タイトル:【食】 仕付けのルームランナー 【愛】
ファイル:仕付けのルームランナー(加筆版).txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:3407 レス数:6
初投稿日時:2010/04/30-19:25:52修正日時:2011/01/13-22:32:13
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コンビニの灯りが僅かに届く駐車場の影に、親実装とその仔が居た

『オマエはママじまんの仔デス、袋に入ったらおとなしくして、ママのいいつけとおりに
するんデス〜。わかってるデス?』

『ハイテチ! なかにウマウマがあっても、たべないテチュ! ウンチもしないテチュ!!』

『そうデス、ママもあとでいくデス。ゴシュジンサマのいうことをよくきく、いいカイジッソウ
になるデス。ワガママいったらダメデス』

『ハイテチィ! リッパなカイジッソウになるんテチュ!!』

親実装は我が仔を抱きしめ、頭を撫でる
これが懇情の別れになる可能性が有る
最後に、仔の温もりを確かめた

危険な賭けだ
餌の無い2月の公園では、この仔が生き残る可能性は低い
親の決断は託児だった
最後に残った仔を生かす為、あわよくば自分も・・・

深夜の店内に、一人の男が入るのを見届けた
彼に全てを託そう、覚悟を決めた

『そろそろ、いくデス! 静かにしてるんデスゥ』

『…テチ…』

慎重に移動し、ゴミ箱の陰へ
そこに買い物を終え、少し大きめのコンビニ袋を下げた男が出てきた
幸い、袋の取っ手一つしか手に掛けず、大きく開いている
又と無いチャンス、親実装はやおら、仔を掲げ、走りながら、仔を袋に向けて放つ

『…ッテッ!!…』

正に奇跡、袋の中に納まる

親実装は身を隠しながら、男の追跡を開始した


男はしばらく歩くと、駐輪場に止めてあったスクーターに鍵を入れ、メットを被る

『…デッ?!』

歩いてコンビニに来た男が、歩いて家に帰るものと思っていた親実装は動揺する
乗り物に乗って帰られたら、仔の匂いを嗅いでの追跡は不可能だ
本当に懇情の別れと為ってしまった

コンビニ袋をフックに掛け、セルを回し、走り出す
ちょうど親実装の前を走り抜ける
親実装は渾身の力を振り絞り、叫び上げる

   『次女チャンーーーー!! ママとはココでお別れデスーーーーー!! 
    シアワセに、 シアワセになるんデスーーーーーーーーーーー!!』

   『…ママァ…!!!!』

今、声を出してしまっては、ママの苦労は台無しだ
仔実装は声を上げる事無く、『ママァー!!』と心で呼び、涙した




原チャでコンビニから帰ってくると、袋の中がイゴイゴ動いている
お決まりの託児だ。 見るまでもないが、開けて確認する

『テチ…、ゴシュジンサマ。コレカラよろしくオネガイしますテチ』

タバコ三箱には手を付けず、糞の漏らしも無い
損害が無い事に安堵し、仔実装の相手をする

「飼ってやってもいいが、うちの仕付けは厳しいぞ。 それでも、構わないのか?」

一発かまして置く、これで馬脚をあらすようならゴミ箱行きだ

『ハイテチ!! ガンバッテ、りっぱなカイジッソウになるテチ! たえてみせますテチ!』

ふむ、覚悟完了って所か、じゃ、飼って見ますかね
飼う為の道具を引っ張り出し、飼い実装になる為の儀式を行う

沐浴、洗浄、初歩の躾
勿論、体罰を与えながら仕込むつもりだったが、何気に出来がいい
親がしっかり躾ていたのだろう、トイレの仕方も一発で覚えた
取り合えず餌をやろう、ドングリコと名が付いているパッケージを明け、皿に盛る

「きちんと出来て関心した。 腹が減ったろう、これを食え。勿論食べる前には”頂きます”だ」

『ハイテチ!! イタダキマステチュ!』 がっつく事無く、食べ始める

   この仔は当たりかな

食事を終えた仔実装をミカン箱の中のボロタオルに横たえ、寝かしつける

明日からが本番だ




仕付けのルームランナー




翌朝、朝食を与え、今日から行う事を告げる

用意した昼食と自動給水機、昼食を知らせるタイマー
 そして、ルームランナー
ダンボールで作った仕切りの中、一通りの使い方を教える

昼食はタイマーがなる前に食べても良いが、その代わり後でお腹が減って大変だと言う事、
ルームランナーのカウンターが夜までに500まで行ってれば、ご褒美が有る事を説明する

『ナンデ、こんなコトするんテチュ? ゴホウビってなんテチュ?』

説明してやろう

「狭い家の中に居たら、運動不足になるだろ? もし、公園に連れて行っても
走り回れなくなってしまう。 その為に、体力を付けて欲しいんだ。ご褒美はこれだよ」

手にかざしたのは、一粒の金平糖

『テ、コンペイトウ、テチュウ!! スゴイテチュウ! ホシイ、ホシイテチュウ!!!!』

うん、食いついて来たね

「うん、これが500の形、其処のカウンターを夜までに500に出来る元気な仔には
これをあげるね。 前に貼っておくから、この形に出来るように頑張るんだよ」

『ハイテチュ!! ガンバルテチュウ!!!! さっそくはじめるテチュ! テッチ! テッチ! テッチ! テェッチィ!!』

さっそく、ローラーを回す仔実装のやる気を見た所で、出勤する
さて、どこまで頑張ってくれるかね〜
帰宅するのが楽しみだ



帰ってくると、ルームランナーのカウンターはきっちり、500を指していた

息を荒らげ、大の字に寝そべる仔実装の頭を撫でる

『テヒ…、テヒ…、ゴシュジンサマ… やったテチ…』

「うん、偉いぞ、晩御飯と約束の金平糖だ」

よほどお腹が減ってたのだろう、頂きますもそこそこに済ませ、ご飯に喰らい付く

「あれ、金平糖は食べないの?」

『それはアトのおたのしみに、とっておくんテチュ。おやくそくなんテチュ!』

意外と賢い仔の様だ。いいね〜、更にご褒美をあげよう

「今日はよく頑張ったね、頑張った仔には名前をあげよう、キミの名前は今日から『ミドリ』だよ」

   『テッ?!』

持っていたフードの粒が手から滑り落ち、赤と緑の丸目から色付きの涙が零れ落ちる

『オナマエ、オナマエもらえたテチュ! ガンバルテチュ! アタチ、ガンバルテチュ!! いいカイジッソウになるんテチュ〜〜!!』

「うん、良い仔だ。 明日も頑張ってくれよ」

感涙に咽ぶミドリの頭を、優しく撫でてやった



ミドリは決意の言葉通り、日々ルームランナーのノルマをこなしていった

ノルマを達成できた日には、金平糖3つとスプレー式のホイップ、小皿に一杯を支給

『コンペイトウ、アマアマ、ウマウマテチュウ! フアフアアマアマもウマウマで、いちにちのつかれもフットブテチュッン!!』

最初の方は疲労困憊で、食べたら寝るの生活だったが、最近は余裕が出てきた
食事を楽しんだり、遊んでやったりで何気に充実してる様に見える


「今日は風呂に入るか?」

『わーいテチィ!! イイんテチ? おねがいするテチ』

っと、その前に実装服の洗濯をして置かないとな、はい。 脱いだ脱いだ

洗面台の横に置いてある洗濯機の上に乗せ、洗面台で実装服の洗濯を始める

「今は俺が洗ってやるが、俺の洗い方を見て、洗濯の仕方を覚えるんだぞ」

『ハイテチ!! オフクあらうと、フアフア、ピカピカできもちいいテチィ! ガンバッテおぼえるテチィ!!』

うん、いいね。 本格的に飼い実装って感じで。

「うん、頑張って憶えろよ。 飼い実装なんだからな」

『ハイテチ!! リッパナ、カイジッソウになるテチィ!!』

服も洗い終わった所で、ミドリも洗ってやる

『ゴシュジンサマにあらってもらうの、キモチイイテチュン!』

「これもそろそろ、卒業だな。 立派な飼い実装は何でも自分で出来なきゃな」

『テェエェエ、ソレハさみしいテチィィイ… デモ、ミドリはガンバルテチ! イイコになるテチィ!!』

元気付ける為に、少し丁寧に洗ってやった





『テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ!
 テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ!
 テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ!
 テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ!
 テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ! テッチ!』


一日10づつ増え、週明けには50増えるノルマを1日も落とす事無く、達成していった



    『テッチューーーーーーーーン!!』

たまに天気が良い週末には、近くの運動公園に連れて行く
もう、走る速度は成体実装並だ

『デシャーーーー!! オトナシク、ワタシのゴハンになるデッッシャーーーー!!』

『ソンナはしり、きたえたアタチのすぴーどには、ついてこれないテチュー!!』

持久力と、身体の小回りを生かした走法で野良実装を翻弄して遊んでる
最近のお気に入りらしい
でも、家の飼い実装に唾を付けられたらたまらんので、ヤクザキックで吹っ飛ばす

『ッデッツガッギャーーーーーーーーーー!!』

おお、飛んだ飛んだ。自己ベストタイ位かな

「あんまり、無茶すんなよ。それより、メシにするぞ」

『テッチューーーー!!』

こんな感じで元気に芝生を走り回り、野外での昼食となる
俺はコンビニサンド、コイツにはいつもの餌だが、ポカリを分けてやる

『オソトでたべるゴハンはかくべつテチィ… ぽかぽかで、きもちイイテチュゥ…』

「ああ、そうだな」

『ヤッパリ、ゴシュジンサマのいったトオリテチュ〜。 ひろいひろいコウエンをはしりまわるのはサイコウテチュ〜』

こう言う飼い方は初めてだが、いいもんだ
外に出るのはいいね〜
コイツのお陰で穏やかな週末ってのを満喫できるし、悪くはないわな



ミドリが家に来て、2ヶ月。10cmだった身長も30cmに成り、中実装寸前だ
そろそろ仕付けから、仕上げに入る時期だな。心躍る

仕事が忙しいから、平日は出来合いの物で済ましているが、週末には包丁を握る事にしている

『ゴシュジンサマ、イイにおいテチィ。 なに、つくってるんテチ?』

今日は、忘れた振りして餌をやってないから、食いついて来たね?

「ああ、これね。後でお腹一杯にしてあげるから、待ってろよ?」

そう言いながら玉葱、ポテト、セロリ、人参を炒め、スタフィングの準備をする

『うれしいテチィ〜!! がんばって、まつテチィ!』

聞き分けの良い仔は助かる、火を止めて下拵え

「これあげるから、大人しくしてろよ」

『コンペイトウテチ! アリガトテチー、アマアマテチュー!』

そういって行儀良く食べる姿はカワイイ。 食べちゃいたい位w

「お、どうした?」

『オナカの急降下テチィィ… アリエナイくらいの、いきおいなんテチィィイィィ』

顔を真っ青にして、蹲る

「それは不味いな、急いで便所に連れってやろう」

部屋汚されるのは、マジ勘弁だからな
便座にミドリをはめ込む

『でるテチュウゥゥ!! アリエナイいきおいなんテジュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』

何とか最小限には済ませたが、これは後片付けがトホホだ・・・
でも、気を取り戻して

「汚れちまったな、ついでにお風呂に入れてあげよう。なんたって、特別な日だからな」

予め湯を張って置いた風呂場に連れて行き、暖かな湯を掛けてやる

『オフロテチュ〜! アワアワ、ぽかぽかテチュッン』

そういえば、最初はこうやって洗ってやったっけ

「特別な日だから、俺が入念に洗ってやるぞ」

うん、こうやって洗ってやった

『ゴシュジンサマにあらってもらうのは、ひさしぶりテチュー。 キモチイイテチュ〜』

そうか、気持ち良いか

「気持ち良いついでに、ほら。首をきゅーと」

『テ? テキュゥゥゥ…』


仕付けの最終段階を終了した




 …テ、まっくらテチ

 
   デモ、いいニオイがするテチ
 
   きっと、ワタチのためにゴシュジンサマがつくってくれた
   ゴチソウテチ!!
 
 ・・・テ?!
 
   カラダがうこかないテチ!
 
   ていうか、イタイイタイテチィイィ!!
 
 
 
「お、気が付いたかな?」
顔のアルミホイルを解き、何十にも重ねたキャベツを剥す

   『・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ』

声に為らない、や、出せない悲鳴を上げる

「仕付けの仕上げだよ。そして、完成! 仔実装の丸焼き。 素材はキミだー! 動かないで〜」

血涙に濡れた顔が若干、左右に揺れているが構わない

ナイフで左脇から股に掛けて切り分け、皿に盛り、一口

「頂きます!! くーっ! うめー!! 流石、ドングリフードを食べて、走って鍛えただけは有るっ!
イベリコ仔実装! 天然物の山実装に匹敵する味わい、手塩に掛けて育てた甲斐があった!!」


   『…ナンデ? ナンデ、アタチをたべちゃうんテチ?…』


「美味しくなる為に、今までよく頑張ってくれたよ。 キミは最高の出来栄えだ!」


   『…アタチ、カイジッソウのはずテチ? シアワセ、シアワセになるためにガンバッたんテチ…』


「やっぱ、餌と仕付けで、自分好みの肉質に出来るって凄いな。山実装の深い味わいに
適度な脂質の絶妙な はあもにい♪ 有る意味山実装越えてね? 狙い通りだよ! 鍋派万歳っ!!
ちゃんと約束通り、お腹一杯に詰め込んだスタフィングもミドリの肉汁が沁み込んでいい味だ」


   『…アタチ、アタチはオイシクなるタメにガンバッてたんテチィ?…』



             『…パキン…』



お、逝ったか。 お前の血肉は一滴残らず頂いて、俺の血肉にしてやるからな

噛むほどに、味わうほどに、ミドリと暮した2ヶ月が走馬灯のように蘇る

美味し過ぎて、目から涎が・・・

それも有る意味、スパイス

たっぷり時間を掛け、御飯2合と食す

ああ、美味しかったよ

本当に

ミドリ

                               「ご馳走様でした!」

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1 Re: Name:匿名石 2016/09/06-17:48:02 No:00002520[申告]
かなり良い
2 Re: Name:匿名石 2016/11/09-01:42:18 No:00002755[申告]
こんだけデキのいい仔だと虐待オチや鍋オチは逆に悲しいぜ
でも、ご主人様が血肉余さず食べきってくれるから魂はいつまでも走り続けるんだぜ
3 Re: Name:匿名石 2020/02/17-11:58:05 No:00006210[申告]
最後の「ご馳走様でした!」が食べログのキモレビューチックでいい
4 Re: Name:匿名石 2023/05/08-21:59:08 No:00007136[申告]
可哀想に見えるがそもそも親も仔も託児すれば飼いになれるとか思い込んでる生ゴミで笑う
5 Re: Name:匿名石 2023/07/09-22:45:41 No:00007488[申告]
夜中に読むんじゃなかった…
飯テロやん…
6 Re: Name:匿名石 2023/07/10-09:21:54 No:00007489[申告]
こうして見ると糞蟲はプログラムを完遂出来ないから弾かれるか生産石の餌になるのは実装のペット業界も養殖でも案外見る印象がある
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