タイトル:【馬】 臭いところで待ち合わせ
ファイル:臭いところで待ち合わせ.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3327 レス数:3
初投稿日時:2007/01/09-12:29:25修正日時:2007/01/09-12:29:25
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【臭いところで待ち合わせ】



公園の公衆トイレの個室で、実装石が力んでいた。
脱糞のためではない、出産のため短い両足を一杯に開き、便器を跨いでいる。
それは彼女の初産であった。

その時までは緊張で体が震えたが、今は落ち着いて分娩に備えていた。
目の前の壁に書かれたサイン──二重丸に縦線、プラス放射状に延びる短い線。
人間ならすぐにそれとわかる卑猥なマーク──に意識を集中することで、
不思議と気持ちを落ち着けることができたのだ。

もし彼女の母親が存命であれば、出産に関して幾ばくかの情報が得られただろう。
あるいは、お産に立ち会ってもらえたかもしれなかった。

しかし、それは叶わぬ願いであった。

かつてこの公園は「虐待派」が跳梁跋扈する、野良実装には危険な場所だった。
彼女の母親も、餌を求めてねぐらを後にした直後に人間に見つかり、撲殺された。

「ゴルフは紳士のスポーツ。
虐待派は紳士。
ならばゴルフの練習を兼ねて実装石を虐待するのは紳士の中の紳士の行い」

という、とても通りそうもない理屈で、ゴルフクラブで母親を滅多打ちしたのである。
その光景を目の当たりにした彼女は、たまらずねぐらを飛び出し、
動かなくなった母親のもとに駆けつけた。
本来ならそこで、五番アイアンで三百ヤードほど飛ばされる運命だった。
だが、そうはならなかった。
かねてから公園内でゴルフの練習をされることに腹を立てていた近隣の住民が、
振り下ろそうとしたゴルフクラブをむんずと掴んだからである。

彼らは虐待紳士が通そうとした屁理屈を逆手に取った。

「虐待紳士を認めるから公園内で危険なゴルフの練習が行われるのだ。
この公園での実装石に対する一切の虐待を禁じる」

かくして虐待監視のボランティア・チームが結成されるとともに、
野良実装の生活の安定を図るため、定期的に食糧が配給されるまでになった。
母親の死が契機となり、その公園は実装石の楽園となったのである。

それ故に彼女は今、安心してお産に臨むことができた。



  ※



彼女は卑猥なマークに集中している。
彼女にとってそれは、お産で昂ぶる自分をクール・ダウンさせてくれる、
優しい母親の眼差しのようでもあった。

産道が開く。
間もなく仔が、この世に生を享ける。
虐待のない、素晴らしいこの世界に。

本来であれば尻を下げ、便器にたまった水に着水させるように、
括約筋を調整して、仔をゆっくりとひり出さなくてはならなかった。
しかし彼女はそれほどに大人ではなかったのである。

その時、彼女の脳裏に去来したのは幼い頃の思い出。
亡き姉と一緒に遊んだ時の記憶だった。

恵まれた飼い実装と違い、野良仔実装は玩具を使って遊ぶことはできない。
身の回りにあるもの、ないしは自分自身の肉体が玩具だった。
二人のお気に入りは「糞飛ばし」という遊びだった。
便意を極限まで我慢した後、最大圧力で糞を噴出させる。
どこまで飛んだか、その距離を競う無邪気な遊びであった。

額に脂汗が滲むほど、腸がねじ切れるほど便意を我慢しても、
彼女はどうしても姉には勝てなかった。
それもその筈、姉は脱糞する直前、砲丸投げの選手のように回転し、
その遠心力を利用して遠くまで糞を放擲していたのである。
姉は「室伏石」の異名を誇っていた。

彼女の思考は次第に混乱し始めていた。
自分は今、お産をしているのか、それとも糞飛ばしをしているのか?

次の瞬間、下げていた尻を持ち上げ、仰角をつけた。
そして、自由落下しようとする仔を一時的に堰き止め、
腸内のガスとともに「発射」したのである。

「しまったデスゥ!」

彼女はたちまち、自分の行いに後悔した。
違う、今は糞飛ばしの時ではない、お産をしているのだ。
放出された仔は放物線を描き、便所の床の染みとなる。
自分のミスで生まれたばかりの仔を死に至らしめるとは、
何と駄目な母親なのだろう。

だが、いつまで待っても仔が着地した音、破滅の音は聞こえてこなかった。

何が起こったのか?
確かめたくても、実装石の体の構造上、つまり頭が大きく首がなかったため、
振り返って後ろを見ることができなかった。
しかも次の仔が光を求めて蠢き出している。
お産のポジションを崩すつもりにはなれなかった。

どうしよう。

彼女が判断を下しかねていたところ、背後で生命誕生の歓喜の声が上がった。

「テッテレー♪」

これはどういうことだ?
彼女の小さい脳がフル回転を始める。
ニンゲンさんだ、ニンゲンさんがワタシの仔をキャッチしてくれたに違いない。
自分があのマークに視線を奪われている間に個室の中に入り、
お産を見守ってくれていたのだ。

母親が死んでから、急にニンゲンさんが自分たちに良くしてくれるようになった。
母親の亡骸にすがりつくワタシを、ニンゲンさんは優しく慰めたくれた。
そのワタシが初産で失敗しないようにと、「後方支援」してくれたのだ。

確かに、背後に体温を感じた。
個室の中に、間違いなく誰かいる。
そのものは確かに、彼女のお産を見守っていた。



  ※



公園のボランティアも楽ではなかった。
ゴルフの練習をする「紳士」はいなくなったが、野良実装の世話が大変だった。
餌を与えることで近隣のゴミ漁りはなくなったものの、
今度は安定した生活のお陰で数が増えすぎ、公園利用者の脅威になりつつある。

公園の清掃を終えたボランティアたちが、手を洗うために公衆トイレに入った。

個室から呻き声が聞こえてくる。
実装石がお産をしているのだろうか。
鍵のかかっていないドアをそっと開いた。



  ※



この狭い空間に誰かいる。
見ることはできないけれど、確かに誰かいる。
自分は一人じゃないんだ。
彼女は幸せのあまり、即興で歌を歌い始めた。

「この世は楽園、ニンゲンが幸せな生活を約束してくれる。
美味しいものは食べ放題、お産の世話までしてくれる。
この世で一番幸せな存在、おお、それは実装石♪」

ニンゲンさんが後方支援で励ましてくれるというのなら、
よし、ワタシも頑張るデスと、
彼女は尻をさらに高く持ち上げ、最大仰角で仔を発射する。
「スポン」という気の抜けた音とともに仔が飛び出すと、
程なくして「テッテレー♪」と喜びの声。

「スポン」
「テッテレー♪」

「スポン」
「テッテレー♪」

「ブポン」
「テッテレー♪」

彼女は続けて三匹の仔を放った。
合計で五匹。
最後の発射音が濁ったのは、仔とともに糞を放ってしまったからだった。

胎内に残るのはあと一匹。
よーし、最後のは盛大に発射するデスと尻を持ち上げた刹那、
何かが総排泄孔に吸いついてきた。
彼女は顔を赤らめた。
ニンゲンさん、今はお産の最中デス。
せっかちにもほどがあるデスゥ。

後ろが見えない彼女にとって、いわば目隠しで愛撫されるようなものである。
かつてない性的興奮を覚え、鼻からスピスピと息が漏れる。

総排泄孔が勢いよく吸われることで、仔が外に出ようとする。
それを抑えるために彼女は括約筋を総動員する。
産道の中を仔が行ったり来たり。
それは彼女にとって新鮮な刺激であり、快感が津波になって押し寄せてきた。

相手の顔も見ないまま絶頂を迎えたくないデス。
イク時は正常位と、彼女にはこだわりがあった。
四つん這いの姿勢からくるりと反転して、
体を便器の中に落として仰向けの姿勢になる。

そこで彼女が見たものは──。



  ※



ボランティアは個室のドアを開け、思わず絶句した。

一匹の実装石が便器の中に寝転がり、両足を開いている。
彼女の股ぐらに、マラ実装石が顔を埋め、ちゅうちゅうと音を立てて吸っている。
吸われているほうは顔を紅潮させ、まるで絶頂を迎えているかのようだった。

ちゅぽんと、はしたない音がして、股ぐらを吸っていたマラ実装石が顔を上げた。
口元から生まれたばかりの仔の胴体がぶら下がっている。
頭部は、そのマラ実装石の口内にあった。
ボランティアが見ている前で歯の上下を合わせると、
糸が切れた操り人形のように、胴体が力なく落下した。
マラ実装石はできるだけ長い時間、仔実装の頭を味わおうとするかのように、
くっちゃくっちゃと必要以上の咀嚼をしている。

よく見れば、仔実装の胴体が床に散乱していた。
全部で五体。
トイレは血まみれだった。

彼女の背後に立っていたのは、人間ではない、このマラ実装だった。
仔実装を発射すると、マラ実装は新庄よろしくそれをキャッチし、
ぺろんと粘膜をひと舐めした。
蛆実装のままより、仔実装のほうが旨いことを知っていたからである。
そして歓喜の声を上げるが早いか、頭からがぶりと喰らいついたのだ。
仔実装は悲鳴を上げる間もなく息絶えた。
そして仔がひり出されるのを待てなくなり、総排泄孔に吸いついたというわけである。

胎内に仔がいなくなったことがわかるや、
便器にはまって身動きの取れない彼女を、マラ実装は禍々しい逸物で貫き始めた。

最初は嫌がっている彼女だったが、次第に快感に抗えなくなったのか、
おぞましいよがり声を上げるようになった。
マラ実装の呻き声とで紡ぐ歪んだ愛の旋律は、人間にこの上ない不快感を与えた。

「これはひどい」

個室の中は、まさにソドムだった。
だとすれば、奴らは神の裁きを受けるべきだ。
いい加減、実装石の世話をすることに限界を感じていたボランティアは確信した。
これは良い契機になる、と。
彼は高解像度のCCDが内蔵されている携帯電話を取り出した。



  ※



彼が提出した写真とレポートにより、
件の公園から実装石は永久に駆除されることとなった。
公園でゴルフの練習をする者もいなくなり、ちょうど良い契機でもあった。

望むと望まざるとに関わらず、母親がもたらした「楽園」は、
その娘によって幕を引くことになったのである。



(終)

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1 Re: Name:匿名石 2020/01/22-20:56:16 No:00006170[申告]
>「糞飛ばし」という遊び
この遊びが流行った公園は地獄絵図だろうな…
2 Re: Name:匿名石 2020/01/23-16:51:46 No:00006171[申告]
やっぱ愛護派はクソだな
公園の秩序を守るために虐待は必要悪だな
3 Re: Name:匿名石 2020/01/23-19:22:37 No:00006172[申告]
虐待したいから虐待するのだ
正当性なんか実装の糞
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