タイトル:【観察】 実装石保護センター2
ファイル:実装石保護センター2.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:503 レス数:1
初投稿日時:2023/02/21-15:03:53修正日時:2023/02/23-08:39:29
←戻る↓レスへ飛ぶ

実装石保護センター2

「テエ?」
キョロキョロする仔実装が一匹。腕には赤いスカーフ。
このスカーフは飼い主が付けてくれたものでいつもいつでも大事にしているもの。
「これをしてればどこにいってもモモちゃんはいつでもみつけてあげられるね」
いつも飼い主はそういっていた。だが今はもういない。
気がついた時、公園にいた。公園での生活は過酷であった。
毎日待っていれば飼い主が食事を与えくれた。公園では激しく食事を奪い合う。
パンのかけらでも米粒ひとつも転がっていれば激しく殺し合う。
汚れた体を洗うこともできぬまま汚物に塗れて朽ちて死ぬ。
奪い合いで敗れたものは汚物を垂れ流しそのまま死に絶えていく。
動かなくなった骸はそのうち何かしらに食われてしまう。
「お腹空いたテチ、お風呂入りたいテチ。ママはどこいったテチ?会いたいテチ」
このスカーフをした仔実装は過酷な公園生活で生存競争の渦中になるべく参加せず
雨水を啜ったり、雑草を食べたりなどして生き延びた。
しかし、公園が役所の実装石一斉駆除を始め、実装保護センターにて保護されることとなった。
水槽の中に自分以外4匹の仔実装。
一匹は頭に火傷の跡があってお腹が空いたと腹を押さえ、もう2匹目はまるまると太っていて、3匹目はゴロゴロと寝ていて、もう4匹目は水槽をバンバン叩いて怒っている。
「は、初めましてテチ!ワタチはモモというテチ」
スカーフをしたモモというこの実装石はお行儀よく挨拶した。
太った実装石は挨拶したことに気づいき、挨拶仕返す。
「初めましてテチ、ワタチはミミというテチ」
他の仔達はモモに興味を示さなかった。
「よろしくお願いしますテチ」
「ここはどこなんテチ?気がついたらここにいたんテチ・・・」
モモがミミに尋ねる。
「ここは保護センターというところテチ。公園にいると連れていかれるところテチ」
保護センター。モモは身震いした、そして飼い主を離れ、遠いところに行ってしまったことに悲しくなった。
「いい仔にしていれば食べ物ももらえて可愛がってもらえるところテチ」
「そうなんテチ・・・」
公園の過酷な生活を思い出すとかなり恵まれた場所のように思えた。
しばらくして水槽にニンゲンがやってきた。
ニンゲンは5つのペットボトルの蓋に餌を入れ、それを水槽にそのまま置いてじっとこっちを観察している。
「ご飯がきたテチ!」
さっきから腹が減ったとうるさかった火傷をした仔実装が食事に飛びついた。
寝ている仔実装はまだ腹が減っていないとばかりに食事を無視して寝続ける。
怒っている仔実装は
「こんなもの食べたくないテチ!もっとうまいご飯を持ってこいテチ」
と蓋をひっくり返した。
「いらないんテチ?ならワタチが食べちゃうテチ!」
転がった餌を食べる仔実装。
残った二つの餌の入った蓋。
太った仔実装、ミミはそれぞれを訝しく覗き込んで匂いを嗅ぐ。
少し手で触って触った手を舐める。
「これ・・・毒が入ってるテチ」
怯えた顔でスカーフをした仔実装、モモの顔を見た。
「ど、毒テチ?食べたらダメテチ?」
「お腹痛い痛いになって死んじゃうかもしれないテチ。ワタシの妹ちゃんは毒を食べてしんじゃったんテチ」
「死ぬ・・・テチ?」
死ぬのは嫌テチ。公園でいっぱい死んだ同族を見てきたモモは死ぬと言う言葉で一気に食欲を失った。
「こんなに美味いのにオマエタチは食べないんテチ?ならもらっちゃうテチ」
火傷をした仔実装は残りの餌も全て手を付け始める。
「うまいテチ!腹ペコだったから何食べても美味いテチ!」
涙を流して餌を頬張る火傷をした仔実装。
「ダメテチ!そのご飯には毒が入ってるんテチ!それ以上食べたら死んじゃうテチ!」
モモは餌を頬張る仔実装に忠告するが止まらない。
「アンタバカテチィ?こんな美味しいご飯に毒なんて・・・・・・」
嘲笑して最後の餌に手をかけようとした時、火傷仔実装の体に異変が起きた。
ブバッと目から大量の涙が溢れる、血涙と言う奴だ。
「目が!お目目が痛いテチ!」
次に腹が膨らんでいく。
「お腹が痛いテチ!お腹が破れちゃうテチ!!!」
ブチッという音と共に火傷仔実装のお腹が破れる。
「テギャアアアアアア!!!!」
火傷仔実装はお腹からふたつに分離してそのまま死に絶えた。
「やっぱり毒が入ってたんテチ・・・」
ミミはワナワナと口を押さえて震える。
『いい仔にしていれば食べ物ももらえて可愛がってもらえるところテチ』
先ほど自分が言った言葉を思い出す。
「いい仔にしていたら可愛がってもらえるんじゃなかったんテチ?」
モモがミミにすがるように問う。ミミにはその問いに応えることができなかった。
「よく寝たテチ。お腹空いたテチ」
さっきまで寝ていた仔実装は死んだ仔実装を尻目に残った餌に手を付ける。
「それはダメテチ!!!」
ミミとモモが止めようとする前に寝ていた仔実装は餌を食べてしまった。
「ごちそうさまテチ」
仔実装は餌を食べ終えるとまたコロンと寝始めた。
「ここは地獄テチ!!こんなところから早くワタチを出すテチ!!」
怒った仔実装は泣きながら水槽を叩き続けた。



■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため5472を入力してください
1 Re: Name:匿名石 2023/02/22-02:55:27 No:00006866[申告]
早速手厳しい洗礼が仔実装を襲ってますねワクテカ
戻る