タイトル:【観察】 山実装のコロニー襲撃(前篇)
ファイル:仔実装......⑧.txt
作者:kobeUS 総投稿数:45 総ダウンロード数:1865 レス数:6
初投稿日時:2017/10/11-11:41:55修正日時:2017/10/12-10:32:23
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       山実装のコロニー襲撃(前篇)

  黒髪市にある双葉ノ山(ふたばのせん)案山子岳渓谷は、前人未到の場所があると言われる位の奥深い山。
  その奥深い山の中に大きな滝と渓谷とがあり、そこに大きな山実装のコロニーがある。


  そのコロニーは4つのグループで形成されている。月に1回(実装感覚で…….)長の会合があり新しい決め事(掟の追加、削除、更新)が行われる。
  今回、4つのグループの共同の新しい掟が緊急で追加された。新しい掟として渓谷の上流には、大きな『雷魚』が住んでいてそこに近寄る事は禁止すると言う物であった。
  何匹かの実装が、上流の水が美味しいからと水汲みに行って帰って来なかった。
  調べたところ、『先日の大雨で川が増水してから,何処からか上流に住み着いた1匹の雷魚に襲われて食われた』と言う事が解り上流に近づく事が禁止されたと言う訳である。


  まだ雷魚は、実装達のテリトリーの下流にまで下りて来ていないが、美味しい実装肉を食う為に下流迄下って来るかも知れないからである。
  コロニーでは、中流から下流に掛けて雷魚避けの柵を5か所に設置した。
  ≪雷魚が下流に下りてくれば難なく壊されるだろうが、もし来れば逃げら為の時間稼ぎには成る程度の設備だが≫
 掟を破れば殺されるか、餌も貰えず追放される。≪いずれにしても死ぬ事に変わりは無い≫
 しかしどこにでも決め事を守れない奴はいる。このコロニーの1つのグループに1匹、箸にも棒にもかからない仔実装が居た。

 その仔実装も雷魚の話は聞いていたが『雷魚』が見て見たくなったので掟を破って上流に向かい始めた。
 「掟が何テチ!ワタチが雷魚を始末してやるテチ!」と自信満々に根拠の無いたわごとを言いながら。
 上流に着くと仔実装は、『雷魚』が何処に居るのか目を皿の様にして探したが、みつからなかった。
 「テチ!雷魚なんかいないテチ!迷信テチ!」そう言って安心していると、大きな雷魚が仔実装目掛けて ≪ザッバーン!!≫襲って来た。
 「テッチャ〜!」仔実装は、津波の様に来る水に吹っ飛ばされてしまった。
  水に吹っ飛ばされて雷魚に食われる事は無かったが、渓谷の岩に体をぶつけて服はボロボロ、体は傷だらけ全身びっしょり濡れてしまった.


 「テ……テッチャーァ〜!ら……雷魚テチィ〜!」
  仔実装は、コロニーの皆の言っていた通りに本当に雷魚が襲って来た事。
  自分の想像以上に雷魚が大きく凶暴だった事。その事にパニックになって、傷まみれ、ずぶ濡れの状態のままコロニーに逃げ帰った。
  コロニーに帰った仔実装は、その事は黙っていたが、コロニーの年寄りの目は誤魔化せず、長老に呼び出され厳しく問い詰められた。
 「オイ!お前は、雷魚の居る上流に行ったデスね!嘘を吐いても無駄デスよ!早く対処しないと大変な事に成るデス!」長老の余りの怖さに仔実装は、行った事を認めた。
  直ぐにコロニーに流れ込む渓流に、実装達が造った木のバリケードを閉めて雷魚の侵入を防いだ。


  当然、掟破りは処罰されないといけない。4つのグループの長が集まり話をして仔実装を牢に入れて監禁して死刑になる日まで待つか、餌なしで追放されるのか選択する様に迫られた。
  仔実装は、餌なし追放を選んで山を下りて行った。
 「ふん!あんなコロニーなんかこちらから願下テチ!」そう言いながら山を下りかけたものの、餌が無くては力が出ない。
  仔実装は、夜になるのを待ってコロニーの食糧庫から数日分の餌を盗み出し、山を下って行った。
  暫く歩いて木の影で寝て朝になってから再び山を下りだした。
  元々、奥深い山で生活していたのだから山道を下るのは問題無い。仔実装はその日の昼過ぎには、麓迄下りて来た。


  当然、コロニーの長から山の下には、ニンゲンと言う恐ろしい生物がいると言う事は聞いていた。
  山を下りた仔実装は、持って来た餌も既に食い尽くしていたので腹が減っていた。
  目の前には、キャベツ畑が広がっていたので仔実装は、キャベツをバリバリ食いだした。
  すると「糞蟲ぃ〜!人の畑を荒らしやがってぇ〜!」とクワを持った農夫が追いかけて来た。
  農夫と仔実装の間には、畑があったので農夫は畑を迂回する格好で追いかけざるを得なかった。


 「怖いテチィ〜あれがニンゲンテチね!気を付けないと!」そう言いながら周囲を警戒してキョロキョロしていると、学校帰りのランドセルを背負った小学生の女の子が、
  仔実装を見つけて歩いて来た。
  その子は「山実装だわ!連れて帰ったら御爺ちゃんに、こずかいが貰えるかも?」そう言って仔実装が警戒しない様にあえてニコニコして近寄っていった。
  仔実装は仔実装で「ニコニコした優しそうなニンゲンテチ!この子にご飯貰うテチ!」と近寄っていった。


 「ニンゲンさん、ワタチはお腹が空いたテチ!何か食べ物欲しいテチィ〜!」甘える様に言った
 「じゃあこれあげる!」少女は、給食の残りのきなこパンの切れ端を渡した。
  仔実装は、むしゃぶりつき「美味しいテチ!ふんわり柔らかなのに弾力があって噛めば噛むほどきなこの甘い香りが口の中に広がるテチィ〜」と美味そうにパンをほおばった。
 「私の家に来たらもっとあるけど来る?」と尋ねると、「行くテチ!行くテチ!」喜んでついて来た。


  家に帰ると、その子の祖父は、農機具を片づけていた。
 「おじいちゃん!山実装を連れて帰って来たよ!」うれしそうに言った。
 「そうか」その老人が振り返ると畑で追いかけられた農夫だった。
 「テチャァ〜!殺されるテチィ〜!」仔実装は逃げ出そうとしたが、キャベツを入れるかごを投げられ捕まえられてしまった。
 「こいつは、ドロボウ実装だ!俺の作ったキャベツを食い荒らしやがった!とし子(女の子の名前)よくやった。今日の晩飯は、実装鍋でもするか?」と近寄って来た。


  しかし、農夫は実装の口元を見て表情が変わった。「オイ!とし子この実装に何か食わしたのか?」
 「うん!きなこパンをやった!」
 「駄目じゃないか、山実装には、山の実か実装フードを与えなければ、人間の食い物を与えると肉が臭くなり食えなくなるぞ!こいつは、生かして置いても仕方ない、
  廃棄処分だ!殺して捨てるぞ!」
  少女はがっくりしてしまったが、「今度、気を付ければ良い!小遣いをやるから又、頼むぞ!」そう言って1000円札を渡した。
  農夫は「そうだ!こいつを使って面白い事をしよう!」そう言って庭から表に出て行った。
  1匹残された仔実装は「ワタチは、これからどうなるテチ!も.....もしかして殺されるテチ?」と泣き出した。
  

 そこへ数人の男を連れて農夫が帰って来た。
 「今から、お前のコロニーに案内しろ!畑を荒らしたお前の不始末は、親が責任をとるこれが常識だ!お前の親が謝れば許してやるし、自由にしてやる!」
  そう言って仔実装の首に首輪とリードを取り付けた。
 「さあ!お前の家に案内しろ!」そう言って仔実装を表に連れ出した。
 仔実装は「そうテチ!ワタチのやった事は、ママの責任テチ!よし!ワタチを追い出したコロニーの奴らに一泡吹かせてやるテチ!
 ついでにあの偉そうな長老達もぎゃふん!と言わせてやるテチ!」
 自分の行いが悪いから怒られたのに、その事を反省もせずニンゲンを利用して長老が自分に謝る様に仕向け様とした。
 ニンゲンが何をする為にコロニーに行こうとしているのか。自分がどれほど大それた事をしようとしているのか、単純なバカは何も考えずに自分の下って来た道を上へ上へと戻っていった。
 道なき道もあった。しかし男連中は、持って来た木刀で草をかき分けて道を作った。
 遠くから滝の流れる音が聞こえて来た。暫く歩くと地面がぬかるんできて、小さな実装の足跡が沢山着いていた。
 「ぼちぼちだな!」リードを持って先頭を歩いている農夫がそうつぶやいた。
 農夫は、リードを引っ張り仔実装を手繰り寄せ、手足を縛って猿轡をして木から逆さ吊にした。
 「ご苦労!お前は此処までで良い」そう言って男連中は、渓谷に向かって歩いて行った。
 

  暫くすると「二…….ニンゲンが攻めて来たデス!」「に……逃げるデス〜!」「痛い!痛い!助けてテチィ〜!」
 「ああっ!ワタシの子供達が、捕まってしまったデスゥ〜!」阿鼻叫喚の叫び声が渓谷に響き渡った。
 「えっ!一体どうなっているの?ワタチのコロニーは、ママや妹チャンは?」なんだか様子が変だ、そう思った。


  2時間後、頭を叩き割れてぐったりした成体実装数3匹を括りつけた木刀3本を数人で担いだ男連中が山を下る。
  引き続いて仔実装を10匹紐で吊り下げた数人の男が、数本の木刀を担いで続いた。
 「いや!大漁、大漁だ!今日は、公民館に町内の人を呼んで実装鍋をしよう!オイ!仔実装お前は用が済んだ下してやるよ!無罪放免だ!何処にでも行け!」
  リードを外し地面に放り投げた。
 「テッチャァ〜!痛い!痛い!」そう言いながら仔実装は、コロニーの有った場所に向かった。
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  ≪人間目線≫


 「おい!山実装がゴロゴロいるぜ!」
 「目に入るだけでも100匹は居るのではないのか?」
 「今後の楽しみを取って置くのも良いだろう!実装の味は変わらないから手前に居る奴だけ捕まえれば良い!」
 「深追いはするな!地面に掘った巣穴はなるべく壊さない様にしろ!殺すなよ!生け捕りにしろ!」
  目の前では、無防備に仔実装が、水辺で遊んでいる。成体実装も岩にもたれかかってうたた寝をしている。
 「じゃあ!行くぞ!」
 「ヒャッハ〜!」木刀を持った数人の男達が、奇声を揚げて実装に襲い掛かった。
 「二…….ニンゲンデス!」「ニンゲンが襲って来たデスゥ〜!」「ママァ〜怖いテチィ〜!」≪ニンゲン襲来!≫その情報は、コロニーに一斉に伝わった。
  機転の利く者は、素早く事態を理解して山奥に避難した。
  トロイ者は、何が起こったのか分からず、自分の目でニンゲンを見て逃げ出す始末だった。
  ニンゲンを見ても頭でその事を処理出来ない者は、木刀で殴られて動けない様にされた。
  実装達は、自分達のテリトリーなのにパニックになってしまい、山に入れば良いのを川に入って「ブクブク!溺れるテチィ!助け…….」川に流される仔実装は、仕掛けた網に次々入っていった。
  一定の仔実装を網に入れたら縛って岩に叩き衝け「テッチャァ〜!」「テチャァ〜!」動けなくして服を引き破り腹を切り裂き内臓の食えない部分は水で洗い流す。
  死体の両手足を括って木刀に次々に吊り下げる。
  成体実装は、踏み着けられ、蹴り飛ばされ痛めつけられた。
  リンチする事に寄って肉の味が美味くなると言うだからだ。
  草木で造った家に逃げ込んだ実装は、木刀で潰され外に引き出され殴る蹴るの暴行を受けた。
  ぐったりした実装の頭をかち割って偽石を取り出し栄養剤の入ったビニール袋に入れて実装が奪い返す事が出来ない様に木の上に吊るした。
 

 「これだけの規模のコロニーだ!もっと実装を捕まえようぜ!」そう言って周囲を見回した。
  これだけの大虐殺が行われ実装の血が流れたら、例え上流に居ても実装の血の匂いは雷魚にも伝わった。
  雷魚は、すぐさま下流へと向かった。
  暫くして下流に着いた雷魚は、岸辺で血を流しながら倒れている仔実装に噛みついた。
  が、しかし「この野郎、俺が仕留めた仔実装を喰いやがったなぁ〜!」雷魚は仔実装を銜えたまま、農夫の木刀で跡形も無く叩き潰された。


 「取り敢えずやっとくか!」地面に逃げ込んだ実装達には、枯れた木にライターで火を着け燃えだしたら、生木をくべて煙を穴に入れて追い出す。
 「ケホッ!ケホッ!」「苦しいデス!」「煙たいテチィ〜!」 反対側の穴に待ち伏せして出て来たところを逃げてきた実装達を蹴飛ばして捕獲した。
  あっという間に2時間経った。
 「そろそろ実装を木刀に括って下山しようぜ!」
 「日が暮れるまでに下山しないとなぁ〜!」
  男連中は、木刀に括りつけた実装を担いで帰りの途についた。
………………………………………………………………………………………………………………………………
  ≪仔実装目線≫


  渓谷一面は頭を割られた実装や殺された仔実装の体を洗ったのだろう、あたり一面血の海だった。
  普段は、透き通って綺麗な渓谷は実装の血の色で染まっていた。
  更に、実装の内臓の食えない部分は、成体、仔共々あちこちに投げ散らかされていた。
  渓谷周辺にある実装のおうちは、片っ端から潰されていて、見る影も無い。
 「な……何テチ!こ……こんな!こんな事……」目の前に広がる惨状を見て仔実装は絶句した。
 「ワタチは、長老やママに謝って貰いたかっただけテチ!」
  暫くするとニンゲンから逃げ延びた実装達が、コロニーがあったであろう場所に戻って来て、涙を流しながら
 「地獄デス!地獄デス!何でこんな事に……」
 「今迄、ニンゲンがここに来た事は、無かったデス!」
  愕然として涙を流す実装達は、岩の上で茫然としている仔実装が、追放された仔実装であると気付いた。

 「お前は、何で此処に居るデス!」「さては、お前がニンゲンを連れて来たデスね!」
 「コロニーの掟を破った癖にワタシ達に復讐する為にニンゲンを連れて来たデスね!」怒った成体実装達は、仔実装に襲い掛かった。
 「助けてテチィ〜!許して…….」仔実装は、許しを請うもボコボコに殴られた。
  ぐったりした仔実装に向かって「お前のお陰で……お前のお陰で多くの仲間が殺されたデス!」
 「長老も殺されたデス!ニンゲンにコロニーの場所を特定されたデス!もうここには住めないデス!」そう言って傷だらけの仔実装に唾を掛けて森の奥に消えていった。
  裏切り者の仔実装は、殺される事は無かったが、傷を負った体で真っ暗な渓流の岸で動くことも出来ず
  一人ぼっちの孤独と、山の寒さに震え体の痛みに苦しみながら、最後には発狂してしまい自ら偽石を割って死んでしまった。


  この日を境に、このコロニーに居住する実装達は、渓流のこの場所を放棄して山の一番奥に移住した。
  ニンゲンに例の雷魚が殺された事を知らなかった実装達は、水が手に入り易い上流に行かずに、ニンゲンや動物に教われない様に
  簡単に上がって来られない急な山の斜面にコロニーを構えた。
  実装達は、安全と引き換えに新たに水の供給と言う新しい課題が出来た。


..............................................................................................................................................................................
  大漁の山実装を捕獲した男連中は、町内放送で住民に呼びかけ、公民館で実装鍋に舌鼓を打った。
 「あれだけ大きなコロニーだ。まだまだ山実装がいるだろうな!これからもちょくちょく捕獲に行こうぜ!」
  彼らは、種を滅ぼさない程度に実装狩りをするつもりだろう。
  実装達の災難は今後も続く事になる。


  To be continued


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1 Re: Name:匿名石 2017/10/11-19:50:50 No:00004967[申告]
雷魚は沼やよどんだ川に住む魚。
上流とか渓流には住まない。
渓流に住む貪欲な肉食魚ならイワナでしょ。

あと、藪漕ぎをしながら山を歩くなら
木刀じゃなく山刀だよ。
2 Re: Name:匿名石 2017/10/12-01:40:58 No:00004968[申告]
ご指摘ありがとうございます。
魚名を修正します。

私が藪山に上がるときは、木刀を持って行ったもんですから、
そう書いてしまったらようです。
3 Re: Name:匿名石 2017/10/13-00:49:20 No:00004974[申告]
虐待よりも食材として無慈悲に調理(の結果実装が苦しむ)のが実食ネタとして好みじゃのう。
前はそう言うテイストが強かったと思う。
後編これから読むがどうなるのか?期待しながら読むぜ。
4 Re: Name:匿名石 2017/10/14-02:35:50 No:00004980[申告]
クソは追放してもその先でまた悪さするんだから処すしかない
ニンゲンの死刑囚も糞蟲も同じなんだな
5 Re: Name:匿名石 2017/10/29-09:23:57 No:00005032[申告]
この仔実装、仲間の死を悲しむあたり糞蟲じゃなくてひたすら愚かでわがままなだけの個体かも
6 Re: Name:匿名石 2020/11/21-00:46:39 No:00006295[申告]
山実装が捕まる危険を承知で仔蟲1匹を回収しに来るかな?
俺なら後日くるの解ってるから皆捕まえるなw
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