タイトル:【哀】 仔実装チーちゃん6
ファイル:仔実装チーちゃん6.txt
作者:特売 総投稿数:39 総ダウンロード数:649 レス数:6
初投稿日時:2023/02/12-14:51:29修正日時:2023/02/13-04:13:04
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仔実装チーちゃん6


前回までのあらすじ

チーを攫ったのは晶子は早速虐待を開始する

服と髪を失いそして偽石までも奪われたチーは絶望し
ただ泣くばかりであった

そして晶子の奸計に嵌められての強制脱糞で
唯一残ったプライドまでも砕かれてしまう

そんなチーに晶子の魔手が迫っていた

一方警察からの連絡で晶子が自宅に戻っていない事を知った敏子は
居てもたってもいられなくなり晶子の行方を追った

途中で会った情報通の恵美さんからの助言で
潜伏している可能性が高い廃アパートの事を知ると
一旦家に戻って夫と相談
隠れ家の特定とチーの奪還のための作戦を立て実行する

そして見立て通り廃アパートの一室に
晶子が居ることを確信した敏子は夫に警察への通報を頼み
単身部屋の中へと飛び込んだ

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ドアを開けた瞬間、異臭が鼻を突く
何かが腐っているような臭いだ
早くチーちゃんを救出しなければと気持ちが焦る

室内に入った私はそのままダイニングを抜け
奥の部屋まで一気に走って行った

そこには異様な光景が広がっていた
小さな机の前の椅子に晶子が力なく座っている

更に近寄り顔を覗き込む
その顔は恍惚として口元はだらしなく開いてよだれを垂らしている
目は明らかに逝っており焦点が定まってなかった

着衣は乱れていて下半身は丸出しであった
敏子はその様子を見て吐きそうになったが、辛うじて耐えた

そしてチーちゃんがどこにいるのか机の上を見たのだが

肌色の達磨が突き刺さった棒と液体が入ったコップが置かれているだけだった

だが、その達磨を見た瞬間私の顔から血の気が引くのを感じた

それは紛れもないチーちゃんだったのだ

その惨状に全身が震え涙があふれた

「チーちゃん…どうして…こんな姿に…」

ひたすら嗚咽が漏れだす

ヂッ…ジィィ…

微かではあるがチーちゃんの声が聞こえた

まだ生きている

私はチーちゃんを手に取ると一刻も早くここを離れようとした

だがそれは片腕を強く掴まれて阻止された

振り向くと晶子が鬼のような形相でこちらを睨んでいた
私はそのまま突き飛ばされ床に叩きつけられる形になって倒れた

「敏子…どうしてアンタがここに居るのよ…それは私の物よ…返せ…」

ヒィッ!

晶子の異様な様子に思わず小さな悲鳴が出た

「前からアンタの事は嫌いだったのよ…
子供もいないくせに夫婦そろって幸せそうにしやがって…
ずるいんだよ…私ばかりなんでしんどい思いをしないといけないのよ…
ちくしょう…ちくしよう…」

地の底から呻くような声で私に恨み言をぶつけ馬乗りになって私を殴り始める

私はチーちゃんを庇いながらひたすら暴力に耐えていたが
やがて意識が朦朧としてきた

もうダメかと思った時だった

バンッと言う音と共に複数の人が入って来る足音が響いた

警察官が突入してきたのだ夫も後からついて来ている

そして晶子はあっさりと引き剝がされて逮捕された
暴行の現行犯逮捕であった

その後私は単独で突入したことを警官に叱られたのだが
緊急事態だったという事ですぐに解放された

一刻も早くチーちゃんの治療をと思い獣医に連絡を入れる
夜遅くにも拘らず早く連れて来なさいと言われ
チーちゃんをキャリーバッグに入れ偽石をハンカチで大切に包んで
獣医さんの元に向かった

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急いで獣医の元にチーちゃんを連れてきたのだが
容態は良くないと言われた

出来る限りの処置はしてくれたのだが
もって三日と宣告された

偽石が真っ黒に変色してヒビまで入りだしていて
もう手の施しようがないのだとか

獣医の見立てでは原因は濃縮タイプの実装活性剤に
偽石を漬け込んだせいだろうと言い
アレは元々実装石の個々の状態に合わせて希釈して調節して
使うものなんだと説明された

そしてこのままではただ苦しむのを長引かすだけだと言い
安楽死を勧められ

夫と私は同意した

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二日後チーちゃんの葬儀をすませた
荼毘に付したあとそこにはわずかな灰しか残らず
それを骨壺に収めて持ち帰った

墓は場所が確保でき次第建てるようにして
それまでは家に安置することにした

晶子は取り調べの最初の頃は犯行を否認
あの仔実装は野良を捕獲したものだと言い張ったが
マイクロチップの照会で言い逃れが出来ないと悟ると
犯行を認める供述を始めたそうだ

またあの地域では晶子の問題行動に関する相談が
以前から多数寄せられているのと

同じころに多発していた窃盗容疑についても追及され
家宅捜査が行われ部屋から盗難届けがあった品々が
多数出てきたことから
更に余罪があるものとして捜査が続いていると言う

二週間後晶子の旦那が訪ねて来て土下座をして謝罪し
弁償金と慰謝料を合わせた
分厚い封筒を菓子折りと一緒に渡してきた

お金をもらったところでチーちゃんが帰ってくるわけでもないので
最初は断ったのだが、晶子に代わってどうしてもお詫びがしたいと
強く言ってきた事もあって結局受け取ることにした

帰り際に旦那が言うには晶子とは離婚して親権はこっちに譲渡させたとか

今後は実家に帰って農業を継いで両親と共に娘を育てるのだと言った

数日後、晶子の旦那は娘を連れて引っ越ししていった

家も数か月くらい後に近くを通ったらすでに更地になっていた

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その後私達は少しずつではあるが日常を取り戻していった

でもチーちゃんの死を私は完全に受け入れていなくて
時々ふさぎ込んでいた

そんなある日の夜私は夢を見た

辺り一面に咲き乱れた花の中でチーちゃんと再会した

「チーちゃん会いたかったよ…私、貴方に謝りたかったの
助けられなくてごめんね…本当にごめん…」

夢の中だと言うのに涙がとめどもなく溢れて来る

『もう泣かないでママ…ワタチはママと一緒に暮らせて幸せだったテチ…』

「チーちゃん貴方、人の言葉を喋れるの?」

私は凄く驚いたのだが

『うん…だってここはママの夢の中だからテチ』

と明るく答えた

困惑している私に構わずチーちゃんは話を続けた

『ママが悲しんでいるとワタチも悲しくなるテチ…
でももうすぐ悲しくなくなるテチ…だから心配しないでほしいテチ…
でも時々はワタチの事を思い出してくれたら嬉しいテチ』

それだけ言うとチーちゃんの姿がスーっと消えていった

『さようならママ…』

私は突然目を覚ました

当たり前だがチーちゃんの姿などどこにもなかった

それから三か月後、突然吐き気をもよおし
まさかと思いつつ産婦人科で検査をしてもらったら
妊娠していることが分かった

正に奇跡としか思えなかった
もうとっくに子供は諦めていたのにだ
夫にその事を報告すると泣いて喜び私を労ってくれた

きっと夢の中でチーちゃんはこの事を伝えようとしたのかもしれない

「ありがとうチーちゃん…私はもう大丈夫よ…だから空から見守っていてね」

もう泣かないと決めたのに少しだけ泣いてしまった

                               終

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1 Re: Name:匿名石 2023/02/12-16:21:19 No:00006792[申告]
実装スクらしからぬEND
人間だろうと実装石だろうと糞蟲は嫌いだからスッキリした最後だった

にしても淫獄団地あたりに出てきそうだな晶子
2 Re: Name:匿名石 2023/02/12-19:37:06 No:00006794[申告]
虐待描写(達磨にされる経緯)がほしかった
3 Re: Name:匿名石 2023/02/13-03:36:42 No:00006798[申告]
切ない最期に目から汁が…
4 Re: Name:匿名石 2023/06/19-05:01:58 No:00007324[申告]
虐待しつつもまた愛だな
窃盗犯は罰を受けて然るべきである
勧善懲悪
happyend
5 Re: Name:匿名石 2023/07/01-18:58:06 No:00007404[申告]
ええ話や…欲を言うなら臨終シーン見たかった
意識戻らず逝ったのかな
6 Re: Name:匿名石 2023/07/08-17:10:08 No:00007475[申告]
数日しか飼ってないよな
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