為に、トイレで蛆実装を飼う事を考えたのだ。 そして、トイレは大抵穴のような凹みにフタがされている形なのだ。 先にも述べた様に実装石の糞には栄養素が多いので、蛆を立派に成長させるに は十分すぎる餌となる。 そして糞を食べ続け栄養素を溜め込んだ蛆実装はただ冬場を凌ぐ為の非常食と 言うよりは、高カロリーの御馳走となるのだ。 この山林では仔に選ばれなかった蛆は家畜でしかなかった。 ------------------------------------------------------------------------ ダンボールが2・3cmほどずらされ、糞が落ちてくる。 「すっきりテチ」 どうやら一番小さな仔実装がトイレに来ていたらしい。 再びダンボールがずらされ、中が真っ暗になると、先ほどの明かりを手がかりに 糞の場所に蛆実装達が群がる。 この家族は平均よりやや少なめとは言え、蛆実装達は22匹もいる。 糞に群がる光景はちょっと気持ちの悪い物だろう。 「ワタチが食べるレフ」 「ウンチいっぱいたべて、だしてもらうレフ」 「はやくおおきくなるためにたべるレフゥ」 「おねえちゃんたちとあそびたいレフ」 蛆実装達は、糞を食べて大きくなれば出してもらえると信じていた。 親実装や子供達からはただの糞を処理する家畜としてしか見られていないのに。 蛆実装達にとっては、親であり、姉妹達だという認識があった。 今日も明日も明後日も、何時か出してもらえる事を信じて、蛆実装達は親、姉妹 達の糞に群がり続ける。 残酷な現実を知る暇も無く食べ殺されるその日まで。 ------------------------------------------------------------------------ 余談だが、この山林の実装石達は出産をするタイミングも考えている。 夏の終わり〜秋の中ほどまでに出産をし、その子供達と共に冬を越す。 春から夏にかけて独り立ちの教育を施し、夏の終わりまでに巣立って行く。 そして、また出産の時期がやってくるのだ。 繁殖力の高さで有名であり、それがまた問題も引き起こす事が多い実装石だが、 この山林の実装石達はそういう問題とは無縁であった。 もちろん育てると決めた仔が全員無事育つ可能性は低い。 途中で獣に襲われることも、食実装植物に捕まることも、病死する事もある。 それでも数が減少する事はない。 少ない仔を段階的に育てる事で親の負担が減る為に9割以上が賢く育つ。 警戒心が強く、確実に子孫を残し、着実に種を繁栄させていく。 広大なこの山林からこの群が溢れるのは、計算上50年、いや100年はかかるだ ろう。 その時、賢い彼女達がどの様な行動を取るのか見る事が出来ないのが残念だ。 (終) ------------------------------------------------------------------------ 以前mayのスレで書いた話をちょっと加工したものです。 とある山林に住む野生の実装石達は、厳しい冬を越す為の面白い習慣がある。 1つの家族を例にその様子を見てみようと思う。 ------------------------------------------------------------------------ 「う、産まれそうデスゥ〜」 両目を赤く染め、大きなお腹を抱えた実装石が慌てて走っていた。 出産間近だと言うのに居眠りでもしていたのだろうか? 何とか、水溜りに間に合ったその実装石がゆっくりと座ると、出産が始まった。 総排泄口が徐々に広がり、緑色の粘膜に包まれた蛆のような姿の子供が次々に 出てくる。 6匹と、実装石としては平均的な数だ。 「ママレフーン」 「ママ、ナメナメしてほしいレフ〜」 産まれてきたばかりの蛆実装達は本能的に粘膜を舐め取って貰おうと、親の元へ 一斉に這い寄り始める。 親はまず一番初めに生まれてきた仔を両手で優しく抱き上げると、丁寧に粘膜を 舐めとり始めた。 粘膜が取れ、窮屈な格好から開放された仔実装が声を上げる。 「テッテレ〜、ママありがとうテチ!」 1匹目が粘膜を取り終えたのを見て、他の蛆実装達も粘膜をとって欲しいと並び だした。 しかし、親は急に1匹の仔実装を抱き抱えたまま水辺から数歩下がり座った。 当然それを蛆実装達も追いかける。 まだ湿り気がある場所とは言え、体が空気に晒される場所に、親を求めて上がっ て来てしまったのだ。 「ママァ〜ナメナメしてレフ〜」 親はちょっと待つように言い、先ほど仔実装になった仔を両手で抱え、 まだ所々湿っている場所を乾かすように風に当てている。 その内に、蛆実装達の中から切羽詰った声が聞こえ始める。 「ママ!?ママァはやくしてほしいレフ〜」 「周りが硬くなってきたレフ」 「ワタチもおててとあんよがほしいレフゥ」 水から上がり、外気に触れ続けた事で、粘膜が段々硬くなり、その形で固定され 始めている。 硬くなるといっても、粘膜は実装の服のようになるだけなので、動けなくなる事 は無い。 しかし、蛆実装達は知っている、粘膜が硬くなる前にナメナメして貰えない実装 は一生這いずり回り生きる事しか出来なくなる事を・・・。 それから、ほんの2.3分だろうか、5匹の蛆実装達は皆声を揃えて泣いていた。 「ママァ、どうしてレフゥ〜」 「ワタチもおねえちゃんみたいになりたかったレフ・・・」 「レェェェン」 産まれて来てその喜びの直後にやってきた絶望。 1匹の仔実装も心配そうに親に尋ねた。 「ママ?どうして妹達にもナメナメして上げなかったテチィ?」 「何言ってるの、あなたに妹なんてまだ居ませんよ」 「テチィ!?」 仔実装は驚いた顔をして蛆と親を何度も交互に見ていた。 そこに少し成長した仔実装と中ほどまで成長した仔実装が現れた。 「ママ、迎えに来たテス!」 「ワタシの妹生まれたテチュ?」 産まれたばかりの仔実装は、やってきた2匹にビックリしたようだが、直ぐに血 の繋がりを感じたのか落ち着きを取り戻した。 「お姉ちゃん達テチィ?よろしくテチィ」 「よろしくテス」 「やったテチュ、ワタシにも妹が出来たテチュン」 小さい方は妹が出来たのが余程嬉しかったらしく、飛び掛るように抱きついた。 「それじゃ、その仔巣まで連れて行ってデス、ママは荷物を運ぶデスから」 その言葉を聞くと一番大きな仔が先頭に立ち、彼女たちの巣へ歩いていった。 子供達が行ったのを確認すると、親は絶望に涙し震える蛆達の方を振り返った。 「さてと、痛い思いをしたくなかったら出来るだけ反り返るように努力すると いいデスよ」 そう言うと、蛆実装達の尻尾を右手に3、左手に2掴むと、引きずり出した。 「レレレレレェェェ!!」 「いたいレフゥ、いたいレフゥ」 「ママァ、やめてレフ〜」 蛆でしかも産まれたばかりの蛆実装に反り返ってバランスを取る事なんて出来 るわけが無い。 尻尾だけ掴まれた蛆実装達は転がったり、突起物に当たって跳ねたり、捻ったり と散々な状態になる。 巣に到着する頃には全身に傷が無い蛆実装は1匹もいない状態であった。 「さあ、ここに入るデス」 巣に行くのかと思ったら、親実装は直ぐ横の地面にひいてある1枚のダンボール をずらした。 中には10cmほどの深さに掘られた50cm×50cm程の広さの凹みがあった。 蛆実装達は次々にその下へ転がり落とされていく。 「レビャ!」 転がった蛆実装が何かにぶつかって止まった。 その何かを確認しようと顔を上げた蛆実装の目には自分たちよりも一回り大きな 蛆実装達とさらに大きな蛆実装達が映った。 「あなたたちも選ばれなかったんレフね・・」 ------------------------------------------------------------------------ この山林で妊娠した実装石が子供を出産する時、粘膜を舐めとるのは必ず1匹の みで、その他は蛆として決められた場所に集められるのだ。 蛆達が集められる場所は大抵が穴で、這うことしか出来ない蛆実装が自力で出る 事は不可能になっている。 この行為は春〜秋にかけて子供が生まれる度に行われ、その度に哀れな蛆実装達 が作られ、集められていく。 そして冬がやってくる。 ------------------------------------------------------------------------ 「寒くなってきたデスゥ」 山林にしんしんと雪が舞う。 親実装は食べ物を探すために出かけていたが、3時間探して見つけられたのは、 小さなキノコ1つだけだった。 「そろそろ・・・デスね。」 何かを決めたような顔をして、巣へと戻っていく。 「ママーご飯取ってきたデスか?」 「お腹空いたテスゥ」 「ペコペコテチィ」 「もううごけないテチ・・・」 あれからさらに1回の出産をした為に、子供の数は4匹に増えていた。 「今日はこれだけデス」 と言いながらキノコを1つ子供達の前に出した。 「ママ、これじゃ皆食べられないデスよ」 「すくないテチ」 ここ数日段々と餌が減り、空腹が限界に近い時にキノコ1つでは不満を言いたく なるだろう。 だが、親実装は怒りはせずに、付いて来るように言うと巣の外に出た。 たどり着いた所は巣の直ぐ横、この家族がトイレにしている場所だ。 「ここはトイレテス・・・まさかウンコを食べるテス??」 次女の発言に子供達は一斉に驚いたような顔をした。 「それは本当に最終手段デスが、ワタシ達にはまだ食べ物があるデスよ」 親実装はそう言うと、トイレのフタになっているダンボールをずらし始めた。 5cmほどずらすと、そこから中に手をいれる。 「レ?レフゥ〜〜!!」 突然の事に驚いたのか、大きく成長した蛆実装が声を上げながら引っ張り出さ れた。 「うれしいレフレフ〜〜ン」 蛆実装は出してもらえたと勘違いして喜びを全身で表現していた。 産まれた時から理不尽に扱われ、直ぐに薄暗い中に閉じ込められていたのだ。 死ぬまで蛆のままとは言え、やはり外に出られるのは嬉しいのだろう。 だが、現実は無常である。 親実装は蛆実装の汚れた服を破り裂き、少し積った雪で体を綺麗にする。 そして前に少ししかない髪も引き抜いた。 「レェェレビャァァァァァァァァ!!」 唯でさえ蛆なのだ、服も髪も失った衝撃は相当なものだろう。 何よりも蛆にとっては今でも唯一の親である親実装から受けた仕打ちだ。 混乱と悲しみが津波のように蛆実装の心を襲う。 「さあ、美味しいデスよ」 親実装はそう言うと、背中の真ん中辺りに噛み付き、食いちぎった。 あの体のどこから出しているのかと言いたくなるような悲鳴が響く。 だが、そんな事は気にしないかのように、4匹の子供達も食らい付いた。 産まれた時は妹だと言う認識があったが、直ぐに会えなくなった上に、優しい 姉妹達に囲まれ生活していると、蛆実装が姉妹であった事など完全に忘れてい るのだろう。 蛆実装の最後の悲鳴が聞こえてから5分ほどで、長さだけは成体並になった蛆 実装は食べきられてしまった。 「なかなか美味しいデス」 「お腹一杯テスゥ」 「ぱんぱんテチィ」 「もう・・・たべられないテチ」 子供達は大満足で巣に戻っていった。 親実装は、ずらしたダンボールの隙間から射す光りに群がる蛆達を見た。 「ママァ、ワタシもだしてほしいレフゥ」 「くさいレフ、もうウンチたべるのはイヤレフ・・・」 「ワタチもママといっしょにいたいレフゥ」 どの蛆実装も翠色の服は糞の色に染まり、汚い色をしている。 どうやら、さっき食べられた蛆実装が外に出て、親と暮らせるようになったのだ と勘違いしているようだ。 「安心なさい、近いうちに皆出れるデス。だからちゃんと糞を食べるデスよ」 それだけを言うとダンボールを元の位置に戻して、巣に戻った。 ------------------------------------------------------------------------ 一般的に野生の実装石達は、糞を決められた場所でしか出さない。 緊急時には食べ物の代用品として使えるほどの栄養素を含む糞の臭いは人間ほど では無いにしても実装石自身にも相当堪えるようだ。 それで何処に住む実装石でも野生ならば、トイレを巣の近くに必ず作るのだ。 中にはトイレを共同で保有するグループも存在している。 この山林に住む実装石達はそのトイレをさらに有効利用する為にと、餌の取れ ない冬場を凌ぐ為に、トイレで蛆実装を飼う事を考えたのだ。 そして、トイレは大抵穴のような凹みにフタがされている形なのだ。 先にも述べた様に実装石の糞には栄養素が多いので、蛆を立派に成長させるに は十分すぎる餌となる。 そして糞を食べ続け栄養素を溜め込んだ蛆実装はただ冬場を凌ぐ為の非常食と 言うよりは、高カロリーの御馳走となるのだ。 この山林では仔に選ばれなかった蛆は家畜でしかなかった。 ------------------------------------------------------------------------ ダンボールが2・3cmほどずらされ、糞が落ちてくる。 「すっきりテチ」 どうやら一番小さな仔実装がトイレに来ていたらしい。 再びダンボールがずらされ、中が真っ暗になると、先ほどの明かりを手がかりに 糞の場所に蛆実装達が群がる。 この家族は平均よりやや少なめとは言え、蛆実装達は22匹もいる。 糞に群がる光景はちょっと気持ちの悪い物だろう。 「ワタチが食べるレフ」 「ウンチいっぱいたべて、だしてもらうレフ」 「はやくおおきくなるためにたべるレフゥ」 「おねえちゃんたちとあそびたいレフ」 蛆実装達は、糞を食べて大きくなれば出してもらえると信じていた。 親実装や子供達からはただの糞を処理する家畜としてしか見られていないのに。 蛆実装達にとっては、親であり、姉妹達だという認識があった。 今日も明日も明後日も、何時か出してもらえる事を信じて、蛆実装達は親、姉妹 達の糞に群がり続ける。 残酷な現実を知る暇も無く食べ殺されるその日まで。 ------------------------------------------------------------------------ 余談だが、この山林の実装石達は出産をするタイミングも考えている。 夏の終わり〜秋の中ほどまでに出産をし、その子供達と共に冬を越す。 春から夏にかけて独り立ちの教育を施し、夏の終わりまでに巣立って行く。 そして、また出産の時期がやってくるのだ。 繁殖力の高さで有名であり、それがまた問題も引き起こす事が多い実装石だが、 この山林の実装石達はそういう問題とは無縁であった。 もちろん育てると決めた仔が全員無事育つ可能性は低い。 途中で獣に襲われることも、食実装植物に捕まることも、病死する事もある。 それでも数が減少する事はない。 少ない仔を段階的に育てる事で親の負担が減る為に9割以上が賢く育つ。 警戒心が強く、確実に子孫を残し、着実に種を繁栄させていく。 広大なこの山林からこの群が溢れるのは、計算上50年、いや100年はかかるだ ろう。 その時、賢い彼女達がどの様な行動を取るのか見る事が出来ないのが残念だ。 (終) ------------------------------------------------------------------------ 以前mayのスレで書いた話をちょっと加工したものです。

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1 Re: Name:匿名石 2020/03/08-04:35:26 No:00006228[申告]
もはや古典文学の趣さえある
観察系実装スクの金字塔ですな

初めて読んだときの衝撃が忘れられない…
2 Re: Name:匿名石 2022/10/30-04:19:28 No:00006575[申告]
ウジちゃんは非常食ってのがよく分かる一本デス
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