タイトル:【【哀】】 初投稿させていただきます。
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初投稿日時:2011/08/10-21:56:25修正日時:2011/08/10-21:56:25
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 今年も双葉市に冬が訪れようとしていた。
過ごしやすかった秋の大気も深く身を刺すように冷え込みはじめ、蒼と茜の心和ませた鮮やかな秋の色合いも、どこか不安を滲ませる薄暗さと寒さに色褪せはじめていた。
 そんな冬染まりの夕暮れ時に暮れなじみ沈む、暗茜色染まりの町の片隅にある小さな公園に、もう一年は経過しただろう一匹の成体実装石と、その横に寄り添い連れ立っていた生後数カ月を経過しただろう、そろそろ中実装へと成長しようとしていた二匹の仔実装が、よれよれと疲労困憊した身体を動かし、ボロボロになりながらもたくさんに詰まったコンビニ袋を引きずりながら、住みなれた公園に戻ってきた。
 実装石。
 かつては小人、妖精と謳われ、非現実的な存在にも関わらず、この世界に当たり前のように存在し、常に人の世の歴史の傍に居続けた、人の形を模し、人と変わらぬ知性を持ち、常に人の傍に居続ける人間の隣人。
 その存在と生態は古からに高位たる学人の多くを悩ませ、全てを解明されることなく、理不尽な多くの謎を幾つもと残し今現在と至り、いつしかその存在はあいまいなものとして位置づけられてしまった世の変わり種。
 その中でも実装石と呼ばれる種だけは〝害虫〟として、種としてその地位を救えぬほどに落としていた。
 ネズミ。
 ゴキブリ。
 など同様に滅びてもさしたる問題もなく、決して滅びぬと呆れられていた、そんな哀れたる種の地位に産まれ落ちたる実装石の親子は、
「……デー、なんとか帰ってこれたデス……」
 ぜいぜいと両肩で青い息を乱し、夕闇にふく冷たい風に流しながら、親実装石は住みなれた公園に戻れた事に、ただ安堵していた。
「……テー、やっと帰れたテチ」
「……テー、疲れたテチ」
 仔達も親のそんな安堵につられるように、背負っていたコンビニ袋や、疲労に重くなった腰を下ろしてしまうなど、あまりにも無警戒に気を緩ませてしまう。
 思わず親実装は、戻れたからと言っておいそれと気を抜き、いざという時に対応しずらい腰を下ろすなど危うい行為をする仔達を叱ろうとしたが、疲れはてた我が仔の姿を見て、叱ろうとした気が咎め萎えてしまう。
眠気眼の重い朝早くに出かけ、たいした食事もさせず働かせてしまった後ろめたさ。
 一日をのびのびと遊ばせてあげる事もなく、連日ずっと働きづめにさせていた罪悪感もひしひしと募っていたせいか、疲れ休む仔達を叱る事が出来なかった。
 それに、今日も無事に公園に戻れたのだから、今くらいは、少し休ませても大丈夫な筈と、湧く親心に気を動かし仔達をそのまま休ませておくことにした。
 それにもしもの時は、餌を捨て自分が仔を抱えて逃げれば大丈夫だと、普段より少し軽い気持ちを持つが、せめて自分だけはと、仔達の為に周囲を見やる親の警戒心は相も変わらず用心深い。
 公園に戻ったからといって、すんなりと気を抜いてしまうのは非常に危うい事だと、この親実装は骨身にその事を知っていた固体だった。
 この親は緩慢、高慢と捨て置かれ見下される実装石としては珍しい、己を知る謙虚な賢い固体だった。

 ──気を緩ませしきった時にこそ、危険は間近に近寄ってくるもの。

 それを理解していたからこそ、無意味に放逐され無意味に駆逐される、気まぐれな最期が常に身近に纏う実装石にも関わらず今日まで生き残れた、そんな証明されたる確かな経験が、親にたしかな注意を呼びかけ気を張らせていく。
 住みかに戻れたと安心してはいけない。
 最後まで鋭敏に気を張らせ注意しなくてはいけない。
 ほんの少しの油断が、全ての破綻になりかねないのだから。
 その事をいつか、仔達にもそれを教えなくてはいけない。
 今日みたく、何事もなく公園に戻ったからと言って、あっさりと気を抜いてしまう事が癖になってしまえば、いざという時に何もできなくなってしまう。
 そうなれば、呆気なく死んでしまう。
 まして成体となり巣立ち、一人立ちをすれば、否が応でも自分の力だけでで生きていかなくてはいけないのだから。
でも、せめていまは少し休ませても構わないだろう。 
 明日。
 いやもっと余裕のあるときに、それを教えてあげればいいのだから。
 それよりも今は、この仔達の代わりにワタシが公園に気を張らなければ。親である自分が、今しっかりと警戒しなければ、全てが終わりかねないのだからと、親はいつもより気を強く張りながらに、閑散とした誰もいない公園を見やった。
 もうこの公園には自分達以外の実装石は住んではいないが、それでも油断は禁物だ。
 留守の間に、どこからか流れた野良実装石が、知らずに住み着きだしている可能性も捨てきれはしないのだから。
 それに、その流れた個体がもし糞蟲ならば、これからの対応を考えていかなければならない。
 だが糞蟲よりもなお気をつけなければいけないのは、虐待派と呼ばれる人間である。
 もし虐待派と呼ばれる人間が訪れていたのならば、自分達を捕まえようと罠を張り、今もどこかに隠れている可能性がある。
 もしそうならば、すぐにでも仔達を抱え公園から逃げ出さなければいけない。
 欝蒼とした茂みを必死に手を血まみれにしながら拓き、一生懸命に運び込んだダンボールで建てたオウチや、生まれてからずっといた、この慣れ住みなれた公園を捨て、あてのない野に下る恐ろしさよりも、人間の方が恐ろしいのだ。
 そしてうっかりと今まで遠くで覗き見てきた今までの虐待派の下な恐ろしさを不意に思い出してしまい、身をガタガタと震わせ、余計に気を張らせながら、親は周囲の茂みを注意深く見やり、あたりを見回していく。
 気をぴりぴりと張らせながら見まわす視線の先には、いつもとなんら変わらぬ、寂れた小さな公園の景色だけが見えた。
 まず最初にと親は、この公園の唯一の水源に眼をやった。
 この小さな公園には、実装石にとって重要な生活の生命線である公衆トイレはない。
 そのかわり水源は、遊んだ人間の子供が足洗い出来るようと、双葉市の気遣いで設けられた、水道が低い位置に供えられた、子供専用の水飲み場がある。
 親はそこで出産、洗髪、入浴、日々生きて行く為に必要な水汲みなどを行っていた。
 もし同族が公園にやってきたのなら、まず最初に水飲み場にやってくる筈だと、注意深く見やる水飲み場には使われた様子はなく、排水口にはカラカラに乾いた落ち葉がぎっしりと埋もれていただけだった。
 人間が使った様子もなく、またごまかした様子もなく、ほっと息をつき親は少し気を緩ませた。
 でもまだ油断は禁物である。今度は古びた石造りの滑り台に、遊ぶ潤いに枯れ果てた冷たい砂場に視線をやるが、そこにも人が近寄ったなんら形跡はない。
 公園に点々と並ぶ、黒ずんだ数台の木製ベンチにも人間と同族の姿はない。中央に備え埋め込まれた〝ふたば児童公園〟と彫り記された大きな大理石の周りにも、同族や人間の気配は感じない。
この公園を囲むフェンスの圧迫感を遮るように植えられ、秋には食料となるドングリを実らせてくれる木々に赤い小さな実などつけてくれる茂った植え込みにも、人の気配、同族の気配はない。
 公園には、どこにも変わった様子はなかった。
 これはこれでどこか寂しいと去来するものがあるが、そんなもの無い方がいいと、湧いた虚しさを散らす。
 辺りには、何ら危うい気配は感じはしないと、そう判断し、
「……大丈夫デス……」
 そしてようやくに親は、薄汚れ相当に使い古された、今は亡き母親の形見である年季のはいった、背に担いだコンビニ袋を傍らに先に下ろし、最後にようやく自分の腰をおろした。
 仔達は、先程と変わらず傍でお互いにきゃきゃとはしゃいでいたが、安穏としたその無邪気さに気がいら立つことはなく、逆に和らいでいった。
夕闇がまた茜黒い色合いに深まり、今日も一日が終わろうとしているわずかな時間の中で、親はただ溜め息交じりに深く安息のため息をつき、心の底から今日も無事、何の被害も実害なく公園に戻れた事に、ほっと胸をなでおろした。
 それだけ餌が豊富にある町へと繰り出すのも、日々本当に命懸けでしかないのだ。
 たとえ公園に戻っても、おいそれと安心できはしない野良実装石の生活。
 野良実装石としてこの世に生きていく上では、常日頃からに様々な事に気を張らせていかなければいけない事が、あまりにも多すぎるが、実装石として生まれてしまった以上、それは仕方がないことと受け入れ生きていくしかない。
 もし受け入れなければ、生きてはいけないのだから。
 卑しい同族や空から気まぐれに襲ってくるカラスやモズ、スズメなどの鳥や、自分達よりもはるかにすばしっこく、そして途方もなく強い猫に犬などの獣や、数で襲いかかってくる虫などと、この世には天敵があまりにも多すぎる。
 無論、救いなどはない。
 常に気をつけなければ、もし気を抜いてしまえば、あっさりと他の生き物の手軽な糧として餌食になってしまう、暗澹たるのが実装石のよくある一生だった。
 その中でも常に気につけなくてはいけないのが、人間という大きな存在だった。 
 そして親は知っていた。

 ──人間は危険な生き物。

 人間のどうしようもない絶対的な恐ろしさを、学び知り、そして深く理解していた、賢い個体でもあった。
 それゆえに、不幸も多く抱えていた。
 人の作ったモノに頼り、少なくとも人間のモノと関わりながら生きていくしかない自分と、娘達の先暗さも如実に知っていた、そんな不幸も内包していた。
 まして、闇夜が払われぬ朝日にまどろむ早朝に起きて、車を動かし慌しく走らせる人間が大勢いる町へと繰り出し、終わり行く夕暮れまで、危険な人間の住まう町中をあちらこちらと彷徨い、僅かな食料を探し求めてひたすら歩き、たとえ集め終えても、また明日も通い続けなければいけない日々に、安易な希望などは毒でしかない。
 正直、今の現実に気がおかしくなってしまいそうだった。
 でも飲食街の裏路地にあるゴミ箱の残飯あさりをしなければ冬を越せはしない。
 だから危険も承知で、家族総出で人間の住む町へと毎日通い行かなければ、今日、明日と生きていくだけの微々たる食料も手に入らないのだ。
 それに生きていく上で必要な住まいの基となる段ボール箱に古新聞やタオル、ビニール袋なども、寒くなるこれからに必要となるものは、あまりにも多すぎる。
 でも、それら全ては、人間の住む町にしかないのだから。
 この寂れた小さな公園の実りと、時たまにしか落ちていない打ち捨てられたゴミだけでは、冬を越すのに到底足りはしない。
 まして育ち盛りの仔にとっては今が食べざかり。
 母親としては、できうる限りたくさん仔にご飯を食べさせてあげたい。
 そうしなければ仔達は満足に成長すらできはしない。
 それにそろそろ餌取りも教えていかなければいけない頃合いでもある。
 冬を越え春になれば、否が応でもこの仔達を巣立ちさせなくてはいけないのだから。
 成体になろうとする仔を養えるほどの自信なんてものは、正直持ち合わせてはいない。
 春の中実装になる頃合いに、この仔達を独り立ちさせなくては、自分も来年は生きてはいけない。
 遊びたい盛りの仔にはつらい日々かもしれないが、今はそれは仕方がない事だと割り切るしかないのがどうしようもない現実なのだ。
 それなのに、まだまだこの仔達には教えていかなくてはいけない事があまりにも多い。
 自分が知る生きるすべを教えなくては、この先この仔達は生きてはいけない。たとえ自分が死んでしまっても、この仔達が生きていく事のできる実装石にしなければいけない。
 だから今、厳しく教えていかなくては。
「……大変デス……」
 悩みの多さに、気を重くする親実装。
 一日たりとも自分や仔にも気を緩ませてやる事の出来ない、日々淡々と荒涼と命懸けで、ただ無情に過ぎていくだけの野良生活に、ゆっくりと休む間などはない。
 せめてもの僅かな安らぎは、今のこの夕暮れ時だけだった。
 命がけで町の路地裏に餌を取りに行き、また公園へと戻らなくてはいけない危険な一日を終え、今日も仔が無事であった事に安堵している今が一番、危ういのだ。
 でも少しくらいは休まなければ、身がもってはくれない。
 それに一休みした後に段ボールの住まいへと戻り、集めた餌を仕分けして、今日食べられるわずかなものを食べ、保存できるものを明日へと保存しなくてはいけない労働もまだ残っている。
 その労働が終われば、後はタオルや新聞にくるまり、闇夜に意識を落とし眠りについていく。
 そしてまた朝早くに目覚め、再び餌を集めに町へと繰り出していく。
 つらい毎日の繰り返しだけの日常。
 せめて仔達の未来にだけは確実な救いはないものかとは、辛いだけのこんな不変な日々の時折に、いちるにそんな事を望む時は一応にはあるが、ただの野良でしかない自分と、その仔が人間の庇護を受けた飼いとして生きていく事なんて到底不可能だと、この親は、如実に知っていた。
 なぜなら、かつて自分をこの世に産み落としてくれた親が、そう厳しく教えてくれたのだ。
 今も母親──ママが教えてくれた、あの言葉を覚えていた。
 生まれた最初に突きつけられた現実。

 ──実装石は不幸デス。

 産まれ落ちた最初にあっさりと、そんな救いのない現実を言い放ち、

 ──ワタシ達は決して幸福な存在ではないデス。

 甘い妄想は毒だと教えられた。
 その後も母は、日々の生活の中で人間の恐ろしさを語り教えてくれた。
 もし飼われるのなら、それは虐待目的でしかないと、揺るぎようのない現実も教えてくれた。

 ──虐待は恐ろしいデス!

 ──手足を何度も引きちぎられ、髪や服なんて簡単にとられちゃうデス!

 ──大切なオイシもとってしまうデス。

 ──オイシもとられ禿裸にされてしまったら、もう生きてはいけないデス。

 ──野良なら、叶いもしない無駄な夢を持つなデス。
 
 ──それよりも、もっと身のある事を覚えていく事が大事デス。

 生きていくことは厳しいのだからと、母は実装石として産まれ落ちてしまった事を呪いながら、歯の音かみしめ怨嗟みたく、

 ──人間に関わればひどい目にあうデス。

 苦々しい言葉をこぼし、

 ──人間と絶対に関わるなデス。

 ──人間は、全てを気まぐれに奪ってしまうデス。

 ──人間は、悪魔デス。

 成体となった今でも、その事は間違ってはいないと思う。
 現に、飼いになる為にと、はたから見ても浅はかで、さもそれを平然とやってしまう、頭の悪い同族──糞蟲の身飽きてしまった所業と共に人間の恐ろしさもたくさんに見てきた。
 自分がまだ仔供だった頃に。
 自分がまだ小さい、よく世界を知らなかった仔供の頃。
 この公園には糞蟲が飽きるほどたくさんいた。
 糞蟲は、どうしようもない事を平然としてしまう愚か者だと、ママは教えてくれた。
 他の実装石の仔はもちろん、餓えが過ぎれば自分の仔ですら呵責なくに平然と貪り、平気で嘘をつき、叶いもしない誇大妄想に取りつかれた個体。そして最悪な事は、関係のないものを全てを巻き込み、不幸をばらまくだけの害悪でしかない事。
 最初に見た糞蟲は、公園で一番嫌われていた最低な糞蟲だった。
 ヨソの仔を襲い殺しては食べては、勝手にヨソの家族のオウチへ入り込んでは略奪などを繰り返す、あまりに最低な生き物。
 ママも、あいつは危険だと、いつも気を張り自分を守りながら隠れながらに、糞蟲がどういうものなのかを教えてくれた。

 ──糞蟲は、最低な生き物デス。

 ──関わるとロクな目に逢わないデス。

 ──絶対に近寄っては駄目デス。

 決して近寄るな、関わるなと、いつもその糞蟲から隠れるようにして毎日を過ごしていた。
 こそこそ隠れて生きていかなければいけない日々に、一生あの糞蟲におびえて生きていかなきゃいけないのかと、幼心に気を重く日々を過ごしていたが、餌採りもせず、日柄一日中同族を襲い仔を食らい続けるだけの怠惰な糞蟲が、いつまでも平和に暮らせるほど世界は甘くなどはなかった。
 ある日のことだ。
 あの糞蟲は、公園に訪れていた人間の飼いの実装石家族を襲い殺してしまった。
 躾がいき届いた、とても礼儀正しく、そして他の実装石にも優しい個体で、内心憧れだった飼い一家を、あの糞蟲は残酷に皆殺にしてしまった。
楽しそうにボールを転がしながら遊んでいた三匹の仔を躊躇なく蹴り殺し、踏み殺し、そして食い殺し、かすかに生き残っていた仔を助けようとした親すらも噛み殺してしまった。
 惨殺した家族全てを食らい腹いっぱいに貪った後、何を思ったのか、その糞蟲は綺麗な飼いの着こんでいた豪華な服を不器用にいそいそと着こみ、得意満面と、のこのこと飼い主の前に姿を現し、殺した飼いの成り替わりを試みたのだ。
 その時あの糞蟲は、どれだけ甘い妄想に浸っていたのだろうか。
 なり替わりなど成功するはずもないのに。
 ママの言うとおり、甘い考えは身を滅ぼしてしまう要因でしかないと、あの糞蟲はまさにそんな妄想の代価たる証明の塊だった。
無論、糞蟲の結末は想像通りだった。
 いきなり自分のペットに与えた筈の服を身にまとい、あらわれたうすぎたない野良に、驚愕し目を見開いた飼い主に、事もあろうか糞蟲は自分のひり出した糞を飼い主に投げつけ、

 ──デピャピャピャ! 今日からお前はワタシの糞ドレイデス。

 ──おい糞ドレイ! さっさとワタシにステーキ、コンペイトウをもってこいデス!

 威張り散らしたが、糞蟲はコンペイトウを味わう事無く、また決して飼われることなく、怒鳴り激昂した飼い主に殴り飛ばされた。
 腹に収めていた、貪った飼い一家の肉塊をベロベロと空中に吐き散らかし、地面に転がり、起き上がるまもなくに顔をめり込ませるほど殴られ、そのまま何度も、何度もと地面を転がり廻され、また何度も、何度も、ただ躊躇なく力任せに蹴り踏みこまれていった糞蟲。
 途中で事切れてしまう幸運などは訪れず、息も絶え絶えに半生となった糞蟲は、力任せに髪や手足を引きちぎられ、ダルマの禿裸にされてしまう。そしてまた散々と殴り蹴られ凄惨と痛めつけられ、何度も、何度も、同じ行為を怒り狂った人間は繰り返し、そして最後にじわりじわりと踏みつけ、

 ──デシャアアアアア! 嫌デシャアアアアア!

 ──死にたくないデスゥゥゥゥゥ! 許して下さいニンゲンサマァデス!

 醜く、醜悪に泣き叫び命乞いをするが、決してそんな手前勝手な願いなどは聞き届けてもらえず、べしゃりと、ただあっけなく踏み殺されてしまった。
 あの恐ろしい糞蟲が何もできず抵抗すらできずに、必死に命乞いをしながら泣き喚くほどに、人間は、ただ、ただ恐ろしかった。
 あれが人間の怖さだと学び理解していく中、人間は糞蟲を殺したりなかったのか、周りで、その糞蟲の最後を惨めたらしい末後に笑い転げていた野次馬の無関係な野良すら躊躇なく殺していった。
 逃げ惑う野良を踏みつけ潰し、逃げ遅れた頭を鷲掴んだ野良の服を剥ぎ取り、力任せに頭皮ごと髪をむしり、握りつぶす程に鷲掴み、力任せに地面に叩きつけ、もし死なず半生ならば、死ぬまで蹴り潰していく所業を、ただ繰り返していった。
 そんなあまりに凄惨な一部始終を、そらす事無く、見て学べと、母親と茂みに隠れながら無理やり見せられた。パンツを緑に汚し、こんもりと失禁したまま、一匹の糞蟲のせいで関係ない筈のものも全てが失われると、ただ恐怖していた。

 ──人間は恐ろしいもの。

 ──そして糞蟲にかかわるとロクな事がない。

 ただ一方的で実装石であるという事だけで無秩序に殺されてしまう事実。
 絶対に人間には勝てない事実。
 決定的な現実を目の当たりにし、殺戮が終わった後、飼い主は遺品となり形見となった飼いの破れ果てた服を手に持ち家路へと足を向け、深く色染めた悲しそうな顔をしながら公園から去っていった。
 後には同族の死体が幾つも転がり、遅まきにやってきた腹をすかした同族が打ち捨てられた死体を綺麗に貪り、まだ着れそうな服などを集め、思わぬ収穫にせっせと片付けていく中、ママはそれを見て、哀れんだ表情をしていた。
 決してその中に加わることはせずに、ママは踵を返し、吐き捨てるように、

 ──おまえもワタシも油断をすると、あんな糞蟲の仲間になってしまうデス。

 ──そしてお前が仔を産んでママになったとき、もし仔に糞蟲がいたらああなってしまうデス

 そう教えてくれた。
 生まれついての糞蟲より、途中で糞蟲になってしまう事に気をつけなくてはいけないと、茂みに続く夕闇の帰途の中で、訥々と教えてくれた。
 そう。
 気をつけなければ、あんな愚かな糞蟲になってしまう。
 糞蟲になってしまえば、あんな最後しか待っていない。
 あんな、惨めたらしく殺される最後は絶対嫌だと、ふるえながらママの手を強く握りしめながら帰路についた夕暮れ時。
 その日の夕日はあまりにも物悲しかったことを今も覚えている。
 実装石としての現実。
 そんなものを目にしてしまった後、自分が実装石である事が絶望としか思えなかった。
 なぜ実装石に産まれ落ちてしまったのか。 
 できれば人間として生まれたかった。 
 無論、そんな願いがかなうはずもなく、ただ実装石として生きていかなくてはいけない、そんな辛い現実を受け入れるしかなかった。
 実装石として生きていくこと。 
 それは醜い実装石の世界を見ていかなくてはいけないことでもあった。
 決して同族同士強調し生き抜いていこうとすることもせず、自分が完璧で美しいと盲目的に信じ、あの恐ろしい人間全てが自分の奴隷と思いこんでいる同族達。
 中には善良なのもいるが、そんな稀有な存在は儚く、すぐに命を落としてしまう。
 ただ無意味に人間を怒らせ、その代償に大切な髪や衣服を奪われ、全て失った奴隷の禿裸にされ、それでも足らずか、散々と同族に痛めつけられ、ボロボロになり公園に打ち捨てられていく、絶え間なき糞蟲達と同族の最後を、仔供の頃にたくさん見てきた。
 なんで、みんなはママ見たく学べなかったのだろうか。
 人間の庇護を求めなくても、自らで公園の外に行き、餌を集め糧を得ることや、その糧を溜め繋いでいく事や、洗濯をし清潔を保つ事や、人間に飼われなくとも生きていく術はあるのに、なんでそれを実践しないのだろうか。

 ──人間にかかわるとロクなことはない。

 それが実装石として生まれて学ばなければいけない事なのに。
 人間なんかに頼らなくても、餌とりや生活の術も確実に覚えていけば、何とか生きていけるのに。
 なんで他の実装石はそれができないのだろう。
 人間がこの世で一番危ない生き物であるとの、なぜ気付かないのだろう。
 鳥や犬、猫、虫よりも恐ろしい生き物の上に立つのが人間なのに。
 もし人間を怒らしてしまえば、公園に生きる全ての実装石は、今日の日が沈む前に、すべて殺されつくしてしまうのに。
 それなのに、なんで、ああも、いとも簡単に糞蟲と堕ちてしまうのだろう。
 それを知り、教え、学ばせてくれたママは立派な実装石だったのに。
 でもそれなのに、
「……ママ……」
 ママの最後は、あまりにも悲惨だった。
 今でも、その死に様には納得できはしない。
 なんで、あんな馬鹿な糞蟲でもない、心優しい立派なママが、あんなにむごたらしく、散々と痛めつけられ、あんな残酷に殺されなければいけなかったのか。
 今考えても、あまりにも理不尽な最期だと思う。
 自分を守るために、身代わりになってくれたママ。
 とても優しいママだったのに、なんであんなに痛めつけられ、じわじわと弄り殺されなければいけなかったのだろうか。
 
 ──そう、あれは秋の始まりだった。
 
 公園の木の実がようやく味深く茂り、冬越えをしようと公園中の実装石が我先にと、必死に冬越えの餌を集め出した頃。
 あの時はただ浮かれていた。
初めて冬越えを頑張ろうと、そして沢山の木の実を拾って、ママに沢山褒めてもらおうと、仔供心にどこか初めての冬越えに胸を楽しく弾ませていたのだろう。
 踊る気持で広場に出て、木の実の転がる茂みへと歩んでいく中、なぜか広場には大勢の実装石がワラワラと集まっていた。普段なら、こんなに集まるわけがないのにと、仔供心に疑問符が浮かばせ、その光景を眺めていた。集まり群がる実装石の先には、紺色の作業服を着た大勢の人間達の姿があった。
 紺色の作業服を着た人間達は、市の派遣した実装石駆除業者だった。
無論、仔である彼女がその存在を知るはずもなく、ただ不思議そうに、変な服を着た人間だと見つめていた
 だが、ママはその存在を知っていたのか、ただ茫然と青い絶望を沸かせていた。
 そんな大勢の人間達に他の実装石は、やれ餌をよこせとワラワラとたかり、仔を飼え、そして私も飼えと人間に媚を売るなどありきたりな高邁な行動をしていた。
 人間達はそんな実装石に眼もくれる事もなく、とても手なれた動作で公園の入り口を大きなトタン板で堅く塞ぎ、他の逃げ道になるだろう出入り口の全てを塞ぎ囲い、公園を堅く閉ざしてしまった。
 ママが傍により、

 ──今は動いちゃダメデス!

 耳打ちする、
 そして一人の作業員が、駆除用の樫の警棒を振り下ろした。
 勢いよく振り下ろされた警棒は実装石の頭部をべしゃりとへこませ、肉を裂き、ぱかりと実装石の頭を簡単に割ってしまう。
 頭を割られた実装石は脳漿をばしゃりと辺りにまき散らし、殺されてしまった。
 そして一斉に逃げ出す野良に人間は襲いかかってきた。
 誰を誰となくに、人間は実装石を殺していく。
 殺され、逃げ惑う同族にまぎれながらママはワタシを逃がしてくれた。
 頭を割られ、血が飛び、踏みつぶされ、肉が引きちぎれ、バラバラに引き裂かれていく同族達の殺戮の中、なんでワタシ達がこんな目にあうのと、母に手を引かれながら嘆くと、

 ──デシャアアアアア、糞蟲が人間を怒らせてしまったからデス。

 母親は怒鳴りながら言い放った。

 ──糞蟲のせいデス! 糞蟲のせいで恐ろしいクジョが始まってしまったデス!

 糞蟲が人間を怒らせてしまったと親は嘆き、糞蟲達のせいで自分達も巻き込まれてしまったと、怨嗟をあらんばかりにこぼしていた表情は、あまりにも怖かった。
 そう、あの飼いの一家を殺した糞蟲のせいで、この恐ろしい惨状が始まってしまったのだ。
〝クジョ〟は、人間が行う、もっとも恐ろしい行為。
 実装石を誰かまわなく皆殺しにする行為。
狭い公園の中をかけずり回りながら逃げ惑う実装石達に、人間は容赦なく、ただ実装石を殺していった。
 樫の警棒で殴り殺し、鉄板入りの安全で蹴り殺し、薬を撒き、のたうち回らせながらなぶり殺し、ただ見境なく実装石を殺していく人間達。
 最も恐ろしかったのは、薬の痙攣にのたうつ実装石を乱暴に掴み上げ、大切な髪を力任せにブチリと引きちぎり、服を乱雑に剥ぎ破り捨て、最悪な禿裸へと落とし、白く濁った袋へと放り込んでいく、その行為が一番恐ろしかった。
 いくら大声で威嚇しても、可愛らしく媚をしても、懸命に命乞いをしようとも、大切な仔を差し出そうとしても、恥じらいなど捨て股をひらき排泄口を晒しても、人間は決して許してはくれない。
 中には勝てもしないのに、無駄な抵抗をした実装石もいた。
 石を投げ、樹の枝で殴りかかり、噛みつき、殴りかかるものもいたが、人間に勝てる筈もなく、呆気なく殺されていく。
 全てが無駄な抵抗だった。
 公園中で、ただ一方的な惨状が展開されていく。
 あまりな、その狂々の中、震え、動けなくなってしまった自分を、母親は優しく抱き抱え、汗だくになり、息を乱しながらに人間から守ってくれた。見つからずに、標的にされずに人間の狩りから逃れながら、茂みに、もしもの為と設けた穴倉へと自分を隠してくれた。
そしてママは穴を隠そうと木の枝や葉っぱで入り口をいそいそと蔽い隠し始めた。ママは入らないのと訊ねても、ママはせっせとビニール袋をかぶせ、上から葉っぱで袋を覆い隠しながら穴を閉じ、

 ──この穴はオマエだけの穴デス。

 そうママは、自分を助ける為に、人間の気を引く為にと、あえて身代わりになってくれた。

 ──さよならデス。

 ──絶対穴から出てきてはだめデス。

 ──オマエは賢くて優しい仔デス。ママの自慢デス。

 ──立派なママになるデス。さようならデス。

 別れと最後の言いつけを残し、自分から人間を遠ざける為に、

 ──デシャアアアアアアアアア!

 あらんばかりの大声を張り上げ人間を威嚇し、危険も承知で人間に立ち向かっていった。
 人間に勝てるわけはなく、せめてもと、人間の足の間をかいくぐりながら、注意をひき必死に逃げ回る母親の姿。
ぜいぜいと息を乱し走りながら、恐ろしい人間達を遠ざけてくれた。
 その時自分は何もできないまま、ただそれを穴に隠れながら見ていただけ。
 ママ逃げて、捕まっちゃうと、穴から一歩も動けないまま、必死にその様を見続けていただけ。
 何もできなかった。
 やがて人間達が一人二人へと増えだし、その必死の弄ぶかのように、じわじわと逃げ道を完全に囲み、母親を追い詰めていく。
逃げて、逃げて、捕まっちゃうと、湧きだす涙と声を抑えながら母を見守っていた中、気付いてしまった。
 人間はわざと、逃げる母の様を楽しそうに追い詰めていた。
 棒など振り回さず、まるでサッカーでもしているかのような遊びのような感覚で、必死に逃げ惑う母親を、見下しながら笑いながら追い詰めていた。
 今も、あの見透かすような恐ろしい笑み。
 そしてわざとらしく、必死になっている母親を追い込んでいく、その様は決して忘れられない。
 いつでも簡単に捕まえる事など出来るにもかかわらず、退屈しのぎに遊びながら母を追い詰めていく、その悪逆な行為に、今も心底、怖気を感じてしまう。
 そんな人間の余裕とは裏腹に母に疲労が陰り出し、息を乱しながらも気力で駆けていた速度は徐々に落ち始めていた。それを見計らい、とどめにと、人間はそんな疲れきった母の腹を、容赦なく蹴り上げてしまう。
 蹴りの衝撃に身体を真上へと振りあげられ、腹部の真ん中を深くめり込ませる鈍痛な蹴り。
 肋骨が全て割れ、内臓にぐしゃりと刺さり込み、引き裂かれた血肉が体内に広がり、口内まで押し上げられ、胃袋に収めていた残飯の吐瀉物まじりの血反吐を吐き散らしながら、宙をグルグルと舞う。
 そして地面にべしゃりと激突し、服と皮膚を引き裂かれながらゴロゴロと地面に転がされた。
 おもいっきり感情のままに泣き叫びたい衝動を必死に噛み殺し、ボロボロとこぼれる涙を拭う事無く、逃げて逃げてと、助ける事も立ち向かう事もできない、ただ見て願うだけの自分の心底呆れた無力さに、深い絶望しかなかった。
 そしてママは、最期を迎える。
 人間は倒れ込んだママに、執拗なほど何度も何度も小突きまわすような蹴りをたたき込み、ごろごろと踏み転がしながら、ただ見下しあざ笑う下卑た笑みで、どうしたもう逃げないのか糞蟲ちゃぁん♪ と、もてあそぶように母を執拗に蹴り小突き弄りまわした。
 無論もうなにも応える事の出来ないのを承知で、だ。
 息も絶え絶えで、これ以上は楽しめないなと人間は残念そうに呟き、母親の折れ曲がった片足を乱暴に掴み上げ、朦朧としそのまま散消としようとした意識を激痛で引き戻し、ぶざまに逆さづりにしながら、人間は携帯電話のリンガルを使い、

 ねえ、糞蟲ちゃん♪ キミの汚らしい仔蟲ちゃんはどこにいるんだい?

 と、訊ね問い詰めてきた。
 逆さまにされドロドロと流れ落ちる、血反吐をたっぷりと地面に吐き出しながらママは、

 ──……仔供はきのう食べたデス……

 嘘をついた。
 そして人間は、笑いながらママの大切な前髪を力任せにぶちりと引き抜き、

 おいおい嘘を吐いちゃいけないなぁ♪ 糞蟲ちゃぁん♪ 君の糞仔ちゃんはどこにいるんだぁい♪ 

 引き抜いた前髪をわざとらしくママの目の前でばらばらと払いながら、いやらしい笑顔で訊ねるが、

 ──デシャア! それよりあたしを飼えデス! そうしたらいくらでも子供を産んでやるデス!

 吼えながら、ママはじたばたと暴れた。
 醜いさまとそいつは笑うが、ママは必死に人間達の注目を自分に向けようと大量の糞をだだ漏らし、血反吐交じりの唾を吐き散らしながら、見ても見苦しい糞虫を演じてくれた。
 それが功を奏したのか、男はやれやれと冷めたように、なんだ、タダの糞蟲かと残念そうに呟きながら、ママの服や前髪や後ろ髪をあっけなく、あっさりと引きちぎり、禿裸にしてしまう。
 ママはそれでも必死に気をやることなく糞虫を演じ、そしてそのまま首の骨をあっさりとへし折られてしまった。
 いや、ただ折るのではあきたりなかったのか、折った後、垂れた首をネジでも抜くかのようにクルクルと回しながら、そのままぶちりと引きちぎってしまった。
 逆さづりのまま。
 禿裸のまま。
 首を引きちぎられた身体の手足が激しく痙攣し、糞を音をたて垂れ流しながら、ママは殺されてしまった。
簡単に殺されてしまった。
 あっさりと。
 そして、じわじわと殺されてしまった。

 ──もう、ワタシ一人だ。

 これから一人で生きていく絶望が。
 一人で生き残ってしまった罪悪が。
 一気にのしかかっていく。
 その重圧に胸の石が砕けそうになるも、堪えるしかなかった。
 涙を押し殺し、嘔吐しそうなほどの嫌悪を堪え、ただ息を押し耐えた。
 自分がただ堪える中で、人間はただ淡々とそして静粛に、自分が事切れさせたママをなんの感慨もなく、薄汚い生ゴミを捨てるかのように、ママを袋の中へと、ほうり捨てていく。
 公園にいた全ての実装石が撲殺され、引きちぎられ、無残な躯を積み重ねた袋の一つに、ママは、簡単に放り投げられてしまった。
 それがママの最後だった。
 あっけなくと。
 あっさりと。
 殺されてしまった。
 もう耐えられなかった。
 もう死にたいと心の底から懇願し、ママと一緒に死のうと外へと駆け出ようとしたが、

 ──いいママになるデス。

 歩みが萎び、駆けだす事が出来なかった。
 生き残る為にと、我慢するしかなかった。
 生き残る為に。
 生かされた為に。
 行きたい為に。
 タダそのことだけに我慢した。
 やがて、あっけなく駆除は終わった。
 ママや他の実装石を殺した人間達は公園にいた全ての実装石を駆り終え、駆った実装石を放り込んだ袋の山をトラックの荷台に載せ、汚物や血肉に塗れた公園を掃除し、主を失った段ボールハウスの全てを撤去し、公園から実装石の痕跡を跡形もなく消し去ってしまった。
 やがて陽が落ち、しんと静寂に包まれ、夕暮れと落ちた頃に、仔はようやく外へと這い出る。
 そして、公園をあてもなくに歩んだ。
 どこにいっても誰もいない。
 実装石がいない公園。
 公園の外の人間の町には明かりがあり、温かいものが沢山ある。
 でも、この公園にはそれはない。
 孤独となってしまった事の絶望に、自然と涙は出なかった。
 そう、これが全てだと、彼女は、そう悟ってしまった。
 ママも、この気持で今まで生きてきたんだと、ようやく理解できた。
 その中でワタシを育ててくれていたんだと、ようやく理解できた。
 不意に死に、不意に殺され、不意に奪われ、無くなり、無くしてしまうのが理解できた。 
 野良として生まれた現実を、母親の死でようやく理解できた。
 それを理解するために、大切なものを失ってしまった。
 この世界は、そうできている。
 そして、明日から一人で、生きていかなくてはいけない。
 ごはんも、ねどこも、トイレも、洗濯も、すべて自分でやらなきゃいけない。
 それから、必死に一人でただ、がむしゃらに生きてきた。
 公園の木の実を食べ大きくなり、母親に教えてもらった公園の外の餌場に行き、車や人間に目をかいくぐり、一日一日をただ生きていた。
 辛い毎日をただ生きていた。
「……いまさら思い出しても仕方がないデス。それに、あれ以来クジョはもうなかったデス。今が幸せならそれでいいデス……」
 そう、もう過ぎてしまった事を、次から次へと思い出しても仕方がない事だ。今は何もなく平穏無事に毎日毎日が過ぎているのだから、さして問題はない。
 それよりか目の前にある仔育てに、冬越えの準備など、自分にはこれからやらなくてはいけない事がたくさんある。
 それに今は仔がいてくれるのだから、もう寂しくはない。
 そんな親の気持ちを察したのか二匹の仔達が、
「ママ、だいじょうぶテチ?」
「あんまり無理したらダメテチ」
 不安そうに気遣ってくれた。
 そんな仔の無邪気なやさしさに涙腺が緩んでしまう。
「……大丈夫デス、ママは少し疲れただけデス」
親は気苦労や身体の疲労をごまかしながら仔達の頭を優しくなで、
「ほら、ママの事は心配しなくてもいいから、少し遊んでくるデス」
「!……遊んできても良いテチ?」
不安そうに尋ね返す仔に、親は優しく微笑みながら、
「いいデス。たくさん遊んでくるデス」
「やったテチ♪ 久しぶりに遊べるテチ♪」
「オネエチャンはやく遊ぶテチィ♪」
 疲れも知らずか、元気にかけ出す二匹。
「あんまり遠くに行っちゃダメデス」
「わかったテチィ」
「ニンゲンに気をつけるテチィ」
 素直に返事を返しながら遊ぶ二匹。
 思いやりがあって、賢くて、互いに助け合って生きている、二匹の自慢の仔。今日もかすり傷一つ無く生き残れた事は、本当に恵まれた幸運だった。望まない不幸がまとわり付きまとうだけの実装石の一生において、この優しい二匹だけには、今日のような幸運が末まで続いてほしいと、ただ純粋に願った。
 そんな親の切なる願いも知らず仔達は無邪気に、
「オネエチャンまってテチ」
「イモウトチャンがんばるテチ」
 きゃきゃと元気よく鬼ごっこをしながら走りはしゃぐ。
 そんな二匹の姿に、
(本当に良い仔達デス。ワタシは幸せ物デス)
 溜まっていた疲れが消え、心身ともに癒されていくような幸福をじわりと暖かく感じていた。
 それに今日の晩御飯は、久しぶりにたくさん食べさせられる。
 パンの耳がたんまりと詰められた、母親の形見であるコンビ二袋を撫で、今から夕食が楽しみだった。いつも粗食でしか食べさせられない不甲斐無さも今日はなく、美味しそうにはしゃぎながら夕食を食べ合う、十匹の仔供達の満面に喜ぶ顔が脳裏に浮かぶ。
 ──?
 十匹?
 公園を照らし染める秋の夕暮れと、闇夜に溶ける薄暗い茜色の物悲しさに、うっかりと浮き出てしまったのか、はしゃぐ仔達の笑顔を見るたび、忘れていた筈の過ぎ去った物悲しさが、じわじわと去来しだす。
「……デー……」
 身体に溜まり溜まった疲れもあってか、親実装は遠い昔を思い出すように赤い虚空に今の意識を流し、不意に、記憶に閉じ込めていた辛い過去を思い出してしまった。
「……少ないデス……」
 そう、仔供は最初十匹いた。 
 でも自分の力不足で、今はたったの二匹だけしか生き残っていない。
「……ゴメンナサイデス……」
 ぼそりと、死なせてしまった八匹の仔達に親は謝った。
 幸せを感じてしまった事が、取り返しのつかない深い罪悪のようにおもえてしまう。
 そしてそのまま深い後悔に苛まれてしまう中、ママが言った言葉を思い出してしまった。

 ──仔を沢山持つことは不幸デス。

 ──仔が沢山いたら育てるのは大変デス。

 ──だからワタシはお前以外の仔を全部間引きしたデス。

 自分がママに選ばれた理由。
 産まれたとき、唯一ママに挨拶をしたのはワタシだけだったらしい。
 それ以外の仔は挨拶もできず、きゃっきゃと甘えるだけの仔だったらしい。
 ママはワタシだけを仔供としてオウチへ連れ帰ってくれた。
他の仔はその場で首を折り、その場でちゃんと間引いて、死体は全部茂みに埋めたとも教えてくれた。
 仔を産み、一人だけを選び、間引く。
 多くは持ってはいけない。
 多く持てば全てを失ってしまう。
 そう、失ってしまうのだ。
 あの猛暑へと誘われていく中で、あれだけ苦労して産んだのにもかかわらず、秋までに生き残った仔がたったの二匹だけなのは自分の力不足だったと、今遊ぶ二匹を見るたび、心がぴしぴしと痛み、思い出してしまう。
 死んでしまった八匹の娘達の末後を。
 夏のあの焼かれそうな猛暑の中、水を飲む事無く渇きカラカラに干からびてしまった四女、五女、六女の苦悶の表情が脳裏に浮かぶ。最後までかすれしがれた声でママと呼び呻き、涙を流す水分すら無く、熱中症で三日三晩苦しんで死んでしまった三匹の仔達。あの時、死にかけていたあの仔達に水を十分に飲ませてやる事が出来れば、助けられたのに。人間が勝手に、公園の水道さえ止めさえしなければ、あの仔達は生き残れたのに。
 あれだけ町に何度も何度も命懸けで繰り出し、危険を承知で水をペットボトル一杯に汲みに行ったのに、あの仔達だけは助けられなかった。
 他の仔にも水を飲ませなければみんなが死んでしまう。
 自分も水を飲まなければ、死んでしまう。
 自分が死んでしまえばこの仔達は生きてはいけない。
 そんな切迫した中で、当然の結末であの仔は死んでしまった
 カラカラに萎び乾き苦しんだ娘達のそんな末期を思い出した後に、初めての餌採りに町へと出かけ、あっけなく事故死(車に轢かれ)してしまった、黒いアスファルトにしみ込んだ、緑のシミと化した三女の轢死体の残骸を思い出してしまう。
 拾い集めても、いくら拾い集めても、仔供が元に戻らない。
仔はもう死んでしまったと区切りをつけ、その場を去った薄情さが、胸を締め付ける。
 でもあそこで娘の死を認めなかったら、他の仔達も死んでいた。
 今まで救えなかった娘たちの死が、うつらうつらと白昼夢のように脳裏に浮かぶと、また心がピシピシと裂かれるように痛み出す。
偽石に亀裂が走る様な空虚な痛みに、自然と涙が増す。
 それだけ娘達の死は、今も悲しくて仕方がなかった。
 出来るなら家族全員で、今のこの茜色の夕暮れを見たかった。
 あの糞蟲の七女も一緒に。
「……七女ちゃん……」
 名を呟くと、七女の首をへしり折った、あの生々しい割れた背骨の音とぐにゃりと曲がる肉の感触が手によみがえる。
 できれば殺したくはなかった。
 でもどうやっても躾け直す事の出来ないそのあまりな、糞蟲気質に見切りをつけざる得なかったのも事実だ。
 それに糞仔は間引かないと家族が危なくなってしまう。
 そう、自分はママが教えてくれた大切な事をやっただけ。
 それにそうしなければ、今頃自分を含め、家族はみんな死んでいたのかもしれない。
 だから、あの時の行為には間違いはない。
 でも、もしかしたら、救うすべは合ったのかもしれない。
 それを考えず、考えられずに、殺してしまうしか選べれなかった、結局は自分の力の無さが原因なのかもしれない。
 でも、あの仔が悪かったのだと、いいわけもある。
 自分の妹をドレイだのと言い、高笑い醜悪にあざけ笑う、そのあまりな腐りきった性根に、心底怖気を感じた。
 でも、本心としては救いたかった。

 もしかしたら……

 救えたかもしれない。
 
 可能性があったかもしれない。

 ……いや、なかった。

 なかったのだ。

 今更可能性を考えてもどうなるんだろう?

 そう、なかった。
 救える希望など、ありはしなかった。
 なぜなら自分はあれだけ必死に、七女の糞蟲を直そうと努力をしたのだから。
 今更、あれができたのか? 
 これができたのか?
 と、考えても意味などはない。
 それに七女は、家族で力を合わせて生きなきゃ駄目だ、妹や姉を大事にしなきゃ駄目だ、一日の餌取りやトイレをちゃんと覚えなきゃ駄目だと、 貴重な一日をかけて、いくら教えても、何一つ聴きいれてはくれなかった糞蟲だった。
 決して自分の腐った考えを改めてはくれず、しまいの最後は逆上し、怒りだし、なんでそんな事を覚えなきゃいけないんだと、ママが間違っているとなじり上げ、ニンゲンなんかワタシの魅力で糞ドレイにできる、ママは不細工だからこんな惨めな暮らしなんだと、自分勝手なその根拠もない、あまりな優越な思いこみと、間違った浅はかな知識など、さも常識のように喚き散らしてきた。
 その見るも無様な糞ぶりに思わず理性が沸騰し、感情に身を任せ、七女をひっぱ叩いてしまった。叩いた後、感情に身を任せた自分の行為に心底青ざめ、パンツから糞をこんもりと漏らし、痙攣し倒れた仔に駆けよったが、そんな心配とは裏腹に、抱き起こすやいなや七女は逆切れをし、泣き喚きながら自分の手に噛みつき、糞蟲と自分をなじってきた。
 信じられなかった。
 ここまで糞蟲だったなんて。
 ショックで放心し、そのまま自分の腕からそそくさと逃れ七女は、

「糞奴隷があたしに手を上げるなテチャ!」

 その後にも聴くに堪えない暴言を狂ったように喚き散らし、自身がこぼれながしていた糞を拾い上げ、自分に投げてきた。
 心配するだけ無駄だった。
 この仔は、糞蟲だ。
 昔見た、あの糞蟲と同じだ。
 全てを失わせた糞蟲と同じだ。
 ママを奪った原因を招いた、あの糞蟲と一緒だ。
 ワタシから糞蟲が生まれてしまった。
 ワタシは糞虫を産んでしまった。
 ボロボロと涙が溢れてきた。
 頬に涙が止めどう事無く伝い、糞を流し落す程に泣いている自分を、あの仔はよりにもよって、

 ──チィププ! 糞ドレイが糞まみれで泣いているテチィ!

 と、自分が強いと致命的な勘違いを起こし、ただあざけ笑い、悪びれることなく散々とその糞ぶりをさんざんと散発した七女を見て、思い出してしまう。
 全てを破滅に追いやった糞蟲を。
 この仔は、まちがいなくあの糞蟲と一緒だ。
 もう、間引くしかない。
 そう決断せざるえなかった。
 間引かないと、あの時と同じ事が起きてしまう。
 間引かないと、全てがなくなってしまう。
 せめてもの慈悲として苦しませずに笑い転げる七女を抱き上げ、すでに一日も終わりかけていた夕闇刻の外へと連れだす。
 後ろから、

「ママどこに行くテチィ?」
「七女ちゃんどこにいくテチィ?」

 訊ねてくる娘達の声音を後にし、七女を連れ出す。
 七女はただ笑い、自分が間引かれることに気付いてはいない。
 それがせめてもの救いなのか、げらげらと笑い転げていた七女。
 しばらく住みかから離れ歩いた後、外に連れ出された事にようやく気づいたのか、七女はじっとこちらを見た。
 その時の七女の顔は、これから殺される事をまるで予測していない、呆気にとられていた顔をしていた。
 その顔が変わらないうちに、七女の首を折った。
 べきりと音が夕闇の中響き、七女はあっさりと死んだ。
 その後は、かつての親の言いつけどおりに、同族に見つからないように土の中へと、七女の遺体を埋めた。
 埋め終えた後、しばらくその場を離れることができなかった。
 涙が止めどう事無くぼろぼろと流れ、ただむせび泣きながら、埋めた七女にひたすらに謝っていた。
 そして一通り泣き通し終えた後、力なく無気力のまま、とぼとぼと段ボールへと戻った。
 戻ると、七女はどうしたのと仔達に聴かれてしまう。
 作り話をしてごまかそうとも思ったが、作り話をして、もし、ばれてしまったのなら仔達との関係は、簡単に壊れてしまう。
 ママが私達をだましたと、今にも聞こえてきそうな、泣き怯え震えた仔達の悲鳴が脳をぴりぴりと締め付けてくる。
 でも、ちゃんと今ここで糞蟲の事を教えなければ、この仔達の将来は暗澹たるものになってしまう。
 隠していてもこの仔達の為にはならない。
 この仔達の為にもと、親は包み隠さず正直に七女は今間引きしたと告白し、そして糞蟲がどれだけ危ないのかを娘達に一言一句途絶える事無く諭し、仔供達に間引きを教え込んでいった。
 あの仔はどうしようもない糞蟲になってしまったと、糞蟲は妹や姉を平気で殺して食べる悪い仔だと、もし生きていればワタシ達は今以上にひどい目にあっていたと、そして心の中では自分は決して悪くない、悪くないと心の中で自分に必死に言い聞かせながら、仔達に糞蟲と間引きをしっかりと教え込み、将来間引きがどれだけ大事かを説き、自分のやむ終えない行いを当然のように正当化した。
 娘達は一応に解ってはくれたが・・・・・・内心は自分の事をどう思ってただろうかと、親はいまだ胸中に拭えぬ不安があった。
 糞をだだ漏らしながら怖がっていた仔達の、あの引きつった青ざめた表情は、間違いなく自分の事を恐れていた証拠。
 七女の間引きから糞仔はもうでなくなったが、仔達は前とは違い、自分には素直にあまりなつかなくなってしまった。
 今の気遣いも恐怖からくるものかもしれない。
 自分だけ気に入られようとする、媚売りかもしれない。
 もしかして今も、自分の事を怖いと思っているんだろうか。
 そんなことを考えてしまう
 いまさらながらに、自分は最低な母親だと思う。
 仔を満足に助けることもできず、殺してしまうことでしか問題を解決できない自分の無力さ。
 もしかしたら、もしかしたらと救うすべは合った筈なのに、それを思いつかず気づかずに、あっさりと間引いてしまったのかと、いまさらながらに責めさいなまれてしまう。
「・・・・・・でも仕方なかったんデス・・・・・・他に方法が無かったんデス」
 心をのしる重さを和らげるように凛として呟き、親実装は耗々とした気持ちを振り払った。
 そう、自分は間違ったことをしてはいない。
 なぜなら、自分を生態まで育ててくれたママが教えてくれた、生きる術の全てを、ただ実践しているのだから。
 自分を育ててくれた、あの立派なママの教えてくれた事に間違いはないのだから。
 だから、間違ってはいない。
「・・・・・・ママが教えてくれた事に何一つ間違いは無いんデス・・・・・守らなきゃ生きていけなかったデス……」
 そう、生きていけなかった。
 生きていく為に、仔を間引いた。
 死んだ仔の事など忘れて行った。
 それにいまさら死んだ仔を思い出しても、無意味だ。
 生きていく為には、捨てていくしかないのだから。
 実装石として生きていかなければいけないのだから。
 辛い事を忘れていくしかないのだから。
 それにそれは、あの仔達に教えていかなくてはいけないことでもあるのだ。
 でも、それなのにあまりにも辛いことが多すぎる。
 秋の終わり、冬初めの夕暮れ時の薄暗い茜色の寂しさが、今まで積み重ねてきた全てを思い出させていく。
 そんな夕闇刻に、ただ親は涙を流した。
 
 ──なんで……こんなにも失うのだろう。
 
 ただ、ワタシたちは生きていたいだけなのに。
 
 ──なんで、こうも簡単に失ってしまうのだろう。
 
 もしかしたら明日、全てを失ってしまうのかもしれない。
 いや、今この時にも、全て失う可能性はある。
 自分は失うだけしかないのかと、悲しさがましていく。
 もし。
 もしもだ、今ある幸せの全てが失われてしまえば、もう生きていく事はできない。
 胸が、痛い。
 今までの悲しみが、偽石を痛めていく。
 割れてしまいそうだ。
 いっそ割れてしまえば楽になれそうな気がした。
「……ママ、本当に大丈夫テチィ?」
「……ママ、無理しちゃダメテチィ」
 仔達は不安そうに訊ねてくるその声に、 
「……大丈夫デス……」
 ぼろぼろとこぼれた涙を引かせ、濡れた頬を無精に拭った。
 そう、まだ死ぬ暇はない。
 この仔達が一人立ちし、自分と同じように仔を成していけるように全てを教えていかなくてはいけない。
 だから、まだ死ねないのだ。
「……明日も早いデス。オウチに帰ってゴハンを食べるデス」
「ワーイ、ゴハンテチィ♪」
「ウマウマのゴハンテチィ♪」
 トテトテと住みかに歩む仔を見ながら、茜色から暗がりに染まる空を見つめる。
 物悲しく見えた空が、今は胸の痛みを和らげてくれる色に思えた。
 希望はある。
 あの仔達も、いずれ自分と同じようにつらい日々を過ごし、決断し、生きていく日が来る。
 その日まで、私が育ててあげなくてはいけない。
 だから、生きる。
 死から逃れる為に生きる。
 あの仔達の為にと、親は暗がりの中を歩み、仔を追いかけていく。
 一緒に、今日もご飯を食べる為に。
 そして、明日もご飯を食べる為に。
 親と仔は無明の帰路を歩んでいった。
                                                                了






 初めてここに投稿させていただきます。
 名前は262と名乗らせていただきます。
 実装石を取り扱った皆様の作品を楽しく読ませていただき、自分も是非に掲載したく、今回投稿させていただきました。
 他の方と比べて稚拙かつ読みずらい文体かもしれませんが、少しの娯楽となればこれ幸いです。
 最後まで読んでいただきありがとうございます。
 もしこれからも掲載を許していただけるなら、また投稿させていただきます。
 本当に最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
   

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1 Re: Name:匿名石 2014/10/06-23:16:33 No:00001440[申告]
野良の無常、切なさを感じますね
2 Re: Name:匿名石 2014/10/08-04:06:46 No:00001444[申告]
死んだのは10-2で8匹のはずだけど
夏に死んだ3匹と事故で死んだのと糞蟲を足しても5匹なんだよなあ
残り3匹の死因が気になる
糞蟲の間引き以上の凄惨な何かが起こってそうだ

そして、晩秋の描写が迫りくる冬とさらなる仔実装の死を予感させる
3 Re: Name:匿名石 2019/03/30-03:25:27 No:00005832[申告]
間引き最高!
葛藤する親蟲も滑稽で良い
厳選しきって油断した所で手を下したい
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