タイトル:【馬】 相性がいいような気がして
ファイル:竹石.txt
作者:匿名 総投稿数:非公開 総ダウンロード数:2154 レス数:1
初投稿日時:2010/03/23-00:32:44修正日時:2010/03/23-00:32:44
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竹石
  
  
  
  
  「悪い子デス、悪い子デス」
  
   公園で親実装が仔実装に折檻をしていた。小さなおしりをペロリと剥かれて、仔実装はテ
  ェテェ悲鳴をあげながらお尻をぶたれていた。
  
  「どうしたんだい、一体何があったんだい」
  
   ぼくは親実装に声をかける。
  
  「聞いてくだサいニンゲンサン、この仔は冬に備えて貯めていた食料に手をつけてしまった
  のでデス」
  
  「いやはや全く、そいつは悪いな」
  
  「全く悪いデス、悪い子デス、おしりペンペンするデス」
  
   ペンペン、ペンペン、公園に高らかに鳴り響く仔実装の尻の音。真っ赤に晴れたお尻の間
  に、緑のパンコンが鮮やかだった。
  
   ぼくはそんな仔実装の尻を、親実装に代わって打ちたくなった。
  
  「よしよし、それじゃあこうしよう。ぼくが代わりにペンペンするから、この子のことを許
  してやってはくれないか」
  
  「わけがわかんないデス」
  
  「ぼくがこの子の食べた分を返してあげよう、代わりにぼくがこの子を打とう」
  
  「それならわけがわかったデス」
  
   親実装はテェェンテェェンと泣きわめく仔実装を両手で高々とぼくへと捧げる。ぼくは片
  手でひょいとそんな貢物を受け取ると、人差し指でペチペチ尻を叩いた。
  
  「テンテンテン」
  
   手加減が過ぎたのか、叩くというよりペチペチと突付く形になってしまった。仔実装は不
  思議そうな顔をして叩く度にしゃっくりするような声をあげる。
  
  「そんなのじゃだめだめデス、もっとスナップをきかせるデス」
  
   親実装のアドバイスに、ぼくは手首にスナップをきかせて、仔実装の尻に指を叩き込んだ。
  ズブリ。
  
  「テッチューン」
  
   手元がくるった、仔実装の尻ではなくって孔に指が入ってしまった。仔実装は生意気にも
  キュッキュと指先を絞ってくる。
  
  「この仔は悦んでいるデス、エッチなオシオキならワタシにするデス」
  
   親実装はおもむろにスカートをたくし上げて、緑の染み付きパンツを晒して見せる。
  
  「手元が狂ったんだ、わざとじゃないんだ」
  
  「ラッキースケベもたいがいにするデス」
  
   親実装は残念そうに胸元までたくし上げたスカートをおろした。
  
   刺さりっぱなしの指を引き抜くと、緑の汚物とぬるりとした粘液が絡みついていた。汚ら
  しいので手近にあった親実装の頭巾で拭うが、全然綺麗になった気がしない。ウェットティ
  ッシュがポケットに入っていたことを思い出し、そいつで拭うことにした。ついでに仔実装
  の尻と孔も吹いておく。アルコール入りの除菌ティッシュの清涼感に喜ぶかと思いきや、仔
  実装はテチャーと悲鳴をあげた。傷に染みたらしい。
  
  「拭われ損デス」
  
   不満そうな親実装に使用済みのポケットティッシュをくれてやった。するとおもむろにパ
  ンツをおろして、銭湯のおっさんの要領で股間を拭きはじめた。
  
  「スースーするデス」
  
   ご満悦の親実装を放っておいて、仔実装の尻を叩く作業に戻ることにした。仔実装は瞳を
  うるませてぼくの折檻をまっている。
  
  「またキモチイイことしてくれるテチ?」
  
   今度はあらぬところに突っ込まぬよう、指先でなく指の腹のあたりで仔実装の尻めがけて
  指を振り下ろした。ペチン、テチャ、ペチン、テギャ、ペチン、テジャ。飽きた。
  
  「もう飽きたからもういいや」
  
   ポイと親実装に仔実装を放った。親実装は胸元で仔実装をキャッチした。
  
  「反省したデスか?」
  
  「反省したテチ」
  
  「もうやらないデスか?」
  
  「もうやらないテチ」
  
  「ならよしとするデス」
  
   撫でり撫でりと尻を叩いたその手が今度はやさしく仔実装の頭を撫でつけた。仔実装は気
  持ちよさそうに目を細めて、テッチューンと吐息を漏らす。
  
   ぼくはそんな仔実装の頭を、親実装に代わって撫でたくなった。
  
  「それじゃあひとつ、ぼくも仔実装を撫でてあげよう」
  
  「そしたら食べ物を余計にくれるデスか?」
  
  「わけがわかんないな」
  
  「世の中にタダのものなんてないんデス」
  
  「もっともだ」
  
   再びぼくは仔実装を手中にした。軽く開いた手のひらのくぼみを仔実装の頭に被せる。テ
  チューンと頭をかしげる仔実装の頭をかいぐりかいぐり。ペキリと細いマッチ棒を折ったよ
  うな微かな感触。ダランとあらぬ角度にぶらさがる仔実装の頭。
  
  「おつむダルダルデス」
  
   親実装の指摘に、ぼくは慌てて仔実装の頭を胴の上に垂直に乗せた。それはまるでボール
  の上にボールを重ねるように難しい作業だった。つまりはトリックなしでは不可能だった。
  親実装に見えないように、仔実装の頭頂部にポケットから取り出した竹串を突き刺し、胴ま
  で通した。
  
  「うん、満喫したよ」
  
   ぼくは手足をひくひくとさせて目を剥いている仔実装を親実装にそっと手渡しした。
  
  「ニンゲンさんのテクニシャンもたいがいデス」
  
   親実装は痙攣している仔実装を正気づかせようと頬を叩く。焦点の定まらなかった瞳が急
  に輝きを取り戻し、仔実装は予想に反して正気づいた。
  
  「なんだか胸がチクチクするテチ」
  
  「まったく、おませな仔デス」
  
   ぼくはポケットに入っていた飴玉三つをやると、そそくさとその場を後にした。仔実装に
  差し込んだ竹串は首が座るのを見計らって抜いてやろう。そう思いながら公園を後にする。
  公園の出入口で実装親子はいつまでもぼくを見送っていた。夕日と視線に押されて、ぼくは
  逃げるように家路を急いだ。
  
  
  
  
   再び公園へ訪れたのは、仔実装もそろそろ巣立ちする頃であろう、そんな時期だった。つ
  まりは冬が過ぎて春もうららかな時期であった。ポケットにピンセットやなにやらを詰め込
  んで公園に入ると、そこにあの親実装の姿があった。仔実装の姿は見えない。いや、今では
  もう立派な実装石と言っても差し支えない筈だ。体内に竹串を抱えたまま、もうとっくに独
  り立ちをしてしまったのだろうか。
  
  「あの仔ならウチデス」
  
   冬越えで少々やつれた親実装がぼくを導き藪をかき分けダンボールハウスにたどり着いた。
  風雨に晒されくたびれたダンボールの天井を貫き、一本の竹が生えている。青々とした竿は
  手首ほどの太さで、高さはぼくの背丈ほど。竹としては小ぶりなものだ。
  
  「珍しいね、この公園に竹なんて」
  
  「あの仔デス」
  
  「なにが?」
  
  「これがあの仔デス」
  
   思わずぼくは竹を見上げた。先細りの竹の天辺には、ヒラヒラと仔実装の衣装が旗のよう
  にそよいでいた。
  
  「ニンゲンさんに出会ったその日から、あの仔はウチの中から動かなくなったデス。ものも
  食べなくなって、ニンゲンさんからもらったとってもアマアマなお菓子にも見向きもしなか
  ったデス、そして気がついたらこんな姿になって、お空へグングンのびていってしまったデ
  ス」
  
   竹串一本でまさかこんな事態になろうとは想像すらしていなかった。頭を支えるどころか
  身体ごと地べたへと根を張ってしまった。全く、自分の不注意を呪うべきか実装石のデタラ
  メな生態を呪うべきか。とにかくにも一匹の仔実装は失われてしまったのだ。墓標となった
  この青竹に合唱くらいはしておこう。なむなむ。親実装も手と手を合わせてぼくを真似る。
  デスデス。
  
   テ………テ………、不意に声が聞こえた。まっすぐ正面、くぐもった鳴き声。目の前には
  竹竿があるばかり。竹の表面に耳をあてると、確かに小さな仔実装の鳴き声だった。筒にな
  った竹の中にあの仔実装がいるのだろうか?
  
   ぼくはポケットから鉈を取り出し、スコンと斜に竹を割った。
  
  「テッテフー」
  
   断面に現れたのは産声をあげる蛆実装だった。
  
  「蛆ちゃんデス」
  
  「うん」
  
   蛆実装の身体が纏うのはタイツのような実装石のそれではなく、竹の子を思わせる互い違
  いに重なったうろこ状の皮を纏っている。露出した肌は真っ白で、蛆実装よりもなお幼虫じ
  みた姿をしていた。
  
  「蛆ちゃんデス?」
  
  「うーん」
  
   スコンと下の節目を目がけて鉈を振るった。テッテフーとまたしても蛆。次も蛆、またし
  ても蛆。蛆が続く。地べたに落ちた竹筒からはのそりのそりと蛆実装たちが這い出して、親
  実装共々ぼくを見守る。
  
   竹の中間くらいに、一箇所だけ節と節の間がだけ黄色がかったところがあった。斜に割っ
  た断面から現れたのは、十二単を纏った黒髪ストレートの仔実装がすやすやと眠っていた。
  呆然と眺めていると、ゆっくりと瞼を開いて小首をかしげた。さらさらと十二単の上を黒髪
  が流れ、その瞳は、その瞳の色は………。
  
  「デス」
  
  「うん」
  
   そこへぼくは鉈をまっすぐに振り下ろして竹ごと中身を真っ二つにした。体液が飛沫とな
  って降り注ぎ、竹は根元までパカンと綺麗に真っ二つ、蛆実装がポンポン飛出して産声をあ
  げる。
  
  「でs」
  
  「うn」
  
   竹の子である蛆実装たちは尻尾でピンと空を差し、頭を地べたに潜り込ませてみるみると
  伸びていく。それはたちまち檻となってぼくと親実装を虜にした。竹は互いに絡まりあい縺
  れあい、まるで一本の巨木のような姿になる。その先端には空っぽになったぼくと親実装の
  衣服が旗のようにそよいで、それでも空に向かって伸びていく。
  
  
  

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1 Re: Name:匿名石 2020/02/02-20:54:04 No:00006192[申告]
竹の性質と実装石が融合したら人類ヤバイ
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