タイトル:【虐】 実装小話
ファイル:小話......① .txt
作者:kobeUS 総投稿数:45 総ダウンロード数:1554 レス数:3
初投稿日時:2019/04/08-14:51:11修正日時:2019/04/09-17:15:31
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  実装小話  その1    ごはんが欲しいテチ

 この話は、田畑に囲まれた場所にある市立小学校の通学路での話。
 ある野良実装が、5匹の仔実装を連れてこの場所に渡りをして来た。
「子供達!今日からこの場所に住むデス!解ったデスね!」
 彼女は、学校の通学路が見える、場所に段ボールの巣を構えた。
 彼女等は、腹を空かせた同族やニンゲンを怖がらない。

 と言うのも彼女らが、以前住んでいた公園には、毎日、早朝、10時、昼、3時、6時の4回、公園の周辺に住む愛護派の暇を持て余していた金持ち老人が、実装石の為に餌をふんだんにばら撒きに来ていた。
 そうなれば、この場所に居座ろうと噂を聞いた実装達が、こぞって集まって来た。
 愛護派達は、持って来た豆やせんべいを実装達に向かってなげて、実装が餌を取るのを見て喜んでいた。
 1日4回も腹一杯に餌が食えるのなら、どの実装も餌取りにも行かないし、同族の仔実装を狙ったりもしなかった。
 実装達は、餌を貰う時は、きちんと列をなして並び、餌を貰えば「有難うデス!」ときちっとお礼を言った。
 愛護派の老人達は、実装達を自分の孫の様に思い、段ボールや古い毛布等をやって可愛がっていた。
 ところが、特に卑しかったこの一家は、些細な事で同族達と揉め事を起こしてしまい、この公園を追放されてしまった。

 親実装が、住む処を模索している最中、偶々小学校の下校時間にこの場所を通り、沢山の小学生が通学路になっている農道を行き来するのを目にしたのだ。
「此処です!此処に住むデス!」
 親実装は、仔実装達に「此処にも沢山のニンゲンさんが来るデス!可愛い御愛想をして、一杯食べ物を貰うデス!
 此処は同族も居ないデスし、揉め事も起こらない、食べ物は全てワタシ達の物デス!解ったデスね!」
「テチ!」
「テッチャ!」
「テチィ!」
「テチッ!」
「テチュウ!」
 5匹の仔実装は、元気に返事をした。
 その日の夕食は、蓄えていた最後の食糧を食べてしまった。

*明日、ニンゲンが通ったら食事をくれるだろう!位にしか思っていないのだろう。
 
 次の朝になった。
 日直の小学生3人登校してきた。
 通学路は、農作業用の軽トラ2台が通れる幅で、両端には用水路が流れている。
 実装達がニンゲンを怖がっていないと言っても、流石に通学路の真横に段ボールを置く事はせず、用水路を挟んで通学路の対岸の田んぼの端に段ボールを置き、手前に小さな板で橋を作って行き来出来る様にしている。

「おい!あんな所に段ボールが有るぜ!実装石だな!」
「しかも田んぼの真ん中に置いている!」
「殺してくれ!とアピールしているんじゃねぇ〜のか!段ボール箱に石でもぶつけてやるか?」
「止めとけ!止めとけ!この前としあきが、実装に糞ぶつけられて10日間臭いが取れずに、教室に入れて貰えず窓越しに廊下で授業受けただろう!あの姿は、本当に情けなかったぜ!」
「校長が朝礼で『実装に遭遇しても無視しろ!絶対相手にするな!』って言ったし、俺達の担任、女だから特に汚い野良実装に関してナーバスだぜぇ〜!下手に実装相手にしたのがばれて、親呼び出しされたら最悪だぜ!」
「そうだな!俺達に被害が及びそうにならない限り、手出ししない方がいいなぁ〜!」
 そう言って学校に入って行った。

 暫くすると、大勢の小学生が登校して来た。
 当然、小学生達は、田んぼの中に不自然に置いてある段ボールは目に入る。
「実装が住み着いたのね!関わり合いになるのは、鬱陶しいから早く行きましょう!」
「糞蟲の臭いニオイを嗅いだら気分が悪くなるわ!」
「本当!1日ブルーな気分になるぜ!」
 気持ち悪い野良に関わりたくない小学生達は、早足で歩いて行ってしまった。
 そんな事を思われているとは、思ってもいない実装達は......。

「み......みんな!ニンゲンさんデス!ニンゲンさんが食べ物を持って来てくれたデス!」
「テチャァ!ニンゲンさんテチ!」
 実装親子は、喜んで小学生の登校班に向かって走って行った。
「実装石が、着いて来た!」
 そう言って小学生たちは、そそくさと学校に駆け込んでしまった。
 実装達は、追いかけるも、小学生の早足に実装が着いて行ける訳も無く......。
「ニンゲンさぁ〜ん!待ってテチィ〜!」
「待って!待って!」
「待ってテチィ〜!」

「おかしいデスゥ〜!可愛いワタシ達に構ってくれないデスとは!」
『ニンゲン達は、ワタシ達を可愛がってくれる!構ってくれるデス!』そう思っている親実装は、何故無視されたのかがわからなかった。

「ママァ〜!ゴハンが無いテチ!」
「お腹ペコペコテチ!」
「ゴハン!ゴハン!」
「早くゴハンを食べさせてテチ!」
「ゴハン欲しいテチ!」
 5匹の仔実装が一斉に親実装に食事の催促をしたが......。
「ママだってお腹が空いているデス!ニンゲンさんだ通るのを待つしかないデス!」そう、諭す様に言った。
 今日は、ポカポカ暖かく小腹が空いている程度であれば、睡魔も襲って来る。
 実装一家は、おうちの前で転寝をしてしまった。

「デスッ!」と思い目を覚ますと......。
 小学生の下校時間の最中だった。
「ニ......ニンゲンデス!ご......ごはんを貰いに行くデス!」
「テッチャ〜!ごはんテチ!ごはんが来たテチ!」
 5女だけは飛び起きたが、残りの4匹の仔実装達は、熟睡していたのか起きて来なかった。
「仕方無いデス!ワタシ達が、貰って帰ってやるデス!」
 2匹は、「デス!デス!」「テチ!テチ!」と橋を渡って通学路迄やって来た。
「ご......ごはん頂戴テッチ!」
「誰か、食べ物欲しいデス!ワタシに食べ物を......。」
 そう言って小学生達の後ろに着いて廻ったりしてしつこく纏わり着いた。
「きゃあ!汚いわぁ〜!」
「気色悪い〜!早く逃げよう!」
「ええぃ!こっちへ来るなぁ〜!」
 小学生達は、餌をくれるどころか、実装親子を避ける様に逃げ廻った。
 当然、リンガルを起動する者など誰も居ないから、何を言っているのか解らない。
「5女!御愛想デス!御愛想をするデス!」
「解ったテチィ〜!」
「デッスゥ〜!」
「テッチャ〜!」
 親子は、手を口元の所に持っていって、小首をかしげる様な仕草をして薄ら笑いを浮かべた。
「うっ!気落ち悪い......。と言うか何だか急に腹が立って来た!」
「そうだ!何だかバカにされた様な気分になった!」
「殺したい!いや!殺したくなったぜ〜!」
 小学生達は、地面に落ちていた石を親実装目掛けて次々に投げた。
「デボウッ!痛いデスゥ〜!痛いデスゥ〜!」
 石は親実装の腹を貫通した。
 当然、親実装は、お腹を押さえて蹲った。
「ママァ〜!ママァ〜!大丈夫テチか!」
「ううっ!お腹が......」恐る恐る手を見てみると血がべっとり着いていた。
「なっ......なんじゃこりゃあ!デスゥ〜!」≪パキン!≫
 大量の出血を見て偽石が耐え切れず割れてしまった。
 親実装は、そのまま用水路の中に倒れる様に落ちて沈んでしまった。
「テチャ〜!よくも!よくも!ママを!」そう言って仔実装が、小学生に襲い掛かって来た。
「退け!」
「テチャーァァァ〜!」≪ポチャ!≫
 仔実装も用水路迄蹴り飛ばされて......。
「ブク!ブク!ブク!溺れる!溺れる!」
 両手を挙げて助けを求めたが、ニンゲンは笑っているだけで助けもしない。
 仔実装は、力尽きて「テポッ!」そう言って川の中に沈んでしまった。
「ザマァ見やがれ!」
「くたばれ!バカヤロー!」

 時刻は更に過ぎて......。
「テチャ!よく寝たテチィ〜!お腹が空いたテチ!」
「ぐっすり寝たテチ!でもお腹ペコペコテチ!」
「ママと妹ちゃんが居ないテチ!」
「何処へ行ったテチ!」
 すると3人の小学生(1年生)の女の子が下校しているのが目に入った。
 4匹は、その子を追いかけて行って行った。
 女の子達も仔実装が、自分の方に向かって何か言いながら来るのが見えたのでリンガルをONにした。
「仔実装が来たわ!やっぱり小さいわねぇ〜!」等と話をしていると......。
「ニ......ニンゲンさん!ごはん!ごはんを頂戴テチ!」
 そんな事を言って来たので.......
「お腹が空いているのね、給食で食べきれ無かった分のこれをあげるわ!」
 3人の小学生達は、親切心だけで餌を与えた。
 そう言って1人目の子は、パン半分とコロッケ。
 2人目の子は、パン3分の2とバター。
 3人目の子は、パン3分の1とバナナ1本を渡した。

 じゃあ!私達用事があるからね!」そう言って帰ってしまった。
 4匹の姉妹は、貰った食事を平等?に分けて食べだした。
「美味しいテチ!」
「御馳走テチ!」
「こんな美味しい物初めて食べたテチ!」
「ママの持って来るごはんより遥かに美味しいテチ!」
「もっと欲しいテチ!ニンゲンさん!もっと御代わり頂戴.....あれ!居ないテチ!何処へ行ったテチ!」
 当然、4匹は、食べる事に夢中で女の子が、帰ってしまった事すら気が付かなかった。

 しかし、公園と違って頼むと言う行動を起こせば、此処でも餌を貰えると言う事と、朝より昼過ぎに前の道を通過する女の子、更に体が小さい子に頼めば、より多くの餌が手に入る事を知った。
 当然、男の子からは餌を貰う事は難しいと思ったのであえてスルーした。
 仔実装達は、次の日から体の小さな女の子をターゲットに餌を貰う為に通学路に徘徊した。
 しかも親実装が生きていたころに持って帰って来た生ゴミや公園で貰っていた、味気の無い実装フードより
 日替わりメニューの遥かに美味しい御馳走が貰える。

 ところが、中には体が小さくても高学年の女子もいる。
 ある日の下校時間では......。
「ニンゲンさんが通るのを待ってごはんを貰うテチ!」そう言って待っていると......。
 体の小さい小学生達が、通学路を通っていた。
「テチャ〜ァ!ごはんを......ごはんを持って来てくれたテチ!」
「やったぁ〜!食べ物テチ!」
「妹ちゃん達!お腹が空いてもお行儀良くちゃんと並んでごはんを貰うテチ!」
「そうテチ!お行儀が良ければ、沢山貰えるテチ!」
 仔実装達は、通学路の端に一列に並んで、小学生が前を通るのを待った。
『今日は、どんな食事なのだろう!』4匹は期待して待った。
 だが、「仔実装が居るわ!しかもこっちをじっと見ている!」
「何かブツブツ言っているわ!どうせ何か寄越せと言っているのでしょ!嫌な予感がするからリンガルをONにして!」
「早くごはんを貰うテチ!」
「早くこっちへ来てテチ!」
「ごはん!ごはん!」
「早くぅ〜こっちへごはんを持って来てテチ!」

「やっぱり!あの仔実装達、私達から食べ物を貰おうとしているわ!」
「気持ち悪い!道を変えましょう!」
「駄目よ!それじゃあ私は塾に遅刻してしまう!」
「餌なんか持っていないわ!怒らせて糞を投げられたら嫌よ!」
「私に良い考えがあるわ!耳を貸して!」
 仔実装の居る場所から10m手前迄来た。
 仔実装達を見ると目が血走って鋭い目つき(それ程腹が減っていたのだろう)だった。
「いくわよ!よぉ〜いどん!」
 仔実装の手前10mから3人は、仔実装達に向かって全力疾走を始めた。
「テチャァァァ〜!ニンゲンさ〜ん!」
 仔実装達は、ニンゲンが自分達に早く餌をくれるのと思ったのか、両手を広げて通学路の中央に出て来た。
 だが、3人は、実装達の上を飛び越えてそのまま一気に素通りして逃げてしまった。
「待ってぇ〜!ニンゲンさぁ〜ん!」
「ごはん」
「ごはん頂戴テチィ〜!」
「どうして行ってしまうテチ!」
 仔実装達は「テチ!テチ!」言って小学生の後に着いて行ったが、餌を貰えるはずも無く......。
「お姉チャ!あのニンゲンさんごはんくれないテチ!」
「あ......あのニンゲンは、ケチテチ!今度会ったらただじゃ済まさないテチ!」

 又、2〜3日餌が手に入らない時は、仔実装達は朝昼、誰彼かまわずに強硬手段を取って.....。
「ごはん!ごはん!」
「ごはんを寄越せテチ!」
「ワタチ達の奴隷ニンゲンになるテチ!」
 腹が減っている仔実装達は、段々言葉使いが悪くなってきた。
 餌が貰えなければ......。
「テチャァ!ワタチは、もう怒ったテチ!うんちをぶつけてやるテチ!」
 4匹の仔実装達は、そう言って尻に手を回したが......。餌をあまり食べていないから糞が出ない。
「な......なんでうんちでないテチ!」
 その隙に小学生達は逃げてしまう。
 最後の手段の脅しも使えなくなった仔実装達は、焦った。
「どうするテチ!うんちも出ないテチ!」
「此処のニンゲンは餌をくれないテチ!」
「糞ママが、何処が『毎日腹一杯ごはん食べられるデス!』テチ!嘘つき糞ママテチ!」
 と死んだ親の事の悪口迄言い出した。
 だが、そんな事を言っても餌を貰わないと始まらない。 
 実装に餌を強請られた子の中には、わざと田んぼにパンを投げ込んで仔実装の目をそらして帰る者も出て来た。

 遂に仔実装達は、朝の登校時間に迄、通学路に出て行って餌を強請り出した。
「ごはん!ごはんをくれテチ!」
「ごはんを出せテチ!」
 一応、小学生達は、リンガルを起動させて通学しているので、仔実装達の喋る内様も解る。
 小学生達は、逃げる様にその場を通過した。
「この前の女の子達がこの中に居るテチ!探すテチ!あの子ならごはんをくれるテチ!」
 仔実装達は、必死になって探したが「居ないテチ!居ないテチ!」
 実は、登校班の列に例の女の子達もいたのだが、実装が此処まで食べ物に執着心があるとは、思ってもみなかったので怖くなってしまい、危険を感じて仔実装達に背中を向けてそのままスルーしていたのだ。
 登校時間も終わり、小学生達は、既に校舎に入ってしまい誰も居なくなった。

 可愛い自分達が、頼めばニンゲンは喜んで餌をくれると思っていた仔実装達は、執拗に小学生達の後ろを着いて廻った為、余計に気持ち悪がられ......。
「先生に言って役所に駆除する様に頼んで貰おう!」とうとうそんな事まで言われだした。
 程なく校長の耳にもその話が入った。
「仔実装に変な病気を移されたら大変だ!」

*今更遅いような気もするが、それが市の職員の考え方。

 校長直々に市役所の実装駆除担当の総務課に直接出向いて話をしたが、「この時期は実装駆除依頼が多い。
 今、実装の繁殖時期であちこちから駆除の依頼が来ているので、駆除は明後日の10時頃になるがそれまで待って欲しい!」と言われた。
 その日の内に小学校は、電話連絡網を使って、『実装を2日後、下校時迄に駆除する。
 明日、明後日の登下校時は、実装の居る通学路を通らずに、学校の別途指定する通学路を通る事』と全児童の家に連絡した。

 次の朝、仔実装達は、いつも通り餌を貰おうと待ち構えていたが......。誰も通学路を通らない。
「どうしたテチ!何で誰も前を通らないテチ!」
 しかし、学校からはいつもの様に賑やかな児童の声が聞こえて来た。
「ど......どうして?どうして?何故?この道を通らずにあの大きなおうち(=学校)に入れたテチ?」
 バカな仔実装達には、通学路を変えた等そんな事は解らない。
「あの大きなおうちから出て来る時にごはんを貰うテチ!」
 しかし、夕方になっても誰一人前の道を通らない。
 仔実装達は、通学路の中央迄出て来て小学生の通るのを『まだか、まだか』と待っていたが、結局誰も通らなかった。
「ど......どうしたテチ!ニンゲンは、魔法でも使ったテチか?」

 次の朝も同じ様に前の道迄出て待っていたが、誰一人通らなかった。
 しかも学校からは賑やかな児童の声が聞こえて来る。
「一体?一体?どんな魔法テチ?」
「あの大きなおうちに行ってみるテチ!」
 学校の前に行くと多くの小学生達が校庭で遊んでいた。
 小学生のいる校庭に行こうにも校庭に入るには段差があり、仔実装の体格ではとても通れない。
 仔実装は、前回餌をくれた3人の女の子を偶々見つけて......。
「ニンゲンさ〜ん!ごはん頂戴テチィ〜!」
「ごはん!ごはん!」
 と力の限り叫んだが、女の子は、チラッと見ただけで向こうに行ってしまった。
「どうしてテチ!何で避けるテチ!」
 暫く校門の前で「テチ!テチ!」叫び続けたが、休憩時間が終われば全員校舎の中に入ってしまった。
「酷いテチ!酷いテチ!」
 仔実装達は、憤慨したが、校庭には誰も居なくなったので一旦おうちに帰る事にした。
「お腹空いたテチ!」
「お水を飲むテチ!」
 仔実装達は、用水路の水だけで3日間、暮らしていた。
 なるほど水を飲めば腹は膨れるが、体力は着かないし栄養も取れない。

 駆除当日の午前10時になった。
 市の職員が、実装駆除の道具を持ってやって来た。
「ちぇっ!又此処かぁ〜!」
「愚痴を零すな!仕事だから仕方ねぇ〜だろ!」
「でも、此処は今年に入って10回目の駆除だぜ!」
「あの校長は、超の着く実装嫌で有名だろ!今回は、総務部長に『すぐに駆除しろ!』と直談判したらしいぜ!」
「しゃねぇ〜なぁ〜!部長はあの校長の大学の後輩だからなあ〜!」

「ニ......ニンゲンテチ!」
「ニンゲンが来たテチ!ごはん貰うテチ!」
「小さいニンゲンじゃないけどこの際構わないテチ!」
 4匹の仔実装は、今度こそ餌を貰えると職員の方に向かって≪トテ!トテ!≫走って?行った。
 職員の前に来て「テチ!テチ!テチ!」
「何だ!何だ!小さい糞蟲が4匹だけか!こっちも忙しいのにこんな下らない仕事に時間取らせるなよぉ〜!」
「この小学校の男子は、一体、何をやっているんだ!こんなゴミも始末できねぇ〜のか!情けねぇ〜!」
「この学校の先公もそうだよ!仔実装ごとぎになにビビてるんだよ!相変わらず腰抜けだなぁ〜!箒で掃いて川に落としたら簡単に始末できるのに!」
「さっさと片付けて次の現場に行くぞ!」
「そうだな!」
 職員は、自分達の前に餌を貰う為に並んだ仔実装達を各自トングで摘まみ、首を捻じって……。
 ≪ポキッ!≫「テッ!」
 ≪パキッ!≫「テチャ!」
 ≪パキッ!≫「テ!」
 ≪ブチ!≫「クピッ!」
「汚ねぇ〜!首が取れちまったよ!」
 首の骨を折られて死んだ仔実装の死骸を回収ボックスに入れて職員は次の現場へと向かった。
 学校に駆除完了の連絡をして。



    実装小話 その2   実装愛護センター

 各市町村に動物愛護センターと言う物がある。
 捨て犬、捨て猫、飼育できなくなった動物の里親を探したり殺処分したりする施設である。
 愛護センターの敷地内に実装愛護センターと言うのが併設されている。
『実装愛護』と言うのは、あくまで建前で本来は、実装を処分するだけの施設なのである。
 その主な仕事とは......。

 1、一握りの仔実装達の里親探し


 これの対象は、ペットショップから購入された躾済の仔実装で、糞蟲でない個体に限定される。
 更に職員は出来るだけニンゲンに対して依存心があり、生に対して必要以上に執着心が有る固体を選ぶ。
 その方が、いざ処分日が近づいたら慌てふためき、泣き叫ぶ姿を見て職員が楽しむ事が出来るからだ。
 飼い主の都合でセンターに持ち込まれた、仔実装をセンターのホームページで紹介する。
 ホームページを見てその子を飼いたいと申し出た者と面接を行い里親に出す。

 だが......。
 犬や猫と違って、本当にその仔実装を大事にするのか徹底的に調べたりしない。
 仔実装が、小さな体をキープ出来る期間は短いし、中実装になってしまえば、生かしておく理由も無くなるからだ。
 センターとしては、犬猫の里親の様に何度も面接をしないし、虐待派と解っていても譲渡してしまう。
「所詮、実装石だから......。」という位にしか考えていない。
 里親システムと言うのが便宜上唄われているから、仕方なく書面上の手続きをしているだけで、「本当は早く殺処分して終わらせたい!」と言うのが本音である。
 里親システムの対象仔実装は、殺処分される迄1週間の猶予が与えられる。 
 その様に市議会で決められたから施設は、それに従うしかないのだが......。
 躾されて売られていた様な仔実装になれば、今自分がどんな立場に置かれているか位は解る。
『自分は新しい飼い主が、現れないともしかして殺されるかも!』と薄っすら感じ取っているが、実際に「1週間以内に里親が見つからなければ、お前は殺す!」と口頭で伝えられる。
 しかし『可愛いワタチなら、直ぐ飼い主が現れるテチ!』とのんびり構えている。
 日が経ては、段々焦って来て里親が現れるのを『未だか、未だか!』とそわそわ仕出す。
 死ぬ日の朝が来ると、「殺さないでぇ〜!ワタチは生きたいテチィ〜」と泣き叫んで職員に懇願する。
 だから、「この仔実装の里親になりたい!」と申し出る者が現れたら本当に仔実装は喜ぶ。
『自分は助かった!これからは幸せになれる!』と。
 しかし、愛護センターに居るのは、いわば『ケチ』の着いた仔実装ばかりであり愛護派は貰いに来る事はまず無い。
 愛護派が欲しい仔実装は、ペットショップで販売されている有名ブリーダーの躾済仔実装であり、どれだけ高い金を払って買ったかと言う見栄だけである。
 更にちょっと仔実装を飼ってみようかと思う者もわざわざやって来ない。
『施設に捨てられると言うのは、躾済でも何か問題があるのでは......。』と普通の人間はその様に考える。
 此処に来るのは、虐待派ばかりである。

 ある日「この子の里親になりたい!」と申し出た男がいた。
 対象になった仔実装は大変喜んだ。
「やったテチ!飼い実装に帰り咲いたテチ!これからは、ゴシュジンサマに可愛がって貰うテチ!」
 そう言ってセンターを後にした。
「ゴシュジンサマ宜しくテチ!可愛がってテチ!」
「......」
「ワタチ一杯お手伝いするテチ!」
「......」
「楽しいお歌も、楽しい踊りも出来るテチ!」
 「......」
「だから一杯、一杯可愛がって欲しいテチ!ゴ......ゴシュジンサマどうして黙っているテチ!」
「俺も楽しい事を考えていたからさ!家まで 1時間ほどかかるから暫く寝ていろ!」
 そう言って男は仔実装にネムリを吹きかけ、仔実装の寝ている内に偽石をカッターナイフで取り出しユンケル皇帝液に漬けた。
「これで当分お前は死ねないさ!」
 家に近づくと、ネムリの中和剤を吹きかけた。
 仔実装は、≪ゴソゴソ≫起きだした。
「テチャァ〜!大きなおうちテチ!今日から此処がワタチのおうちテチね!」
 家の中には、三毛猫が男の帰りを待っていた。
「おい!チャッピー!お前の遊び相手を連れて来たぞ、充分可愛がってやれ!」
 そう言うと仔実装の入れられた段ボール箱を猫の前に置いて蓋を開けた。
 猫は、段ボール箱の中を覗き込む。
 仔実装の目の前には、涎を垂らした猫が見下ろしている。
「ゴシュジンサマ!怖いテチ!どうして怖い事するテチ!」
「だから言っただろう!俺も楽しい事考えているって!」
 猫が、段ボール箱に飛び込み、仔実装に向かって襲い掛かって来て押さえつけた。
「おい!チャッピー!じわじわ可愛がってやれよ!」
「テッチャ〜!止めて!止めてぇ〜!」
 仔実装は、髪の毛を引き千切られ、服を破られ、偽石が割れる迄、じわじわと痛めつけられる事になる。
 決して幸せに等なれる訳等無いのだ。


  2、殺処分


 愛護センターに連れて来られる実装の殆どが殺処分対象になる。
 当然、犬猫の様に二酸化炭素で窒息死等の安楽死では無い。
*これは、これで苦しいが、実装に対しては、そんな甘っちょろい死に方等させたりしない。生きたまま焼き殺されるのである。
 当然施設に着けば、既に殺処分を言い渡された実装達が、「ニンゲンさ〜ん!殺さないでぇ〜!」「未だ!未だ!生きたいデスゥ〜!」
 とかの悲痛な叫び声聞こえて来る。
 此処は、殺される所と感じた実装は、大騒ぎを始める。
 床に這い蹲ってテコでも動こうとしない者、暴れる者、泣き叫ぶ者等多種多様である。
「嫌デス!嫌デス!こんな場所に入るのは嫌デス!お利口になるデス!言う事を聞くデス!」
「うるせぇ〜!お前は何時もその時限りじゃねぇ〜か!不良品の糞蟲は要らねぇ〜よ!」
「助けてデスゥ〜!死にたくない!死にたくない!」
 必死の抵抗空しく、職員に引き渡され檻に放り込まれた。
「デボア!痛い!痛い!」
 腰を打ってさすっている間にゴシュジンは帰ってしまった。
「どうして!ワタシを見捨てるデスかぁ〜!ゴシュジンさまぁ〜!ゴシュジンさまぁ〜!」
 今更、必死に泣き叫んでもどうにもならない、後は死ぬだけ。

 続いて数10匹の仔実装とそれを産んだ親も運ばれて連れて来られた。
「テチャ!此処は何処テチ?何だか薄暗いテチ!怖いテチ!」
 仔実装達は、身を寄せ合って≪ブル!ブル!≫震え出す。
「デスウ!やっと子供に囲まれ楽しい生活が始めると思ったデスのにぃ〜!」
「誰が、ガキを産んで良いと言った。産めば処分場に連れて来ると散々言ったよなぁ〜!」
「酷いデス!あんまりデス!子供が欲しいのは当然の事デス!これじゃあ〜!ワタシが余りにも可哀想デス!」
「飼い主の言いつけ守らずに、黙ってガキを産みやがって!産んだらこうなる事が解っていたから、床下にこっそり産んだんだろう!約束を破っている事を自覚しているからだろう!ガキ共は、テチ!テチ糞やかましいし、臭いしよぉ〜!」
「職員さん!じゃあ〜!お願いします!これから此奴等はこの後どうなります」
「仔実装に関しては、糞蟲でない健康な個体に関しては里親に出します。それ以外の健康な個体は、研究材料になり、病気を持っていれば処分となります。まぁ〜!里親対象以外は、いずれにせよ死ぬ運命ですけどね!」
「里親なんか甘ちょろい!全部焼き殺して欲しい位ですよ!」
 飼い主は、リンガルをONにして会話の一部始終を聞かせた。
「ワ......ワタチ達焼き殺されるテチか?どうして!どうしてテチ!何も悪い事していないテチ!」
「死にたくないテチ!ニンゲンさん助けてテチィ〜!」
「喧しい!さっさと死にやがれ!てめえらは、望まれて産まれてきたんじゃねぇ〜んだからよ!産まれて来る事自体が悪い事なんだからよぉ〜!」
 飼い主に必死で『自宅に連れて帰ってくれ!』と懇願するも無駄である。

 此処に来た殺処分対象になった実装は、施設の規模の関係上2日目に焼却炉で焼き殺される。
 捕獲された野良実装は、成体、中、仔に関わらず此処に来た時点で全て殺処分の対象。
 飼い実装で病気を持っていない健康な個体を数匹チョイスして、成体、中、仔(仔のみ糞蟲含む)に分けてそれぞれの用途に分類して使う。それ以外は健康でも殺処分される。
 成体実装、中実装、死んだ個体は同じ炉で、仔実装と仔の死体は別の小さな炉で一緒に処分される。
 処分当時日になると、檻の中から「オロロ—ン!オロローン!助けてぇ〜!ワタシは、死にたくないデスゥ〜!」
「オイ!早く奴隷ニンゲンを此処に連れて来るデス!高貴なワタシに無礼を働くと本当に許さないデス!」
 等とほざいている実装を焼却炉に入れて燃やしてしまう。
 職員によっては早く片付けてしまいたいから、一気に高温の炎で焼き殺す場合もあるが、中には糞蟲ばかりや野良ばかりの檻を担当した者は、腹たちまぎれにゆっくりジワジワ殺してやろうとする者もいる。
 炎の出るバーナーからちょろちょろ火を出し、炉内の温度を徐々に上昇させる。
「暑いデス!暑いデス!」
「お水!お水をくれデス!早く水を持って来いデスゥ〜!」
 未だ未だ余裕である。

 次に、軽く焦げる程度の炎を出すと......。
「熱っちぃ〜!熱い火傷するデスゥ〜!ワタシの!ワタシのすべすべお肌が焦げているデスゥ〜!」
「どうしてくれるデス!美しいお肌にシミが出来たデスゥ〜!」
「髪の毛が焼けて居るデス!ワタシのサラサラヘアーを返すデス!」
 肌の心配や髪の毛の心配をする余裕もある。

 更にもう1ランク炎の温度を上げると......。
「デスウ〜!熱い!熱い〜!」
 もう余裕など無い。
 数匹の実装に炎が燃え移って炉内はパニックになる。
「デジャァァァ〜!お服に炎が燃え移ったデスゥ〜!助けてぇ〜!助けてぇ〜!」
「痛い!熱い!痛いぃ〜!ワタシの美しいお肌が水膨れになっているデス!」
 もう殆ど余裕が無い状態......。

 そして、ラスト一気に高温の炎にすると。
「デボアァァァ〜!」
 炉内の実装は、一気に燃え上がる。
 暫くすると実装達は、跡形も無く燃えてしまう。
 仔実装も同じ様な要領で燃やされてしまう。



  3.研究材料


 健康な実装は、新薬の実験に使われる。
 長年センターに勤めていれば、健康かそうでないかは、観察していれば解ると言う。
 病気の殆どは糖尿病であると言う。

 実験は、各研究機関から送られて来る、実装の駆除薬の効き方を見るのだ。
 職員が薬の入ったケースを持って来た。
「課長が持って行けってケース毎渡したから、どんな薬が入っているのか、どんな効能があるのかろくに知らねぇ〜んだよなぁ〜!」

「じゃあ此奴から使うか!何々!実装オボレだぁ〜!」
 研究材料の仔実装を掴んで顔に向かって薬を噴射した。
「クパッ!く......苦しい!息が......息が!」そう言うと薬を掛けられた仔実装は、転げ廻って苦しみだした。
 10秒もしない内に≪ピク!ピク!≫痙攣を起こして≪パキン!≫偽石を割って死んでしまった。
「何々この薬の効能は、実装の肺を体液で押しつぶし陸上で溺死させる様な効果があるだと!へぇ〜!」

「次はこれを使おう。ええっと!実装カワキ?」
「死にたくないテス!」そう言って暴れる中実装に向かって≪ピシュー!≫と掛けると......。
「ケシャァ〜!喉が!喉が!渇く!苦しい!」≪パキン!≫
「効能は、実装の体液を一気に奪い体が乾燥して干からびて死ぬ!かあ!ふうん!」

「次は、この薬を使うかぁ〜!実装ビクリ!」
 そう言って、この薬を実装に掛けると......。
「デッ!」一瞬、実装が、体をこわばらせて≪パタリ!≫と倒れた。
「何々?ええっと!この薬は、実装の体内に電気を起こして感電させて殺す効果がある!かぁ〜!なるほどぉ〜!」

「じゃ今度はこれを使おう!実装モウソウだぁ〜!」
「怖いテチィ〜!怖いテチィ〜!」
 そう言って泣いている仔実装目掛けて掛けると......。
「テチャ!ワンワンが襲って来るテチ!こっちにはニャンニャンテチ!殺さないでぇ〜!」
  仔実装は、何も居ない方を向いて、土下座したり、手を合わせてお祈りしたり、と不思議な行動をして助けを求める。
「チボッ!顔を!顔を引っかかれたテチィ〜!テバッ!両方のあんよを!あんよを食いちぎられたテチィ〜!」≪パキン!≫
「この薬は、実装に天敵に襲われる幻覚を見せて、そのショックで偽石を割る効果があるだと!
 シャブ中が幻覚を見ている様な効能と同じですだと!下らねえ薬を税金使って作ってんじゃねぇよ!」


*以前に出て来た薬品名や効能を記載していたらすみません。 【作者】


 数回に渡って成体、中、仔と繰り返し実験を行い、実用可能な薬は、実装駆除の現場で使われるのだ。


 明日も実装石にとって幸せな1日であります様に。


 FIN


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1 Re: Name:匿名石 2019/04/08-20:49:19 No:00005854[申告]
現実の保健所は非常に厳しいが
実装石ワールドの保健所は楽しそうだな
(希望通りの配属にならなかったら最悪だけど)
2 Re: Name:匿名石 2019/04/11-02:42:41 No:00005862[申告]
糞虫共が悲惨な死を待つだけの施設は大好物です。
3 Re: Name:匿名石 2022/04/20-21:20:53 No:00006494[申告]
この作者さんのスクは、シチュも展開もそして末路も、いかにも卑しく儚い実装石らしくて何度も読み返してしまう
ただ
・女の子の台詞の硬さ(〜なのよ!〜だわ!)
・句点を打つ位置
・!の多用
がちょっと気になる
まぁそこがこの作者さんの味なのだけれど…
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