タイトル:【観察】 厄仔石行事2  仮厄仔石編
ファイル:仔実装.....13.txt
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初投稿日時:2018/07/17-13:08:06修正日時:2018/07/25-15:36:28
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 厄仔石行事    仮厄仔石編

 黒髪市、斗志亜鬼本願寺の「厄仔石行事」の時期が又やって来た。
 毎年、お盆前に、あの世から帰って来る先祖の為に、家の中にいる厄病神を追い払う行事。
 今年の上半期は、特に異常気象、大きな地震、洪水等で沢山の人が亡くなった。
 お盆近くになって、地震、台風や大雨、洪水になって門徒の生活基盤が揺らいだら、先祖供養も出来ない家も出て来る。
 そうなれば、寺側の収入も減ってしまう事になる。だか、こういう時こそ儲けるチャンスとばかりに、門徒に対して、厄仔石行事を前半、後半に分けて行うと言い出した。
「門徒の皆様、今年の上半期は、地震、異常気象、大雨による洪水等が多発して、多くの人が亡くなられました。
 と言う事は、悲しい事に、厄病神が、いつもの年より多いと言う事です。 
 この状態では、厄仔石の回数を増やさないと、家の中にいる災いを浄化出来ません、今年は、厄仔石行事を2回行います!」
 普段は、2週間の厄仔石行事だが、7月末からお盆迄の3週間と1週間多目という回覧板か回ってきた。
【1週間増やした所で単なる気休めに過ぎないと思うけど.....】
 
 例年は、8月第一の日曜日に「厄仔石様の御渡りじゃあ〜!」との掛け声をあげて躾済の仔実装の渡り行事を行うのだが
 今年は、 1週間多く行事を行う為、2匹の厄仔石が用意されて、7月末に配るのを仮厄仔石と名付け.8月第一日曜日迄お勤めをさせる。
 8月第一日曜日からお盆迄お勤めするのを本厄仔石と名付けた。これが、通常の厄仔石行事になる。
【躾済仔実装とはいえ、行事を全う出来るのは、2週間が限界、仮厄仔石は、1週間、残りの日数は、2匹目が行う事になる】

「それじゃあ!門徒の皆さん、7月は、今お渡しした厄仔石様に仏事をお願いして下さい!8月第一日曜日に2匹目の厄仔石様をお渡しします。
 今回お渡ししたのは、仮厄仔様、次回渡すのは、本厄仔様と呼びます宜しくお願い致します」そう言われた門徒達は、昼前に寺から厄仔石を連れて帰って来た。

 2匹で1回の仏事だが、仮厄仔石は、何処の家庭でも前座扱いされて、雑にあしらわる。
 肝心な真打は8月に来る本厄仔石であるから、それまでの繋ぎの役目である。
 飼い実装になったと喜んで来た仮厄仔石は、「宜しくテチ!ゴシュジンサマ!」と元気よく挨拶をした。
「おう!」
「今日から此処がワタチのおうちテチね!」	
「好きなように思ったら!」
「もうお昼テチ!御飯欲しいテチ!」
「未だ!11時30分だろ!飯を食うのは12時以降だ!」
 その内、飼い主?達は、昼飯を作り出した。

 7月と言っても気温は30度以上ある猛暑である、部屋はクーラーが付けられ涼しくして、食事の準備完了。
 メニューは、そうめん、キュウリを切った物、冷奴が作られテーブルに並べられた。
「テチ!おそうめんテチ!冷たいお豆腐もあるテチ!」と喜んで厄仔石が≪トテ!トテ!≫走って来たが......。
 ≪ガラ!ガラ!ガラ!≫部屋の戸が閉められてしまった。
「テッ!ゴシュジンサマ、ワタチもごはん食べたいテチ!どうして締め出すテチ!」
 仔実装は、≪何故!ワタチは家族なのに!≫と思って抗議するが、飼い主は、そんな事は無視。
 仔実装に見える様に、美味しそうにそうめんをたれに漬けて≪つるつる≫すすりながら食べる。
 冷奴には、カツオ、ネギ、しょうが、醤油を掛けて≪むしゃ!むしゃ!≫食べる。
 キュウリには、醪を掛けて、もろきゅうにして≪バリ!バリ!≫食べる。
「ああっ!御馳走が!ワタチに残してテチィ〜!」涙を流して見ている仔実装を尻目に、飼い主は、完食してしまった。
「どうしてテチ!どうしてぇ〜!美味しそうに見せつけながら食べるテチ!ワタチに意地悪するテチ!
 ワタチも涼しいお部屋に入りたいテチ!此処は暑いテチ!溶けてしまいそうに暑いテチ!」
 仔実装は、そう言ってうつ伏せになって泣き出した。

 暫くして飼い主が、やって来て。
「おい!飯をやるから喰え!」そう言った。
「テチ!ゴシュジンサマに嫌われて無かったテチ!意地悪された訳では無かったテチ!」そう嬉しそうにしたのももつかの間。
「お前には、これをやる!」
 置かれたのは、漬物を入れる小皿に盛られた実装フードだった。
 そして≪ピシャー!≫飼い主は、クーラーの効いた涼しい部屋に入ってしまいガラス越しに此方の様子を眺めている。
「テチ!あんまりテチ!何故!涼しい部屋に入れてくれないテチ!冷たい物をくれないテチ!実装フード何か食べる気にもなれないテチ!」
「あそう!要らないんだ!」そう言って部屋から出て来て、皿に盛られたフードをゴミ箱に捨ててしまった。
「な……何て事をするテチ!」そう言ったのも後の祭り。
 結局、夕食も出して貰えなかった。
 半日以上、暑い場所に居ておまけに餌も貰えなかった、汗だくの厄仔石は、ぐったりして床にへたっていると......。

「おい!風呂に入れてやる!」
 そう言って、ぐったりした厄仔石は、実装服を脱がされ、風呂場に連れて行かれた。
 そこには、氷水が入れられた木の桶があった。
 飼い主が、厄仔石を桶に放り込むと......。
「テッチャァァァァ〜!冷たぁ〜ぃ!」と目が覚めたとばかりに飛び跳ね......られない。
 飼い主が、上から押さえつけて、もがいても、あがいても、桶から出られない。
 ナイロンタオルに石鹸を付けて、頭から≪ゴシ!ゴシ!≫当然、厄仔石の顔面も体を洗うように擦られるから
「痛い!痛いテチ!お顔をゴシゴシしないで!テッ!お目々にぃ〜!石鹸が入ったテチィ〜!痛い!目が、目が痛い!止めてテチィ〜!」大騒ぎをする。
【そりゃ!石鹸が目に入れば痛いけど】
「五月蠅い奴だ!」飼い主は、そう言い、シャワーの水量を強にして、思い切り顔面にぶっかける。
「い......息が出来ゴボ!ゴボ!」顔を洗うついでに、口の中にシャワー水を押し込む。
 更に苦しむ厄仔石を桶の中でひっくり返し、総排泄口に水道水を流し込む。
 当然、寺から出る時ドドンパで糞抜きをされていて、今日は何も喰って居ないから糞も出ない。
 飼い主は、糞が無い事を確認した後、足も石鹸で洗い、ぐったりした厄仔石に頭の上から≪ドバァ〜!≫≪ドバァ〜!≫何度も水を浴びせた。
 仕上げは、乾いたタオルで≪ゴシ!ゴシ!≫体が乾けば、段ボール箱に裸のまま放り込む。
 厄仔石はぐったりして動きもしない。
 そのまま、玄関の土間に箱ごと置かれて、苦しい1日目が終了した。



 2日目の朝が来た。この日から仮厄仔石の仏事が始まる。
 午前7時、会社に出勤する為に、玄関に来た飼い主は、段ボール箱を≪ボコッ!≫蹴っ飛ばし、「早く起きろ糞蟲、何時まで寝ているんだ!役目を果たせ!」
 と言って家を出て行った。
「痛いテチ!役目って何テチ!ワタチは、飼い実装テチ!可愛がられるのが役目テチ!」
 そんな事を言っていると、奥さんが、厄仔石の入っている段ボール箱を仏間に持って来てひっくり返した。
「テチャー!痛いテチ!どうして意地悪するテチ!優しく扱ってくれないテチ!」
「だって!お前は、仮の厄仔石だから、ぐずぐず言ってないで1週間は、役目を果たしなさいよ!」
 奥さんは、そう言いながら、厄仔石後ろから箒を持って、追い立てる様に掃き追いかけまわした。
「し.....しんどいテチ!何か......何かたべさせてぇ〜!」
「食べ物なら此処に沢山有るじゃない!」
「何処に!何処に食べ物があるテチ!何もないテチィ〜!」
「あるじゃない!部屋の中に沢山の厄病神が!それを食べるのがあんたの仕事じゃない!」
 そんな事を言いながら、30分走り廻らされた厄仔石は、くたくたになり「はあ!はあ!」言いながらその場に倒れてしまった。
 時間は、午前8時30分、奥さんが室内温度計をみると、部屋の温度は31度になっていた。
「ホント!この時間で31度は、暑いわ!じゃあ!アイスクリームでも食べましょう!」
 そう言って、扇風機を廻しながらアイスを食べだした。
「テチ!ゴシュジンサマ!アイスを......ワタチにもアイスを下さいテチ!」
「そうねぇ〜!昨日から何も食べさせていないしぃ〜!仮厄仔石とはいえ、死なれては、困るわね!」
 そう言って、冷凍庫からロックアイスを皿に入れて持って来た。
 厄仔石は、本当はアイスクリームが欲しかったのだが、背に腹は代えられない。
 ロックアイスにしがみつき「冷たくて美味しいテチ!只の氷テチけど美味しいテチ!」そう言って夢中になって舐め廻した。
「さあ!掃除の続きをしましょう!」そう言って奥さんは、厄仔石に構わずに掃除機を持ち出して、さっさと部屋中を掃除した後買い物に出かけた。

 昼前に奥さんは、買い物から帰って来た。
 そして、床に上でぐったりしている厄仔石をチラッと見て、部屋に入って買って来た冷やし中華を食べだした。
「今日もごはんを貰えないテチかぁ〜!ワタチだって生きているテチ!暑い時は、冷たい物を食べたいテチ!」そう言って涙を流した。
「本当、面戸臭いわねぇ〜!厄仔石って!自分の事を飼い実装と思っているんでしょうね!」奥さんは、泣いている厄仔石を見て眉をひそめた。
 だが、面戸臭いながらも、主人から頼まれた仏事をしないといけない「仔実装が、人間さんと同じ立場で物を言うなんて!」とぶつぶつ言いながら......。
 今日賞味期限の切れる冷奴にカツオ、ネギ、醤油を掛けて、厄仔石の前に「ほれ!食え!」と皿を置いた。
 厄仔石は、「嬉しいテチ!女ゴシュジンサマは、優しいテチィ~!」そう言って冷奴をほおばった。
「さあ!リクエストに答えて、冷たい物食べさせたんだから、働きなさいよ!」そう言って厄仔石を仏間に連れてきた。
 奥さんは、ハタキのグリップ部分に、プラスチックで出来た棒を括り付けて自分は座って、仏壇の前を右に左に走り廻させた。
「ご......ゴシュジンサマ!疲れたテチ!少し休憩をさせてテチ!」と泣き言を言う厄仔石に対して容赦をせずに......。
「ダメよ!食事に見合う仕事をしなさい!座敷にすくう厄病神を全部吸い取るのよ!座敷が終われば次は、寝室だからね!」
 奥さんにそう言われて、寝室でも後ろからハタキで追い廻された。今日も厄仔石の過酷な2日目が終わった。

 3日目も昨日と同じ様にハタキで追い廻された厄仔石は、「ゴシュジンサマ!本当にワタチは、疲れたテチ!もう1歩も動け無いテチ!」そう言って仏事の拒否をする厄仔石に対して......。
「あっそう!あんた仕事を拒否するんだ。じゃあごはん抜きね!わかったわね!」そう言われた途端、厄仔石の表情が変わって奥さんを睨み付けると......。
「テッチィ〜!こっちが大人しくお前の言う事を聞いてやってるのに何テチ!その言いぐさは、もう堪忍袋の尾が切れたテチ!ぶっ殺してやるテチ!」
「へぇ~!私をぶっ殺すですってぇ〜!面白いじゃない!やってごらんなさいよぉ~!1分やるわ1分以内に私を仕留めないと、逆にお前をぶっ殺すわよ!」
「ふんテチ!1分も要らないテチ!10秒あれば充分テチ!10秒でお前を跡形も無く消してやるテチ!」
 奥さんは、できもしない癖に、こんな小さな仔実装のどこからそんな自信が、湧いて来るんだろうと正直不思議に思いながらも「じゃあ!来なよ!」
「行くテチ!」そう言うと厄仔石は、襲い掛かり≪ペチ!ペチ!≫奥さんの足を必死に叩き出したが、痛くも痒くも無い。
 逆に10秒過ぎると厄仔石は、「ハア!ハア!」息が切れ出してしまい、揚句に「今日はこれ位で許してやるテチ!ワタチに感謝して明日から奉るテチ!」
 と糞生意気な事を言ったものだから、奥さんは、この厄仔石を叩きのめすチャンスとばかりに......。
「偉そうな事言った割にはもう終わったの?私をぶっ殺すんじゃなかったの?じゃあ今度は、こっちが反撃する番ね!」と迫ると......。
「いい加減にするテチ!ワタチの暖かい温情でぶっ殺すのは、止めてやったテチ!これ以上逆らうと本当にお前が後悔する事になるテチ!」
「問答無用!」奥さんは、そう言うと厄仔石の額に思い切りデコピンを食らわせた。
「テッチャーァァァァァ〜!」厄仔石は、部屋の端まで吹っ飛ばされ、腰を抜かしてしまった。
「何をこのくそ暑いのに暖かい温情よ!何、温い事を言ってるのよ!あんたの言うこれ以上逆らったわよ!さあ!後悔させてみなよ!さあ!さあ!さあぁ~!」
 大声を上げて厄仔石を威嚇したが、戦意喪失した厄仔石は奥さんに尻の方を見せる状態で、頭を押さえて蹲る恰好で≪ぶる!ぶる!≫怯える様に震えている。
「大口叩く割には何よそのザマは!それからゴシュジンの話は、ちゃんとこっちを向いて聞きなさいよ!この糞蟲!」
 そう言ってこっちを向かせようと厄仔石の髪の毛を引っ張ると、「や......止めてテチ!髪の毛は、髪の毛だけは、触らないでテチ!」そう言って手を払い除け様とした瞬間......。
 ≪ブチ!ブチ!ブチィ〜!≫片方の髪の毛が抜けてしまった。
「テッチャァァァァァ〜!ワタチのワタチの、大事な大事な髪の毛が抜けてしまったテチィ〜!どうするテチィ〜!こんな恰好悪い姿になっては、生きていけないテチ!」
「何言ってるのよ!元々恰好は悪かったから、気にする必要もないわよ!でもそんなに恰好悪いと言うなら、もっと見栄えが良くなる様にしてやるわよ!」
 奥さんは、厄仔石のもう片方の髪の毛までも≪ブチ!ブチ!ブチィ〜!≫思い切り抜いてしまった。
「前にも変な毛があるわね!」そう言いながら、髪の毛を抜かれたショックで事態の収拾が、厄仔石の頭で出来ていないうちに、前髪も≪ブチィ〜!≫抜いてしまった。
「テッチャァァァァァ!ワタチは!ワタチは、つるっ禿になってしまったテチィ〜!どうして!どうしてぇ〜!」
 普通は、ショックで偽石が≪パキン!≫してしまうが、厄仔石の偽石は、特殊加工されているから≪パキン!≫出来ない。
「あっ!そうそう!厄仔石が、ゴシュジンに逆らったら糞蟲化しているんだ!桶に冷たい氷水を張ってそこに入れて置かないとね!」
 
 奥さんは、「いやテチ!お服を、お服を脱がさないで!」と言う厄仔石から「もう死ぬ迄、桶の中から出られないんだから、服は必要ないでしょぉ~!」
 氷水を入れた桶に抛り込まれた厄仔石は「テッチャー!ァァァ〜!冷たいテチィ〜!助けてぇ〜!」と必死に叫んだが、上から蓋をされてしまった。
 万事休す!
 次の日から、厄仔石の「言うこと聞くから、此処から出してぇ〜!髪の毛とお服を返してぇ〜!」と言う声が、昼夜と問わず漏れ聞こえて来る様になった。 


 そんな事が2〜3日続いたある日の夜。
 奥さんは、御主人に「仮厄仔石って本当に必要なの?転変地異が起こったって言っても、この家にどんな被害があったの?台風も来なかったわよね!
 爆弾低気圧も無かったわよね!別に洪水の被害も地震の被害も無かったわよねぇ〜!何も被害を蒙って居ないじゃないの!
 そりゃ大雨の時もあったけど、そんな時は、私があなたを駅まで送り迎えしたわよね!結局、私に負担掛かるだけじゃん!あなたが何か困ったぁ〜!
 あんな、ちっこいゴミが、「テチ!テチ!」言って来たら本当に鬱陶しい訳よ!
 それから8月に入れは、本厄仔石を貰って来るんでしょう!又、こんな下らない行事に付き合わないと駄目なの!いい加減にしてよね!こっちも忙しいんだから!
 あなたは、会社に行っくから良いけど「じゃあ!宜しく頼む!」でそのままで放っとかれたら、困るのは、わ・た・し、朝から晩迄、あんなのに付き合わされる身にもなってよ!
 厄仔石行事だか何だか知らないけど、仔実装虐待してあなたが喜んでるだけじゃない!早く大人になりなさいよねー。
 私の実家じゃあこんな下らない事しなかったわよ!私の父も「しょうもねぇ〜!」って大笑いしたわよ!上手い事言われて、あの糞寺に騙されているんじゃないのぉ〜!
 寺の金儲けに利用されているだけでしょう〜!アホらしい行事に金使うんなら、1円でも生活費を大目に入れてくんない!
 あなた真剣に聞いてんのぉ〜!私が何を言いたいのか解ってんのよねぇ~!返答次第じゃあ実家に帰るからね!離婚よぉ〜!離婚!ちゃんと私の方を向いて話を聞きなさいよぉ〜!
 シカトしてんじゃないわよぉ〜!シカトを!」物凄い剣幕で御主人に迫った。

「解った!解った!じゃあ!厄仔石行事の責任者に聞いてみるからぁ〜!」そう言って門徒の代表者の家に電話した。
 門徒代表者は、「やっぱりお宅もそんな話が出たのですか、実は、昨日から殆どの門徒の家で奥さんが、厄仔石が必要なのか!と言っているそうなんです。
 これから寺に行って住職に相談してみますので、暫くしたら又電話をします。ちょっとお待ち下さい」

 沢山の門徒の奥さんからクレームがあった為、寺は、仮厄仔石行事を取り止める事を決定した。
 当然、仮厄仔石の販売代金も返す事で今回の事態収拾に対応する事にした。
 だが、大半の門徒からは、「今後は、厄仔石行事に参加しない!」「本当にバカバカしい!」と厄仔石行事の参加拒否の連絡があり、
 更に「お盆に寺にある墓に住職がお参りすれば、それだけで十分!」と言って来る家まであった。
 寺の住職といっても人間である。自分の先祖が考案して、そして自分の代で門徒からクレームを付けられた。
 厄仔石行事を辞める事になるのは分かっている。当然、面白くは無い。
 返品された、厄仔石を段ボール箱にいれて、しかめ面をした住職が、本堂から出てきた。
「ニンゲンさん!お腹が減ったテチ!何か食べる物が欲しいテチ!」
「喧しいこの役立たずの出来損ないの禿裸共!お前ら、仏様に恥をかかせた、死んで償え!」
 そう言って寺の境内に穴を掘って、そこに返却された厄仔石を放り込んだ。
「テッチャァ〜!痛いテチ!ワダチ達は、厄仔石テチ!仏様に仕えている身テチ!もっともっと大事に扱うテチ!無礼を働くとぶっ殺すテチ!」
  例の厄仔石も「どうして、そんな痛い事するテチ?ワタチは、幸せになる為に生まれて来たテチ!幸せの厄仔石に何をする。このバチ当たりめ!」
 そう言って住職を怒鳴りつけたが、それが余計に住職を怒らせる結果になり「ほぉ〜!そうかいよく解ったぜ!だったら仏様に文句を言いな!」
 最初は生き埋めにする積りだったが、上から火の着いたロウソクを落とし、吐いた捨て台詞が「お前ら焼け死ね!苦しみ踠いて死ね!」
「テッチャーァァァァ~!」ロウソクの火は一気に燃え広がり、厄仔石を≪パキン≫≪パキン!≫≪パキン!≫全て焼き殺した。
 酷い事に住職は、厄仔石の上から土を掛けてお経も上げずにその場を離れた。
【仏に使える者が何たる事を......結局、この住職は、金儲けしか考え無い糞坊主だった訳である】

 寺と門徒一門との話し合いの上、「今後、厄仔石行事は、お盆前に寺のみで行う」と言う事になった。
 そしてこの下らない行事も?今回が最後となり、儲けるつもりが損をして、逆に寺の収入源が一つ減ったと言う事だ。


   FIN






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1 Re: Name:匿名石 2018/07/22-02:15:54 No:00005512[申告]
怖い嫁はんですわ。
2 Re: Name:匿名石 2018/07/22-02:31:12 No:00005513[申告]
ホラーでも何でも本当にアレなのは人間というパターンの話はあるけど胸糞なだけで面白くも何ともないんだよな
仔蟲がちょっと餌を貰えない以外は人間側がきついだけの話で今回のスクは作者さんの歴代の話の中ではダントツ圧倒的ワーストだわ
他は面白い方だけに今回のは残念
3 Re: Name:匿名石 2023/08/10-06:21:27 No:00007752[申告]
飼い主は殺すためだけに嫌嫌飼ってるとはいえいい仔がひたすら冷遇されて糞蟲になるの勿体無い気分になるなあ
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