実装フードができるまで

トラックに積まれた金網ケージの中に、
隙間なく詰め込まれた仔実装たちの鳴き声が響く。
ある仔実装は身動き出来ぬ状況に不満を漏らし、
また仔実装は人間に飼ってもらえると思い込み歌を歌う。
処理場に向かう前に既に髪と衣類は取り除かれており、禿裸の状態だ。

トラックが処理場に着くとケージは横倒しにされ、
スロープを滑るように、転がるように落ちていく。

ベルトコンベアーの上に落ちてきた仔実装たちを
待ち構えるのは無菌服に身を包んだ作業員だ。
輸送の最中に死んでしまった仔実装や、
この段階でまだ残っていた奇形を手で取り除いていく。
ベルトコンベアーの上から取り除かれた仔実装は
大きな“ろうと”の上に放り込まれる。
真ん中にはぽっかりと穴が開いていて、
放り込まれた仔実装はシュレッダーにかけられミンチになる。
ここで作られたミンチは蛆実装のミンチと混ぜられ安価な実装フードとなる。
当然ではあるが、奇形とはいえ生きたままの仔実装が
ここに放り込まれることは多々ある。
だが一瞬でミンチになる為後述のものに比べればマシだろう。

さて無事に検査を通った仔実装たちは
作業員によって両足の膝の部分を結束バンドで固定される。
この際仔実装たちの膝の骨は折られてしまうが、苦痛はすぐに終わる。
固定された膝を鎖に繋がれ逆さに吊られ、。電流の流れた水の中に浸される。
この工程で仔実装は気絶をしてしまい、この後苦痛を味わうことはない。
だが気絶をせずに次の工程に移ってしまう仔実装も少なくはない。
その場合は先程ミンチになった仔実装より遥かに酷い仕打ちを受けることになる。

水から引き上げられた仔実装たちは逆さ吊りのまま次の工程へと向かう。
気絶した仔実装は待ち構えているチェンソーによって喉を掻き切られる。
稀に頭部が脱落してしまうことがあるが、
この頭部は栄養価が高いのでミンチにされ高級実装フードに利用される。
喉を切られた仔実装から滴る緑と赤の血はまるで雨のようだ。
先の工程で運悪く意識を残したままの仔実装は生きたまま喉を切られ激痛を味わう。
ところがここでもまだ生き残る仔実装が居る。
チェンソーの刃から首を反らせた仔実装だ。

ここまで生き残ってしまった仔実装は実に不運だ。
生きたまま熱湯のタンクに沈められ茹で殺されるからだ。
この工程で残った頭髪が取り除かれ殺菌される。

茹でられた仔実装たちはX線にさらされ、
シリンダー状の刃でプレスされ偽石を取り除かれる。
シリンダーの中は掃除機のようになっていて、
取り除かれた偽石は粉砕され、
安価な実装フードの“かさ”を増やすのに用いられる。

こうして幾つもの工程を終えた仔実装は、
シュレッダーにかけられミンチになり実装フードとなる。
生タイプはすぐに缶詰に詰められ、
ドライタイプは最後に巨大な乾燥機の中で乾燥させられ、袋に詰められる。

/*このスクMr.McDonaldからインスピレーションを得て書かれました。*/