タイトル:【観察】 実装石のコロニー襲撃(特別編)
ファイル:這松実装酒編.txt
作者:kobeUS 総投稿数:45 総ダウンロード数:1725 レス数:4
初投稿日時:2018/01/23-14:26:13修正日時:2018/01/24-03:13:09
←戻る↓レスへ飛ぶ

    山実装のコロニー襲撃(番外編)                  這松実装酒  


 *虐待色は薄いです。
 
 あきとしとよしあきが、双葉ノ山の渓谷に道を付けて帰って来た。
 2人が持って帰って来た地図を頼りに、村人達は、黒髪滝渓谷、龍軍滝渓谷迄、狩りに出かけ、沢山の山実装を持って帰って来た。

 当然、山実装も殺されるのは嫌だから、住処をどんどん山奥に移して行く。
「糞ニンゲン、ワタシの可愛い子供を殺しやがって!許さんデス!必ず仕返ししてやるデス!」
 ニンゲンの攻撃対象になった実装達が、山の奥へ奥へと進むと、尖った木を突き刺されて絶命していた実装が至るところに転がっている。
 同族の惨殺死体を見た者は、この奥に住む蒼龍の実装が、元々外部との接触を嫌う事と最近になって武器や道具を使って、自分達のテリトリーに入って来る他のコロニーの実装や、山に住む小動物を殺す言う事を思い出した。
 

 ニンゲンに攻撃された実装の中には、逃げる事に気を取られ、その事を忘れていた者は、他の実装達との接触を嫌うこの滝の実装の餌食になり次々殺されていった。
「我々のテリトリーに入って来る同族はもとより、熊であろうが、猪であろうが、撃退するデス!」
【実際のところ熊や猪に襲われたら全滅させられるに決まっているのだが……】

「絵師岳を通らないと、山の奥に入る事が出来ないデス!迂回するにも危険が伴うデス!」
 これは、熊や猪に出会うかも知れないと言う事を言っているのだ。
 行動力の無い者、危険を冒してでも進まない者は、次々と狩りに来るニンゲンの餌食になった。

 現在、ニンゲンが完全に征服している状態の実装エリアは、案山子渓谷、黒髪滝渓谷、龍軍滝渓谷、更に、龍軍滝奥の渓流に住んでいる実装である。
 あきとし達から蒼龍滝にも実装が住んでいると言う話は聞いていたが、それでも道中は、危険が付きまとう。
 案山子から黒髪に行くのですら、人一人やっと通れる道、流れの早い渓流の川歩き、熊の爪で引っかいた跡がある樹木、当然熊や猪の生息区域に自分達が入っていると言う恐怖心が、行く手を遮る訳である。
「何故そこまで危険を冒してまでと……」言う人もいるが、山実装の肉は美味いし、市場に出れば高値が付く。
 儲けに目が眩んだ業者に雇われた村人も居れば、純粋に山実装を食べてみたいと言うだけの者もいる。

「やっぱり、あきとしに頼んで貰う様に彼の御爺さんに相談してみよう」
 そう言って山実装狩りをしているリーダーが村長を伴ってやって来て事情を説明した上で……。
「あきとし君は、今度はいつ帰って来るのですか?解りませんかね!」
「いつ帰るか解らんが、これから電話してみて、改めてそちらに連絡する」
...................................................................................................................................................................................
 俺の爺は村人の依頼を伝えた上で……。

「あきとし、今度はいつ帰ってくるんだ!」
「最近、実装駆除が忙しかったからな、有給は沢山余っているから、帰ろうと思えばいつでもOKだ!だが、俺はよしあきと一緒でなければ、あの山に登るのは難しいな!よしあきの都合を聞いて又連絡する」
 留守電にメッセージを入れて暫くするとよしあきから電話があった。
 
 
 よしあきは、凄く興奮した状態で……。「おい!あきとし、俺達がこの前に登った双葉ノ山だがなあ、あの奥に虹滝渓谷と言って、双葉ノ山と西アルプスの境界に渓谷があって、そこの実装達が酒を造っているらしいんだ!」
「な……何だ!そりゃあ〜!まさか、実装狩り山に出登るんじゃ無く、本格的な登山をするつもりじゃねぇ〜だろうな!」
「そこまで考えなくても良いと思うぞ。西アルプスの這松を見に行くんじゃないし。あくまで麓にある虹滝渓谷の実装が造っている酒だ。美味いか、不味いか解らないが!酒好きのお前にとっては、そそられる話じゃねえ〜のか!」
「上手い事言うなぁ〜!さすが一流企業のトップ営業マンに掛かればイチコロだぜ!」
「じゃあ付き合えよ!それから話の続きだが、取引先のT大教授から聞いた話は、教授が山実装についての長年の研究から奴等、西アルプスの頂上に生えている、這松を使って実装酒を造っていると言うんだ。
 以前、教授が、虹滝渓谷の渓流の水を採取したところ、水に微妙な酒の成分が含まれていたらしい更に詳しく研究してみると、アルプス頂上に生えている這松の成分が含まれていると言うんだ」
「でも、それは教授の仮設なんだろう!」
「でもT大の教授が今度、学会で発表すると言うんだ。間違い無いぞ!お前が山に登ろうと言うメッセージを入れたからこう言っているんだ。教授が、発表するタイミングで実装酒を持って行けば、俺は教授に大きな貸しが出来る」
「俺もそこまで行った事が無いから、危険がつきまとうが、前回俺の頼みを聞いてくれたから協力するよ!俺も酒が好きだし、話のネタにはいいかもな!」と言う事で、俺は爺に今週の週末にそっちに行くと返事をした。
..............................................................................................................................................................................

 地元に帰った俺は、早速準備に取り掛かった。 今回の目的は、蒼龍滝迄のアクセスを明確にする事、他に渓谷があるだろうから、それも頭に入れながら最終目的は、地図上でしかわからない虹滝渓谷行くこと、そして這松実装酒である。 
「今度は、2〜3日山中でキャンプする事になりそうだ」
 その話を聞いた俺の母親が、顔色を変えて「えっ!今回キャ……キャンプまでするの!無理は絶対しないでよ!危険だと思ったら引き返すのよ!それから絶対に死んでは駄目よ!死なないでよ!」

 それを聞いたわし(爺)は『村長に依頼されたから連絡をしたが、断れば良かった!』と今更の様に思った。
『もし、あいつらが、熊や猪に襲われて死ぬような事になれば……。大変軽率な事をしてしまったでは済まされないやっぱりあきとしに連絡せず、自分の判断で断ればよかった』と思った。
 すると急に自分の愚かさに腹が立ち血圧が急に上がり真っ赤な顔になった。

「解った!解った!母ちゃん心配性だなぁ〜!大丈夫だよ!よしあきも一緒だし!本当に母ちゃんいらん心配するなよなぁ〜!クマよけの鈴や爆竹を沢山準備したからさ!
 今回は、知らない道を通る事になるかも知れないし山刀も持って行く事にするから、準備は万端だ大丈夫だよ!」

 この、あきとしの「知らない道を……」の言葉を聞いた途端『良かった、こいつ等俺が頼んだ事以外に何か魂胆があるな。村長の名前をだしたから仕方なく登るんじゃない。
 自分達が何か目的を持って登るなら、あいつの事だ。目的達成の為に安全第一を心掛けた行動を取るだろう』そう思って安心した。

 あきとしは、あきとしで『爺の奴、鬼の様な形相をして真っ赤になったと思ったら、いつの間にかニコニコしていやがる。
 山の天気と一緒で顔色がコロコロ変わる所は、昔と変わらんなぁ〜。本当に今でもこれが一番怖いぜ!』そう思っていた。
(と言うのも、子供の頃から、あきとしが爺に怒られる時は、前触れも無に急に怒られた事が多かった為だ。その時の顔が真っ赤になって恐ろしい形相だった為、一時トラウマになっていた時期があった)

 その内よしあきが、俺の家にやって来て登山の計画の確認が始まった。
「取り敢えず、1日で蒼龍は越えないとな!」
「俺の爺の話では、村人は龍軍迄入っている様だが、それから奥は行って無い様だぜ!」
「問題は蒼龍の奥からだ、俺達も知らない未知のアクセスになるからな」
「しかし、蒼龍奥から道なんかあったか?」
「蒼龍右奥の藪に道らしき痕跡があったぞ!俺達がガキの頃そこまでは入ったが、下山の時間を考えたらとても行くことが出来なかった。大きくなったら登ろうと言ってたじゃねぇ〜か!
 だが、あれはどう見ても人が、入った跡だった。いったい誰が入ったんだろう!」
「それも今回の登山ではっきりさせよう。1日目は、蒼龍の脇道を入ってキャンプ出来そうな所を探そう。その後の行程は、状況を見て判断する事にしようぜ!」
「了解!じゃ!又明日な!」
 2時間近く話をして午後10時によしあきは、自宅に帰った。

 次の日、朝早くから家を出て行く俺達に爺は、「くれぐれも無理はするなよ!」と言って送り出した。
 自分達が開拓した道だから、山道を登る要領は心得ている。村人の様に通行に困らない2人は、2時間で龍軍滝の手前に来た。
「よしあき!新記録だな2時間で龍軍まで来たぞ!」
「そうだな、村人が此処まで頻繁に来ていたから、道も前より整備されている。前回は3時間掛かったもんな!」
 例の崩壊した山道も村人が、道を綺麗に付けていた。

 龍軍を通り抜ける際、そこに住む実装達は俺達を見た途端、蜘蛛の子を散らす様に巣に逃げ帰った。
「あいつら、実装の割りには、走るのが速くなった様だな!」
「ニンゲンさんが、頻繁に此処まで狩りにくるから此処も安住の地じゃ無くなったようだな!」
「早く逃げないと殺されて食われると言う事が、解っている様だな。糞蟲の癖によ!」
「だが、実装共結構多く居た様な気がする」
「案山子の北側の崖も黒髪の渓谷周辺も余りいなかった様に思ったのに、何故、此処にはこれだけの実装がいるんだ!」
「まあ!実装には、実装の事情っていうのがあるんじゃねぇ〜のか?」
 2人は、笑いながら更に山の奥に入って行った。

「もうすぐ蒼龍だ。此処まで村人が入った形跡が無い!やっぱり口で教えた程度では、駄目だった様だな!」
「まあ!熊や猪が出る様な山だからな!山の動物に襲われるのが怖いから、多分大勢でにぎやかに実装狩りに来るんだろう!だから龍軍の実装も人の気配で、渓流の奥に逃げてしまうのだろうな!」
「逃げてしまった後で、≪実装共が居ない!≫と大騒ぎしているだろう。進歩がないよな!村の年寄り共は!」
 その内俺達は、絵師岳へ入った、俺達は、山刀を振り回して、藪の中を突き進んだ。

 すると、渓流手前に数10匹の実装が、爪楊枝の様な木を無数に突き刺された状態で死んでいた!」
「なんじゃこりゃあ!」
「木を削って爪楊枝の矢を作っているぞ!」
「それも、大量に殺されている。この奥に一体何があるんだ?」
 そう言いながらどんどん渓流に向かって進んでいった。
 しばらくすると滝の水が流れる音がし出した、『此処を越えれば蒼龍滝に出る』そう思った瞬間……。
 ≪ピューン!≫≪ピューン≫尖った爪楊枝サイズの木が飛んで来た。
「あっ!危ねえ!」
「これは、さっきの爪楊枝だ!」

 俺達が、爪楊枝の飛んで来た方向を見ると、此処の長であろう実装が、怒った表情でこんな事を言ってきた。
「お前達は、ニンゲン!侵入するのは龍軍迄にしておけば良いものを……。こんな奥まで入って来やがって!
 このエリアは私達の縄張りデス!ワタシ達の先祖から言い伝えでは、数十年前に1度バカなニンゲンが、侵入して来たとき我々の部隊が糞攻撃で撃退したとあるデス!
 はっきり言うデス!此処はワタシ達の縄張りデス!侵入してくる奴は、熊であろうが猪であろうが攻撃するデス今度は、強力な武器もあるデス!お前達も我々の部隊の攻撃を受けたくなければさっさと引き返すデス!」
「バカか!お前ら!」
「返り討ちにしてくれる!」
「言う事を聞かないデスか!命を粗末にする愚かなニンゲンには、武力を持って制裁を加えるデス!攻撃開始!」
 数10匹の実装が、岩の陰、山の斜面から、弓矢の様な道具を構えて一斉攻撃してきた。

 元々攻撃されても怖くないし、実装の攻撃と言ってもたかが知れている。
 又、俺達は、分厚い服やズボンを履いていたので、当たっても全然平気である。
「デッ!体を狙っても駄目デス!目を狙うデス!」実装達は、目を狙い出した。
「ちぇ!武器を使う実装なんて双葉城の糞蟲以来だな。面戸臭い、よしあき、一気に突破するぞ!」
「おう!」
 よしあきは、Y型パチンコにコロリを挟んで木の上に居る実装を狙った。
 ≪ビシュー!≫「デジャー!」≪ビシュー!≫「デジャーァ!」≪ビシュー!≫「デジャー!」≪ビシュー!≫「デジャーァ!」≪ビシュー!≫「デジャーァ!」≪ビシュー!≫「デジャーァ!」
 次々と殺された実装が木の上から落ちていった。
 俺は、持っていた爆竹に火を着けて実装達に向かって投げた。
 ≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫
「デッスゥ〜!」
「デジャァ〜!長老が!長老が!やられたデス!デッス!隊長が隊長までもやられたデスゥ〜!」
「た……退却するデス!退却!デスゥ〜!」
「爪楊枝ごとぎで、ニンゲンさんに勝てると思っているのか!」
「止めだ!」
 実装が逃げ込んだ巣穴に火を着けた10連発の爆竹を放り込むと……。
 ≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫
「デッスゥ〜!」≪パキン!≫
「デ」≪パキン!≫
「テッチャァ〜!」≪パキン!≫
 目の前からあれだけ多くいた実装が、逃げてしまって1匹も居なくなった。

「よしあき!仕事と同じで相変わらず凄い腕前をしているな!何をさせても100発100中だな!」
「これで又、女と会う時の話のネタが出来た!」
「何の話だ!」
「いやぁ〜!独り言だ!独り言!山実装は、未だ食えるからいいけどな!飼い実装は、面戸臭い!」
「お前、実装飼ってんのか?」
「いや!1日で捨てた。しかしとんだ寄り道だったな!」
 『適当にごまかしたな。まあいいか人の事だし!』【飼育用飼い実装・参照】
「糞蟲の奴!邪魔しやがって!」そう言いながら、蒼龍滝の脇道に入って行った。
「すげえ、藪だな!俺の身長より高いな!」
 俺達は、山刀を振り回して、藪をかき分けながらどんどん前へ進んだ。
 暫くすると、木の茂って居ない平地の様な場所に出た。
「今日は、此処でキャンプをするぞ!」
「そうだな、早く飯を食って寝よう!」
 2人は適当に食事を済ませて直ぐに各自テントに潜り込んで寝た。



 次の朝、晴天に恵まれた。
「それじゃあ!行くか!」
 俺達は、テントを片づけて再び藪の中に入った。
 少し歩くと藪は、無くなり緩やかな登り坂になった。
「此処で藪が無くなったな!」
「暫く登り坂が続くが景色はいいなぁ〜!」

「おい!あきとし何かいい匂いがするな!」
「おっ!酒だ!これは酒の匂いだ!」
「もう虹滝に着いたのか?」
 俺達は、はやる気持ちを抑えて匂いのする方向を目指して早足で歩いた。
1時間かけて坂を上り切ると眼下には、小さな渓谷があり渓流の半分が堰き止められ何かで伐採されたのであろう松の枝が浮かべてあり、匂いをかいだら酒の匂いがする。
「見ろよ!あの松の枝、発酵しているぞ!酒だ!」
「これが虹滝渓谷か?」
「取り敢えず下に降りてみよう!」俺達は、坂を下って渓谷まで下りた。
 堰が造って松の枝が浮かべてある水を飲んだら確かに酒だ。
「これが、這松実装酒か?」
「酒独特の辛みが無い様な?」
 そんな話をしていると……。

「デッ!貴方達は誰デスか?」
 俺達の後ろで、小さな松の枝を抱えた実装が数匹ビックリした顔をしてそう言った。
「何だ!俺達が一体誰なのか知らないのか?俺達は、人間だ!」
「あ……貴方達が二ンゲン?」
 実装達は、後ずさりしながら……。「こ……殺さないで……命だけは、命だけは、助けて……」
 その実装の後ろにいた数十匹の実装達も抱き合って震えていた。
「大丈夫だ!俺達は、むやみやたらに山実装は、殺しはしない。安心しろ!」
 攻撃しないと言うのが伝わったのか、実装達は、震えてはいるが少し安心したような顔になった。

「この実装達、蒼龍の実装と違って攻撃的じゃ無いな!」
「大人しそうな……というか、俺達を見てビビッている様な気もする」
「おい!実装この酒をこのペットボトル1本分分けてくれないか?」
「ワタシ達に危害を加えないのなら、勝手に持って帰って貰って良いデス!ワタシ達は、見なかった事にしてこの場を離れるデス!ワタシ達は、少し離れた所に隠れるので、素早く入れて持って帰ったら良いデス!」
「何かおかしいな!」
「何か隠しているな!」
「こんなに素直だと逆に変だ!何か隠している事、隠さなければ駄目な事があるなら教えてくれ!」
「もし、貴方達がワタシ達を助けてくれるなら全てをお話しするデス!」
「助けてくれ!とは尋常な事では無いようだな!言ってくれ!」
「これは、黒松実装酒と言って以前、ワタシ達が造っていた這松実装酒とは、比べ物のならないほど価値の低い酒デス!以前ワタシ達は、体力の有る者が、山に登って這松を取って来て這松実装酒と言う
 最高級のお酒を造っていたデス!ある日、何処から来たのか知らないデスが、武器を使う実装達が攻撃して来て、虹滝渓谷を占領してしまったデス!
 体力のある仲間の仔実装が、監禁されて無理やり頂上に登って這松の伐採をする様に命令されて扱使われて居るデス!その上、渡りをして来て弱っていたからと助けてやった
 実装達が手のひらを返した様に豹変してそいつらと手を組んでワタシ達や仲間を痛めつけ始めたデス!」
「酷い話だ!」
「ワタシ達体力の無い者は、此処の唐滝渓谷で黒松実装酒と言うこの周辺の生えている黒松を使って虹滝を占領している兵隊の実装に飲ませる酒を造らされているデス!
 這松を使った高級実装酒は、その兵隊を統率している幹部達が飲む酒として造らされているデス!」
 そこに居た実装全員が、頭を下げて、もし占領軍を除去してくれるなら、美味しい這松実装酒を好きなだけ飲んで貰っても、持って帰って貰っても結構デス!助けてデス!」と言って来た。
*こんな山岳地帯に黒松が自生している訳が無い!と言われる方が、おられると思いますが、作品の都合上ご容赦を。

 そこに兵隊実装の部隊が帰って来た。
 俺達は、とっさに岩の陰に隠れて見ていると……。
「糞共!サボらないでさっさと働くデス!」
 ムチの様な木で一番前に居た実装を叩こうとした。
「許してデス!疲れすぎて体が自由に動かないデス!少しだけ. ……少しだけ休ませてデス!」
「そうデスか!休憩が欲しいと!……。それじゃあ、ゲームをするデス!誰でも構わないデス!ワタシの体に触れる事が出来れば、休憩どころか、お前達全員解放してやるデス!自由の身にしてやるデス!」
 そう言ってムチを振り回してリーダー格の実装が、虹滝の実装に攻撃を加えた。
 激しい攻撃のさなか、転倒した実装が、リーダーの足を捕まえる事が出来た。
「さ……触ったデス!」
「ど……奴隷の分際でワタシの体に触れるとは……。100年早いデス!死ね!」
 そう言って持っているムチを振り上げて殺そうとした。


 だが、よしあきが振り上げたそのムチを掴んで離さなかった。
「デ!お前は、一体何者……。」
 言い終わらない内にその実装は、よしあきに岩に叩き付けられて……。「デ!」≪パキン!≫死んだ。
「俺達は、ニンゲンという者だ。お前達ニンゲンを知らないのか?」
「お前達が、ニンゲンデスか!大幹部達からニンゲンに付いては聞いているデス!むやみやたらに我々を殺してしまう野蛮な生き物であると言う事は、何度も聞かされたデス」
「そう言うお前達もムチを使って同族を虐待している。自分達の事を棚に上げてよく言うぜ!」
「五月蠅いデス!それはこっちのセリフデス!ニンゲン共ワタシ達を舐めたらどうなるか教えてやるデス!陸戦隊攻撃開始!」
 そう叫ぶと、蒼龍で見た爪楊枝の枝で造った矢を一斉に放って来たが……。やっぱり痛くも痒くも無い。
「ど……ど……どうしたデス!全て跳ね返されてしまうデス!何故デス!何故デス!」
「バカか!お前ら!そんな物が武器だと!」
「笑わせるな!」
 そう言って、俺達は爆竹に火を着けて、実装に向けて放り投げると……。
 ≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫
 ≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫≪パン!≫実装の陸戦隊の中央を一挙に吹き飛ばした。
 更に持っていた山刀を振り回して「デ!」「デッ!」「デ….」「……」「……」「……」「……」「……」
 片っ端から実装達の首を刎ね飛ばし、よしあきは、それを避けて逃げた奴を、「デジャァ〜!」「デッスゥ〜!」蹴り上げて始末した。
 最後に残ったのは、リーダー格の実装だけ。
「おい!糞蟲、お前達の正体を教えろ!それにさっき言っていた大幹部とは何者だ!答えなければ殺す!」そう言って睨みつけた。
「わ……わ…….解ったデス!何でも言うから命だけは助けろ!何でも聞きやがれ!教えてやるデス!」
 俺は、実装の頭巾をゆっくり外して……。


「てめえ!まだ自分の置かれた立場が解ってねぇ〜様だな!」
 と、そいつの眉間に使っていた爪楊枝の先端の部分を≪ぎゅっ!≫と押し付けた。
「い……痛い!痛いデス!ワタシの美しい顔に傷を付けるのは、止めろ!デス!」
「言葉使いに気を付けないとこの爪楊枝を頭に串刺しにしてやっても良いんだぞ!」
「わ……解りましたデス!た……助けて欲しいデス!何でもお答えするデスゥ〜!」
「じゃあ聞くが!お前達は、何処から来た!」
「西アルプスの最北端にある烏帽子岳にある菖蒲滝渓谷から来たデス!」
「烏帽子岳って言えば、此処から歩いても俺達の足でもまる2日掛かる距離だ!何故此処まで渡りをする必要があった。そのまま菖蒲滝渓谷に黙っていれば、こうやって殺されずに済んだのに!何故わざわざそんな山越えをした!」
「菖蒲滝渓谷は、冬になれば雪どころでは無いデス!氷の国になるデス!最初は、洞窟に籠ったりして凌いできたデスが、段々洞窟の中にも氷が、張って来る様になったデス!
 洞窟の外に近い所にいた仲間も次々凍死したデス!大幹部達が話し合って、もう少し南に渡りをする事に決定したので此処まで来たデス!」
「で!虹滝渓谷に来た訳か!」
「そ……そうデス!」
「それから!」
「虹滝渓谷の実装達は、ワタシ達を暖かく迎えてくれたデス!冷えた体を温める為に酒をくれたデス!
 しかし、その美味しい酒を独占したいと、ワタシ達のボスである4大幹部が命令を下し、後から来た陸戦隊に攻撃をさせて虹滝を占領して更に実装達の子供を人質にして、働かした訳デス!ワタシ達は、その命令に従わなければ殺されてしまうデス!現に自分の子供を助けて貰った実装は、「そんな命令は聞けない!」と言ったデス!そいつらは、皆の前で見せしめの様になぶり殺しにされたデス」
「お前達の様に武器を使って俺達に攻撃して来た実装も他にいた。蒼竜滝渓谷の実装共だが何の関係がある!」
「ワタシ達の幹部が、酒を独占したい為にその実装達に、この唐滝渓谷で造った少し質が落ちる黒松で造った
 実装酒と武器を渡して、ただでさえ外部と接触を嫌う向こうの長を買収して、蒼龍より奥に入って来られない様にしたと聞いているデス!」
「その大幹部は、何処にいる?」
「虹滝渓谷は4つのエリアに分けられているデス!その各エリアのボスとして納めて居るデス!」
「それと、石質(人質)になっている、こいつらの仔実装は何処にいる!」
「虹滝の一番上の洞窟の中に見張りを付けて閉じ込めている者やら、菖蒲の仔実装達のおもちゃにされて虐められている者もいるデスし、既に殺されている者もいるデス!」
「そうか!良く解った!」
「よしあきじゃあ!そのボスを1匹ずつ駆除していくか?」
「そうだな!じゃあ行くか!」
「ま……待って欲しいデス、は…….話したら命の保証はすると言ったデス!虹滝の実装がワタシを殺そうとしているデス!」


「今迄、そうやって許しを請った同族の命を助けた事があるのかなの!お前は約束を守った事があるのか!」
「そ……そんなぁ〜!」
「こいつを血祭りに上げるデス!」
「ワタシの殺された子供の恨みデス!」虹滝の実装達がそう言って一斉にリーダー目掛けて襲い掛かった。
「デ……デジャァァァァァァ!」≪パキン!≫
 そのリーダーらしき実装が、死んでも殴る蹴るの暴行は続いて遂に跡形も無くなる程、叩き潰された。
「肉を喰わずに跡形も無く潰したりするとは!菖蒲滝の実装共相当恨まれているな!」
「お前ら、俺達に着いて来い!菖蒲滝の実装共を一緒に始末しようぜ!それからこの爪楊枝のボーガンは使いこなす事はできるか?」
「大丈夫デス!使う事は出来るデス!」
「この爪楊枝ボーガンを持ってついて行くデス!」(=以降味方を爪楊枝実装・敵を爪楊枝部隊と言う)
「このボーガンを使って!恨みを……姉や妹の恨みを晴らすデス!」
「それじゃあ!虹滝渓谷迄案内してくれ!あっ!という間に全滅させてやるからな!」
 取り敢えず、その日は、唐滝でキャンプをして明日、虹滝に向かう事にした。

..............................................................................................................................................................................

 その頃、虹滝では、4大幹部達が、集まり今後の事について話し合いをしていた。
「今度の実装酒は、特に出来が良いデス!」
「今迄、虹滝の奴隷共は、手を抜いていた様デスね!」
「もっと、もっと痛めつけて美味い酒を造らせるデス!」
「虹滝周辺にある他の渓谷を襲って、杜氏として教育をして使い、不要になった奴等は、始末するデス!」
「それでは、蒼龍の実装達に命令して周辺の実装達を奴隷として連れて来させるデス!」
「だが、逆らったと言う事で、唐滝渓谷に住んでいた実装達の様に皆殺しにするのは駄目デス!」
「解って居るデス!今度は手加減するデス!」
「それでは、各エリアのリーダーにこの話をして奴隷の受け入れ態勢を整える様に指示するデス!」
 そう言って4大幹部は、自分達の監視エリアに帰っていった。
...............................................................................................................................................................................

 次の日の明け方、俺達は、虹滝の実装の案内で、虹滝渓谷の傍まで来ていた。
「山実装は、野良と違って歩くのも早いし運動神経も良いな!これだけ大人数だと見つかりそうな物だがこいつ等は、隠れる場所も心得ているから、上手く此処まで来る事が出来たな!
 しかし渓谷を占領している実装は、それ以上の身体能力と考えて良いのだろうか?」
「いや!そこまで考える必要も無いだろう!所詮実装は、実装だ!」
「到着したデス!白虎エリアデス!」先頭を歩く実装が、草むらに隠れて合図した。
「と言う事は、朱雀、青竜、玄武と4つの名前が着いているのだな!舐めた名前を付けやがって!」
「虹滝は、4段滝になっていて、一番下流が、白虎エリアか?」
 虹滝の実装は、滝壺の堰き止められた場所で、松の木を水に漬けたり、掻き混ぜたりと作業をさせられていた。
 明らかに、体が大きく態度がでかい実装が、大きな声をあげて命令している。
 更に実装服の首の当たりに白色の鳥の羽の様な物を付けている。
「あいつが、幹部か!嬉しそうに鳥の羽なんか付けやがってよ!おい!お前の仲間は、どの辺に居るのだ?」
「全員が、水の中で作業させられているデス!奴らは、余り濡れない所に居てムチの様な物を持っているデス!それが菖蒲滝の実装デス!」
「しかし!菖蒲滝の実装と比べても体格が全然違うじゃねぇ〜か!」
「奴らは、実装酒はもとよりワタシ達の食べる物も奪って、この近辺の山の実も独占しているデス!ワタシ達には、美味しい物は、殆ど貰えず、皆やせ細っているデス!この周辺の渓谷には、
 ワタシ達以外にさっきの唐滝と蓑滝、布滝に実装が住んでいたデスが、逆らった為に全滅させられたデス!」
「酷い話だ!」


「よしあき、じゃあ!あの幹部を真っ先に始末してみるか!統制が取れない様になって慌てる奴等も見てみたい!」
 よしあきが、Y字パチンコを取り出し、コロリを挟んで≪バシッ!≫体の大きな実装を狙った。
 コロリは、幹部の頭をかすめていった。
「あ……あいつ避けやがった!」
「想像以上に手ごわいかも!」
 だが、しかし「誰デス!ワタシを攻撃……デッ!気分が……気分が悪いデス!吐き気がするデス!」
 そう言ったと同時に、幹部は「ゲボォ〜!」口から血を吐いて……。≪バシャ—ン≫滝壺の中に倒れ込んだ。
「ボス!ボス!どうしたデス!」
「し……死んでいる!」
「た……大変デス!ボスがぁ〜!」
 ≪あいつの作ったコロリは、かすった程度でも実装が死ぬだけの威力があるのか!流石、京都大学理学部生物学科卒だな!≫
「おい!糞蟲共、覚悟しやがれ!」
 そう言って俺と、よしあきは、ムチを持った実装目掛けて山刀を振り回し、殴ったり蹴りを食らわせたりして白虎の実装を叩き潰した。
「朱雀に……朱雀エリアに助けを求めて来るデス!」
 更に追い打ちを掛ける様に爪楊枝実装が逃げる白虎の実装を攻撃した。
 数匹の実装が、朱雀エリアに助けを求めて逃げて行った。
 ボスを殺された白虎エリアは、仲間を押しのけて逃げる者、沢に落ちて溺れる者、逆に仲間に攻撃を加える者が出て、完全にコントロールを失い大混乱を起こして壊滅した。
「取り敢えず、白虎エリアは攻略したな!」

.................................................................................................................................................................................

 白虎エリアでの騒ぎは、当然朱雀エリアにも伝わっていた。
「た……大変デス!ボスが、ボスがやられたデス!」数匹の実装が、朱雀のボスに報告してきた。

 だが朱雀のボスは、ため息をついて……。
「それでお前達は、白虎の仇を取る訳でも無く此処までおめおめと逃げて来たと言う訳デスね!」
「デ……。」
「役に立たない者、臆病者は、必要ないデス!お前達は死ぬデス!」
 朱雀が持っていたムチを振り回すと、助けを求めに来た実装達の首を一気に吹っ飛ばした。
「たかが、虹滝の実装が集団で襲って来たとはいえ、そんなクズにやられるとは、白虎もたいした事は無いデスね!こっちに来れば全て始末してやるデス!」そう言って高笑いをした。
「ボス!青竜と玄武にも報告した方が良いのでは……。」
「大丈夫デス!ワタシが、奴等を始末するデス!奴隷相手に玄武達に助けを求めたとなれば、ワタシは、あいつらの笑い者になってしまうデス!」
 だが朱雀は、よもやニンゲンがそれに荷担しているなど夢にも思っていなかった。

 俺達は、滝から少し離れた道を体を低くして上に登っていった。
 少し歩くと、二段目の滝壺付近に到着した。
「ボス!!取り敢えず迎撃の準備が出来たデス!」
「下から攻撃してくる奴隷共を一毛打尽にしてやるデス!皆殺しにしてもかまわんデス!奴等の代わりは、幾らでも居るデス!手加減しなくても良いデス!」
 そう言って朱雀が命令していた。

「バカめ!大幹部と言ってもやっぱり実装だな!下ばかり警戒していて、周囲の状況を全く理解してねぇ〜な!」
「あきとし!もしかして、俺達ニンゲンが居ると言う情報が伝わっていないんじゃねぇ〜か!」
「そうか、それなら俺達の存在を奴らに知られない様にして、一気に玄武迄攻撃してしまうか!」
 爪楊枝実装に朱雀エリアの実装を攻撃出来るギリギリに位置に待機させた。
「さっきの様に大幹部を一番最初に始末して、兵隊共は、爪楊枝ボーガンで攻撃させるか!」
「だな!ボスは、赤い羽根を付けている。じゃあいくぞ!」
 よしあきが、今度は、かすらない様に朱雀の腹を狙って≪バシッ!≫コロリを発射した。
 だが、≪バキ!≫コロリが跳ね返された。
「な…….何だ!何故コロリを跳ね返すんだ?」
「ワタシを狙うとはこしゃくな、虹滝の実装皆殺しにしてやるデス!」
 だが、よしあきが、コロリを発射すると同時に爪楊枝実装達が、一斉にボーガンで攻撃した為に
 下の方ばかりに気を取られていた部下達は、横からの攻撃に対応しきれず、次々と爪楊枝の餌食になった。
「こ……こしゃくなぁ〜!奴隷の分際でワタシを追いつめるとはぁ〜!」そう言って青竜エリアに逃げようとした朱雀に……。
「よう!」
「お疲れ!」
 俺達が声を掛けると、奴は、真っ青な顔になって「まさか…….まさかニンゲンが荷担していたとは!」
「ほぉ〜!お前は、ニンゲンさんを知っていたのか?偉い!偉い!」そう言って
 ≪グシャ!≫
 よしあきが、思い切り朱雀を踏み潰した。
 潰れた朱雀の服を剥ぎ取ると、薄く削った木が鎧の様に服の下に縫い付けてあった。
「そうか!万が一爪楊枝で攻撃される事があった場合の対応をしていたのか!」
「体力や脆さは糞蟲レベルだが、こいつ等頭が良いぞ!油断できないな!」

.................................................................................................................................................................................

 青竜エリアは、朱雀エリアからかなり上に位置している為に下状況はあまり解らなかった。
 その為、数匹の実装達が、木の上に登って下を監視していた。

 俺達は、少し滝沿いを離れて今度は、山道を使って上を目指した。
「やっぱりこの辺まで来ると下に比べて良い酒の匂いがするなぁ〜!」
「後、2箇所か!」

 青竜エリアは、滝の裏に洞窟があって、青竜は、洞窟から部下に指示を出していた。
「ボス!定期報告の時間デスが、白虎からも朱雀からも何の連絡も無いデス!」
「おかしいデス!奴らが報告時間を忘れる事は、無いはずデス!下に行って様子を見て来いデス!」
「オイ!お前!玄武に下からの報告が無いと連絡して来いデス!」
「ボス!もしかして……虹滝の実装共が反逆して来たデスか?」
「0%では無いデス!それも考えられるデス!オイ、監視部隊、滝沿いの道を上がって来る者があれば直ぐに報告せよデス!迎撃態勢を取るデス!」その様な支持が飛ばされた。
 しかし残念ながら俺達は、滝沿いでは無く、山道を通っていたから見つかる事は無かった。
「デッス!デッス!」
「デッス!デッス!」
「デッス!デッス!」
「デッス!デッス!」

 4匹の実装達が、滝沿いの道を下に向かって下っている。
「あいつら下の様子を見に行ったな!」
「厄介な事にならない内に始末するか!」
「爪楊枝実装こいつらを始末した方が良いぞ!」
 そう言うと、爪楊枝の矢が4匹の体を「デボッ!」「デジャ!」「デスゥ!」「デゲッ!」突き刺した。

 俺達は、気付かれない様に青竜エリア迄来た。
「ニンゲンさん、此処は、木の上に監視が居るデス!気を付けて下さいデス!」
 そう言われれば、木の上で何かが動いている。
 よしあきが双眼鏡を取り出すと、滝を両岸に生えている4本の木に2匹ずつ計8匹の実装がいる。
「どうする!先に青竜エリアを攻撃するとしても、木の上の監視に見つかり迎撃される。木の上の監視を先に殺れば下の青竜に気付かれる!」
「まあ!実装の攻撃なんてたかが知れているが、俺達が、パチンコで木の上の実装を始末するから、お前達は、青竜エリアのムチを持っている実装を攻撃してくれ!くれぐれも間違えて仲間を殺さない様にな!」
「解ったデス!」
 運の良い事にこの青竜エリアには、親指大の石がゴロゴロしていた。俺達は、コロリを使わず、石を使って攻撃した。
「行くぞ!」
「デジャーァ〜!」
「デスウ〜!」
 木の上にいる監視に直接当たらなくても、親指大の石が監視の居る周辺に木に当たれば、木が揺れて次々に落ちていく。
 監視も爪楊枝ボーガンで対抗するが威力が違う。
 2人で20発位の石をぶつけて木の上の監視を全て下に落とした。
 俺達が、攻撃すると同時に爪楊枝実装達が、滝の右側から攻撃を行った。
「ボス!虹滝の実装共が、攻撃して来たデス!」
「慌てるなデス!爪楊枝部隊、右翼の実装共を始末するデス!」
 同時に攻撃したとはいえ、先に監視を攻撃した事で、若干相手に猶予を与え、青竜の爪楊枝部隊は、慌てる事なく迎撃を開始した。
 凄まじい攻撃の青竜爪楊枝部隊に対してこちらの爪楊枝実装は、避けるのが精一杯で攻撃する事が出来ない。
「どうする!あきとし!」
「仕方ない!此処は俺達が蹴散らすか!」
 そう言うと俺達は、青竜爪楊枝部隊の斜め上の岩から飛び降りた。
「デ........お前達は、何者デス!」
「ニンゲンさんだよ!冥土の土産に目に焼き付けておけ!」


 俺は、爪楊枝部隊を足で次々に踏み潰し、よしあきは、山刀を振り回して実装を吹き飛ばした。
 すると、滝の裏の洞窟で何かが動く気配がした。
 よしあきもそれに気付き「チェスト—ォォ〜!」そう言って山刀を突き刺した。
 すると青い羽を付けた実装が、山刀に突き刺さった状態で外に引っ張り出されて来た。
 だが!未だ生きている。
「オイ!お前ら此奴が、青竜のボスだ。お前達の手で止めを刺してやれ!」
 数十匹の虹滝の実装に取り囲まれた青竜は、「ま……待ってデス!玄武の…….玄武の秘密を言うから命だけは、命だけは、助けて。奴には……奴には、実装獣が……実装獣が」
 そこまで言うと≪パキン!≫偽石が割れて死んでしまった。
「最後の大ボスは、実装獣が付いているのか!」
「これは、厄介だ!実装獣が絡んできたら、俺達でもきつい!」
「だが、はったりかも知れん!取り敢えず実装獣の事は、頭に置いた方が良さそうだな!」

...................................................................................................................................................................................


 一番上の玄武エリアにも、定期連絡が無い事は伝えられていた。
「まさか!白虎や朱雀が同族相手にやられるはずが無いデス!だが、下から連絡が途絶えてだいぶ時間が経つデス!青竜のエリアからもその後の連絡が途絶えているデス!一体何があったデス!」とイライラしていた。
「ボス!下に様子を見に行かせるデスか?」
「白虎、朱雀がやられた可能性は考えられるデス!奴らの石質を数匹連れて様子を見に行くデス!最悪、石質を盾にして構わん、必ず情報を持ってくるデス!」

「嫌テチ!」
「止めてテチ!」
「死にたくないテチ!」
 と、嫌がる仔実装に、「お前達には、俺達の盾になって貰うデス!お前達の仲間が逆らえば殺される事になるデス!解ったデスね!」嫌がる仔実装を連れて下に偵察に行かせた。


 青竜から上の山道は、草木が全く生えていない道で、しかも道の両側が、片方は滝、もう片方は急な崖になっている。
「ここから、玄武のエリア迄は、脇道が無い1本道デス!この上は玄武エリアですが、上から敵が下りて来たら、ニンゲンさんがいてもかなり不利な状況になるデス!」
「う回路は、ないのか?」
「あるには、あるのデスが、一旦白虎エリア迄下りなければならないデス、下に降りれば、脇道があるデス!」
「しかし、時間が掛かり過ぎる。しかもこの一本道を通った場合、もし実装獣が本当居るならに襲われたら俺達に勝ち目は無い!下手したら皆殺しにされる!」
「しかし、玄武も下の様子が解らねぇ〜んじゃねぇ〜のか!多分偵察隊を送って来るだろう。実際奴らも下の様子が解らなければ手の打ち様が無いしなぁ!」

 
 その頃、仔実装を連れた偵察隊が、青竜目指して下って来た。
「静かデス!此処まで下りてくれば、何か、聞こえて来てもおかしく無いデス!」
「離してテチ!」
「痛いテチ!」と仔実装の騒ぐ声が青竜エリアのあきとし達の耳に入った。
「やつら、仔実装を盾にして様子を見に来たか!」
「おもしろい!それなら青竜の惨状を見せてやろうじゃねぇ〜か!」


 仔実装を盾にした偵察隊が青竜エリアに入って来ると……。
 そこは、腹から血を流し太い木の枝に吊るし首にされ、苦しそうな顔をして絶命した青竜の無残な姿だった。
「ボ……ス!」
 言葉を失う偵察隊の後ろからよしあきが、そぉ〜と近寄り、「あらよっ!」
「テチャ!」
「テッチ!」
「テッ!」
 仔実装を奪い返すと、待ち構えていた爪楊枝実装が集中攻撃を浴びせる。
「デッスゥ〜!」
「デジャーァ〜!」
「デェェェェ〜!」
「…….」
「…….」
「…….」

 玄武の偵察部隊は、手を出す事すら出来ず皆殺しにされた。
「やっぱり!こいつ等が石質迄連れて下りて来たと言う事は、俺達の攻撃を受けた時の保険の様なものだろう」
「玄武エリアでは、未だ下の状況を詳しく把握していない様だな!」
「今の内に玄武迄いくか!」
「おい!お前達、俺達が走って玄武迄行くから、お前達は、自分達のペースで登って来い!仔実装は、安全な所に隠せ!」
「なるべく俺達で始末しておいてやるからな!」俺達は、急な1本道をダッシュで駆け上がった。

 僅10分で玄武エリアの下迄着いた。
 岩陰に隠れて様子を見ていると、玄武エリアの実装は偵察部隊が帰って来ない事が、かなり気になっている状態だった。
「遅いデス!偵察隊は何をしているデス!」
「取り敢えず、ボスに未だ偵察隊が帰って来ない事を報告してくるデス!」
 玄武エリアは、下と違って多くの発酵した這松が山の様に滝壺に浮かべてあり、数十匹の実装が、松の枝を動かして、浸かっている場所をかき回している。
「しかし、実装達どこで酒を造る技術を学習したんだろう!」
「野良と違って山実装は、まだまだ解明できていないベールに包まれているからなぁ〜!」
 そんな事を言っていると、玄武だろう黒い羽根を付けた実装が、滝壺に現れた。
「多分他の山から渡って来た実装達が、この這松実装酒を狙って来たデス!我々、菖蒲滝の実装は、今迄同族との戦いに負けた事が無いデス!更に強力な実装獣が居るデス!恐れる事は、無いデス!」そう言ってその場を景気づけた。

「よしあき、見ろよ!あの洞窟」
「数匹の爪楊枝部隊が、出たり入ったりしているだろう!多分石質の仔実装がいるんだろうな!」
「それじゃあ!あいつらを始末して仔実装を助けるか!」
「もう少し待て、虹滝の実装が来たら作戦実行だ!あいつらもうすぐに着くぞ!」
 暫くしたら爪楊枝実装が合流して来た。
「ニンゲンさん!お待たせしましたデス!」
「じゃあ!先に仔実装を助け出すぞ!お前ら門番を爪楊枝の矢で始末してくれ!」
「解ったデス!」
 数匹の爪楊枝実装が、門番に向かって、≪ビュン!≫≪ビュン!≫≪ビュン!≫≪ビュン!≫≪ビュン!≫≪ビュン!≫「デア〜!」「デッスウ〜!」「デッスウ〜!」「デッ!」「…….」洞窟の門番は、皆殺しにされた。
 しかし、実装サイズの洞窟には、俺達は入れない。
 外の異変に気付いた門番が中から6匹出てきた。俺達は、そいつらを踏み潰して「おい!お前ら早く仔実装を助けろ!」そう言うと爪楊枝実装が、洞に入って沢山の仔実装を連れて出てきた。
 来た道に敵が居ないことを確認して避難させようとしたが、敵の爪楊枝部隊が、石質を逃がすまいと一斉攻撃を仕掛けて来た。
「あ......彼奴らは、ニンゲン!虹滝の実装には、ニンゲンが協力していたデスか!と言う事は、白虎!朱雀!青竜は、やっぱりやられたデスか!」
「おっ!此奴等、ニンゲンを知っているのか!」
「知っていた所で、此処で全滅させてやる!」
 俺達は、着ていた上着を脱いで仔実装達に爪楊枝が当たらない様に壁にして、全員逃がした。
「ああ!鬱陶しい!」そう言って俺が、爪楊枝部隊に向かって爆竹を投げた。

 ≪ボン!≫敵の部隊の上に落ちると同時に10連発の爆竹に同時に火が着いて爪楊枝部隊の大群を一撃で吹き飛ばした。
「な……何をしているデス!早く、早く、仔実装を追いかけるデス!」黒い刃根を付けた玄武が、爪楊枝部隊に指示を出したが、仔実装を連れた爪楊枝実装は、既に崖の中腹迄下っていた。
「残念だな!これだけ距離が出来たら、お前達成体実装でも追いつく事は、出来ないだろう!」
「と言うか!此処で俺達や残った爪楊枝部隊を始末してやるから、追いかける事すら出来ないだろうけどな!」
「ニンゲン!このワタシを此処までコケにするとはぁ〜!」
「実装獣を…….実装獣を出せデス!」


 玄武が、そう言うと数匹の実装達が、鎌の様な物で木と木の間に張った小さなしめ縄の様な結界を切った。
 ≪ゴゴゴゴゴゴゴゴ!≫地面が揺れる様な感覚に襲われると木をなぎ倒しながら実装獣が現れた。
「デアアア!ワタシの眠りを邪魔しやがってぇ〜!」
 大きな実装獣が現れると、自分を出した味方の実装に襲い掛かった。
 強力な爪を振り回すと前に居た実装は、全て首が跳ね飛ばされ、後ろに居た実装は、風圧で飛ばされ次々に後ろの岩に叩き付けられて潰れてしまった。
 周辺にいた玄武の実装は、危険と察した者は、逃げたが、その場で右往左往する者は全て殺された。
「こいつが、実装獣か!名前や凶暴と言う事は、知っていたが実装獣か!初めて見た!」
「お前達は、実装石じゃないな!一体何者だ!」
「俺達は、ニンゲンだ!」
「お前達が、ニンゲンか!ニンゲンと言う名前は、聞いた事があるが、見るのは初めてだ!」
「実装獣!早く!早く!ニンゲン共を始末するデス!」
「解っている!後ろにいる仲間の糞蟲と一緒に始末してやる!」
 奴の鋭い爪は、木々をなぎ倒し、俺達の前迄やって来た。

「実装獣って!こんなに凶暴な生き物だったのか!」そう言っていたが、奴は、俺達を直ぐには攻撃してこなかった。
「何だか勢いはあるが俺達向かって一向に攻撃してこないな!」
「奴も俺達を初めて見たと言っていたからな!警戒しているのだろう!」
「こちらから攻撃して出方を見よう、こっちには、山刀が2本もあるし彼奴の頭をかち割っても良いな!」

「おい!爪楊枝実装!彼奴の目を狙え!一斉に攻撃をしろ!」
 そう言うと、爪楊枝実装は、実装獣の目に向かって爪楊枝の矢を放った。
 それと同時に俺も山刀を投げつけた。
 実装獣は、爪楊枝など交わせると思ったのか、投げた山刀に気を取られ、山刀払いのけたが、数10本の爪楊枝が両目の眼球に突き刺さった。
「グワァァァァァァァ〜!目が!目が!痛いぃ〜!真っ暗だ!真っ暗だ!何も見えない〜!」そう言って転げ廻って苦しむ実装獣をよしあきが、「死ね!」≪バキッ!≫山刀で頭を思い切りかち割って殺した。


「デッ!実装獣が…….ワタシの実装獣がやられた!」そう言って茫然とする玄武に爪楊枝実装が矢を一斉に放った。
「デ…….デボウ!」そう言って数十発の爪楊枝を浴びた玄武は、浅瀬に倒れが……。だがしかし、むっくり起き上がって……。
「や……やるな!虹滝の奴隷共ぉ〜!ワタシに傷を負わせるとはぁ〜!≪ビシッ!≫
 偽……偽石にヒビが入ったか!いよいよデスか!だが、ワタシは……ワタシは……お前達奴隷共の攻撃では、死なないデス!ワタシは…….」そう言って、滝壺に向かって真っ逆さまに落ちて行った。
「やったデス!」
「やったデス!」
 喜ぶ実装達を横目に「やっぱりラスボスだな!敵に殺されるより自分で自決したか!」



「それじゃあ!酒を貰って帰るか!」
 あきとしは、一口飲んで「美味ぇ〜!」
「よしあき飲まねえ〜のか?」
「こんな奥深い山で酔っ払ったら下山する前に崖から滑落したり、熊や猪に襲われて下山が、出来ねぇ〜ぞぉ〜!」
「それもそうかぁ〜!」そう言っていると……。

「ご……ゴメンしてテチィ〜!」
「許してテチィ〜!」
「嫌テチィ〜!」
「離してぇ〜!」
 虹滝の仔実装を虐める事に夢中だった為、逃げ遅れた6匹の菖蒲の仔実装が連れて来られた。
「そこの大きな……。助けて欲しいテチィ〜!」
「殺さないでぇ〜!」
 そう言って俺達に命乞いをしてきた。
「そこの大きな……。」と言うのは、どうやら俺達の事の様だ。こんな山奥にいれば、ニンゲンと言うのを知らなくても不思議ではない!実際、成体実装でも俺達の事を知らなかったからな。
「俺達は、そこの大きなと言う名前では無い、ニンゲンというものだ!」
「ニンゲン!ワタシ達を助けて……。」
「お前達生きたいのか?助かりたいのか?」
 俺が、仔実装に聞くと「そうテチ!死にたくないテチ!」涙を流して懇願してきた。
.........................................................................................................................................................................

 次の日の昼ごろ俺達は、下山してきた。
 ペットボトル2杯分の這松実装酒と、もう1本の口の広いペットボトルに実装酒漬けの菖蒲滝の仔実装を持って下りて来た。
「助けて!」と懇願しても菖蒲の仔実装を虹滝の実装達は、許す訳も無い。
「殺すデス!」
「ワタシの可愛い子供を痛めつけて置いて命乞いとは見苦しいデス!」
「二……ニンゲン!」
 涙を浮かべて俺達を見つめている。
 俺は、仔実装達を見て『にっこり』笑った。
「二……ニンゲン!じゃあ!」
「そうだ!」と言うと同時に滝壺に叩き落として溺れさせた。
「あっぷ!あっぷ!溺れるテチィ〜!」「た……助けて……」≪ゴボゴボゴボ≫
「残念だったな!俺は、虐待派だ!助命嘆願する相手が悪い!」
「自分達は、虹滝の仔実装を虐めに虐め抜いて今度は自分が不利になれば、助けを求める。考えが甘いわ!」
 滝壺の実装酒の上に浮いて来た仔実装仮死状態になっているだけで死んではいない。
 その実装酒を入れたペットボトルに仔実装4匹を漬けて蓋を閉めた。
「生かさず!死なさず!良い状態だ!山を下りる頃には最高の味になっているぞ!」
 途中の蒼龍で、俺達を見て逃げだす少し小ぶりの仔実装数10匹程を捕まえて、同じ様に山水で綺麗に洗いリュックに入れた。今回は、これ位で良いだろう。



 村に帰ると、爺に酒漬け仔実装の入ったペットボトルをと蒼龍で捕まえた10匹の仔実装を渡して、「やっぱり案山子にも黒髪にも実装は、目立っていなかった。熊や猪を恐れて大勢で行くから奥へ逃げられてしまう。
 だから出来るだけ少人数で実装狩りに行く。それだけのリスクを背負わなければ、実装を狩るのは難しいな!取り敢えず蒼龍迄道は付けた。捕まえる、捕まえられないは、実装狩りに行く人間次第言う事だと村長に行ってくれ」
 爺は、「解った!ご苦労さん!」
......................................................................................................................................................................................


 よしあきは、ペットボトル2本の実装酒を持って帰った。
 しかし、何を思ったのか、T大教授には渡さなかったみたいだ。
 後日、よしあきに呼び出された俺は、奴の家に行った。
「何だ!よしあき、急に呼び出して……。」
「いや!お前と実装酒を飲もうと思ってさ!」
「T大教授に恩を売るんじゃなかったのか?」
「最初はそう思ったさ!だが、必死になって酒を造る奴等、その酒を俺達に惜しげも無く、くれる奴等を教授に酒を渡して世間に公表するのは、哀れと思ってな!」

「お前そういや実装飼っていたと言っていたな!いつの間に愛護派になったんだ!」
「俺は愛護派じゃねぇ〜よ!中立派だ!いやどちらかと言えば、興味も無い無関心派だ!
そうそう!教授が今度、あの山に数10人のスタッフを連れて登るらしいんだ!数10年振りにな!
 結局、蒼龍の実装の言っていたニンゲンとは、教授の事だったんだ!」
「どうせ、『実装に逃げられて何も発見出来ませんでした!』で終わるだろうな!」
「だろうな。で!今度何時、あの山に登るんだ!」
「当分、登らないだろうな!」
「そうか!」
「でも!この酒美味いなぁ〜!飲み過ぎたが、これで最後にするよ。もう1杯酒をくれ!」
「あらら!もうないぜ!」
「最後の1杯が飲めないとは!」
「と言う事は、あの山が、あの虹滝の実装が、又、来いって言っているんだよ!」
「やっぱり、お前、人を乗せるのが上手いわ!」


FIN

■感想(またはスクの続き)を投稿する
名前:
コメント:
画像ファイル:
削除キー:スクの続きを追加
スパムチェック:スパム防止のため2339を入力してください
1 Re: Name:匿名石 2018/01/23-19:39:04 No:00005143[申告]
お~い、
改行を実装するのを忘れてるぞ~
2 Re: Name:匿名石 2018/01/25-22:38:03 No:00005145[申告]
台詞回しや描写が「電光石火供えガイ」みたいだなと思いました
3 Re: Name:匿名石 2018/01/27-11:15:01 No:00005146[申告]
これ、玄武は生きてるんじゃないか
秘密をきちんと聞かずに青龍殺しちゃったからなあ
続編の布石というやつか
4 Re: Name:匿名石 2019/02/24-02:27:10 No:00005764[申告]
とりあえずパキン派なのね
戻る